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【発明の名称】 分光器
【発明者】 【氏名】齋藤 光憲

【氏名】対馬 武夫

【氏名】工藤 朋幸

【氏名】三上 俊一

【氏名】高井 秀悦

【氏名】天間 毅

【氏名】花松 憲光

【要約】 【課題】測定精度を確保しつつ装置の小型化を図る。

【解決手段】一端面Faを光を受光する受光部24とし他端面Fbを受光した光を放光する放光部27とした光ファイバFと、光ファイバFの放光部27から入射される光を分光処理する凹面回折格子43とを備え、光ファイバFを、受光部側の受光側ファイバ部FFと放光部側の放光側ファイバ部FRとで構成し、放光側ファイバ部FRの開口数を、受光側ファイバ部FFの開口数よりも小さく設定し、この光ファイバFを複数設けるとともに、複数の光ファイバFの放光部27を一列に列設させた放光部列28を形成して光ファイバFを保持するファイバ保持部42を設け、放光部列28を凹面回折格子43に直接対向させ、放光部列28から光を略点状もしくは線状に放光させて凹面回折格子43に入射させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一端面を光を受光する受光部とし他端面を受光した光を放光する放光部とした光ファイバと、該光ファイバの放光部から入射される光を分光処理する凹面回折格子とを備えた分光器において、上記光ファイバを、受光部側の受光側ファイバ部と放光部側の放光側ファイバ部とで構成し、上記放光側ファイバ部の開口数を、受光側ファイバ部の開口数よりも小さく設定したことを特徴とする分光器。
【請求項2】 一端面を光を受光する受光部とし他端面を受光した光を放光する放光部とした光ファイバと、該光ファイバの放光部から入射される光を分光処理する凹面回折格子とを備えた分光器において、上記光ファイバを複数設けるとともに、該複数の光ファイバの放光部を一列に列設させた放光部列を形成して該光ファイバを保持するファイバ保持部を設け、上記放光部列を上記凹面回折格子に直接対向させたことを特徴とする分光器。
【請求項3】 上記ファイバ保持部を、保持板と、該保持板に形成され上記放光部列が形成されるように複数の光ファイバが嵌挿されるスリットと、スリットに嵌挿された光ファイバをスリットに固定する接着剤とで構成したことを特徴とする請求項2記載の分光器。
【請求項4】 上記放光部列を、ファイバ保持部に保持した後に、光学研磨したことを特徴とする請求項2または3記載の分光器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、光ファイバによって受光した光を分光処理する分光器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、分光器として、例えば、りんごなどの青果物を検査物体とし、その糖度を計測する携帯用糖度計に用いられたものがある。携帯用糖度計としては、図17に示すように、例えば、本願出願人の先願に係る所謂光拡散反射型の装置が知られている(特開平9−89767号公報掲載)。この携帯用糖度計は、図17(a)(b)に示すように、把持可能なケース体1に、リンゴ等の検査対象である物体Sに接触もしくは近接させられるセンサ本体2と、センサ本体2から露出してセンサ本体2に設けられ物体Sに対して光を照射する発光部3と、センサ本体2から露出してセンサ本体2に設けられ発光部3から照射され物体Sに反射した反射光を受光する受光部4とを備えて構成されている。発光部3及び受光部4は、例えば、100〜300本もの多数の光ファイバを収束させた発光ファイバ束3a及び受光ファイバ束4aの一端面で構成されている。また、この携帯用糖度計のケース体1内には、発光ファイバ束3aの他端面側に設けられ、近赤外線領域の波長を含む光を発生させてこの発光ファイバ束3aに光を供給して発光部3から光を照射させる例えばハロゲンランプからなる光源部5と、受光ファイバ束4aの受光部4が受光した光を分光処理し光電変換器7を有した分光器6と、光電変換器7で変換した電気信号に基づいて糖度を算出するデータ処理部8と、データ処理部8で算出された糖度を表示する表示部(図示せず)とが備えられている。
【0003】従来、分光器6は、図18に示すように、受光ファイバ束4aを構成要素とするとともに、遮光材で形成され内部を略暗室状態とするハウジングに設けられ、受光ファイバ束4aの他端面が対向し受光ファイバ束4aから送られた光を通過させる幅が0.5mm程度の入射スリット6aと、入射スリット6aを通過した光を適宜の角度で反射させる反射鏡6bと、反射鏡で反射された反射光を分散させるための凹面回折格子6cと、凹面回折格子6cによって分光処理された光を電気信号に変換する複数個の光電変換素子からなる光電変換器7と、凹面回折格子6cによって分散された光を光電変換器7に向けて反射させる別の反射鏡6dとを備えている。凹面回折格子6cの大きさは、30×30mm程度になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この従来の分光器にあっては、凹面回折格子での分光機能を保持するために、凹面回折格子をできるだけ大きくし、また、光の収束性や分解能を良くするために途中に入射スリットや反射鏡を介装しているが、それだけ、装置が大きくなっており、できるだけ、小型にしたいという要請がある。特に上記の糖度計のように、携帯用のものでは、その要請が強い。
【0005】本発明はこのような要請に鑑みてなされたもので、測定精度を確保しつつ装置の小型化を図った分光器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決するための本発明の技術的手段は、一端面を光を受光する受光部とし他端面を受光した光を放光する放光部とした光ファイバと、該光ファイバの放光部から入射される光を分光処理する凹面回折格子とを備えた分光器において、上記光ファイバを、受光部側の受光側ファイバ部と放光部側の放光側ファイバ部とで構成し、上記放光側ファイバ部の開口数を、受光側ファイバ部の開口数よりも小さく設定した構成としている。これにより、放光側ファイバ部の放射角が受光側ファイバ部の入射角よりも小さくなるので、光を受光するときは、大きな入射角で取込むことができ、光の取込みを確実に行なうことができることから、測定精度が向上させられるとともに、凹面回折格子に放光するときは、小さな放射角で放光されていくので、放光の広がりが小さくなり、それだけ、凹面回折格子を小さくすることができることから、小型化が図られる。
【0007】また、このような課題を解決するための本発明の技術的手段は、一端面を光を受光する受光部とし他端面を受光した光を放光する放光部とした光ファイバと、該光ファイバの放光部から入射される光を分光処理する凹面回折格子とを備えた分光器において、上記光ファイバを複数設けるとともに、該複数の光ファイバの放光部を一列に列設させた放光部列を形成して該光ファイバを保持するファイバ保持部を設け、上記放光部列を上記凹面回折格子に直接対向させた構成としている。これにより、放光部列からの光が略点状もしくは線状にして凹面回折格子に直接入射させられ、従来、放光部と凹面回折格子との間に介装していたスリットや反射鏡が不要になり、そのため、小型化が図られる。
【0008】そして、必要に応じ、上記ファイバ保持部を、保持板と、該保持板に形成され上記放光部列が形成されるように複数の光ファイバが嵌挿されるスリットと、スリットに嵌挿された光ファイバをスリットに固定する接着剤とで構成している。光ファイバの保持が確実になり、凹面回折格子に向けて放光させるように確実に対向させることができる。また、必要に応じ、上記放光部列を、ファイバ保持部に保持した後に、光学研磨した構成としている。凹面回折格子に向けて放光させるように確実に対向させることができるとともに、放光が確実に行なわれる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る分光器を説明する。図1乃至図3に示すように、本発明の実施の形態に係る分光器は、上記と同様に、りんごなどの青果物を物体Sとし、その糖度を計測する携帯用光糖度計に組み込まれている。この携帯用糖度計は、把持可能なケース体10に、同様に把持可能な中空円柱状のセンサ本体20を接続して構成されている。センサ本体20は、その一端部に物体Sに接触もしくは近接させられて対向させられる対向部21を有している。対向部21は凹面反射鏡22で構成されている。また、センサ本体20には、対向部21から露出し物体Sに対して光を照射する発光部23と、対向部21から露出し発光部23から照射されるとともに上記凹面反射鏡22に反射されてから物体Sに反射した反射光を受光する受光部24とが設けられている。
【0010】発光部23は、物体Sに対して直接光を照射する白色光発光ランプで構成され、近赤外線領域を含む光線、詳しくは、2500nm以下の近赤外線領域の波長を含む光を照射する。白色光発光ランプとしては、例えば、ハロゲンランプ,キセノンランプやアルゴンランプが用いられ、その出力が、例えば、2W以下程度の極めて小さい出力に設定されている。望ましくは、1W以下であり、更に好ましくは、0.8W以下である。25は発光部23を保持し通電するためのホルダであり、凹面反射鏡22の中心に取付けられている。26はホルダ25を介して発光部23に通電するための電線であり、ケース体10に設けたバッテリー11に接続されている。発光部23は、後述の開始信号があったときバッテリー11からの電源が供給されて所定時間点灯させられる。
【0011】受光部24は、光ファイバFの一端面Faで構成されている。また、光ファイバFの他端面Fbは放光部27として構成されている。光ファイバFは、実施の形態では2本用いられており、各光ファイバFの一端面Faは,図3に示すように、発光部23の近傍に該発光部23を中心にして対称に配置されている。各光ファイバFは、図2に示すように、棒状のチューブ30に挿通されて一端面Faがチューブ30から露出させられて該チューブ30に固定されている。各チューブ30は、凹面反射鏡22に形成した挿通孔31に挿通させられているとともに、凹面反射鏡22よりも内部の前後に設けた一対のスラスト軸受部32に軸方向に移動可能に支持されている。33はスラスト軸受部32をセンサ本体20に固定する前後の固定体である。これにより、受光部24は、対向部21から進出した進出位置Aと該進出位置Aから対向部21側に後退した後退位置Bとの間で進退可能にセンサ本体20に設けられる。
【0012】また、前後の固定体33間において各チューブ30は連結体34で連結されており、この連結体34は、前側の固定体33に当接して停止させられ受光部24を進出位置Aに位置決めする。また、この連結体34と後側の固定体33との間には圧縮状態の付勢手段としてのコイルスプリング35が介装されており、このコイルスプリング35によって、受光部24は進出位置A側に付勢されている。これにより、受光部24は、物体Sに当接させコイルスプリング35の付勢力に抗して移動させられた状態で受光可能になる。更に、センサ本体20には、受光部24が所定長さ後退位置B側に位置したとき受光した光の測定を行なうための開始信号を送出する開始信号送出手段36が設けられている。この開始信号送出手段36は、各チューブ30の後端部間に架設された架設体37と、センサ本体20の所要位置に設けられ、受光部24が所定長さ後退位置B側に位置したとき架設体37に押釦されてオンし開始信号を送出するリミットスイッチ38とから構成されている。この開始信号により、上記の発光部23が点灯させられ、図示外のタイマによって所定時間経過後、発光部23への通電が切断されるようにしている。
【0013】一方、ケース体10には、図1に示すように、本発明の実施の形態に係る分光器40が設けられている。この分光器40は、上記の光ファイバFを構成要素とし、遮光材で形成され内部を略暗室状態とするハウジング41と、このハウジング41に取付けられ各光ファイバFの他端面Fbである放光部27を保持するファイバ保持部42と、受光部24が受光して光ファイバFを通って送られてきた光を分光処理する凹面回折格子43と、ハウジング41に取付けられ凹面回折格子43で分光処理された光を電気信号に変換する複数個の光電変換素子からなる光電変換器44とを備えて構成されている。
【0014】ファイバ保持部42は、図4に示すように、複数の光ファイバFの放光部27を一列に列設させた放光部列28を形成してこの光ファイバFを保持するものであり、円盤状に形成された真ちゅう等の金属製の保持板45と、保持板45に形成され放光部列28が形成されるように複数の光ファイバFが嵌挿される嵌挿孔46と、嵌挿孔46に嵌挿された光ファイバFを嵌挿孔46に固定する接着剤47とで構成されている。また、このファイバ保持部42は、放光部列28を凹面回折格子43に直接対向させ、放光部列28から光を略点状もしくは線状に放光させて凹面回折格子43に入射させるように、該光ファイバFを保持している。各光ファイバFの他端面Fbである放光部27は露出させられており、ファイバ保持部42に保持された後に、光学研磨されている。尚、保持板45の形状は、円盤状に限らず、例えば、矩形状等どのような形状であってもよい。
【0015】凹面回折格子43は、例えば、波長範囲800〜1000nm、外形寸法15×15mm以下のものが用いられる。また、凹面回折格子43は、光軸合わせを可能にする位置微調整用ステージ48に設置されている。例えば、周知のスライド型2軸ステージが用いられる。詳しくは、本実施の形態においては、従来と異なり、凹面回折格子43の前位にスリット及び反射鏡,凹面回折格子43の後位に反射鏡が設けられていない。即ち、受光した光は放光部列28から略点状もしくは線状になって放光されるので、逐一、スリットや反射鏡を用いなくても、光の収束性や分解能が良好に付与される。そのため、スリット及び反射鏡が不要になるので、それだけ、装置の小型化が図られる。
【0016】また、光ファイバFは、図5に示すように、上記のように一端面Faを光を受光する受光部24とし他端面Fbを受光した光を放光する放光部27として、受光部24側の受光側ファイバ部FFと放光部27側の放光側ファイバ部FRとで構成されている。そして、放光側ファイバ部FRの開口数(NAR )は、受光側ファイバ部FFの開口数(NAF )よりも小さく(NAF >NAR )設定されている。即ち、他端面Fbがある放光側ファイバ部FRの放射角が、一端面Faがある受光部24側の受光側ファイバ部FFの入射角よりも小さく設定されている。詳しくは、開口数の大きい光ファイバと、開口数の小さい光ファイバとを、周知の手段によって接続し、左右で開口数を異ならせている。これにより、物体Sからの反射光を取込むときは、大きな入射角で取込むことができ、反射光の取込みを確実に行なうことができることから、測定精度が向上させられるとともに、凹面回折格子43に放光するときは、小さな放射角で放光されていくので、放光の広がりが小さくなり、それだけ、凹面回折格子43を小さくすることができることから、小型化が図られる。光電変換器44は、ハウジング41に取付けられており、凹面回折格子43で分光処理された光を電気信号に変換する複数個の光電変換素子からなる。例えば、光電変換器44は、光電変換素子数256個、素子間隔50μmのものが用いられる。
【0017】また、ケース体10には、光電変換器44で変換した電気信号に基づいて糖度を算出するデータ処理部50と、データ処理部50で算出された糖度を表示する表示部51とが備えられている。データ処理部50は、ケース体10内に設けられ光電変換器44で変換した電気信号に基づいて糖度を算出するものであり、図6に示すように、例えばマイクロプロセッサ等の機能によって実現され、上記のリミットスイッチ38からの開始信号が送出されたとき機能し、例えば、光電変換器44からの電気信号により糖に帰属する波長の吸光度及び糖に帰属しないとされる波長の吸光度を算出する吸光度算出部52と、これらの二次微分値を演算する二次微分演算部53と、この演算された二次微分値を用いて物体Sの糖度を演算する糖度演算部54とを備えて構成されている。尚、上記の波長は適宜選択して良い。また、上記のバッテリー11は、データ処理部50の電源としても機能する。また、図1に示すように、電源スイッチ55(メインスイッチ),リセットスイッチ56等のスイッチが設けられている。
【0018】従って、この実施の形態に係る分光器40を用いた携帯用光糖度計を用いて糖度を計測するときは、例えば、物体Sとしてのりんご(検査対象)の例で説明すると、以下のようにして行なう。この場合、分光器40において、凹面回折格子43は、位置微調整用ステージ48によって、予め、この凹面回折格子43により分散した光が光電変換器44上に焦点を結ぶように、その位置が調整されている。そのため、凹面回折格子43を回転させることなく、同時に全波長の光を検出でき、計測の高速化を図ることができるとともに、凹面回折格子43を回転させるための駆動装置を設けなくても良いので、それだけ、小型化が図られる。
【0019】この状態において、電源スイッチ55を投入後、センサ本体20の対向部21を物体Sに向け、受光部24を、物体Sに押付けていく。これにより、受光部24が物体Sに接触し、コイルスプリング35の付勢力に抗して後退位置B側に後退し、受光部24が物体Sに弾接させられる。そして、受光部24が所定長さ後退位置B側に位置し、チューブ30の架設体37がリミットスイッチ38を押釦すると、開始信号が送出され、これにより、発光部23が発光し、物体Sに照射される。また、凹面反射鏡22に反射された光も物体Sに照射される。この場合、物体Sには、発光部23から直接光が照射されるので、発光部23の出力を小さくしても所要の光量が確保される。また、凹面反射鏡22で反射させられた光も物体Sに照射されるので、それだけ照射光の強度が高くなる。そのため、出力を小さくできる分、他の部材への熱の影響が低減され耐久性が向上させられるとともに、消費電力が削減されて省力化が図られ、装置の小型化が図られる。また、凹面反射鏡22による照射光の強度が高くなる分、発光部23の出力を小さくしても所要の光量が確保され、この点でも、出力を小さくできることから、より一層、消費電力が削減されて省力化が図られ、装置の小型化が図られる。更に、受光部24が所定長さ後退位置B側に位置したと、発光部23が発光させられるので、無駄がなく、この点でも、省力化が図られる。
【0020】物体Sに照射させられた光りは、物体Sの表面及び内部に入って反射し、この物体Sの内部に入って反射した光は、光ファイバFの一端面Faである受光部24で受光される。この場合、受光部24が弾接するので、物体Sの内部に反射した反射光を測定することができるとともに、受光部24の位置が前後にずれることがなく、そのため、反射光が一定条件で確実に補足されることになり、それだけ、測定精度が向上させられる。更に、リミットスイッチ38のオン動作により、受光部24を物体Sに弾接させた状態で測定を開始させることができるので、物体Sから離れた状態での測定は行なわれないことになり、そのため、条件の良いところでの測定を行なうことができ、それだけ、測定精度が向上させられる。更にまた、光ファイバFの一端面Faが分離しており、各一端面Faで光を受光させるので、従来のように、多数の光ファイバ束で受光する場合に比較して、面積が小さくなり、反射光を受光しなかったり受光が不十分になる光ファイバの発生が防止され、そのため、確実に反射光が補足されるので、この点でも、測定精度が向上させられる。
【0021】次に、実施の形態に係る分光器40の作用について説明する。受光部24で受光された光は、光ファイバFを通って、図1,図4及び図5に示すように、ファイバ保持部42に保持された光ファイバFの他端面Fbである放光部27から放光されて凹面回折格子43に入射され、その後、この凹面回折格子43で分光され、この分光された光線が光電変換器44の各光電変換素子の表面に焦点を結び、これにより、同時に全波長が計測される。光電変換器44による計測値はデータ処理部50に送られる。この場合、放光部列28からの光を略点状もしくは線状にして凹面回折格子43に直接入射させているので、従来の放光部27と凹面回折格子43との間に介装していたスリットや反射鏡が不要になり、そのため、小型化が図られる。また、光ファイバFにおいて、図5に示すように、放光側ファイバ部FRの開口数は、受光側ファイバ部FFの開口数よりも小さく設定されているので、物体Sからの反射光を取込むときは、大きな入射角で取込むことができ、反射光の取込みが確実に行なわれ、測定精度が向上させられるとともに、凹面回折格子43に放光するときは、小さな放射角で放光されていくので、放光の広がりが小さくなり、それだけ、凹面回折格子43を小さくすることができることから、小型化が図られる。
【0022】データ処理部50では、図6に示すように、光電変換器44からの電気信号により吸光度算出部52が糖に帰属する波長の光の吸光度及び糖に帰属しないとされる波長の光の吸光度を算出し、これらの二次微分値を二次微分演算部53により演算し、この演算された二次微分値を用いて糖度演算部54により糖度を演算する。糖度の演算結果は表示部51にデジタル表示される。この場合、糖に帰属する波長の吸光度と、糖へ帰属しないとされる波長の吸光度とを測定し、これらの吸光度の二次微分値を演算し、この演算結果に基づいて糖度を算出するので、二次微分値を用いることから原スペクトルをデータとする場合に比較して、バックグラウンドによるノイズが消去されたデータとすることができ、それだけ、糖度の推定精度を向上させることができる。また、糖に帰属する波長の吸光度と、糖へ帰属しないとされる波長の吸光度とを用いることになるので、互いに一次独立の関係にある2変数の固定の検量線を作成することができ、それだけ、精度の高い糖度を算出できる。
【0023】次に、受光部24の設け方の別の例について説明する。これは、図7に示すように、受光部24を光ファイバFの一端面Faで構成し、光ファイバFを複数用いて該複数の光ファイバFの一端面Faを一列に列設した列設体60を形成し、この列設体60を発光部23の周囲近傍に1もしくは2以上配置して構成したものである。光ファイバFは、全部で100未満の複数が望ましく、例えば、12本または24本等に設定されている。また、これらの光ファイバFは、図8に示すように、収束されて上記と同様のファイバ保持部42に光ファイバFの放光部27を一列に列設させた放光部列28を形成して保持されている。また、図7に示す光ファイバFは、そのコア径として100〜200μmの範囲のいずれかのものを選択している。
【0024】図7(a)に示す例では、3本または6本の光ファイバFからなる受光部24を列設して列設体60を構成し、この列設体60を4つ用い、これらを発光部23を中心にした正四角形辺上に対称配置している。図7(b)に示す例では、4本または8本の光ファイバFからなる受光部24を列設して列設体60を構成し、この列設体60を3つ用い、これらを発光部23を中心にした正三角形辺上に対称配置している。図7(c)に示す例では、2本または4本の光ファイバFからなる受光部24を列設して列設体60を構成し、この列設体60を6つ用い、これらを発光部23を中心にした正六角形辺上に対称配置している。図7(d)に示す例では、6本または12本の光ファイバFからなる受光部24を列設して列設体60を構成し、この列設体60を2つ用い、これらを発光部23を中心に両側に平行に対称配置している。図7(e)に示す例では、3本または6本の光ファイバFからなる受光部24を円弧状に列設して列設体60を構成し、この列設体60を4つ用い、これらを発光部23を中心にした円上に対称配置している。
【0025】従って、図7に示す別の例に係る携帯用光糖度計によれば、光ファイバFの一端面Faを一列に列設して、線条に並んだ受光部24の列設体60で受光させるので、従来のように、100以上もの多数の光ファイバ束で受光する場合に比較して、面積が小さくなり、反射光を受光しなかったり受光が不十分になる光ファイバFの発生が防止され、そのため、確実に反射光が補足されるので、測定精度が向上させられる。
【0026】次にまた、受光部24の設け方の別の例について説明する。これは、図9に示すように、受光部24を光ファイバFの一端面Faで構成し、光ファイバFを100本未満の複数本を用いて該複数の光ファイバFの一端面Faを集合させた集合体61を形成し、この集合体61を発光部23の近傍に1もしくは2以上配置したものである。また、図10に示すように、1つの集合体61を対向部21の中心に配置し、この集合体61の周囲に発光部23を複数配置したものである。光ファイバFは、例えば、12本または24本等に設定されている。図9及び図10に示す光ファイバFは、そのコア径として100〜200μmの範囲のいずれかのものを選択している。集合体61は、コア径が175μmのものを9本と100μmのものを12本を混在させている。これらの光ファイバFは、上記と同様に、図8に示すように、収束されて上記と同様のファイバ保持部42に光ファイバFの放光部27を一列に列設させた放光部列28を形成して保持されている。
【0027】図9(a)に示す例では、集合体61を4つ用い、これらを発光部23を中心にし、等距離,等角度関係で対称配置している。図9(b)に示す例では、集合体61を3つ用い、これらを発光部23を中心にし、等距離,等角度関係で対称配置している。図9(c)に示す例では、集合体61を2つ用い、これらを発光部23を中心にし、等距離,等角度関係で対称配置している。図10(a)に示す例では、集合体61を対向部21の中心に配置し、発光部23を4つ用い、これらを集合体61を中心にし、等距離,等角度関係で対称配置している。図10(b)に示す例では、集合体61を対向部21の中心に配置し、発光部23を3つ用い、これらを集合体61を中心にし、等距離,等角度関係で対称配置している。図11(c)に示す例では、集合体61を対向部21の中心に配置し、発光部23を2つ用い、これらを集合体61を中心にし、等距離,等角度関係で対称配置している。
【0028】従って、図9及び図10に示す別の例に係る携帯用光糖度計によれば、100未満の受光部24の集合体61で受光させるので、従来のように、100以上もの多数の光ファイバ束で受光する場合に比較して、面積が小さくなり、反射光を受光しなかったり受光が不十分になる光ファイバFの発生が防止され、そのため、確実に反射光が補足されるので、測定精度が向上させられる。
【0029】図11には、携帯用光糖度計の別のセンサ本体20が示されている。これは、図1に示す例と異なって、対向部21を、凹面反射鏡を用いずに、例えば、金属製の円柱ブロック62で構成し、この円柱ブロック62の中央の穴63に白色光発光ランプからなる発光部23を露出させ、その周囲に受光部24を固定した構成としている。詳しくは、円柱ブロック62の外側に軸方向の溝64を形成し、この溝64に光ファイバFを列設し、列設した光ファイバを溝64に嵌合させた押え体65で押えて、複数の光ファイバFの一端面Faを一列に列設した列設体60を形成している。図11に示す受光部24は、図7(a)と同様の配置のものとした。尚、受光部24は、図3に示すように、受光部24を構成する光ファイバFを数本用い、各光ファイバFの一端面Faを分離して発光部23の近傍に配置し、あるいは、図7(b)(c)(d)(e)に示すように構成し、あるいはまた、図9乃至図10に示すように、光ファイバFを100本未満の複数本を用いて該複数の光ファイバFの一端面Faを集合させた集合体61を形成し、集合体61を上記受光部24の近傍に1もしくは2以上配置する等、適宜に設けて良い。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
[実施例1]実施例1の分光器は、図1に示すものと同様の携帯用光糖度計に用いられている。但し、光ファイバFとして、開口数を単一(NA=0.2)のものとし、コア径100μm、クラッド径125μmのものを用いた。発光部23には、キセノンランプ1個を使用し、凹面反射板22には直径19mmの椀状のものを使用した。また、ケース体10の分光器40は、凹面回析格子43として、波長範囲800nm〜1000nm、外形寸法15×15mm、分光有効寸法12mm×12mmのものを用いた。その他、ケース体10には、光電変換器44(リニアイメージセンサー),マイコンシステムからなるデータ処理部50、データ表示部51、電源スイッチ55及び投光光源用電源とマイコンシステム駆動用電源データ表示用電源を兼ねるバッテリー11を設けた。
【0031】そして、実施例1に係る糖度計及び従来の方法による糖度計について、リンゴの糖度測定を行ない、反射光のピックアップ強度の比較試験を行なった。従来法による糖度計は、30Wのハロゲンランプを用い、光ファイバ束で送光し、この光ファイバ束の一端部を発光部とした。また、受光する光ファイバ(ピックアップ用光ファイバ)は従来法、本実施例1ともに、コア径100μm,開口数(NA)0.2,クラッド径125μmを2本使用した。実施例1では、発光部23のキセノンランプの出力を、0.75W(発光部1)の場合と、1.25W(発光部2)の場合で試験した。試験は、発光部と受光部との距離を変え、各距離において、光ファイバのピックアップパワー(dBm)を測定した。その測定結果を図12に示す。
【0032】実施例1に係る糖度計によれば、0.75Wの光源(従来の1/40の強度)を用いたときでさえも16倍光をピックアップすることが可能となった。また、分光器においては、スリットや反射鏡がないので、生産の為の工数を1/3以下に短縮でき、従来品と比較して約1/5〜1/10の価格とすることが可能となった。図13に、単位時間当りの調整台数を従来のスリットや反射鏡を設ける場合と実施例1とで比較した結果を示す。更に、図14に示すように、相関係数値や標準誤差も従来法に比べてかなりよく、信頼性が高いものとなった。
【0033】次に、実施例2乃至9に係る糖度計を示す。これは、分光器の構成は実施例1と同様である。この糖度計においては、センサ本体20を、図11の構造であって、図7(a)(b)に示す配置にし、ファイバ保持部42を、図8に示す構造にした。
[実施例2]
a.センサ本体これは、直径10mmの真鍮棒(長さ20mm)に、軸方向に90度間隔で深さ2.95mm,幅1mmの4本の溝を入れ、光ファイバをこの溝内に列設し、幅0.130mm,長さ1mmの列設体を作成した。光ファイバは、各溝で6本ずつ使用し全部で24本とした。真鍮棒の中心に、発光部を固定した。溝に列設した光ファイバを、厚さ1mmの押え体(長さ15mm,高さ2.8mmの真鍮板)で押え、固定には光学接着剤を使用した。使用した光ファイバとして、コア径114μm、クラッド径120μmを使用した。光ファイバの材質は、石英系の紫外線領域用を用い、930nm付近に大きな光の吸収があるものである。開口数(NA)は0.2とし、単一のものを用いた。光ファイバを固定した後、光ファイバの先端を揃える為と、光の損失を防ぐ為に、端面を光学研磨した。研磨の最終仕上げは0.02μm砥粒を使ったパフ研磨を施した。
b.ファイバ保持部2枚の真鍮板を用い、一方の真鍮板に長さ3mm,幅0.125mmのスリットを形成し、2枚の真鍮板を重ね合わせた時、孔が出来るようにした。そして、幅10mm,長さ20mm,厚さ6mmのブロックとした。次に、スリットのある真鍮板に光ファイバの放光部を一列に並ベ、別の真鍮板を重ねて押さえ、ねじで仮止めし、光学接着剤を使用し固定した。光ファイバを固定した後、光ファイバの先端を揃える為と、光の損失を防ぐ為に、端面を光学研磨した。研磨の最終仕上げは0.02μm砥粒を使ったパフ研磨を施した。
【0034】[実施例3]
a.センサ本体これは、直径10mmの真鍮棒(長さ20mm)に軸方向に120度間隔で3本、深さ2.95mm,幅1.25mmの溝を入れ、光ファイバを溝に各々8本(合計24本)を列設し、列設した光ファイバを厚さ1.25mm,長さ15mm,高さ2.8mmの真鍮製の押え体で押さえ、光学接着剤を使用して固定し、幅0.130,長さ1.25mmの列設体を作成した。使用した光ファイバはコア径114μm、クラッド径120μmである。光ファイバの材質は、石英系の紫外線領域用の光ファイバで、930nm付近に大きな光の吸収があるものである。開口数(NA)は0.2である。固定した後、光ファイバの先端を揃える為と、光の損失を防ぐ為に、端面を光学研磨した。研磨の最終は0.02μm砥粒を使ったバフ研磨を施した。
b.ファイバ保持部実施例3と同様に作成した。
【0035】[実施例4] 実施例2と同様の構成で、光ファイバとして、開口数が0.26のものを用いた。
[実施例5] 実施例3と同様の構成で、光ファイバとして、開口数が0.26のものを用いた。
[実施例6] 実施例2と同様の構成で、光ファイバとして、コア径が170μmのものを用いた。
[実施例7] 実施例3と同様の構成で、光ファイバとして、コア径が170μmのものを用いた。
[実施例8] 実施例4と同様の構成で、光ファイバとして、コア径が170μmのものを用いた。
[実施例9] 実施例5と同様の構成で、光ファイバとして、コア径が170μmのものを用いた。
【0036】これらの実施例2〜9に係る糖度計と従来の方法による糖度計とで比較試験を行なった。従来の方法による糖度計は、図11に示すような列設体を4つ備えたものに、光ファイバ束の端部を発光部とし、30Wのハロゲンランプからこの光ファイバ束に送光するように構成した。各実施例において、発光部は0.6W(外径3.2mm)のキセノンランプを用いた。そして、ピックアップパワー(dBm),半値全幅(nm),相関係数(R),標準誤差を測定した。半値全幅は、従来法及び各実施例ともに、ピックアップ光を凹面回折格子に照射分光したものを、コア径100μmのファイバで拾い、光スペクトラムアナライザで分析した。結果を図15に示す。結果から、実施例は、ピックアップパワー,半値全幅ともに、従来法に勝り、相関係数,標準誤差の点においても、良い値が出た。高性能で安価な測定装置ができた。
【0037】次に、実施例10乃至14に係る糖度計を示す。これは、上記の実施例2に係る分光器において、図5に示すように、光ファイバの、受光側ファイバ部と放光側ファイバ部とで、開口数を変えたものである。

【0038】そして、この実施例10乃至14に係る糖度計及び上記従来法に係る糖度計について、実施例2の比較で用いた開口数が単一の従来法による糖度計とともに、ピックアップパワー(dBm),半値全幅(nm)について測定した。光ファイバはコア径100μmのものを使用し、凹面回折格子(グレーテング)までの距離は約10cmに設定した。また、実施例10乃至14に係る分光器において、従来法による糖度計の出力(パワー)を基準にした凹面回折格子の大きさを、従来法による糖度計の凹面回折格子の大きさと比較して示した。結果を図16に示す。放光側ファイバ部(凹面回析格子側)に開口数(放射角)が小さい(NA=0.13(約14度),NA=0.20(約23度))ものを使用することで、回析格子は小さくすることができ、コストの大幅な削減が可能となった。また、受光側ファイバ部(ピックアップ側)に放光側ファイバ部より開口数(NA)が大きい光ファイバを使用することで広範囲の被検体の内部情報を得ることができ、特性的に安定した装置が可能になった。開口数がが0.13の時のピックアップ可能な角度は約14度で、開口数が0.35の場合は約41度の範囲である。同じ大きさの回析格子を使用した場合、本方法によれば光源を従来のものに比べ格段に小さいもので済ませることができた。
【0039】尚、上記実施の形態及び実施例においては、分光器を糖度計に用いたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、分光器単体で用い、あるいは別の装置に組み込む等適宜変更して差支えない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の分光器によれば、光ファイバを、受光部側の受光側ファイバ部と放光部側の放光側ファイバ部とで構成し、放光側ファイバ部の開口数を、受光側ファイバ部の開口数よりも小さく設定したので、放光側ファイバ部の放射角が受光側ファイバ部の入射角よりも小さくなり、光を受光するときは、大きな入射角で取込むことができ、光の取込みを確実に行なうことができることから、測定精度を向上させることができるとともに、凹面回折格子に放光するときは、小さな放射角で放光されることから、光の広がりが小さくなり、それだけ、凹面回折格子を小さくすることができ、小型化を図ることができる。
【0041】また、本発明の分光器によれば、光ファイバを複数設けるとともに、該複数の光ファイバの放光部を一列に列設させた放光部列を形成して該光ファイバを保持するファイバ保持部を設け、この放光部列を凹面回折格子に直接対向させたので、放光部列からの光を略点状もしくは線状にして凹面回折格子に直接入射させることができ、そのため、従来放光部と凹面回折格子との間に介装していたスリットや反射鏡が不要になり、それだけ、小型化を図ることができる。
【0042】そして、ファイバ保持部を、保持板と、該保持板に形成され放光部列が形成されるように複数の光ファイバが嵌挿されるスリットと、スリットに嵌挿された光ファイバをスリットに固定する接着剤とで構成した場合には、光ファイバの保持を確実にすることができるとともに、凹面回折格子に直接光を入射させるよう指向性を確保できる。また、放光部列を、ファイバ保持部に保持した後に、光学研磨した場合には、放光を確実に行なわせ、凹面回折格子に直接光を入射させるよう指向性を確保できる。
【出願人】 【識別番号】000223160
【氏名又は名称】東和電機工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】丸岡 裕作
【公開番号】 特開平11−183250
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−356536