| 【発明の名称】 |
金属材料の残留応力測定方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】戸塚 信夫
【氏名】酒井 俊治
【氏名】中島 宣雄
【氏名】光田 弘道
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| 【要約】 |
【課題】金属材料の残留応力の測定において、パイプ内部のような狭い部位においても、洗浄や研磨等の前処理を施すこともなく簡便に測定を行わしめる。
【解決手段】多角錘状に形成した複数の圧子1を、角錘の頂部を先端として所定間隔をおいてマーカーのヘッド部2に固定し、このマーカーのヘッド部2を金属の表面に押し当てて上記圧子1により刻印を施し、のちこの刻印を施した金属を周囲から切り離して応力開放し、この応力開放した状態で測定した刻印間の距離と上記圧子の先端間の距離とを比較することにより上記金属の残留応力を測定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 多角錘状に形成した複数の圧子を、角錘の頂部を先端として所定間隔をおいてマーカーのヘッド部に固定し、このマーカーのヘッド部を金属の表面に押し当てて上記圧子により刻印を施し、のちこの刻印を施した金属を周囲から切り離して応力開放し、この応力開放した状態で測定した刻印間の距離と上記圧子の先端間の距離とを比較することにより上記金属の残留応力を測定することを特徴とする金属材料の残留応力測定方法。 【請求項2】 上記圧子がダイヤモンド、サファイヤ、または超硬金属の何れか1つからなり、かつこの圧子がなす多角錘の形状が、頂部が底面の中心上にある多角錘である請求項1記載の金属材料の残留応力測定方法。 【請求項3】 圧子の先端同士を結ぶ線が直線をなすように、これら複数の圧子を配設した請求項1または2記載の金属材料の残留応力測定方法。 【請求項4】 上記圧子の先端同士を結ぶ線が多角形をなすように、これら複数の圧子を配設した請求項1または2記載の金属材料の残留応力測定方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主として各種プラントの構成部材である金属材料の健全性あるいは寿命評価の手段の1つである金属材料の残留応力測定方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の残留応力測定技術としては、抵抗線歪みゲージ(以下歪みゲージと略す)を測定対象物表面に接着剤で貼り付けた後、該歪みゲージ周辺を穿孔あるいは切断して該歪みゲージ部の残留応力を開放することにより測定する方法や、X線を利用し、X線源から測定対象個所にX線を照射し、測定対象個所で回折してX線検出機で検出した回折X線を解析することにより格子歪みを測定する方法が最も汎用的に使用されている方法である。 【0003】しかしながらこれら従来法では、以下に述べるような欠点があった。すなわち、歪みゲージによる方法では、歪みゲージを張りつけるために対象物表面を清浄にしたり、歪みゲージを張りつける作業が必要になるため、これらの作業が困難な長いパイプの内面や隙間部分のような狭隘部の測定が困難であるという問題がある。また、この歪みゲージを張りつけた後に応力除去作業を行うことから、応力測定を行うまでの間に上記歪みゲージやリード線を傷つけて測定できなくなってしまう危険性がある。 【0004】一方、X線による方法では、X線発生源及びX線検出機を対象物の直近に配置しなくてはならないため、歪みゲージによる方法よりもさらに広い作業空間が必要になり、かつ測定用機材も大きなものとなることから、持ち運びにも不便であるという欠点がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術の欠点を克服し、測定用機材の持ち運びも簡単で且つ狭隘部でも測定可能な簡便な残留応力の測定方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本願発明者等は、表面を特に清浄にしなくても残留応力を測定できる方法として測定対象物の表面に正確に一定距離を刻印し、かつその距離を正確に測定することによって上記従来技術の欠点が克服可能であることを発見し、この発明に至ったものである。 【0007】すなわち、本発明の金属材料の残留応力測定方法は、多角錘状に形成した複数の圧子を、角錘の頂部を先端として所定間隔をおいてマーカーのヘッド部に固定し、このマーカーのヘッド部を金属の表面に押し当てて上記圧子により刻印を施し、のちこの刻印を施した金属を周囲から切り離して応力開放し、この応力開放した状態で測定した刻印間の距離と上記圧子の先端間の距離とを比較することにより上記金属の残留応力を測定することを特徴とする。 【0008】また、上記本発明の測定方法において、上記圧子をダイヤモンド、サファイヤ、または超硬金属の何れか1つにより構成し、かつこの圧子がなす多角錘の形状を、頂部が底面の中心上にある多角錘とすることも好適である。さらに、上記圧子の先端同士を結ぶ線が、直線または多角形をなすように、これら複数の圧子を配設することも好適である。 【0009】 【作用】上記本発明の測定方法に使用するマーカーは、多角錘状の圧子を採用していることから、例えば頂点が磨耗したとしても角錘の稜線(母線)をたどることによって頂点の位置を決定することが可能である。 【0010】すなわち、上記本発明においては、残留応力測定対象金属の表面に常に正確に2点間距離を刻印することが可能であり、この刻印間距離を応力開放の後に測定用顕微鏡等を用いて精密に測定すると共に、この測定値を上記マーカーの圧子先端間の距離と比較することにより、特に洗浄や研磨等の前処理を必要とすることなく、また狭いパイプの内部等の部位でも金属材料の残留応力を簡便に測定することが可能である。 【0011】 【発明の実施の形態】以下さらに添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。 【0012】図1〜図5は夫々本発明実施形態のマーカーのヘッド部を示す正面図及び側面図、図6、図7は同マーカーの圧子を示す正面図及び側面図である。 【0013】本発明の測定方法に使用するマーカーは、例えば図6、図7に示すように底面aの中心bの真上に頂部cがあるような正三角錘や四角錘の複数の圧子1を備えている。これら圧子1はダイヤモンド、サファイヤや、超硬金属等の高硬度のものからなり、上記マーカーは、これら複数の圧子1を、角錘の頂部cを先端として、かつ決められた間隔をもってヘッド部2に固定している。 【0014】このヘッド部2への圧子1の固定は、圧子1の先端c同士を結ぶ線が図1のような直線状、図2に示すような直角二等辺三角形状、図3に示すような正三角形状、図4に示すような正方形状、あるいは図5に示すような長方形状等を採用しうる。圧子1は何れも強力な接着剤によりヘッド部に固定されている。 【0015】本発明の残留応力の測定方法は、かかるマーカーのヘッド部2を金属表面に押し当てて上記圧子1により刻印を施し、その後、この刻印を施した金属を周囲から切り離して応力開放し、この応力開放した状態で測定した刻印間の距離と上記圧子1の先端間の距離とを比較する。 【0016】(実験例1)本発明の残留応力測定方法の精度を検証するため、下記表1に示す各種形状、材質の圧子を有する2点マーカー(図1参照)を用いて以下の検証を行った。なお、歪み量から応力を計算するには、試験を単軸引張りと考えて下記の数式1を用いた。また、ヤング率は、21000kg/mm2 として計算した。 【0017】 【数1】σ=E・εσ:応力 E:ヤング率 ε:歪み量以下余白【0018】 【表1】
以下余白【0019】すなわち図8に示す形状の高張力鋼(YS;78.3Kg/mm2 )製の引張り試験片Sの片面に歪みゲージ(ゲージ長5mm、120Ω、1軸)を貼り付け、ごの試験片Sを引き張り試験機にセットし、引っ張り応力がある値になった時点で2点マーカーで刻印し、同時に歪みゲージの値を測定したあと除荷した。そして、刻印間距離を測定用顕微鏡で測定すると共に、マーカーの圧子先端間の距離と比較することにより、歪み量を測定し、歪みゲージの値および試験機の値と比較した。その結果を前記表1に示すが、いずれの圧子での測定でも歪みゲージと同等以上の精度が得られた。なお、ここで実績荷重が試験機の値で真値であり、この値に近いほど精度の高い測定値と言える。 【0020】(実験例2)次に、図2〜図5に示したような3点または4点マーカーヘッド部2を用い、例えばこのヘッド部2を図9に示す如きマーキングジグに組み入れることにより、狭いパイプP内部にも刻印することが可能である。図において、2は図示左右に移動するマーカーヘッド部、3はこのマーカーヘッド部2の反力を受ける反力受け、4は駆動伝達軸、5はクランプ、6はモータを夫々示している。 【0021】このようなジグを用いればマーカーのヘッド部2が入る隙間があれば刻印することが可能であり、内径50mm、外径70mm、長さ2mのステンレス鋼製パイプの片端から反対側の端の内面に刻印することができた。 【0022】また、同じパイプPの片端部に歪みゲージ(ゲージ長1mm、120Ω、2軸)を図10(A)(B)に示す位置にはりつけた後、端部50mmを圧縮試験機で圧縮し、一定荷重に達した時点でパイプPの反対側から刻印部を切出し、パイプ軸方向と周方向の2点間距離を夫々測定して歪みゲージと比較した。その結果を表2に示す。なお、表2中、−は圧縮力を示す。ただしマーカーは3点マーカーと4点マーカー計4種類を使用したが、圧子は四角錘のダイヤモンドのみとした。これからも明らかなように、本発明による測定は、歪みゲージによる方法と同等以上の精度が得られたことがわかる。 【0023】なお、歪み量から応力を計算するには、下記の数式1を用いた。また、ヤング率は、18000kg/mm2 として計算した。 【0024】 【数1】 x方向応力 σX =E・(1−γ2 )・(εx +εy ・γ) y方向応力 σy =E・(1−γ2 )・(εy +εx ・γ) σx :x方向応力 E:ヤング率 εx :x方向歪み量 σy :y方向応力 γ:ポアソン比 εy :y方向歪み量以下余白【0025】 【表2】
【0026】 【発明の効果】以上説明したように、本発明の金属材料の残留応力測定方法は、多角錘状に形成した複数の圧子を、角錘の頂部を先端として所定間隔をおいてマーカーのヘッド部に固定し、このマーカーのヘッド部を金属の表面に押し当てて上記圧子により刻印を施し、のちこの刻印を施した金属を周囲から切り離して応力開放し、この応力開放した状態で測定した刻印間の距離と上記圧子の先端間の距離とを比較することにより上記金属の残留応力を測定するものであり、上記角錘状の圧子によって残留応力測定対象金属の表面に常に正確に2点間距離を刻印することが可能であり、この刻印間距離を上記応力開放の後に精密に測定すると共に、この測定値を上記マーカーの圧子先端間の距離と比較することにより、特に洗浄や研磨等の前処理を必要とすることなく、しかも従来は測定が困難であったパイプ内部等の狭隘部においても残留応力を簡便に測定しうるとの顕著な効果を奏するものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595035131 【氏名又は名称】株式会社原子力安全システム研究所
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月1日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】宮本 泰一
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| 【公開番号】 |
特開平11−23383 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−191872 |
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