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【発明の名称】 物体検知装置
【発明者】 【氏名】山下 征士

【要約】 【課題】複数のスポット光を照射して、その反射光の方向に基づき、測定対象領域内の物体の有無を検知する物体検知装置において、反射光がいずれのスポット光のものであるか容易に判別できる、簡易な構成の装置を提供する。

【解決手段】光源14は、2種の波長(950,850nm)の光を選択的に発することのできる発光ダイオードである。長波長通過フィルタ30は、950nmの光を透過し、850nmの光を遮断する。短波長通過フィルタ32は、逆に950nmの光を遮断し、850nmの光を透過する。これにより、950nmの光が発せられたときには、レンズ24aにより第1のスポット光26が形成され、第2のスポット光28は形成されない。よって、受光部16で受光した反射光36は、スポット光26の反射光であることがわかる。逆に、980nmの光が発せられたときは、スポット光28の反射光であることがわかる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の対象領域に照射されたスポット光の反射光の方向に基づき、当該対象領域内の物体の有無を検知する物体検知装置であって、2種以上の波長の光を選択的に発することができる光源と、前記波長の種ごとに、少なくとも一つ設けられ、当該1種の波長の光を通過させ、他種の波長の光を遮断し、さらに通過した光をスポット光として前記対象領域に照射する2個以上のスポット光形成手段と、前記スポット光の反射光を受け、反射光の方向を検出する受光部と、前記選択された波長と前記反射光の方向に基づき前記対象領域の物体の有無を判定する判定手段と、を有し、前記スポット光は、これを形成した前記スポット光形成手段ごとに異なる方向に照射され、前記光源より選択的に発せられた光の波長の種に対応して前記スポット光が選択される、物体検知装置。
【請求項2】 請求項1に記載の物体検知装置であって、前記スポット光形成手段は、1種の波長の光を通過させ他種の波長の光を遮断するフィルタと、光源からの光をスポット光とするレンズとから構成される、物体検知装置。
【請求項3】 請求項1に記載の物体検知装置であって、前記光源は2種以上の波長を発光する単一の発光ダイオード光源である、物体検知装置。
【請求項4】 請求項2に記載の物体検知装置であって、前記光源と前記受光部を覆う、可視光を遮断し赤外光を透過するカバーを有し、前記カバーと前記レンズが一体に成形されている、物体検知装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象領域に照射されたスポット光の反射光に基づき物体の有無を検出する物体検知装置に関し、特に複数本のスポット光を照射する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】所定の対象領域にスポット光を照射し、この照射されたスポット光の反射光を受光して、その方向から、その領域に物体があるか否かを検出するセンサが知られている。たとえば、店舗などの家屋の出入り口に設けられた自動ドアのセンサなどがこれにあたる。もちろん、物体としては、人に限らず車両など他のものであっても良い。照射されたスポット光の方向と対象領域における物体からの反射光の方向から、物体までの距離を算出することができ、物体の有無を検出し、さらには物体の大きさをある程度推定することができる。このようなセンサにおいて、検出範囲を広くするために、また物体が何であるかを推定するために、複数本のスポット光をその方向を変えて照射することが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述の物体検知装置において、一つの光源を用いて複数本のスポット光を形成する場合、各々のスポット光に対応した反射光が受光されるので、どの反射光がどのスポット光により形成されたのかの判別がつかず、検知不能になる場合があるという問題があった。
【0004】また、スポット光の本数に対応して光源を設けた場合には、ある光源の光が他の光源の系に漏れないように、遮光板を設ける必要があった。すなわち、ある光源に対応して設けられたレンズにより一つのスポット光が形成される一方で、この同一光源からの光が、他の光源に対応して設けられたレンズにも入射して、もう一つまたはそれ以上のスポット光が形成される場合がある。このような場合には、前述の一つの光源を用いた場合と同様、いずれのスポット光に対応した反射光かが判別できず、結局物体の検知が不能となる。
【0005】本発明は前述の問題点を解決するためになされたものであり、反射光がいずれのスポット光に対応するものであるのかを容易に判別可能な物体検知装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前述の目的を解決するために、本発明にかかる物体検知装置は、所定の対象領域に照射されたスポット光の反射光の方向に基づき、当該対象領域内の物体の有無を検知する物体検知装置であって、2種以上の波長の光を選択的に発することができる光源と、前記波長の種ごとに、少なくとも一つ設けられ、当該1種の波長の光を通過させ、他種の波長の光を遮断し、さらに通過した光をスポット光として前記対象領域に照射する2個以上のスポット光形成手段と、前記スポット光の反射光を受け、反射光の方向を検出する受光部と、前記選択された波長と前記反射光の方向に基づき前記対象領域の物体の有無を判定する判定手段と、を有し、前記スポット光は、これを形成した前記スポット光形成手段ごとに異なる方向に照射され、前記光源より選択的に発せられた光の波長の種に対応して前記スポット光が選択されるものである。
【0007】この構成によれば、選択的に発せられた光の波長に応じてスポット光が選択的に形成されるので、形成されるスポット光を限定できる。よって、反射光は、そのスポット光によるものであると判断することができ、検出不能に陥ることがない。
【0008】さらに、前記スポット光形成手段は、1種の波長の光を通過させ他種の波長の光を遮断するフィルタと、光源からの光をスポット光とするレンズとから構成されるようにすることができる。
【0009】また、前記光源を、2種以上の波長を発光する単一の発光ダイオード光源とすることができる。これによれば、装置の構成が簡略なものとなり、小型化が可能となる。
【0010】また、前記光源と前記受光部を覆う、可視光を遮断し赤外光を透過するカバーを設け、前記カバーと前記レンズを一体に成形することもできる。前記のカバーの材質により、肉眼で外部から内部の構成が見えないようになり、外観品質が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。本実施形態は、光源から照射したスポット光の反射光に基づき物体の有無を検知する形式の物体検知装置である。
【0012】図1は、本実施形態の物体検知装置10の概略構成を示す断面図である。基板12上には、一つの光源14と、一つの受光部16が設けられている。光源14は、2種の波長の近赤外線を選択的に発光可能なLED(発光ダイオード)光源である。このような光源14は、単一のバルブの中に二つの異なる発光波長を有するダイオードが配置されており、たとえば東芝製TLRAG176などがこのような構成を有している。この東芝製の発光ダイオードは、赤と緑に発光するものであるが、本実施形態においては、波長850nmをピークとする光と、950nmをピークとする光の2種の光を発する光源である。以下、この2種の光は、そのピーク波長を記して区別する。
【0013】また、受光部16は、複数の受光素子が配列された受光素子アレイ18と、受けた光を受光素子アレイ上に結像させる結像用レンズ20を有している。受光素子は、本実施形態においては、近赤外領域に良好な感度を有する素子(CCDまたはMOS型の個体撮像素子)を用いている。
【0014】また、基板12はカバー22に納められている。カバー22は、可視光を吸収し近赤外線だけを透過させる、いわゆる赤外線フィルタ材(たとえば、三菱レイヨン株式会社 アクリペット 近赤外線透過フィルタ PF−076など)で全体を形成している。赤外線フィルタ材を使用することにより、可視光がカットされ、装置の中身が外部より見えにくくなり外観品質、意匠性が向上する。さらに、可視光がカットされることにより外乱光(太陽光など)の影響を少なくできる。このカバー22の図中下側の面には、複数、本実施形態では2個のレンズ24a,24bが形成されている。このレンズ24a,24bによって、光源14から発した光は、略平行な光線の第1のスポット光26、第2のスポット光28となる。以下、2個のレンズ24a,24bおよび第1および第2のスポット光26,28を区別して説明する必要がないときは、単にレンズ24、スポット光26,28と記して説明する。
【0015】レンズ24aに対向する位置には、光源14の発する2種の波長のうち、950nmの光を透過し、850nmの光を遮断する長波長通過フィルタ30が配置されている。このフィルタ30によって、スポット光26は850nmの光を含まない、950nmのビームとなる。また、レンズ24bに対向する位置には、光源14の発する2種の波長のうち、850nmの光を透過し、950nmの光を遮断する短波長通過フィルタ32が配置されている。このフィルタ32によって、スポット光28は950nmの光を含まない、850nmのビームとなる。
【0016】もし、二つのフィルタ30,32がなければ、二つのスポット光26,28が同時に照射され、受光部16では、物体34が符号34aで示す位置にあるのか、符号34bで示す位置にあるのか判別することができない。本実施形態においては、2種の光を選択的に発光し、一方のみのスポット光を形成する。すなわち、950nmの光を発したときには、この光は短波長通過フィルタ32を通過できないので、スポット光28は形成されず、この波長の光を透過する長波長通過フィルタ30およびレンズ24aによって、波長950nmの第1のスポット光26が形成される。したがって、反射光36は、符号34aの位置にある物体34からの反射光であることが判定できる。一方、850nmの光を発したときには、この光は、長波長通過フィルタ30を通過できないので、スポット光26は形成されず、この波長の光を透過する短波長通過フィルタ32およびレンズ24bによって、波長850nmの第2のスポット光28が形成される。この場合、反射光36は、符号34bの位置にある物体34からの反射光であることが判定できる。
【0017】波長950nmの光を発した場合について説明すると、前述のように第1のスポット光26のみが形成され、この光路上の符号34aの位置に物体34が存在すると、その反射光は受光素子アレイ18上の点aの位置に結像する。また、物体34が符号34cの位置にある場合は、受光素子アレイ18上の点bの位置に結像する。また、物体がないときには、受光素子アレイ18上には像が現れない。この受光素子アレイ18上の結像位置の違い、像の有無および光源14が発光した光の波長に基づき、図示しない判定部により検知対象領域に物体があるか否かの判定、また物体の大きさの推定が行われる。物体の大きさについての推定は、物体の載置される面が本物体検知装置10との相対関係において定まっている場合、点aで結像する場合のように、物体がより近くにあると判定できるときは、より大きい物体が置かれていると推定することができる。
【0018】以上説明したように、本実施形態においては、一つの光源で2つの方向に照射されるスポット光を形成することができ、二つの光源を設けた場合のように遮蔽板を用いることがない。よって、光学系の簡素化を図ることができる。また、赤外線フィルタ材をカバーに用いたことにより、本装置の内部構成が外から視認できなくなり、外観品質が向上する。
【0019】なお、レンズ24aを長波長通過フィルタ30と同じ材質で形成し、レンズ24bを短波長通過フィルタ32と同じ材質で形成することによって、フィルタを別構成とする必要がなくなる。ただし、この場合カバー22とレンズ24a,24bは別体となる。
【0020】また、光源は、異なる波長の光を発する二つのLEDとすることもできる。また、レンズは、図1中、単純な凸レンズとして図示したが、フレネルレンズなどの構成を採ることもできる。
【0021】さらに、光源を3種以上の波長の光を発っするように構成し、3カ所以上の検知対象領域を設けることもできる。また、3つ以上のスポット光を形成する装置において、誤認することがないスポット光の組が存在する場合には、この組のスポット光は同一の波長の光で形成することもできる。たとえば、3つのスポット光を形成する場合、第1と第2、第2と第3のスポット光の組は、検出対象の領域が接近しているなどのために、いずれのスポット光による反射光か判別できないが、第1と第3のスポット光は、検出対称の領域が離れているなどのために、判別できる場合、第1と第3のスポット光は同一の波長とし、第2のスポット光はこれと異なる波長とすることができる。
【0022】図2には、前述の物体検知装置10を乗用車前席の乗員の有無を検出するセンサに用いた場合が示されている。物体検知装置10は、車両50のルーフ前端付近に配置され、方向と波長の異なる2本のスポット光26,28を照射する。スポット光26は座席に乗員がいる場合は、乗員の大腿部に反射し、いない場合にはシートクッションで反射する。この反射位置の差によって座席に乗員がいるかいないかの判別ができる。また、チャイルドシートが後ろ向きに取り付けられた場合、スポット光28の反射位置が変わるので、これを検出することも可能となる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月18日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開平11−183117
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平9−349552