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【発明の名称】 液晶表示装置およびその信頼性評価方法
【発明者】 【氏名】内山 俊一

【氏名】遠藤 和之

【要約】 【課題】低温発泡の有無が検査できるようにして常温時の信頼性を高めた液晶表示装置およびその信頼性評価方法を提供する。

【解決手段】本発明の環境試験機10は、プラズマアドレス液晶セル1を内装するチャンバ11、チャンバ11の側壁から延在する導管12、13、導管12、13に接続された圧力調整弁14および温度調整器15により構成される。圧力調整弁14ではチャンバ11内の空気圧が0.5気圧〜0.7気圧の範囲に調整され、温度調整器15では液晶下限温度(C−N点)より10°程度高い温度に調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 試験装置内に液晶セルを内装して該液晶セルの信頼性評価を行う液晶表示装置の信頼性評価方法において、前記試験装置内の空気圧を0.5気圧以上かつ0.7気圧以下の範囲に減圧する工程と、前記試験装置内の温度を液晶温度範囲の下限温度よりも高い所定値に設定する工程と、前記試験装置内に内装された該液晶セルの低温発泡を検査する工程とを含み、前記検査工程によって前記低温発泡を検査することにより該液晶セルの常温時の信頼性向上を図ることを特徴とする液晶表示装置の信頼性評価方法。
【請求項2】 前記試験装置内の温度の所定値は、前記液晶温度範囲の下限温度よりも略10度高い温度であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の信頼性評価方法。
【請求項3】 前記請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置の信頼性評価方法により製造されることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置およびその信頼性評価方法に関し、詳しくは、従来の評価方法では困難であった低温領域における発泡の有無を検査できるようにして常温時の信頼性を高めた液晶表示装置およびその信頼性評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置はフラットな構造や低消費電力に特徴があり、液晶モニタ搭載ビデオカメラに代表される液晶表示装置付き機器、テレビ、モニタ装置へと実用化され普及しつつある。図2は液晶表示装置の一例たるプラズマアドレス液晶表示装置の基本的な構成を示す図であり、図におけるプラズマアドレス液晶セル1は、液晶基板2とプラズマ基板3と両者の間に介在する誘電体シート(誘電体層)4とからなる積層フラットパネル構造を有している。
【0003】プラズマ基板3の内側主面には隔壁5によって分離されるプラズマ室が形成されている。このプラズマ室にはイオン化可能なガスが封入されている。プラズマ基板3にはプラズマ電極(何れも図示省略)が設けられている。プラズマ電極はプラズマ室のガスをイオン化して放電プラズマを発生するようになっている。
【0004】一方、液晶基板2は誘電体シート4と所定の間隙を介して対向配置されるとともに、スペーサ(図示省略)を挟持してシール材6によって接合される。さらに、図示を省略した注入孔から液晶7を注入後、注入孔を封止してプラズマアドレス液晶セル1が完成される。なお、本発明の対象となる液晶表示装置はこの構造に限られるものではなく、単に例示したにすぎない。
【0005】完成されたプラズマアドレス液晶セル1は信頼性テストに回され、主に室温中において連続動作させたときの信頼性、高温や低温などの厳しい環境下に長時間放置したときの信頼性、および高温や低温を所定サイクルにて変化させたときの信頼性などがテストされる。
【0006】ところで、プラズマアドレス液晶セル1を低温状態にすると、液晶7の膨張率がプラズマアドレス液晶セル1より大きいため、液晶7の体積変化がプラズマアドレス液晶セル1の体積変化に追従できなくなる。この不足分を補うために液晶7内の溶存空気が析出して気泡8が発生する。この現象は低温発泡と呼ばれるもので液晶表示装置の信頼性を損なう要因となる。
【0007】従来から、液晶表示装置の信頼性を評価するため、プラズマアドレス液晶セル1を低温状態にして気泡8の有無を検査するようになされている。しかし、液晶7の物性として、液晶温度範囲(MR:Mesomorphic Range)の下限温度(C−N点:一例として−40°:以下、単に「液晶下限温度」とも記す)を越える低温では、液晶7は液晶相(ネマティック相)から結晶相となって気泡8は発生しなくなる。また、この液晶下限温度付近では気泡8発生の再現性が乏しいため、液晶表示装置の信頼性評価が困難になる問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる観点に鑑みてなされたもので、その課題は、従来の液晶表示装置の信頼性評価方法では、液晶下限温度付近において低温発泡の有無が検査できなくなる問題を解消し、常温時の信頼性をも高めた液晶表示装置およびその信頼性評価方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明の液晶表示装置の信頼性評価方法は、試験装置内に液晶セルを内装してその液晶セルの信頼性評価を行う液晶表示装置の信頼性評価方法において、試験装置内の空気圧を0.5気圧以上かつ0.7気圧以下の範囲に減圧する工程と、試験装置内の温度を液晶温度範囲の下限温度よりも高い所定値(例えば液晶温度範囲の下限温度(C−N点)より略10度高い温度)に設定する工程と、試験装置内に内装された液晶セルの低温発泡を検査する工程とを含み、この条件で発生し易い低温発泡を検査することによって、液晶セルの常温時の信頼性を高めることを特徴とする。すなわち、この条件で発生し易い低温発泡を検査することにより、液晶表示装置の常温時における発泡の可能性を加速的に試験することができるようになり、液晶表示装置の信頼性を高めることができる。
【0010】本発明の液晶表示装置は、上記液晶表示装置の信頼性評価方法によって評価・製造されることが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明は、従来では評価が困難であった液晶下限温度近傍の低温発泡の有無を液晶相の領域で評価できるようにした液晶表示装置の信頼性評価方法である。つまり本発明の発明者らは、従来では液晶下限温度まで温度を下げなければ低温発泡の検査ができなかった状況において、環境試験機を減圧することにより液晶下限温度より高い温度で低温発泡が発生することを見い出した。そして、低温発泡の有無を検査することにより、常温時の発泡の可能性が予測されることから(低温発泡が無ければ常温発泡の可能性は薄い)、信頼性の高い液晶表示装置の信頼性評価方法が実現できる。以下、本発明の具体的な実施の形態につき添付図面を参照して説明する。
【0012】先ず、図1を参照して本発明の液晶表示装置の環境試験機の構成を説明する。図1は本発明の液晶表示装置の環境試験機の概略構成を示す断面図である。
【0013】本発明の環境試験機10は、プラズマアドレス液晶セル1を載置する基台(図示省略)を備えたチャンバ11、そのチャンバ11の側壁から延在する導管12、13、その導管12、13に接続された圧力調整弁14および温度調整器15により構成される。圧力調整弁14および温度調整器15には圧力発生装置および温度発生装置がそれぞれ接続され、チャンバ11にはプラズマアドレス液晶セル1の状態を観察する透明窓(図示省略)が開口されている。
【0014】次に、かかる構成の本発明の液晶表示装置の環境試験機の動作を工程毎に順次説明する。
【0015】工程1.本発明の液晶表示装置の環境試験機10のチャンバ11内に被測定物であるプラズマアドレス液晶セル1を所定数セットする。
【0016】工程2.圧力調整弁14を操作してチャンバ11内の空気圧を減圧制御する。このとき、減圧下のプラズマアドレス液晶セル1は膨張力を受けて破裂する虞れがあるため減圧には注意を要する。本発明の液晶表示装置の信頼性評価方法では、チャンバ11内の減圧は0.5気圧以上〜0.7気圧以下の範囲で行う。
【0017】工程3.温度調整器15を調整してチャンバ11内の温度を下げ、低温発泡を評価する温度に保つ。この温度は実験の結果、液晶下限温度(C−N点)を例えば−40°として、それより10°高い−30°程度が最適である。この状態では、低温で評価する温度における液晶の体積とプラズマアドレス液晶セル1の体積との差よりも減圧分だけ体積差が大きくなる。従って、従来の温度変化によって得られる低温発泡のデータより信頼性の高いデータを得ることができる。
【0018】工程4.透明窓等からチャンバ11内に設置されたプラズマアドレス液晶セル1の低温発泡の状態を目視にて検査する。なお、低温発泡の検査は減圧したチャンバ11内で行うのが正確であるが、一度発生した低温発泡は所定時間消えないため、一定時間後に常温定圧状態に戻してプラズマアドレス液晶セル1の発泡を検査するようにしても良い。
【0019】本発明の液晶表示装置の信頼性評価方法は上記目視による検査方法の他、自動的に行うこともできる。すなわち、何れも図示を省略したが、プラズマアドレス液晶セル1を観察するCCDカメラを設け、圧力調整弁14および温度調整器15を自動化する。さらに、CCDカメラの映像を解析して圧力調整弁14および温度調整器15を制御する制御手段を設けてフィードバック制御する。観察者はCCDカメラの映像が映出されるモニタから低温発泡の検査を行う。
【0020】本発明の液晶表示装置の信頼性評価方法によれば、チャンバ11内を減圧することにより、本来、再現性の乏しかった液晶下限温度付近より高い温度で低温発泡の検査が可能となる。この低温発泡が無ければ常温時の発泡の可能性は少ないことから信頼性の高い液晶表示装置の信頼性評価方法が実現できる。かくするにつき、本発明の液晶表示装置の信頼性評価方法は、信頼性の高い検査方法であるため検査の試料数を少なくすることができ、液晶表示装置の生産効率を向上できる。
【0021】本発明は前記実施の形態例に限定されず、種々の実施形態を採ることができる。例えば本発明はプラズマアドレス液晶表示装置や大型液晶表示装置に適用して好適なものであるが、その他の各種液晶表示装置に適用可能であり、液晶表示装置の構造や駆動形態に何ら限定されない。また、本発明は前記実施の形態例に限定されることなく、様々な形態に発展できることは言うまでもない。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の液晶表示装置の信頼性評価方法によれば、環境試験装置内を減圧することにより、本来、液晶下限温度近傍で発生していた低温発泡の有無を液晶下限温度より高い液晶相で余裕を以て検査することが可能となる。これにより、常温時の信頼性を高めることができる効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月30日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−23487
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−174461