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【発明の名称】 赤外線放射温度計測装置
【発明者】 【氏名】横山 榮一

【要約】 【課題】赤外線放射温度計測装置において、赤外線放射計測を効率的にできる方式を提供し、光学設計の自由度を大きくして、小型、安価なシステムの実現を可能とする。

【解決手段】可視域画像を得るCCDカメラ15を備え、CCDカメラ15は、回転ヘッド装置3のヘッドギャップを同定できる分解能を持つ。このような可視域画像を得るため、ゲルマニュームレンズで構成された赤外線用光学系1の光軸上にハーフミラー2を配置し、赤外線はこのハーフミラー2を透過させて赤外線用センサー10上に結像させる。ハーフミラー2は、可視光のみを反射させる機能を持っており、可視光と赤外線とを分離するときの赤外線のロスが回避される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可視光を利用して画像を得る第1のイメージャと赤外線を利用して画像を得る第2のイメージャとの複数の光学的手段を有する画像装置であって、上記第1及び第2のイメージャの光学系は、入射側において光軸が互いに一致しており、ハーフミラーを介して入射光束を分岐させて、各別のセンサに光束を入射させることを特徴とする赤外線放射温度計測装置。
【請求項2】 回転体とこの回転体に接触して移動もしくは静止する媒体との摩擦による赤外線放射を検出するにあたって、上記回転体に位相及び周波数が同期されて回転操作され第2のイメージャの光学系の光路を周期的に遮るチョッパブレードと、信号検出のためのサンプリングゲートパルスを上記チョッパ回転体の回転周波数に同期させるとともに、クロック位相を任意に設定できる制御手段とを設け、上記制御手段は、サンプリングゲートを任意の複数箇所で行い、差分データをとる手段により、バックグラウンド放射光を削除することを特徴とする請求項1記載の赤外線放射温度計測装置。
【請求項3】 チョッパブレードの表面に配置され、少なくともチョッパブレードの1回転に1回の赤外線放射エネルギーを第2のイメージャの赤外線センサに入力させる赤外線用反射鏡と、回転体から放射される摩擦による赤外線放射エネルギーの信号検出を絶対較正する手段とを備え、第2のイメージャにおける赤外線センサ出力の信号検出レベルを絶対較正することを特徴とする請求項2記載の赤外線放射温度計測装置。
【請求項4】 チョッパブレードの回転中にこのチョッパブレードに直交する方向より該チョッパブレードの表面に対して時間的、離散的な熱放射分布を与える熱源と、上記熱源により熱放射分布を与えられた箇所と他の箇所との熱分布の違いに基づいて、チョッパブレードの開口部を介して入射する赤外線エネルギーに依存した検出信号を較正することを特徴とする請求項3記載の赤外線放射温度計測装置。
【請求項5】 回転体とこの回転体に接触して移動もしくは静止する媒体との摩擦による摩擦熱を検出するにあたって、磁気記録再生媒体及び高分子材料の赤外領域の複数の吸収スペクトラムの中で放射率の高い領域である7.5μm乃至9μm帯で放射される赤外線にピーク感度が略々一致されたセンサと、上記センサの前面側に配置され、上記7.5μm乃至9μm帯から外れた不要なスペクトラムを削除する光学フィルタとを備えたことを特徴とする請求項1記載の赤外線放射温度計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビデオテープレコーダのように記録媒体に対して摺接される回転体を有する情報記録装置等において生ずる摩擦熱を媒介とした現象を解明する赤外線放射温度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビデオテープレコーダの回転ヘッドの如き回転体において記録媒体である記録テープと該回転ヘッドのヘッドチップとが摺接しながら該記録テープが走行する場合、もしくは、いわゆるスチル(静止画)モードにおいて記録テープが停止したまま回転ヘッドが回転してこの回転ヘッドのヘッドチップと該記録テープとが摺接する場合に、これら記録テープとヘッドチップとの間の摩擦により生ずる熱を計測しようとすると、測定対象が、例えば直径が数μmから数十μm程度の微少な領域である場合には、正確に計る方法はなかった。
【0003】このような場合について、サーミスターを回転ヘッド上にマウントして接触式で温度を計測する技術の提案がある。しかしながら、この技術においては、計測のために加工が必要となり、この加工が施された結果、加工が施されない実際の使用状態に一致する結果が得られない虞れがある。
【0004】また、接触式の温度計測においては、センサーと計測したい対象との接触状態や接触条件を管理するのが極めて困難である。すなわち、記録媒体も回転体の表面も、それぞれ異なった表面性状を持っており、熱計測の観点でいえば、所謂サーマルアスペリティ(Thermal Asperity)が異なるからである。
【0005】このように、接触式の温度計測においては、信頼性のある計測データが得られないとともに、センサーのサイズを、計測したい対象、例えばビデオヘッドの摩擦熱を計測する場合においてはヘッド部の微少エリアに合わせた超小型のものとすることが要求される。そして、このような超小型のセンサは、製造が不可能である。
【0006】さらに、界面のトライボロジー(Trybology)を究明するような場合においては、極めてわずかな温度上昇も捉える計測確度が要求される。しかし、現状において実用化されている赤外線温度計測装置では、充分な計測確度が得られない。例えば、機械的ミラーで2次元的にスキャンニングして計測を行う赤外線温度計測装置が提案されているが、計測範囲を回転体の高速回転に追従させることができず、計測範囲が限定され、主に静止している物体を対象とするものである。また、このような赤外線温度計測装置は、微少領域計測には不向きであり、回転体の任意の場所の温度計測などは不可能である。
【0007】また、近年、電子的2次元走査を原理とした赤外線計測装置が提案されている。このような赤外線計測装置は、赤外線イメージャーを有して構成されている。赤外線イメージャーとしては、白金シリカを使用するもの、インジュームアンチモン(InAb)を使用するもの、あるいは、酸化バナジュームを使用するものなどが提案されている。これら赤外線イメージャーは、CCD(固体撮像素子)に類似した2次元アレイを構成しているものである。しかし、充分に画素数の多いものは提案されていない。また、いずれの赤外線イメージャーも、感度を有する波長帯域は、3.0μm乃至5.0μm帯であり、常温領域で最高感度を有する8.0μm乃至12.0μm帯については、S/N(シグナルノイズ比)についての問題の解決が困難であり、実現していない。
【0008】対象物について計測すべき測定温度ディペンドでの所望のピーク感度と、放射温度(K)との間には、ウィーンの変位則、すなわち、λpeak・K=2897.8という一定の関数式が存在する。特に、常温、例えば、300K付近において摩擦による温度上昇範囲が数十Kの場合に、この計測を赤外線で行う場合には、計測の信頼性が保証されない。常温より数十度の範囲での温度計測を行う場合、検出感度帯域が8.0μm乃至12.0μm帯のMCT(水銀−カドミューム−テレリューム)が最適である。
【0009】赤外線放射を利用する温度計測では、計測結果は、その赤外線放射エネルギーが物体の持つ絶対温度の4乗、及び、その物体の赤外線放射率に比例する。赤外線放射率は、酸化の状態や、光沢など、材料及び表面性状に依存する。磁気テープが摩擦する際の温度計測の如く、放射率が低く、摩擦熱がそれほど高くない場合では、正確に温度計測する事が困難であった。例えば、潤滑剤があるかどうかなどというシステムデザイン上でのわずかな違いによる赤外線損失も、直接に、計測データの信頼度、測定確度を失わせる事になる。
【0010】さらに、温度の測定場所を同定する方法についても、改善が必要である。例えば、ファインダに、赤外線画像そのものを表示するように構成された装置が提案されている。しかし、このような装置においては、ファインダ画像における分解能が足りない。なお、光学的分解能は、波長をλ、対物レンズの開口数をNAとしたとき、0.66λ/NAで決定される。
【0011】従来、赤外線のための光学系の光軸の中心部に、可視域画像を得るための微少な反射ミラーを取り付け、可視域と赤外線とを物理的な位置関係で分離するようにした装置が提案されている。このような光学系は、カセグレン(Cassegrain)光学系と呼ばれ、多用されているものである。また、図21に示すように、屈折光学系でも、赤外線用光学系101の光軸中心に可視域用の小さい傾斜ミラー102を配置するものが一般的な技術であった。この装置においては、被写体面103より発した光は、赤外線用光学系101により、チョッパブレード104の外周部分上に集光される。このチョッパプレート104は、モータ105により回転操作される。このチョッパプレート104の外周部分には、開口部及び折り曲げミラー108が設けられている。赤外線用光学系101により集光された光は、チョッパプレート104の開口部を通過すると、集光レンズ109により、センサ面110上に集光される。また、センサ面110には、参照熱源107より発した赤外光が、集光レンズ106、折り曲げミラー108及び集光レンズ109を介して、集光される。すなわち、センサ面110には、チョッパブレード104の回転により、被写体面103よりの光と、参照熱源107よりの光とが、交互に集光される。一方、被写体面103より赤外線用光学系101に向かう光の一部は、傾斜ミラー102により反射されて、コリメータレンズ111を経て、ハーフミラー112を透過し、集光レンズ113及びミラー114を経て、CCD(固体撮像素子)センサ面115に到達する。また、照明用ファイバ116より発せられた照明光が、ハーフミラー112により反射され、コリメータレンズ111及び傾斜ミラー102を経て、被写体面103上に照射される。すなわち、CCDセンサ面115を有するCCDの出力信号においては、照明用ファイバ116よりの照明光により照明された被写体面103を観察することができる。
【0012】これらいずれの構成においても、赤外線のエネルギーは、可視光のために必要な小型傾斜ミラー102の面積に比例して損失する。このような赤外線エネルギーの損失は、特に本案のような、常温近傍のわずかな温度変化を計測する場合においては、致命的な計測エラーの原因となる。例えば、図17に示すように、40°Cにおいては、放射エネルギーは、300°Cにおける放射エネルギーの1/10に低下する。
【0013】このような赤外線の損失は、レンズの口径を大きくすることで回避することができる。しかし、赤外線領域では、レンズは、透過特性の問題から、ゲルマニュームレンズでなければならない。したがって、レンズ口径を大きくすることは、加工及び精度の確保が通常の光学レンズに比較してかなり困難であり、また、装置の価格を極めて高価なものとしてしまう。これは、レンズの口径を大きくするに伴って増加する収差の増大、及び、加工品を検査する手段が、一般の光学機器において使用される常套手段ではできないからである。例えば、反射防止膜をゲルマニュームレンズ上に形成する場合でも、反射防止膜の厚みdは、d=λ/(4√(n1・n2))より、波長に比例するので、複雑、高価な加工となる。したがって、このような解決手段は、大型化や高価であることを許容できるシステムにおいてのみ可能であり、最近のビデオテープレコーダやパーソナルコンピュータのように、小型化が求められている電子機器には、不向きである。
【0014】そして、回転体を含めた多目的な熱計測の場合、材料や形状の違い、表面性状の違いでの温度の相対比較は、測定確度を得る観点でも重要であるが、バックグラウンドからの赤外線放射光を削除する計測が必要である。しかし、そのような機能を持ち、しかも回転体に使用できる計測装置はなかった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】磁気記録において、サーマルスタビリティー(Thermal decay in Magenetic property)の議論は、高密度記録を達成するために避けては通れない。一方、ビデオヘッド表面のメカノケミカル反応、ブラウンステイン/ホワイトステイン等の発生メカニズムとヘッド/テープ界面での摩擦熱との関係は、急を要する解決すべきテーマである。そして、上述したように、赤外線放射を原理とする常温付近での温度計測の最大の欠点として、バックグラウンドからの赤外線放射光の影響がある。また、赤外線放射率を正確に同定できない欠点がある。
【0016】すなわち、本発明は、上述の実情に鑑みて提案されるものであり、摩擦熱を非接触(In-Situ and non destructive)で計測する赤外線放射温度計測手段に関する光学設計手段に関係し、複数ポイント計測とその差分データからそれらのアンビィギューイティを相殺できる計測方法に関与する。
【0017】本発明は、磁気記録再生装置におけるヘッドと記録再生媒体界面で発生する摩擦熱を非接触、非破壊で、かつ、常温に近い試料からの低い赤外線放射エネルギでも計測できるようにしようとするものである。また、本発明は、常温付近の温度測定で問題になるバックグラウンドからの赤外線放射光を削除して計測できることとし、ミクロンサイズ、例えば、ビデオヘッドを構成する複合材料個々に、微少熱計測領域を実現しようとするものである。
【0018】さらに、本発明は、計測精度を確保するために、既知の温度で制御された参照熱源を赤外線用光学系の光軸に導いて放射温度計測の絶対較生する手段、記録再生媒体の赤外線放射率を効果的に活用した計測手段等を設け、ヘッド及び磁気テープ界面でのトライボロジーを解明するために有用な赤外線放射温度計測装置を提供しようとするものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するため、微小な領域である測定場所を精度よく同定するため、本発明に係る赤外線放射温度計測装置は、CCD(固体撮像素子)カメラの如き可視域の画像を得る手段を備えている。この手段は、例えば、回転ヘッド装置におけるヘッドギャップを同定できる分解能を持つ。このように可視域の画像を得るため、ゲルマニュームレンズで構成された赤外線用光学系の光軸上にハーフミラーを配置し、赤外線はこのハーフミラーを透過させて赤外線用のセンサー上に結像させる。ハーフミラーは、可視光のみを反射させる機能を持っており、可視光と赤外線とを分離するときの赤外線のロスが回避される。
【0020】そして、ビデオテープレコーダの回転ヘッド装置の如き回転体である測定対象物上の複数の測定位置が、赤外線用光学系の光軸上をよぎる時間は、時間変動を伴う。そこで、回転体の1回転毎に位相同期発振する回路を用いて回転体の正確な位置を同定し、かつ、回転体が外乱の影響を受けてもそれに追従できる即応型としている。なお、いわゆるPLL方式では、1回前の回転情報をも含むデメリットがあるので、これを改善したものである。さらに、この赤外線放射温度計測装置においては、回転体と同期回転するチョッパブレードの閉口部を位相同期させることとしている。
【0021】また、この赤外線放射温度計測装置は、複数箇所の測定場所を個々に特定するためのサンプリングゲート生成回路からなる計測位置の特定手段を有している。さらに、測定点のバックグラウンドからの赤外線放射光の影響を削除できるように、差分検出を、例えば、ヘッド摩擦部分やテープとドラム表面接触部分等の複数のポイントで行える計測手段が設けられている。
【0022】この赤外線放射温度計測装置は、チョッパブレードの1回転毎に1回、チョッパブレードの閉口部を通過する赤外線信号のレベルを較正できる外部参照熱源及びリレーレンズ光学系を内蔵している。なお、この較正において、センサへの入射の立体角は、実際の計測時と同じ約15ステラジアンにする。そして、チョッパブレードの表面の一部には、異なる熱抵抗、熱分布を発生する手段が設けられており、これによる温度較正手段がある。
【0023】PET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)等の高分子材料を磁気記録再生媒体のベースとする場合において、摩擦熱を赤外線放射計測する場合では、図9に示すように、赤外線の吸収スペクトルを効果的、選択的に利用し、放射率を最大限活用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る赤外線放射温度計測装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】この赤外線放射温度計測装置においては、図1に示すように、被写体面3より発した光は、赤外線用光学系1により、チョッパブレード4の外周部分上に集光される。このチョッパプレート4は、モータ5により回転操作される。このチョッパプレート4の外周部分には、開口部64及び折り曲げミラー8が設けられている。赤外線用光学系1により集光された光は、チョッパプレート4の開口部64を通過すると、集光レンズ9により、MCTセンサ10の受光面上に集光される。また、MCTセンサ10の受光面には、参照熱源7より発した赤外光が、集光レンズ6、折り曲げミラー8及び集光レンズ9を介して、集光される。すなわち、MCTセンサ10の受光面には、チョッパブレード4の回転により、被写体面3よりの光と、参照熱源7よりの光とが、交互に集光される。一方、被写体面3より赤外線用光学系1に向かう光のうちの可視光成分は、図3に示すように、モニタ用ハーフミラー2により反射されて、図1に示すように、コリメータレンズ11を経て、照明用ハーフミラー12を透過し、集光レンズ13、ミラー14及び拡大レンズ17を経て、CCD(固体撮像素子)センサ面15に到達する。また、照明用ファイバ16より発せられた照明光が、照明用ハーフミラー12により反射され、コリメータレンズ11及びモニタ用ハーフミラー2を経て、被写体面3上に照射される。すなわち、CCDセンサ面15を有するCCDの出力信号においては、照明用ファイバ16よりの照明光により照明された被写体面3を観察することができる。
【0026】CCDセンサ面15は、CCDイメージャーのセンサー面である。拡大レンズ17は、リアコンバージョンレンズである。ミラー14は、光軸を90度偏向させるためのミラーであり、図示しない微調整機構を有している。集光レンズ13(f=120mm)、コリメータレンズ11(f=60mm)及びモニタ用ハーフミラー2は、可視光学系を構成している。これは、被写体面3、例えば、ビデオテープレコーダの回転ヘッド装置のヘッドギャップ位置を正確に確認する機能を持ち、75ミクロンの視野内の画像を倍率β=−4.0、さらに、モニター倍率(CCD Imager size × Monitor size)がかかった所定の大きさでテレビモニター画面の中央に表示されるよう、ミラー14の微調整機構により調整される。
【0027】照明用ファイバ16は、可視画像のための照明用光ファイバーバンドルである。照明用ファイバ16は、照明用ハーフミラー12、可視光と赤外線とを分けるモニタ用ハーフミラー2を経由し、被写体3である回転ヘッドのヘッドギャップ部分を均一に証明する。なお、照明用ファイバー16を介して照明する光源は、その光量が任意に調整される機能を有し、対象測定物の反射率を勘案し最適化される。
【0028】従来の赤外線放射温度計測装置において使用されていた傾斜ミラー102は、ガラスロッド(ソーダーガラス:屈折率n=1.5)で構成され、反射面にはアルミ蒸着膜が使われている。この傾斜ミラー102は、ゲルマニューム屈折光学系のウィンドー上に、例えば接着剤で取り付けられるか、あるいはカセグレン光学系の場合では、空間に支持する機構などがいるので、装置構成を複雑にしていた。
【0029】この赤外線放射温度計測装置における赤外線用光学系1は、ゲルマニューム屈折光学系であって、3枚構成のレンズからなり、チョッパブレード4の開口部64に一旦収束させ、集光リレー光学系である集光レンズ(倍率β=−1.0)9を介して、赤外線センサーであるMCTセンサ10の受光面に結像させるものである。集光光学系は、倍率β=−2.0、NAは被写体側で0.25、センサー側で0.125である。
【0030】この実施の形態では、光学倍率は2倍、すなわち、0.1mm角のセンサーサイズに100μmX50μmの楕円(サジスタル)のビームプロファイルを意識的に形成させており、ゲルマニュームで作成されたモニタ用ハーフミラー2の厚みの選択でそれを得ている。
【0031】計測対象が、いわゆる「8mmVTR」の回転ヘッドである場合、ドラムの曲率半径が6mm乃至8mm、テープとヘッドとが接触しているエリアはヘッドギャップから長手方向±200μmである。メリジオナル方向については、ヘッドトラック幅が25μmでありガラス溶着部を含めて50μmである。このようなヘッド表面での摩擦熱を選択的に集光する観点で、ビームプロファイルを変えてある。
【0032】さらに、液体窒素のデュワー付きのMCTセンサ(赤外線センサ)10のFOV(Field of View)は、15度の角度に保ち、センサー内にはコールドアパーチャーを設け、被写体以外からの不要な赤外線の入射を制限して、測定精度確保を容易にしている。コールドアパーチャーは、金属性アパーチャーであり、液体窒素温度に冷却されるので、周囲からの余分な熱は通過できない構造になっている。これは、ヘッドとテープとの実質的接触部以外からのいかなる熱も削除するためである。
【0033】温度計測の絶対較正のために参照熱源7から放射される赤外線は、参照熱源リレー光学系である集光レンズ6(倍率β=−1.0)を経由して、チョッパブレード4上であって開口部64を阻害しない位置に取り付けられた直角三角形の折り曲げミラー8で反射され、MCTセンサー10に導く。直角三角形の折り曲げミラー8は、表面がアルミ蒸着されたものである。この折り曲げミラー8が参照赤外線を反射するのは、参照熱源7とリレーレンズ系である集光レンズ6とが45度の角度で相対する場合であり、チョッパブレード4が1回転する間に1回である。よって、チョッパブレード4の1回転に1度、外部参照熱源7を使って既知の温度でレベルを較正する事ができる。このような較正をするための時間関係とその時の波形は、図5に示すように、チョッパブレード4の回転に同期した周期的な信号となる。
【0034】参照熱源7は、カーボン(放射率=1.0)をペルチェ素子で加熱し、このカーボン上に磁気テープの磁性面を貼り、テープ背面から赤外線を放射させるものである。カーボンの温度は、接触式の温度計で測定する。そして、較正は、任意の温度で行えるように、設定温度は任意に可変される。また、カーボンの温度は、サーボループを付加し、一定に制御されている。
【0035】このように、同じ放射率を持つ磁気テープ経由で較正すれば、テープ背面からの放射率εの放射エネルギー、E=δεT(4乗)に対する影響は相殺でき、装置ファクター、ミラーの光学定数の補正のみで較正が可能になる。
【0036】チョッパブレード4は、図2に示すように、表面が放射率の高い黒アルマイト処理された薄い円盤でできている。このチョッパブレード4の周囲側部分には、均等に小径の開口部64が設けられている。この実施の形態では、開口部64の直径は、1.4mmであり、シャッター部(遮蔽部)との比は50:50である。この開口部64での収束ビーム径の直径は、0.1mmである。回転体が保有するジッターの影響をこの開口部64において受けることはない。開口部64を通過した赤外線は、MCTセンサー10の受光面のサイズ(この実施の形態では0.1mm角)に結像する。赤外線用光学系の光軸を遮る位置とチョッパブレードの開口部64の位置との制御は、図7に示すように、モーター5をサーボ回路で制御することにより、チョッパブレード4の回転の周波数を制御することにより行う。
【0037】例えば、30Hzで回転するビデオテープレコーダの回転ヘッドとテープとの摩擦によりヘッド界面で発生する摩擦熱を計測する場合では、チョッパブレード4は、回転周波数が30Hzとなされ、回転ヘッドの回転と位相同期回転するように、サーボ制御がなされる。これによって、ビデオヘッドの回転位置と時間を、チョッパブレード4の開口部64の中心と合わせることができる。開口部64の数は、図18に示すように、MCTセンサーの1/fノイズを避けるよう、つまり交流信号に変換されるその周波数が400Hz以上となるようにしており、この実施の形態では、48個(1440Hz)にしてある。
【0038】チョッパブレード4には、図示しないフォトセンサーに図示しない発光素子(LED)の光を1回転に1度与えるための穴65が設けられている。これは、回転体の位置を決定して位相サーボを行うための光学的手法である。もっとも、チョッパブレード4の位置のサーボ制御は、磁気的手段、例えば、チョッパそのものでなくモーター側に設ける事もでき、通常のビデオテープレコーダにおけるドラムサーボのように、PG(位置出し)、FG(回転制御)によって可能である。
【0039】チョッパ出力波形とレベル検出のためのA/D サンプリングゲートパルス(Sampling Gate Pulse)とのタイミング関係並びに出力波形は、図4に示すように、シャッター開口部区間40(図2に示す開口部64に相当する)と赤外線を遮断する部分であるシャッター部区間41との繰返しの周期的信号となる。図7に示すように、ヘッド53からの信号は、ヘッドが赤外線用光学系の光軸中心をよぎる時間に、チョッパブレード4の開口部64と位相を合わせると、図4に示すように、波形42のようにレベル及び波形が変化する。このようなレベルの変動は、ヘッドからの摩擦熱に依存する。回転体の回転ムラ、テープ走行系からの外乱によって波形は多少左右に変化する。後述のようにA/Dサンプリングゲートパルス43は、常に、波形42の中心に制御されている。
【0040】チョッパ出力波形の較正時には、図5に示すように、波形が変化する。参照熱源7の温度を変化させれば、その変化に追従した出力が、図5中領域70において、波形71,72,73のように変化して表れる。波形cは、チョッパブレード4の表面から放射されるエネルギーによる検出センサ出力電位、波形dから波形eの変化は、参照熱源7の温度の変化で変わり、波形aから波形bへ落ち込む変化はヘッド摩擦熱の変化を表す。これの変動分はサンプリングゲートパルス43,74,75で所定の位置が選ばれて較正される。複数のポイントに計測点を拡張するのは、差分データを得る上で必要であり、それぞれのサンプリングゲートパルス43,74,75の計測位置は、任意に移動される。これらサンプリングゲートパルス43,74,75によりサンプリングゲートされ、バックグラウンドの放射光を相殺するために、差分データとして計測される。
【0041】チョッパ出力波形を較正する場合には、もう一つの手段がある。すなわち、図6に示すように、部分的なレベルの変化は、チョッパブレード4に設けられたフォトセンサー及びLEDのための穴65によって発生する空冷効果によるわずかな温度変化が、出力レベル変化となる事例であり、これを較正手段として活用するものである。チョッパブレード4の両面側には、図8に示すように、フォトセンサー62及びLED63が設けられている。すなわち、センサー出力のうち、チョッパブレードの穴65に対応する位置では、図6に示すように、レベル及びオフセット変化が発生し、レベルb1からレベルb2、レベルa1からレベルa2のように変化する。
【0042】このように、チョッパブレード4の局部的熱抵抗に従った熱分布の違いは、較正に利用できるものである。すなわち、LED63を加熱媒体に変更し、回転中その一部の局所部分にだけ熱分布違いを発生させ、検出器62で局所的な差を検知することとすれば、較正できる手段として活用できる。
【0043】信号検出のための回路は、図7に示すように、回転ヘッド装置のドラムに設けられたPG(位置出し用パルスジェネレータ)50と、このPG50に接続された位相同期発振器51と、サーボ回路52とを有して構成される。回転しているヘッドが赤外線用光学系の光軸中心をよぎる時間は、回転体の回転ムラ、テープ走行系からの外乱によって変化する。ドラムシリンダーに搭載したビデオヘッドが持つ回転中のジッターをPG50で検出し、位相同期発振器51のクレイアス回路を位相同期発振させ、任意タイミングをカウンターで生成する。
【0044】回転ヘッドのドラム53からの赤外線放射エネルギーは、リレーレンズ光学系を経てMCTセンサー10の受光面に結像する。MCTセンサー10の出力は、プリアンプ55で2000倍に増幅され、12ビットA/Dコンバータ56に送られる。この12ビットA/Dコンバータ56では、この12ビットA/Dコンバータ56をイネーブルにするタイミング信号発生器57の制御に従い、チョッパ出力が選択的にA/Dされ検出される。
【0045】そして、回転ヘッドのドラムのジッターにリンクした信号検出用サンプリングパルスによって、回転中のドラムが、ちょうど赤外線用光学系の光軸の中心位置に来た時のセンサー出力を検出可能とする。なお、いわゆるPLL回路では、回転体の外乱によるインデイシャル応答が計測タイミングに不適合であり、使用できない。
【0046】一方、チョッパブレード4の回転も、サーボ回路52で制御され、回転体であるドラム53に位相同期される。チョッパブレード4の回転により、その開口部64を通しての出力が光軸中心位置にあるドラム53からの信号である事を可能にするには、サーボ回路52にサーボロック位相を可変にする位相器を設ければ実現できる。
【0047】さらに、チョッパブレード4も回転ムラ、すなわち、残留サーボエラーを発生する。これに対応するには、チョッパブレード4の開口部64の径(この実施の形態では1.4mm)を、ジッター(0.006%)を勘案した径として、チョッパ出力信号の中心をサンプリングする事で、ジッターフリー検出とする。
【0048】ここで、図16に示すように、真実接触点の摩擦熱による温度上昇について説明する。一辺が2Lという正方形の突起が滑る場合の接触部の温度Tと両方の固体の温度と、ほぼ室温Taとの差、すなわち、摩擦熱による温度上昇(T−Ta)は、以下の〔数1〕、〔数2〕で求められる。
【0049】
【数1】

【0050】
【数2】

【0051】速度が大きい場合の温度上昇は、速度が小さい時のように、速度vの1乗に比例しない。すなわち、ゆっくりと速度の1/2乗に比例して増加する。接触部が半径2aの円形としたときは、L=0.885aで、面積が同じとして求められる。
【0052】また、ある程度以上に加重が大きいときでは、表面突起がすべて押しつぶされて平滑面と同様の接触をするので、真実接触面積が加重Wの2/3乗に比例する。そこで、摩擦係数は、Wの1/3乗に比例する。しかしビデオテープレコーダのテープの走行時の加重は、通常、タンジェンシャルフォースで6mN乃至7mNで、ノーマルフォースでは1mN乃至2mNであり、塗布型の磁性媒体の表面性状には、図19及び図20に示すように、ほとんど変化が表れない。
【0053】そして、みかけの接触面と真実接触している面の温度とは違う。固体の接触面での真実点は、幾つかの点で形成され、それぞれが剪断によって破壊され、また、別の点で形成され、みかけの接触面で移動する。剪断破壊が起こるごとに、瞬間的に高温になり、これをフラッシュ温度(Flash Temperature)と呼ぶ。本発明において測定するのは、みかけの接触面での平均温度計測である。
【0054】
【数3】

【0055】ρ/dλは、物体表面の単位面積から、単位時間あたりに放射されるエネルギーに対応し、放射が均一、等方的とみなせれば半球面放射強度になる。したがって、ρ/πが単位立体角(ステラジアン)あたりの放射強度である。
【0056】すなわち、赤外線放射にあっては、図17に示すように、E=εδT4で示されるように、常温付近での物体からの赤外線放射エネルギーが弱い。放射エネルギーが絶対温度の4乗に比例するからである。
【0057】300Kの場合で、放射エネルギーを試算してみる。赤外線放射率ε=0.6とし、ステファンボルツマン、δ=5.67x10−12W/cm2・K4とすると、0.6x5.67.10−12x3004=27.54W/cm2であり、1°C温度が異なると、dW/dT=4εδT3=0.016W/cm2・Kとなる。
【0058】比較的低温、常温近傍でピーク感度を有する赤外線センサとしては、赤外線領域(8.0μm乃至12.0μm帯)に感度を有する必要がある。従来の量子型赤外線センサーは、3.0μm乃至5.0μm帯に感度を有しているので、常温近傍の赤外線センサとしては、充分でない。
【0059】例えば、MCT(HgCdTe)センサーの場合では、Hg1−xCdxTe(77K)でのxの値は0.2乃至0.3であり、これによるエネルギーギャップの変化の波長依存性は、0.08eV乃至0.22eVである。検出するための波長λ、そのピーク(ラムダピーク)と温度(K)との積は一定で、測定温度300K付近では9.65μmがピークになる。センサーのカットオフ特性を決定する波長とエネルギーギャップとの関係式は、λ(μm)≦1.24/Eg(eV)で与えられ、所望のピーク感度と放射温度(K)との間にはウィーンの変位則(λpeak・K=2897.8)に従った一定の関係式があるからである。
【0060】このように、波長が長い(常温近傍の温度)赤外線画像を得るためのセンサー(イメージャー)は、エネルギーギャップが小さいセンサーであり、S/N(シグナルノイズレシオ)の確保は困難である。その上、極めて小さい測定エリア、例えばビデオテープレコーダのテープとヘッドとの接触時の、50μm径の部分からの放射を、レンズに入射する立体角14.47度(Sinθ=NA,NA=0.25)でコンパクトに実現する視点から、MCTセンサーの波長シフトを行う。これは、Hg1−xCdxTeのxを変える事で実現できる。
【0061】この場合のxの最適解は、計測温度範囲に最高ピーク感度をもたせることと、磁気テープ自身が保有する赤外線領域の吸収スペクトラム、放射率を効果的に活用できる波長帯で計測すべきである。図9から、それは7.5μm乃至9.0μmとなる。なお、磁気テープでの3.0μm乃至5.0μmでの放射率はほぼ20%以下でありS/N確保上問題があるのは明白であろう。
【0062】ビデオテープレコーダに使用される磁気テープは、高分子材料からなるベースフィルムがあり、その上に磁性媒体が塗布もしくは蒸着されて構成されている。標準的ないわゆる「8mmVTR」の塗布型テープでは、8μm厚みのPET(ポリエチレンテレフタレート)、長時間使用のための薄いテープでは、PEN(ポリエチレンナフタレート)、データストリーマー等の耐久性を要求されるものでは更に薄い、4μm厚みのポリアラミド等が使用されている。これらベースフィルム上に、1μm乃至2μmの磁性層が形成されている。
【0063】FTIR(フーリエー変換赤外線分光装置)による赤外線分光スペクトルを、図9に示す。吸収と透過の特性は、PETを構成するエステル基の振動、伸縮運動、回転運動などによって異なる。図9では、厚み9.2ミクロンのPETの例を示しているが、1120カイザーと1280カイザーのウエーブナンバーに吸収特性を持ち、この波長における赤外線放射率は特に高い。この吸収特性の裏返しがほぼ放射率を示している。さらに詳細は、図10、図11及び図12に示している。
【0064】テープの磁性面で発生した摩擦熱がベースフィルムの吸収特性で熱を一旦溜めてテープ背面から2次放射する。キルヒホッフの法則は「放射能と吸収能は温度と波長の関数でその比は同温度の完全黒体の放射能に一致する」ことを意味し、よって、物体の吸収率をA(λ、T)、放射率ε(λ、T)とするとA=εとなる。
【0065】したがって、赤外線センサーの波長感度特性は、これらテープの放射特性を勘案して決定すべきものである。光学的バンドパスフィルターをデュワー付き赤外線センサーのウィンドウ上に形成するのは容易であり、周囲の計測に不要な波長、迷光を削除し、または、テープ特性の違いに存在した選択性を持たせる等により測定確度を上げることができる。
【0066】テープ表面温度T(surf)は、このPETフィルムの放射率とは別に、影響を受けるものである。外部に加熱物体があるとかバックグラウンドからの放射を受ける場合があり、摩擦熱に依存する放射熱と分離した計測が必要となる。回転時も静止時も、テープの放射率εに変化はなく、摩擦の影響がない静止状態で一旦計測し、回転時の摩擦部分からの熱と差分を取る。このようにして表面温度は相殺できる事になる。したがって、摩擦熱を分離できる事になる。しかも、本発明においては、回転体の静止状態でのテープ表面温度は簡単に計測できる。これらデータは、遂一回転時との差分データを取るために、一旦パソコン上にストアされ、それらは任意場所のデータと参照されて、最終計測データとすることができる。このように、本発明においては、テープの放射率を含んだ情報として複数のデータを参照できるメリットがあり、信頼性が高い。
【0067】本発明のケースの摩擦熱は、ドラムシリンダーの回転により発生し、一旦PETフィルムの内部に吸収され、2次的に再放射するエネルギーを計測するものであり、表面温度との差異は明白であろう。もしPETフィルムが測定領域(8μm乃至12μm)で透過特性のみであるなら、摩擦と限定した現象の熱ではない。PETフィルムの厚み方向で透過、反射(多重反射)を繰り返し外部に放射するエネルギーは少なく、厳密なる熱計測はできないことになる。
【0068】高分子材料であるPET内での放射光の総量と放射率の関係は、次式で表される。
【0069】ε=(1−r)・(1−t)・(1−(rt)n/(1−rt))
ここで、r<1.0、t<1.0の条件では、1−(rt)n→1.0となり、ε=((1−r)・(1−t))/(1−rt)
ゲルマニュームレンズ(屈折率n=4.0)の反射防止膜は、本発明では、8.0μm乃至12.0μmの波長をカバーするように選定される必要がある。この反射防止膜は、2種類の屈折率を持つ材料の薄膜が交互に多層コーティングされて構成される。反射率は、図13に示すように、98.0%が確保されている。
【0070】可視光と赤外線とを分離させるモニタ用ハーフミラー4の光学特性は、透過率が、図14に示すように、赤外線を透過させるものであり、45°入射での反射率が、図15に示すように、可視光のみを反射させるものとなっている。このモニタ用ハーフミラー4は、ダイクロイックミラーの作成と同様に、異なる屈折率の材料を多層膜として交互に蒸着して成膜して形成する。
【0071】次に、可視光用光学系と赤外線用光学系との光軸のアライメントについて説明する。赤外線用のゲルマニュームレンズの光軸中心に較正用アパチャー(50μmφ)を置き、ミラー14に付属する微細な調整機構で、可視光画像の光軸を上下左右に可変し、モニター画像上の中心に較正用アパーチャー(50μmφ)を写し出す。この点を測定場所として、この条件で赤外線放射エネルギーを最大になるようアライメントする。計測したい測定位置の同定は、以後測定場所を可視画面中央に設定すればよい。
【0072】ミラー14に付属する微細な調整機構は、所定の測定点を可視CCDカメラで確認し、その場所での赤外線放射が最大になるように、赤外線屈折光学系を位置合わせするものである。赤外線放射が最大になる時、測定場所が可視の画像の中心になるように調整する。
【0073】この結果、測定したい場所を画面中央に選定すれば、その中心の50μmφ(較正用アパーチャーの径)のみの赤外線が、レンズで集光されることとなる。
【0074】
【発明の効果】上述のように、本発明に係る赤外線放射温度計測装置においては、測定エリアを観察する可視光画像の解像度が確保されるので、赤外線観察画像による計測位置を、可視光により確認できる。また、この赤外線放射温度計測装置においては、可視光光学系の付加による赤外線放射エネルギーの損失が防止されている。そして、回転体とこの回転体に接触して移動もしくは静止する媒体との摩擦による赤外線放射からの信号検出の精度を確保することができる。
【0075】すなわち、本発明によれば、赤外線の放射エネルギーが極めて弱い場合、例えば常温近傍の温度上昇であって、かつ、バックグラウンドからの赤外線放射光の影響を受ける条件での温度測定が行える。したがって、回転体とその媒体の界面で生ずる数μmオーダーの微少領域の熱計測が、かかる条件下であっても正確にできる。
【0076】すなわち、本発明においては、可視域の反射ミラーを赤外線屈折光学系の一部に設置する場合のように、これによる光量の低下を補うために光学系の各要素設計のサイズ拡大が必要になることがないので、特殊なゲルマニュームレンズ口径を大きくして収差補正光学系の追加や大口径レンズ加工という困難性が回避できるだけではなく、小型機器の温度計測を非接触、非破壊で実現できるようになった。本発明は、赤外線放射計測を効率的にできる方式を提供するものであり、光学設計の自由度をその分大きくでき、小型、安価なシステムの実現を可能とするものである。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【公開番号】 特開平11−183258
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−349823