| 【発明の名称】 |
マルチタップ受信器捲線を有する誘導性位置トランスデューサ及び相対位置を判別するための方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】ニルス イングバール アンダーモ
【氏名】カール グスタフ マスレリーズ
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| 【要約】 |
【課題】信号感度を増加し、また、デジタル補間能力を提供するための改良されたマルチタップ捲線構造を備えた誘導電流位置トランスデューサを提供する。
【解決手段】誘導電流位置トランスデューサにスケール素子と送信機捲線とマルチタップ受信機捲線と信号発生および処理回路を設け、信号発生および処理回路により送信機捲線を駆動したのち、入力信号が最小となるようにマルチタップ受信機捲線のタップを選択して入力信号を信号発生および処理回路へ入力し、2つの入力信号によって補間処理により相対位置を判別する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】測定軸に沿って配列された少なくとも一つのスケール素子を含む第1の部材と、前記測定軸に沿って前記第1の部材に対して隣接して相対移動可能に配置された第2の部材とを含んでおり、前記第2の部材は、第1の捲線と、前記測定軸に沿って伸延し、直列に接続され、規定された空間位相を有するように空間的に変調された部分を含む一つ以上の第2の捲線と、前記空間的に変調された部分に設けられた複数の選択可能な接続用のタップと、前記第1の捲線に接続され、且つ、前記複数の選択可能なタップを通して前記第2の捲線に選択的に接続可能な信号発生および処理回路とを含んでおり、前記信号発生および処理回路は、変化する磁束を発生させるために前記第1および第2の捲線の一方を駆動し、前記信号発生および処理回路は、前記第1および第2の捲線の一方により発生された変化する磁束により前記第1および第2の捲線の他方に誘導された分布誘導起電力により誘起された入力信号を入力し、前記入力信号は、前記タップの選択部位と、少なくとも一つの前記スケール素子と前記第2の捲線の間の相対位置に依存しており、少なくとも一つの前記スケール素子は、前記相対位置に基づいて前記第1および第2の捲線の有効磁束結合を空間的に変調する、ことを特徴とするマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項2】空間的に変調された第1の捲線を含む第1の部材と、測定軸に沿って前記第1の部材に対して隣接して相対的に移動可能に配置された第2の部材とを含んでおり、前記第2の部材は、前記測定軸に沿って伸延し、直列に接続され、規定された空間位相を有するように空間的に変調された部分を含む複数の第2の捲線と、前記空間的に変調された部分の上の複数の選択可能な接続用のタップと、前記第1の捲線に接続され、且つ、複数の選択可能な前記タップを通して前記第2の捲線に選択的に接続可能な信号発生および処理回路とを含んでおり、前記信号発生および処理回路は、変化する磁束を発生させるために前記第1および第2の捲線の一方を駆動し、前記信号発生および処理回路は、前記第1および第2の捲線の間の空間的に変調された有効磁束結合に基づいて、前記第1および第2の捲線の一方により発生された変化する磁束により前記第1および第2の捲線の他方に誘導された分布誘導起電力により誘起された入力信号を入力し、前記入力信号は、前記タップの選択部位と、前記第1および第2の捲線の間の相対位置に依存することを特徴とするマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項3】測定軸に沿って配列された少なくとも一つのスケール素子を含む第1の部材と、前記測定軸に沿って前記第1の部材に対して隣接して相対移動可能に配置された第2の部材と、前記第1および第2の部材の一方に対して相対配置された第1の捲線とを含んでおり、第2の部材は、前記測定軸に沿って伸延し、直列に接続され、規定された空間位相を有するように空間的に変調された部分を含む複数の第2の捲線と、前記空間的に変調された部分の上の複数の選択可能な接続用のタップと、前記第1の捲線に接続され、且つ、複数の選択可能な前記タップを通して前記第2の捲線に選択的に接続可能な信号発生および処理回路とを含んでおり、前記信号発生および処理回路は、変化する磁束を発生させるために前記第1および第2の捲線の一方を駆動し、前記信号発生および処理回路は、前記第1および第2の捲線の一方により発生された変化する磁束により前記第1および第2の捲線の他方に誘導された分布誘導起電力により誘起された入力信号を入力し、前記入力信号は、前記タップの選択部位と、少なくとも一つの前記スケール素子と前記第2の捲線の間の相対位置に依存しており、少なくとも一つの前記スケール素子は、前記相対位置に基づいて前記第1および第2の捲線の有効磁束結合を空間的に変調することを特徴とするマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項4】前記信号発生および処理回路が、前記入力信号をサンプルする各々の信号サンプリングサイクルにおいて一対となる2つの前記タップを選択し、前記タップ対は、少なくとも二つの、直列に接続された前記空間的に変調された部分の誘起信号が入力信号を作り出すために結合されるように選択されることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項5】前記入力信号の位相、極性、および振幅の少なくとも一つが、タップの選択部位及び少なくとも一つの前記スケール素子と前記第2の捲線の間の相対位置に依存するように前記スケール素子と前記第2捲線が配置されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項6】少なくとも一つの前記スケール素子が、ピッチλで前記測定軸に沿って分布する複数の前記スケール素子に含まれることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項7】複数の前記空間的に変調された部分が、複数の前記空間的に変調された部分の数Nとピッチλに基づいて、所定のオフセット量だけ前記測定軸に沿って互いにオフセットされることを特徴とする請求項6に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項8】前記所定のオフセット量が、λ(kN+1)/N(ここで、kとNは整数である)であることを特徴とする請求項7に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項9】全ての前記空間的に変調された部分が、第1の誘起信号を与える正極性領域と、前記第1の誘起信号とバランスした第2の誘起信号を与えるように電気的に接続された負極性領域を有し、その結果、前記スケール素子がない状態での動作状態では、各々の前記空間的に変調された部分からの誘起信号がぼぼゼロとなることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項10】各々の前記正極性部分および各々の前記負極性部分が、ピッチλの2分の1にほぼ等しい前記測定軸に沿った長さを有し、全ての前記空間的に変調された部分の各々が、幾何学的にほぼ同形状であり、ピッチλにほぼ等しい前記測定軸に沿った長さを有し、全ての前記スケール素子の各々が、幾何学的に同形状であり、ピッチλの2分の1にほぼ等しい前記測定軸に沿った長さを有することを特徴とする請求項9に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項11】少なくとも1つの前記スケール素子が、1つ以上の磁束変調器を含み、前記磁束変調器は、磁束強化器と磁束減衰器の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項12】前記スケール素子が1つ以上の結合ループを含むことを特徴とする請求項1または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項13】前記第2の捲線が、前記第1の捲線の中に配置されることを特徴とする請求項1に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項14】前記第1の捲線が、前記第2の捲線に隣接して配置されることを特徴とする請求項1に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項15】前記第1の捲線が、複数の捲線部分を有し、第2の捲線が、前記複数の捲線部分の少なくとも一つに隣接して配置されることを特徴とする請求項14に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項16】前記第1の捲線が、1対の捲線部分を有し、前記第2の捲線が前記1対の捲線部分の間に配置されることを特徴とする請求項15に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項17】前記信号発生および処理回路が、制御装置と、前記第1の捲線と前記制御装置へ接続された送信器ドライバと、前記第2の捲線の前記タップと前記制御装置へ接続されたマルチプレクサと、前記マルチプレクサへ接続された復調器と、前記復調器に接続されて、前記入力信号に基づき、前記相対位置に関連して少なくとも一つの信号を出力する分析回路とを含むことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項18】前記信号発生および処理回路が、制御装置と、前記第2の捲線のタップと前記制御装置に接続されたマルチプレクサと、前記制御装置および前記マルチプレクサに接続された送信器ドライバと、前記第1の捲線へ接続された復調器と、前記復調器に接続され、入力信号に基づいて少なくとも一つの信号を出力する分析回路とを含むことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項19】前記測定軸が、円形であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3に記載のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ。 【請求項20】測定軸に沿って伸延し、空間的に変調され、且つ時間の経過に従って変化する磁場において、周期的な空間変調に対して磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法であって、磁束感知捲線は、前記測定軸に沿って伸延し、直列に接続され、複数の空間的に変調された部分であって、各々の前記空間的に変調された部分が規定された空間位相を有するものと、前記空間的に変調された部分の上の複数の選択可能なタップとを含み、相対位置を判別するための、複数の選択可能な前記タップを通して前記磁束感知捲線に選択的に接続可能な信号処理回路とを含んでいる場合において、当該方法は、空間的に変調され、時間の経過に従って変化する磁場に応答して前記磁束感知捲線の中に分布誘導起電力を誘導させるステップと、各々の信号サンプリングサイクルについて1組の前記タップを選択するステップであって、1組の前記タップは、多数の、直列に接続され、空間的に変調された部分の誘起信号が結合されて分布誘導起電力により誘起された入力信号を発生させるように選択されるステップと、前記入力信号を信号処理回路に入力するステップと、前記入力信号の特性を測定するステップと、選択された前記タップと対応する入力信号特性に基づいて、前記磁束感知捲線と、空間的に変調され時間の経過に従って変化する磁場の間の前記相対位置を判別するステップを含むことを特徴とする磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法。 【請求項21】1組の前記タップを選択する前記ステップが、多数の、直列に接続された前記空間的に変調された部分において、前記入力信号特性について理論的に可能な最大値を作り出すように一対の前記タップを選択するステップを含み、前記相対位置を判別する前記ステップが、前記入力信号特性の最小値に対応する一対の前記タップを選択するステップに従って、選択されたタップ対を識別するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法。 【請求項22】各々の前記信号サンプリングサイクルについて1組の前記タップを選択する前記ステップにおいて、空間の位相を有する複数の選択可能な第1のタップを選択するステップと、前記第1のタップの空間の位相からほぼ180度位相がずれている空間位相を有し、対向する第2の前記タップを選択するステップあるいは、前記対向するタップに隣接するタップの一方を第2のタップとして選択するステップと、前記第1および第2のタップに対応する入力信号特性の値を判別するステップと、前記第1および第2のタップの少なくとも一つを再選択するステップと、前記入力信号特性の最小値が識別されるまで、判別と再選択を繰り返すステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法。 【請求項23】前記第1および第2のタップの少なくとも一つを再選択する前記ステップにおいて、前記第1および第2のタップに対応する入力信号特性の値を判別する前記ステップにおいて得られた入力信号の特性が変化した場合に、次回の前記タップの選択部位をそれまでの選択方向とは逆方向に戻るように選択するステップを含むことを特徴とする請求項22に記載の磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法。 【請求項24】前記相対位置を判別する前記ステップが、各々の信号サンプリングサイクルについて1組の前記タップを選択する前記ステップで選択された前記タップの部位によって第1の分解能によって相対位置を決定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法。 【請求項25】前記相対位置を判別する前記ステップが、前記入力信号の特性を測定する前記ステップでの少なくとも2回以上の入力信号特性測定結果を基にして前記第1の分解能より細かい第2の分解能によって相対位置を決定するステップを含むことを特徴とする請求項20に記載の磁束感知捲線の相対位置を判別するための方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、誘導電流リニアおよびロータリ位置トランスデューサに関する。特に本発明は、信号感度を増加し、また、デジタル補間能力を提供するための改良されたマルチタップ捲線構造を備えた誘導電流位置トランスデューサに関する。 【0002】 【背景技術】日本特許出願公開特開平8−313295号は、インクリメンタル誘導電流位置トランスデューサを開示し、日本特許出願公開特開平9−329407号は、誘導電流位置トランスデューサを使用した電子キャリパを開示している。両方の出願は、誘導電流位置トランスデューサについての関連する信号処理技術を開示している。これらの出願の誘導電流位置トランスデューサの動作は、図1および図2に概略的に示される。図1に示されるように、誘導電流位置トランスデューサ100は、スケール110に対して移動可能である読取ヘッド120を含む。スケール110は、好ましくは、標準のプリント回路基板技術を使用するプリント回路基板の上に形成される。読取ヘッド120は、プリント回路基板の上にも同じく形成することができる。しかしながら、読取ヘッド120は、集積回路(IC)、好ましくは、標準のシリコンIC処理技術を使用するシリコンICの上にも同じく形成することができる。 【0003】複数の磁束変調器112は、誘導電流位置トランスデューサ100の測定軸114に沿って、以下に更に詳細に記述される波長λに等しいピッチで分布する。磁束変調器112は、測定軸114に沿ったλ/2の公称幅を有する。磁束変調器112は、測定軸114と直角を成す方向に幅dを有する。読取ヘッド120は、駆動信号発生器150に連結された概して長方形の送信器捲線122を含む。駆動信号発生器150は、時間経過に従って変化する駆動信号を送信器捲線122に与える。時間経過に従って変化する駆動信号は、好ましくは、高周波の正弦波信号、パルス信号、あるいは、指数関数的に減衰する正弦波信号である。時間経過に従って変化する駆動信号が送信器捲線122に印加されると、送信器捲線122に流れる時間経過に従って変化する電流は、対応する時間経過に従って変化する磁場を発生させる。送信器捲線122は、概して矩形に整形され、その寸法は、発生させられた磁場が、送信器捲線122の中央部分の磁束領域の中で実質的に一定となるように選ばれる。 【0004】読取ヘッド120は、送信器捲線122の中の磁束領域の中の読取ヘッドの上に配置された第1の受信器捲線124および第2の受信器捲線126を更に含む。第1の受信器捲線124と第2の受信器捲線126の各々は、複数の第1のループセグメント128と第2のループセグメント129により形成される。第1のループセグメント128は、プリント回路基板あるいは集積回路の層の第1の表面の上に形成される。第2のループセグメント129は、プリント回路基板あるいは集積回路の層の別の表面の上に形成される。プリント回路基板あるいは集積回路の層は、第1のループセグメント128と第2のループセグメント129との間の電気絶縁層として作用する。各々の第1のループセグメント128の各々の端部は、第2のループセグメント129の一つの一方の端部にプリント回路基板あるいは集積回路の層に形成された貫通接続部130を通して連結される。 【0005】第1および第2のループセグメント128および129は、適度な正弦波状に整形される。したがって、図1に示されるように、受信器捲線124および126の各々を形成する第1および第2のループセグメント128および129は、波長λを有する正弦波状に整形された周期的なパターンを形成する。受信器捲線124および126の各々は、このように複数のループ132および134を有するように形成される。第1および第2の受信器捲線124および126の各々のループ132および134は、λ/2に等しい測定軸114に沿った幅を有する。このように、隣接しているループ132および134の各々の組は、λに等しい幅を有する。更に、第1および第2のループセグメント128および129は、隣接しているループ132および134の各々の組において完全な正弦曲線サイクルを形成する。このように、λは、第1および第2の受信器捲線124および126の正弦曲線の波長に対応する。更に、受信器捲線126は、測定軸114に沿って第1の受信器捲線124からλ/4だけオフセットされる。すなわち、第1および第2の受信器捲線124および126は、90度の位相差を有しており、これはすなわち、直交関係にある。 【0006】電流が、第1の端子122aから送信器捲線122を通り、第2の端子の122bから外に抜ける方向に送信器捲線122内を流れるように、駆動信号発生器150からの変化する駆動信号が送信器捲線122に印加される。このように、送信器捲線122によって発生させられた磁場は、送信器捲線122の内側で図1の平面の中に下降し、送信器捲線122の外側で図1の平面から上昇する。したがって、送信器捲線122の中の変化する磁場は、受信器捲線124および126に形成されたループ132および134の各々に誘導起電力(EMF)を発生させる。ループ132とループ134は、反対の捲線方向を有する。この結果、ループ132で誘導されるEMFは、ループ134で誘導されるEMFの極性と反対である極性を有する。ループ132および134は、同じサイズ領域、したがって、公称で同じ量の磁束を取り囲む。それゆえに、各々のループ132および134に発生させられたEMFの絶対値は公称で同一となる。 【0007】好ましくは、第1および第2の受信器捲線124および126の各々に、等しい数のループ132および134がある。理想的には、ループ132で誘導される正極性EMFは、ループ134で誘導される負極性EMFによって正確にオフセットされる。したがって、第1および第2の受信器捲線124および126の上の各々の正味の公称EMFはゼロであり、また、送信器捲線122から受信器捲線124および126への単独の直接的な結合の結果として、第1および第2の受信器捲線124および126から信号が出力されないように意図されている。読取ヘッド120がスケール110に接近して置かれるとき、送信器捲線122によって発生させられた変化する磁束は、磁束変調器112を同じく通過する。磁束変調器112は変化する磁束を変調するものであり、磁束強化器あるいは磁束減衰器のいずれかとすることができる。 【0008】磁束変調器112が磁束減衰器として提供されるとき、ギア歯のような導電性基体の隆起部分として、あるいは、好ましくは、スケール110上の導電性プレートあるいは薄い導電性フィルムとして形成される。変化する磁束が導電性プレート、隆起した導電性部分、あるいは、薄膜を通過するにつれて、渦電流が、導電性プレート、隆起した導電性部分、あるいは、薄膜で発生する。これらの渦電流は、送信器捲線122によって発生させられた磁場のものとは反対の磁場方向を有する磁場を順々に発生させる。このように、磁束減衰器タイプの磁束変調器112の各々に最も近い領域において、正味磁束は、磁束減衰器タイプの磁束変調器112から遠い領域の正味磁束よりも小さくなる。 【0009】磁束減衰器112が受信器捲線124の正極性ループ132と一列に整列されるようにスケール110が読取ヘッド120に対して配置されるときには、正極性ループ132で発生した正味EMFは、負極性ループ134で発生した正味EMFに比べて減少する。この結果、受信器捲線124は不平衡な状態になり、その出力端子124aおよび124bの間に実質的に負の信号を生じさせる。同様に、磁束減衰器112が負極性ループ134と一列に整列されるときには、負極性ループ134を通る正味磁束は、減衰するか、あるいは、減少する。このように、負極性ループ134で発生した正味EMFは、正極性ループ132で発生した正味EMFに対して減少する。この結果、第1の受信器捲線124は、その出力端子124aと124bの間に実質的に正の信号を生じさせる。 【0010】磁束変調器112が磁束強化器として提供されるときには、この結果は丁度逆になる。磁束強化器タイプの磁束変調器112は、スケール110内に、あるいは、スケール110上に設けられた高透磁率材料の一部によって形成される。送信器捲線122によって発生された磁束は、高透磁率磁束強化器タイプの磁束変調器112を優先的に通過する。すなわち、磁束強化器112の内側の磁束の密度は増やされる一方、磁束強化器112の外側の領域の磁束密度は減らされる。 【0011】このように、磁束強化器112が、第2の受信器捲線126の正極性ループ132と一列に整列されるときには、正極性ループ132を通る磁束密度は、負極性ループ134を通過する磁束密度よりも大きい。このように、正極性ループ132で発生された正味EMFは増加する一方、負極性ループ134で誘導された正味EMFは減少する。この結果、第2の受信器捲線126の端子126aおよび126bの間に正の信号を生じさせる。 【0012】磁束強化器が負極性ループ134と一列に整列されるときには、負極性ループ134は正極性ループ132で誘導されたEMFに対して増加されたEMFを発生させる。この結果、負の信号が、第2の受信器捲線126の端子126aおよび126bの間に生じる。一般的に、磁束強化作用と磁束減衰作用の両方を単一のスケールで組み合わせることができ、そこでは、磁束強化器と磁束減衰器はスケール110の長さに沿って交互配置される。これは、誘導されたEMFの変調を強化するために作用することになる。なぜなら、両方のタイプの磁束変調器の効果は加算的に合成されるからである。 【0013】前述したように、磁束変調器112の幅と高さは、公称でそれぞれλ/2とdであり、一方、磁束変調器112のピッチは公称でλである。同様に、第1および第2の受信器捲線124および126に形成される周期的なパターンの波長は公称でλであり、ループ132および134の高さは公称でdである。更に、ループ132および134の各々は、公称で一定の領域を取り囲む。図2Aは、磁束変調器112が正極性ループ132に対して移動するときの、正極性ループ132からの位置依存性出力を示す。磁束変調器112が磁束減衰器であると仮定すると、信号振幅最小位置は、磁束減衰器112が正極性ループ132と正確に同列に整列した位置に対応し、一方、最大振幅位置は、磁束減衰器112が負極性ループ134と同列に整列した位置に対応する。 【0014】図2Bは、各々の負極性ループ134からの信号出力を示す。図2Aに示された信号のように、信号振幅最小位置は、磁束減衰器112が正極性ループ132と正確に同列に整列する位置と対応し、一方、最大信号出力は、磁束減衰器が負極性ループ134と正確に同列に整列する位置と対応する。磁束強化器が磁束減衰器の代わりに使用される場合には、図2Aおよび図2Bにおける信号振幅最小位置は、磁束強化器112が負極性ループ134と同列に整列した位置に対応することになり、一方、信号振幅最大位置は、磁束強化器112が正極性ループ132と同列に整列した位置に対応することになる。 【0015】図2Cは、第1および第2の受信器捲線l24および126のいずれかからの正味信号出力を示す。この正味信号は、正および負極性ループ132および134からの信号出力の和、すなわち、図2Aおよび図2Bに示された信号の和に等しい。図2cに示された正味信号は、理想的にはゼロレベルに対して対称的であるべき、すなわち、正および負極性ループ132および134は、正確に平衡してオフセットがない対称的な出力を生じるべきである。 【0016】しかしながら、現実の装置においては、正味信号に、位置に依存しない「DC」成分がしばしば現れる。このDC成分は、オフセットされた信号Voである。このオフセットVoは、信号処理を複雑にする。このオフセットは、二つの主な原因によって生じる。最初に、送信器磁場の全振幅は、第1および第2の受信器捲線124および126を通過する。上に概説されたように、これは各々のループ132および134に電圧を誘導する。ループ132および134は逆の捲線方向を有するので、誘導された電圧は公称的には打ち消される。しかしながら、受信器捲線に誘導された電圧を完全に打ち消すことは、正および負のループ132および134が、完全に平衡となるように、完全に配置されて整形されることを必要とする。送信器捲線122によって受信器捲線ループ132および134の中へ直接誘導された電圧は、磁束変調器112によって生じた誘導電圧の変調より一層強いので、平衡についての誤差は極めて微妙である。実際には、製造誤差が完全な平衡を常に妨げる。 【0017】第2に、磁束変調器112によって生成された空間的に変調された磁場は、平均の位置に依存しないオフセット成分も同様に呈する。すなわち、送信器捲線122によって発生された磁場内の磁束変調器112は、全て磁場内に同じ極性の空間変調を生成する。たとえば、磁束減衰器が使用されるときには、送信器磁場中の磁束減衰器は、全て同一極性の二次磁場を生成するので、磁束変調器から誘導された渦電流磁場はオフセットを有する。この時、磁束減衰器と磁束減衰器の間の空間は二次磁場を生成しない。 【0018】このように、受信器捲線124および126の各々の正極性ループ132および各々の負極性ループ134は、同じ極性を有する最小値と最大値の間で変化する正味磁場を認識する。この作用の平均値はゼロの近傍では平衡しない、すなわち、それは大きな公称オフセットを有する。同様に、磁束強化器が使用されるときには、送信器捲線122の中の強化器は、全て同じ磁場変調を生成する一方、変調器と変調器の間の空間では変調されないので、磁束強化器による磁場変調はバイアスを有する。したがって、各々の受信器捲線124あるいは126の各々の正および負極性ループ132および134は、同じ極性を有する最小値と最大値の間で変化する空間的に変調された磁場を認識する。この作用の平均値も大きな公称オフセットを有する。 【0019】等しい数の同一の正および負極性ループ132および134を有する受信器捲線は、オフセット成分を除去するのに役に立つ。しかしながら、正および負極性ループ132および134の間の平衡に関する各種の不完全さは、前述の説明によって残留オフセットを生じさせる。これらの両方のオフセット成分は、第1および第2の受信器捲線124および126の正および負極性ループ132および134の間の対称性によって単独でキャンセルされるように思われる。これは、受信器捲線124および126の製造の精密さに非常に厳しい要求を課することになる。トランスデューサ100を製造した経験から、誘導電流位置トランスデューサ100からこの誤差源を除去することは、実際的にはほぼ不可能である。 前述のオフセット成分のような、トランスデューサ位置に依存しないどのような信号成分も、トランスデューサの動作に対して外来信号と見なされる。そのような外来信号は、必要な信号処理回路を複雑にする。 【0020】日本特許出願特願平10−101286号は、オフセットを減少させた誘導電流位置トランスデューサを開示している。オフセットを減少させた誘導電流位置トランスデューサは、トランスデューサの製造精度を高くすることなく、出力信号の外来「オフセット」成分に対する有効な出力信号成分の割合を増加させる改良された捲線構造を使用する。捲線構造は、所与の測定範囲について、移動単位当たりの出力信号変化の程度を増加するための手段を提供する。オフセットを減少させた誘導電流位置トランスデューサの動作は、図3および図4に概略的に示される。図3および図4のトランスデューサは、通常「インクリメンタル」と称されるタイプの出力を生成する。「インクリメンタル」は、トランスデューサが、設計上のトランスデューサ変位増分に従って繰り返される循環的な出力を作り出すことを意味する。図3に示されるように、オフセットを減少させたスケール210は、第2の複数の閉じた結合ループ216に対して交互配置された第1の複数の閉じた結合ループ212を含む。各々の結合ループ212および216は、複数の第1および第2の結合ループ212および216の他方から電気的に絶縁される。 【0021】第1の複数の結合ループ212の各々は、一組の連結導体215により連結された第1のループ部分213と第2のループ部分214を含む。同様に、第2の複数の結合ループ216の各々は、一組の連結導体219により連結された第1のループ部分217と第2のループ部分218を含む。第1の複数の結合ループ212においては、第1のループ部分213は、スケール210の一つの側縁に沿って配列され、測定軸114に沿って整列させられる。第2のループ部分214は、スケール210の中央に沿って配列され、測定軸に沿って整列させられる。連結導体215は、第2のループ部分214に第1のループ部分213を接続するために測定軸114に対してほぼ垂直に伸延する。 【0022】同様に、第2の複数の結合ループ216においては、第1のループ部分217は、スケール210の第2の側縁に沿って配列され、測定軸114に沿って整列させられる。第2のループ部分218は、結合ループ212の第2のループ部分214と交互配置されて、スケール210の中央に沿って測定軸に沿って配列される。連結導体219は、第2のループ部分218に第1のループ部分217を接続するために測定軸114に対してほぼ垂直に伸延する。 【0023】図4に示されるように、トランスデューサ200の読取ヘッド220は、第1の送信器捲線部分223Aと第2の送信器捲線部分223Bを有する送信器捲線222を含む。第1の送信器捲線部分223Aは、読取ヘッド220の第1の側縁に設けられ、一方、第2の送信器捲線部分223Bは、読取ヘッド220の他の側縁に設けられる。第1および第2の送信器捲線223Aおよび223Bの各々は、測定軸114に沿って伸延する実質的に同じ長さの寸法を有する。更に、第1および第2の送信器捲線223Aおよび223Bの各々は、測定軸114と直角を成す方向に距離d1だけ伸延する短い寸法を有する。送信器捲線222の端子222Aおよび222Bは、送信器駆動信号発生器150に接続される。送信器駆動信号発生器150は、送信器捲線端子222Aに時間経過に従って変化する駆動信号を出力する。この結果、図4に示されたように、時間経過に従って変化する電流は、送信器捲線端子222Aから送信器端子222Bに送信器捲線222を通って流れる。 【0024】これに反応して、第1の送信器捲線部分223Aは、第1の送信器捲線部分223Aの内側で図4の平面から上昇し、第1の送信器捲線部分223Aによって形成されたループの外側で図4の平面の中に下降する一次磁場を発生させる。これとは逆に、第2の送信器捲線部分223Bは、第2の送信器捲線部分223Bによって形成されたループの外側で図4の平面から上昇し、第2の送信器捲線部分223Bによって形成されたループの内側で図4の平面の中に下降する一次磁場を発生させる。これに反応して、磁場内の変化を相殺するように電流が結合ループ212および216に誘導される。 【0025】結合ループセクション213および217の各々の誘導電流は、送信器ループ223Aおよび223Bのそれぞれが隣接している部分に流れる電流とは逆方向に流れる。図4に示されるように、スケールの中央セクションで第2のループ部分214および218の隣接しているものは、逆極性のループ電流を有する。このように、二次磁場は、スケールの中央セクションに沿って逆極性で周期的に分布する磁場部分を有して生成される。周期的な二次磁場の波長λは、連続する第2のループ部分214(あるいは218)の間の距離に等しい。 【0026】読取ヘッド220は、図1に示された第1および第2の受信器捲線124および126とほぼ同一の第1および第2の受信器捲線224および226も含む。特に、図1に示された第1および第2の受信器捲線124および126と同様に、第1および第2の受信器捲線224および226は、読取ヘッド220を形成するプリント回路基板あるいは集積回路の絶縁層の相対する両面上に形成される複数の正弦波状に整形されたループセグメント228および229によってそれぞれ形成される。 【0027】ループセグメント228および229は、第1および第2の受信器捲線224および226の各々において、交互に配置された正極性ループ232および負極性ループ234を形成するために貫通接続部230を通って連結される。受信器捲線224および226は、第1および第2の送信器部分223Aと223Bの間で読取ヘッド220の中央部に配置される。第1および第2の受信器捲線224および226の各々は、測定軸と直角を成す方向に距離d2だけ伸延する。 【0028】送信器ループから受信器ループへの外部的な(位置に依存せず、また、スケールに依存しない)結合は、この構造で概して避けられる。すなわち、第1および第2の送信器223Aおよび223Bによって発生された一次磁場は、第1および第2の受信器捲線224および226の近傍で逆の方向を向く。このように、一次磁場は、第1および第2の受信器捲線224および226によって専有された領域において互いに逆に作用する。理想的には、一次磁場は、この領域で互いに完全に逆に作用する。 【0029】第1および第2の受信器捲線224および226は、第1および第2の送信器捲線部分223Aおよび223Bの内側部分から等しい距離d3だけ間隔が置かれる。このように、第1および第2の受信器捲線224および226によって専有された読取ヘッド220の第1および第2の送信器捲線部分223Aおよび223Bの各々によって発生された磁場は、対称的な反対位置にある。関連する誘導作用は、このように効果的に互いに打ち消す。このように、第1および第2の送信器捲線部分223Aおよび223Bへの外来的な直接結合により第1および第2の受信器捲線224および226で誘導された正味電圧は、送信器捲線を受信器捲線から離して配置することによって、第1の程度まで減らされる。第2に、対称的な設計は、実質的に外来的結合を効果的にゼロに減少させる。 【0030】第1の複数の結合ループ212の各々は、第1および第2の受信器捲線224および226の波長λに等しいピッチに配列される。更に、第1のループ部分213の各々は、それぞれ隣接する第1のループ部分213の間に絶縁空間201を提供しながら、測定軸114に沿って波長λにできるだけ近い距離だけ伸延する。これに加えて、第1のループ部分213は、測定軸114と直角を成す方向に距離にd1だけ伸延する。同様に、第2の複数の結合ループ216の各々は、波長λに等しいピッチに同じく配列される。第1のループ部分217も、それぞれ隣接する第1のループ部分217の間に空間201を提供しながら、測定軸に沿って波長λにできるだけ近い距離だけ同様に伸延する。第1のループ部分217は、測定軸114と直角を成す方向に距離にd1だけ同じく伸延する。 【0031】第1および第2の複数の結合ループ212および216の第2のループ部分214および218も、波長λに等しいピッチに同じく配列される。しかしながら、第2のループ部分214および218の各々は、測定軸に沿って波長(λ)の半分にできるだけ近く伸延する。絶縁空間202は、図4に示されるように、第1および第2の複数の結合ループ212および216の第2のループ部分214および218の各々の隣接する組の間に設けられる。このように、第1および第2の複数の結合ループ212および216の第2のループ部分214および218は、スケール210の長さに沿って交互配置される。最後に、第2のループ部分214および218の各々は、測定軸114と直角を成す方向に距離にd2だけ伸延する。 【0032】第2のループ部分214および218は、対応する第1のループ部分213および217から距離d3だけ間隔を置かれる。したがって、図4に示されるように、読取ヘッド220はスケール210に接近して置かれるときには、第1の送信器捲線部分223Aは、第1の複数の結合ループ212の第1のループ部分213と一列に整列する。同様に、第2の送信器捲線部分223Bは、第2の複数の結合ループ216の第1のループ部分217と一列に整列する。最後に、第1および第2の受信器捲線224および226は、第1および第2の結合ループ212および216の第2のループ部分214および218と一列に整列する。 【0033】動作中は、時間経過に従って変化する駆動信号は、送信器駆動信号発生器150によって送信器捲線の端子の222Aに出力される。このように、第1の送信器捲線部分223Aは、第1の方向を有する第1の変化する磁場を発生させ、一方、第2の送信器捲線部分223Bは、第1の方向と逆である第2の方向に第2の磁場を発生させる。この第2の磁場は、第1の送信器捲線部分223Aによって発生された第1の磁場の磁場強度に等しい磁場強度を有する。 【0034】第1の複数の結合ループ212の各々は、第1の送信器捲線部分223Aに、第1の送信器捲線部分223Aによって発生された第1の磁場によって誘導的に結合される。このように、誘導電流は、第1の複数の結合ループ212の各々を通って時計回りに流れる。同時に、第2の複数の結合ループ216は、第2の送信器捲線部分223Bに、第2の送信器捲線部分223Bによって発生された第2の磁場によって誘導的に結合される。これは、第2の複数の結合ループ216の各々に反時計回りに流れる電流を誘導する。すなわち、結合ループ212および216の第2の部分214および218を通る電流は逆方向に流れる。 【0035】第1の結合ループ212の各々の第2の部分214で時計回りに流れる電流は、第2の部分214の内側で図4の平面の中に下降する第3の磁場を発生させる。これとは逆に、第2の結合ループ216の第2のループ部分218で反時計回りに流れる電流は、第2の結合ループ216の第2のループ部分218の内側で図4の平面から上昇する第4の磁場を発生させる。このように、実質的な互い違いの磁場が、測定軸114に沿って形成される。実質的な互い違いの磁場は、第1および第2の受信器捲線224および226の波長λに等しい波長を有する。 【0036】したがって、第1の受信器捲線224の正極性ループ232が、第2のループ部分214あるいは218のいずれかと一列に整列されるときには、第1の受信器捲線224の負極姓ループ234は、第2のループ部分214あるいは218の他のものと一列に整列される。これは、第2の受信器捲線226の正極性ループ232および負極姓ループ234が、第2のループ部分214および218と一列に整列されるときも同じことである。第2のループ部分214および218によって発生された互い違いの磁場が、第1および第2の受信器捲線214および216の空間的な変調と同じ波長で空間的に変調されるので、第2のループ部分214と一列に整列されたときには、正および負の極性ループ232および234の各々で発生されたEMFは、それらが第2のループ部分218と一列に整列されたときに発生するEMFと等しいが逆極性である。 【0037】このように、読取ヘッド220がスケール210に対して移動するときの、正極性ループ232の正味の出力は、スケールに沿った読取ヘッドの位置「x」の正弦関数であり、外来結合に起因する出力信号のオフセット成分は、公称でゼロである。同様に、読取ヘッド220がスケール210に対して移動するときの、負極姓ループ234からの正味の出力も、スケールに沿った読取ヘッドの位置「x」の正弦関数であり、外来結合に起因する出力信号のオフセット成分は、公称でゼロである。正極性ループ232および負極姓ループ234からのEMFによる誘起信号は一致する。それらは、図2Cに対応する正味の位置に依存する出力信号をこのように発生させるが、外来結合に起因するDCバイアスVoは、この好適な実施態様においては、無視できる程度まで減らされる。 【0038】最後に、第1および第2の受信器捲線124および126のように、第1および第2の受信器捲線224および226は90度の位相差を有しており、これはすなわち、直交関係にある。このように、xの関数として第1の受信器捲線224によって発生されて、受信器信号処理回路140に出力された出力信号は、xの関数として第2の受信器捲線226によって受信器信号処理回路140に出力された信号とは、位相が90°ずれている。受信器信号処理回路140は、第1および第2の受信器捲線224および226からの出力信号を入力してサンプリングし、これらの信号をデジタル値に変換し、それらを制御ユニット160に出力する。制御ユニット160は、1波長λ以内で読取ヘッド220とスケール210との間の相対的な位置xを決定するために、デジタル化された出力信号を処理する。 【0039】第1および第2の受信器捲線224および226からの直交出力の性質に基づいて、制御ユニット160は、読取ヘッド220とスケール210との間の相対的な運動の方向を決定することができる。制御ユニット160は、公知であり、公知の信号処理方法により、相対移動した部分的なあるいは完全な「インクリメンタル」波長λの数をカウントする。制御ユニット160は、その数と1波長λ以内の相対位置を使用して、設定原点からの読取ヘッド220とスケール210との間の相対的な位置を出力する。また制御ユニット160は、制御信号を送信器駆動信号発生器150へも同じく出力し、時間経過に従って変化する送信器駆動信号を発生させる。 【0040】 【発明が解決しようとする課題】従来技術の誘導性トランスデューサは、出力される信号感度が低かったため、良好な信号対雑音比が得にくく、誤動作の一因となり、測長信頼性の改善が困難であった。又、誘導性トランスデューサにおける磁場の変調の波長以上の細かさで測長を行うためには、補間処理が不可欠であるが、この補間処理は、信号感度の低いアナログ信号で行う必要があったため、補間誤差の一因となり、高精度測長の信頼性改善が困難であった。 【0041】 【課題を解決するための手段】本発明は、マルチタップ捲線構造を使用した誘導電流位置トランスデューサを提供する。また本発明は、波長の端数の位置のデジタル補間を可能とするマルチタップ捲線も提供する。マルチタップ捲線は、トランスデューサ電子回路によって行なわれるアナログ補間の量を以下のように減少させる。これに加えて、本発明は、総出力信号強度を増すマルチタップ捲線を提供する。更に、本発明は、低インピーダンスを呈するマルチタップ捲線を提供する。マルチタップ捲線は、出力信号時定数を以下のように改良する。 【0042】本発明の好適なマルチタップ受信器捲線は、測定軸に沿って互いに対してλ/N(ここで、「N」は受信器捲線ループの数)だけオフセットされた複数の受信器捲線ループを含んでおり、直列に電気的に接続されて、受信器捲線ループの各々からの信号関数の「ベクトル円」を形成する。受信器捲線ループは、好ましくは、プリント回路基板あるいは電子集積回路の二つの層の上の平面のパターンとして形成される。各々の受信器捲線ループは、少なくとも一つの電気出力タップを有する。各々の電気出力タップは、受信器捲線ループ上の異なった空間位相位置を表す。このように、1波長当たり合計(N×P)のデジタル位相位置は、N個の受信器捲線ループによって提供される。ここで、「P」は受信器捲線ループ当たりの電気出力タップの数である。 【0043】受信器捲線ループは、受信器捲線ループの端部を接続することによって直列に連続に接続される。「ベクトル円」は、各々の受信器捲線ループからの信号関数を組み合わせることにより、下記のように構成することができる。1波長以内のトランスデューサ位置のデジタル補間は、(1)最小信号を与える空間位相位置に到達するまで、180度のずれを持った対向する接続を電気出力タップで切り替え、(2)残留信号の値に基づいて最後の補間を行なうことにより達成される。本発明の誘導電流位置トランスデューサは、測定軸に沿って互いに移動可能なスケール部材と読取ヘッドを含む。好適な読取ヘッドは、測定軸に沿って伸延するマルチタップ受信器捲線を含む。読取ヘッドは、時間経過に従って変化する磁場を発生させるための測定軸に沿って伸延する送信器捲線を更に含む。 【0044】本発明の誘導電流位置トランスデューサの第1の好適な実施態様においては、送信器捲線は、概して矩形形状であり、マルチタップ受信器捲線は、矩形形状の送信器捲線の内側の読取ヘッド上の磁束領域の中に配置される。これに加えて、スケール部材は、測定軸に沿って分散された複数の磁束変調器を有する。 【0045】本発明の誘導電流位置トランスデューサの第2の好適な実施態様においては、送信器捲線は第1の送信器ループと第2の送信器ループに分割される。第1および第2の送信器ループは、測定軸に沿って伸延し、マルチタップ受信器捲線の対向する側に配置される。第2の好適な実施態様においては、スケール部材は、測定軸に沿って伸延し、同じく測定軸に沿って伸延する複数の第2の結合ループと交互配置された複数の第1の結合ループを有する。第1の結合ループは、第1の送信器捲線ループと一列に整列された第1の部分と、マルチタップ受信器捲線と一列に整列された第2の部分を有する。同様に、第2の結合ループは、第2の送信器ループと一列に整列された第1の部分と、マルチタップ受信器捲線と一列に整列された第2の部分を有する。 【0046】本発明の誘導電流位置トランスデューサの第3の好適な実施態様においては、送信器捲線は、測定軸に沿って伸延し、測定軸と直角を成す方向にマルチタップ受信器捲線の外側に配置される。第3の好適な実施態様においては、スケール部材は、測定軸に沿って伸延する複数の結合ループを有する。結合ループは、送信器捲線ループと一列に整列された第1の部分と、マルチタップ受信器捲線ループと一列に整列された第2の部分を有する。本発明の誘導電流位置トランスデューサの第4の好適な実施態様においては、送信器捲線は、第1の送信器ループと第2の送信器ループに分割される。第1および第2の送信器ループは、測定軸に沿って伸延し、マルチタップ受信器捲線の一方の側にそれぞれ配置される。 【0047】第4の好適な実施態様においては、スケール部材は、測定軸に沿って伸延し、同じく測定軸に沿って伸延する複数の第2の結合ループと交互配置された複数の第1の結合ループを有する。第1の結合ループは、第1の送信器捲線ループと一列に整列された第1の部分と、マルチタップ受信器捲線と一列に整列された第2の部分を有する。同様に、第2の結合ループは、第2の送信器ループと一列に整列された第1の部分と、マルチタップ受信器捲線と一列に整列された第2の部分を有する。 【0048】本発明の誘導電流位置トランスデューサの第5の好適な実施態様においては、単一の送信器ループが、読取ヘッド上でマルチタップ受信器捲線の側部に沿って置かれる。この実施態様のスケール部材は、測定軸に沿って整列させられて、同じく測定軸に沿って整列させられた第2の複数の結合ループと交互配置された複数の第1の結合ループを有する。第1および第2の両方の結合ループは、送信器ループと一列に整列された第1の部分と、マルチタップ受信器捲線と一列に整列された第2の部分を有する。 【0049】各々の第1の結合ループの第1および第2の部分は、直列に接続され、「捩じられない」。従って、第1の結合ループの第1および第2の部分で誘導される磁場は、同じ極性を有する。これとは逆に、各々の第2の結合ループの第1および第2の部分は、直列に接続され、「捩じられる」。この場合は、第2の結合ループの第1および第2の部分で誘導される磁場は、逆極性を有する。これは、送信器ループの励起に応答してマルチタップ受信器捲線の下方の領域で、測定軸に沿った互い違いの誘導磁場を生成する。 【0050】 【発明の実施の形態】図5は、マルチタップ誘導電流位置トランスデューサ100の第1の好適な実施態様を示す。マルチタップ誘導電流位置トランスデューサ300は、読取ヘッド320に対して移動可能であるスケール部材310を含む。スケール部材310は、好ましくは、標準のプリント回路基板技術を使用するプリント回路基板の上に形成され、スケール部材310は、好ましくは、平面ストリップ、円形ディスク、あるいはシリンダーである。磁束変調器330が磁束減衰器として提供されるときには、磁束変調器330は、導電性基板の隆起部分のように、すなわち、ギア歯のように形成され、スケール部材310はギアとすることができる。 【0051】複数の磁束変調器330は、マルチタップトランスデューサ300の測定軸340に沿って波長λに等しいピッチでスケール部材310に配置される。測定軸340は、直線あるいは円形にすることができる。磁束変調器330は、測定軸340に沿ったλ/2の公称幅を有する。磁束変調器330は、測定軸340と直角を成す方向に幅dを有する。感知ユニット350、好ましくはシリコン集積回路チップは、読取ヘッド320に取り付けられる。読取ヘッド320は、送信器ドライバ回路380を同じく含む。感知ユニット350は、送信器捲線360の内側の磁束領域の中で感知ユニット350に配置されたマルチタップ受信器捲線400を含む。マルチタップ受信器捲線400は、ベクトル位相「円」を実現するために、直列に電気的に接続された複数の受信器ループ410から形成される。 【0052】感知ユニット350は、マルチタップ受信器捲線400からの電気信号を処理する信号処理および制御回路370を同じく含む。電気信号は、電気出力タップ470およびバス520を介して信号処理および制御回路370に入力される。信号ライン592および594は、信号処理および制御回路370からの制御信号を送信器ドライバ回路380に供給するために使用される。 【0053】図6は、マルチタップ受信器捲線400を作るマルチタップ受信器ループ410の一つを示す。基本的なマルチタップ受信器ループ410は、二つの逆極性の半ループ420および430を含む。マルチタップ受信器ループ410は、開始ポイント440で始まり、反時計回りでループ基板の第1の層あるいは表面を巡り、貫通接続部450に至る。マルチタップ受信器ループ410は、貫通接続部450を通って基板の第2の層あるいは裏面に至り、貫通接続部450から反時計回りに巡って貫通接続部452に至る。次いで、マルチタップ受信器ループは、貫通接続部452を通過して基板の第1の層あるいは表面に戻り、貫通接続部454を反時計回りに巡り、そこでマルチタップ受信器ループ410はタップ470に接続する。 【0054】次いで、マルチタップ受信器ループは貫通接続部454を通り、基板の第2の層あるいは裏面に戻り、それ自身と交差するまで反時計回りに巡り、次いで、時計回りに貫通接続部456に至る。次いで、マルチタップ受信器ループは貫通接続部456を通り、基板の第1の層あるいは表面に戻り、時計回りで貫通接続部458まで巡らされる。次いで、マルチタップ受信器ループは貫通接続部458を通り、基板の第2の層あるいは裏面に戻り、マルチタップ捲線の終了ポイントの貫通接続部460まで巡らされる。したがって、磁場によって二つの半ループ420および430で誘導された電圧は、逆極性を有することになる。この結果、送信器捲線360によって発生された磁場は実質的に同一であるので、ポイント440および460に結果として生じる電圧はゼロとなる。 【0055】しかしながら、磁束変調器330は、測定軸340に沿った半ループ420および430の一方の長さにほぼ等しい測定軸340に沿った長さを有する。前述したように、磁束変調器は、磁束減衰器および/または磁束強化器のいずれかとすることができる。磁束変調器が磁束減衰器であるときには、磁束変調器330は、好ましくは、周期λを有する周期的なパターンで、スケール部材310に配置された銅電極を含む。 【0056】送信器捲線360によって作り出された変化する磁場は、導電性磁束変調器330に電流を誘導する。磁束変調器330における誘導電流は、送信器捲線360によって生成された一次磁場に逆らう磁場を作り出す。マルチタップ受信器ループ410は、同一ではない正味磁束を前述のように受け取り、ポイント440および460上に結果として生じる電圧はゼロではなくなり、磁束変調器330に対するマルチタップ受信器ループ410の位置の関数として変化する大きさおよび極性となる。 【0057】磁束変調器330が右の半ループ430の下方で中心に置かれるときには、全受信器ループ410からの電気信号は、第1の極性の最大の振幅を有する。磁束変調器330が左の半ループ420の下方で中心に置かれるときには、全受信器ループ410からの電気信号は、第2の逆極性の最大の振幅を有する。二つの半ループ420および430の中心の間の距離は、好ましくは、磁束変調器パターンの波長の半分に等しい。しかしながら、二つの半ループ420および430の中心の間の距離は、好適な値から僅かに異ならせることができる。たとえば、一つの好適な実施態様における二つの半ループの中心の間の距離は992μmであり、この一つの好適な実施態様においては、これはこの一つの好適な実施態様における磁束変調器パターンの波長1,920μmの半分よりも僅かに大きい。これについての別の理由は、マルチプルループのワイヤと貫通接続部が互いに交わるのを妨げることである。 【0058】複数のマルチタップ受信器ループ410は、直列に接続される。図7は、二つのマルチタップ受信器ループ410がどのように直列に接続されるかを示す。第1のマルチタップ受信器ループ410aは、開始ポイント440aで始まり、反時計回りで貫通接続部450aまで巡らされる。次いで、第1のマルチタップ受信器ループ410aは、貫通接続部452aおよび454aを通って、第1のマルチタップ受信器ループ410aのタップ470aまで反時計回りで巡らされる。次いで、第1のマルチタップ受信器ループ410aは、それ自身の上を、貫通接続部456aおよび458aを通って、終了ポイント460aまで時計回りで巡らされ、また、第2のマルチタップ受信器ループ410bの開始ポイント440bに直列に接続される。 【0059】第2のマルチタップ受信器ループ410bは、貫通接続部450b、452bおよび454bを通って、第2のマルチタップ受信器ループ410bのタップ470bまで反時計回りで巡らされる。次いで、第2のマルチタップ受信器ループ4l0bは、それ自身を横切って、貫通接続部456bおよび458bを通って、終了ポイント460bまで時計回りで巡らされ、そこでそれは次のマルチタップ受信器ループの開始ポイントに直列に接続される。この構造は、マルチタップ受信器ループ410の全てについて繰り返される。最後のマルチタップ受信器ループ410zの終了ポイントは、最初のマルチタップ受信器ループ410aの開始ポイント440aに接続される。 【0060】マルチタップ受信器ループ410の全体の数が「N」に等しい場合には、個別のマルチタップ受信器ループ410、たとえば、ループピッチの間隔は、好ましくはλ/Nに等しい。マルチタップ受信器捲線400は、好ましくは、30個の個別のマルチタップ受信器ループ410を含む。前述した一つの好適な実施態様においては、波長λは1,920μmである。このように、30個のマルチタップ受信器捲線410の各々の間のループピッチすなわち間隔は、この一つの好適な実施態様では64μmである。この一つの好適な実施態様においては、マルチタップ受信器ループ410の各々は、約1mmの最大幅「d」を有する。 【0061】複数の電気出力タップ470は、好ましくは、個別のマルチタップ受信器ループ410の各々の貫通接続部454に接続される。このように、30個の電気出力タップ470の全体が、貫通接続部454aに接続された2分の1のループで始まる1ループピッチ間隔で設けられる。第1の電気出力タップ470を0.5の任意の空間位相指定に割り当てることにより、30個の電気出力タップ470は、0.5,1.5,2.5,...29.5の指定された位相に対応する。 【0062】図8は、全体のマルチタップ受信器捲線400を示す。図8に示されるように、個別のマルチタップ受信器ループ410の全ては、直列に接続されており、最後の個別のマルチタップ受信器ループ410の終了ポイント460は第1の受信器ループ410の開始ポイント440aに接続されている。このように、個別のマルチタップ受信器ループ410の各々は、全体のマルチタップ受信器捲線400の規定された空間位相を有する空間的に変調された部分を構成する。 【0063】図9は、送信器捲線360が時間経過に従って変化する電気信号で付勢されたときに、測定軸340に沿ったスケール部材310上の読取ヘッド320の位置の関数として、個別のマルチタップ受信器ループタップ470の隣接しているものから得られた振幅および極性信号を示す。信号振幅は、実質的に、波長λに等しい周期長を持つ正弦関数である。実験の結果は、多くの製作された装置に関して、図示されたダイヤモンド形状についてもほぼ正しいことを示している。必要な場合には、一層正弦関数に近づけるためにループの修正を行うことができる。「第n番目」の空間位相位置の受信器ループに誘起する誘導電圧は、読取ヘッド320とスケール部材310との間の任意の相対位置xにおいて、【0064】 【数1】
【0065】により近似される。ここで、Vnは、マルチタップ受信器ループ「n」から誘導された誘起電圧であり、Aは、正弦関数の振幅であり、Nは、マルチタップ受信器ループの総数であり、xは、スケール部材310に対する読取ヘッド320の位置である。図10は、マルチタップ読取ヘッドとスケールの動作を分析する場合に有用であるベクトル位相図である。ベクトル輪480の隣接しているタップの間のベクトル回転は、読取ヘッド320上で隣接しているタップ470の間の空間位相角度を表す。それゆえに、直交R−I軸の水平のRすなわち実数軸へのベクトル輪480のベクトルのどのような和の投射も、スケールがこの位置にあるときの、関連するタップポイントの間の信号振幅を表す。このように、図10は、空間位相、すなわち、30個の電気出力タップ470、すなわち、電気出力タップ0〜29に接続された位相0.5〜29.5からの信号ベクトルの和を示す。図10に示されるように、電気出力タップ470のいずれか一つを開放しても、その開放された終了ポイント間には電流は流れないは生じない。したがって、スケール位置にかかわらず、電流を流すことなく、個別のマルチタップ受信器ループ410の全てをベクトル輪で直列に接続して、全体のベクトル輪を作成することができる。しかしながら、正反対の電気出力タップ470xおよび470(x+15)では、電気信号は、ベクトル輪480のいずれか半分における全てのベクトルのベクトル和で表される。 【0066】に対応するタップの0〜29において、正反対に対向するタップ470xおよび470(x+15)の間に出力される電圧Vkが与えられる各々のマルチタップ受信器ループ410の生起ベクトルは、選択されたタップ470と磁束変調器330(スケール素子)の相対位置に依存している。図10に示されたベクトル輪480において、磁束変調器330(スケール素子)に対する選択されたタップ470の相対位置は、R軸へのベクトル輪480の相対的な角回転によって示される。このように、磁束変調器330(スケール素子)がタップxの中心に置かれるときには、ベクトル輪480は、タップxがベクトル輪480の底部に直接に位置付けられるように回転される必要がある。磁束変調器330(スケール素子)がタップ470に対して移動するときには、ベクトル輪480は、共通の回転軸Oの回りを対応する量だけR軸に対して回転する。 【0067】このように、図10に示されたR−I軸に対するベクトル輪の相対位置は、図8に示された例に対応しており、そこでは、磁束変調器330(スケール素子)がタップ470(0)の中心に置かれる。更に、磁束変調器330(スケール素子)がタップ470(29)に向かって移動するのに従って、ベクトル輪は、共通の軸OについてR軸の回りで時計回りに回転する。式2は、ベクトル輪480のこの振る舞いを数学的表現で示しており、ここで、信号処理および制御回路370に出力される電圧Vkは、【0068】 【数2】
【0069】により表される。ここで、Vkは、信号処理および制御回路370が電気出力タップ470kと電気出力タップ470(k+(N/2))に接続されるときに検出された電圧であり、Cは、1波長の中の受信器ループの数に依存する定数であり、Aは、正弦関数の振幅であり、Nは、マルチタップ受信器ループの総数であり、xは、スケール部材310に対する読取ヘッド320の位置である。電圧Vkは、スケール部材310に対する読取ヘッド320の位置の正弦関数である。示された例においては、(位置と共に)正弦的に変化する電圧Vkの振幅及び定数Cは、個別のマルチタップ受信器ループ410についての誘起電圧の振幅Aの約10倍である。式(2)の(電圧Vkの実効振幅を決定する)空間位相角度項は、ベクトル輪480に沿って接続された電気出力タップ470の位置と、ループとスケールの相対位置に対応するR−I軸に対する角度に直接関係している。信号処理および制御回路370は、電気出力タップ470kおよび電気出力タップ470(k+(N/2))に接続される。(k+N/2)が「N」より大きいときには、電気出力タップ470(k+(N/2))は、実際には電気出力タップ470(k−(N/2))である。 【0070】二つの電気接続490および500が電気出力タップ470上を両者同時に移動するときには、「N」個の異なった空間位相位置が利用可能である。好適なマルチタップ受信器400においては、30個の個別の受信器ループ410が使用される。すなわち、「N」は30に等しい。したがって、30個の異なった位相位置を利用することができる。しかしながら、追加の位相位置を得るために追加の電気出力タップ470を使用することもできる。たとえば、電気出力タップ470を、この30ループのマルチタップ受信器捲線400について、半ループ間隔(すなわち、開始ポイント440/終了ポイント460)で合計60個の電気出力タップを置くことができる。この場合には、60個のデジタル的に選択可能な位相位置がある。個別の受信器ループ410のように、電気出力タップ470は、受信器ループ410との関係に対応した規定された空間位相を有する。 【0071】別法として、デジタル位相位置の有効数を増加するために、電気接続490および500を両方同時にではなく、一度に一個所づつ移動させることができる。この場合には、他方の電気接続500あるいは490を一個所に固定したまま、一方の電気接続490および500を独立に接続移動させることにより、60個のデジタル的に選択可能な位相位置を利用することができるようになる。これらは、元の30個の異なった位相位置ステップと、半ステップ離れた30個の追加の位相位置である。半ステップは、電気接続490および500の第1の一方が1ステップ移動したが、第1および第2の電気接続500および490の他方が移動しなかったときに達成される。図11は、信号処理および制御回路370を更に詳細に示す。信号処理および制御回路370は、マルチプレクサ530および540、制御装置550、受信器回路560、サンプルおよびホールド回路570、分析回路580、および、送信器制御装置590を含む。 【0072】バス520は、各々の電気出力タップ470をマルチプレクサ530および540に接続する。マルチプレクサ530および540は、図10に関連して前述した電気接続490および500を実施する。マルチプレクサ530および540は、信号ライン532および542経由で受信器回路560に信号をそれぞれ送る。受信器回路560は、信号ライン562および564経由でサンプルおよびホールド回路570に信号を送る。サンプルおよびホールド回路570は、信号ライン572経由で分析回路580に信号を送る。制御装置550は、制御ライン552、554、556、および558経由でマルチプレクサ530および540、送信器制御装置590、および、サンプルおよびホールド回路570に制御信号をそれぞれ送る。分析回路580は、制御ライン582経由で制御装置550に制御信号を送る。これに加えて、送信器制御装置は、制御ライン592および594経由で送信器ドライバ回路380に制御信号を送る。 【0073】わずかな修正で、信号処理および制御回路370は、マルチタップトランスデューサを逆に動作させるために使用することもできる。すなわち、マルチタップ受信器捲線400はマルチタップ送信器捲線として使用することができ、送信器捲線360は受信器捲線として使用することができる。図12および図13は、送信器ドライバ回路380の動作を示す。送信器捲線360は、コンデンサ382に直列に接続される。スイッチ384は、送信器パルスの間の時間間隔でコンデンサ382を電圧Vcに帯電させるために、電圧源386にコンデンサ382の他方の端子を接続する。スイッチ388が閉じられると、スイッチ388は、コンデンサ382と送信器捲線360を直列に接続する。 【0074】図13のタイミング図に示されるように、時間t1で送信器制御装置590からの信号ライン592の制御信号はローになり、スイッチ384を開かせる。このように、コンデンサ382は電圧源386から切り離される。次に、時間t2で、送信器制御装置590からの信号ライン594の制御信号はハイになり、スイッチ388を閉じさせて、コンデンサ382と送信器捲線360を並列構造で接続する。送信器捲線360とコンデンサ382は、共振回路を形成する。このように、送信器捲線360の電圧Vtの振幅は、図13に示されるように減衰振動にされる。送信器捲線360の減衰振動信号Vtは、受信器信号VRを発生させるマルチタップ受信器捲線400に誘導結合される。 【0075】制御装置550は、サンプルおよびホールド回路570に信号ライン558を介して制御信号を送る。信号ライン558の制御信号は、サンプルおよびホールド回路570をトリガーして、時間t3で信号VRの値を格納する。本発明に適用可能な関連する回路技術および信号処理は、ここで説明した他に、日本特許出願公開特開平8−313295号、および、日本特許出願公開特開平9−329407号にも記載されている。前述した逆の動作を行わせる場合には、信号発生および処理回路は、送信器ドライバ回路380が送信器制御装置590と第1及び第2のマルチプレクサ530および540との間に接続されるように修正される。特に、コンデンサ382とスイッチ388は、第1および第2のマルチプレクサ530および540が,マルチタップ送信器捲線400のタップ470にコンデンサ382とスイッチ388を選択的に接続することができるように、信号ライン532および542へそれぞれ接続される。同時に、受信器回路560への入力は、受信器捲線360の端部へ接続される。 【0076】図14は、本発明のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサの第2の好適な実施態様を示す。マルチタップ誘導電流位置トランスデューサ600は、「オフセットを減少させた」タイプであり、前述した「オフセットを減少させた」トランスデューサと実質的に同様な方法で動作する。これに加えて、図示しないマルチタップ受信器捲線400と送信器ドライバ回路380を含む感知ユニット350の動作は、図5に示されたマルチタップトランスデューサの実施態様で説明したものと同一である。オフセットを減少させたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ600においては、送信器捲線は、第1の送信器捲線362および第2の送信器捲線364を含む。第1および第2の送信器捲線362および364は、測定軸340に沿って伸延し、マルチタップ受信器捲線400をはさんで各々反対側に配置される。 【0077】スケール部材310は、測定軸340に沿って伸延し、同様に測定軸340に沿って伸延する複数の第2の結合ループ620と交互配置された複数の第1の結合ループ610を有する。各々の第1の結合ループ610は、第1の送信器捲線362と一列に整列された第1の部分612と、マルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分614を有する。同様に、各々の第2の結合ループ620は、第2の送信器捲線364と一列に整列された第1の部分622と、マルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分624を有する。第1のループ部分612は、接続導体616によって第2のループ部分614に接続される。同様に、第1のループ部分622は、接続導体626によって第2のループ部分624に接続される。第2のループ部分614および624の各々は、図示しないマルチタップ受信器ループ410(の長さの2分の1より僅かに短い、測定軸340に沿った長さを有する。これに加えて、第2のループ部分614と第2のループ部分624は、各々好ましくはλのピッチで配列される。 【0078】動作中は、電流は、送信器捲線362および364に逆方向に流れる。これにより、逆方向を有する電流が、結合ループ部分612および622で誘導される。ループ部分612および622の電流は、ループ部分614および624に接続導体616および626によってそれぞれ接続される。第2のループ部分614および624に接続される電流は逆極性の磁場を発生させ、次いでこれは、前述したように、マルチタップ受信器捲線ループ410に電流を誘導する。逆極性の第2のループ部分614および624により、前述したようにマルチタップ受信器捲線信号が高められる。 【0079】図15は、本発明のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサの第3の好適な実施態様を示す。マルチタップ誘導電流位置トランスデューサ700は、同じくオフセットを減少させたタイプである。そして、前述したオフセットを減少させたトランスデューサと実質的に同様の方法で動作する。これに加えて、図示しないマルチタップ受信器捲線400と送信器ドライバ回路380を含んだ感知ユニット350の動作は、図5に示されたマルチタップトランスデューサの実施態様に関して前述したものと同じである。 【0080】オフセットを減少させたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ700においては、送信器捲線360は感知ユニット350の外部に配置される。スケール部材310は、測定軸340に沿って伸延する複数の結合ループ710を有する。各々の結合ループ710は、送信器捲線360と一列に整列された第1の部分712と、感知ユニット350でマルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分714を有する。第1のループ部分712と第2のループ部分714は、接続導体716によって接続される。第2のループ部分714は、好ましくは、測定軸340に沿って波長λに等しいピッチで間隔が空けられる。 【0081】動作中は、送信器捲線360は、送信器捲線360の内側で図15の平面から上昇し、送信器捲線360によって形成されたループの外側で図15の平面の中に下降する一次磁場を発生させる。これに反応して、電流が、送信器捲線360に隣接して配置された結合ループ部分712に誘導される。各々のこれらの結合ループ部分712の誘導電流は、それらの第2のループ部分714に接続導体716によって接続される。第2のループ部分714の電流は磁場を発生させ、これが順に、前述したように、マルチタップ受信器捲線ループ410に電流を誘導する。図15に示された実施態様に対する別法として、送信器ループ360が第1の結合ループ部分712および感知ユニット350に対して動作可能な位置に配置される場合には、適当な電気接続により、送信器ループ360および送信器ドライバ回路380は、感知ユニット350以外の異なった部材の上に配置することができる。 【0082】図16は、本発明のマルチタップ誘導位置トランスデューサの第4の好適な実施態様を示す。図16に示されたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ800は、同じくオフセットを減少させたタイプであり、図3および図4に関して説明されたオフセットを減少させたトランスデューサと実質的に同様の方法で動作する。これに加えて、図示しないマルチタップ受信器捲線400と送信器ドライバ回路380を含む感知ユニット350の動作は、図5に示されたマルチタップトランスデューサの実施態様に関連して説明したものと同じである。オフセットを減少させたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ800においては、同様に、送信器捲線は、第1の送信器捲線362および第2の送信器捲線364を含む。第1および第2の送信器捲線362および364は、測定軸340に沿って伸延し、いずれもマルチタップ受信器捲線400の同一の側に配置される。 【0083】スケール部材310は、測定軸340に沿って伸延し、同様に測定軸340に沿って伸延する複数の第2の結合ループ820と交互配置された複数の第1の結合ループ810を有する。各々の第1の結合ループ810は、第1の送信器捲線362と一列に整列された第1の部分812と、マルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分814を有する。同様に、各々の第2の結合ループ820は、第2の送信器捲線364と一列に整列された第1の部分822と、マルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分824を有する。第1のループ部分812は、接続導体816によって第2のループ部分814に接続される。同様に、第1のループ部分822は、接続導体826によって第2のループ部分824に接続される。第2のループ部分814および824の各々は、図示しないマルチタップ受信器ループ410の周期λの2分の1より僅かに短い測定軸340に沿った長さを有する。これに加えて、第2のループ部分814と第2のループ部分824は、各々好ましくは、λのピッチで配列される。 【0084】動作中は、送信器捲線の電流は、送信器捲線362と364では逆方向に流れる。このように、逆方向を有する電流は、結合ループ部分812および822で誘導される。ループ部分812および822の電流は、ループ部分814および824に接続導体816および826によってそれぞれ接続される。第2のループ部分814および824に流れる電流は、逆極性の磁場を発生させ、次いでこれは、前述したように、マルチタップ受信器捲線ループ410に電流を誘導する。逆極性の第2のループ部分814および824により、マルチタップ受信器捲線信号が高められる。 【0085】図17は、本発明のマルチタップ誘導位置トランスデューサの第5の好適な実施態様を示す。図17に示されたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ900は、同じくオフセットを減少させたタイプであり、前述した「オフセットを減少させた」トランスデューサと実質的に同様な方法で動作する。これに加えて、図示しないマルチタップ受信器捲線400と送信器ドライバ回路380を含む感知ユニット350の動作は、図5に示されたマルチタップトランスデューサの実施態様に関連して説明されたものと同じである。オフセットを減少させたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ900においては、送信器捲線360は、感知ユニット350の外部に配置され、測定軸340に沿って伸延する。 【0086】スケール部材310は、測定軸340に沿って伸延し、同様に測定軸340に沿って伸延する複数の第2の結合ループ920と交互配置された複数の第1の結合ループ910を有する。各々の第1の結合ループ910は、送信器捲線360と一列に整列された第1の部分912と、マルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分914を有する。同様に、各々の第2の結合ループ920は、送信器捲線360と一列に整列された第1の部分922と、マルチタップ受信器捲線400と一列に整列された第2の部分924を有する。結合ループ910および920は、二つの層の間に貫通接続部930を備えた二層スケール部材310の上に形成される。実線は、第1の層の上に配置された結合ループ910および920の部分を表し、一方、破線は、第2の層の上に配置された結合ループ910および920の部分を表す。 【0087】第1のループ部分912は、接続部分916によって第2のループ部分914に接続される。同様に、第1のループ部分922は、接続部分926によって、第2のループ部分924に接続される。このように、送信器捲線360によって発生された磁場により第1のループ部分912および922に誘導された電流は、第2のループ部分914および924に接続されることになる。結合ループ920において、接続部分926は捩られる。この結果、第1および第2のループ部分922および924の電流は、逆方向に流れることになる。これとは逆に、結合ループ910において、接続部分914は捩られない。この結果、第1および第2のループ部分912および914の電流は、同じ方向に流れることになる。第2のループ部分914および924の各々は、図示しないマルチタップ受信器ループ410の周期λの2分の1より僅かに短い測定軸340に沿った長さを有する。これに加えて、第2のループ部分914と第2のループ部分924は、各々好ましくは、λのピッチで配列される。 【0088】第2のループ部分914および924に流れる電流は、逆極性の磁場を発生させ、次いでこれは、前述したように、マルチタップ受信器捲線ループ410に電流を誘導する。逆極性の第2のループ部分914および924により、マルチタップ受信器捲線信号が高められる。図18は、信号処理および制御回路370のための好適な制御ルーチンを示す。このルーチンは、ステップS1000で開始され、ステップS1100に続き、そこで、制御システムは、変数「n−step」の値を8にセットする。制御は、次いでステップS1200に続き、そこで、制御装置550は、任意の位置「n」において受信器回路560を正反対に対向する電気出力タップ470に接続するようにマルチプレクサ530および540を制御する。 【0089】次に、ステップ1300においては、送信器制御装置590および送信器ドライバ回路380は、送信器捲線360を励起する。サンプルおよびホールド回路570は、送信器捲線360の減衰振動の第1のピークで受信器信号を捕捉する。制御は、次いでステップS1400に続き、そこで、サンプルおよびホールド回路570によって捕捉された受信器信号、すなわち、「サンプリングされた」信号は、分析回路580に出力される。次に、ステップS1500においては、制御システムは、「n−step」が1であるかどうか判別し、あるいはまた、ステップS1400において分析回路580に送られたサンプリングされた信号が、分析回路580に送られた以前サンプリングされた信号に対して逆極性を有するかどうかを判別する。「n−step」が1に等しくなく、あるいはまた、サンプリングされた信号が以前のサンプル信号に対して逆極性でない場合には、制御はステップS1600に続く。そうでない場合には、制御はステップS1800へ跳ぶ。 【0090】ステップS1700においては、分析回路580は、サンプルおよびホールド回路570からのサンプリングされた信号の振幅に基づいて「n−step」の値を調整する。サンプリングされた信号が,分析回路580の図示しないA/Dコンバータを飽和させる場合には、分析回路580は、「n−step」の値を約1/4波長、たとえば、30ステップのベクトル円において8個の電気出力タップステップにセットする。分析回路580は、サンプリングされた信号の極性に従って「n−step」の極性をセットする。正極性のサンプリングされた信号については、分析回路580は、第1の所定の極性に「n−step」の極性をセットする。負極性のサンプリングされた信号については、分析回路580は、逆方向に「n−step」の極性をセットする。 【0091】サンプリングされた信号が最後の測定に関して極性を変えるたびに、分析回路580は、「n−step」の値を1/2にした上、その極性を変える。この結果、制御システムは、約4回の送信および測定サイクル以内に、1ステップサイズ、すなわち、1の「n−step」に収束することになる。「n−step」の値がステップS1600で調整された後に、制御はステップS1700に続く。ステップS1700においては、分析回路580は、「n」の値に「n−step」を加える。制御は次いで、ステップS1200に戻り、制御ルーチンが繰り返される。 【0092】ステップS1800においては、分析回路580は、サンプリングされた最後の二つの信号値からトランスデューサ位置を補間する。最後の二つのサンプリングされた信号の値は、逆極性のものであり、図10に関して前述したように、ゼロの振幅出力信号を与えることになるトランスデューサ位置から1ステップ単位以上は遠くない電気出力タップ位置から生じる。それは、スケール素子の中心位置が、接続された、タップ470の一つと一致するときである。スケール素子は、タップポイントの間に位置することが多いので、図19に示された以下の処理が使用される。図19に示されるように、信号Snは、ゼロ振幅交差ポイント「x」の一方の側の信号であり、信号Sn+1は、ゼロ振幅交差ポイント「x」の他方の側の信号である。位置xnは、電気出力タップ470nの信号がゼロである位置である。位置Xn+1は、電気出力タップ470(n+1)の信号がゼロである位置である。分析回路580は、【0093】 【数3】
【0094】の関係を使用して、スケールの1波長以内のトランスデューサの実際の位置xを補間する。ここで、Snは、電気出力タップ470nでサンプリングされた信号でありSn+1は、タップ470(n+1)でサンプリングされた信号である。分析回路580がステップS1600でトランスデューサ位置を補間した後に、制御は、ステップS1200に戻る。 【0095】図20は、本発明のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサのスケール素子、受信器および送信器を更に一般化して示す。図20に示されるように、受信器1020および1030(あるいは、トランスデューサが逆に動作した時は、送信器1020および1030)は、空間的に配置することができて、ここで説明された原理に従って電気的に接続することができる規定された磁束感知(あるいは発生)領域を備えている任意のタイプの磁束センサ(あるいは発生器)とすることができる。ここで説明したように、正極性受信器1020と負極性受信器1030はN対で接続されることが、望ましくまた実際的であり、図20において、添字は対数「i」を示す。この配置は、前に説明したように、「DCオフセット」を打ち消す。波長λのスケールから最良の信号を生じさせるために、受信器1020iと1030iが互いに(2M+1)λ/2の間隔で間が空けられることが望ましい。ここで、Mは、ゼロ以上の整数である。図20に示されるように、M=0を選び、受信器1020iと1030iを直列に接続することは、通常もっとも実際的である。N個の受信器対(あるいは送信器対)1020iおよび1030iは直列に接続され、第1の受信器1020iも最後の受信器1030Nに接続され、直列回路を「ループ」に閉じる。磁束変調器330(スケール素子)は、λのピッチでスケール部材に沿って分布する。送信器(あるいは受信器)360は、受信器(あるいは送信器)1020iと1030iを囲む捲線として示され、このように、図20は、図5に示された実施態様に対応する。しかしながら、図14〜図17に示される実施態様のように、受信器(あるいは送信器)1020iと1030iに隣接して、送信器(あるいは受信器)360を配置することもできる。更に、送信器360は捲線である必要はなく、どのようなタイプの磁束発生器であってもよい。 【0096】図20は、受信器1020iと1030iを含むN個の受信器対を配置するための一般的な規則を示す。すなわち、第1の受信器対(i=1)を空間基準と見なすと、「i番目」の受信器対は、第1の対に対してKλ+((i−1)(λ/N))の距離だけ離れて配置されるべきである。一つの例として、図8において、全ての受信器対についてK=0であり、これは、電気接続について、受信器ループの重なり、コンパクトなトランスデューサ、単純なレイアウトになる。しかしながら、各々の受信器対について、Kは独立している。このように、Kがゼロではないときには、電気接続のレイアウトがより複雑になり、トランスデューサの長さが増加するが、Kは任意の整数とすることができる。Kがゼロでない場合には、受信器対は重なる必要がなく、これは、或る製造方法の場合には最良の場合がある。図20は、各々の受信器対について一つのタップ470のみを有する場合であるが、前述の図7〜図10の説明から理解される通り、図10に関して説明された動作の原理に従う限りは、各々の受信器対について複数位置に設けることができる。いずれの場合にしても、スケールは、全ての使用範囲位置において受信器ループの全ての組を跨げるだけ充分に長い。 【0097】1波長を越した累積変位は、公知技術をこれらのトランスデューサからの位置データに適用することにより追跡することができる。このように、1波長を越えた変位およびこれに関連する位置は、容易に計算して表示することができる。マルチプレクサ530および540、制御装置550、受信器回路560、サンプルおよびホールド回路570、分析回路580、および、送信器制御装置590を含む信号処理および制御回路370は、好ましくは、プログラムされたマイクロプロセッサおよび周辺集積回路素子、特定用途向け集積回路(ASIC)、または、他の集積回路を使用して実施される。しかしながら、信号処理および制御回路370を、ハードワイヤード電子回路、あるいは、個別素子回路のような論理回路、あるいは、フィールドプログラマブルゲートアレー(FPGA)、プログラマブル論理素子(PLD)、プログラマブル論理アレー(PLA)、または、プログラマブルアレー論理(PAL)のようなプログラム可能な論理素子を使用して同様に実施することができる。一般に、有限ステートマシンは、図18に示されたフローチャートを実施することができ、また、図5、図11、図14〜図17に示された周辺装置を制御することができるどのような装置も、本発明の信号処理および制御回路370を実施するために使用することができる。 【0098】測長範囲が、より短い用途向けとして、他のマルチタップトランスデューサの変形が可能である。図21は、図15のマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ700に基づいたマルチタップ誘導電流位置トランスデューサ750を示す。マルチタップトランスデューサ750においては、可撓性の電気接続761および762が、送信器ドライバ回路380とスケール部材310上の接続点との間の接続に用いられる。このように、図15に示される第1の結合ループ部分712と送信器ループ360は、マルチタップトランスデューサ750においては除去される。第2の結合ループ部分714は、図21に示されるように直列に接続され、可撓性がある電気接続761および762を通る空間的に変調された送信器ループとして直接に駆動される。スケール部材310は、電気接続761および762によって許容された移動範囲を移動することができる。それ以外は、マルチタップトランスデューサ750の動作は、マルチタップトランスデューサ700の動作と同じである。 【0099】更に、前述の実施態様は、送信器捲線として指定された空間的に均一な捲線と、受信器捲線に指定された空間的に変調された捲線で示されているが、適切な信号処理と共に送信器と受信器の捲線の役割が「逆にされる」場合であっても、開示されたトランスデューサ捲線構造は同一の効果を有することは明らかである。本発明は、上に概説された特定の実施態様と共に説明されたが、多くの代替案、修正および変形が可能であることは明白である。外部環境に対する接続を減少させるために、少なくともマルチプレクサと同じ基板に受信器捲線が一体化されるときに、このシステムの特別な利点が得られる。したがって、前述した本発明の好適な実施態様は例示を意図するものであって、限定を意図するものではなく、本発明の意図と範囲から外れることなく、種々の変形を行うことができる。 【0100】 【発明の効果】全ての前述の誘導性トランスデューサは、信号感度が改善され、また、トランスデューサにおける磁場の変調の波長よりも短い位置増分の一層正確な補間ができるという利点が得られる。第2から第5の好適な実施態様における送信器捲線構造は、いくつかの外来信号成分を実質的に除去する。これにより、経済的な設計で、信号処理が簡単化され、トランスデューサの精度および堅牢性が改善されることになる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000137694 【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)9月14日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−160008 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)6月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−279396 |
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