| 【発明の名称】 |
センサ出力補償回路 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 悟
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| 【要約】 |
【課題】トリミング装置を用いることなく調整を行えるセンサ出力補償回路を提供する。
【解決手段】センサ駆動部20は、センサ100を電流駆動する。作動電流発生部40は、温度に依存して変化する電流を出力する。補償電流出力部50は、複数の電流生成回路を有する。各電流生成回路は、それぞれ作動電流発生部40から出力される電流に比例する電流を生成する。各電流生成回路は、トランジスタスイッチを有する。各トランジスタスイッチは、端子Ts0、Ts1、...の入力に従ってオン/オフ制御される。端子Ts0、Ts1、...に入力する情報は、メモリに格納しておく。補償電流出力部50は、オン状態のトランジスタスイッチに対応する電流生成回路の出力を加算して感度補償電流Itsとして出力する。感度補償電流Itsをセンサ100に印加する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含むセンサの出力を補償する回路であって、上記センサを駆動する駆動手段と、温度に依存して変化する電流を出力する温度検出手段と、それぞれ上記温度検出手段から出力された電流に基づいて決まる電流を生成する複数の電流生成回路、およびそれら各電流生成回路の出力を導通/遮断する複数のスイッチを含み、導通状態となっているスイッチに対応する電流生成回路により生成される各電流の和を出力する第1の温度補償電流生成手段と、上記第1の温度補償電流生成手段に設けられた複数のスイッチの導通/遮断状態を指示する情報を格納する第1の記憶手段と、を有し、上記第1の温度補償電流生成手段の出力を用いて上記センサの駆動状態を変化させるセンサ出力補償回路。 【請求項2】 それぞれ温度検出手段から出力された電流に基づいて決まる電流を生成する複数の電流生成回路、およびそれら各電流生成回路の出力を導通/遮断する複数のスイッチを含み、導通状態となっているスイッチに対応する電流生成回路により生成される各電流の和を出力する第2の温度補償電流生成手段と、上記第2の温度補償電流生成手段に設けられた複数のスイッチの導通/遮断状態を指示する情報を格納する第2の記憶手段と、上記センサの出力にオフセットを与えるオフセット調整手段、をさらに有し、上記オフセット調整手段は、上記第2の温度補償電流生成手段の出力を用いてオフセットを変化させる請求項1に記載のセンサ出力補償回路。 【請求項3】 上記温度検出手段は、温度に依存しない電圧を出力する第1の電圧源と、温度に依存して変化する電圧を出力する温度検出回路と、互いに等しい電流を生成する第1および第2の定電流源と、上記第1の電圧源の出力電圧に基づいて上記第1の定電流源により生成される電流を出力する第1の定電流出力回路と、上記温度検出回路の出力電圧に基づいて上記第2の定電流源により生成される電流を出力する第2の定電流出力回路と、上記第1および第2の定電流出力回路の出力電位差に応じて電流を流す抵抗体と、その抵抗体を流れる電流に比例する電流を出力する出力回路とを有し、上記オフセット調整手段は、所定の電圧を出力する第2の電圧源と、増幅器とその増幅器の帰還抵抗とから構成され、上記第2の温度補償電流生成回路の出力電流を電圧に変換して上記第2の電圧源が出力する電圧に加える加算器と、を有し、上記温度検出手段に設けられる抵抗体の温度特性と上記加算器の帰還抵抗の温度特性とを同じにする請求項2に記載のセンサ出力補償回路。 【請求項4】 上記センサを当該センサ出力補償回路を形成する半導体チップと同一の半導体チップ上に形成する構成であって、上記温度検出手段は、温度に依存しない電圧を出力する第1の電圧源と、温度に依存して変化する電圧を出力する温度検出回路と、互いに等しい電流を生成する第1および第2の定電流源と、上記第1の電圧源の出力電圧に基づいて上記第1の定電流源により生成される電流を出力する第1の定電流出力回路と、上記温度検出回路の出力電圧に基づいて上記第2の定電流源により生成される電流を出力する第2の定電流出力回路と、上記第1および第2の定電流出力回路の出力電位差に応じて電流を流す抵抗体と、その抵抗体を流れる電流に比例する電流を出力する出力回路とを有し、上記温度検出手段に設けられる抵抗体の温度特性を上記センサを構成する抵抗体の温度特性と同じにする請求項1に記載のセンサ出力補償回路。 【請求項5】 上記センサを当該センサ出力補償回路を形成する半導体チップと異なる半導体チップ上に形成する構成であって、上記駆動手段は、所定の電圧を出力する第1の電圧源と、上記第1の温度補償電流生成回路の出力電流を電圧に変換して上記第1の電圧源が出力する電圧に加える加算器と、を有し、その加算器の出力を用いて上記センサを電圧駆動する請求項1に記載のセンサ出力補償回路。 【請求項6】 上記温度検出手段は、温度に依存しない電圧を出力する第2の電圧源と、温度に依存して変化する電圧を出力する温度検出回路と、互いに等しい電流を生成する第1および第2の定電流源と、上記第2の電圧源の出力電圧に基づいて上記第1の定電流源により生成される電流を出力する第1の定電流出力回路と、上記温度検出回路の出力電圧に基づいて上記第2の定電流源により生成される電流を出力する第2の定電流出力回路と、上記第1および第2の定電流出力回路の出力電位差に応じて電流を流す抵抗体と、その抵抗体を流れる電流に比例する電流を出力する出力回路とを有し、上記加算器は、増幅器およびその増幅器の帰還抵抗とから構成されており、上記温度検出手段に設けられる抵抗体の温度特性と上記加算器の帰還抵抗の温度特性とを同じにする請求項5に記載のセンサ出力補償回路。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含むセンサの出力を温度変化に対して補償する回路に係わる。 【0002】 【従来の技術】測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含むセンサは広く知られている。たとえば、このような構成の圧力センサでは、圧力の変化に応じてセンサを構成する抵抗体の抵抗値が変化し、その抵抗値の変化に従ってそのセンサの出力電流または出力電圧が変化するので、その電流変化または電圧変化を検出することにより圧力変化を測定することができる。ところが、一般に、圧力変化に対応した抵抗値の変化量には温度依存性があり、また抵抗体自身や信号処理回路の増幅回路にも温度依存性がある。したがって、センサの出力は温度特性を有しており、そのばらつきも大きいため、その特性を補償する温度補償回路が従来は設けられていた。 【0003】この温度補償回路は、たとえば、抵抗値が温度依存性を有する抵抗体を含み、その抵抗体に流れる電流に基づいて生成される電流または電圧をセンサに印加するなどしてセンサの温度依存性を補償する構成である。本願発明の出願人は、以前に、上記構成のセンサ出力補償回路に関する特許出願(特開平7−20162号)をしている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】ところが、従来のセンサ出力補償回路では、上記特許出願(特開平7−20162号)による構成も含め、測定対象の物理量とセンサ出力値とが予め設定した値になるようにその補償回路内に設けられた抵抗体をトリミングする必要があった。このトリミング工程は、測定環境を変えながら(例えば、圧力センサの場合には、圧力と温度を変化させながら)センサ出力を複数回検出し、その検出結果を参照しながらレーザ光を用いて抵抗体をトリミングするものである。従って、一般に、トリミングを行うための装置は大規模で高価な構成となっていた。 【0005】本発明の課題は、上記問題を解決するものであり、トリミング装置を用いることなく調整を行えるセンサ出力補償回路を提供することである。 【0006】 【課題を解決するための手段】図1を参照しながら本発明の手段および作用について説明する。本発明のセンサ出力補償回路は、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含むセンサ100の出力の温度依存性を補償する構成と前提とする。センサ100には一定の電流または電圧が印加されており、測定対象の物理量が変化すると、その抵抗体の抵抗値が変わり、それに伴ってセンサ100の出力電圧が変化する。従って、センサ100の出力電圧を検出することにより、上記物理量を測定できる。 【0007】駆動手段1は、センサ100を駆動する。温度検出手段2は、温度に依存して変化する電流を出力する。温度検出手段2は、たとえば、温度に依存しない電圧を出力する電圧源3、温度に依存して変化する電圧を出力する温度検出回路4、および電圧源3の出力電圧と温度検出回路4の出力電圧との差に基づく電流を生成する差分検出回路5を含む。温度補償電流生成手段6は、それぞれ温度検出手段2から出力された電流に基づいて決まる電流を生成する複数の電流生成回路7−1〜7−n、および電流生成回路7−1〜7−nの出力をそれぞれ導通/遮断する複数のスイッチ8−1〜8−nを含み、導通状態となっているスイッチに対応する電流生成回路により生成される各電流の和を出力する。記憶手段9は、温度補償電流生成手段6に設けられた複数のスイッチ8−1〜8−nの導通/遮断状態を指示する情報を格納する。そして、温度補償電流生成手段6の出力を用いてセンサ100の駆動状態を変化させる。 【0008】上記構成において、各電流生成回路7−1〜7−nは、それぞれ温度検出手段2から出力された電流に基づいて決まる電流(たとえば、温度検出手段2から出力された電流に比例する電流)を生成する。したがって、温度補償電流生成手段6は、温度に依存して変化する電流を出力する。また、温度補償電流生成手段6は、各電流生成回路7−1〜7−nが生成する電流のうち、導通状態となっているスイッチに対応する電流生成回路により生成された電流の和を出力する。したがって、温度補償電流生成手段6の出力電流の大きさは、スイッチ8−1〜8−nの導通/遮断状態により決まる。 【0009】駆動手段1の駆動動作を変化させると、測定対象の物理量とセンサ100の出力との関係が変わる。すなわち、センサ100の感度が変化する。駆動手段1の駆動動作は、温度補償電流生成手段6の出力電流を用いて制御される。したがって、スイッチ8−1〜8−nの導通/遮断状態の設定により、温度に依存して変化する温度補償電流生成手段6の出力電流を適当に調整して駆動手段1による駆動動作を制御すれば、温度に依存して変化するセンサ100の感度の温度補償を行うことができる。 【0010】スイッチ8−1〜8−nの導通/遮断状態を指示する情報は、センサ100の特性を測定しながら決定されて記憶手段9に格納される。本発明のセンサ出力補償回路は、それぞれ温度検出手段2から出力された電流に基づいて決まる電流を生成する複数の電流生成回路、およびそれら各電流生成回路の出力を導通/遮断する複数のスイッチを含み、導通状態となっているスイッチに対応する電流生成回路により生成される各電流の和を出力する温度補償電流生成手段11と、温度補償電流生成手段11に設けられた複数のスイッチの導通/遮断状態を指示する情報を格納する記憶手段12と、センサ100の出力にオフセットを与えるオフセット調整手段13とをさらに有し、オフセット調整手段13が、温度補償電流生成手段11の出力を用いてオフセットを変化させる構成であってもよい。なお、温度補償電流生成手段6および11は、互いに同じ構成なので、図1では、それらを重複させて描いている。 【0011】上記構成において、オフセットもまた温度に依存して変化するので、温度補償電流生成手段11により生成される電流を用いてオフセットの温度依存性を補償する。この作用は、センサ100の感度を補償する場合と同じである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態のセンサ出力補償回路の構成図である。ここでは、センサ100が圧力センサであるものとして説明する。また、センサ100とその出力を補償する回路とが同一半導体基板上に形成される場合を想定して説明する。 【0013】センサ100は、ブリッジ状に接続された4個の抵抗体を含み、センサ駆動部20により駆動電流が供給される。これらの抵抗体は、圧力の変化に応じてその抵抗値が変化する。センサ100は、ブリッジ状に接続された4個の抵抗体の各中点(点Cおよび点D)の各電位を出力する。 【0014】センサ駆動部20は、抵抗R4を介して駆動電流をセンサ100に供給する。この駆動電流は、温度に依存しない定電流である。また、センサ駆動部20は、センサ100の感度を調整するための電圧を出力する電圧源21、およびアンプA1を有する。アンプA1の非反転端子には電圧源21の出力が印加され、その反転端子にはセンサ100の点Aが接続されている。さらに、アンプA1の出力は、センサ100の点Bに接続されている。 【0015】温度検出部30は、温度変化を検出するための電圧を生成する電圧源31、アンプA2、および温度に依存しない定電流を供給するための抵抗R1と、温度に依存した電圧を発生するための抵抗R2とを有する。従って、抵抗R1には温度係数の小さい抵抗、抵抗R2には温度係数の大きい抵抗を用いている。アンプA2の非反転端子には電圧源31の出力が印加され、その反転端子には抵抗R1と抵抗R2との接続点(点E)が接続されている。さらに、アンプA2の出力は、抵抗R2の他端に接続され、さらに差動電流発生部40に接続されている。 【0016】差動電流発生部40は、温度検出部30のゼロ点の調整のための温度に依存しない電圧を出力する電圧源41、互いに等しい電流を生成する定電流源I1 およびI2 、互いに特性が等しいトランジスタQ1およびQ2、それぞれトランジスタQ1およびQ2に対して設けられたアンプA3およびA4、トランジスタQ1およびトランジスタQ2の各ソース端子を接続する抵抗R3、および互いに特性が等しいトランジスタQ3およびQ4を備える。アンプA3には、温度検出部30の出力が入力され、アンプA4には電圧源41の出力が入力されている。 【0017】アンプA3およびA4の出力が互いに同じ状態である場合には、トランジスタQ1、Q3を介して流れる電流と、トランジスタQ2、Q4を介して流れる電流とが互いに一致し、抵抗R3には電流が流れない。ところが、温度変化に伴って抵抗R2の抵抗値が変化し、これにより温度検出部30の出力が変化すると、トランジスタQ1、Q3を介して流れる電流とトランジスタQ2、Q4を介して流れる電流とのバランスが崩れ、その差分(電流差)が抵抗R3を介して流れる。たとえば、定電流源I1 およびI2 により生成される電流をそれぞれiとし、温度変化により抵抗R3を介してトランジスタQ1側からトランジスタQ2側に電流Δiが流れたとすると、トランジスタQ3を介して流れる電流がi−Δiとなり、トランジスタQ4を介して流れる電流がi+Δiとなる。 【0018】トランジスタQ3およびQ5は互いに同じ特性を有し、これら2つのトランジスタによりカレントミラーが構成されている。したがって、トランジスタQ5には、トランジスタQ3と同じ電流が流れる。トランジスタQ10は、トランジスタQ5と直列に接続されている。すなわち、トランジスタQ10には、トランジスタQ5と同じ電流が流れる。この結果、トランジスタQ10には、トランジスタQ3と同じ電流が流れることになる。 【0019】補償電流出力部50は、センサ100の感度の温度依存性を補償するための電流を生成する回路であり、補償電流出力部60は、センサ100の出力のオフセットの温度依存性を補償するための電流を生成する回路でる。補償電流出力部50および60の構成は、互いに同じであるので、以下では、補償電流出力部50について説明をし、補償電流出力部60についてはその説明を省略する。 【0020】補償電流出力部50は、複数の電流生成回路から構成されている。図2に示す例では2段構成である。同図において、第1段は、トランジスタQ6、Q11、Q15、Q19から構成されており、第2段は、トランジスタQ8、Q13、Q16、Q20から構成されている。第1段において、トランジスタQ6はトランジスタQ4とカレントミラーを構成し、トランジスタQ11はトランジスタQ10とカレントミラーを構成している。これらのカレントミラーの比率は、ともに1:1である。 【0021】トランジスタQ15およびQ19は、端子Ts0の入力信号に従ってオン/オフ状態が切替えられるスイッチである。端子Ts0に「L」レベルが入力されると、トランジスタQ15およびQ19はオフ状態となり、トランジスタQ6およびQ11には電流が流れない。一方、端子Ts0に「H」レベルが入力されると、トランジスタQ15およびQ19はオン状態となり、トランジスタQ6にはトランジスタQ4と同じ電流が流れ、トランジスタQ11にはトランジスタQ10と同じ電流が流れる。ここで、トランジスタQ10にはトランジスタQ3と同じ電流が流れるので、トランジスタQ11にはトランジスタQ3と同じ電流が流れることになる。したがって、たとえば、トランジスタQ3を介して流れる電流がi−Δi、トランジスタQ4を介して流れる電流がi+Δiであると、トランジスタQ11を介して流れる電流がi−Δi、トランジスタQ6を介して流れる電流がi+Δiとなる。このように、トランジスタQ11およびトランジスタQ6を介して流れる電流が異なると、その差分(2Δi)がトランジスタQ15とトランジスタQ19との接続点から出力(掃出し、または、吸込み)される。即ち、補償電流出力部50の第1段目の電流生成回路は、端子Ts0に「H」レベルが入力されると、差動電流発生部40における差動電流(抵抗R3を介して流れる電流)の2倍の大きさの電流を出力する。 【0022】補償電流出力部50の第2段において、トランジスタQ8はトランジスタQ4とカレントミラーを構成し、トランジスタQ13はトランジスタQ10とカレントミラーを構成している。これらのカレントミラーの比率は、1:2である。トランジスタQ8およびQ13は、それぞれ、たとえば、トランジスタQ6と同じトランジスタを2つ並列に接続することによって構成される。従って、上述のように、トランジスタQ3およびQ4を介して流れる電流がそれぞれi−Δiおよびi+Δiであるときに、端子Ts1に「H」レベルが入力されると、トランジスタQ13を介して流れる電流が2・(i−Δi)、トランジスタQ8を介して流れる電流が2・(i+Δi)となる。この場合、これら2つのトランジスタを流れる電流の差分(4Δi)がトランジスタQ16とトランジスタQ20との接続点から掃き出される。即ち、補償電流出力部50の第2段目の電流生成回路は、端子Ts1に「H」レベルが入力されると、差動電流発生部40における差動電流(抵抗R3を介して流れる電流)の4倍の電流を出力する。 【0023】補償電流出力部50の各段ごとに生成された電流は加算されて出力される。すなわち、上述の例の場合、端子Ts0およびTs1に「H」レベルが入力されると、補償電流出力部50は、電流6Δiを出力する。 【0024】図3は、補償電流出力部50の構成を説明する図である。本実施形態では、補償電流出力部50は、2つの電流生成部を有する。各電流生成部は、それぞれ5段の電流生成回路から構成されている。第1〜5段の電流生成回路は、差動電流発生部40に設けられているトランジスタQ3およびQ4に対してそれぞれカレントミラーの比率が1:1、1:2、1:4、1:8、1:16である1組のトランジスタを有する。また、これら2つの電流生成部は、互いに大きさが同じで且つ流れる方向が反対の電流を生成する。 【0025】各段の電流生成回路は、それぞれ、メモリ(例えば、EPROM)に格納されている情報により制御される。ここで、メモリは、図1の記憶手段9に対応し、図2においては省略されている。補償電流出力部50を制御するための情報は、6ビットである。ビットs0〜s4は、それぞれ各段に設けられている端子Ts0〜Ts4および端子Ts0' 〜Ts4' に入力される。ビットs5は、切換え回路を制御する。例えば、メモリに格納されている情報s0〜s5が、”010111”であれば、第1の電流生成部は、第1、2、3、5段の電流生成回路から出力される電流の和として「−46Δi」を出力し、第2の電流生成部は、第1、2、3、5段の電流生成回路から出力される電流の和として「+46Δi」を出力する。そして、切換え回路は、ビットs5に従って、第1または第2の電流生成部の出力の一方を選択して出力する。 【0026】このように、補償電流出力部50は、メモリに設定されている情報に従い、−63Δi〜+63Δiの範囲で、差動電流発生部40において検出された差動電流に比例する電流を出力する。上記メモリに設定される情報は、この比例関係の比例係数を決定している。ここで、差動電流発生部40において検出される差動電流は、温度に依存して変化する。即ち、補償電流出力部50は、温度に依存して変化する電流に比例する電流であって、その比例係数がメモリに設定されている情報によって決まる電流を出力する。 【0027】尚、補償電流出力部60は、補償電流出力部50と同じ構成であるが、補償電流出力部50に与えられる制御情報(メモリに格納されている6ビットの情報)と独立した6ビットの制御情報が与えられる。これら2つの6ビット情報は、同じメモリ内の異なる領域に格納される。 【0028】差動増幅器70は、アンプA5を用いてセンサ100の出力を増幅する。アンプA5の出力は、抵抗R5を介してその反転入力に帰還されている。また、アンプA5の非反転入力には、抵抗R6を介して加算器80の出力が供給される。 【0029】加算器80は、アンプA6を含む。アンプA6の非反転入力には、電圧源91の出力が供給されている。電圧源91は、オフセット電圧調整用の電圧を出力する。アンプA6の出力は、抵抗R7を介してその反転入力に接続されている。また、アンプA6の反転入力には、補償電流出力部60の出力が帰還される。 【0030】図4は、センサ出力の温度依存性を説明する図である。圧力変化に対する出力電圧の変化の割合、すなわち「感度」は、図4(a) に示すように、温度に依存して変わってしまう。感度は、グラフ上では「傾き」として表される。本実施形態では、補償電流出力部50により生成される電流を用いて、この感度の変化を補償し、温度が変化した場合であっても一定の感度を維持するようにしている。 【0031】また、センサ100の出力に加えられる「オフセット」も、図4(b) に示すように、温度に依存して変化する。本実施形態では、補償電流出力部60により生成される電流を用いて、このオフセットの変化を補償し、温度が変化した場合であっても一定のオフセットを維持するようにしている。 【0032】次に、上記構成のセンサ出力補償回路の動作を説明する。ここでは、センサ100の出力電圧が圧力変化ΔP(基準圧力からの変化量)に比例して変化し、出力電圧Vout がセンサ100に流れる電流Is およびセンサ100全体の抵抗Rに比例するものとして説明する。なお、センサ100に流れる電流Is は、センサ駆動部20から供給される電流に、補償電流出力部50から供給される電流が加算されたものである。 【0033】出力電圧Vout は、(1) 式のように表される。 【0034】 【数1】
【0035】ここで、Kは比例係数である。また、Voff は、差動増幅部70において与えられるオフセット電圧である。 感度についてまず、センサ100の感度の補償について説明する。したがって、上記(1) 式において、Voff =0とする。 【0036】センサ100の抵抗値は、上述したように、温度に依存して変化する。この温度係数をαとする。このため、出力電圧Vは、圧力変化ΔPが一定であったとしても温度に依存して変化する。この出力電圧Vの温度係数をβとする。ここで、温度T0 のときの出力電圧をVout とすると、温度T1 のときの出力電圧は(2)式のように表される。 【0037】 【数2】
【0038】なお、温度T0 において、電圧源41の出力電圧と、温度検出部30の出力電圧とが一致するように、電圧源41が予め調整されているものとする。また、差動電流発生部40において差動電流が流れる抵抗R3は、センサ100を構成する抵抗体と同じ温度特性を有するように形成する。これらの抵抗は、半導体領域上に不純物を適当に拡散させることにより形成した拡散抵抗である。本実施形態は、センサ100と補償回路とを同一半導体チップ上に形成することを前提としているので、これらの抵抗を同一の拡散工程で形成すれば、温度特性は互いに同じになる。 【0039】温度検出部30の出力電圧は、温度に比例して変化する。温度が1℃変化したときの温度検出部30の出力電圧の変化量、すなわち温度に対する出力電圧の変化率をA(V/℃)とすると、抵抗R3の温度係数とセンサ100を構成する抵抗体の温度係数とが同じであることを考慮すると、補償電流出力部50により生成される感度補償電流Itsは、(3) 式で表される。 【0040】 【数3】
【0041】ここで、γは、図3に示したメモリに設定する情報により調整可能な比例係数である。センサ100を流れる電流Is は、センサ駆動部20から供給される電流Isoに、補償電流出力部50から供給される感度補償電流Itsが加算されたものである。したがって、(4) 式が得られる。 Is =Iso+Its (4)上記(2) 式、および(4) 式より、下記(5) 式が得られる。 【0042】 【数4】
【0043】(5) 式において温度に依存する項に着目すると、下記(6) 式が得られ、さらにその(6) 式から(7) 式が得られる。 【0044】 【数5】
【0045】(7) 式において、βは、出力電圧Vout の温度係数であり、γは、図3に示したメモリに設定する情報により調整可能な比例係数である。すなわち、出力電圧Vout の温度係数は、図3に示したメモリに設定する情報を用いて調整することができ、その値を適当に設定することにより、出力電圧Vout の温度係数を0にすることができる。 【0046】温度検出部30において、抵抗R1の抵抗値は、基本的に温度に依存しないので、その温度係数α1を0とし、抵抗R2の抵抗値の温度係数α2を単にαとする。また、電圧源31の出力電圧をVcref、電源電圧をVcc、温度検出部30の出力電圧をVT とすると、(8) 式が得られる。 【0047】 【数6】
【0048】ここで、予め温度T0 において、電圧源41の出力電圧が温度検出部30の出力電圧VT と一致するように調整されている。即ち、温度T0 においては、トランジスタQ1のおよびトランジスタQ2の各制御端子に印加される電圧が互いに一致している。この場合、抵抗R3には電流は流れない。 【0049】温度T1 になると、(8) 式に示したように、温度検出部30の出力電圧VT が変化する。一方、電圧源41の出力電圧は、温度に依存しない。したがって、温度がT0 からT1 に変化すると、電圧源41の出力電圧と温度検出部30の出力電圧VT との差分である差動入力電圧ΔVT は、温度検出部30の出力電圧VTの変化量となる。差動入力電圧ΔVT を(9) 式に示す。また、(9) 式より、差動入力電圧の変化率Aは、(10)式のように表される。 【0050】 【数7】
【0051】(9) 及び(10)式に示すように、差動入力電圧ΔVT は、温度変化量に比例し、その変化率Aは定数となる。そして、(6) 、(7) 式より、センサ100の出力電圧は、温度変化量に比例することになる。換言すれば、センサ100の出力電圧は、センサ100の入力電圧に比例することになり、感度補償電流Itsによって生じるセンサ100の入力電圧の変化量ΔVtsは、温度に比例することから、感度補償電流Itsによって生じる分のセンサ100の出力電圧も温度に比例することになる。 【0052】本実施形態では、センサ100を構成する抵抗体の温度特性および差動電流発生部40において差動電流を流す抵抗R3が互いに同じ温度特性を有するように構成したので、感度補償電流Itsが大きい場合であってもセンサ100の感度の温度依存性を補償できる。 オフセットについてオフセット電圧Voff を補償するためのオフセット補償電流Itzは、補償電流出力部60により生成される。オフセット補償電流Itzは、温度検出部30の出力の温度変化に対する比例係数をεとすると、下記(11)式により表される。 【0053】 【数8】
【0054】ここで、比例係数εは、補償電流出力部60の各段の電流生成回路のオン/オフ状態を指示する情報(図3のメモリに格納される情報に相当する)により調整可能である。 【0055】加算器80において使用される抵抗R7は、抵抗R3と同じ温度特性のものを用いる。この場合、オフセット補償電流Itzにより発生するオフセット電圧Vtzは、(12)式で表される。 【0056】 【数9】
【0057】(11)式において、εは、上述したように、メモリに設定する情報により調整可能な比例係数である。すなわち、オフセット電圧Voff は、メモリに設定する情報を用いて調整することができ、その値を適当に設定することにより、オフセット電圧Voff が温度に依存することなく一定になるようにすることができる。 【0058】次に、補償電流出力部50および60の調整方法を説明する。ここでは、センサの感度が規格通りであり、且つ所定の圧力が与えられたときに予め決められた所定の電圧を出力するように調整するものとする。また、ここでは、本発明を理解しやすくするために、調整方法を簡略化して説明する。 【0059】まず、温度T0 において、補償電流出力部50および60に制御データとして「オール0」を入力した後、センサ100の感度が規格の値になるように電圧源21の出力電圧を調整し、また、圧力P2 を印加した際の出力電圧Vout が規格の値になるように電圧源91の出力電圧を調整する。尚、制御データが「0」の場合は、対応する端子(Ts0、Ts1、...Tz0、Tz1、...)に「L」レベルが入力され、その段の電流生成回路には電流が流れない状態となるものとしている。 【0060】次に、補償電流出力部50および60に制御データとして「オール1」を設定する。制御データが「オール1」の場合は、対応する端子(Ts0、Ts1、...Tz0、Tz1、...)に「H」レベルが入力され、その段の電流生成回路に電流が流れている状態となる。この状態において、圧力P2 を印加した際の出力電圧Vout が、上記電圧源91を用いて調整した電圧値となるように、電圧源41の出力電圧を調整する。このとき、補償電流は0であり、電圧源41の出力電圧と温度検出部の出力電圧VT とは一致している。 【0061】続いて、温度T1 において以下の手順を行う。ここでは、最初、補償電流出力部60に入力する制御データを「オール0」に設定しておく。図5を参照しながら説明する。 (a) 圧力P1 において、補償電流出力部50に対する制御データをK1 として出力電圧■、および補償電流出力部50に対する制御データをK2 として出力電圧■を測定する。 (b) 圧力P2 において、補償電流出力部50に対する制御データをK1 として出力電圧■、および補償電流出力部50に対する制御データをK2 として出力電圧■を測定する。 (c) 出力電圧■と出力電圧■とを結ぶ直線と、出力電圧■と出力電圧■とを結ぶ直線との交点を求める。この交点を0点とする。そして、上記0点と圧力=P2 上の所定の点とを結ぶ直線の傾きが規格感度に対応する値になるような圧力=P2 上の点(出力電圧■)を算出する。 (d) 圧力P2 において出力電圧が点■に一致するように補償電流出力部50に対する制御データを調整する。 (e) 圧力P2 において、出力電圧が予め決められている規格値■に一致するように補償電流出力部60に対する制御データを調整する。 (f) 上記(d) および(e) で得た各制御データをメモリに書き込む。 【0062】上述のようにして制御データが決定されてメモリに書き込まれると、以降、そのデータは保持される。これらの制御データは、温度に依存して変化する差動電流をその差動電流に比例する電流に変換する際の比例係数に相当する。したがって、この操作は、実質的に、差動電流を流す抵抗R3および加算器80に用いられている抵抗R7をトリミングする工程に対応する。 【0063】このように、本実施形態では、レーザトリミングを行うことなくセンサ出力の温度依存性を補償するための調整を行うことができる。したがって、調整工程が簡易化される。 【0064】本発明の他の実施形態について説明する。図6は、他の実施形態のセンサ出力補償回路の構成図である。図6に示す補償回路は、センサ100とは異なる半導体チップ上に形成される構成を想定する。 【0065】図6に示す補償回路は、基本的には、図2に示した補償回路と同じ構成であるが、センサ駆動部の構成が異なる。すなわち、図2に示した補償回路のセンサ駆動部20は、センサ100を電流駆動していたが、図6に示す補償回路のセンサ駆動部110は、センサ100を電圧駆動する。すなわち、センサ駆動部110は、センサ100の感度を調整するための電圧を出力する電圧源111、およびアンプA11を有する。アンプA11の非反転端子には電圧源111の出力が印加され、その反転端子には、補償電流出力部50から出力される感度補償電流Itsが入力される。また、アンプA11の出力は、抵抗R11を介してその反転端子に帰還される。このように、アンプA11および抵抗R11により加算器が構成されている。そして、アンプA11の出力がセンサに印加される。 【0066】図6に示すセンサ出力補償回路の動作を説明する。この動作は、図2に示したセンサ出力補償回路の動作と共通点が多いので、重複する部分は省略する。センサ100は、圧力変化量ΔPおよび駆動電圧に比例した電圧を出力するものとする。この場合、出力電圧Vout は、センサ駆動部110の出力電圧をVsとすると、(21)式のように表される。 【0067】 【数10】
【0068】まず、感度について考察するため、上記(21)式においてVoff =0とする。上述したように、センサの出力は温度に依存して変化する。この出力電圧Vout の温度係数をβとする。ここで、温度T0 のときの出力電圧をVout とすると、温度T1 のときの出力電圧は、(22)式のように表される。 【0069】 【数11】
【0070】なお、温度T0 において、電圧源41の出力電圧と、温度検出部30の出力電圧とが一致するように、電圧源41が予め調整されているものとする。また、差動電流発生部40において差動電流が流れる抵抗R3、およびセンサ駆動部110に設けられる抵抗11は、互いに同じ温度特性を有するように形成されているものとする。抵抗R3およびR11の温度係数をαとする。 【0071】温度検出部30の出力電圧は、温度に比例して変化する。温度が1℃変化したときの温度検出部30の出力電圧の変化量をΔVT (V/℃)とすると、補償電流出力部50により生成される感度補償電流Itsは、(23)式で表される。なお、γは、調整可能な比例係数である。 【0072】 【数12】
【0073】また、この感度補償電流Itsにより発生するセンサ100への印加電圧は、下記(24)式により表される。 【0074】 【数13】
【0075】このように、感度補償電流Itsにより発生するセンサ100への印加電圧は、温度変化量に比例する。また、センサ100に印加される電圧は、(25)式に示すように、温度に依存しない電圧と、温度に依存する電圧(感度補償電流Itsにより発生する電圧)とを合わせたものである。 Vs =VSO+Vts (25)上記(22)式、および(25)式より、下記(26)式が得られる。 【0076】 【数14】
【0077】(26)式において温度に依存する項に着目すると、下記(27)式が得られる。 【0078】 【数15】
【0079】(27)式において、βは、出力電圧Vout の温度係数であり、γは、調整可能な比例係数である。すなわち、γを適当に設定することにより、出力電圧Vout の温度係数をなくすことができる。 【0080】なお、上記構成では、差動電流を流す抵抗R3および感度補償電流を電圧に変換して電圧源111の出力電圧に加算する加算器の抵抗R11が互いに同じ温度特性を有するように構成したので、感度補償電流Itsが大きい場合であってもセンサ100の感度の温度依存性を補償できる。 【0081】図6に示すセンサ出力補償回路において、オフセットを補償する構成および作用については、図2に示して回路と同じなので、説明を省略する。上記他の実施形態によれば、センサとそのセンサの出力を補償する回路とが互いに異なるチップ上に形成される場合であっても、センサの温度依存性を補償できる。 【0082】なお、上記実施例では、圧力センサを採り上げて説明したが、本発明は、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含むセンサの出力を補償する回路に広く適用可能である。 【0083】 【発明の効果】本発明によれば、測定対象の物理量の変化に応じて抵抗値が変化する抵抗体を含むセンサの出力を補償する回路において、温度補償回路を調整するための情報メモリに格納し、その格納した情報を使って温度補償動作を行う構成を導入したので、温度補償回路の調整の際のレーザトリミング工程が不要となる。このため調整作業が簡単になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003218 【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)10月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】大菅 義之
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| 【公開番号】 |
特開平11−108786 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)4月23日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−271169 |
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