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【発明の名称】 光ディスクの検査方法及び装置
【発明者】 【氏名】堀口 隆三

【要約】 【課題】光ディスクの反り検査に際し、少ない測定データで、検査精度の向上と、検査時間の短縮化を図る。

【解決手段】光ディスク1の少数の固定半径位置に配置した光学式検出器10により、光ディスクを回転させつつ、面振れ量(軸方向変位)及び反り角を測定する。そして、反り現象を記述する比較的簡単な数式である、薄い円板の曲げに関する方程式を満足する解析解を用いて、光学式検出器による測定データをカーブフィットする補間処理により、光ディスク全体の面振れ量及び反り角のデータを得て、反り検査を行う。また、補間処理の結果は、補間式の係数として記録する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】光ディスクの複数の半径位置で光学式検出器により光ディスクの反り角を測定し、反り現象を記述する数式を用いて光学式検出器による測定データをカーブフィットする補間処理により、光ディスク全体の反り角データを得、光ディスク全体の反り角データに基づいて検査を行うことを特徴とする光ディスクの検査方法。
【請求項2】前記補間処理の結果を、前記数式の係数として記録することを特徴とする請求項1記載の光ディスクの検査方法。
【請求項3】光ディスクの複数の半径位置で光ディスクの反り角を測定する光学式検出器と、反り現象を記述する数式を用いて光学式検出器による測定データをカーブフィットする補間処理により、光ディスク全体の反り角データを得る補間処理手段と、光ディスク全体の反り角データに基づいて検査を行う検査手段と、を含んで構成されることを特徴とする光ディスクの検査装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ディスクの検査方法及び装置に関し、特に光ディスクの反り状態を検査するための方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来は、下記方式の検査装置によって、光ディスクの反り検査が行われてきた。
(a)レーザー光源とPSD(Position Sensing Device )センサとの組み合わせ等を用いた光ディスクの反り角を測定するセンサを数点の固定された測定半径位置に設置する光学的検査装置では、光ディスクを約1回転する間に、設置された複数のセンサにより同時に測定する。
【0003】(b)前記(a)の光学的検査装置において、光ディスクの反り角を測定するセンサを送りモータ等の移動装置によって測定半径位置に移動し、光ディスクを回転して反り角の測定を行う。この測定が終了すると、移動装置により次の測定半径位置にセンサを移動させて反り角の測定を行う。このような動作を順次行うことによって多数の半径位置における反り角の測定を行い、光ディスク全面の反り角分布を求める。
【0004】(c)光ディスクを回転させるモータを備え、トラッキングサーボ制御及びフォーカッシングサーボ制御によって光ピックアップを光ディスク信号面のトラックに追従させる検査装置において、光ディスク回転中の光ピックアップの変位を測定することによって面振れ量等を測定する。更に光ピックアップを送りモータ等の移動装置を用いて移動することにより、複数の飛び飛びの測定半径位置(例えば内周、中周、外周など)における面振れ量等を測定することを可能とした装置もある。この検査装置では、光ピックアップの軸方向変位の時間微分(周方向微分)から周方向反り角を算出し、光ピックアツプの軸方向変位の半径方向微分から半径方向反り角を算出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の検査装置では、以下の問題が生じていた。
(1)光ディスク面全体の反り角分布を精密に測定しようとする場合に、次のような困難が生じる。上記(a)方式の検査装置では、多数の半径位置にセンサを配置しなければならない。これは検査装置の空間的制約上困難である。
【0006】上記(b)及び(c)方式の検査装置では、多数の半径位置における反り角測定を行う場合、1つの半径位置での測定終了後に送りモータ等の移動装置を用いてセンサや光ピックアップを移動して再度測定を行う動作を繰り返すために、検査時間(測定時間)が膨大なものになる。この場合に検査が短い生産タクト時間の間に完了せず不適当である。
【0007】(2)上記(a)〜(c)のいずれの検査方式の場合でも測定されるデータの数は膨大なものとなる。現状では、少数の半径位置について、反り角や面振れ量の最大値、最小値、平均値などの代表値のみが検査及び検査結果の記録に用いられてきた。本発明は、少ない測定データで、精度の良い検査を可能とし、かつ検査時間の短縮化を図ることができるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る光デイスクの検査方法及び装置は、光ディスクの複数の半径位置で光学式検出器により光ディスクの反り角を測定し、反り現象を記述する数式を用いて光学式検出器による測定データをカーブフィットする補間処理により、光ディスク全体の反り角データを得、光ディスク全体の反り角データに基づいて検査を行うことを特徴とする。また、前記補間処理の結果を、前記数式の係数として記録するとよい。
【0009】すなわち、本発明では、光ディスクの反り角及び面振れ量が、反り現象を記述する比較的簡単な数式である、薄い円板の曲げに関する方程式を満足する解析解を用いて良い精度でカーブフィットできるという事実に着目し、反り現象を記述する数式(以下、補間式と略記)を用いて光学式検出器による測定データをカーブフィットする補間処理により、光ディスク全体の反り角データを得ることを可能にするのである。
【0010】従って、本発明では、以下の(A),(B)のように反り検査に補間式を適用することによって従来の問題点を解決できる。
(A)少数、例えば2、3個の半径位置の測定データを補間式を用いてカーブフィットすることにより光ディスク全体の反り角データを推定することができる。このことは検査装置の空間的制約及び時間的制約の問題を解決できる。このように少数の測定半径位置の測定データから光ディスク全体の反り角を推定することは、従来の検査方式(a)〜(c)のいずれに対しても適用可能で、比較的簡単なソフトウエア、パーソナルコンピュータ等を付加するだけで安価で簡便にできる。
【0011】(B)補間式は級数の形で表せるが、計算の簡略化のために、補間式は薄い円板の曲げに関する方程式を満足するの解析解の中で光ディスクの反りに支配的であると考えられる数項から構成できる。このように補間式を適当な項数で打ち切って、補間式の係数(以下、補間係数と略記)を記録すれば、測定されたデータ量に比べて、はるかに少ないデータ容量で光ディスクの形状(反り角、面振れ量)をハードディスクなどの記億媒体上に記録できる。
【0012】反り検査での補間式の具体的利用方法を以下に挙げる。
■ 補間係数を検査装置のハードディスクやフロッピーディスクなどに記録することにより、少ないデータ容量で多量のディスクの形状データを保存し、オフラインで読出して製造プロセスの問題点などの分析に利用する。
■ 半径方向に例えば2〜3点の少ない数の測定点を用いてディスク全体の反り角及び面振れ量を推定する。
【0013】■ ディスク形状が数式の形で表現できることを利用して、ディスクに回転速度を与えた場合の面振れ加速度を推定する。
■ 検査装置のスペースや費用上の制約からセンサの数が制限されている場合、半径方向又は周方向の一方の反り角を測定することにより、もう一方の反り角を推定する。この手法によれば、簡易的な反り角センサしか持たない外観検査装置等にも適用できる。
【0014】■ 補間式を用いてディスクの曲げモーメント分布を推定する。このデータは成形等のプロセスの分析に有効である。一例として、ディスク外周端が自由端(曲げモーメントが0)であるという性質を利用すれば、ディスクの反りを等価的な熱応力でモデル化した場合のディスク外周端でのディスク裏表面の温度差を求めることができる。このようにして求めた等価的な温度差は成形工程での金型表面温度分布や保護膜の収縮状態などの考察に適用できる。
【0015】■ 歪エネルギーを推定することにより、ディスクチャック機構の保持荷重がディスクに対してなす仕事を推定できる。この仕事を一定範囲内に収めることにより、測定の安定性、再現性、互換性を高める。また、保持荷重がディスク形状に及ぼす影響を一定範囲内に制御する。この手法は反り検査以外でも、例えば外観検査装置での検査中にディスクの反り量を制御して外観検査状態を適正化することにも適用できる。
【0016】■ DVD貼合せディスクの反り角をディスクの上下両面から測定した結果から、貼合せた2枚の単板のそれぞれの反射膜に関する面振れ量を推定することができる。この面振れ量は接着層厚みが均一で、かつ接着層の剥離がない場合に上下両面で一致する。よって、上下両面での面振れ量の差から接着層厚みのムラを検出する。
【0017】■ 薄板の曲げの解析解の性質から、DVD貼合せディスクの接着状態が完全であり、接着層の剥離がない一枚板として振る舞い、かつディスク面上に軸対称でない荷重分布がかからないならば、内周から外周のどの半径位置においても反り角に対する角度位置の位相はほぼ一致すると考えられる。すなわち、内周のある角度位置において存在する反り角のうねりは外周の同一角度位置においても存在すると考えられる。一方、貼合せディスクの接着層の剥離などによって、ディスクの面内に曲げ剛性が弱い部分が生じると、ディスクはもはや一枚板としての挙動を示さなくなり、半径位置による位相差が生じると考えられる。
【0018】よって、上記の位相差をディスク全体での補間(Global補間)と測定半径位置における補間(Local補間)との違いを利用して検出することにより、ディスクの接着状態を検査することができる。
■ ディスク形状が数式で表現できることを用いると、複数のディスクの形状を容易に比較できる。例えば2枚のディスクの外周での周方向反り角が最も良く重なるように角度位置合わせを行えば、2枚のディスクの形状を容易に比較できる。ここで角度位置合わせには例えば2枚のディスクの外周の周方向反り角角に関する相互相関関数を最大にするような位相差だけ一方のディスクの角度位置を回転させる方法などが挙げられる。
【0019】このような複数のディスク形状の比較は例えば生産中のディスクの反り状態がロットや生産枚数と共にどのように変化しているのかを分析するのに有効である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態について説明する。図1に示すように、検査対象の光ディスク1に対し、複数の半径位置に、光学式検出器10として、レーザー光源11とビームスプリッタ12とPSDセンサ13との組を配置する。但し、図1では1つの半径位置の光学式検出器10のみを示している。また、光ディスク1が図示のごとくDVD貼合わせディスク等の場合は、上下両面に対し、光学式検出位器10を配置する。2は反射膜を示している。
【0021】そして、光ディスク1を回転させつつ、各PSDセンサ13により、ディスク面上の各点(半径位置r,角度位置θ)での半径方向及び周方向の反り角を測定する。これらの反り角(以下チルト角という)は、面振れ量の半径方向微分により半径方向チルト角(Radial tilt )、周方向微分により周方向チルト角(Tangential tilt )が測定される。
【0022】次に、本発明で用いるディスクの面振れに関する基礎方程式、補間式及び補間係数について、説明する。
[A1−1]基礎方程式ディスクの面振れ量(軸方向変位w)のデータは以下に示す板の曲げの方程式(A1 _1a) によく当てはまる。チルト角は面振れ量の微分を用いて表すことができ、半径方向微分により半径方向チルト角、周方向微分により周方向チルト角が得られる。
【0023】
ΔΔw=q/D (A1 _1a) Δ:Laplacian式(A1 _1a) の極座標形式での表現は、下記の式(A1 _1b) のごとくである。
【0024】
【数1】

【0025】ここで、r:半径位置、θ:角度位置、w:軸方向変位、q:ディスク面(r−θ面)単位面積当たりの荷重、D:曲げ剛性である。前記荷重qは分布荷重であり、ここでは自重による一様な分布荷重(q=−ρgh,ρ:密度、g:重力加速度、h:板厚)の場合を扱う。曲げ剛性Dは、次式により表せる。
【0026】
D=〔Eh3 〕/〔12(1−ν2 )〕 (A1 _1c) ここで、E:ヤング率、h:板厚、ν:ポアソン比である。
[A1−2]補間式補間式としては、方程式(A1 _1a) を満足する以下の式を用いる。
〔面振れ量〕
【0027】
【数2】

【0028】ここで、q0 :ディスク面(r−θ面)単位面積当たりの荷重(鉛直下方を正の向きとする)で、q0 =ρgh=−q、re :ディスク保持部半径位置である。
〔半径方向チルト角〕
【0029】
【数3】

【0030】〔周方向チルト角〕
【0031】
【数4】

【0032】ここで、ψrad , ψtan :それぞれ半径方向及び周方向チルト角、N:打ち切り項数である。
〔面振れ加速度〕
【0033】
【数5】

【0034】ここで、Ω:角速度、t:時刻である。
〔式(A1 _2d) 使用時の等価カットオフ周波数〕
max =NΩ/2π (A1 _2e) ここで、fmax :等価カットオフ周波数である。
[A1−3]補間係数補間係数は、測定データを用いて、最小2乗法により決定される。
【0035】〔半径方向チルト角の1周平均値に関する補間係数B0 ,C0
【0036】
【数6】

【0037】〔Global係数〕Global係数は、ディスクを一様な材質の1枚板とみなすGlobal補間の係数であり、以下の式(A1 _4)で表せる。
【0038】
【数7】

【0039】P及びQは、最小2乗法により補間係数を求める際にそれぞれ半径方向チルト角及び周方向チルト角の残差の2乗和に対して与える重みを表すパラメータであり、補間係数の計算には以下のように適用される。
P=Q=1:補間係数の計算に半径方向チルト角及び周方向チルト角の両方の測定データを使用する場合、最小2乗法で係数を求める際の連立1次方程式の係数行列がP=Q=1のときには対角成分だけになるため、Bk* ,Bkが容易に求められる。
【0040】P=2,Q=0:補間係数の計算に半径方向チルト角の測定データだけを使用する場合、Bk*,Bkを考慮すると、式が複雑になるため、Bk* =Bk=0とする。
P=0,Q=2:補間係数の計算に周方向チルト角の測定データだけを使用する場合、上記と同様の理由で、Bk* =Bk=0とする。
【0041】〔Local係数〕Local係数は、式(A1 _4a) 〜(A1 _4e) と同様な計算を個々の測定半径位置に適用したもので、以下の式(A1 _5)で表され、ある測定半径位置にある特異な反り状態を正確に表現できる。Local補間は式(A1 _2)に以下のLocal補間係数を用いたものである。
【0042】
【数8】

【0043】そして、図2のフローチャートに従って、反り検査装置によるオンライン検査の流れを説明する。S1では、光ディスクを回転させつつ、少数(例えば2箇所)の固定半径位置に配置したPSDセンサにより、2箇所の半径位置rでの多数の角度位置θごとに1周分の半径方向チルト角及び周方向チルト角を測定する。
【0044】より詳しくは、上流側ハンドラーにより光ディスクを検査装置にセットし、その検査スピンドルに光ディスクをチャックした後、検査スピンドルを回転させる。この回転中に、固定半径位置のPSDセンサにより、上記のごとく、各々のチルト角を測定する。測定後、検査スピンドルの回転を停止させる。S2では、測定データをディスク面全体への情報へ変換すべく、補間係数の計算(薄い円板の曲げの解析解への当てはめ)を行う。
【0045】具体的には、補間係数として、式(A1 _3a) 〜(A1 _3c) に基づく補間係数B0 ,C0 、式(A1 _4a) 〜(A1 _4e) に基づくGlobal係数、式(A1 _5a)〜(A1 _5d) に基づくLocal係数を算出する。S3では、OK/NG判定項目として、次の■〜■の計算を行う。
■外周部の面振れ量(w)を推定する。これは式(A1 _2a) に基づいて行う。
【0046】■面振れ加速度(∂2 w/∂t2 )の面内最大値を推定する。これは式(A1 _2d) を利用する。
■各測定半径位置での接着層厚みむらの推定を行う(DVDの場合のみ)。これは式(A1 _2a) を上下面に適用し、差を検出して行う。
■半径方向チルト角及び周方向チルト角の面内での最大値、最小値を求める。これは式(A1 _2b),(A1 _2c) を利用する。
【0047】S4では、上記■〜■の各計算結果(判定項目)について、予め定めたしきい値と比較して、OKかNGかを判定する。この結果、OKの場合は、S5で光ディスクをOKポールに収納する。NGの場合は、S6で光ディスクを排出ステージ(NGポール)へ送って廃棄する。すなわち、OK/NG判定後、下流側ハンドラーにOK/NG信号を送り、これに基づいて下流側ハンドラーにより光ディスクをOKポール又は排出ステージ(NGポール)に振り分ける。
【0048】S7では、光ディスクのディスクナンバー(Disk No.)とS2で計算した補間係数とをハードディスクに書込む。尚、ハードディスクに書込んだデータはオフラインで読出して、ユーザー分析(形状、加速度、接着状態等の分析、表示)に使用する。S8では、検査を継続するか否かを判定し、継続の場合は、次の光ディスクの検査のため、S1へ戻り、継続しない場合は、検査を終了する。
【0049】ここで、S1,S2の部分が補間処理手段に相当し、S3,S4の部分が検査手段に相当する。図3に示すオフラインでのユーザー分析内容について説明する。但し、分析の順序はこの通りでなくてもよい。S11では、ハードディスクからディスクナンバー(Disk No.)と補間係数とを読込む。
【0050】S12では、ディスク形状及び面振れ加速度の分析を行う。このため、チルト角の補間結果を表示する。ここで、Local補間とGlobal補間との両方を表示することにより、半径位置による位相ずれを表示する。また、DVDの場合、Local係数に対する波数と、Global係数に対する波数との関係から、接着状態等に特異性のある半径位置を検出する。すなわち、式(A1 _5a) ,(A1 _5c) のLocal係数と、式(A1 _4a) ,(A1 _4c)のGlobal係数とを比較する。接着状態に特異性がある半径位置では、k=2程度の低波数からLocal係数とGlobal係数とに違いが発生するからである。
【0051】更に、面振れ加速度の分布を表示する。これは式(A1 _2d) による計算結果である。S13では、DVDの場合に、接着状態の分析を行う。このため、上下の面振れ量の差の分布から求めた接着層厚み分布の表示を行う。これは、DVDに対応させたもので、式(A1 _2a) を上下面に適用して検出される面振れ量の差を求めて表示する。
【0052】S14では、ディスク間の反り状態の分析を行う。このため、相互相関関数を用いた複数ディスクの反りデータの重ね合わせを行う。すなわち、反り検査装置では、ディスクを回転させてチルト角の測定を行うため、複数のディスクや複数回の測定データを比較する際に以下の困難が生じていた。
【0053】2組のデータを例えば半径位置でのチルト角vs角度位置のような、角度位置に対する分布量として比較する場合に、ディスク回転開始の角度位置が測定ごとにずれるため、2組のデータの違いの中には、ディスク形状の違いの他に、単なる角度位置の位相のずれも含まれてしまう。ディスク形状が数式で表せることを用いれば、ある半径位置における2組のデータ間(例えば周方向チルト角)の相関を表す相互相関関数を容易に求めることができる。このとき、相互相関関数が最大となるずれ角(位相角)を求め、2組目のデータをずれ角分だけシフトして、2組のデータをこの半径位置において最もよく一致させるように位置合わせできる。このように位置合わせした後に2組のデータを比較すれば、ディスク形状の違いだけを取出すことができる。
【0054】S15では、製造プロセス状態の分析を行う。このため、曲げモーメントから求めた等価温度差の表示を行う。すなわち、補間式を用いてディスクの曲げモーメント分布を推定し、ディスク外周端が自由端であるという性質を利用して、ディスクの反りを等価的な熱応力でモデル化した場合のディスク外周端でのディスク裏表面の温度差を求めて、表示する。このようにして求めた等価温度差は成形工程での金型表面温度分布や保護膜の収縮状態などの考察に利用できる。
【0055】S16では、チャック状態の分析を行う。このため、チャック有り/無しの状態での歪みエネルギーの差の表示を行う。すなわち、反り検査装置では、ディスクがチャックされた場合の反り状態がチャック前とは異なる状態になってしまう。このことはバキュームチャック方式を用いた検査装置を用いて単板ディスクを検査する場合に特に顕著に現れる。このようにディスクの反り状態が変化する現象は以下のようにエネルギー的にとらえることができる。
【0056】保持力がディスクに対して仕事をなし、この仕事がディスクの系の全体エネルギーの増加をもたらす。系のエネルギーの変化はディスクの反り・うねりによる歪みエネルギーと自重による位置エネルギーの変化をもたらす。以上のことから、チャック部における保持がディスクの変形状態に及ぼす影響を定量化する手段として歪みエネルギーを利用できる。
【0057】このため、補間式を用いてディスクの歪エネルギーを推定して、ディスクチャック機構の保持荷重がディスクに対してなす仕事を推定する。そして、この仕事を一定範囲内に収めると、測定の安定性、再現性、互換性を高め、また、保持荷重がディスク形状に及ぼす影響を一定範囲内に制御できる。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る光ディスクの検査方法及び装置によれば、補間処理を用いることにより、少ない測定データで、精度の良い検査を可能とし、かつ検査時間の短縮化を図ることができる効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【出願日】 平成10年(1998)3月4日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開平11−248440
【公開日】 平成11年(1999)9月17日
【出願番号】 特願平10−52363