トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 漏洩音検出装置
【発明者】 【氏名】凌 暁慶

【氏名】平林 裕司

【氏名】加治 克宏

【要約】 【課題】閉鎖した埋設管内を大気圧以下とし、漏洩点において空気が流入して埋設管の内壁に衝突するなどして発生する漏洩音を検出するのに好適な漏洩音検出装置を提供する。

【解決手段】振動検出面に防水通気膜6を設置し、この防水通気膜6を支持材層6a、防水通気材層6b及び粘着材層6cの3層構造とし、この防水通気材層6bを、気体を通して液体を通さない選択通気性を有する多孔質膜からなるものにして、防水通気膜6に近接してマイクロフォンを設置して漏洩音検出装置1を構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 振動検出面に防水通気膜を設置したことを特徴とする漏洩音検出装置。
【請求項2】 前記防水通気膜は、支持材層、防水通気材層及び粘着材層の3層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の漏洩音検出装置。
【請求項3】 前記防水通気材層は、気体を通して液体を通さない選択通過性を有する多孔質膜よりなるものであることを特徴とする請求項2に記載の漏洩音検出装置。
【請求項4】 前記防水通気膜に近接してマイクロフォンを配置したことを特徴とする請求項1乃至3に記載の漏洩音検出装置。
【請求項5】 前記マイクロフォンは、単一指向性のものであることを特徴とする請求項4に記載の漏洩音検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、埋設管路上の漏洩点から発生する漏洩音を検出するための漏洩音検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】埋設管路上の漏洩点を探知する方法としては、従来から種々の方法が知られている。例えば、地上に設置した音聴装置により地中を伝搬してくる漏洩音を直接聴取、又は増幅後に聴取することによって、漏洩点を探知する音聴法とよばれる方法が知られている。しかし、この方法では、騒音等の少ない環境、熟練した専門家が必要であり、しかも、漏洩音は地中を伝搬してくる間に減衰するため、微小な漏洩音は発見し難い。
【0003】このような欠点を克服し得る方法として、埋設管路上の2点に漏洩音検出装置を設置し、埋設管路上を伝搬する漏洩音が各漏洩音検出装置に到達するまでの時間差を測定し、漏洩音検出装置から漏洩点までの距離を算出することによって、漏洩点を探知する相関法とよばれる方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記相関法によっても、従来は、埋設管路内に水を流通させ、漏洩点において水が流出して漏洩点外側の充填物や管との摩擦などによって発生した音を、埋設管路上に設置された止水栓、消火栓等に固定した漏洩音検出装置で検出していたため、地中で発生する外部雑音が混在し易かった。また、漏洩点周囲の状況に左右されやすく、微小な漏洩音の場合には、漏洩点を正確に探知することが困難であった。
【0005】本発明者等は、上記問題点を解消するため、地中で発生する外部雑音の影響を受けることが少ない漏洩探知方法について鋭意検討、研究を重ね、適宜2箇所で遮断、閉鎖させた埋設管路内を大気圧以下の状態とし、漏洩点において空気が流入して埋設管の内壁に衝突して、また気流渦が生じて発生した音を、その閉鎖端部に固定した漏洩音検出装置で検出する方法を発案し、かかる方法を実施するために好適な漏洩音検出装置を発明するに至ったものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の漏洩音検出装置は、振動検出面に防水通気膜を設置したことを特徴とする。かかる構成によれば、振動検出面が水その他の液体に曝された状況下においても、これを遮断して、漏洩音の音圧を確実に検出することができる。
【0007】ここで、防水通気膜の作製及び設置上、防水通気膜は、支持材層、防水通気材層及び粘着材層の3層構造を有することが好ましく、防水通気材層は、気体を通して液体を通さない選択通過性を有する多孔質膜よりなるものであることが好ましい。
【0008】又、漏洩音の音圧を精度良く検出するため、防水通気膜に近接してマイクロフォンを配置するのが好ましく、圧力差による精度低下を防止するため、マイクロフォンは、単一指向性のものであることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の漏洩音検出装置について、その好適な実施の形態を図面を用いて説明する。漏洩音検出装置1は、図1に示すように、本体2、コネクタ3及び蓋体4とよりなる。
【0010】本体2は、中空円筒状のケース5の一端面に防水通気膜6を固着し、他端開口よりコネクタ3の一端部を挿入してある。蓋体4の雌ネジ部とケース5の雄ネジ部とを螺合させ、コネクタ3の鍔部をパッキング7を介してケース5の他端面に押圧させることにより、他端開口を密閉してある。
【0011】防水通気膜6は、図2に示すように、支持材層6a上に防水通気材層6bを形成し、さらに、防水通気材層6bの周辺部上に粘着材層6cを形成した3層構造を有する。支持材層6aはポリエステル不織布よりなり、防水通気材層6bは気体を通して液体を通さない選択通過性を有する多孔質膜よりなっている。これにより、支持材層6aと防水通気材層6bとの界面において、水や硫酸、硝酸等の液体は通過できないが、空気や水蒸気などの気体は通過することができるようになっている。なお、このような防水通気材層6bの一例として、ゴアテックス(登録商標)がある。又、粘着材層6cは耐熱アクリル系粘着材よりなり、この粘着材層6cをケース5の一端面に当接させて、防水通気膜6を固着してある。
【0012】ケース5内の一端部には、弾性部材よりなる保持部材8により保持し、その検知面を防水通気膜6に近接してマイクロフォン9を配置してある。マイクロフォン9は、図3に示すように、防水通気膜6を通過した漏洩音を検出するため、通過方向に指向性を有する単一指向性コンデンサ型のものを使用してある。これにより、マイクロフォン9の検出方向前後の空気圧P1 、P2 に差異がなくなり、測定精度を安定的に確保することができる。
【0013】尚、マイクロフォン9のリード線9a,9bはコネクタ3の端子ピン3a,3bに接続してあり、その接続部には密閉のためエポキシ樹脂を被覆してある。
【0014】次に、本発明の漏洩音検出装置1を使用して、具体的に水道管路上の漏水点を探知する方法について説明する。
【0015】本探知方法では、図4に示すように、先ず、埋設された水道管路10を適宜2箇所で遮断する。ここでは、給水栓11及びメータボックス内のメータ12を取り外し、水抜きをした後に、取付治具13,13を装着して遮断する。次いで、取付治具13,13に、本発明の漏洩音検出装置1,1を防水通気膜6が取付治具13,13側になるように装着する。そして、コネクタ3を導線14,14を介して漏洩探知装置子機15,15に接続し、これらと漏洩探知装置親機16とを無線により接続する。
【0016】一方、メータボックス内の取付治具13にホース17を介して真空ポンプ18を接続し、真空ポンプ18により水道管路10内の空気を吸引する。これにより、水道管路10内は、大気圧以下の状態となるため、漏洩点Aにおいて水道管路10内に空気が流入し、水道管の内壁に衝突したときに気流渦が生じて漏洩音が発生する。この漏洩音は水道管路10内を伝搬し、両端部に装着した漏洩音検出装置1,1まで到達する。そして、漏洩音検出装置1,1によって検出した漏洩音を電気信号に変換し、増幅した上で、漏洩探知装置親機16において漏洩音が各漏洩音検出装置1,1に到達するまでの時間差を測定し、漏洩音検出装置1,1から漏洩点Aまでの距離を算出する。
【0017】本探知方法によれば、水道管路10内は、空気が流通する際に発生する雑音がなく、水道管の内壁との衝突や気流渦によって漏洩音が発生するため、地中で発生する外部雑音が混在し難くて埋設状況に左右されない。しかも、水道管路10内を伝搬してきた漏洩音を検出するため、漏洩音の減衰も少なく、非常に精度の高い漏洩音の検出が可能である。
【0018】しかし、水抜きをしたとしても、水道管路10内には水分が幾分か残留した状態になるから、通常の漏洩音検出装置では水道管路2両端部の音圧を直接検出することができず、上記探知方法を実施するためには本発明の漏洩音検出装置1が必要となるのである。
【0019】本発明の漏洩音検出装置1によれば、検出面に気体を通して液体を通さない選択通過性を有する多孔質膜よりなる防水通気材層6bを形成した防水通気膜6を固着してあるので、防水通気材層6bの界面において、水分その他の液体は通過できず、空気等の気体だけが通過でき、漏洩音の音圧を確実に検出することができる。しかも、防水通気膜6に近接して単一指向性コンデンサ型のマイクロフォン9を配置してあるので、漏洩音の音圧を精度良く検出することができる。
【0020】尚、以上においては、水道管路上の漏水点を探知する場合にについて説明したが、水道管路のみならず、ガス管路においても、本発明の漏洩音検出装置1を使用できること、勿論である。
【出願人】 【識別番号】000112691
【氏名又は名称】フジテコム株式会社
【出願日】 平成9年(1997)11月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三郎 (外1名)
【公開番号】 特開平11−160186
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−328564