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【発明の名称】 流量計の検出子及びその製造方法
【発明者】 【氏名】福田 勝

【氏名】谷 譲

【要約】 【課題】接合強度が高く、ピンホ−ル等の発生がなく、インサ−ト部材を所定の位置に固定でき、高精度で流量を測定できる流量計の検出子の提供。

【解決手段】本願の流量計の検出子は、開口部を有する収納部を備えた検出子本体と、前記収納部に嵌挿されるインサ−ト部材と、前記検出子本体の開口部を含む周壁部に覆設して熱融着で前記検出子本体と一体化された蓋部材と、を有し、蓋部材が、底面中央部に前記開口部に嵌合されるリング状又は柱状の凸部と、前記収納部の周壁と接合される前記凸部の周壁部と、前記凸部の周囲に前記開口部周壁と接合される蓋部材接合部と、を備え、蓋部材が凸部の周壁部と蓋部材接合部で検出子本体の収納部の内壁と開口部周壁で熱融着され一体化された構成を有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 開口部を有する収納部を備えた検出子本体と、前記収納部に嵌挿されるインサ−ト部材と、前記検出子本体の開口部を含む周壁部に覆設して熱融着で前記検出子本体と一体化された蓋部材と、を有し、前記検出子本体及び前記蓋部材の少なくともいずれか1種が改質PTFE又は改質PTFEを主成分とする樹脂組成物で形成されていることを特徴とする流量計の検出子。
【請求項2】 前記検出子本体又は前記蓋部材のいずれか1種がPTFE、PFAのいずれか1種を主成分とする樹脂組成物で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量計の検出子。
【請求項3】 前記蓋部材が、底面中央部に前記開口部に嵌合されるリング状又は柱状の凸部と、前記収納部の周壁と接合される前記凸部の周壁部と、前記凸部の周囲に前記開口部周壁と接合される蓋部材接合部と、を有し、前記蓋部材が前記凸部の周壁部と前記蓋部材接合部で前記検出子本体の前記収納部の内壁と前記開口部周壁で熱融着され一体化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量計の検出子。
【請求項4】 前記蓋部材が、接合面側に突出した同軸状の膨出部又は内側に凹んだ凹曲面部からなる蓋部材接合部を有し、前記検出子本体の開口部周壁が前記蓋部材の膨出部又は凹曲面部と当接する傾斜面で形成され、前記蓋部材が前記蓋部材接合部で前記検出子本体の前記開口部周壁で熱融着され一体化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量計の検出子。
【請求項5】 前記開口部周壁と前記蓋部材接合部の対向面が開き角0°〜5°、好ましくは0.1°〜3°、更に好ましくは0.2°〜3°で形成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の流量計の検出子。
【請求項6】 改質PTFE又は改質PTFEを主成分とする樹脂組成物の粉体を加圧成形して開口部を有する収納部を備えた検出子本体及び前記開口部に嵌合又は当接される蓋部材接合部を有する蓋部材を成形する加圧成形工程と、前記加圧成形工程で得られた前記検出子本体及び前記蓋部材を焼成する焼成工程と、前記焼成工程で得られた前記検出子本体の前記収納部にインサ−ト部材を挿入する挿入工程と、前記インサ−ト部材が挿入された前記検出子本体の前記開口部及び/又は前記収納部に前記蓋部材を装着する装着工程と、前記装着工程で装着された前記蓋部材に圧力に換算して0<P<2400〔g/cm2 〕、好ましくは30≦P≦1000〔g/cm2 〕の応力を印加しながら加熱して各々を熱融着させる熱融着工程と、を有することを特徴とする流量計の検出子の製造方法。
【請求項7】 前記加圧成形工程において、前記検出子本体又は前記蓋部材のいずれか1種の前記粉体がPTFE、PFAのいずれか1種又はこれらの1種を主成分とする樹脂組成物で形成されていることを特徴とする請求項6に記載の流量計の検出子の製造方法。
【請求項8】 前記装着工程において、前記蓋部材を前記検出子本体の収納部に嵌合し装着する際に、前記蓋部材の蓋部材接合部と前記検出子本体の開口部周壁との隙間Gを設け、前記隙間Gが検出子の全長Lに対し、G/Lが0≦G/L≦10%、好ましくは0.1≦G/L≦5%の関係を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の流量計の検出子の製造方法。
【請求項9】 前記蓋部材接合部と前記開口部周壁との開き角θが0°<θ<5°、好ましくは0.2≦θ≦3°に形成されていることを特徴とする請求項6乃至8の内いずれか1項に記載の流量計の検出子の製造方法。
【請求項10】 前記熱融着工程において、融着部分の面積をS〔cm2 〕、流量計の全長をL〔cm〕とすると熱融着する際に印加する応力を圧力P〔g/cm2 〕に換算した場合に、次式を充たすことを特徴とする請求項6乃至9の内いずれか1項に記載の流量計の検出子の製造方法。
P=A(T)×(S/L)+B(T)
ここで、A(T)はA(T)=−1.13T+α、B(T)=−0.454T+β、α=780〜850、β=310〜380、α、βは樹脂の種類や配合量によって決定される定数、Tは絶対温度(K)である。
【請求項11】 前記熱融着工程において、印加する応力が圧力Pに換算して0<P<2400〔g/cm2 〕、好ましくは30≦P≦1000〔g/cm2 〕であり、かつ、加熱温度Tが250<T<450〔℃〕、好ましくは320≦T≦390〔℃〕であることを特徴とする請求項10に記載の流量計の検出子の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は流量計の検出子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】近年、フッ素樹脂の国内生産量は半導体産業、自動車産業、あるいは各種精密機械産業の発達により急増し、年間1万数千トン/年、年間の増加率は10%である。これは、フッ素樹脂の化学的、電気的、熱的に優れた特性によるものである。中でもポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)は耐薬品性、耐熱性、耐寒性、耐磨耗性、非粘着性、及び低誘電率等の電気的特性などのユニ−クな特性を有し、特性のバランスの良さに関しては他材に類を見ない。このPTFEの耐薬品性等の特性を利用して、多くの流量計の検出子が提案されている。例えば、特開昭62−63819号公報、実開昭61−80422号公報、実開平5−77727号公報、実開平6−23143号公報、実開平7−18976号公報に開示されている。以下、従来の流量計の検出子について、図面を用いて説明する。図6は従来の流量計の検出子の分解図であり、図7は従来の流量計の検出子の透視斜視図であり、図8は従来の流量計の検出子の縦断面図であり、図9は図8のB部の拡大図である。図6において、51は従来のPTFE製の流量計の検出子、52は下部が円錐状に形成された検出子本体、53は検出子本体52の軸部に同軸状に形成されたインサ−ト部材収納部、54はインサ−ト部材収納部53の開口部、55は開口部54を囲繞する周壁部の蓋部材との当接面、56は当接面55の外周囲に形成された開先部、57は蓋部材、58は蓋部材57の当接面、59は当接面58の外周囲に開先部56と対称形状に形成された開先部、60は蓋部材57の下面に同軸状に形成された凸部、61はインサ−ト部材である。図7乃至図9において、70は開先部56と開先部59の間に充填され溶接されたPFA等の溶接材、71は開先部56、59と溶接材70の溶接面、72は未シ−ル部である。
【0003】以上のように構成された従来の流量計の検出子について、以下その製造方法について説明する。まず、第1工程において、所定量のPTFE粉体を加圧成型して、検出子本体52及び蓋部材57の加圧成形品を成形する。次に、第2工程において、第1工程で得られた検出子本体52及び蓋部材57の予備成形品を焼成炉に移して焼成し、予備成形品を得る。次に、第3工程において、第2工程で得られた予備成形品のバリ等の除去、及び所定の寸法に一次加工される。また、検出子本体52及び蓋部材57を接合させるために、各々に開先部56、59をV字状に形成する。次いで、第4工程において、これらの溶接面を洗浄剤で洗浄し乾燥する等の表面処理を行う。次に、第5工程において、第4工程で得られた検出子本体52のインサ−ト部材収納部53にインサ−ト部材61が嵌挿される。次に、第6工程において、インサ−ト部材61が嵌挿された検出子本体52と蓋部材57の溶接面に溶接用の薬品を塗布する。次いで、第7工程として、検出子本体52に蓋部材57の凸部60を挿入し、当接面55、58を接合する。次いで第8工程として開先部56、59に溶接材としてフッ素樹脂であるテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル重合体(以下、PFAという。)等の溶接棒をヒ−タ等を用いて、熟練工が一つ一つ加熱しながら開先部56と59を溶接する。次に、第9工程において、第8工程において溶接された流量計の検出子を除冷する。除冷しないとPTFEとPFAの熱膨張率の相違により溶接部分が剥離するためである。次いで、第10工程において、溶接部分の肉盛り等を焼成品は切削加工され、バリ等の除去、及び寸法等が微調整され、流量計の検出子11が形成される。
【0004】その他、PTFE粉体中にインサ−ト部材を埋設して加圧成形し、加圧成形により得られた成形体を焼成して作製される埋設型の流量計の検出子がある。図10(a)、(b)は従来の埋設型の流量計の検出子の透視斜視図である。80は従来の埋設型検出子、81は検出子本体、82a、82bは埋設されたインサ−ト部材である。インサ−ト部材82a、82bはPTFE粉体中に埋設して加圧成形する際に、PTFE粉体の充填斑や、インサ−ト部材を埋設する際に位置ずれを起こし、検出子本体81の中心軸から左右にズレたり、傾斜して周壁面等に一部が露出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の流量計の検出子は、以下の課題を有していた。
a.接合面積が狭いため接合強度が低く、耐久性に欠けるという問題点を有していた。
b.また、開先部の周囲に盛られたPFAを旋盤等による切削の際に剥離し製品収率が低いという問題点を有していた。
c.更に、接合強度が弱いため流量計に使用中に溶接剤のPFAが剥離するという問題点を有していた。
d.接合面積が狭く溶接斑が生じ易いので密封製に欠け、ピンホ−ル等により外部の薬品等が内部に侵入してインサ−ト部材等を腐食させるという問題点を有していた。
e.埋設型の流量計の検出子では、加工の際に、インサ−ト部材の位置が安定せず偏芯し製品収率が低いという問題点を有していた。
f.インサ−ト部材の収納部の側壁厚みが極端に薄くなる場合があり、強度的に不安定になるとともに、ピンホ−ル等により外部の薬品等が内部に侵入してインサ−ト部材等を腐食させる等の問題点を有していた。
g.PTFEは溶接処理が困難なため、「検出素子」として加工処理が終了した後、更に他の部品と結合して機能性を向上させるため他の部品と結合しようとしても溶接接合が極めて困難で機能性向上のための二次加工性に欠けるという問題点を有していた。
h.半導体ウェハーの製造時に、PTFE製の流量計検出子は溶剤中にイオンが溶出する場合があり、汎用性に欠けるという問題点を有していた。
【0006】本発明は上記従来の課題を解決するもので、接合強度が高く、ピンホ−ル等の発生がなく、インサ−ト部材を所定の位置に固定でき、高精度で流量を測定できる流量計の検出子の提供、及び、接合強度が高く、耐久性に優れ、インサ−ト部材を所定の位置に容易に固定でき、生産作業性や生産性に優れるとともに高品質の流量計の検出子を高い製品収率で生産できる流量計の検出子の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の流量計の検出子及び流量計の検出子の製造方法は以下の手段を有する。本発明の請求項1に記載の流量計の検出子は、開口部を有する収納部を備えた検出子本体と、前記収納部に嵌挿されるインサ−ト部材と、前記検出子本体の開口部を含む周壁部に覆設して熱融着で前記検出子本体と一体化された蓋部材と、を有し、前記検出子本体及び前記蓋部材の少なくともいずれか1種が改質PTFE又は改質PTFEを主成分とする樹脂組成物で形成された構成を有している。これにより、改質PTFE製の検出子本体と改質PTFE製の蓋部材を直接熱融着するため、開先部を溶接材で接合する場合と異なり、接合面積を広くできることから、接合斑を防止できるとともに接合強度を容易に高くすることができる。また、同一樹脂を直接溶融して接合するため、接合部が一体となり接合斑等の発生を防止し、接合部分のピンホ−ル等の発生を防止することができるという作用を有する。ここで、改質PTFEとしては、懸濁重合時に次の化学式(化1)、(化2)、(化3)で表されるパ−フルオル化エ−テルの1種以上を改質剤として添加して重合されたPTFEが用いられる。
【化1】

【化2】

【化3】

具体的には、ダイキン工業(株)製の商品名モ−ルディングパウダ−(M−111、M−112、M−137)やヘキスト社製のもの等が用いられる。組成物として配合される他の合成樹脂としてはPFA、PTFE等があげられる。PFAを加えることにより、熱融着時間の短縮がはかれ、コストを低減化することができる。また、従来のPTFEを加えることにより熱融着時の保形性を向上できるとともに、希釈剤として優れコストを低減化できる。PFAの配合量としては1wt%〜95wt%、好ましくは1wt%〜80wt%が用いられる。1wt%よりも少なくても添加効果が認められ難く、また80wt%よりも多くなるにつれ、熱融着時の保形性が低下し、インサ−ト部材の芯の位置ズレを招きやすいので好ましくない。従来のPTFEの配合量としては1wt%〜90wt%、好ましくは1wt%〜70wt%が用いられる。1wt%よりも少なくても添加効果が認められ難く、また70wt%よりも多くなるにつれ、接合強度の低下を招きやすいという傾向が現れだすので好ましくない。
【0008】本発明の請求項2に記載の流量計の検出子は、請求項1において、前記検出子本体又は前記蓋部材のいずれか1種が従来のPTFE、PFAのいずれか1種を主成分とする樹脂組成物で形成されている構成を有している。これにより、従来のPTFEを主成分とする樹脂組成物を用いた場合、熱融着時の保形性が向上し、インサ−ト部材の位置決めをより正確にすることができるという作用を有する。またPFAを主成分とする樹脂組成物を用いた場合、熱融着時の処理時間の短縮が可能となり、コストの低減化に効果があるとともに、検出素子を二次加工する場合、他部品との溶接処理の効率が向上するという作用を有する。
【0009】本発明の請求項3に記載の流量計の検出子は、請求項1又は2に記載の発明において、前記蓋部材が、底面中央部に前記開口部に嵌合されるリング状又は柱状の凸部と、前記蓋部材が、底面中央部に前記開口部に嵌合されるリング状又は柱状の凸部と、前記収納部の周壁と接合される前記凸部の周壁部と、前記凸部の周囲に前記開口部周壁と接合される蓋部材接合部と、を有し、前記蓋部材が前記凸部の周壁部と前記蓋部材接合部で前記検出子本体の前記収納部の内壁と前記開口部周壁で熱融着され一体化された構成を有している。これにより、蓋部材が凸部の周壁部を有することで、検出子本体と蓋部材との位置合わせ、仮止め等が容易にできる。また、凸状周壁部が開口部に嵌合されることから接合面積が増加し、外部の薬品等が侵入する侵入経路が長くなるため、ピンホ−ル等による外部の薬品等の侵入を完全に防止することができるとともに、接合強度を著しく高くすることができる。ここで、凸部の周壁部として、表面が平滑でもよいが、アンカ−効果を付与するとともに接合面積を広め接合強度を高めるために、螺子状に螺子切りし、又は凹凸部を設けてもよい。
【0010】本発明の請求項4に記載の流量計の検出子は、請求項1又は2に記載の発明において、前記蓋部材が、接合面側に突出した同軸状の膨出部又は内側に凹んだ凹曲面部からなる蓋部材接合部を有し、前記検出子本体の開口部周壁が前記蓋部材の膨出部又は凹曲面部と当接する傾斜面で形成され、前記蓋部材が前記蓋部材接合部で前記検出子本体の前記開口部周壁で熱融着され一体化された構成を有している。これにより、接合面を拡大し、より強固な接合強度を得ることができるという作用を有する。
【0011】本発明の請求項5に記載の流量計の検出子は、請求項3又は4に記載の発明において、前記開口部周壁と前記蓋部材接合部の対向面が開き角0°〜5°、好ましくは0.1°〜3°、更に好ましくは0.2°〜3°で形成された構成を有している。これにより、開き角を備えているので、熱溶融時に収納部内の空気を逃散させ接合面に空気孔等の生成を防止できる。ここで、開き角は、0.2°よりも小さくなるにつれ、収納部内に気体が残留し易いという傾向が現れ易く、また、3°よりも大きくなるにつれ接合強度の低下及び気密性(シ−ル性)の低下が生じ易いという傾向が現れ易いのでいずれも好ましくない。
【0012】本発明の請求項6に記載の流量計の検出子の製造方法は、改質PTFE又は改質PTFEを主成分とする樹脂組成物の粉体を加圧成形して開口部を有する収納部を備えた検出子本体及び前記開口部に嵌合又は当接される蓋部材接合部を有する蓋部材を成形する加圧成形工程と、前記加圧成形工程で得られた前記検出子本体及び前記蓋部材を焼成する焼成工程と、前記焼成工程で得られた前記検出子本体の前記収納部にインサ−ト部材を挿入する挿入工程と、前記インサ−ト部材が挿入された前記検出子本体の前記開口部及び/又は前記収納部に前記蓋部材を装着する装着工程と、前記装着工程で装着された前記蓋部材に圧力に換算して0<P<2400〔g/cm2 〕、好ましくは30≦P≦1000〔g/cm2 〕の応力を印加しながら加熱して各々を熱融着させる熱融着工程と、を有する構成を有している。これにより、開口部を有する収納部を備えた検出子本体を形成した後に、インサ−ト部材を挿入することから、検出子本体の所定の位置にインサ−ト部材を確実に挿入できインサ−ト部材の位置ズレを防止できるとともに、インサ−ト部材の位置ずれによる強度の低下、内部クラックの発生、歩留りの低下等を抑えることができる。また、加圧して融着する熱融着工程を有することにより、検出子本体の軸線方向への伸びを抑えるとともに、確実に内側から接合でき、接合強度を高め検出子本体と蓋部との接合強度のバラツキを低減できる。
【0013】本発明の請求項7に記載の流量計の検出子の製造方法は請求項6の発明において、前記加圧成形工程において、前記検出子本体又は前記蓋部材のいずれか1種の前記粉体がPTFE、PFAのいずれか1種又はこれらの1種を主成分とする樹脂組成物で形成されている構成を有している。これにより、PTFEを主成分とする樹脂を使用した場合は、熱融着時の保形性が向上し、インサ−ト部材の位置決めがより正確にすることができるという作用を有する。またPFAを主成分とする樹脂組成物を用いた場合、熱融着時の処理時間の短縮が可能になるという作用を有する。
【0014】請求項8に記載の流量計の検出子の製造方法は、請求項6又は7に記載の発明において、前記装着工程において、前記蓋部材を前記検出子本体の収納部に嵌合し装着する際に、前記蓋部材の蓋部材接合部と前記検出子本体の開口部周壁との隙間Gを設け、前記隙間Gが検出子の全長Lに対し、G/Lが0≦G/L≦10%、好ましくは0.1≦G/L≦5%の関係を有する構成を有している。これにより、改質PTFEの熱伝導の他、改質PTFE製の蓋部材と改質PTFE製の検出子本体とに隙間に、周囲の気体等からの熱伝導、及び周囲からの熱放射により熱量が与えられ、改質PTFE製の検出子本体及び改質PTFE製の蓋部材の接合部分を容易に加熱することができることから、確実に接合することができる。また、隙間を所定の長さにすることで、検出子本体と蓋部材の接合個所に肉の盛り上がり現象等を生ずることなく接合個所が目視で識別できないまでに完全に一体化できる。ここで、比G/Lが0.1%よりも小さくなると、インサ−ト部材と検出子本体との間に隙間が生じ易いという傾向が生じ、また、比G/Lが8%よりも大きくなると、接合強度の低下や接合線が生じ易くなるという傾向が生じるため、いずれも好ましくない。
【0015】請求項9に記載の流量計の検出子の製造方法は、請求項6乃至8の内いずれか1項に記載の発明において、前記蓋部材接合部と前記開口部周壁との開き角θが0°<θ<5°、好ましくは0.2≦θ≦3°に形成された構成を有している。これにより、改質PTFE製の検出子本体の周壁部と改質PTFE製蓋部材接合面が内側から外側に向かって加熱・加圧により接合され、確実に全面接合されるため高い接合強度が安定かつ確実に得られる。また、この構成により外観テストの際、容易に接合状態を確認できる。また、開き角を有することにより、改質PTFEの熱伝導の他に、周囲の気体や、周囲の放射熱により素早く接合部分を加熱することができる。ここで、開き角θが0.2°よりも小さくなると、重しの圧力にもよるが、接合部の内側に未接合部が発生し易いため接合強度の低下やリ−クの危険性が増すという傾向が生じ、また、開き角θが3°よりも大きくなると、接合部の外側に未接合部が発生し易いため、接合強度の低下やリ−クの危険性が増えるとともに接合個所が現れ易く耐衝撃性に欠けるという傾向が生じるため、いずれも好ましくない。
【0016】請求項10に記載の流量計の検出子の製造方法は、請求項6乃至9の内いずれか1項に記載の発明において、前記熱融着工程において、融着部分の面積をS〔cm2 〕、流量計の全長をL〔cm〕とすると熱融着する際に印加する応力を圧力P〔g/cm2 〕に換算した場合に、次式を充たす構成を有している。
P=A(T)×(S/L)+B(T)
ここで、A(T)はA(T)=−1.13T+α、B(T)=−0.454T+β、α=780〜850、β=310〜380、α、βは樹脂の種類や配合量によって決定される定数、Tは絶対温度(K)である。具体的には改質PTFEの場合、α=816±10、β=345±10が用いられる。これにより、熱融着処理を施す前の未処理素子に対して、ある程度任意の印加応力の選択が可能となる。これにより多種多様なサイズ・形状の未処理素子に対して、熱融着処理工程に使用する治工具の汎用性が向上し、コストメリットが生じる。また特殊な形状の素子に早急な対応が可能となる。またある程度任意の処理温度の選択が可能となることから熱処理時間の短縮が可能となるという作用を有する。
【0017】請求項11に記載の流量計の検出子の製造方法は、請求項10に記載の発明において、前記熱融着工程において、印加する応力が圧力Pに換算して0<P<2400〔g/cm2 〕、好ましくは30≦P≦1000〔g/cm2 〕であり、かつ、加熱温度Tが250<T<450〔℃〕、好ましくは320≦T≦390〔℃〕である構成を有している。これにより、改質PTFE製の検出子本体と改質PTFE製の蓋部材とを確実に融着することができる。ここで、圧力Pが30よりも小さくなると、未接合部が発生し易くなるという傾向が生じ、また、圧力Pが1000〔g/cm2 〕よりも大きくなると、検出子の変形とインサ−ト部材のズレが生じ易いという傾向が生じるため、いずれも好ましくない。また、温度Tが320℃よりも低くなると、未接合部が発生し易くなるという傾向が生じ、また、温度Tが390℃よりも高くなると、合成樹脂が劣化し機械的強度が低下し易いという傾向が生じるため、いずれも好ましくない。
【0018】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態における流量計の検出子の分解斜視図であり、図2は本発明の実施の形態における流量計の検出子の透視斜視図であり、図3は本発明の実施の形態における流量計の検出子の要部断面図であり、図4は図3のA部の拡大図である。図1において、1は改質PTFE製の流量計の検出子、2は同軸状に形成された開口部を有する収納部と円錐状に形成された下部とを備えた改質PTFE製の検出子本体、3は改質PTFE製の検出子本体2に同軸状に形成された収納部、4は収納部3の上面に開口した開口部、4aは開口部4の周壁部、5は開口部4から収納部3に嵌装されるインサ−ト部材、6は改質PTFE製の検出子本体2に接合される改質PTFE製の蓋部材、6aは蓋部材6の接合面側に同軸状に形成された凸部、6bは検出子本体2の開口部4の周壁部4aに接合される凸部6aを囲繞する蓋部材接合部、6cは開口部4に嵌合される凸部6aの周壁部である。図2乃至図4において、7は検出子本体2と蓋部材6の熱融着部、7aは凸部熱融着部である。
【0019】以上のように構成された実施の形態における流量計の検出子について、以下、その製造方法について説明する。まず、加圧成形工程において、改質PTFE原料粉を改質PTFE製の検出子本体2及び改質PTFE製の蓋部材6の予備成形品を成形するための所定の金型に充填し、油圧式プレス機等を用いて圧力200〜600〔kgf/cm2 〕で改質PTFE原料粉を加圧して予備成形品を作製する。この際、ボイドやクラックの原因となる改質PTFE原料粉の間に存在する気体を放出させるため、前記圧力を加圧時間1〜180〔min〕保持する。成形された予備成形品は金型から取り出され、常温で数分〜数日間放置して、内部にトラップされた気体を再度放出させる。ここで用いられる金型は、炭素鋼、緞造鋼、ステンレス鋼、セラミックス等から造られ、研磨、クロムメッキ仕上げしたものが用いられる。また、加圧成形における汚れを防ぐために、環境をクリ−ン化するとともに、改質PTFEの室温転移(20℃近傍)の影響を避けるために、23〜25℃に温度調整する必要がある。次に、焼成工程において、加圧成形工程で得られた検出子本体2及び蓋部材6の予備成形品を焼成炉に移し、温度プロファイルとして、焼成温度330〜390〔℃〕で焼成し予備成形品を得る。次に、切削工程において、焼成工程において焼成された予備成形品は一般用旋盤やNC旋盤で切削加工され、バリ等を除去し、検出子本体2及び蓋部材6を所定の寸法に加工する。次に、挿入工程において、前記焼成工程で得られた検出子本体2の収納部3にインサ−ト部材5が嵌挿される。ここで、インサ−ト部材としては、流量計のインサ−ト部材が用いられ、具体的には、金属、セラミック、マグネット、合成樹脂等の1種類若しくは2種類以上が嵌挿される。次に、装着工程において、インサ−ト部材5が嵌挿された検出子本体2に蓋部材6を熱融着して一体化するために、融着前処理として、蓋部材6の凸状周壁部6cを検出子本体2の開口部4に嵌合する。
【0020】次に蓋部材6と検出子本体2の嵌合状態を図面を用いて説明する。図5は本発明の実施の形態における流量計の検出子の製造方法の装着工程における装着状態を示す要部断面図である。図5において、検出子本体2、インサ−ト部材5、蓋部材6、凸部6a、蓋部材接合部6b、凸部の周壁部6cについては図1乃至図3と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。図中、θ1 は検出子本体2の開口部4から外周に向けて下方に傾斜して形成された周壁部4aの傾斜角度、θ2 は蓋部材6の凸部6aの基部から外周に向けて上方に傾斜して形成された蓋部材接合部6bの傾斜角度、θは傾斜角度θ1 と傾斜角度θ2 とからなる開き角、Gは検出子本体2の開口部4と蓋部材6の蓋部材接合部6bの基部との間の間隙である。検出子本体2の周壁部4aと蓋部材6の蓋部材接合部6bは各々、傾斜角度θ1 とθ2 とからなる開き角θを有して形成され、検出子本体2と蓋部材6は間隙Gを有するように凸部の周壁部6cで開口部4に嵌合されている。
【0021】ここで、開き角θは0〜5〔deg〕となるように、加圧成形工程又は切削工程で形成され、隙間Gとして、流量計の検出子の長さLに対する隙間Gの比G/Lが0〜10%となるように嵌合される。次に、熱融着工程において、蓋部材6の接合面積に応じて圧力0〜1000〔g/cm2 〕(蓋部材の自重をゼロとしている。)を加え、接合部分の温度が250〜380〔℃〕になるように加熱を行い検出子本体2と蓋部材6を熱融着により一体化する。次に、後処理工程として、熱融着工程において融着された焼成品は切削加工され、バリ等の除去、及び所定の寸法に微調整され流量計の検出子1が形成される。
【0022】以上のように実施の形態における流量計の検出子は構成されているので、以下の作用を有する。
a.検出子本体と蓋部材を直接熱融着するため、従来のような開先部を溶接材で溶接する場合と異なり、接合面積を著しく広くできることから、接合強度を容易に高くすることができる。また、同一樹脂で直接各々の接合面を熱溶着するため、完全に一体化することができることから、接合部分にピンホ−ル等の発生がなく、従って外部の薬品等が内部に侵入することを防止することができるという作用を有する。尚、改質PTFEを成分とする樹脂組成物を用いた場合も同様の作用を得ることができる。尚、成型条件は配合される樹脂に応じて多少変更される。
b.蓋部材が凸部に周壁部を有するので、検出子本体と蓋部材との位置合わせ、仮止め等が容易にできる。また、凸部の周壁部が収納部の内壁と熱融着されることから接合面積を著しく増やすことができ、従来品に比べ接合強度を著しく強固にすることができるという作用を有する。
c.開口部を有する収納部を備えた検出子本体を形成した後に、インサ−ト部材を挿入することから、検出子本体の所定の位置にインサ−ト部材を確実に保持できる。これにより、インサ−ト部材の位置ずれによる内部クラックの発生、不良品の発生等を抑えることができる。
d.加圧及び加熱して熱融着する熱融着工程を有することにより、確実に接合部分の内側から接合でき、接合強度を高めることができるという作用を有する。
e.改質PTFEの熱伝導の他、蓋部材と検出子本体との間隙を開けて装着し加熱するので、熱源からの放射熱により凸状周壁部に熱量が与えられ、検出子本体及び蓋部材の接合部分を略均一に加熱することができ凸状周壁部と収納部の内壁との間に融着斑が生じるのを防止できるという作用を有する。
f.間隙を所定の長さにすることで、検出子本体と蓋部材の接合個所に肉の盛り上がり現象等を生ずることなく接合個所が目視で識別できないまでに完全に一体化できるという作用を有する。
g.開き角を有することにより、検出子本体と蓋部材接合面の内側から外側に向かって順次熱融着されるので確実に全面接合されるため接合強度を著しく高めることができる。また、外観テストにより、接合斑の有無を容易に確認できる。また、傾斜を有することにより、外部に対して隙間を有し、改質PTFEの熱伝導の他に、周囲の気体や、周囲の放射熱により短時間に接合部分の内部を加熱することができ、接合時間を著しく短縮することができ生産性を向上できるという作用を有する。
h.改質PTFEを用いたので、従来のPTFEに比べイオンの溶出を抑制できるという作用を有する。これは半導体ウェハ−の製造ライン等に極めて有効であることがわかった。
【0023】
【実施例】
(実施例1〜3)
a.改質PTFEとして、ダイキン工業株式会社製ポリフロンPFEモ−ルディングパウダ−(M−111)
b.インサ−ト部材として、次の形状を有するステンレス製の円柱を用いた。

まず、改質PTFE粉末を金型に充填して、圧力200〜400〔kgf/cm2 〕、加圧時間1〜10〔min〕で加圧成形をして検出子本体と蓋部材の予備成形品を作製した。次に、各予備成形品にトラップされた気体を放出させるために24〔h〕放置した。次に、予備成形品を焼成温度340〜360〔℃〕、キ−プ時間2〜5〔h〕で焼成を行った。次に、旋盤加工により、開き角0.1〜0.5〔deg〕を有するように検出子本体と蓋部材とを加工し検出子本体の開口部の周壁部及び蓋部材の蓋部材接合部を形成した。次いで蓋部材の凸部を検出子本体の収納部に流量計の検出子の長さLに対する間隙Gの比G/L0.1〜2%で嵌合し、圧力50〜300〔g/cm2 〕、焼成温度330〔℃〕、キ−プ時間2〔h〕で熱融着し次の形状を有するサンプルを作製した。
本発明の実施例の流量計の検出子〔単位:mm〕
試験片(1) :外径 4/収納部内径 3/凸部の周壁部深さ 2 試験片(2) :外径10/収納部内径 6/凸部の周壁部深さ 3 試験片(3) :外径20/収納部内径15/凸部の周壁部深さ 5【0024】(比較例4〜6)比較例として、従来の溶接型の流量計の検出子を作製した。原料として、従来のPTFE(ダイキン工業(株)製 M−12)を用いて行った。溶接剤として市販の溶接用ディスパ−ジョン、溶接棒としてPFA溶接棒(東邦化成(株)製)を用いた。インサ−ト部材としては実施例1〜3と同一のものを用いた。まず、実施例と略同一の条件で予備成形品を作製し、同時間放置した後、実施例と同一条件で焼成した。次いで溶接剤を充填する開先部を開き角90°で形成し、溶接用ディスパ−ジョンの塗布を行った後、PFAを熱風溶接機を用いて溶接し、次の形状を有するサンプルを作製した。
比較例1の流量計の検出子 〔単位:mm〕
試験片(4) :外径 4/収納部内径 3/開先部深さ 0.25 試験片(5) :外径10/収納部内径 6/開先部深さ 1 試験片(6) :外径20/収納部内径15/開先部深さ 2 ※開先部の開き角 90〔deg〕
【0025】(比較例7〜9)比較例として、従来の埋設型の流量計の検出子を用いた。原料として、比較例4〜6で使用した原料を用いた。インサ−ト部材としては実施例1〜3と同一のものを用いた。まず従来のPTFEを金型に30〜70%充填したのち、インサ−ト部材を入れる。その後金型に未充填分のPTFEを充填し、圧力200〜400〔kgf/cm2 〕、加圧時間1〜10〔min〕、で加圧成形をして検出子本体と蓋部材の予備成型品を作製した。 次に、予備成形体の気体を放出させるために24h放置した。次いで実施例と同一の条件で焼成を行った。焼成終了後素子形状に加工を行った。
従来の埋設型の流量計の検出子〔単位:mm〕
試験片(7) :外径 41試験片(8) :外径10試験片(9) :外径20【0026】次に、得られた試験片について次の評価を行った。
(評価項目)
(1)引っ張り試験(JIS K6891に準じた。サンプル数n=10)
(2)ヒ−トサイクル試験(サンプル数n=20)
温度プロファイル:昇温率+1.5〔℃/min〕
キ−プ温度 80、−10〔℃〕
キ−プ時間 1〔h〕
降温率−1.5〔℃/min〕
熱媒体 :NaCl水溶液 サイクル数 :100サイクル (3)位置測定試験 各試験片製作後に、軸方向及び半径方向の位置ズレを測定。(サンプル 数n=10)
その評価結果を(表1)乃至(表3)に示した。
【表1】

【表2】

【表3】

【0027】まず、各々接合強度を測るため試験片(1) 〜(6) について引っ張り試験をおこなった。(表1)は比較される試験片の引っ張り強度の実測値及び単位接合面積当たりの引っ張り強度を示している。この(表1)から明らかなように、接合強度において、実施例品は比較例品に対し最低でも従来の約6〜10倍の接合強度が得られ、また、単位接合面積当たりの場合においても、約2倍以上の強度が得られることがわかった。また、本発明の試験片は接合部分以外が切断されたのに対し、従来の試験片では、その約9割が接合部分による切断であった。次に、接合部分の密封性を測るため、ヒ−トサイクル試験を行った。(表2)は比較される試験片の不良個数を示している。この(表2)から明らかなように、本発明の試験片には不良がまったくなく耐久性に優れていることがわかった。次に、インサ−ト部材の位置ズレを測るために、位置測定試験をおこなった。位置測定試験は、検出子を軸方向に平行な方向に切断し、内部のインサ−ト部材の所定の位置からのズレを測定子を用いて測定し、最大幅のズレを持ってズレの値とした。(表3)は比較される試験片(1) 〜(3) 、及び試験片(7) 〜(9) の位置ズレを示したものである。この(表3)から明らかなように、本実施例では、本発明の試験片では位置ズレが0.05〜0.11〔mm〕であるのに対し、比較例では2.5〜8.5〔mm〕と約50〜80倍の位置ズレが発生していることがわかった。
【0028】(実施例10〜12)
c.検出子本体:改質PTFEとして、ダイキン工業株式会社製(M−111)
蓋部材 :PFAとして、ダイキン工業株式会社製(AP211)
d.インサ−ト部材:ステンレス製の円柱
改質PTFEで形成された検出子本体の作製方法については、実施例1〜3と同様であるので、説明を省略する。次に、PFAで形成された蓋部材の作製方法としては、金型:φ30×L70(円柱状)
温度:330〜380℃1サイクル:5分の条件で射出成型後、旋盤等を行い、実施例1〜3と同様な熱融着条件等で試験片を作製した。尚、試験片形状については以下のように、実施例1と同一形状とした。
本発明の実施例2の流量計の検出子〔単位:mm〕
試験片(10):外径 4/収納部内径 3/凸状周壁部深さ 2 試験片(11):外径10/収納部内径 6/凸状周壁部深さ 3 試験片(12):外径20/収納部内径15/凸状周壁部深さ 5【0029】(比較例13〜15)比較例13〜15として、従来の溶接型の流量計の検出子を作製した。原料として、検出子本体及び蓋部材ともにPFA(ダイキン工業製:AP211)を用いた。作製方法としては、金型:φ30×L70(円柱状)
温度:330〜380℃1サイクル:5分の条件で射出成型後、旋盤等を行い、比較例4〜6と同様な溶接条件等で試験片を作製した。尚、試験片形状については以下のように、比較例と同一形状とした。
比較例1の流量計の検出子 〔単位:mm〕
試験片(13):外径 4/収納部内径 3/開先部深さ 0.25 試験片(14):外径10/収納部内径 6/開先部深さ 1 試験片(15):外径20/収納部内径15/開先部深さ 2 ※開先部の開き角 90〔deg〕
【0030】次に、得られた試験片について実施例1〜3と同様に評価を行った。その評価結果を(表4)乃至(表6)に示した。
【表4】

【表5】

【表6】

【0031】この(表4)から明らかなように、接合強度において、従来の約4〜7倍の接合強度が得られ、また、単位接合面積当たりの場合においても、約1.4倍の強度が得られることが分かる。また、接合部分の密封性を測るため、ヒ−トサイクル試験を行った。(表5)は比較される試験片の不良個数を示している。この(表5)から明らかなように、本発明の試験片には不良がまったくないことが分かる。次に、インサ−ト部材の位置ズレを測るために、位置測定試験をおこなった。位置測定試験は、検出子を軸方向に平行な方向に切断し、内部のインサ−ト部材の所定の位置からのズレを測定子を用いて測定し、最大幅のズレを持ってズレの値とした。(表6)は比較される試験片(10)〜(12)、及び試験片(13)〜(15)の位置ズレを示したものである。この(表6)から明らかなように、本実施例では、軸方向の位置ズレが0.09〜0.25〔mm〕、半径方向の位置ズレが0.05〜0.08〔mm〕であるのに対し、比較例では軸方向で0.1〜0.26〔mm〕、半径方向で0.08〜0.14〔mm〕と略同等の精度であることがわかった。
【0032】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、以下の優れた効果を有する流量計の検出子及び流量計の検出子の製造方法を提供することができる。本発明の請求項1に記載の流量計の検出子によれば、改質PTFE製の検出子本体と改質PTFE製の蓋部材を直接熱融着するため、接合面積を広くすることができることから、接合斑を防止できるとともに接合強度を容易に高くすることができ優れた接合性を得ることができる。また、直接溶融して接合するため、接合部が一体となり接合斑等、接合部分のピンホ−ル等の発生を防止することができることから、優れた信頼性、耐久性を得ることができる。請求項2に記載の流量計の検出子によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、PFAを主成分とする樹脂組成物を用いた場合、接合強度を向上させることができる。また、PTFEを主成分とする樹脂組成物を用いた場合、熱融着時の保形性を向上させることができるとともにインサ−ト部材の位置決めをより正確にすることができる。
【0033】請求項3に記載の流量計の検出子によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、凸状周壁部を有することで、改質PTFE製の検出子本体と改質PTFE製の蓋部材との位置合わせ、仮止め等が容易にでき優れた作業性が得られる。また、凸状周壁部が開口部に嵌合されていることから接合面積が増加し、外部の薬品等が侵入する侵入経路が長くなるため、ピンホ−ル等による外部の薬品等の侵入を完全に防止することができるとともに、接合強度を著しく高くすることができ優れた信頼性、耐久性、及び接合性を得ることができる。請求項4に記載の流量計の検出子によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、接合面を拡大し接合性を高めるとともに、より強固な接合強度を得ることができる。請求項5に記載の流量計の検出子によれば、請求項3又は4に記載の発明の効果に加えて、開き角を備えているので、熱溶融時に収納部内の空気を逃散させ接合面に空気孔等の生成を防止でき優れた信頼性、及び耐久性を得ることができる。
【0034】請求項6に記載の流量計の検出子の製造方法によれば、開口部を有する収納部を備えた改質PTFE製の検出子本体を形成した後に、インサ−ト部材を挿入することから、改質PTFE製の検出子本体の所定位置にインサ−ト部材を確実に挿入できインサ−ト部材の位置ズレを防止できるとともに、インサ−ト部材の位置ズレによる強度の低下、ピンホ−ルの発生、歩留りの低下等を抑えることができ信頼性に優れるとともに高い生産性を得ることができる。請求項7に記載の流量計の検出子によれば、請求項6に記載の発明の効果に加え、改質PTFE製の検出子本体とPFAを主成分とする蓋部材を熱融着した場合、熱処理時の樹脂の流動性が向上するため、熱処理時間の短縮が可能となり、生産性を向上させ省エネルギー性を高めることができる。また検出子を二次加工する場合、他部品との接合処理の効率を向上させることができる。また改質PTFE製の検出子本体とPTFEを主成分とする蓋部材を熱融着した場合、熱処理時の保形性が向上するため、インサ−トされた芯材のズレを減少させることができ高精度の検出子を得ることができる。請求項8に記載の流量計の検出子の製造方法によれば、請求項6又は7に記載の発明の効果に加えて、蓋部材と検出子本体との間隙を直に加熱するので、検出子本体及び蓋部材の接合部分を容易に加熱することができるので未熟練者でも確実に接合できるとともに優れた接合性を得ることができる。また、隙間を所定の長さにすることで、インサ−ト部材と収納部の内壁との間に隙間を生じさせることなく、所定の位置にインサ−ト部材を配置させ、かつ接合面の状態を外観から確定できないレベル(200倍の顕微鏡観察においても接合カ所が確定困難なレベル)まで、均質接合ができ品質を向上できる。
【0035】請求項9に記載の流量計の検出子の製造方法によれば、請求項6乃至8の内いずれか1項に記載の発明の効果に加えて、検出子本体の周壁部と蓋部材接合部が内側から外側に向かって確実に全面接合されるため接合強度を安定に確実に得られ優れた接合性を得られる。また、開き角を有することにより、接合部の露出面を速やかに加熱することができ優れた生産性が得られる。請求項10に記載の流量計の検出子の製造方法によれば、請求項7乃至9に記載の発明の効果に加え、多種多様なサイズ・形状の検出子に対して、熱融着処理工程に使用する治工具の汎用性が向上し、コストの低減化を図ることができる。また、熱処理時間の短縮が可能となり、生産性を上げるとともに省エネルギー性を向上させることができる。更に、熱融着処理に精通していない作業者でも短時間で、作業内容を理解することが可能で作業性を向上させるとともに生産性を向上させることができる。請求項11に記載の流量計の検出子の製造方法によれば、請求項10に記載の発明の効果に加えて、検出子本体と蓋部材とを確実に融着することができ優れた高品質の検出子を高い生産性で得ることができる。
【出願人】 【識別番号】597161768
【氏名又は名称】株式会社陽和
【出願日】 平成9年(1997)10月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 一郎
【公開番号】 特開平11−132799
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−316566