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【発明の名称】 3次元形状計測装置
【発明者】 【氏名】馬場 智義

【氏名】堀 順一郎

【氏名】開 登喜雄

【氏名】吉田 博久

【要約】 【課題】簡単な構成でありながら、距離方向の分解能を上げ、且つ、一度に広範囲の領域を計測できるようにする。

【解決手段】レーザ装置1で発生されたレーザ光2は変調器3に入力され、レーザ光強度変調用発振器4の出力信号により強度変調される。この変調されたレーザ光は、xy軸二次元スキャナー10により任意の仰角・方位角方向に走査されて計測対象物13に照射され、その反射レーザ光が光検出器22に入射する。この光検出器22は、レーザ光出力の強度変調周波数と僅かに異なる周波数で強度変調されており、ビートダウンした結果の低周波信号を受光信号24として出力する。位相差検出回路19は、受光信号24と参照信号18とから、その位相差信号25を出力する。ユーザインターフェース6は、位相差信号25とスキャナ位置情報14とから計測対象物13の3次元形状を求め、表示装置26に表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 レーザ光を発生するレーザ装置と、このレーザ装置から出力されるレーザ光を強度変調する変調手段と、この変調手段により変調されたレーザ光を計測対象物に照射する手段と、前記計測対象物からのレーザ反射光を受光する光検出器と、この光検出器を前記レーザ光の強度変調周波数と僅かに異なる周波数でゲイン強度変調するゲイン変調手段と、前記光検出器における受光信号の強度変調周波数とゲイン強度変調周波数との差の低周波信号を選択する選択手段と、この選択手段により選択された受光信号を処理して3次元形状を計測する処理手段とを具備したことを特徴とする3次元形状計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、船殻部材、橋、構造部材等の寸法計測等に用いられる3次元形状計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的なレーザ光を用いた3次元形状計測装置では、(1)パルス方式と、(2)位相差方式とがある。上記(1)のパルス方式は、パルス状のレーザ光を照射し、送信光に対する受信光の時間差を測定し、計測対象までの距離を求め、また、送信方向より計測対象の方位を決定している。また、(2)の位相差方式では、レーザ光に強度変調を加えて計測対象に照射し、送信光と受信光の位相のずれを測定し、計測対象までの距離を求め、また、送信方向より計測対象の方位を決定している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の3次元形状計測装置において、距離方向の分解能を上げ、且つ、一度に広範囲の領域を計測するには、(1)のパルス方式ではパルス幅を狭くし、(2)の位相差方式では、変調周波数を上げなければならない。
【0004】(1)のパルス方式においては、反射光を測定する手段のクロック高速化、信号の広帯域化を意味し、装置の複雑化、高価格化に繋がる欠点がある。また、(2)の位相差方式においては、位相のずれが1波長分以上になると、絶対距離の計測が困難となり、相対距離計測しかできず、一度に計測する領域が制限される。
【0005】これは、高精度、かつ、広範囲領域での計測は、計測装置を計測対象のそばまで移動させることを意味し、計測システムの大規模化・高価格化、及び反射光を測定する手段のクロック高速化、信号の広帯域化を意味し、且つ、装置の複雑化を意味する。
【0006】本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、簡単な構成でありながら、距離方向の分解能を上げ、且つ、一度に広範囲の領域を計測することができる3次元形状計測装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る3次元形状計測装置は、レーザ光を発生するレーザ装置と、このレーザ装置から出力されるレーザ光を強度変調する変調手段と、この変調手段により変調されたレーザ光を計測対象物に照射する手段と、前記計測対象物からのレーザ反射光を受光する光検出器と、この光検出器を前記レーザ光の強度変調周波数と僅かに異なる周波数でゲイン強度変調するゲイン変調手段と、前記光検出器における受光信号の強度変調周波数とゲイン強度変調周波数との差の低周波信号を選択する選択手段と、この選択手段により選択された受光信号を処理して3次元形状を計測する処理手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る3次元形状計測装置の構成を示すブロック図である。図1に示すようにレーザ装置1で発生されたレーザ光2は、変調器3によってアナログ的にレーザ強度変調がかけられる。上記変調器3には、レーザ光強度変調用発振器4より変調用電気信号5が供給される。上記レーザ光強度変調用発振器4は、例えば数〜数100MHzの周波数で発振可能なものであり、ユーザインターフェース6を経由して、ユーザ(測定者)から指定された周波数切替信号7に従って動作する。
【0009】上記変調器3により変調されたレーザ光は、ハーフミラー8及び集光光学系9を介してxy軸二次元スキャナー10によって、任意の仰角・方位角方向に走査される。このxy軸二次元スキャナー10は、例えば2軸の回転装置例えばステッピングモータ等と、ミラー等の光反射機能を有する部材との組合せによって構成され、スキャナー制御回路11によって制御される。このスキャナー制御回路11は、ユーザインターフェース6を経由して、ユーザ(測定者)から指定されたスキャニング設定信号12に従ってxy軸二次元スキャナー10を制御し、計測対象物13にレーザ光2aを照射する。また、スキャナー制御回路11は、xy軸二次元スキャナー10の位置情報14をユーザインターフェース6へ出力する。
【0010】また、上記変調器3で変調されたレーザ光は、その一部がハーフミラー8で反射されて光検出器15に入射する。この光検出器15は、ゲイン変調用発振器16により、レーザ光出力の強度変調周波数と僅かに異なる周波数でゲイン強度変調が施されている。例えばレーザ光の変調周波数を50MHzとしたとき、ゲイン変調の変調周波数は、50.03MHzに設定される。上記のように光検出器15で2種の波動の重ね合わせによるビートダウンにより、0.03MHzの低周波信号が発生する。この低周波信号は、ローパスフィルタ17により取り出され、参照信号18として位相差検出回路19へ送られる。
【0011】そして、上記計測対象物13により反射されたレーザ光2bは、受光レンズ系21を経由して集光され、光検出器22に入射する。この光検出器22は、ゲイン変調用発振器16により上記光検出器15と同様に例えば50.03MHzの周波数で強度変調されており、ビートダウンした結果の0.03MHzの低周波信号を出力する。この光検出器22から出力される低周波信号は、ローパスフィルタ23を経由して受光信号24として位相差検出回路19に入力される。
【0012】位相差検出回路19は、参照信号18と受光信号24との位相差を検出し、その位相差信号25をユーザインターフェース6へ出力する。このユーザインターフェース6は、スキャナ位置情報14及び位相差信号25に基づいて計測対象物13の3次元情報を表示装置26に出力して表示する。
【0013】次に上記実施形態の動作について説明する。レーザ装置1で発生されたレーザ光2は、変調器3に入力され、レーザ光強度変調用発振器4から出力される変調用電気信号5に基づいて例えば50MHzの周波数でアナログ的に強度変調される。変調器3により変調されたレーザ光は、ハーフミラー8及び集光光学系9を介してxy軸二次元スキャナー10によって、任意の仰角・方位角方向に走査される。スキャナー制御回路11は、ユーザインターフェース6を経由して、ユーザ(測定者)から指定されたスキャニング設定信号12に従ってxy軸二次元スキャナー10を制御し、レーザ光2aを方位角方向及び仰角方向に走査して計測対象物13に照射すると共に、xy軸二次元スキャナー10の位置情報14をユーザインターフェース6へ出力する。
【0014】また、上記変調器3で変調されたレーザ光は、その一部がハーフミラー8で反射されて光検出器15に入射する。この光検出器15は、ゲイン変調用発振器16により、レーザ光出力の強度変調周波数と僅かに異なる周波数でゲイン強度変調が施されているので、その差の低周波信号がローパスフィルタ17により取り出され、参照信号18として位相差検出回路19へ送られる。
【0015】そして、上記計測対象物13により反射されたレーザ光2bは、受光レンズ系21を経由して集光され、光検出器22に入射する。この光検出器22は、ゲイン変調用発振器16により上記光検出器15と同じ周波数で強度変調されており、ビートダウンした結果の低周波信号がローパスフィルタ23を経由して受光信号24として位相差検出回路19に入力される。
【0016】図2(a)〜(c)は、上記計測対象物13に照射されるレーザ光出力、光検出器15,22のゲイン、及び光検出器ローパスフィルタ23を経由して取り出される受光信号24、の各グラフを示したものである。
【0017】上記図2(a)に示す「レーザ光出力」のグラフは、縦軸にレーザ光の出力強度、横軸に時間を示している。このグラフに示されているように、本発明におけるレーザ光の出力は、時間的に強度変調を施している。例えば精度数ミリメートルの形状計測装置においては、通常、数〜数100MHzの周波数に相当する強度変調を用いている。
【0018】上記図2(b)に示す「検出器ゲイン」のグラフは、縦軸に光検出器15,22のゲイン強度、横軸に時間を示している。すなわち、光検出器15,22のゲインが時間的に強度変調されている状態を示している。
【0019】図2(c)に示す「受光信号」のグラフは、縦軸に受光信号強度、横軸に時間を示している。上記のように強度変調が施されたレーザ光出力、及び、このレーザ光出力の強度変調周波数とは僅かに異なる周波数でゲイン強度変調が施された光検出器22を用いた受光信号は、次式にて示される周波数を有する信号となって観測される。
【0020】
I(t)=Asin(ωt)×sin(ω′t)
=A′[cos{(ω+ω′)t}
−cos{(ω−ω′)t}] …(1)
ここで、I(t)は受光信号を示しており、ωはレーザ光出力の強度変調周波数、ω′は光検出器22のゲイン強度変調周波数である。また、この際、それぞれの強度変調信号が有している位相差に関する情報は保存される。
【0021】そして、例えばレーザ光出力の強度変調周波数ωを50MHz、光検出器15,22のゲイン強度変調周波数ω′を50.03MHzを選択すると、光検出器22により受光された信号I(t)は、100.03MHzと、0.03MHzの2つの周波数を有する信号となる。この光検出器22から出力される2つの周波数の信号のうち、0.03MHzの信号がローパスフィルタ23を経由して取り出され、受光信号24として位相差検出回路19へ送られる。この位相差検出回路19は、受光信号24と参照信号18との位相差を検出し、位相差信号25としてユーザインターフェース6へ出力する。このユーザインターフェース6は、上記位相差信号25と、xy軸二次元スキャナー10による計測対象物13への照射位置を示すスキャナ位置情報14とから計測対象物13の3次元形状を求め、表示装置26に表示する。
【0022】上記信号処理における位相の分解能を0.1°とすると、50MHzに対応する信号では、最小0.83mm(光の速度Cは、C=3*108 (m/s)である。また、計測可能距離Lは、L=(3*108 /(50*106 ))*(1/2)=3(m)
である。上式における(1/2)は、計測対象物13により反射された光を処理するので、計測対象物13までの距離は1/2となる。位相の分解能を0.1°とした場合、最小の計測精度は、3(m)/3600=0.83(mm)
の精度での計測が可能になる。
【0023】
【発明の効果】以上詳記したように本発明によれば、強度変調を施したレーザ光出力、及び、このレーザ光出力の強度変調周波数と僅かに異なる周波数でゲイン強度変調を施した光検出器を用いることによって、ビートダウン回路等の電気回路や、高速クロックによる位相検波回路等を用いることなく高精度化が可能であり、3次元形状計測装置の低価格化並びにシステムの簡便化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開平11−108623
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−269786