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【発明の名称】 エンジンのリークテスト方法
【発明者】 【氏名】島岡 清重

【氏名】澤田 雅史

【要約】 【課題】シールの耐久性を考慮することなく、迅速且つ容易に直立吸気ポート合わせ面のリークの有無を検出することができるエンジンのリークテスト方法を提供する。

【解決手段】直立吸気ポート4がシリンダヘッド1と該シリンダヘッド1上に接合されたカムシャフトボディ2とを共に貫通して燃焼室3に連通する筒内噴射ガソリンエンジンを製造するに際し、上記シリンダヘッド1とカムシャフトボディ2とが相互接合された段階で、該直立吸気ポート4が通じるシリンダヘッド1及びカムシャフトボディ2のそれぞれ外部に連通する部分をインジェクタ面マスキング部材20,下面マスキング部材21,上面マスキング部材22及び側面マスキング部材23でマスキングし、かつ、これらマスキング部分のうち一箇所から圧縮エアを供給すると共に、該圧縮エアの圧力変化を検出することにより、上記シリンダヘッド1とカムシャフトボディ2との直立吸気ポート合わせ面Aにおけるリークを検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸気ポートがシリンダヘッドと該シリンダヘッド上に接合されたカムシャフトボディとを共に貫通して燃焼室に連通するエンジンを製造するに際し、上記シリンダヘッドとカムシャフトボディとが相互接合された段階で、該吸気ポートがシリンダヘッド及びカムシャフトボディのそれぞれ外部に連通する部分を各外部からマスキングし、かつ、これらマスキング部分のうち一箇所から圧縮流体を供給すると共に、該流体の圧力変動を検出することにより、上記シリンダヘッドとカムシャフトボディとの接合面におけるリークを検出することを特徴とするエンジンのリークテスト方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用エンジンにおける直立吸気ポート合わせ面の気密性を検査するリークテスト方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、ガソリンエンジンにおいても、ディーゼルエンジンと同様に、燃料を直接シリンダ内に噴射する筒内噴射ガソリンエンジンの生産化が実現されている。このような筒内噴射ガソリンエンジンでは、機関の運転状態に応じて燃料噴射タイミングを大きく変更することが可能となり、機関の性能を向上させながら排出ガスを低減することができるようになる。
【0003】また、このような筒内噴射ガソリンエンジンにおけるシリンダヘッドにおいて、火炎伝播のし易さ、インジェクタへの熱負荷、レイアウトのし易さ、吸気効率などの観点から直立吸気ポートが採用されたことも良く知られている。この直立吸気ポートによって、ポートからシリンダ内へ流入する流れが、従来型エンジンのそれとは逆向きのタンブル流を生成でき、小型ピストンキャビティ(これも当該エンジンにおいて新しく採用された)内に噴射された燃料を、点火プラグへ運ぶのに適した流動が得られるのである。
【0004】そして、図6に示すように、上述した筒内噴射ガソリンエンジンにあっては、シリンダヘッド100と該シリンダヘッド100の上面に組み付けられるロッカカバー101とに貫通して上述した直立吸気ポート102が形成される。尚、図中103は排気ポートで、直立吸気ポート102と共に燃焼室104に通じている。105はその動弁機構106により直立吸気ポート102を開閉する吸気弁で、107はその動弁機構108により排気ポート103を開閉する排気弁である。
【0005】従って、工場での前記シリンダヘッド100とロッカカバー101との組付け後には、両部品100,101間における前記直立吸気ポート102の合わせ面Aのリークテストが実施される。
【0006】このリークテストは本出願人による特願平7−317681号に記載の通り、シリンダヘッド等の内部の潤滑油が吸気通路内に侵入して燃焼を阻害することを防止するためのもので、当該出願においては図6に示すように、シリンダヘッド100の直立吸気ポート102内部に軟材質からなる風船式シール110を挿入し、ロッカカバー101の上面に圧接された上面シール111との間にできる空間にエア供給管112を介してエアを供給して加圧する。そして、この空間の内部圧力を検出し、所定の設定圧力と比較することで前記合わせ面Aにおけるリーク(漏れ)を検出していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来のリークテスト法にあっては、軟材質の風船式シール110を用いることから、その取扱いが面倒でテストに時間がかかると共に、風船式シール110の当たり面(直立吸気ポート102内壁面)が鋳肌のため、シールの耐久性に問題があり、量産設備に向かないという問題点があった。このため、本願の発明者は吸気ポート102の燃焼室開口部を閉塞することを検討したが、当該開口部は形状が複雑なためシール困難であり、更に吸気弁105を組み付けた後では該吸気弁105が邪魔になって閉塞不可能となるという不都合があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、シールの耐久性を考慮することなく、迅速且つ容易に直立吸気ポート合わせ面のリークの有無を検出することができるエンジンのリークテスト方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための、本発明の請求項1に係るエンジンのリークテスト方法は、吸気ポートがシリンダヘッドと該シリンダヘッド上に接合されたカムシャフトボディとを共に貫通して燃焼室に連通するエンジンを製造するに際し、上記シリンダヘッドとカムシャフトボディとが相互接合された段階で、該吸気ポートがシリンダヘッド及びカムシャフトボディのそれぞれ外部に連通する部分を各外部からマスキングし、かつ、これらマスキング部分のうち一箇所から圧縮流体を供給すると共に、該流体の圧力変動を検出することにより、上記シリンダヘッドとカムシャフトボディとの接合面におけるリークを検出することを特徴とする。これによれば、シールの耐久性を考慮することなく、迅速且つ容易に直立吸気ポート合わせ面のリークの有無を検出することができる。また、吸,排気弁を組み込んだ状態でテスト可能なため、テスト後に再びシリンダヘッドとカムシャフトボディとを分解するといった手間を要しない利点がある。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るエンジンのリークテスト方法を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【0011】[実施例]図1は本発明に係るエンジンのリークテスト方法の一実施例を示すシステム構成図、図2及び図3は本発明に係るエンジンのリークテスト方法が適用されるエンジンのシリンダヘッド部の断面図であり、図4はシリンダヘッドの底面図、図5はカムシャフトボディの平面図である。
【0012】先ず、本発明に係るエンジンのリークテスト方法は、吸気ポートがシリンダヘッドと該シリンダヘッド上に接合されたカムシャフトボディ(一体型カムキャップとも言う)とを共に貫通して燃焼室に連通するエンジンに適用される。
【0013】即ち、図2に示すように、片バンク側3気筒からなるV型6気筒DOHCガソリンエンジン等の例えば左バンク側のシリンダヘッド1の上面には、カムシャフトボディ2が図示しない液状のガスケットを介して密に接合され、シリンダヘッド1に形成された各燃焼室3に通じる直立吸気ポート4が、1燃焼室3当たり2本宛、前記両部材1,2を上下に貫通して形成される。
【0014】そして、前記カムシャフトボディ2の上面には、吸気マニホールドの各分岐管5がシール部材6を介して接合されて前記各直立吸気ポート4とそれぞれ連通されると共に、同じくシール部材7を介して左右一対のロッカカバー8が接合される。
【0015】前記シリンダヘッド1には、各燃焼室3に通じる排気ポート9が、1燃焼室3当たり2本宛(図面では1本だけ示す)、形成されてシリンダヘッド1の側面に接合される図示しない排気マニホールドの各分岐管に連通される。
【0016】そして、前記各直立吸気ポート4は吸気弁10により、その動弁機構11を介して開閉され、また前記排気ポート9は排気弁12により、その動弁機構13を介して開閉されるようになっている。
【0017】前記カムシャフトボディ2は、前記動弁機構11,13のカムシャフト11a,13aをシリンダヘッド1上面の図示しない半円状軸受部と共働で支持すべく、ボルト14でシリンダヘッド1に締付け固定される、気筒列方向に複数列設のカムキャップ15が枠状のプレート(ビーム部材)16と鋳造により一体成形されるものである。そして、このカムシャフトボディ2は、シリンダヘッド1の一体部品として製造され且つ搬送に供される。
【0018】そして、本発明に係るエンジンのリークテストは、前記シリンダヘッド1とカムシャフトボディ2とが図2に示した動弁系部品を組み付けた状態で液状ガスケットを介して相互接合された段階で行われる。この状態でリーク確認部分である接合面Aに連通しかつ外部に連通する部分は■カムシャフトボディ2の吸気ポート上端a,■該上端aと同一面に形成された点火プラグ取付孔17の上端b,■シリンダヘッド1における燃焼室3の下面c,■排気ポート側端d,■インジェクタ取付孔18の開口部e,の5箇所である。これら■〜■はいずれも他の部品(上記■及び■は吸気マニホールド,はシリンダブロック,■は排気マニホールド,■はインジェクタ)が取り付けられる部分であるため、その面は滑らかに切削加工が施されている。尚、上記点火プラグ取付孔17の上端bには該孔17に連通する孔を有する吸気マニホールドが固定され、該孔に点火コイルが密閉固定されるようになっている。また、各バルブ10・12とその周囲のガイドパイプ19との間の隙間はごく僅かであるため、リークは殆ど生じない。
【0019】即ち、図1に示すように、搬送コンベア(図示せず)によりリークテスト装置部に運ばれてきたシリンダヘッド1及びカムシャフトボディ2は、先ず揺動可能なインジェクタ面マスキング部材20によりシリンダヘッド1の側面に開口する各インジェクタ取付孔18が閉塞される。
【0020】次に、加圧口21a付きの昇降可能な下面マスキング部材21によりシリンダヘッド1の下面に開口する各燃焼室3等が閉塞されると共に、この状態のままシリンダヘッド1及びカムシャフトボディ2は所定位置までリフトアップされる(図1の状態参照)。
【0021】次に、加圧口22a付きの昇降可能な上面マスキング部材22によりカムシャフトボディ2の上面に開口する各直立吸気ポート4や点火プラグ取付孔17等が閉塞される。
【0022】最後に、加圧口23a付きの水平移動可能な側面マスキング部材23によりシリンダヘッド1の側面に開口する各排気ポート9等が閉塞される。
【0023】これにより、直立吸気ポート4を含めこれに通じるシリンダヘッド1及びカムシャフトボディ2の空間がすべて密閉されたことになる。
【0024】尚、前記インジェクタ面マスキング部材20,下面マスキング部材21,上面マスキング部材22及び側面マスキング部材23は、リークテスト装置として一つの架台24上に適宜支持台及び支持柱を介して支持されると共に、エアシリンダ等の伸縮により適宜ガイド部材を介して前述した所要の動作をするようになっている。
【0025】上記密閉後、下面マスキング部材21,上面マスキング部材22及び側面マスキング部材23の加圧口21a,22a,23aの何れか一つを用いて、例えば図1に示すように加圧口23aを用いて、圧縮空気供給装置25からエアフローテスタであるリークテスタ26を介して前記直立吸気ポート4を含めこれに通じるシリンダヘッド1及びカムシャフトボディ2の空間に圧縮エアを供給し、所定圧力に加圧する。
【0026】所定圧力に達したら、エア供給を停止し、その後リークテスタにより設定圧力と比較等して、前記シリンダヘッド1とカムシャフトボディ2との直立吸気ポート合わせ面A(図2参照)にリークがあるかどうかを検出する。
【0027】上記各マスキング部材はいずれもエンジンとの接合面を比較的厚めのゴム等で形成してあり、従来の薄いゴム等による風船に比べ格段に耐久性が良く、またこれで平滑な切削加工面を押圧するので更に耐久性に優れ、かつシール性も良い。
【0028】また、図2に示した動弁系部品を組み付けた状態でリークテストを行えるので、リークテスト後に再びシリンダヘッドとカムシャフトボディとを分解して動弁系部品を組み付けるといった余計な手間を要しない。従って、本テスト方法はエンジンの製造順序を乱すことなく、リークテスト工程をその製造ラインの途中に容易に組み込むことができるといった利点がある。また、本方法は点火プラグやインジェクタを取り付けた状態でテストを行なうようにしても問題ない。この場合、マスキング部材20は不要であり、同部材22は点火プラグ取付孔17を閉塞する必要がない。更に、前記インジェクタ面マスキング部材20,下面マスキング部材21,上面マスキング部材22及び側面マスキング部材23の各動作も単純な動作であることから、自動化が容易である。即ち、本発明方法は、吸気ポートにおけるシリンダヘッドとカムシャフトボディとの接合面のリーク有無を確認するに際し、該接合面の前後あるいは吸気ポートそのものを直接閉塞するのではなく、吸気ポートに連通する外部への開口部をそれぞれ閉塞するようにしてテストするものである。これによれば、吸気ポートや燃焼室の形状、あるいは内部部品の有無に関わらずテスト可能であり、もちろん、吸,排気弁10,12の開閉状態にも無関係にテスト可能である。
【0029】尚、本発明は前述したように、吸気ポートがシリンダヘッドとカムシャフトボディとを共に貫通して延びる形式のエンジンに適用するものであり、従って、燃焼室にガソリンを直接噴射して点火爆発させる筒内噴射式ガソリンエンジンに採用して好適である。また、本発明におけるカムシャフトボディはその名称の如何に関わらず、内部に動弁系部品を含み、かつシリンダヘッド上に接合されシリンダヘッドと連通する吸気ポートを有するものを指し、従って従来例を示す図6におけるロッカカバーをも含む意であることは言うまでもない。
【0030】また、本発明は上記実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、各種変更が可能であることは言うまでもない。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によれば、吸気ポートがシリンダヘッドと該シリンダヘッド上に接合されたカムシャフトボディとを共に貫通して燃焼室に連通するエンジンを製造するに際し、上記シリンダヘッドとカムシャフトボディとが相互接合された段階で、該吸気ポートがシリンダヘッド及びカムシャフトボディのそれぞれ外部に連通する部分を各外部からマスキングし、かつ、これらマスキング部分のうち一箇所から圧縮流体を供給すると共に、該流体の圧力変動を検出することにより、上記シリンダヘッドとカムシャフトボディとの接合面におけるリークを検出するので、シールの耐久性を考慮することなく、迅速且つ容易にリークの有無を検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎 (外2名)
【公開番号】 特開平11−23405
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−180966