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【発明の名称】 絶対位置検出器
【発明者】 【氏名】宮田 俊治

【要約】 【課題】容易な構成で、広範囲かつ正確な絶対位置検出を行うことのできる絶対位置検出器を提供する。

【解決手段】スケール12上に形成された誘導コイル16は広範囲送信コイル部16bと狭範囲送信コイル部16cを有する。前記広範囲送信コイル部16bは、センサ14の移動方向と直交する方向に所定量シフトするシフト捻り部26を有し、シフト捻り部26の前後で発生する磁場をスケール12の全長にわたって順次シフトしながら逆転させて、スケール12全長を1周期とする広範囲の絶対位置検出を行う。また、狭範囲送信コイル部16cにはセンサ14に移動方向に沿って一つおきに交番捻り部30が形成され、隣接する2つの誘導コイル16を1周期として絶対位置検出を行う。そして、広範囲送信コイル部16bの検出結果の絶対位置をさらに詳細に特定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の誘導コイルが長さ方向に所定間隔で複数配列されたスケールと、前記スケールに対し相対移動可能に配置され、各誘導コイルに誘導電流を発生させる送信コイルと前記誘導コイルに発生した誘導電流による磁場を検知する受信コイルとを有するセンサを含み、前記センサが検知した磁場に基づいてセンサのスケールに対する絶対位置を検出する絶対位置検出器であって、前記誘導コイルは、発生する磁場が前後で逆転するように当該誘導コイルの少なくとも一部に180°捻った捻り部を有し、各誘導コイルの捻り部は前記センサの移動方向と直交する方向に、一定量順次シフトするシフト捻り部を形成していることを特徴とする絶対位置検出器。
【請求項2】 請求項1記載の検出器において、さらに、前記誘導コイルの一端側には、前記センサの移動方向に沿って、各誘導コイルに発生する磁場の極性が交番するように、一つおきに交番捻り部を形成していることを特徴とする絶対位置検出器。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の検出器において、前記シフト捻り部は、前記センサの移動方向と直交する方向に対して左方向にシフトする第1シフト捻り部と右方向にシフトする第2シフト捻り部とを有する対称形状を呈することを特徴とする絶対位置検出器。
【請求項4】 請求項3記載の検出器において、前記第1シフト捻り部による磁場変動を検出する第1センサと、第2シフト捻り部による磁場変動を検出する第2センサとを有し、当該第1センサと第2センサとの加算結果に基づいてセンサのスケールに対する絶対位置を検出することを特徴とする絶対位置検出器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、絶対位置検出器、特にスケールに対して相対移動するセンサによってスケール上の情報を読み取り絶対位置の検出を行う絶対位置検出器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、一定の周期で位置に関する情報が記録されているスケールと、当該スケールに対し相対移動してスケール上に記録されている位置情報を読み取るセンサ素子を有するセンサヘッドとによって構成された変位測定器が知られている。例えば、スケール上の長さ方向に等間隔λで磁極を配置し、この磁極により形成される磁束密度をセンサヘッドが有する磁気抵抗素子により検出する磁気式エンコーダ等がある。このような一定周期で位置情報が記載されたスケールを用いる場合、1周期内の位置を測定することは可能であるが、複数の周期にわたる移動量または位置の検出に関しては検出される信号の繰り返し回数を積算する必要がある。
【0003】このような複数周期にわたる位置の測定は、信号の繰り返し回数の積算エラー等が発生し易く、信頼性があまり高くない。そこで、信号の繰り返し回数を積算せずに直接スケール上の位置、すなわち絶対位置を算出する方法及び装置が考案されている。例えば、特開昭64−79619号公報には、連続するnビットのコードが、変位計測器の全長にわたって同一のものがないようにコードパターンが形成されたトラックを利用して絶対位置を計測する装置が開示されている。この装置においては、ビット長以下の位置測定には、個別のトラックを用いている。また、他の例としては、異なる周期で位置情報が記録された複数のスケールを用い、二つのスケールの位相差により絶対位置を測定する装置が知られている。この装置の場合、異なる周期の最小公倍数に相当する長さにわたって絶対値を測定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した装置によれば、絶対値の測定精度は、コードを形成するビットを記載した間隔程度であり、それ以上に精度を高めることができないという問題があった。また、ビット記載間隔以下の精度が必要な時には、別個のさらに細かいビット間隔のトラックを形成する必要があり、装置が大型化してしまうという問題がある。
【0005】また、周期の異なる複数のスケールの走査に基づき絶対位置の測定をする装置の場合は、前記位相差の精密な検出が必要となるが、広範囲にわたって精度を確保することが困難であるという問題があった。また、精度を向上させるために、周期の短いスケールを設けることも可能であるが、スケール数を増やす必要があり、やはり装置が複雑になると共に大型化してしまうという問題がある。
【0006】さらに、測長方向にセンサを移動させる場合、センサはガイドレールに沿って移動することになるが、当該ガイドレールの歪み等によりセンサが移動方向に対して左右に揺れてしまう場合があり測長誤差の原因になるという問題がある。
【0007】本発明は、このような問題を解決することを課題としてなされたものであり、装置の小型化ができると共に、簡単な構成で、広範囲かつ正確な絶対位置検出を行うことのできる絶対位置検出器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、複数の誘導コイルが長さ方向に所定間隔で複数配列されたスケールと、前記スケールに対し相対移動可能に配置され、各誘導コイルに誘導電流を発生させる送信コイルと前記誘導コイルに発生した誘導電流による磁場を検知する受信コイルとを有するセンサを含み、前記センサが検知した磁場に基づいてセンサのスケールに対する絶対位置を検出する絶対位置検出器であって、前記誘導コイルは、発生する磁場が前後で逆転するように当該誘導コイルの少なくとも一部に180°捻った捻り部を有し、各誘導コイルの捻り部は前記センサの移動方向と直交する方向に、一定量順次シフトするシフト捻り部を形成していることを特徴とする。
【0009】ここで、前記誘導コイルとは、ループ状の閉コイルであり、前記送信コイルに対面する位置で、送信コイルに入力された電流によって誘導電流を発生する。そして、発生した誘導電流はシフト捻り部を含む誘導コイル内を流れる。この時、180°捻ったシフト捻り部は、捻り部の前後で誘導コイル内を流れる誘導電流の向きを逆転させるため、誘導電流に基づいて発生する磁場の極性を反転させる。また、シフト捻り部は、スケール上の絶対位置に対応して、センサの移動方向と直交する方向に順次シフトしているので、磁場の同一極性の位置を絶対位置に応じてシフトさせる。
【0010】この構成によれば、センサの移動方向と直交する方向に順次シフトする磁場を検出することによって、スケール上におけるセンサの絶対位置を検出することができる。この時、例えば、同一の極性がセンサの検出範囲内のほぼ対角線に平行になるようにシフト捻り部の配置を行えば、同一極性の磁場の位置を全スケール長を1周期として変化させることが可能になり、当該磁場の変化を誘導コイル毎の絶対位置として検出可能になり、容易な構成で絶対位置測長範囲を拡大することができる。
【0011】上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記絶対位置検出器において、さらに、前記誘導コイルの一端側には、前記センサの移動方向に沿って、各誘導コイルに発生する磁場の極性が交番するように、一つおきに交番捻り部を形成していることを特徴とする。
【0012】ここで、交番捻り部とは、誘導コイルの例えば、前記送信コイルと対面する位置の近傍に設けられ、隣接する2個の誘導コイルが発生する磁場の極性を異ならせる。その結果、極性の異なる磁場がセンサの移動方向に沿って交互に現れる。
【0013】この構成によれば、センサは、隣接する2個の誘導コイルの間を1周期とした絶対位置を周期的に検出可能であり、前記シフト捻り部による磁場変化に基づいて検出した誘導コイル毎の絶対位置をさらに詳細に分割して絶対位置の精度を向上することができる。
【0014】上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記絶対位置検出器において、前記シフト捻り部は、前記センサの移動方向と直交する方向に対して左方向にシフトする第1シフト捻り部と右方向にシフトする第2シフト捻り部とを有する対称形状を呈することを特徴とする。
【0015】この構成によれば、センサの測長動作に対して、2倍の大きさの信号の取得が可能になり、スケールや各コイル等の製造上の誤差が測長結果に影響することを低減することが可能になり、測長検出精度を向上することができる。
【0016】上記のような目的を達成するために、本発明の構成は、前記絶対位置検出器において、前記第1シフト捻り部による磁場変動を検出する第1センサと、第2シフト捻り部による磁場変動を検出する第2センサとを有し、当該第1センサと第2センサとの加算結果に基づいてセンサのスケールに対する絶対位置を検出することを特徴とする。
【0017】ここで、第1シフト捻り部と第2シフト捻り部は、同一の誘導コイルに関して前記センサの移動方向と直交する方向に対して対称に形成されているので、センサが測長動作中に横ずれ運動(左右の運動)を生じた場合、第1センサと第2センサは、横ずれ量に対応した大きさが等しく逆方向の誤差を検出する。例えば、第1センサがプラス側の誤差を検出するならば、第2センサは大きさの等しいマイナス側の誤差を検出する。
【0018】この構成によれば、第1センサと第2センサの検出量を加算することによって、センサの横ずれに基づく誤差をキャンセルすることが可能になり、高精度の測長を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態(以下、実施形態という)を図面に基づき説明する。
【0020】図1は、本実施形態の絶対位置検出器10のスケール12とセンサ14との構成を模式的に示した説明図である。なお、図1は、リニアエンコーダに絶対位置検出器10を適用する場合を示し、前記センサ14がスケール12の長さ方向(図1の上下方向)に沿って相対移動できるように構成されている。
【0021】前記スケール12は図示を省略しているが図1上下方向(絶対位置検出方向;センサ14の移動方向)に所定の長さ(リニアエンコーダの測定範囲をカバーするのに十分な長さ)を有し、当該スケール12の上面にはその長さ方向に沿って、複数の閉コイルである誘導コイル16が一定間隔で配置されている。この誘導コイル16は大別して3つのエリアから構成されている。すなわち、誘導コイル16の略中央部に形成され、前記センサ14上に配置された後述する送信コイルと対面可能なスケール受信コイル部16aと、当該スケール受信コイル部16aの図中左側に形成された広範囲送信コイル部16bと、前記スケール受信コイル部16aの図中右側に形成された狭範囲送信コイル部16cである。なお、前記広範囲送信コイル部16bと狭範囲送信コイル部16cの配置は逆でもよい。
【0022】一方、前記センサ14上には、前述したようにスケール12上に配置された誘導コイル16のスケール受信コイル部16aと対面可能な送信コイル18が、センサ14の略中央部に配置されている。この送信コイルに18は、図示しない外部の電源からAC電流を入力するための信号入力端子18aを備えている。そして、送信コイル18にAC電流が流れると、電磁誘導法則に基づき、前記スケール受信コイル部16aにおいて、送信コイル18と対面する位置でAC誘導電流が流れる。このAC誘導電流は前記スケール受信コイル部16aに連続形成された広範囲送信コイル部16bと狭範囲送信コイル部16cにも流れることになる。
【0023】また、前記送信コイル18の図中左側で、前記スケール12上に配置された誘導コイル16の広範囲送信コイル部16bと対面可能な位置には、広範囲受信コイル20が配置されている。同様に、前記送信コイル18の図中右側で前記狭範囲送信コイル部16cと対面可能な位置には、狭範囲受信コイル22が配置されている。そして、前記広範囲受信コイル20及び狭範囲受信コイル22には、前記スケール12上の誘導コイル16に送信コイル18に対応した誘導電流が流れた場合、広範囲送信コイル部16b及び狭範囲送信コイル部16cに流れる誘導電流の向きに応じた電位が誘導される。そして、広範囲受信コイル20に接続された広範囲正弦波出力端子20a、広範囲余弦波出力端子20b及び狭範囲受信コイル22に接続された狭範囲正弦波出力端子22a、狭範囲余弦波出力端子22bからは誘導された電位に対応した電圧信号が出力される。なお、図1のセンサ14は、搭載する各コイルの形状等を明確にするための透視図として示しているが実際はセンサ14のハウジングの裏面側でスケール12の各コイルと対面するように配置されている。
【0024】図2は、前述したスケール12及びセンサ14の各コイル間における電磁誘導による信号の流れを模式的に表したもので、前述したように、送信コイル18にAC電流が流れると、対面するスケール受信コイル部16aに誘起電流が生じ、その誘起電流が広範囲送信コイル部16bと狭範囲送信コイル部16cに流れる。その結果、前記広範囲送信コイル部16b及び狭範囲送信コイル部16cに対面配置された広範囲受信コイル20及び狭範囲受信コイル22に電位が誘導され、図2に破線24a,24bで示すような信号の流れを生じる。なお、図2の誘導コイルを構成する受信コイル部16aと、広範囲送信コイル部16bと、狭範囲送信コイル部16cは区別するために分離して示しているが、図1に示すようにセンサ移動方向に直交する方向に延びた閉コイルである。
【0025】本実施形態の特徴的事項は、誘導コイル16の広範囲送信コイル部16bの少なくとも一部に180°捻った捻り部を有し、かつ、各誘導コイル16の捻り部は前記センサ14の移動方向と直交する方向に、一定量順次シフトして形成され、また、誘導コイル16の狭範囲送信コイル部16cは、前記センサ14の移動方向に沿って、一つおきに他の捻り部を形成しているところである。その結果、広範囲送信コイル部16bの形成側では、広範囲、例えばスケール12の全長を1周期とする絶対位置検出を可能とし、狭範囲送信コイル部16c側では、2個の誘導コイル16内における狭範囲の絶対位置検出を可能として、両者の共働によって高精度の絶対位置検出を行うところである。
【0026】以下、図3及び図4を用いて、広範囲送信コイル部16b及び狭範囲送信コイル部16cの構成を詳細に説明する。
【0027】図3に示すように、スケール受信コイル部16aに誘起した誘起電流が流れ込む広範囲送信コイル部16bの少なくとも一部に、当該広範囲送信コイル部16bを180°捻った捻り部26が形成され、当該広範囲送信コイル部16bに流れ込んだ誘起電流がスケール12の平面上で前記捻り部26の前後で逆向きに流れるようになっている。その結果、前記捻り部26の前後で誘導電流によって発生する磁場の極性が反転するようになっている。図3における最上段の第1広範囲送信コイル部16b−1は、捻り部26がほぼ中央部に形成され、任意のタイミングにおける磁場の極性が捻り部26の右側で(+)、左側で(−)になっている。つまり、広範囲送信コイル部16bの長さlの半分が(+)の極性の磁場、残りの半分が(−)の極性の磁場になるようになっている。
【0028】同様に、第2広範囲送信コイル部16b−2も捻り部26を有し、(+)の極性の磁場と(−)の極性の磁場が形成される構成になっているが、当該第2広範囲送信コイル部16b−2の捻り部26は前記第1広範囲送信コイル部16b−1の捻り部26の配置位置に対して、センサ移動方向と直交する方向にΔxだけずれた位置に配置される。この場合も、広範囲送信コイル部16bにおいて(+)の極性の磁場と(−)の極性の磁場が同じ割合になるように形成される必要がある。そのため、捻り部26は第2広範囲送信コイル部16b−2上に2カ所形成されると共に、第2広範囲送信コイル部16b−2とスケール受信コイル部16aとの間に調整捻り部28が形成される。その結果、同一の極性が斜めに連なるようになっている。
【0029】同様に、第3広範囲送信コイル部16b−3以降の広範囲送信コイル部16bの捻り部26は順次センサ移動方向と直交する方向にΔxだけシフトし、全体として捻り部が順次シフトするシフト捻り部を形成する。
【0030】一方、前記広範囲送信コイル16bで形成される磁場の変動は、前述したようにセンサ14に配置された広範囲受信コイル20によって認識される。本実施形態の場合、センサ14の移動方向に対して直交する方向に配列された2セットのコイル、つまり正弦波検出用コイル(出力端子20a)と余弦波検出用コイル(出力端子20b)とで磁場の検出を行っている。そして、図5の下段に示すように、90°位相のずれた正弦波と余弦波を検出することによって、1周期内における単一の位置が特定可能になり、正確な絶対位置の特定を行うことができる。
【0031】このように、シフト捻り部の配置を同一の極性が広範囲送信コイル部16bのほぼ対角線に平行になるように行えば、同一極性の磁場の位置と誘導コイル毎の絶対位置とが対応するようになり、広範囲送信コイル部16bの前記磁場をセンサ14で認識することによりスケール12上の絶対位置を検出することが可能になる。また、この時、捻り部26のズレ量Δxと各誘導コイル16の配置ピッチX及び、広範囲送信コイル部16bの長さl(センサ移動方向と直交する方向の長さ)とスケール12の全長さLとの関係が、x/X=l/Lの関係を満たすように、ズレ量Δxや誘導コイル16の配置ピッチX等を決定すれば、全スケール長さを1周期とした広範囲の絶対位置検出を行うことができる。
【0032】なお、本実施形態の場合、正弦波検出用コイル、余弦波検出用コイルそれぞれに逆相の波形を検出するコイル20c,20dを備えているが、これは、オフセット等の誤差を相殺するために設けられたもので、図示しない信号処理回路側で誤差補正を行う場合は、コイル20c,20dを省略してもよい。
【0033】図4には、狭範囲送信コイル部16cの詳細が示されている。図4に示すように、狭範囲送信コイル部16cは、一つおきの誘導コイル16に捻り部30を有している。従って、狭範囲送信コイル部16cにおいては、任意のタイミングにおいて、誘導コイル16毎に極性が交番するようになる。前記捻り部30を以下交番捻り部という。
【0034】本実施形態の場合、図4における最上段の第1狭範囲送信コイル部16c−1は、交番捻り部30を有さず、任意のタイミングにおける磁場の極性は(−)になっている。また、第2狭範囲送信コイル部16c−2は、交番捻り部30を有し、前記第1狭範囲送信コイル部16c−1と異なる磁場の極性、すなわち(+)の極性の磁場を発生する。以下同様に、第1狭範囲送信コイル部16cには、1つおきに交番捻り部30が形成されるので、磁場の極性が交互に入れ替わる。
【0035】一方、前記狭範囲送信コイル16cの磁場の変動は、広範囲送信コイル16bと同様に、センサ14に配置された狭範囲受信コイル22によって行う。本実施形態の場合、90°位相をずらして配置した正弦波検出用コイル(出力端子22a)と余弦波検出用コイル(出力端子22b)とによって、隣接する2つの狭範囲受信コイル22で形成する狭範囲波長λ(図1参照)を周期的に検出している。狭範囲受信コイル22の場合も図5の上段に示すように、90°位相のずれた正弦波と余弦波のを検出することによって、1周期内における単一の位置が特定可能になり、正確な絶対位置の特定を行うことができる。なお、図4の場合も正弦波検出用コイル、余弦波検出用コイルそれぞれに逆相の波形を検出するコイル22c,22dを備えているが、これもオフセット等の誤差を相殺するために設けられたもので、図示しない信号処理回路側で誤差補正を行う場合は、コイル22c,22dを省略してもよい。
【0036】上述のように、広範囲送信コイル部16bと狭範囲送信コイル部16cとを有する誘導コイル16を載置したスケール12と広範囲受信コイル20と狭範囲受信コイル22を有するセンサ14とによって、図5に示すような波長の長い信号と波長の短い信号を得ることによって、広範囲の絶対位置検出を高精度に行うことができる。つまり、広範囲受信コイル20で得た信号によりスケール12の全長を1波長として、センサ14が前記1波長上のどの位置の誘導コイル16上に位置しているかを特定し、次に、狭範囲受信コイル22で得た狭範囲波長λ内(隣接する2つの誘導コイル間を1波長とする範囲)のどの位置にセンサ14が位置するかを認識する。この場合、広範囲受信コイル20の信号によりスケール12上の何番目の誘導コイル16を検出対象にしているかは認識できているため、狭範囲受信コイル22による絶対位置検出の際に何周期目の繰り返し波形であるかを認識する必要が無く波形のカウントエラー等を考慮する必要が無くなる。
【0037】このように、捻り部を有する誘導コイルを複数配列するのみで、広範囲且つ正確な絶対位置検出を容易に行うことができる。
【0038】なお、前記捻り部を有する誘導コイルは、周知の積層基板に対する印刷技術によって容易に形成することが可能で、製造コストの削減にも寄与することができる。また、スケールを複数準備する必要がないため絶対位置検出器の小型化を容易に行うことができる。
【0039】ところで、図1の構成によれば、前述したように、広範囲送信コイル部16bに形成されたシフト捻り部が測長方向(スケール12の長さ方向)に沿って測長方向と直交する方向に順次シフトすることによって生じ、これによって生じる磁場変動を前記スケール12に対面して移動するセンサ14の広範囲受信コイル20が受信している。そして、検出した磁場と誘導コイル16毎の位置とを対応付けて絶対位置の特定を行っている。この時、センサ14がスケール12の測長方向に沿って、正確に移動すれば、磁場の変動と誘導コイル16毎の位置との対応関係は一致し、正確な絶対位置の認識を行うことができる。
【0040】ところが、センサ14の移動は、ガイドレール等によってガイドされながら行われるため、前記ガイドレールの製造精度やセンサ14との組付け精度等によりセンサ14が測長方向に対して左右に揺動する場合がある。センサ14に横揺れがある場合、センサ14側から見ると、あたかもシフト捻り部が移動したかのようになる。つまり、実際は、センサ14が測長方向に5個分の誘導コイル16の距離しか移動していないにも関わらず、広範囲正弦波出力端子20a及び、広範囲余弦波出力端子20bからは、センサ14が測長方向に6個分移動した場合と同じ大きさの信号が出力されてしまう。その結果、絶対位置に誤差が含まれてしまう。
【0041】図6には、前述したセンサ14の左右の揺動による誤差をキャンセルするための構成が示されている。図6に示すように、図中右上から左下に向かって順次シフト捻り部を有する広範囲送信コイル部16bに隣接して、左上から右下に向かって順次シフト捻り部を有する広範囲送信コイル部32が形成されている。前記広範囲送信コイル部32は、センサ移動方向に沿ったライン34を挟んで広範囲送信コイル部16bと線対称になるように捻り部26が形成されている。つまり、前記センサ14の移動方向と直交する方向に対して左方向にシフトする第1シフト捻り部と右方向にシフトする第2シフト捻り部が形成されている。同様に、センサ14(図1参照)は、広範囲送信コイル部32に対応する広範囲受信コイル36を有し、前記広範囲送信コイル部32による磁場変動を検出している。つまり、前記第1シフト捻り部による磁場変動を検出する第1センサと、第2シフト捻り部による磁場変動を検出する第2センサが形成されている。前記広範囲受信コイル36もライン34を挟んで広範囲受信コイル20と線対称になるように配置され、広範囲正弦波出力端子20a及び広範囲余弦波出力端子20bに接続されている。
【0042】もし、センサ14が測長方向(センサ移動方向)に移動中の横揺れ(揺動)を有しない場合、つまり、正確に測長方向に移動する場合、ライン34を挟んで対称に配置される広範囲送信コイル部16b,32からは同一の大きさの信号が出力され、広範囲正弦波出力端子20a及び広範囲余弦波出力端子20bからは、図1の構成の場合の2倍の振幅の信号が出力される。
【0043】一方、センサ14が測長方向(センサ移動方向)に移動中に横揺れ(揺動)を有する場合、センサ14全体が同一方向にシフトするため、センサ14上の広範囲受信コイル20,36から見ると広範囲送信コイル部16b,32の捻り部26がライン34を挟んで対称に逆方向にシフトすることになる。例えば、広範囲受信コイル20の出力がプラス側にシフトすれば、広範囲受信コイル36は同じ量だけマイナス側にシフトすることになる。従って、広範囲受信コイル20の出力と広範囲受信コイル36の出力を加算して、広範囲正弦波出力端子20a及び広範囲余弦波出力端子20bから出力することによって、横揺れに基づく検出誤差はキャンセルされることになる。すなわち、センサ14の移動をガイドするガイドレールの製造精度やセンサ14とガイドレールの組付け精度が十分に確保できない場合でも、センサ14の横揺れによる誤差を排除することが可能で、正確な絶対位置の検出を行うことができる。
【0044】また、広範囲正弦波出力端子20a及び広範囲余弦波出力端子20bから図1の構成の場合の2倍の振幅の信号が出力されることによって、信号対雑音比が約2倍に改善され、耐雑音性を向上することができる。また、図6の構成の場合、センサ14は、図1の場合のほぼ2倍の出力信号が得られることになる。この結果、検出結果に対するスケール12やセンサコイル等の製造上の誤差の影響を軽減することが可能になり、検出器の高精度化ができると共に、設計における各部品のスペックの緩和が可能になり、設計コストや製造コスト等の低減に寄与することができる。
【0045】なお、図6に示した広範囲送信コイル部16b,32の極性配置は一例であり、広範囲送信コイル部16bと広範囲送信コイル部32との間に捻りを設けてもよい。この場合、広範囲送信コイル部32から出力される信号は、逆極性になるが、広範囲受信コイル36の接続を受信極性に対応するように接続すれば、同様の効果を得ることができる。
【0046】また、図6では、広範囲受信コイル20からの出力と広範囲受信コイル36からの出力を加算した状態で広範囲正弦波出力端子20a及び広範囲余弦波出力端子20bに出力する構成を示しているが、図7に示すように、広範囲受信コイル20からの出力を広範囲正弦波出力端子20a及び広範囲余弦波出力端子20bに出力し、広範囲受信コイル36からの出力を広範囲正弦波出力端子36a及び広範囲余弦波出力端子36bに出力し、別途信号処理を行うようにしても同様の効果を得ることができる。この場合、広範囲受信コイル20からの出力と広範囲受信コイル36からの出力を別々に得ることによって、両者の比較によりセンサ14の実際のシフト量やシフト方向の認識が可能になり、絶対位置検出器のメンテナンスデータに利用したり設計や製造へのフィードバックデータとして利用することができる。
【0047】また、前述した各実施形態では、本発明の絶対位置検出器をリニアエンコーダに適用した例を説明したが、図8に示すように、円筒ドラム38の外周に沿ってスケール12を配置し、当該スケール12に対面する位置にセンサ14を配置すれば、本発明に絶対位置検出器をロータリーエンコーダにも適用することができる。
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、容易な構成で広範囲かつ正確な絶対位置検出を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成10年(1998)2月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開平11−183108
【公開日】 平成11年(1999)7月9日
【出願番号】 特願平10−24908