| 【発明の名称】 |
角度検出装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】久須美 雅昭
【氏名】佐藤 謙一
【氏名】根門 康夫
【氏名】土谷 秀樹
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| 【要約】 |
【課題】簡便な構造によりアナログ信号を出力する磁気式の角度検出装置を提供する。
【解決手段】角度検出装置は、高透磁率材料からなり、複数の軸が中心部1eから同一平面上に放射状に延設されてなる磁路形成部1と、この磁路形成部1の各軸に取り付けられたコイルとを有する磁界検出手段と、磁界検出手段の各軸と等間隔になるよう近接配置され、磁界検出手段の各軸の位置する平面に対して平行かつ一方向の磁界を発生する磁界発生手段とを備え、磁界検出手段と磁界発生手段とが磁路形成部1の中心部を回転中心として相対回転するように支持される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高透磁率材料からなり、複数の軸が中心部から同一平面上に放射状に延設されてなる磁路形成部と、この磁路形成部の各軸に取り付けられたコイルとを有する磁界検出手段と、上記磁界検出手段の各軸と等間隔になるよう近接配置され、上記磁界検出手段の各軸の位置する平面に対して平行かつ一方向の磁界を発生する磁界発生手段とを備え、上記磁界検出手段と上記磁界発生手段とが上記磁路形成部の中心部を回転中心として相対回転するように支持されたことを特徴とする角度検出装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械、産業機器、一般OA機器等で好適に用いられる角度検出装置に関し、詳しくは、シャフト等の回転時における絶対角度を検出するためのアナログ信号を出力する角度検出装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、工作機械、産業機器、一般OA機器等においてシャフト等の回転部の回転角度を検出するために、種々の角度検出装置が使用されている。このうち、回転部の回転角度の変化に伴い信号を出力するセンサであって、いわゆる絶対角度検出を行う角度検出装置としては、ディジタル信号を出力するアブソリュートロータリーエンコーダや、アナログ信号を出力する精密回転ポテンショメータ、シンクロ、レゾルバ等が挙げられる。 【0003】ここで、アブソリュートロータリーエンコーダは、回転軸側に組み合わせ符号化された複雑な模様のスリットを有する円盤状の回転スリットが、固定子(ステーター)側に固定スリットがそれぞれ取り付けられ、固定スリットを介して射出される発光素子からの射出光を回転スリットで透過・遮光することにより、複数の受光素子をON/OFF動作させる光学式の構造のものが広く知られている。 【0004】また、ディジタル信号を出力するアブソリュートロータリーエンコーダには、インクリメンタルエンコーダを電池等のバックアップ電源で常時通電し、カウント値を絶対値で保持するものや、2つの異なる波長のインクリメンタルスケールの信号からその位相差をもとに、設定された区間の絶対値を求めるもの(特公昭50−23618号、「測尺装置」)が知られている。 【0005】さらには、このアブソリュートロータリーエンコーダには、絶対値情報を直接スケールに記録し、その情報を読み出すものとしては、バイナリ・グレイ等の2進コードをパターンとしてスケールに記録しておき、そのパターンを検出することにより上記2進コードを読み出す光学式または磁気式のものや、M系列コード等の循環コードをパターンとしてスケールに記録しておき、そのパターンを検出することにより上記循環コードを読み出し、位置の絶対値情報に変換する磁気式のもの(特開昭57−175211号、「回転体の角度検出装置」)などが知られている。 【0006】一方、精密回転ポテンショメータは、機械的変位を直接または間接的に駆動軸に伝え、駆動軸の回転動作により、その変位量に相応した電気的変位量を分圧方式で検出する装置のうち、特に高分解能、高精度の性能を有するもの、と定義される。この精密回転ポテンショメータの動作原理は、駆動軸に取り付けられた摺動子が抵抗素子上を摺動し、その機械的角度に相応した抵抗素子上の電圧が摺動子機構から出力される、というものである。 【0007】シンクロは、外観的にも構造的にも3相巻線型同期発電機と類似しており、櫛歯状のコアと3相の巻線部と摺動接点部の3点を構成要素とする。また、レゾルバは、シンクロに類似した構造であり、上記巻線部が3相ではなく直交(2相)巻線となっている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】ところで、アナログ信号を出力する上記精密回転ポテンショメータ、シンクロ、レゾルバ等の角度検出装置は、従来より以下のような問題点を有していた。例えば、精密回転ポテンショメータは、上述のように摺動子が抵抗素子上を接触して動く構造となっているため、両者の摩耗が必ず発生し、素子や性能の劣化、基本的な商品寿命等の存在が避けられないという問題点があった。また、シンクロやレゾルバは、上述したアブソリュートロータリーエンコーダと比較して構造がかなり複雑であり、また上述のようにその構造上、摺動接点部を有しているため、同様に性能の劣化、基本的な商品寿命等の存在が避けられないという問題点があった。なお、レゾルバは、摺動接点部のないものとしてバリアブル・リラクタンス(VR)タイプのものがあるが、このタイプでも櫛歯状のコアと巻線部の構造は同様であり、上述のアブソリュートロータリーエンコーダと比較して構造が複雑であった。 【0009】このように、従来より、絶対角度検出を行う角度検出装置のうちアナログ信号を出力するものは、構造が複雑であったり構造上寿命が短いといった構造上の問題点を有していた。一方、上述したディジタル信号を出力するアブソリュートロータリーエンコーダの原理・構造から、アナログ信号を出力する磁気式の角度検出装置を簡便に構成することは困難であった。 【0010】本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであって、簡便な構造によりアナログ信号を出力する磁気式の角度検出装置を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明に係る角度検出装置は、上記課題を解決するため、高透磁率材料からなり、複数の軸が中心部から同一平面上に放射状に延設されてなる磁路形成部と、この磁路形成部の各軸に取り付けられたコイルとを有する磁界検出手段と、磁界検出手段の各軸と等間隔になるよう近接配置され、磁界検出手段の各軸の位置する平面に対して平行かつ一方向の磁界を発生する磁界発生手段とを備え、磁界検出手段と磁界発生手段とが磁路形成部の中心部を回転中心として相対回転するように支持される。 【0012】角度検出装置においては、磁界検出手段と磁界発生手段とが磁路形成部の中心部を回転中心として相対回転することにより、磁界発生手段からの一方向の磁界が回転し、磁路形成部の各軸に取り付けられた各コイルのインピーダンスが変化する。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態につき図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で使用する上下左右あるいはXY等の方向については、図面を基準とする。 【0014】図1は、後述する磁界検出センサ10の構成部品となる磁路形成部の構造の一例を示した平面図である。この磁路形成部1は、略十字型の平面形状を有し、4つのバー1a,1b,1c,及び1dが中心部1eから同一平面上に放射状に延設された構成となっている。 【0015】中心部1eは、円板形状を成すとともに、その中央に孔部1fが形成されている。また、各バー1a〜1dは、図1に示すように、バー1aとバー1b、及びバー1cとバー1dとがそれぞれ一直線状となり、かつ各バー1a〜1dが相互に90度の角度をなすように中心部1eにより連結されている。以下、説明の便宜のため、バー1aとバー1bとを総称してバー1Xと呼び、バー1cとバー1dとを総称してバー1Yと呼ぶ。 【0016】磁路形成部1は、互いに直交する2軸であるバー1X,1Yを構成要素とする十字型の開磁路をもっている。そして、磁路形成部1の寸法は、バー1X,1Yの端からバー1X,1Yと中心部1eとの境界までの距離がそれぞれ7mm、中心部1eの円の半径が1.5mm(従ってバー1X,1Yの差し渡しがそれぞれ17mm)、バー1X,1Yの幅がそれぞれ0.6mm、孔部1fの直径が0.8mm、バー1X,1Y、及び中心部1eの板厚がそれぞれ0.05mmになっている。(なお、寸法はあくまで一例であって、これに限定する趣旨ではない。以下の各部についても同じである。)磁路形成部1の材質としては、パーマロイが用いられている。磁路形成部1の加工にあたっては、パーマロイによる板材をエッチングにより、上述した形状及び寸法に成形する。なお、略同形状の非磁性材を磁路形成部1に密着させることで、機械的強度を補強するようにしてもよい。 【0017】なお、磁路形成部1の材質は、高透磁率磁性材であればどのようなものでもよい。パーマロイ以外にも、磁路形成部1の材質として好ましいものには、アモルファス金属等が挙げられる。アモルファス金属としては、FeCoSiB組成のものが一般的に多く用いられる。 【0018】磁界検出センサ10は、図2に示すように、磁路形成部1の各バー1a〜1dに対してボビン2とコイルとからなるコイル体3が取り付けられる。ここで、コイル体3の取り付けにあたっては、予め別工程で、樹脂等の絶縁体から成るボビン2(2a,2b,2c,2d)にコイルX1,X2,Y1,Y2を互いに等しい巻回数で巻装しておく。その際、コイルX1〜Y2のインダクタンスを大きくするために、コイルX1〜Y2の巻数を多めにする。この実施の形態では、このときの巻回数を1200ターンとすることにより、インダクタンスが約10mHと比較的簡単に大きな値が得られたことから、高インピーダンス化につながり、装置全体としての低消費電力化を可能とした。 【0019】なお、この巻回数は、消費電力を特に低くする必要が無い場合には、1200ターンより少なくても良い。この巻回数を減少させた場合の実験を行った結果、50ターン程度まで少なくした場合でも十分に機能することが確認された。 【0020】磁路形成部1の各バーにコイル体3が取り付けられた磁界検出センサ10は、さらに図3に示すように、基板4に対して取り付けられる。この基板4は、絶縁材料によって平面略円形状に成形されており、その一方の主面4Aの中央に平面円環状の立上がり壁部5が形成されている。この立上がり壁部5により囲まれた基板4の主面4Aには、その中心位置に磁路形成部1の孔部1fと略同径の穴部11が形成されている。また、立上がり壁部5には、磁路形成部1の各バーの幅と略同一幅を有する切欠部6,7,8,9が形成されている。このうち、切欠部6と切欠部8が穴部11を中心として相互に対峙しており、また、切欠部7と切欠部9も穴部11を中心として相互に対峙している。 【0021】このような構成を有する基板4は、その切欠部6,7,8,9に対して磁界検出センサ10の磁路形成部1における各バーの端部が嵌めこまれるように取り付けられる。このとき、図3に示すように、磁路形成部1の孔部1fは、基板4の穴部11と平面位置が一致するように位置決めされる。そして、この状態で孔部1fと穴部11とを図示しない固定ガイドピンが嵌合することによって、磁界検出センサ10が基板4に対して固定される。なお、この固定ガイドピンは、磁路形成部1の中心を示す指標としての機能をも有している。 【0022】さらに、立上がり壁部5により囲まれた基板4の主面4Aには、磁界検出センサ10の各コイルX1〜Y2からの導線が半田付けで接続される金属のピン部材12が8本取り付けられている。各ピン部材12は、基板4のもう一方の主面4Bまで貫通している。そして、基板4のもう一方の主面4Bには後述する励磁手段42,平滑回路43等を構成するIC等のチップ部品(図示せず)が取り付けられており、各ピン部材12は、このチップ部品の端子を介して後述するケーブル13と接続されることになる。 【0023】一方、立上がり壁部5の外側の基板4の両主面には、複数の取り付け孔14,14が穿設されている。ここで、図面上はこの取り付け孔14が2つとなっているが、この取り付け孔14の数については、3つあるいはそれ以上としても良い。 【0024】なお、説明の便宜のため、上述した磁界検出センサ10,固定ガイドピン,ピン部材12,チップ部品,ケーブル13等が取り付けられた基板4を、検出センサ部20と呼ぶ。 【0025】図4は、本発明の角度検出装置30の要部断面図である。この角度検出装置30は、略カップ状の筐体21の内部にステーター22が取り付けられており、この筐体21とステーター22とで形成される空間部に、ローター23、支柱26,26、上述した検出センサ部20が配設される。 【0026】ローター23は、円盤状の回転子24とこの回転子24の主面の中心に一体に取り付けられたシャフト部25とからなり、このシャフト部25が、ステーター22の中央に形成されたローター取付開口部27に対して、ボールベアリング28,28及びスペーサ29を介して回転可能に取り付けられる。具体的には、シャフト部25は、その直径がボールベアリング28,28の内径と略同一となっている。さらに、シャフト部25は、その回転子24に取り付けられる側にボールベアリング28の内径より大径とされた突当て部25aが形成されている。そして、ローター23は、シャフト部25の突当て部25aがボールベアリング28に突き当てられることによって、ステーター22のローター取付開口部27に対して回転可能に取り付けられる。 【0027】ここで、図5を参照してローター23の構造について説明する。ローター23は、その回転子24がプラスティックマグネットにより円盤状に成形されている。この回転子24は、図5の矢印で示すように、円盤形状の盤面平面内方向の一方向に磁化されている。このような構成の回転子24は、上述した磁界検出センサ10に対する外部磁界の発生手段としての機能を有している。 【0028】回転子24は、その磁界検出センサ10と対峙する盤面平面内の回転中心点に、小径のガイド穴31が刻設されている。このガイド穴31は、検出センサ部20をステーター22に対して取り付ける際に、この検出センサ部20の位置合わせのために利用される。 【0029】検出センサ部20は、図4に示すように、ステーター22と一体形成された支柱26,26を介してローター23が組み込まれたステーター22に取り付けられることにより、ローター23の回転子24からの磁界を検出する手段となす。具体的には、検出センサ部20は、基板4の立上がり壁部5をローター23に対峙する方向に向け、かつネジ32,32を取り付け孔14,14を介して支柱26,26の図示しないネジ穴にねじ込むことによって、ステーター22に対して固定される。 【0030】このとき、図6(a)及び(b)に示すように、検出センサ部20における磁路形成部1の孔部1fの中心と回転子24のガイド穴31とが同軸になるように位置合わせを行う。具体的には、磁路形成部1の孔部1fと基板4の穴部11とに嵌合した上述の固定ガイドピンの中心と、回転子24のガイド穴31とが同軸になるように位置合わせの微調整を行う。また、このとき、図6(a)及び(b)に示すように、回転子24の盤面により作られる平面と磁路形成部1により作られる平面とが所定の間隔を有して略平行となるように微調整を行う。これら各微調整により、角度検出装置30においては、精度の良い出力信号を得ることができる。 【0031】なお、図4に示すように、検出センサ部20における基板4の主面4B側には、ケーブル13が上述のように接続される。このケーブル13は、筐体21の穴部33に取り付けられたパッキング部材34を介してこの筐体21の外部に引き出される。 【0032】ここで、図7を参照して、角度検出装置30において磁界を検出する原理について説明する。上述のように、ローター23の回転子24が盤面平面内の一方向に着磁されたプラスティックマグネットを用いていることから、このプラスティックマグネットが外部に作る磁界(以下、外部磁界という。)によって、検出センサ部20における磁界検出センサ10には、一方向の略一様な磁界が印加される。磁界検出センサ10に印加されている磁界は、ローター23の回転に伴って回転する。従って、磁界検出センサ10の各軸からの出力信号は、外部磁界のその軸方向成分の強さに応じた出力となる。具体的には、後述の如く、出力信号は、回転子24からの磁界が回転する事で正弦波状に変化することになる。 【0033】次に、図8を参照して、検出センサ部20の磁界検出センサ10がローター23の回転角度を検出する方法について説明する。図8は、検出センサ部20の回路構成の一例を示す図である。なお、この図では、磁界検出センサ10に関しては、動作機能に寄与する磁路形成部1とその各軸(各バー)に位置するコイルX1〜Y2のみを抽出して示している。 【0034】図8に示すこの回路においては、抵抗R1,R2,R3、トランジスタTR1,TR2、コンデンサC1、及びIC1からなる高周波発振器41とトランスTとからなる励磁手段42によって励磁を行うようになっている。なお、この高周波発振器41は、マルチバイブレータ回路を応用したものとなっている。 【0035】また、この回路の出力側には、抵抗R8,R9,R10,R11、コンデンサC2,C3,C4,C5、及びコンデンサC6,C7により構成された平滑回路43がダイオードD2〜D5を介して磁界検出センサ10と接続されている。 【0036】ここで、高周波発振器41の出力は、励磁手段42の検出感度が最良となる周期が約40μS、パルス幅が約2μSに設定した。又、高周波発振器41のIC1は、ヒステリシスを持ったシュミット・インバータを用いることにより、チャタリングを防止している。この出力は、コイルのインダクタンスが大きいので、後述のように磁路形成部1の磁界がHdとなるようトランスTで3倍に昇圧して、この磁路形成部1を励磁している。 【0037】磁路形成部1に巻装される各コイルは、励磁電圧が印加されたときに磁界の方向が、X軸のコイルX1,X2では外向きになり、Y軸のコイルY1,Y2では内向きになるように巻装され、各コイルの一方がトランスTの片側に、他方は各々抵抗R4〜R7を介してトランスTの他の片側に結線されている。励磁電圧が印加されたときの磁界の強さは、磁路形成部1に巻装される各コイルのインピーダンス変化が急峻となる磁界Hdまで励振される。 【0038】ここで、外部磁界が加わっていない場合を考えると、磁路形成部1の形状、各コイルの巻数、励磁電圧による磁界Hdも等しい。従って、磁路形成部1における各軸のコイルのインピーダンスも等しくなるから抵抗R4〜R7の両端に生じる励磁電圧の大きさは皆等しく、ダイオードD2〜D5を経て各抵抗R8〜R11及び、コンデンサC2,C3,C4,C5、及びコンデンサC6,C7による平滑回路43を経た出力も等しくなるので、X軸出力Vx及びY軸出力Vyの出力は零となる。なお、この平滑回路43は、励磁電圧の周期よりも十分大きな時定数をもたせてある。 【0039】次に、外部磁界が磁路形成部1に加わった場合を考えると、X軸のコイルX2の部分では、外部磁界のX成分Hxの向きと励磁電圧による磁界Hdの向きとが互いに逆であるから、この部分の磁界強度は下がり、コイルのインピーダンスが周知のように大きくなり、抵抗R6端の励磁電圧も大きくなる。逆にX軸のコイルX1では、外部磁界のX成分Hxの向きと励磁電圧による磁界Hdの向きとが互いに同じとなり、磁界強度は上がるのでインピーダンスは小さくなり、抵抗R7端の励磁電圧も小さくなる。 【0040】この結果、平滑回路43を経たX軸コイルX2側の電圧が上がり、X軸コイルX1側の電圧が下がるので、X軸出力Vxは、図中矢印で示した方向に現れる。なお、外部磁界のX成分Hxの方向が逆となればX軸出力Vxも逆方向となることは説明を要しない。このように、X軸出力Vxは、外部磁界のX軸成分Hxの強さに応じた出力が得られることになる。 【0041】以下、Y軸出力についても、磁路形成部1のY軸コイルY1,Y2が、X軸コイルに対して励磁電圧による磁界Hdの向きが逆で空間配置が90°異なること以外は同じであるから、同様に外部磁界のY軸成分Hyの強さに比例した出力が得られることになる。 【0042】したがって、上述のように、ローター23の回転子24からの外部磁界によって、磁界検出センサ10には、一方向の略一様な磁界が印加される。そして、磁界検出センサ10のX軸からの出力信号は、ローター23の回転に伴う磁界の回転により、正弦波状に変化することになる。一方、磁界検出センサ10のY軸からの出力信号は、X軸からの出力信号より90度位相のずれた信号となる。 【0043】図9に、角度検出装置30におけるローター23の回転角度と出力電圧との関係を測定した結果について示す。この特性図から明らかなように、出力信号Vx,Vyとして、互いに位相が90度ずれた正弦波及び余弦波のアナログ出力が、少ない誤差で高精度に得られている。また、各出力信号Vx,Vyの周期は、ローター23が一回転すると一周期となることがわかる。 【0044】このように、角度検出装置30によれば、十字型の磁路形成部1の直交する2軸であるバー1X及びバー1Yにそれぞれ一対のコイルを設けた磁界検出センサ10と、励磁手段42,平滑回路43等の回路と、磁界検出センサ10に一方向の略一様な磁界を印加するプラスティックマグネットの回転子24を備えたローター23、という簡便な構成を有しながら、ローター23の回転に比例した周期を有するアナログの正弦波及び余弦波による信号を出力することができる。 【0045】なお、角度検出装置30によれば、上述のようにエッチングの手法を用いて磁路形成部1の加工をしていることから、磁路形成部1の寸法及び形状を正確に出すことができ、この結果、各出力信号Vx,Vyについて、その位相差を調整することなしに正確な出力を得ることができる。 【0046】さらに、角度検出装置30によれば、ローター23側と検出センサ部20側とで摺動部分を有しないので、摺動部品の摩耗等による寿命を考慮する必要がない。 【0047】さらにまた、角度検出装置30によれば、ボビン2にコイルを巻回したコイル体3を磁路形成部1の各バーに取り付ける構成としたので、コイルの巻回がし易く、多巻回も容易であり、さらには巻回の作業を別工程で行うことができるので、組立効率が大幅にアップする。 【0048】また、角度検出装置30によれば、磁路形成部1,基板4,及び回転子24のそれぞれの中心位置に、孔部1f,穴部11,及びガイド穴31を設けたことから、これらを基準としてそれぞれの正確な位置決めを行うことが可能となり、これにより安価でかつ性能の良い製品を提供することが可能となる。 【0049】図10及び図11に、ローター23の変形例を示す。なお、上述した実施の形態と同一の部分には同一の符号を付している。図10は、ローターについて回転子の形状を矩形の板状とした場合を示している。図10に示すこのローター23Aでは、この回転子24Aを長手方向に磁化した棒状の磁石を用いることとしている。 【0050】また、図11に示すローター23Bは、全体略円盤状の回転子24Bに2つの磁石44,45を取り付けたものである。具体的には、ローター23Bは、回転子24Bの主面外側の、ガイド穴31を中心とした対称位置に、一対の切欠部46,46が形成されており、この切欠部46,46に対して磁石44,45が嵌合されることにより、平面略円形の形状を呈している。このローター23Bでは、取り付けられた2つの磁石44,45につき、その磁化の方向が互いに同じように、磁石44の外側がN極になり、磁石45の内側がN極になるようにそれぞれ磁化されている。なお、ローター23Bに取り付けられる磁石の数については、この例に限定されるものではないことは勿論である。 【0051】なお、上記ローター23Aの回転子24A及びローター23Bの磁石44,45の材質については、上述のプラスティックマグネットの他に、フェライトマグネット等の焼結磁石、CuNiFe,FeCrCo等の合金磁石であっても良い。また、回転子の形状は、上述の例だけに限定されるものでないことは勿論であり、検出センサ部20の磁界検出センサ10に対して略一様の外部磁界を印加するものであればよい。 【0052】次に、角度検出装置の他の構成例について図12及び図13を参照して説明する。なお、上述した実施の形態と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。図12に示すこの角度検出装置50では、回転軸51の先端側の主面51Aに上述したプラスティックマグネットによる回転子24を組み込んだハウジング52が取り付けられている。 【0053】回転軸51は、例えば回転角度の測定対象となる図示しない所定の工作機械における回転シャフト等を用いることができる。 【0054】ハウジング52は、具体的には図13に示すように、全体略リング状の外形を呈しており、その中央には回転子24を取り付けるためこの回転子24の直径と同径に形成された円形の取付部53を有し、その主面には孔部54が4箇所に形成されている。そして、角度検出装置50においては、このハウジング52の取付部53に対して回転子24を嵌入し、この状態でハウジング52を回転軸51の主面51Aに当接し、さらにこの状態で各孔部54にねじ55によりねじ込むことにより、回転軸51の主面51Aに対してハウジング52及び回転子24が取り付けられる。なお、この取り付けにあたっては、回転軸51の回転中心と回転子24のガイド穴31とが同軸になるよう位置決めを行う。 【0055】そして、角度検出装置50では、この回転子24に対して、図3に示した磁界検出センサ10が組み込まれた基板56の立上がり壁部5が対峙するように配設される。なお、この基板56は、その外形が平面略正方形状となっているところを除いては上述した基板4と全く同様の構成であり、一方の主面56Aの中央部に上記立上がり壁部5が形成され、もう一方の主面56Bに上述した励磁手段42,平滑回路43等を構成するIC等のチップ部品、ケーブル13が取り付けられている。 【0056】基板56は、例えば図示しない所定の固定器具等に対して取り付けられ、一方、ハウジング52及び回転子24が配設された回転軸51は、図示しない軸受けによって図の矢印AB方向に回転可能に支持される。ここで、回転子24と基板56の立上がり壁部5とは、上述の実施の形態と同様に、磁路形成部1の孔部1fと基板56の上記穴部(図示せず)とに嵌合した固定ガイドピンの中心と、回転子24のガイド穴31とが同軸となり、図6(a)及び(b)に示したように、回転子24の盤面により作られる平面と立上がり壁部5に組み込まれた磁路形成部1により作られる平面とが所定の間隔を有して略平行となるように位置決めがなされる。このように位置決めがなされることにより、角度検出装置50においては、精度の良い出力信号が得られる。 【0057】この実施の形態では、プラスティックマグネットによる回転子24をハウジング52を介して回転軸51の先端側の主面51Aに取り付ける構成としたが、この回転子24を回転軸51の主面51Aに直接取り付ける構成としても良いことは勿論である。 【0058】この角度検出装置50によれば、回転角度の測定対象となる工作機械等の回転軸51の先端側の主面51Aに回転子24を取り付けることとしたので、上述した筐体21,ステーター22等の機械部品を省略することができ、更に簡便な構成とすることが可能となる。 【0059】また、角度検出装置50によれば、磁界検出センサの磁界に対する検出感度が非常に高いので、回転子24をフェライト磁性粉を用いたプラスティックマグネットとした場合でも、この回転子24と磁界検出センサとに十分な間隔を持たせてそれぞれを配置することが可能であることが確認された。また、回転子24の磁性材料,寸法,形状を選択することにより、この間隔を変えることが可能であることが確認された。 【0060】なお、角度検出装置50においては、例えば回転軸51の回転角度の範囲が狭い等の場合には、基板56側を回転軸51の主面51Aに取り付け、回転子24側を固定とする構成としてもよいことは勿論である。 【0061】次に、磁路形成部1の変形例について図14及び図15を参照して説明する。図14に示す磁路形成部1Aは、6つのバー1a,1b,1c,1d,1g,及び1hが中心部1eから同一平面上に放射状に延設されている。ここで中心部1eは、図1に示す磁路形成部1と同様に、円板形状を成すとともに、その中央に孔部1fが穿設されている。また、各バー1a,1b,1c,1d,1g,及び1hは、図14に示すように、バー1aとバー1b、バー1cとバー1d、及びバー1gとバー1hとがそれぞれ一直線状となり、かつ各バー1a,1b,1c,1d,1g,及び1hが相互に60度の角度をなすように中心部1eにより連結されている。 【0062】角度検出装置30あるいは角度検出装置50をこの磁路形成部1Aを用いて構成する場合には、磁界検出センサを構成するために6個のコイル体3を各バーに取り付けることになるが、動作原理等については上述した実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。この磁路形成部1Aを用いた磁界検出センサによれば、互いに120度位相のずれた3相(U,V,W相)のアナログ信号を出力することができる。 【0063】なお、磁路形成部1,1Aの各バー間の角度は、上述した実施の形態のような相互に等角度でない設定としてもよく、必要に応じて所定角度に変更しても良い。 【0064】図15に示す磁路形成部1Bは、上述した磁路形成部1Aから1本置きにバー1a,1h,1dを省いた構造、すなわち、3つのバー1b,1c,1gが中心部1eから同一平面上に放射状に延設されており、中心点から上記各バーが互いに120度の角度で同一平面上を同じ長さだけ延びた構造となっている。 【0065】この場合には、3個の上記コイル体3を各軸に配置し、磁界検出センサを構成するが、その動作についてはこれまでの実施の形態と異なり、一つの方向に対しては一つのコイルだけが対応することから、差動的に動作することはなく、一つの方向に対して片側の動作のみで信号を出力することになる。なお、これ以外の点については上述した各実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。この磁路形成部1Bを用いた磁界検出センサによれば、磁路形成部1Aを用いた磁界検出センサと同様に、互いに120度位相のずれた3相(U,V,W相)のアナログ信号を出力することができる。 【0066】なお、磁路形成部1Bを用いた磁界検出センサにおいても、この磁路形成部1Bのバーの数をさらに増やすことで、信号の数を増やすことができる。また、磁路形成部1Bの各バー相互間の角度も、相互に等角度でない設定としてもよく、必要に応じて所定角度に変更しても良いことは勿論である。 【0067】次に、角度検出装置の他の実施の形態について、図16乃至図18を参照して説明する。図16は、当該他の実施の形態である角度検出装置60の要部断面図である。この角度検出装置60は、筐体61とステーター62とが、各々の端部で組み合わされて結合されており、この筐体61とステーター62とで形成される空間部に、シャフト取付軸64と回転子65とからなるローター63、磁界検出センサ70とセンサ取付部材72と回路基板73等からなる検出センサ部80が配設される。 【0068】筐体61は、略カップ状の外形を有し、その中央に円形の穴部61aが形成されている。 【0069】ステーター62は、平面略ドーナツ状を呈し、その中央に円筒状の立上がり壁部62aが形成され、この立上がり壁部62aの内周面がローター63を取り付けるためのローター取付開口部66となっている。 【0070】ローター63は、図17に示すように、シャフト取付軸64と円盤状の回転子65とからなる。シャフト取付軸64は、略パイプ状の本体部64aの上部に回転子65を係止するための略リング状の係止部64bが設けられ、両者が一体形成されている。ここで、本体部64aの直径は、上述した筐体61の穴部61aの直径よりも若干小さくなっている。また、図16に示すように、係止部64bの図中下側からは、本体部64aの直径より若干大とされた突当て部64cが形成される。 【0071】シャフト取付軸64は、本体部64aの長手方向を貫通するようにシャフト挿入部64dが形成されており、このシャフト挿入部64dに対して図示しない工作機械等の回転シャフトが挿入できるようになっている。さらに、シャフト取付軸64は、本体部64aの上部に上記回転シャフトを固定するためのねじ穴であるシャフト取付孔64eが形成されている。これにより、シャフト取付軸64は、工作機械等の回転シャフトとのカップリングを必要としない構造となっている。 【0072】回転子65は、図17の矢印で示すように、一方向に磁化されたプラスティックマグネットにより円盤状に成形されており、その中心に円形の穴部65aが設けられている。この穴部65aの直径は、シャフト取付軸64の突当て部64cの直径と略等しくなっている。そして、シャフト取付軸64の本体部64aに対して回転子65の穴部65aを図中下側から挿入することにより、穴部65aが突当て部64cに嵌入して回転子65がシャフト取付軸64に対して固定され、ローター63が組み上がる。 【0073】検出センサ部80は、図18に示すように、磁路形成部71の各バーにコイル体3が取り付けられることにより磁界検出センサ70が構成され、この磁界検出センサ70がセンサ取付部材72の図中上側に組み込まれ、さらに回路基板73がセンサ取付部材72の図中下側から取り付けられることによって形成される。 【0074】この磁界検出センサ70の磁路形成部71は、図1に示した磁路形成部1と同様に、略十字型の平面形状を有し、4つのバーが円板状の中心部74から同一平面上に放射状に延設された構成となっているが、この中心部74及び中心部74の内側に形成された孔部75が大径となっている点が磁路形成部1と異なる。 【0075】センサ取付部材72は、磁路形成部71と同様に、略十字型の平面形状を有し、取付穴部77が形成された筒状のベース部76の側面から4つのセンサ取付片78が直交する四方方向に突出形成した構造となっている。ここで、取付穴部77の直径は、磁路形成部71の孔部75の直径と等しくなっている。また、各センサ取付片78は、略矩形の平面形状を有し、ベース部76と接続される基端側に立上がり突起部79が形成され、この立上がり突起部79の上端中央に切欠部81が形成されている。さらに、各センサ取付片78には、その先端側に突起部82が形成されている。この突起部82は、センサ取付片78の先端側から上下方向に突出形成しており、その上端中央に切欠部83が形成され、その下端位置がベース部76の下端位置と等しくなっている。 【0076】このような構成とされたセンサ取付部材72と磁界検出センサ70は、図18に示すように、磁路形成部71の各バーの基端側が各立上がり突起部79の各切欠部81に嵌入され、各バーの先端側が突起部82の切欠部83に嵌入されることによって、磁界検出センサ70がセンサ取付部材72に取り付けられる。 【0077】回路基板73は、平面略ドーナツ状を呈した板状となっており、その中央に円形の穴部84が形成されている。回路基板73においては、この穴部84の直径が上述したセンサ取付部材72におけるベース部76の直径と略等しくなっている。回路基板73の両主面には、図8に示した励磁手段42、平滑回路43等を構成するIC等のチップ部品やケーブル13等が取り付けられる。 【0078】この回路基板73は、穴部84をセンサ取付部材72のベース部76に図18の下側から嵌入することによって、その一方の主面と各センサ取付片78の下側の主面とが接合する状態となり、この接合部分を例えば接着剤で接着することにより、センサ取付部材72に対して取り付けられる。 【0079】このようにして完成した検出センサ部80は、センサ取付部材72におけるベース部76の取付穴部77をステーター62の立上がり壁部62aに嵌入することによって、図16に示すように、ステーター62上に取り付けられる。 【0080】一方、ローター63は、図16に示すように、シャフト取付軸64がステーター62のローター取付開口部66に対してボールベアリング67,67及びスペーサ68を介して回転可能に取り付けられる。このとき、ローター63は、シャフト取付軸64の突当て部64cがボールベアリング67に突き当てられる位置で固定されることにより、回転子65により形成される平面と磁路形成部71により形成される平面とが平行かつ一定距離を保つようになされる。 【0081】そして、この状態で筐体61の端部をステーター62の端部に対して結合させることにより、筐体61の穴部61aからシャフト取付軸64の本体部64aの一部が露出する。なお、ケーブル13については、筐体61の側面部に図示しない穴部を設けて、この穴部からパッキング部材34を介して外部に引き出すようにする。 【0082】このような構成を有する角度検出装置60によれば、ローター63が回転することにより、上述した角度検出装置30と同様の効果が得られる。また、この角度検出装置60によれば、工作機械等の回転シャフト等について、カップリングを必要とせず直接シャフト取付軸64に取り付けることを可能とし、簡便な構造により、回転シャフト等の回転角度に応じたアナログ信号を出力することが可能となる。 【0083】 【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の角度検出装置においては、磁界検出手段と磁界発生手段とが磁路形成部の中心部を回転中心として相対回転することにより、磁界発生手段からの一方向の磁界が回転し、磁路形成部の各軸に取り付けられた各コイルのインピーダンスが変化するので、各コイルに励磁電圧を印加することにより、当該インピーダンスの変化に対応した多相のアナログ出力信号が得られる。 【0084】従って、本発明によれば、簡便な構造を有しながら、アナログ信号を出力する磁気式の角度検出装置を提供することが可能となる。また、本発明の角度検出装置によれば、磁界検出手段と磁界発生手段との間に摺動部分を有していないことから、摺動部品の摩耗等による性能の劣化等の虞がない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000108421 【氏名又は名称】ソニー・プレシジョン・テクノロジー株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月19日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−183113 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−351498 |
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