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【発明の名称】 能率型水準器
【発明者】 【氏名】中村 茂

【氏名】渡部 光彌

【要約】 【課題】X−Y平面の水準を同時に調整するため、特に円形を呈する水準器の場合では、調整作業に訓練が必要であり、初心者には操作が難しい。

【解決手段】水準器本体1の上面側を気密に被装する透明体2と、前記水準器本体1内に区画形成された気泡遊動路3とを備える。気泡遊動路3は、気泡5の遊動を三方向に規制するものであり、各辺3a,3a…が内方に湾曲した三角凹溝にて成形する。また、この気泡遊動路3は、水準器本体1の中心から三方向に分岐すべく区画すると共に、各末端側が水準器本体1の内壁面に連通すべく解放するのが良い。従って、各三方向の中心延長上の三軸を利用することにより、換言すれば、X−Y平面の傾斜調整を別々に行うべく気泡に最も近い方の軸上に気泡を合わせる傾き調整と、然る後、気泡を中心位置に移行せしめる傾き調整とのツーウエイ操作(二操作)で能率的にかつ確実に整準することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】所定形状を有する水準器本体内に液体と気泡を封入してなる水準器において、前記水準器本体は、気泡の遊動を所定方向に規制する気泡遊動路を備えてなることを特徴とする能率型水準器。
【請求項2】前記気泡遊動路は、少なくとも水準器本体の中心から三方向に分岐すべく区画されていることを特徴とする請求項1に記載の能率型水準器。
【請求項3】前記気泡遊動路は、各辺が内方に湾曲してなる三角凹溝にて成形されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の能率型水準器。
【請求項4】前記気泡遊動路は、末端側が水準器本体の内壁面に連通すべく解放されていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の能率型水準器。
【請求項5】気泡遊動路が指標する各方位の延長上にそれぞれ整準ネジを配設してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の能率型水準器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体と気泡を封入してなる気泡型水準器の改良に関し、更に詳しくは、建造物、機械、機器の整準、角度計、測量器、測定器、航空機、船舶、鉄道車両、自動車、その他の水平度が要求される全ての対象物、場所において使用される水準器に存し、誰にでも簡単かつスピーディーに整準することができる能率型水準器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、斯かる水準器としては、例えば、図6に示すものが従来例として既に周知である。この従来の水準器10は、主として円形のものが使用され、水平配置の整準台(平盤)11と、該整準台11の傾きを調整する整準ネジ12,12…とを備えてなる整準装置に付設されるものであり、中に液体と気泡とが気密に封入されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来の水準器10にあっては、X−Y平面の水準を同時に調整するため、特に円形を呈する水準器の場合では、調整作業に訓練が必要であり、初心者には難しいといった問題を有するものである。
【0004】すなわち、気泡が整準台11の傾きに応じて水準器10内を自由に(縦横無尽に)遊動してしまうため、また、一定の決まり(パターン)なくX−Y平面の水準をそれぞれの整準ネジ12,12…で(操作人の勘や経験に頼って)微調整しなければならないことも相俟って、気泡を同水準器10の中心測定円(測定部)内に移動させることに、換言すれば、同整準ネジ12,12…で整準台11の鉛直軸を正すこと(以下、単に整準するという)に、かなりの時間と熟練を要してしまうといった問題を有するものである。
【0005】本発明はこのような従来の問題点に鑑みてなされたもので、熟練を要することなく誰にでも簡単かつスピーディーに整準することができる有用な能率型水準器を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的を達成するため本発明の要旨とする構成は、液体と気泡を封入してなる水準器本体と、所定形状を有する水準器本体内に液体と気泡を封入してなる水準器において、前記水準器本体は、気泡の遊動を所定方向に規制する気泡遊動路を備えてなる能率型水準器に存する。
【0007】また、前記気泡遊動路は、少なくとも水準器本体の中心から三方向に分岐すべく区画されるのが良い。
【0008】更に、前記気泡遊動路は、各辺が内方に湾曲してなる三角凹溝にて成形するのが好ましい。
【0009】また、前記気泡遊動路は、末端側が水準器本体の内壁面に連通すべく解放されるのが良い。
【0010】更に、気泡遊動路が指標する各方位の延長上にそれぞれ整準ネジを配設するのが良い。
【0011】このように構成される本発明の能率型水準器は、前記水準器本体が、気泡の遊動を所定方向に規制する気泡遊動路を備えてなることによって、水準器本体の傾きに応じて気泡が縦横無尽に遊動してしまうことが阻止されることとなる。
【0012】また、前記気泡遊動路が、少なくとも水準器本体の中心から三方向に分岐すべく区画されることにより、各三方向の中心延長上の三軸(a軸、b軸、c軸)を利用して、換言すれば、気泡に最も近い方の軸上に気泡を合わせる傾き調整と、然る後、気泡を中心位置に移行せしめる傾き調整とのツーウエイ操作(二操作)のみで確実に整準し得ることとなる。
【0013】更に、前記気泡遊動路は、各辺が内方に湾曲した三角凹溝にて成形されることにより、水準器本体の傾きに応じて気泡がその三角凹溝の湾曲面に円滑に案内されることとなる。
【0014】また、前記気泡遊動路は、末端側が水準器本体の内壁面に連通すべく解放されることにより、気泡の遊動許容範囲が最大に長く確保され、機器誤差が少なくなり、大きな傾きにでも対応できることとなる。
【0015】更に、気泡遊動路が指標する各方位の延長上にそれぞれ整準ネジを配設してなることによって、例えば、2カ所の整準ネジでX軸方向の傾き調整を行い、次いで、残りの調整ネジのみでY軸方向の傾き調整を行うだけで(図5参照)、気泡を簡単かつスピーディーに中央測定部内に移動し得ることとなる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る能率型水準器の実施の一例を図面を参照しながら説明する。図中Aは、本発明に係る能率型水準器であり、この能率型水準器Aは、所定大きさの水準器本体1と、該水準器本体1の上面側を気密に被装する透明体2と、前記水準器本体1内に区画形成された気泡遊動路3とを備えている。
【0017】前記水準器本体1は、金属若しくは合成樹脂材等の適宜素材からなり、中にアルコールやエーテルのように粘性の小さい液体4と、該液体4に浮遊する気泡5とが気密に封入されている。
【0018】また、前記透明体2は、ガラス若しくは合成樹脂材からなり、その中央位置に円形の測定部6が表示されている。
【0019】更に、前記気泡遊動路3は、気泡5の遊動を三方向に規制するものであり、各辺3a,3a…が内方に湾曲した三角凹溝にて成形されている。
【0020】すなわち、この気泡遊動路3は、水準器本体1の中心から三方向に分岐すべく区画されていると共に、各末端側が水準器本体1の内壁面に連通すべく解放されている。
【0021】このように構成される本発明に係る能率型水準器は、図3に示すように、常套な整準装置Bの平盤7上に取り付けされるものであり、気泡遊動路3が指標する各方位の延長軸上にそれぞれ配設された整準ネジ8を回転させることにより(図4参照)、平盤7(すなわち、鉛直軸)の傾きが変わるべく整準される。
【0022】また、この水準器Aにおける水準調整の手順について簡単に説明すると、例えば、図5(a)に示す位置に気泡5がある場合、a軸の延長上にない他の二つの整準ネジ、すなわち、b軸とc軸の延長上にある整準ネジ8b,8c(図4参照)を用いて、図5(b)に示すように、気泡5を、一旦、a軸上に合わせ(X軸方向の傾き調整)、次いで、a軸上の調整ネジ8a(図4参照)によるY軸方向の傾き調整だけで、簡単に気泡5が中心の測定部6内に移動できるものであり(図5(c)参照)、気泡5が縦横無尽に浮遊してしまう従来の水準器に比して、頗る簡単かつスピーディーに整準できるのである。
【0023】尚、本発明に係る能率型水準器は、本実施例に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。
【0024】例えば、本実施例では、傾きに応じて気泡5が三方向に移動できるように気泡遊動路3を区画形成してあるが、これに限定されることなく、必要に応じて三方以上に気泡遊動路3を分岐させても良いものである。
【0025】
【発明の効果】本発明は上述のように構成され、前記水準器本体が、気泡の遊動を所定方向に規制する気泡遊動路を備えてなることによって、気泡が縦横無尽に遊動してしまうことが阻止されるため、従来の水準器に比して、能率良く整準することができるといった効果を奏するものである。
【0026】また、前記気泡遊動路が、少なくとも水準器本体の中心から三方向に分岐すべく区画されることにより、各三方向の中心延長上の三軸(a軸、b軸、c軸)を利用して、換言すれば、気泡に最も近い方の軸上に気泡を合わせる傾き調整と、然る後、気泡を中心位置に移行せしめる傾き調整とのツーウエイ操作(二操作)で確実に整準することができるといった効果を奏するものである。
【0027】更に、前記気泡遊動路は、各辺が内方に湾曲した三角凹溝にて成形されることにより、水準器本体の傾きに応じて気泡が円滑にその三角凹溝の湾曲面にて案内されるため、水平からの傾き(鉛直度)をより正確に示すことができ、感度を高めることができるといった効果を奏するものである。
【0028】また、前記気泡遊動路は、末端側が水準器本体の内壁面に連通すべく解放されることにより、気泡の遊動許容範囲が最大に長く確保されるため、機器誤差が少なくなり、大きな傾きにでも対応できるといった効果を奏するものである。
【0029】更に、気泡遊動路が指標する各方位の延長上にそれぞれ整準ネジを配設してなることによって、例えば、2カ所の整準ネジでX軸方向の傾き調整を行い、次いで、残りの調整ネジのみでY軸方向の傾き調整を行うだけで(図5参照)、気泡を簡単かつスピーディーに中央測定部内に移動させることができるといった効果を奏するものである。
【0030】このように本発明の水準器は、熟練を要することなく誰にでも簡単かつスピーディーに整準することができると共に、構成が単純であるため大量生産に適し、価格も低廉なものとして需要者に供給できる等、本発明を実施することはその実益的価値が甚だ大である。
【出願人】 【識別番号】000166432
【氏名又は名称】戸田建設株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功 (外1名)
【公開番号】 特開平11−304479
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−113174