| 【発明の名称】 |
感熱式流量検出素子およびそれを用いた流量センサ |
| 【発明者】 |
【氏名】山下 彰
【氏名】河合 正浩
【氏名】山川 智也
【氏名】大橋 豊
|
| 【要約】 |
【課題】この発明は、応答性、強度的信頼性に優れ、小型の流量検出素子を得る。
【解決手段】発熱抵抗素子4および一対の測温抵抗素子5、6が支持膜2および保護膜3により包まれて構成されたセンサ部10が平板状基板1上に形成されている。このセンサ部10の下部には、平板状基板1を貫通するエッチングホール8が形成され、センサ部10が平板状基板1と非接触状態に配置されている。流体測温素子7がセンサ部10から離れて平板状基板1上に形成されている。そして、流体測温素子7の下部には、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように平板状基板1の一部を除去して切欠9aが設けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記流体測温素子の近傍の上記平板状基板上に上記平板状基板の面から他面側までは達しないように上記平板状基板の一部を除去して形成された第1の切欠を設けたことを特徴とする感熱式流量検出素子。 【請求項2】 第1の切欠が流体測温素子の配置領域の下部に平板状基板の他面側に形成されていることを特徴とする請求項1記載の感熱式流量検出素子。 【請求項3】 第1の切欠が流体測温素子の配置領域の外周部に平板状基板の一面側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の感熱式流量検出素子。 【請求項4】 第1の切欠が流体測温素子の配置領域の外周部に平板状基板の他面側に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の感熱式流量検出素子。 【請求項5】 良熱伝導材からなる薄膜が、流体測温素子の上部に該流体測温素子と電気的に絶縁されて設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の感熱式流量検出素子。 【請求項6】 平板状基板の一部を除去して形成された第2の切欠がセンサ部と流体測温素子との間の上記平板状基板の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感熱式流量検出素子。 【請求項7】 第2の切欠が平板状基板の他面側に形成されていることを特徴とする請求項6記載の感熱式流量検出素子。 【請求項8】 第2の切欠が平板状基板の一面側に形成されていることを特徴とする請求項6記載の感熱式流量検出素子。 【請求項9】 低熱伝導材からなる熱伝導抑制材がセンサ部と流体測温素子との間に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の感熱式流量検出素子。 【請求項10】 少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、良熱伝導材からなる被膜が上記流体測温素子の上部に該流体測温素子と電気的に絶縁されて設けられていることを特徴とする感熱式流量検出素子。 【請求項11】 少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記平板状基板の一部を除去して形成された切欠が上記センサ部と上記流体測温素子との間の上記平板状基板の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられていることを特徴とする感熱式流量検出素子。 【請求項12】 少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記支持膜および上記保護膜より低い熱伝導率を有する熱伝導抑制材が、上記センサ部と上記流体測温素子との間の上記支持膜および保護膜の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられていることを特徴とする感熱式流量検出素子。 【請求項13】 筒状をなし、その軸方向を計測流体の流れ方向にほぼ一致させて該計測流体の通路内に配置される計測用管路と、上記請求項1乃至請求項12のいずれかの一項に記載の感熱式流量検出素子と、上記発熱抵抗素子の温度が上記流体測温素子の温度に対して所定の温度差に維持されるように該発熱抵抗素子に供給される電流を制御する制御部とを備え、上記発熱抵抗素子によって加熱された部分から上記計測流体への熱伝達現象に基づいて上記計測流体の流量あるいは流速を計測することを特徴とする流量センサ。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、例えば内燃機関の吸入空気量を計測する流量検出素子および流量センサに関し、特に発熱体を備え、該発熱体あるいは発熱体によって加熱された部分から、流体への熱伝達現象に基づいて流体の流速あるいは流量を計測する流量検出素子および流量センサに関する。 【0002】 【従来の技術】図26は例えば特開平6−249693号公報に記載された従来の感熱式流量検出素子を示す平面図、図27は図26のXXVII−XXVII矢視断面図である。各図において、絶縁性の支持膜23a、23bがシリコンからなる平板状基板1の一面上に分離されて形成されている。そして、発熱素子としての発熱抵抗素子4が支持膜23a上に形成されている。また、流体測温素子7が支持膜23b上に形成されている。さらに、発熱抵抗素子4および流体測温素子7の下部の平板状基板1にそれぞれ空気スペース27a、27bが設けられている。これらの空気スペース27a、27bは、平板状基板1の他面側から支持膜23a、23bを痛めないエッチング液を用いてエッチングし、平板状基板1の一部を支持膜23a、23bに達するまで除去して形成されている。また、平板状基板1の一面上には端子28が設けられ、発熱抵抗素子4および流体測温素子7が導体路29を介して電極端子28に接続されている。 【0003】図25に示される温度制御回路は、発熱抵抗素子4の温度を、流体測温素子7によって検出される周囲温度よりも高い一定の温度に保つためのホイートストンブリッジ回路により構成されている。このホイートストンブリッジ回路は、発熱抵抗素子4と抵抗21bにより一辺を、流体測温素子7と抵抗21aにより一辺を構成している。そして、差動増幅器22は、出力の電位を変化させることでブリッジ回路がバランスするように動作し、発熱抵抗素子4で消費される電力を一定に保つようにする。ここでは、発熱抵抗素子4の温度が、流体測温素子7で検出された周囲温度より200℃高い温度に維持されるように制御される。 【0004】このように構成された流量検出素子では、発熱抵抗素子4は端子28および導体路29によって印加される電流によって加熱される。その際、発熱抵抗素子4は抵抗が温度とともに変化するように設計されている。この発熱抵抗素子4は、流過する流体によって冷却される。そして、この冷却の程度は流過する流体の質量流に依存する。そこで、発熱抵抗素子の電気抵抗を測定することによって、流体の流れの強さが決定される。 【0005】このように構成された流量検出素子では、発熱抵抗素子4で発生した熱が支持膜23a、23bおよび平板状基板1を介して流体測温素子7まで伝導することから、流体測温素子7は発熱抵抗素子4からの熱影響を受けない位置に設けられる。そして、発熱抵抗素子4の下部に空気スペース27aが設けられて、ダイヤフラム構造となっているので、計測流体の流量や流速の変化に迅速に応答できるようになっている。また、流体測温素子7の下部に空気スペース27bが設けられているので、計測すべき流体の温度変化に迅速に応答できるようになっている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】従来の感熱式流量検出素子は、発熱抵抗素子4から構成されるセンサ部をダイヤフラム構造として、計測流体の流量や流速の変化に迅速に応答できるようにしている。さらに、平板状基板1に支持膜23bまで達する空気スペース27bを設けて、流体測温素子7の熱容量を小さくし、計測流体の温度変化にも迅速に応答できるようにしている。しかしながら、平板状基板1に支持膜23a、23bまで達する2つの空気スペース27a、27bを設けているので、平板状基板1の強度が著しく低下し、流量検出素子の信頼性が低下するという課題があった。このように、従来の流量検出素子では、計測流体の流量や流速の変化に対する応答性および計測流体の温度変化に対する応答性を向上させるために、平板状基板1に支持膜23a、23bに達する2つの空気スペース27a、27bを設けており、強度的な信頼性を確保した流量検出素子の設計が困難であった。また、流体測温素子7の強度的な信頼性を確保するために、流体測温素子7下部の空気スペース27bを廃止すれば、流体測温素子7の熱容量が大きくなり、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性が低下してしまう。そして、発熱抵抗素子4は流体測温素子7で検出された温度より200℃高い温度になるように制御されるため、流体測温素子7の流体温度に対する応答が遅れると、発熱抵抗素子4の温度制御も遅れることになり、流量検出素子を組み込んだ流量センサの応答性を低下させることになる。また、発熱抵抗素子4と流体測温素子7との距離が短く、流体測温素子7が発熱抵抗素子3からの熱影響を受けると、発熱抵抗素子4で発生した熱により流体測温素子7の温度が上昇してしまう。そして、発熱抵抗素子4の温度が上昇した流体測温素子7の温度をもとに制御されることになり、発熱抵抗素子4が熱暴走してしまう。そこで、流体測温素子7は発熱抵抗素子4からの熱影響を受けないように発熱抵抗素子4から所定の距離離して設ける必要があり、小型化が図れなかった。例えば、自動車内燃機関の吸入空気量を計測する場合、走行中、例えばトンネルの出入口等吸入空気温度が急激に変化する場合にも、正確な温度を検出する必要がある。そのため、流量検出素子には、吸入空気温度に対する良好な応答性が要求される。さらに、吸入空気の最大流量が200m/s近くに達する場合もあることから、流量検出素子には所定の強度が要求される。しかしながら、従来の流量検出素子は、応答性を向上させるためには強度を落とさねばならず、内燃機関の吸入空気量の計測に適した設計が非常に困難であった。 【0007】この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、流体測温素子の強度的な信頼性を確保しながら流体温度変化に対する応答性を向上でき、さらには小型化が可能な感熱式流量検出素子およびそれを用いた流量センサを得ることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】この発明の感熱式流量転出素子は、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記流体測温素子の近傍の上記平板状基板上に上記平板状基板の面から他面側までは達しないように上記平板状基板の一部を除去して形成された第1の切欠を設けたものである。 【0009】また、第1の切欠が流体測温素子の配置領域の下部に平板状基板の他面側に形成されているものである。 【0010】また、第1の切欠が流体測温素子の配置領域の外周部に平板状基板の一面側に形成されているものである。 【0011】また、第1の切欠が流体測温素子の配置領域の外周部に平板状基板の他面側に形成されているものである。 【0012】また、良熱伝導材からなる薄膜が、流体測温素子の上部に該流体測温素子と電気的に絶縁されて設けられているものである。 【0013】また、平板状基板の一部を除去して形成された第2の切欠がセンサ部と流体測温素子との間の上記平板状基板の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているものである。 【0014】また、第2の切欠が平板状基板の他面側に形成されているものである。 【0015】また、第2の切欠が平板状基板の一面側に形成されているものである。 【0016】また、低熱伝導材からなる熱伝導抑制材がセンサ部と流体測温素子との間に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているものである。 【0017】また、この発明の感熱式流量検出素子は、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、良熱伝導材からなる被膜が上記流体測温素子の上部に該流体測温素子と電気的に絶縁されて設けられているものである。 【0018】また、この発明の感熱式流量検出素子は、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記平板状基板の一部を除去して形成された切欠が上記センサ部と上記流体測温素子との間の上記平板状基板の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているものである。 【0019】また、この発明の感熱式流量検出素子は、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記支持膜および上記保護膜より低い熱伝導率を有する熱伝導抑制材が、上記センサ部と上記流体測温素子との間の上記支持膜および保護膜の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているものである。 【0020】また、この発明の流量センサは、筒状をなし、その軸方向を計測流体の流れ方向にほぼ一致させて該計測流体の通路内に配置される計測用管路と、上記感熱式流量検出素子のいずれかの感熱式流量検出素子と、上記発熱抵抗素子の温度が上記流体測温素子の温度に対して所定の温度差に維持されるように該発熱抵抗素子に供給される電流を制御する制御部とを備え、上記発熱抵抗素子によって加熱された部分から上記計測流体への熱伝達現象に基づいて上記計測流体の流量あるいは流速を計測するものである。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図について説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1に係る流量検出素子を示す平面図、図2は図1のII−II矢視断面図である。各図において、絶縁性の支持膜2が平板状基板1の表面上に形成されている。そして、発熱素子としての格子状の発熱抵抗素子4が支持膜2上に形成されている。また、感熱素子としての格子状の測温抵抗素子5、6が発熱抵抗素子4の両側に位置するように支持膜2上に形成されている。さらに、絶縁性の保護膜3が発熱抵抗素子4および一対の測温抵抗素子5、6を覆うように支持膜2上に形成されている。ここで、発熱抵抗素子4および一対の測温抵抗素子5、6が支持膜2と保護膜3とにより包まれてセンサ部10を構成している。そして、センサ部10は、発熱抵抗素子4の中心に対して対称に構成されている。また、空隙としてのエッチングホール8が平板状基板1のセンサ部10の下部に設けられている。このエッチングホール8は、平板状基板1の裏面上に形成された例えばフォトレジスト(図示せず)をマスクとしてアルカリエッチングが施されて、平板状基板1の一部を支持膜2に達するように除去して形成されている。そこで、センサ部10はその全周が平板状基板1に保持されてダイヤフラム構造を構成し、平板状基板1と非接触状態となっている。また、格子状の流体測温素子7がセンサ部10から離れた位置の支持膜2上に形成され、その上から保護膜3が被覆されている。また、第1の切欠としての切欠9aが流体測温素子7の近傍、即ち流体測温素子7の下部の平板状基板1に設けられている。この切欠9aは、平板状基板1の裏面上に形成された例えばフォトレジスト(図示せず)をマスクとしてアルカリエッチングが施されて、平板状基板1の一部を支持膜2に達しないように除去して形成されている。さらに、導体路29が流体測温素子7、発熱抵抗素子4および一対の測温抵抗素子5、6のそれぞれの格子状パターンの各端部から延出されており、各導体路29の端部上の保護膜3が取り除かれて電極端子28を形成している。 【0022】ここで、平板状基板1としては、半導体、その中でも特に精密なエッチング技術を応用できる点と、チップの生産性の高いシリコンが用いられる。また、支持膜2および保護膜3としては、非常に優れた熱的絶縁体である窒化シリコンが用いられる。さらに、発熱抵抗素子4、測温抵抗素子5、6および流体測温素子7としては、白金が用いられる。 【0023】この流量検出素子を作製するには、まずシリコンからなる平板状基板1の一面(表面)の全面にスパッタリング、真空蒸着、CVD等の成膜方法により窒化シリコンを2μm着膜し、支持膜2を形成する。そして、支持膜2上の全面にスパッタリング、真空蒸着等の成膜方法により白金を0.2μm着膜し、写真製版技術およびエッチング技術により白金被膜をパターニングし、パターン幅5μm、パターン間隔5μmの格子状の発熱抵抗素子4、測温抵抗素子5、6および流体測温素子7を形成する。ついで、支持膜2上の全面にスパッタリング、真空蒸着、CVD等の成膜方法により窒化シリコンを2μm着膜し、保護膜3を形成する。その後、写真製版技術およびエッチング技術により、発熱抵抗素子4、測温抵抗素子5、6および流体測温素子7の各導体路29の端部上の保護膜3を除去し、電極端子28を形成する。また、フォトレジストを平板状基板1の他面(裏面)の全面に塗布し、写真製版技術およびエッチング技術により、センサ部10および流体測温素子7の配置領域をカバーするようにフォトレジストを取り除き、矩形状の開口を形成する。ついで、該開口から平板状基板1をエッチングして、エッチングホール8および切欠9aを形成した後、フォトレジストを除去して、図1および図2に示される流量検出素子が得られる。ここで、フォトレジストに形成された矩形状の開口の大きさにより、エッチング深さが制御できる。そして、流体測温素子7の配置領域の下部に設けられた開口の大きさはセンサ部10の配置領域の下部に設けられた開口に比べ、小さいので、支持膜2に達するエッチングホール8が形成されると同時に、支持膜2に達しない切欠9aが形成される。 【0024】このように構成された流量検出素子では、発熱抵抗素子4の温度が流体測温素子7で検出された平板状基板1の温度に対して例えば200℃高い温度に維持されるように、発熱抵抗素子4に通電する加熱電流が図25に示される温度制御回路によって制御されている。なお、センサ部10の下部にはエッチングホール8があるために、発熱抵抗素子4で発生した熱は流体測温素子7まで伝導しない。そこで、流体測温素子7で検出される温度はほぼ周囲温度(流体測温素子7上を流通する計測流体の温度)と等しくなっている。そして、保護膜4側を流通する計測気体の流速が速い程、上流側の温度が低くなり、下流側の温度が高くなるように温度分布が変化する。そこで、回路(図示せず)によって、電極端子28を介して測温抵抗素子5、6のそれぞれに一定電圧を印加しておき、測温抵抗素子5、6のそれぞれに流れる電流値を測定し、それらの電流値を比較して空気の流れ方向、流量あるいは流速を計測することができる。また、測温抵抗素子5、6のそれぞれに一定電流を流しておき、電極端子28間の電圧を測定する方法、あるいは測温抵抗素子5、6のそれぞれの消費電力を測定する方法により、測温抵抗素子5、6のそれぞれの温度に相当する量を測定し、その量を比較することにより、空気の流れ方向、流量あるいは流速を計測することもできる。 【0025】このように、この実施の形態1では、流体測温素子7の配置領域の下部の平板状基板1に、裏面側から支持膜2に達しないように平板状基板1の一部を除去して形成された切欠9aが設けられている。そこで、流体測温素子7部の熱容量が小さくなり、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性が向上できる。その結果、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答の遅れに起因する発熱抵抗素子4の温度制御の遅れが防止される。そこで、計測流体の温度が急激に変化しても、計測流体の温度が流体測温素子7により速やかに検出され、発熱抵抗素子4の温度が計測流体の温度に対して200℃高い温度に速やかに制御され、応答性の良い流量検出素子が得られる。また、流体測温素子7部の強度が高くなり、信頼性に優れた流量検出素子が得られる。 【0026】実施の形態2.図3はこの発明の実施の形態2に係る流量検出素子を示す平面図、図4は図3のIV−IV矢視断面図である。この実施の形態2では、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように形成された第1の切欠としての切欠9b、9c、9d、9eが流体測温素子7の近傍、即ち流体測温素子7の配置領域の外周部に流体測温素子7を取り囲むように平板状基板1に設けられている。なお、この実施の形態2は、流体測温素子7の配置領域の真下に位置する切欠9aに代えて、4つの切欠9b、9c、9d、9eを流体測温素子7の配置領域の外周部に流体測温素子7を取り囲むように配置している点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。 【0027】このように構成された流量検出素子では、流体測温素子7の周囲に4つの切欠9b、9c、9d、9eが流体測温素子7を取り囲むように設けられている。そして、この切欠9b、9c、9d、9eが設けられた平板状基板1の部位の厚みが薄くなり、該部位の熱抵抗が増大し、流体測温素子7がその外周部と熱的に隔離される。その結果、流体測温素子7部の熱容量が下げられる。ここで、流体測温素子7に伝導される熱は、熱伝導率の高い平板状基板1の影響を受けるが、流体測温素子7部の熱容量が下がっているので、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性を向上できる。 【0028】このように、この実施の形態2によれば、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように形成された4つの切欠9b、9c、9d、9eが流体測温素子7を取り囲むように位置しているので、流体測温素子7部の熱容量が下げられ、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性が向上される。そこで、計測流体の温度が急激に変化しても、計測流体の温度が流体測温素子7により速やかに検出され、発熱抵抗素子4の温度が計測流体の温度に対して200℃高い温度に速やかに制御され、応答性の良い流量検出素子が得られる。また、従来の流量検出素子に比べて、流体測温素子7部の強度が大きくなり、信頼性に優れた流量検出素子が得られる。 【0029】実施の形態3.図5はこの発明の実施の形態3に係る流量検出素子を示す平面図、図6は図5のVI−VI矢視断面図である。この実施の形態3では、平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し、平板状基板1の裏面に達しないように形成された第1の切欠としての3つの切欠9f、9g、9hが流体測温素子7の近傍、即ち流体測温素子7の配置領域の外周部に流体測温素子7を取り囲むように平板状基板1に設けられている。なお、他の構成は上記実施の形態1と同様に構成されている。 【0030】このように構成された流量検出素子では、平板状基板1の表面側から平板状基板1の裏面に達しないように形成された3つの切欠9f、9g、9hが流体測温素子7の配置領域の外周部に流体測温素子7を取り囲むように位置しているので、流体測温素子7部の熱容量が下げられ、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性が向上される。そこで、この実施の形態3においても、上記実施の形態2と同様の効果が得られる。 【0031】実施の形態4.図7はこの発明の実施の形態4に係る流量検出素子を示す平面図、図8は図7のVIII−VIII矢視断面図である。この実施の形態4では、流体測温素子7の配置領域の下部に、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように切欠9aが設けられ、さらに流体測温素子7の配置領域の周囲に、平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し平板状基板1の裏面に達しないように3つの切欠9f、9g、9hが設けられている。 【0032】この実施の形態4によれば、上記実施の形態1あるいは実施の形態3に比べて、流体測温素子7部の熱容量がさらに小さくなり、その分流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性を向上させることができる。 【0033】ここで、切欠を多数設けることで、強度の低下をもたらす恐れがあるが、エッチング深さを制御することで、強度の低下が抑えられ、十分な強度的な信頼性を確保することができる。また、この実施の形態4では、上記実施の形態1と実施の形態3とを組み合わせた構成となっているが、上記実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせた構成としても、同様の効果が得られる。 【0034】実施の形態5.図9はこの発明の実施の形態5に係る流量検出素子を示す平面図、図10は図9のX−X矢視断面図である。この実施の形態5では、良熱伝導材からなる薄膜としての金属膜11が流体測温素子7上に電気的に絶縁されて設けられている。なお、この実施の形態5は、切欠9aが設けられていない点、金属膜11が流体測温素子7上に設けられている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。 【0035】ここで、この実施の形態5による流量検出素子を作製するには、まず支持膜2上に流体測温素子7が形成された後、その上に窒化シリコン膜およびAl膜を順次着膜する。そして、写真製版技術、エッチング技術を用いて、Al膜を流体測温素子7を覆うように矩形にエッチングし、金属膜11を形成する。ついで、Al膜をエッチングするためのマスクであるフォトレジストを除去し、その上に窒化シリコンを着膜して保護膜3を形成する。そこで、金属膜11が流体測温素子7を覆い、かつ、電気的に絶縁されて保護膜3に内在してなる流量検出素子を得る。 【0036】このように構成された流量検出素子では、流体測温素子7上に良熱伝導を有する金属膜11が設けられているので、流体測温素子7部の熱抵抗をさげることができる。その結果、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性を向上させることができる。また、流体測温素子7の近傍に切欠が設けられていないので、流体測温素子7部の強度を大きくすることができる。このように、この実施の形態5によれば、計測流体の温度が急激に変化しても、計測流体の温度が流体測温素子7により速やかに検出され、発熱抵抗素子4の温度が計測流体の温度に対して200℃高い温度に速やかに制御されるので、優れた応答性を有するとともに、優れた信頼性を有する流量検出素子が得られる。 【0037】ここで、この実施の形態5による流量検出素子において、さらに流体測温素子7の近傍に切欠を設けるようにしてもよい。この場合、切欠を設けることにより、流体測温素子7部の熱容量の低下が図られ、その分熱応答性を向上させることができる。なお、この実施の形態5では、良熱伝導材としてAlからなる金属膜11を用いるものとしているが、良熱伝導材としてはAlに限らず、支持膜2および保護膜3より高い熱伝導率を有する材料であればよく、例えばCu、Ag、PtやAlSi、TiN等を用いることができる。 【0038】実施の形態6.図11はこの発明の実施の形態6に係る流量検出素子を示す平面図、図12は図11のXII−XII矢視断面図である。この実施の形態6では、切欠9aが流体測温素子7の配置領域の下部に平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように設けられている。また、3つの切欠9f、9g、9hが流体測温素子7の配置領域の外周部に流体測温素子7を取り囲むように平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し平板状基板1の裏面に達しないように設けられている。さらに、Alからなる金属膜11が流体測温素子7上に電気的に絶縁されて設けられている。なお、この実施の形態6は、切欠9a、9f、9g、9hが流体測温素子7の近傍に設けられている点を除いて、上記実施の形態5と同様に構成されている。 【0039】このように構成された流量検出素子では、流体測温素子7上に良熱伝導を有する金属膜11が設けられているので、流体測温素子7部の熱抵抗をさげることができる。さらに切欠9a、9f、9g、9hが流体測温素子7の近傍に設けられているので、流体測温素子7部の熱容量をさげることができる。その結果、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性を向上させることができる。このように、この実施の形態6によれば、計測流体の温度が急激に変化しても、計測流体の温度が流体測温素子7により速やかに検出され、発熱抵抗素子4の温度が計測流体の温度に対して200℃高い温度に速やかに制御されるので、優れた応答性を有するとともに、優れた信頼性を有する流量検出素子が得られる。 【0040】実施の形態7.図13はこの発明の実施の形態7に係る流量検出素子を示す平面図、図14は図13のXIV−XIV矢視断面図である。この実施の形態7では、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように第2の切欠としての切欠12aが設けられている。そして、この切欠12aはセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。なお、この実施の形態7は、切欠9aに代えて、切欠12aを設けている点を除いて、上記実施の形態1と同様に構成されている。 【0041】このように構成された流量検出素子では、切欠12aはセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。そこで、切欠12aが設けられた部位の平板状基板1の厚みが薄くなり、熱抵抗が高くなる。また、センサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路の表面積が増大し、センサ部10から平板状基板1中を伝導してきた熱が切欠12aの表面から放熱される。その結果、センサ部10から平板状基板1を介して流体測温素子7に伝導される熱が低減される。このように、この実施の形態7によれば、切欠12aを熱伝導経路中に設けたので、流体測温素子7の温度が発熱抵抗素子4で発生した熱の影響を受けることがなく、流体測温素子7の位置をセンサ部10に近づけることができ、小型の流量検出素子が得られる。 【0042】実施の形態8.図15はこの発明の実施の形態8に係る流量検出素子を示す平面図、図16は図15のXVI−XVI矢視断面図である。この実施の形態8では、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し平板状基板1の裏面に達しないように第2の切欠としての切欠12bが設けられている。そして、この切欠12bはセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。なお、この実施の形態8は、切欠12aに代えて、切欠12bを設けている点を除いて、上記実施の形態7と同様に構成されている。 【0043】このように構成された流量検出素子では、切欠12bはセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。そこで、切欠12bが設けられた部位の平板状基板1の厚みが薄くなり、熱抵抗が高くなる。また、センサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路の表面積が増大し、センサ部10から平板状基板1中を伝導してきた熱が切欠12bの表面から放熱される。さらに、切欠12bが平板状基板1の表面側から設けられているので、センサ部10から流体測温素子7に伝導される熱は切欠12bを迂回することになり、熱伝導経路長さが長くなる。その結果、センサ部10から平板状基板1を介して流体測温素子7に伝導される熱が低減される。このように、この実施の形態8によれば、切欠12bを熱伝導経路中に設けたので、流体測温素子7の温度が発熱抵抗素子4で発生した熱の影響を受けることがなく、流体測温素子7の位置をセンサ部10に近づけることができ、小型の流量検出素子が得られる。 【0044】実施の形態9.図17はこの発明の実施の形態9に係る流量検出素子を示す平面図、図18は図17のXVIII−XVIII矢視断面図である。この実施の形態9では、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、熱伝導抑制材13が支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜に内在させて設けられている。そして、この熱伝導抑制材13はセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。この熱伝導抑制材13は、支持膜2および保護膜3の熱伝導率より低い材料、例えばフォトレジスト、ポリイミド、ガラス(PSG、BPSG)等が用いられ、スピンコートやCVD等の方法により成膜されている。なお、この実施の形態9は、切欠12aに代えて、熱伝導抑制材13を設けている点を除いて、上記実施の形態7と同様に構成されている。 【0045】このように構成された流量検出素子では、熱伝導抑制材13はセンサ部10から流体測温素子7に伝導される支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜の熱伝導経路を横切るように設けられている。そこで、支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜の熱伝導経路の熱抵抗が高くなり、センサ部10から平板状基板1を介して流体測温素子7に伝導される熱が低減される。このように、この実施の形態9によれば、熱伝導抑制材13を支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜の熱伝導経路中に設けたので、流体測温素子7の温度が発熱抵抗素子4で発生した熱の影響を受けることが抑えられ、流体測温素子7の位置をセンサ部10に近づけることができ、小型の流量検出素子が得られる。 【0046】実施の形態10.図19はこの発明の実施の形態10に係る流量検出素子を示す平面図、図20は図19のXX−XX矢視断面図である。この実施の形態10では、熱伝導抑制材13が、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜に内在させて設けられている。そして、切欠12aが、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように設けられている。さらに、2つの切欠12b、12cが、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し、平板状基板1の裏面に達しないように設けられている。これらの熱伝導抑制材13および切欠12a、12b、12cはセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。なお、この実施の形態10は、切欠12a、12b、12cを設けている点を除いて、上記実施の形態9と同様に構成されている。 【0047】このように構成された流量検出素子では、熱伝導抑制材13がセンサ部10から流体測温素子7に伝導される支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜の熱伝導経路を横切るように設けられている。そこで、支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜の熱伝導経路の熱抵抗が高くなり、センサ部10から平板状基板1を介して流体測温素子7に伝導される熱が低減される。また、切欠12a、12b、12cがセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられている。そこで、切欠12a、12b、12cが設けられた部位の平板状基板1の厚みが薄くなり、熱抵抗が高くなる。また、センサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路の表面積が増大し、センサ部10から平板状基板1中を伝導してきた熱が切欠12a、12b、12cの表面から放熱される。さらに、センサ部10から流体測温素子7に伝導される熱は切欠12a、12b、12cを迂回することになり、熱伝導経路長さが長くなる。その結果、センサ部10から平板状基板1を介して流体測温素子7に伝導される熱が一層低減される。このように、この実施の形態10によれば、切欠12a、12b、12cおよび熱伝導抑制材13が熱伝導経路中に設けられているので、流体測温素子7の温度が発熱抵抗素子4で発生した熱の影響を受けることがなく、流体測温素子7の位置をセンサ部10に近づけることができ、小型の流量検出素子が得られる。 【0048】実施の形態11.図21はこの発明の実施の形態11に係る流量検出素子を示す平面図、図22は図21のXXII−XXII矢視断面図である。この実施の形態11では、熱伝導抑制材13が、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、支持膜2および保護膜3からなる絶縁膜に内在させて設けられている。また、切欠12aが、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように設けられている。また、切欠12cが、センサ部10と流体測温素子7との間の位置に、平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し、平板状基板1の裏面に達しないように設けられている。また、切欠9aが流体測温素子7の下部に平板状基板1の裏面側から支持膜2に達しないように設けられている。さらに、3つの切欠9f、9g、9hが流体測温素子7を取り囲むように平板状基板1の表面側から支持膜2および保護膜3を貫通し、平板状基板1の裏面に達しないように設けられている。 【0049】このように構成された流量検出素子では、切欠12a、12cおよび熱伝導抑制材13がセンサ部10から流体測温素子7に伝導される熱伝導経路を横切るように設けられているので、センサ部10から平板状基板1を介して流体測温素子7に伝導される熱が低減される。そこで、流体測温素子7の温度が発熱抵抗素子4で発生した熱の影響を受けることがなく、流体測温素子7の位置をセンサ部10に近づけることができる。また、切欠9a、9f、9g、9hが流体測温素子7の近傍に設けられているので、流体測温素子7部の熱容量が小さくなり、流体測温素子7の流体温度変化に対する応答性が向上される。そこで、計測流体の温度が急激に変化しても、計測流体の温度が流体測温素子7により速やかに検出され、発熱抵抗素子4の温度が計測流体の温度に対して200℃高い温度に速やかに制御される。このように、この実施の形態11によれば、応答性の良い小型の流量検出素子が得られる。 【0050】なお、上記各実施の形態では、発熱抵抗素子4の両側に配置される測温抵抗素子5、6は同一の格子状パターンに形成するものとしているが、測温抵抗素子5、6は異なる格子状パターンに形成されてもよい。この場合、流体の流量および流速を計測する過程において、測温抵抗素子5、6から測定される温度に相当する量を、測温抵抗素子5、6の格子状パターンの差を考慮して補償した後、比較するようにすればよい。また、上記各実施の形態では、ダイヤフラムタイプの流量検出素子に適用するものとして説明しているが、ブリッジタイプの流量検出素子に適用しても、同様の効果を奏する。また、上記各実施の形態では、支持膜2および保護膜3として窒化シリコンを用いるものとしているが、支持膜2および保護膜3は窒化シリコンに限らず、絶縁性を有する材料であればよく、例えば5酸化タンタル(Ta2O5)、二酸化珪素(SiO2)等を用いることができる。また、発熱抵抗素子4、測温抵抗素子5、6および流体測温素子7として白金を用いるものとしているが、発熱抵抗素子4、測温抵抗素子5、6および流体測温素子7は白金に限定されるものではなく、温度依存性のある抵抗材料であればよく、例えば鉄とニッケルとの合金であるパーマロイでもよい。また、上記各実施の形態では、流量検出素子は発熱抵抗素子4および一対の測温抵抗素子5、6が支持膜2と保護膜3とにより包まれて構成されたセンサ部10を有するものとしているが、この発明が適用できる流量検出素子はこれに限定されるものではなく、図26および図27に示される発熱抵抗素子4が支持膜2上に形成されて構成されたセンサ部を有する従来の流量検出素子にも適用することができる。この場合、発熱抵抗素子4が発熱素子および感熱素子として機能する。 【0051】実施の形態12.図23および図24はこの発明の実施の形態12に係る流量センサを示す正面図および横断面図である。各図において、主管31は円筒状をなし、計測流体の通路を構成している。そして、円筒状の計測用管路32が主管31の内壁面から径方向内方に延出する支持腕33に支持されて同軸に配置されている。この計測用管路32内には、上記実施の形態1による流量検出素子34が、発熱抵抗素子および一対の測温抵抗素子の配列方向を計測用管路32の軸心方向に一致させて配置されている。また、主管31の一端側には、計測流体を整流するための格子状の整流器35が取り付けられている。そして、制御部および温度計測部としての制御回路36が主管31の外周に設けられたケース37内に収容されている。この制御回路36は電極パッドを介して流量検出素子34の発熱抵抗素子、測温抵抗素子および流体測温素子に電気的に接続されている。また、ケース37には、流量検出素子34に電流を供給し、出力信号を取り出すためのコネクタ38が設けられている。 【0052】このように構成された流量センサ30は、例えば内燃機関の吸気管に取り付けられ、吸入空気量の計測に適用される。この場合、吸気管が主管31に相当している。流量センサ30においては、コネクタ38を介して流量検出素子34に電流が供給され、制御回路36により、発熱抵抗素子の温度が流体測温素子で計測された空気温度に対して200℃高い温度となるように制御されている。そして、一対の測温抵抗素子の温度が制御回路36により計測され、コネクタ38を介して出力されている。吸入空気は整流器35により整流されて図中矢印39に示されるように主管31内に流入する。主管31内に流入した空気の一部が計測用管路32内に流入し、流量検出素子34のセンサ部表面に沿って一側の測温検出素子側から他側の測温抵抗素子側に流通する。そこで、空気の流れ39によって、上流側の測温抵抗素子の温度が低下し、下流側の測温抵抗素子の温度が上昇する。この一対の測温抵抗素子の温度が制御回路36を介して計測される。そして、上記実施の形態1で説明したように、この一対の測温抵抗素子の温度差に基づいて、空気の流量、流れ方向あるいは流速が検出され、内燃機関の吸入空気量の制御に供せられる。 【0053】従って、この実施の形態12によれば、流量検出素子34が上記実施の形態1のように構成されているので、十分な強度とともに、良好な応答性を備えた流量センサが得られる。そこで、この流量センサ30は、吸入空気温度が急激に変化するような自動車用内燃機関の吸入空気量の計測にも、十分適用できる。また、この流量センサ30は、吸入空気の最大流速が200m/s近くに達するような内燃機関の吸入空気量の計測にも、十分耐えられる。 【0054】なお、上記実施の形態12では、流量センサ30に上記実施の形態1による流量検出素子を用いるものとしているが、他の実施の形態による流量検出素子を用いても、同様の効果を奏する。 【0055】 【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。 【0056】この発明によれば、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記流体測温素子の近傍の上記平板状基板上に上記平板状基板の面から他面側までは達しないように上記平板状基板の一部を除去して形成された第1の切欠を設けたので、流体測温素子部の熱容量が小さくなり、流体測温素子の計測流体の温度変化に対する応答性が向上され、第1の切欠が平板状基板を完全に貫通せず、流体測温素子部の強度が高くなり、良好な応答性を有し、信頼性に優れた感熱式流量検出素子が得られる。 【0057】また、第1の切欠が流体測温素子の配置領域の下部に平板状基板の他面側に形成されているので、流体測温素子部の熱容量を小さくでき、流体測温素子の計測流体の温度変化に対する応答性が向上される。 【0058】また、第1の切欠が流体測温素子の配置領域の外周部に平板状基板の一面側に形成されているので、流体測温素子部の熱容量を小さくでき、流体測温素子の計測流体の温度変化に対する応答性が向上される。 【0059】また、第1の切欠が流体測温素子の配置領域の外周部に平板状基板の他面側に形成されているので、流体測温素子部の熱容量を小さくでき、流体測温素子の計測流体の温度変化に対する応答性が向上される。 【0060】また、良熱伝導材からなる薄膜が、流体測温素子の上部に該流体測温素子と電気的に絶縁されて設けられているので、流体測温素子部の熱抵抗を小さくでき、流体測温素子の計測流体の温度変化に対する応答性が向上される。 【0061】また、平板状基板の一部を除去して形成された第2の切欠がセンサ部と流体測温素子との間の上記平板状基板の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているので、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、かつ、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路を伝導してきた熱が第2の切欠の表面から放熱される。そこで、センサ部から流体測温素子への熱伝導が抑制され、センサ部と流体測温素子との距離の縮小が可能となり、小型化が図られる。 【0062】また、第2の切欠が平板状基板の他面側に形成されているので、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、かつ、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路を伝導してきた熱が第2の切欠の表面から放熱され、センサ部から流体測温素子への熱伝導を抑えることができる。 【0063】また、第2の切欠が平板状基板の一面側に形成されているので、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、かつ、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路を伝導してきた熱が第2の切欠の表面から放熱される。さらに、センサ部から熱伝導経路を伝導してきた熱が第2の切欠を迂回して流体測温素子に伝導されるので、熱伝導経路長さを長くすることができる。そこで、センサ部から流体測温素子への熱伝導を一層抑えることができる。 【0064】また、低熱伝導材からなる熱伝導抑制材がセンサ部と流体測温素子との間に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているので、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、センサ部から流体測温素子への熱伝導を抑えることができる。 【0065】また、この発明によれば、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、良熱伝導材からなる被膜が上記流体測温素子の上部に該流体測温素子と電気的に絶縁されて設けられているので、流体測温素子部の熱抵抗を小さくでき、流体測温素子の計測流体の温度変化に対する応答性が向上され、切欠が平板状基板に設けられておらず、流体測温素子部の強度が大きくなり、良好な応答性を有し、信頼性に優れた感熱式流量検出素子が得られる。 【0066】また、この発明によれば、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記平板状基板の一部を除去して形成された切欠が上記センサ部と上記流体測温素子との間の上記平板状基板の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているので、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、かつ、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路を伝導してきた熱が切欠の表面から放熱され、センサ部から流体測温素子への熱伝導を抑えることができる。そこで、センサ部と流体測温素子との距離の縮小が可能となり、小型化の感熱式流量検出素子が得られる。 【0067】また、この発明によれば、少なくとも流体が流通する一面側に開口を有する空隙が設けられた平板状基板と、上記平板状基板の一面側に設けられた絶縁支持膜と、上記絶縁支持膜上の上記開口上に設けられた上記流体を加熱する発熱素子及び上記流体の温度を検出する感熱素子からなるセンサ部と、上記平板状基板上の一面側に上記センサ部から離れて設けられ上記流体の温度を検出する流体測温素子とを有し、上記発熱素子の発熱温度を上記流体測温素子の検出温度より所定の温度差だけ高く維持し、上記感熱素子の検出温度に基づき上記流体の流量又は流速を計測する感熱式流量検出素子において、上記支持膜および上記保護膜より低い熱伝導率を有する熱伝導抑制材が、上記センサ部と上記流体測温素子との間の上記支持膜および保護膜の部位に、上記センサ部から上記流体測温素子への熱伝導経路を遮るように設けられているので、センサ部から流体測温素子への熱伝導経路の熱抵抗が大きくなり、センサ部から流体測温素子への熱伝導を抑えることができる。そこで、センサ部と流体測温素子との距離の縮小が可能となり、小型化の感熱式流量検出素子が得られる。 【0068】また、この発明によれば、筒状をなし、その軸方向を計測流体の流れ方向にほぼ一致させて該計測流体の通路内に配置される計測用管路と、上記感熱式流量検出素子のいずれかの感熱式流量検出素子と、上記発熱抵抗素子の温度が上記流体測温素子の温度に対して所定の温度差に維持されるように該発熱抵抗素子に供給される電流を制御する制御部とを備え、上記発熱抵抗素子によって加熱された部分から上記計測流体への熱伝達現象に基づいて上記計測流体の流量あるいは流速を計測するので、良好な応答性および信頼性を有する流量センサが得られる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
|
| 【出願日】 |
平成9年(1997)7月3日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】曾我 道照 (外6名)
|
| 【公開番号】 |
特開平11−23338 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)1月29日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−178060 |
|