トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験




【発明の名称】 変位検出装置
【発明者】 【氏名】亀田 芳彦

【要約】 【課題】この発明は、長期間に亘り信頼性の高い高精度な変位測定を実現し得るようにすることにある。

【解決手段】第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの故障を判定して、故障なしを判定した状態で、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力A1 〜A4 に基づいて直線走査鏡6の二軸方向の変位を算出し、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのうち故障したセンサ12a〜12dの出力系統を断して、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのうち正常なセンサ出力に基づいて、その利得を可変設定して直線走査鏡6の二軸方向の変位を算出するように構成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検出体の検出軸と略直交する二軸方向の中間位置に前記被検出体を挟んで略放射状に対向配置される複数対の変位センサと、この複数対の変位センサの故障の有無を判定する判定手段と、この判定手段の判定に応じて故障した変位センサの出力系統を断するスイッチ手段と、このスイッチ手段を介して入力される前記複数対の変位センサのセンサ出力に基づいて前記被検出体の二軸方向の変位を算出するものであって、前記スイッチ手段の断の有無に応じて利得を可変設定して前記二軸方向の変位を算出する演算処理手段とを具備した変位検出装置。
【請求項2】 被検出体の検出軸と略直交する二軸方向の中間位置に前記被検出体を挟んで略放射状に対向配置される複数対の変位センサと、この複数対の変位センサのセンサ出力に基づいて前記被検出体の二軸方向の変位を算出するものであって、前記複数対の変位センサの故障を判定した状態で、故障した変位センサに応じて利得を可変設定して前記二軸方向の変位を算出する演算処理手段とを具備した変位検出装置。
【請求項3】 前記演算処理手段は、変位センサが故障した状態で、故障している変位センサと対を形成する他方の変位センサの出力の属する演算式の項の利得を約半分に設定して被検出体の二軸方向の変位を算出することを特徴とする請求項1又は2記載の変位検出装置。
【請求項4】 前記変位センサは、4個、二対が被検出体を挟んで放射状に対向配置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の変位検出装置。
【請求項5】 前記被検出体は、ヨークが検出軸に対応して取付けられ、このヨークに対して電磁石の磁気力を付与して磁気浮上されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の変位検出装置。
【請求項6】 前記被検出体は、干渉計の直線走査鏡であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の変位検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば人工衛星等の宇宙航行体に搭載されて、大気観測等に供するFT(フーリエ分光計)用干渉計に係り、特に、その磁気浮上システムに用いるのに好適する変位検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、FT(フーリエ分光計)は、分光分析、光学部品の透過率測定や大気中から放出される微量ガスの測定する分光器として用いられることが知られている。このようなFTに用いられる干渉計としては、図2に示すように筐体1に入力部が形成され、この筐体1の入力部には、光源(被検出体)2からの光がコリメータレンズ3を介して平行光に変換されて入射される。
【0003】上記筐体1内には、周知のビームスプリッタ4が、入射光を透過光と反射光に分割するように配置され、入射した平行光が該ビームスプリッタ4に導かれる。このビームスプリッタ4の反射光路には、固定鏡5が配置される。固定鏡5は、ビームスプリッタ4を介して導かれた光を反射して再びビームスプリッタ4に導く。
【0004】また、ビームスプリッタ4の透過光路上には、直線走査鏡6が図示しない直線駆動部を介して矢印方向に直線走査自在に配置される。そして、ビームスプリッタ4の干渉光路上には、集光レンズ7及び光検出器8が配設される。これにより、ビームスプリッタ4で透過した透過光は、直線走査鏡6に導かれて該直線走査鏡6で反射され、再びビームスプリッタ4に導かれる。この際、直線走査鏡6は、上記直線駆動部(図示せず)により透過光路上に直線駆動される。
【0005】ここで、上記固定鏡5からの光と、直線走査鏡6からの光は、ビームスプリッタ4に導かれて干渉された後、集光レンズ7を介して光検出器8に導かれて、該光検出器8で干渉光の強度が検出され、干渉光の強度に基づいて大気成分が検出される。
【0006】ところで、このようなFT用干渉計は、その直線走査鏡6を図3及び図4に示すようにヨーク10に取付けて、このヨーク10の周囲に後述する磁気浮上機構11(図5参照)を構成する複数の電磁石11a〜11dが所定の間隔に対向配置される。
【0007】そして、ヨーク10の周囲部には、検出軸と略直交する二軸(X軸及びY軸)方向の中間部にヨーク10を挟んで二対、4個の第1乃至第4の変位センサ12a〜12dが放射状に対向配置された変位検出装置30(図5参照)が配設される。即ち、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dは、その第1及び第2の変位センサ12a,12b、第3及び第4の変位センサ12s,12dを対として二対、X軸方向とY軸方向の中間部であって、ヨーク10の検出軸を挟んで対向配置される。
【0008】そして、この変位検出装置30の第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの出力端には、図6に示すように演算処理部9が接続され、この演算処理部9でセンサ出力A1 〜A4 に基づいて直線走査鏡6のX軸方向の変位量DX 、Y軸方向の変位量DY をDX =(A1 +A4 )−(A3 +A3 )
DY =(A1 +A3 )−(A3 +A4 )
の式に基づいて算出する。
【0009】上記変位検出装置30には、図6に示すように制御回路31が接続され、上記直線走査鏡6の二軸回りの変位量DX 及びDY を検出して制御回路31に出力する。制御回路31には、磁気浮上機構11が接続され、入力した変位量DX 及びDY に基づいて駆動信号を生成して磁気浮上機構11の上記電磁石11a〜11dを駆動制御してヨーク10の検出軸を矢印方向に直線走査自在に磁気浮上させて、直線走査鏡6を所定の位置に位置決めする。
【0010】ところが、上記変位検出装置では、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dが一つでも故障すると、直線走査鏡6のX軸及びY軸方向の高精度な変位測定が困難となり、干渉計の高精度な測定に支障を来すという問題を有する。
【0011】係る問題は、特に、宇宙開発の分野に適用した場合、宇宙空間において、変位センサの交換を含む保守点検作業が非常に困難であるために、重大な課題となっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従来の変位検出装置では、変位センサが一つでも故障すると高精度な変位測定が困難となるという問題を有する。この発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、簡易な構成で、且つ、長期間に亘り信頼性の高い高精度な変位測定を実現し得るようにした変位検出装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明は、被検出体の検出軸と略直交する二軸方向の中間位置に前記被検出体を挟んで略放射状に対向配置される複数対の変位センサと、この複数対の変位センサの故障の有無を判定する判定手段と、この判定手段の判定に応じて故障した変位センサの出力系統を断するスイッチ手段と、このスイッチ手段を介して入力される前記複数対の変位センサのセンサ出力に基づいて前記被検出体の二軸方向の変位を算出するものであって、前記スイッチ手段の断の有無に応じて利得を可変設定して前記二軸方向の変位を算出する演算処理手段とを備えて変位検出装置を構成した。
【0014】上記構成によれば、変位センサが故障すると、演算処理手段は、複数対の変位センサの出力のうち故障した変位センサの入力を取除いて入力され、故障した変位センサに応じた利得を可変設定して、入力した他の変位センサの出力に基づいて、被検出体の二軸方向の変位を算出する。これにより、変位センサの数を増加させることなく、対を構成する一方の変位センサが故障した状態おける冗長系が構成されて、信頼性の確保される二軸方向の変位の検出が可能となる。
【0015】また、この発明は、被検出体の検出軸と略直交する二軸方向の中間位置に前記被検出体を挟んで略放射状に対向配置される複数対の変位センサと、この複数対の変位センサのセンサ出力に基づいて前記被検出体の二軸方向の変位を算出するものであって、前記複数対の変位センサの故障を判定した状態で、故障した変位センサに応じて利得を可変設定して前記二軸方向の変位を算出する演算処理手段とを備えて変位検出装置を構成した。
【0016】上記構成によれば、変位センサが故障すると、演算処理手段は、複数対の変位センサの出力のうち故障した変位センサの入力を判定して、故障した変位センサに応じた利得を可変設定し、正常と判定した他の変位センサの出力に基づいて、被検出体の二軸方向の変位を算出する。これにより、変位センサの数を増加させることなく、対を構成する一方の変位センサが故障した状態おける冗長系が構成されて、信頼性の確保される二軸方向の変位の検出が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る変位検出装置を示すもので、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dは、その出力端がスイッチ回路20に接続される。 但し、図1においては、第1乃至第4の変位センサ20は、前記図3及び図4と略同様に磁気浮上機構11を構成するヨーク10及び電磁石11a〜11dに対応して対向配置されることで、同一部分については、同一符号を付して、その詳細な説明については省略する。
【0018】すなわち、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dは、前述したようにその第1及び第2の変位センサ12a,12b、第3及び第4の変位センサ12s,12dを対として二対、X軸方向とY軸方向の中間部であって、ヨーク10の検出軸を挟んで対向配置される。この第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの出力端にはスイッチ回路20が接続され、このスイッチ回路20の出力端には、アナログ/デジタル(A/D)変換器21を介して演算処理部22が接続される。
【0019】また、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dには、故障判定部23が接続され、この故障判定部23の出力端は、上記スイッチ回路20の信号入力端に接続される。スイッチ回路20は、故障判定部23からのセンサ故障信号に基づいてスイッチ回路21を選択的に断して故障した変位センサ12a〜12dの出力系統を遮断して、そのセンサ出力A1 〜A4 を断する。
【0020】なお、故障判定部23としては、例えば第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力A1 〜A4 を、一旦、地上局に送信する宇宙用干渉システムの場合には、地上において故障の有無を判定して、故障判定信号を送信するように構成してもよい。
【0021】上記演算処理部22は、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの故障の有無に応じてその利得が可変するように予め設定され、例えば第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力A1 〜A4 がスイッチ回路20を介してA/D変換器21に入力される。A/D変換器21は、入力したセンサ出力A1 〜A4 をデジタル信号に変換して演算処理部22に出力する。すると、演算処理部22は、入力したセンサ出力A1 〜A4 に基づいて前記直線走査鏡6のX軸方向の変位量DX 、Y軸方向の変位量DY を DX =(A1 +A4 )−(A3 +A2 ) …(1)
DY =(A1 +A3 )−(A2 +A4 ) …(2)
の式に基づいて算出する。
【0022】そして、演算処理部22は、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのうち、例えば第1の変位センサ12aが故障すると、第2乃至第4の変位センサ12b,12c,12dのセンサ出力A2 〜A4 が入力され、このセンサ出力A2 〜A4 に基づいて(1)及び(2)式の利得を約1/2に可変した DX =A4 −(A3 +A2 )×0.5 …(3)
DY =A3 −(A2 +A4 )×0.5 …(4)
の演算を実行して変位量DX 、DY を算出する。
【0023】また、演算処理部22は、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのうち、例えば第3の変位センサ12cが故障すると、第1.第2及び第4の変位センサ12a,12b,12dのセンサ出力が入力され、このセンサ出力A1 ,A2 ,A4 に基づいて(1)及び(2)式の利得を約1/2に可変して DX =(A1 +A4 )×0.5−A2 …(5)
DY =A1 −(A2 +A4 )×0.5 …(6)
の演算を実行して変位量DX 、DY を算出する。
【0024】上記構成において、前記磁気浮上機構11が駆動されてヨーク10が浮上されると、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dは、ヨーク10との間隙に応じたセンサ出力A1 〜A4 をスイッチ回路20に出力する。
【0025】同時に、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力A1 〜A4 は、故障判定部23に入力される。故障判定部23は、入力したセンサ出力A1 〜A4 に基づいて第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの故障の有無を、例えば予め設定されるしきい値に基づいて判定して、故障を判定した状態で故障判定信号をスイッチ回路20に出力し、該スイッチ回路20を切替え制御する。ここで、スイッチ回路20は、故障判定信号に基づいて第1乃至第4の変位センサ12a〜12dを切替え設定して、センサ出力A1 〜A4 を選択的にA/D変換部21を介して演算処理部22に出力する。
【0026】演算処理部22は、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの故障がない状態で、これら第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力A1 〜A4に基づいて上記(1)及び(2)式の演算を実行して二軸方向の変位量DX 及びDY を算出する。
【0027】そして、演算処理部22は、第1の変位センサ12aが故障してスイッチ回路21を介して第1の変位センサ12aのセンサ出力A1 が断されると、第2乃至第4の変位センサ12b,12c,12dのセンサ出力A2 〜A4 に基づいて、上記(3)及び(4)式の演算を実行して二軸方向の変位量DX 及びDY を算出する。
【0028】また、演算処理部22は、第3の変位センサ12cが故障してスイッチ回路20を介して第3の変位センサ12cのセンサ出力A3 が断されると、第1、第2及び第4の変位センサ12a,12b,12dのセンサ出力A1 ,A2 ,A4 に基づいて上記(5)及び(6)式の演算を実行して二軸方向の変位量DX 及びDY を算出する。
【0029】このように、上記変位検出装置は、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの故障を判定して、故障なしを判定した状態で、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力A1 〜A4 に基づいて直線走査鏡6の二軸方向の変位を算出し、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのうち故障したセンサ12a〜12dの出力系統を断して、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのうち正常なセンサ出力に基づいて、その利得を可変設定して直線走査鏡6の二軸方向の変位を算出するように構成した。
【0030】これによれば、センサ数を増加させることなく、対を構成する第1及び第2の変位センサ12a,12b、あるいは第3及び第4の変位センサ12c,12dの一方が故障した状態おける冗長系が構成されることにより、長期間に亘る信頼性の高い二軸方向の変位の検出が実現され、例えば干渉計の寿命の長寿命化を図ることができる。
【0031】なお、上記実施の形態では、上記実施の形態では、対を構成する第1及び第2の変位センサ12a,12b、第3及び第4の変位センサ12c,12dのいずれか一方が故障した場合で説明したが。これに限ることなく、例えば二対の双方の一方が故障した場合においても、その利得をさらに可変設定することにより、略同様の精度で変位量DX 及びDY を求めることが可能である。
【0032】また、上記実施の形態では、スイッチ回路21及び故障判定部23を設けて、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの故障を判定して第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの出力系統を直接的に断するように構成した場合で説明したが、これに限ることなく、例えばスイッチ回路21を設けて第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの出力系統を断するように構成することなく、演算処理部22で第1乃至第4の変位センサ12a〜12dのセンサ出力に基づいてに故障の有無を判定して、正常なセンサ出力に基づいて利得を選択的に可変設定して直線走査鏡6の二軸方向の変位量DX 及びDY を算出するように構成することも可能である。
【0033】さらに、上記実施の形態では、被検出体として、干渉計に設けられ、磁気浮上機構11によりヨーク10を磁気浮上させた直線走査鏡6の二軸方向の変位を検出するように構成した場合で説明したが、この磁気浮上方式の変位検出に限ることなく、各種の被検出体の変位検出に適用することが可能である。
【0034】また、さらに、上記実施の形態では、センサとして、第1乃至第4の変位センサ12a〜12dの4個を用いて構成した場合で説明したが、このセンサ数に限ることなく、構成可能である。よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることは勿論のことである。
【0035】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、簡易な構成で、且つ、長期間に亘り信頼性の高い高精度な変位測定を実現し得るようにした変位検出装置を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成9年(1997)11月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開平11−160150
【公開日】 平成11年(1999)6月18日
【出願番号】 特願平9−328599