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【発明の名称】 赤外線センサ
【発明者】 【氏名】伊 藤 聡

【氏名】若 宮 勇

【要約】 【課題】簡単に製造することができ、外乱ノイズの影響が小さく、高インピーダンス系の安定化を図ることができ、誤動作の少ない赤外線センサを得る。

【解決手段】赤外線センサ10は、絶縁材料で形成されたステム12を含む。ステムの貫通孔にリード端子22a〜22cを挿通し、かしめることによってステム12に固定する。リード端子22a〜22cは、ステム12の一方面上に形成された変換回路に接続し、1つのリード端子22cはグランド電極20にも接続する。ステム12の一方面上に焦電素子36を配置し、焦電素子36を変換回路に接続する。金属製のキャップ48で焦電素子36および変換回路を覆い、導電性樹脂接着剤52でステム12に封止接着する。キャップ48に、赤外線を入射させるための光学フィルタ50を取り付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステム、前記ステムの一方側に配置される焦電素子、前記焦電素子に生じる電荷を信号に変換するための変換回路、および前記ステムの他方側に延びるように形成され、前記変換回路に電気的に接続される複数のリード端子を含み、前記リード端子はかしめることにより前記ステムに固定される、赤外線センサ。
【請求項2】 前記ステムは絶縁材料で形成され、前記ステムの一方面上に前記変換回路が形成された、請求項1に記載の赤外線センサ。
【請求項3】 前記ステムは単層あるいは多層に形成され、前記ステムの少なくとも片面に電磁シールドのためのグランド電極が形成された、請求項1または請求項2に記載の赤外線センサ。
【請求項4】 前記ステムの一方側に被せられる導電材料で形成されたケースを含み、前記ケースと前記ステムとは導電性樹脂接着剤によって封止接着された、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の赤外線センサ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は赤外線センサに関し、特にたとえば、防犯装置などに組み込まれて人間などを検知するために用いられる赤外線センサに関する。
【0002】
【従来の技術】図14は従来の赤外線センサの一例を示す斜視図であり、図15はその分解斜視図である。赤外線センサ1は、金属製のステム2を含む。ステム2には、アイレットとよばれる段差部2aが形成される。さらに、ステム2には貫通孔が形成され、貫通孔には3つのリード端子3a,3b,3cが挿通される。2つのリード端子3a,3bは、ステム2と熱膨張係数のほぼ等しい絶縁ガラス4で封止され、リード端子3a,3bが固定されるとともにステム2と電気的に絶縁される。また、アース用のリード端子3cは、半田付けや圧入などによって、ステム2と電気的に接続されるように固定される。
【0003】ステム2の段差部2aの上には、回路基板5が配置される。回路基板5は、絶縁材料で形成され、電界効果型トランジスタ(FET)6などによって後述の焦電素子に発生する電荷を信号に変換するための変換回路が形成される。この変換回路は、ステム2の段差部2a上に突出したリード端子3a,3b,3cに接続される。さらに、回路基板5の上には、支持台7を介して、焦電素子8が配置される。この焦電素子8が、回路基板5に形成された変換回路に接続される。そして、焦電素子8を覆うようにして、金属製のキャップ9が被せられる。キャップ9には窓が形成され、この窓には光学フィルタ9aが取り付けられる。この光学フィルタ9aを通して、外部の赤外線が焦電素子8に伝達される。キャップ9は、電気溶接によってステム2に固着される。これらのステム2およびキャップ9によって、電磁シールドが施され、外部からのノイズによる変換回路への影響が防止される。
【0004】この赤外線センサ1では、キャップ9の窓部から入力された赤外線によって、焦電素子8に電荷が発生し、この電荷が変換回路によって信号に変換される。したがって、赤外線センサ1の出力信号を測定することにより、人間などの動きを感知することができる。この赤外線センサ1では、焦電素子8の焦電効果を熱的、電磁気的に有効に利用するため、高インピーダンス変換系の安定化を図るために、ステム2とキャップ9とで密閉性を保つとともに、電磁シールドによって外乱ノイズによる影響を抑えている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような赤外線センサに用いられるステムは、製法上、精度を要する工法で作製されるため、高価であった。また、ステムの内側に突き出しているリード端子が、周波数の高い外部からのノイズの影響でインダクタンス分となり、ノイズが高インピーダンス系に電圧として誘起され、赤外線センサとして誤動作の原因となる。
【0006】それゆえに、この発明の主たる目的は、簡単に製造することができ、外乱ノイズの影響が小さく、高インピーダンス系の安定化を図ることができ、誤動作の少ない赤外線センサを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、ステムと、ステムの一方側に配置される焦電素子と、焦電素子に生じる電荷を信号に変換するための変換回路と、ステムの他方側に延びるように形成され、変換回路に電気的に接続される複数のリード端子とを含み、リード端子はかしめることによりステムに固定される、赤外線センサである。この赤外線センサにおいて、ステムは絶縁材料で形成され、ステムの一方面上に変換回路が形成される。また、ステムは単層あるいは多層に形成され、ステムの少なくとも片面に電磁シールドのためのグランド電極が形成される。さらに、ステムの一方側に被せられる導電材料で形成されたケースを含み、ケースとステムとは導電性樹脂接着剤によって封止接着される。
【0008】リード端子をかしめることによって、リード端子がステムに固定されるとともに、ステムに形成されたリード端子挿通用の孔が封止される。また、リード端子をかしめることにより、ステムの一方側においては、リード端子が延びるように形成されず、外乱ノイズによってステムの内側のリード端子に電圧が発生しにくくなる。ステムを絶縁材料で形成し、その一方面上に変換回路を形成することにより、別部材としての回路基板が不要となり、赤外線センサの小型化を図ることができる。また、ステムにグランド電極を形成することにより、電磁シールド効果を得ることができ、外乱ノイズの影響を小さくすることができる。なお、グランド電極は、ステムの片面または両面に形成することができ、ステムを多層に形成する場合には、ステムの1つの層または複数の層にグランド電極を形成することができる。さらに、ステムの一方側にケースを被せることにより、導電性樹脂接着剤でケースとステムとが封止され、しかも、かしめられたリード端子によりステムが封止されるため、焦電素子および変換回路の密閉を確実なものにすることができる。そして、キャップを導電材料で形成することにより、ステムに形成されたグランド電極とともに、優れた電磁シールド効果を得ることができる。
【0009】この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0010】
【発明の実施の形態】図1はこの発明の赤外線センサの一例を示す斜視図である。赤外線センサ10は、たとえば四角形状のステム12を含む。ステム12は、たとえば絶縁性セラミックやガラスエポキシ樹脂などの絶縁材料で形成される。ステム12には、図2および図3に示すように、3つの貫通孔14a,14b,14cが形成される。さらに、ステム12の一方面上には、後述の焦電素子に発生する電荷を信号に変換するための変換回路16が形成される。変換回路16を形成するために、ステム12の一方面上に、複数の電極18a,18b,18c,18dが形成される。
【0011】電極18aは、ステム12の一方面上において、ステム12の外周部に沿って周回するように形成され、貫通孔14c部分に延びるように形成される。さらに、電極18aは、貫通孔14c部分から2つの方向に延びるように形成される。また、電極18aは、貫通孔14a,14b間において、ステム12の中央部に向かって突出するように形成される。電極18b,18c,18dは、ステム12の中央部において、互いに近接するように形成される。そして、電極18bは、貫通孔14a部分に延びるように形成され、さらに電極18aの突出部に対向する位置まで延びるように形成される。また、電極18cは、貫通孔14b部分に延びるように形成され、さらに電極18aの突出部に対向する位置まで延びるように形成される。また、電極18dは、貫通孔14c部分から延びた電極18aに対向する位置まで延びるように形成される。さらに、ステム12の他方面上には、貫通孔14a,14bの周囲を除いて、全面にグランド電極20が形成される。なお、電極孔14cの内面には電極が形成され、ステム12の一方面側の電極18aと他方面側のグランド電極20とが接続される。
【0012】貫通孔14a,14b,14cには、それぞれリード端子22a,22b,22cが挿通される。リード端子22a,22b,22cは、ステム12の両面において、かしめることによって固定される。この場合、たとえばリード端子22aについて説明すると、図4に示すように、リード端子22aが貫通孔14aに挿通される。このとき、ステム12の他方面側において、リード端子22aがチャック金型24によって保持される。次に、図5に示すように、ステム12の一方面側において、パンチ金型26によってリード端子22aの先端部が潰される。さらに、図6に示すように、ステム12の他方面側において、リード端子22aは、ステム12の他方面から間隔を隔てた位置でチャック金型24に保持される。そして、図6に示すように、パンチ金型24で潰されたリード端子22aの先端部を押さえた状態で、チャック金型24をステム12側に押すことにより、ステム12の他方面側においてリード端子22aが潰される。このようにして、リード端子22aはステム12の両面側で潰され、リード端子22aがステム12に固定されるとともに、貫通孔14aが封止される。
【0013】他のリード端子22b,22cについても、同様にして、貫通孔14b,14cに固定される。貫通孔14a,14bは、それぞれ電極18b,18c形成部分にあるため、リード端子22a,22bは、電極18b,18cに電気的に接続される。また、貫通孔14cは電極18a形成部分にあるため、リード端子22cは、電極18aに電気的に接続される。このとき、電極18aとグランド電極20とが接続されているため、リード端子22cはグランド電極20にも接続される。
【0014】ステム12の一方面側の中央部には、電界効果型トランジスタ(FET)28が取り付けられる。FET28のドレインおよびソースは、それぞれ電極18b,18cに接続され、ゲートは電極18dに接続される。さらに、貫通孔14cの近傍において、電極18aと電極18dとの間には、リーク抵抗30が接続される。また、貫通孔14a,14bの間において、電極18a,18b間および電極18a,18c間には、それぞれバイパスコンデンサ32a,32bが接続される。さらに、貫通孔14cから延びる電極18aには導電材料で形成された接続部材34aが形成され、電極18dの中間部には導電材料で形成された接続部材34bが形成される。これらの接続部材34a,34b間に、焦電素子36が取り付けられる。
【0015】焦電素子36は、図8に示すように、板状の焦電体38を含む。焦電体38は、たとえば、チタン酸ジルコン酸鉛などの材料で形成される。焦電体38の一方面上には、互いに間隔を隔てて、電極40a,40bが形成される。これらの電極40a,40bは、細い電極42によって接続される。さらに、焦電体38の他方面上には、電極40a,40bに対向する位置に、電極44a,44bが形成される。そして、焦電体38の他方面上の電極44a,44bが、導電性樹脂接着剤46によって、接続部材34a,34bに接着される。したがって、焦電素子36が接続部材34a,34bに固定されるとともに、電極44a,44bは接続部材34a,34bに電気的に接続される。
【0016】さらに、ステム12の一方面側には、変換回路16および焦電素子36を覆うようにして、キャップ48が被せられる。キャップ48は、金属などの導電材料で形成される。キャップ48の中央部には貫通孔が形成され、この貫通孔部分に光学フィルタ50が取り付けられる。光学フィルタ50は、外部からの赤外線を透過し、焦電素子36に伝達するためのものである。このキャップ48が、導電性樹脂接着剤52によって、ステム12の電極18aに接着される。この導電性樹脂接着剤52によって、キャップ48がステム12に固定されるとともに、キャップ48が電極18aおよびグランド電極20に電気的に接続される。
【0017】この赤外線センサ10は、図9に示すような回路を有する。つまり、焦電素子36は、電極44a,44bからみて、互いに逆向きに分極された焦電体が直列に接続されたデュアル型の焦電素子となる。そして、焦電素子36の電極44a,44bの間にはリーク抵抗30が接続されるとともに、電極44aはリード端子22cに接続され、電極44bはFET28のゲートに接続される。また、FET28のドレインおよびソースは、それぞれリード端子22a,22bに接続される。さらに、FET28のドレインおよびソースとリード端子22cとの間には、バイパスコンデンサ32a,32bが接続される。
【0018】この赤外線センサ10では、光学フィルタ50から赤外線が入射されると、焦電素子36に電荷が発生する。この電荷がリーク抵抗30によって電圧に変換され、この電圧がFET28のゲートに入力される。FET28のドレインにはリード端子22aを介して電源が接続され、ゲートに入力された電圧に対応した信号が、ソースから出力される。したがって、リード端子22bからの出力信号を測定することにより、赤外線センサ10に入力された赤外線の変化を検出することができる。
【0019】この赤外線センサ10では、リード端子22a,22b,22cは、ステム12の両面でかしめることによって固定され、かつステム12の貫通孔14a,14b,14cが封止されている。そのため、従来の赤外線センサのように、リード端子を封止ガラスで固定,封止をする場合に比べて、リード端子22a,22b,22cの取り付けを簡単に行うことができる。また、リード端子22a,22b,22cは、かしめることによってステム12に取り付けられているため、ステム12の一方面側においては、リード端子22a,22b,22cが長く延びていない。そのため、従来の赤外線センサのように、外乱ノイズによって、内部におけるリード端子部分にインダクタンスが発生しにくくなっており、リード端子22a,22b,22cに発生するインダクタンスによって赤外線センサ10に与えられる影響が少ない。そのため、赤外線センサ10の誤動作を防止することができる。
【0020】また、リード端子22a,22b,22cをかしめることによりステム12の貫通孔14a,14b,14cが封止され、かつステム12とキャップ48とが導電性樹脂接着剤52で封止されているため、焦電素子36と変換回路16とは密閉された状態となる。しかも、キャップ48は導電材料で形成され、導電性樹脂接着剤52によってステム12の一方面の外周部に沿って形成された電極18aに接続されており、さらに電極18aとグランド電極20とが接続されているため、電磁シールド効果を得ることができる。したがって、外乱ノイズの影響を抑えることができる。
【0021】また、ステム12が絶縁材料で形成され、その一方面上に変換回路16が形成されているため、従来の赤外線センサのように、変換回路を形成した回路板を組み込む必要がない。そのため、内部のスペースを小さくすることができ、赤外線センサ10の小型化を図ることができる。このように、回路基板を組み込む必要がないため、ステム12の形状を精密に加工する必要がなく、またリード端子22a,22b,22cの取り付けも簡単である。したがって、赤外線センサ10の製造が容易となり、安価に赤外線センサ10を提供することができる。
【0022】さらに、赤外線センサ10としては、図10および図11に示すような構造とすることもできる。この赤外線センサ10では、絶縁材料で形成されたステム12の一方面の外周に沿って、電極60aが形成される。電極60aは、貫通孔14c部分に延びるように形成され、さらに貫通孔14c部分から一方向に延びるように形成される。この赤外線センサ10においても、貫通孔14cの内面に電極が形成され、電極60aとグランド電極20とが接続される。また、貫通孔14a,14bの間において、電極60b,60c,60dが、互いに近接するように形成される。電極60bは、貫通孔14a部分に延びるように形成され、電極60cは、貫通孔14b部分に延びるように形成される。また、電極60dは、貫通孔14c部分から延びた電極60aに対向する位置まで延びるように形成される。
【0023】この赤外線センサ10においても、貫通孔14a,14b,14cには、かしめることによってリード端子22a,22b,22cが取り付けられている。貫通孔14a,14bの間には、FET28が配置され、電極60bにドレインが接続され、電極60cにソースが接続され、電極60dにゲートが接続される。さらに、電極60a,60dの対向する部分には、焦電素子36が取り付けられる。このとき、導電性樹脂接着剤46によって、FET28の電極44a,44bがステム12の電極60a,60dに接続される。そして、変換回路16および焦電素子36を覆うようにして、キャップ48がステム12の一方面上に被せられる。この赤外線センサ10では、図12に示すような回路が得られる。この赤外線センサ10では、図2に示すような部品としての抵抗を取り付けていないが、焦電素子36自体の固体抵抗をリーク抵抗として利用している。
【0024】この赤外線センサ10では、図2に示す赤外線センサ10と同様の効果を得ることができる。さらに、FET28が貫通孔14a,14bの間に配置され、ステム12の中央部に配置されていないため、焦電素子36を中央部に配置しても、焦電素子36とステム12との間にはFET28がない。そのため、焦電素子36を取り付けるための接続部材が不要であり、赤外線センサ10の低背化を図ることができる。
【0025】なお、ステム12にキャップ48を被せるときに、図13に示すように、ステム12の側部を覆うようにしてもよい。この場合、導電性樹脂接着剤62によって、キャップ48とステム12のグランド電極20とが電気的に接続される。このようにすることによって、変換回路16および焦電素子36の周囲が連続した導電材料で覆われることとなり、良好な電磁シールド効果を得ることができる。また、ステム12は、多層となるように形成してもよい。この場合、内部に1層または複数層の電極層を形成し、これらの電極層をグランド電極20に接続することにより、より優れた電磁シールド効果を得ることができる。
【0026】
【発明の効果】この発明によれば、かしめることによってリード端子がステムに固定されるため、リード端子の取り付けが簡単である。また、リード端子をかしめることにより、ステムの貫通孔が封止され、さらにステム上にキャップを被せて導電性樹脂接着剤などで封止することにより、内部の焦電素子および変換回路を密封することができる。また、ステムにグランド電極を形成し、キャップを導電材料で形成することにより、電磁シールド効果を得ることができ、外乱ノイズによる影響を少なくすることができる。さらに、リード端子をかしめることにより、内部においてリード端子が長く延びたりせず、内部におけるリード端子部分にインダクタンスが発生しにくくなり、赤外線センサの誤動作を防ぐことができる。また、ステムを絶縁材料で形成し、ステム上に変換回路を形成することにより、別部材としての回路基板が不要となり、赤外線センサの小型化を図ることができる。さらに、ステムの形状を精密に加工する必要がなく、赤外線センサを安価に提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成10年(1998)5月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 全啓
【公開番号】 特開平11−337406
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−161386