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【発明の名称】 振動型角速度検出装置
【発明者】 【氏名】野々山 林

【氏名】伊藤 弘明

【要約】 【課題】

【解決手段】コリオリ力に基づく移相器80の移相電圧は、パルス発生器110により2値化パルスとして形成される。そして、この2値化パルスと発振器100からの発振信号とがEXORゲート120により排他論理和信号として同期検波回路140に出力される。発振器100の発振信号は固定電極50に印加される。C−V変換器130の入力端子は可動電極22に接続されている。同期検波回路140は、C−V変換器130が可動電極22の電荷量を容量信号に変換する。この容量信号が同期検波回路140により排他論理和信号に基づき同期検波される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可動体に支持される固定電極(50)と、この固定電極と共に平行板コンデンサを形成する可動電極(22)と、この可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように配置した駆動電極(30、40)と、前記可動電極の板厚方向とは直角な方向の振動を検出する検出素子(23a、23b)と、前記検出素子の検出出力の位相を所定位相だけ移相して移相信号を形成し、この位相信号を、前記可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように、駆動信号として前記駆動電極に印加する駆動信号印加手段(60乃至80)と、可動体の角速度に応じて前記可動電極の板厚方向にコリオリ力が生じたときこのコリオリ力に応じて変化する前記平行板コンデンサの静電容量を容量信号に変換する変換手段(130)と、前記容量信号を前記駆動信号に基づき同期検波する同期検波手段(140)とを備え、この同期検波手段の同期検波出力を前記角速度として検出する振動型角速度検出装置であって、前記変換手段が前記可動電極の電位を一定に維持するようにした振動型角速度検出装置。
【請求項2】 可動体に支持される固定電極(50)と、この固定電極と共に平行板コンデンサを形成する可動電極(22)と、この可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように当該可動電極に対し対称的に配置した両駆動電極(30、40)と、前記可動電極の板厚方向とは直角な方向の板厚方向の振動を検出する検出素子(23a、23b)と、前記検出素子の検出出力の位相を所定位相だけ移相して移相信号を形成し、この移相信号を、前記可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように、第1駆動信号として前記両駆動電極の一方(40)に印加する第1駆動信号印加手段(60乃至80)と、前記第1駆動信号の位相を反転させた位相反転信号を、当該第1駆動信号とは逆位相にて前記可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように、第2駆動信号として他方の駆動電極(30)に印加する第2駆動信号印加手段(90)と、可動体の角速度に応じて前記可動電極の板厚方向にコリオリ力が生じたときこのコリオリ力に応じて変化する前記平行板コンデンサの静電容量を容量信号に変換する変換手段(130)と、前記容量信号を前記駆動信号に基づき同期検波する同期検波手段(140)とを備え、この同期検波手段の同期検波出力を前記角速度として検出する振動型角速度検出装置であって、前記変換手段が前記可動電極の電位を一定に維持するようにした振動型角速度検出装置。
【請求項3】 前記変換手段は、前記平行板コンデンサの静電容量を前記容量信号に変換する位相反転型演算増幅手段(131、132)であって、前記可動電極は、前記演算増幅手段の反転入力端子に接続されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の振動型角速度検出装置。
【請求項4】 梁(21、24)が、その支持部(21a)にて可動体に支持されて、前記可動電極のその板厚方向とは直角な振動方向に沿う幅の中心を基準に対称的に位置するように、前記可動電極から延出形成されており、前記可動電極を前記演算増幅手段の反転入力端子に接続する低抵抗値の配線が、前記梁の支持部から前記演算増幅手段の反転入力端子まで前記梁に沿い設けられていることを特徴とする請求項3に記載の振動型角速度検出装置。
【請求項5】 前記可動電極のその板厚方向とは直角な方向への振動周波数よりも高い所定の周波数にて発振信号を発生して前記固定電極に印加する発振手段(100)と、前記移相信号を2値化して2値化パルスを発生する2値化パルス発生手段(110)と、前記移相信号及び前記発振信号の排他論理和をとり排他論理和信号を発生する排他論理和手段(120)とを備えて、前記同期検波手段は、前記容量信号の同期検波を、前記排他論理和信号に基づき行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の振動型角速度検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両等の可動体に採用するに適した振動型角速度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、車両用振動型角速度検出装置としては、振動子を用いて、この振動子の駆動振動のもと、車両の左右方向への回転に応じて当該振動子に生ずるコリオリ力に基づき、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサがある。そして、このヨーレートセンサでは、振動子の形成材料として、金属やセラミックなどが用いられてきた。
【0003】ところで、近年、振動子の形成材料としてシリコン(Si)等の半導体材料を用い、マイクロマシン技術を応用した小型のヨーレートセンサが開発されている。このようなヨーレートセンサは、マイクロマシン技術により形成された微少な可動部を採用し、この可動部を振動させるために、電極間静電容量のコリオリ力による変化を利用している。そして、当該ヨーレートセンサは、この電極間静電容量の変化に基づきヨーレートを検出する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記ヨーレートセンサでは、その外形寸法が上述のように小型化されると、可動部を振動させるために、駆動信号を加える駆動電極と、可動部と平行板コンデンサを形成する検出電極との間の距離が近くなる。このため、駆動信号が、駆動電極から、ヨーレートセンサの他の構成部材を通り検出電極に回り込むという現象が生ずる。
【0005】ここで、駆動信号の回り込み成分は、検出電極により検出される微少な検出信号に比べて大きいため、当該回り込み成分は、検出信号に大きく誤差として混入するとともに、検出信号は、回り込み成分の振幅や位相の僅かな変化だけで、大きなドリフト成分を含むこととなる。これに対し、この駆動信号の影響を除去する方法として、米国特許第5530342号明細書において、駆動信号を共振周波数の1/2倍にする方法が開示されている。
【0006】この方法は、回り込みの周波数成分がコリオリ力の信号の周波数の半分の周波数となることを利用して、回り込みの周波数成分を同期検波により除去しようとするものである。しかし、駆動信号の回り込み成分自体は減少しないため、検出電極による検出信号には、駆動信号の回り込み成分が誤差として大きく混入し、その結果、ヨーレートの検出感度を上げることができないという不具合がある。
【0007】そこで、本発明は、以上述べたことに対処するため、平行板コンデンサのコリオリ力による静電容量の変化に基づき可動体の角速度を検出するにあたり、駆動電極から平行板コンデンサへの駆動信号の回り込みを抑制するようにした振動型角速度検出装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1及び3に記載の発明によれば、可動電極の板厚方向とは直角な方向の振動が検出素子により検出されると、駆動信号印加手段が、検出素子の検出出力の位相を所定位相だけ移相して移相信号を形成し、この位相信号を、可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように、駆動信号として駆動電極に印加する。これにより、可動電極はその板厚方向とは直角な方向に自励振動する。
【0009】しかして、可動体の角速度に応じて可動電極の板厚方向にコリオリ力が生ずると、変換手段が、可動電極の電位を一定に維持しつつ、当該コリオリ力に応じて変位する可動電極とこの可動電極の板厚方向に対向して位置する固定電極との平行板コンデンサの静電容量を容量信号に変換する。ついで、同期検波手段は、容量信号を駆動信号に基づき同期検波すると、この同期検波出力が角速度として検出される。
【0010】このように、変換手段による変換作用が可動電極の電位を一定に維持しつつなされるから、駆動信号が駆動電極から可動電極に回り込んでも、可動電極の電位の変動が抑制される。その結果、当該駆動信号の回り込みの成分が小さくなる。よって、可動電極や固定電極が小型であっても、容量信号に対する駆動信号の回り込み成分が少なくなり、同期検波出力の精度が向上する。
【0011】なお、検出素子は、歪みゲージや平行板コンデンサであってもよい。また、請求項2及び3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明とは異なり、両駆動電極が、可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように当該可動電極に対し対称的に配置されている。さらに、請求項1の駆動信号印加手段に相当する第1駆動信号印加手段の他に、第2駆動信号印加手段が設けられ、この第2駆動信号印加手段が、第1駆動信号の位相を反転させた位相反転信号を、当該第1駆動信号とは逆位相にて可動電極をその板厚方向とは直角な方向に振動させるように、第2駆動信号として駆動電極に印加する。
【0012】そして、変換手段が請求項1と同様に可動電極の電位を一定に維持する。しかして、両駆動電極が固定電極に対し対称的に位置していることでこれら両駆動電極から可動電極への各駆動信号の回り込み成分が互いに相殺されて小さくなる。従って、このような回り込み成分の相殺を前提に変換手段による変換作用が可動電極の電位を一定に維持しつつなされるから、請求項1に記載の発明の作用効果をより一層向上できる。
【0013】ここで、請求項3に記載の発明によれば、変換手段は、前記平行板コンデンサの静電容量を前記容量信号に変換する位相反転型演算増幅手段である。そして、可動電極は、演算増幅手段の反転入力端子に接続されている。これにより、可動電極の電位が演算増幅手段の反転入力端子を介しその非反転入力端子の電位に維持されるので、請求項1又は2に記載の発明の作用効果をより一層確実に達成できる。
【0014】また、請求項4に記載の発明によれば、梁が、その支持部にて可動体に支持されて、可動電極のその板厚方向とは直角な振動方向に沿う幅の中心を基準に対称的に位置するように、可動電極から延出形成されている。また、可動電極を演算増幅手段の反転入力端子に接続する低抵抗値の配線が、梁の支持部から演算増幅手段の反転入力端子まで梁に沿い設けられている。
【0015】これにより、上記配線が低抵抗値にて対称的に位置することとなるから、可動電極の電位変動をより一層抑制し得る。その結果、請求項1乃至3に記載の発明の作用効果をより一層向上できる。また、請求項5に記載の発明によれば、発振手段が、可動電極のその板厚方向とは直角な方向への振動周波数よりも高い所定の周波数にて発振信号を発生すると、2値化パルス発生手段が、上記移相信号を2値化して2値化パルスを発生する。
【0016】すると、排他論理和手段が、移相信号及び発振信号の排他論理和をとり排他論理和信号を発生し、同期検波手段は、容量信号の同期検波を、排他論理和信号に基づき行う。これにより、容量信号の同期検波が、排他論理和信号、即ち、駆動信号の周波数よりも大きな発振信号と、移相信号、即ち、コリオリ力とに同期してなされることとなる。従って、駆動信号が可動電極に回り込んだとしても、これに影響されることなく、容量信号から角速度成分が精度よく同期検波される。その結果、請求項1乃至4に記載の発明の作用効果をより一層向上できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図1乃至図5に基づいて説明する。図1は、本発明に係る車両用ヨーレートセンサの概略全体構成を示しており、このヨーレートセンサは、当該車両の左右方向への回転に伴うヨーレートを検出する。
【0018】このヨーレートセンサは、その基板10にて、当該車両の適所に固定されており、この基板10は、当該車両の前後方向(図1にて図示Y軸方向)に直交する面(図1にて図示Z軸に平行な面)内に位置している。また、この基板10の板厚方向は、Y軸方向と一致している。なお、当該車両の左右方向への回転に伴う角速度ωのベクトル方向は、Z軸の方向に一致している。
【0019】ヨーレートセンサは、可動板20と、一対の櫛歯状駆動電極30、40と、固定電極50とを備えている。可動板20は、上下一対の梁21と、四角板形状の可動電極22と、左右各一対の梁23、24とを備えている。上下一対の梁21は、その両端部に形成した各アンカ21aにて、基板10の後壁11上に固定されている。
【0020】可動電極22は、左右各一対の梁23、24により、各梁21の中間部位に連結されている。これにより、可動電極22は基板10の後壁11(基板10の両壁のうち当該車両の後方側に位置する壁)に平行に支持されている。ここで、各梁23には、振動検出用歪みゲージ23aが、各梁23の上端部にそれぞれ形成されている。
【0021】駆動電極30は、その各櫛歯電極部31にて、可動電極22の左端部に形成した複数の櫛歯25のうち各両櫛歯の間にそれぞれ延出している。一方、駆動電極40は、その各櫛歯電極部41にて、可動電極22の右端部に形成した複数の櫛歯26のうち各両櫛歯の間にそれぞれ延出している。固定電極50は、その板状電極部51にて、可動電極22の前壁側(可動電極22の両壁のうち当該車両の前方側に位置する壁)にて、基板10の後壁11上に形成されている。これにより、この固定電極50は可動電極22と共に平行板コンデンサを構成する。なお、電極部51の左右方向中央は、両歪みゲージ23a、23b間の中央に一致している。
【0022】ここで、可動電極22が両駆動電極30、40により駆動されている状態にて当該車両の回転に応じ角速度ωが発生すると、コリオリ力が発生して可動電極22に作用する。このため、可動電極22がY軸方向に変位して上記平行板コンデンサの静電容量を変化させる(図5(e)参照)。両歪みゲージ23a、23bは、可動電極22のその板厚方向とは直角な方向の振動を歪みとして検出する。しかして、可動電極22が両駆動電極30、40により駆動されて駆動電極40の方向に変位すると、歪みゲージ23aは伸び他方の歪みゲージ23bは縮む。逆に、可動電極22が両駆動電極30、40により駆動されて駆動電極30の方向に変位すると、歪みゲージ23aは縮み他方の歪みゲージ23bは伸びる。
【0023】なお、本実施形態では、基板10は単結晶シリコンにより形成されている。また、可動板20及び両駆動電極30、40は、基板10の後壁に貼り合わせた単結晶シリコンをエッチング処理して形成されている。また、各歪みゲージ23a、23bと各アンカ21a上に形成した各パッド29とを接続する配線はイオン注入による拡散層で形成されている。固定電極50は、可動電極用単結晶シリコンを基板10に貼り合わせる前に、基板10の後壁11に多結晶シリコンを堆積した後これをエッチング処理することで形成されている。
【0024】次に、ヨーレートセンサの電気回路構成について説明する。両歪みゲージ23a、23bは、図1乃至図3にて示すごとく、電源Vと接地端子GNDとの間にて、直列接続(図2の配線w参照)されており、両歪みゲージ23a、23bの共通端子に生ずるゲージ電圧(図5(c)参照)が、可動電極22の変位に応じて変化する。
【0025】増幅器60は、両歪みゲージ23a、23bの共通端子に生ずるゲージ電圧を受けて増幅し増幅電圧をバンドパスフィルタ70(以下、BPF70という)に出力する。BPF70は、可動電極20の後述する共振周波数成分を取り出してフィルタ電圧を移相器80に出力する。移相器80は、BPF70のフィルタ電圧の位相を90°ずらせて、位相電圧を形成し、この位相電圧を駆動電圧D1(図5(a)参照)として、駆動電極40に印加する。これにより、駆動電極40の各櫛歯41と可動電極22の各櫛歯26との間に、駆動電圧D1の変化に応じた静電力が発生する。
【0026】反転回路90は、移相器80からの位相電圧の位相を反転して反転電圧を駆動電圧D2(図5(b)参照)として駆動電極30に印加する。これにより、駆動電極30の各櫛歯31と可動電極22の各櫛歯25との間に駆動電圧D2の振幅変化に応じた静電力が発生する。ここで、両駆動信号D1、D2は、図5にて示すごとく、互いに逆位相となっているため、各櫛歯31と各櫛歯25との間に生ずる静電力は、各櫛歯41と各櫛歯26との間に生ずる静電力とは逆位相となっている。また、両駆動信号D1、D2は接地電位と交差しないように所定だけオフセットされている。
【0027】このため、可動電極22は、両静電力に応じて左右方向に駆動されて、共振周波数にて自励発振する。なお、両歪みゲージ23a、23b、BPF70、移相器80及び反転回路90により自励発振系を構成する。また、発振器100は、所定の周波数(可動電極22の共振周波数よりも大きい周波数)にて発振し発振信号(図5(g)参照)をEXORゲート120及び固定電極50の電極部51にその端子部52を介し印加する。
【0028】ここで、固定電極50に加わる発振器100からの発振信号は、その所定の周波数にて、上記平行板コンデンサの静電容量の変化に変調をかける役割を果たす。このことは、可動電極22には、発振器100の発振信号のレベルと、可動電極22及び固定電極50間の静電容量に応じた電荷に移動が生ずることを意味する。なお、上記所定の周波数は、可動電極22の共振周波数よりも十分に高い値に設定されている。
【0029】パルス発生器110は、移相器80からの駆動電圧D1を所定閾値を基準に2値化して2値化パルス(図5(f)参照)を発生する。エクスクルーシブORゲー 120(以下、EXORゲート120という)は、発振器100からの発振信号とパルス発生器110から2値化パルスとの排他論理和をとり排他論理和信号(図5(i)参照)を出力する。
【0030】容量−電圧変換器130(以下、C−V変換器130という)は、図4にて示すごとく、位相反転型演算増幅器131と、この演算増幅器131に接続した帰還回路132とを備えており、演算増幅器131はその反転入力端子にて可動電極22に各パッド27を介し接続されている。また、演算増幅器131の非反転入力端子は、接地されている。
【0031】このように構成したC−V変換器130では、演算増幅器131が、上記平行板コンデンサの静電容量、即ち、可動電極22の電荷量を容量電圧(図5(h)参照)に変換して同期検波回路140に出力する。但し、演算増幅器131の反転入力端子及び非反転入力端子はイマジナリショートされているため、可動電極22は演算増幅器131の反転入力端子及び非反転入力端子を介し接地電位に維持される。
【0032】なお、両梁24及びその近傍の梁21及びアンカ21aが、固定電極50の図1にて図示左右方向幅の中心に対し対称的に位置しており、しかも、低抵抗の配線が各アンカ21aのパッド27から演算増幅器131の反転入力端子まで接続されている。このため、各梁21、23、24の抵抗成分による可動電極22の電位変動をより一層抑制し得る。
【0033】同期検波回路140は、C−V変換器130からの容量電圧をEXORゲート120からの排他論理和信号に基づき同期検波して同期検波出力(図5(j)参照)を発生する。ここで、C−V変換器130の出力電圧は、発振器100の発振信号の周波数成分(上記平板コンデンサの静電容量の変調成分)及び可動電極22の共振周波数成分(駆動信号の回り込み成分)を含んでいるが、同期検波回路140による上記排他論理和信号に基づく同期検波により、この同期検波回路140の同期検波出力は、ヨーレート成分と、発振器100の発振信号の振幅成分(但し、共振周波数で変調されている)となる。
【0034】ローパスフィルタ150(以下、LPF150という)は、同期検波回路140の同期検波出力からヨーレート成分をとり出してヨーレート出力(図5(j)参照)を発生する。なお、図5(j)にて、基準レベルは、同期検波回路140の同期検波出力に対するレベルである。次に、以上のように構成した本実施形態の作動について説明する。
【0035】可動電極22が両駆動電極30、40からの各駆動信号D1、D2により駆動されると、この可動電極22は発振する。このような状態にて両歪みゲージ23a、23bの共通端子から生ずるゲージ電圧が増幅器60により増幅されて増幅電圧としてBPF70に出力される。すると、当該増幅電圧のうち可動電極22の共振周波数成分のみがBPF70によりとり出されてフィルタ電圧として移相器80に出力される。
【0036】ついで、この移相器80が当該フィルタ電圧を90°位相をずらして位相電圧を形成しこれを駆動電圧D1として駆動電極40に印加する。一方、反転回路90が、移相器80からの位相電圧を位相反転して駆動電圧D2として駆動電極30に印加する。これに伴い、可動電極22が両駆動電極30、40により各駆動電圧D1、D2でもって駆動される。ここで、両駆動電圧D1、D2は、上述のごとく、接地電位と交差しないようにオフセットされている。このため、可動電極22は共振周波数で自励発振する。
【0037】この場合、両駆動電極30、40は互いに逆位相であり、両駆動電極30、40等の素子が可動電極22の基準にほぼ対称的に位置している。このため、両駆動電極30、40への各印加駆動電圧D1、D2が可動電極22に回り込んでも、各印加駆動電圧D1、D2が互いに相殺される。よって、各駆動電圧D1、D2の可動電極22への回り込み量を小さくできる。
【0038】また、移相器80からの位相電圧は、パルス発生器110により2値化パルス(図5(f)参照)として形成される。そして、この2値化パルスと発振器100からの発振信号とがEXORゲート120により排他論理和信号として同期検波回路140に出力される。このような状態にて、当該車両が左右方向に回転して角速度ωを生ずると、コリオリ力がY軸方向に発生してその発生方向に可動電極22を振動させる(図5(d)参照)。これにより、上記平行板コンデンサの静電容量が変化する(図5(e)参照)。また、この静電容量の変化は、発振器100の発振信号によりその周波数でもって変調される。
【0039】このため、可動電極22には、発振器100の発振信号のレベル、上記コリオリ力並びに可動電極22及び固定電極50の間の静電容量に応じた電荷の移動が生じる。従って、この電荷の移動量がC−V変換器130より容量電圧(図5(h)参照)に変換される。このとき、可動電極22の電位は演算増幅器131により接地電位に維持されているため、両駆動電圧D1、D2の回り込み成分による可動電極22の電位の変動が抑制される。しかも、上述のごとく、各アンカ21aと演算増幅器131の反転入力端子とを低抵抗の配線で接続しているから、梁21、23、24の抵抗値による可動電極22の電位変動の抑止をより一層促進できる。
【0040】このため、可動電極22への両駆動電圧D1、D2の回り込み成分をより一層小さくできる。しかして、C−V変換器130からの容量電圧が、同期検波回路140によりEXORゲート120からの排他論理和信号により同期検波される。この場合、当該排他論理和信号が、移相器80の位相電圧(駆動電圧D1)に基づきパルス発生器110により形成される2値化パルス及び発振器100の発振信号により形成される(図5(i)参照)。
【0041】このため、同期検波回路140は、発振器100の発振信号のみならず、移相器80の位相電圧、即ち、コリオリ力に同期して、C−V変換器130からの容量電圧を検波することとなる。これにより、上記角速度ωが、可動電極22の共振周波数とは異なる発振器110の発振信号の周波数にてコリオリ力に同期して同期検波回路140から同期検波出力(図5(j)参照)として得られることなる。
【0042】換言すれば、C−V変換器130の出力に両駆動電圧D1、D2の回り込み成分が含まれていても、C−V変換器130の出力のうち発振器100の発振信号の周波数成分のみがコリオリ力に同期して検波されることなる。その結果、ヨーレートがこの同期検波回路140の出力からLPF150によりとり出されて角速度ωがヨーレート出力として発生される。
【0043】なお、本発明の実施にあたり、他の固定電極を可動電極22を介し固定電極50に対向するように設けて、差動的な静電容量を形成するようにして実施してもよい。この場合には、他の固定電極には、発振器100の発振信号を位相反転して印加する。また、本発明の実施にあたり、上記実施形態とは異なり、例えば、基板10を当該車両の適所に水平状に配設してこの車両のローリングにより生ずる角速度を検出するようにしてもよい。
【0044】また、本発明の実施にあたり、車両に限ることなく、船舶等の各種の可動体の角速度の検出に際し、本発明を適用して実施してもよい。また、本発明の実施にあたり、両歪みゲージ23a、23bに代えて、別途各固定電極を設けて、これら各固定電極と可動電極22との静電容量でもって駆動信号による振動を検出するようにして実施してもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成9年(1997)10月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
【公開番号】 特開平11−118491
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−279106