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【発明の名称】 回動角検出装置
【発明者】 【氏名】木暮 吉宏

【要約】 【課題】磁気シールド手段を設けることにより、外部の磁界がケーシング内に影響するのを防止する。

【解決手段】マグネット4を、スロットルボディ2側のシャフト3に固定し、ケーシング1内に収容する。また、マグネット4は、ケーシング1内に固定した磁極片部5,6,7、ホール素子8と協働して閉磁路を形成する。そして、スロットルバルブの開閉動作に連動してシャフト3が回動すると、前記閉磁路中の磁束密度がシャフト3の回動角に応じて変化し、この変化量をホール素子8によって検出する。また、ケーシング1に塗布された非磁性の導電性塗料10は、外部磁界の変動がケーシング1内に伝播するのを防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケーシングと、該ケーシング内に設けられたマグネットと、前記ケーシング内に設けられ該マグネットと対向して配置された磁極片部と、該磁極片部と前記マグネットとを相対回転させる回動手段と、該回動手段による前記マグネットと磁極片部との相対回転を磁界の変化として検出する磁気検出手段と、前記ケーシング内を外部の磁界からシールドする磁気シールド手段とから構成してなる回動角検出装置。
【請求項2】 前記磁気シールド手段は、前記ケーシングに塗布した非磁性の導電性塗料によって構成してなる請求項1に記載の回動角検出装置。
【請求項3】 前記磁気シールド手段は、前記ケーシングに埋設した非磁性の導電性部材によって構成してなる請求項1に記載の回動角検出装置。
【請求項4】 前記磁気シールド手段は、前記ケーシングを非磁性の導電性材料によって構成してなる請求項1に記載の回動角検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用エンジンに設けられるスロットルバルブの開度等をシャフトの回動角として検出するのに用いて好適な回動角検出装置に関し、特にシャフトの回動角を磁気的に検出してなる回動角検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、シャフト等の回動角を検出する回動角検出装置は、ケーシングと、該ケーシング内にシャフトを介して設けられたマグネットと、該マグネットの回転を磁界の変化として検出する磁気検出手段とから構成され、例えばスロットルバルブの開度等を検出するためのスロットルセンサとして用いられる(特開平5−157506号公報等)。
【0003】この種の従来技術によるスロットルセンサでは、スロットルバルブの開閉動作に連動して回転するシャフトにマグネットが取付けられ、このマグネットは、例えば樹脂材料等からなるケーシング内に回転可能に収容されている。また、ケーシング内には、マグネットの回転を磁界の変化として検出する例えばホール素子等の磁気検出手段が設けられている。
【0004】そして、スロットルセンサは、マグネットがスロットルバルブの開閉動作に連動してシャフトと共に回転することにより、その回転角に応じた磁束密度の変化をホール素子によって検出し、スロットルバルブの開度に対応した検出信号をエンジン制御用のコントロールユニット等に出力する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来技術によるスロットルセンサは、例えば自動車等のエンジン室内に配設される場合が多く、このエンジン室内では、エンジンの運転に伴って点火装置、発電装置等から磁気的なノイズ等が発生する傾向がある。
【0006】このため、従来技術では、エンジン室内の磁気ノイズ等がスロットルセンサのケーシング内に侵入し、ホール素子による磁束密度の検出値がスロットルバルブの開度に対して変動する場合があり、これによってスロットルセンサの検出精度が不安定となり、信頼性が低下するという問題がある。
【0007】本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明は、外部の磁気ノイズ等によりケーシング内の磁界が悪影響を受けるのを確実に防止でき、シャフト等の回動角を安定して検出できると共に、検出精度を高めることができ、信頼性を大幅に向上できるようにした回動角検出装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するため請求項1に記載の発明は、ケーシングと、該ケーシング内に設けられたマグネットと、前記ケーシング内に設けられ該マグネットと対向して配置された磁極片部と、該磁極片部と前記マグネットとを相対回転させる回動手段と、該回動手段による前記マグネットと磁極片部との相対回転を磁界の変化として検出する磁気検出手段と、前記ケーシング内を外部の磁界からシールドする磁気シールド手段とからなる構成を採用している。
【0009】このように構成することにより、外部の磁気ノイズ等がケーシング内に伝播するのを磁気シールド手段によって阻止し、マグネットによりケーシング内に形成される磁界が外部の磁界によって悪影響を受けるのを防ぐことができる。
【0010】また、請求項2の発明では、前記磁気シールド手段は、前記ケーシングに塗布した非磁性の導電性塗料によって構成している。
【0011】これにより、ケーシングの外部に生じた磁界の変動は、導電性塗料の表面で反射されたり、導電性塗料内で減衰したりするため、ケーシング内に伝播するのを阻止される。また、非磁性の導電性塗料を用いることによりマグネットと磁極片部との間に形成される磁界が影響されるのを防止することができる。
【0012】さらに、請求項3の発明では、前記磁気シールド手段は、前記ケーシングに埋設した非磁性の導電性部材によって構成している。
【0013】これにより、導電性部材をケーシングに対して強固に取付けることができ、磁気シールドとしての耐久性を向上させることができる。
【0014】また、請求項4の発明では、前記磁気シールド手段は、前記ケーシングを非磁性の導電性材料によって構成している。
【0015】これにより、ケーシングが複雑な形状をもつ場合でも、ケーシング全体に磁気シールド性能を容易に与えることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明による実施の形態を、図1ないし図5を参照しつつ、詳細に説明する。
【0017】ここで、図1ないし図3は第1の実施例を示し、本実施例では、回動角検出装置としてスロットルバルブの開度を検出するためのスロットルセンサを例に挙げて述べる。
【0018】1はスロットルセンサのケーシングを示し、該ケーシング1は、図1ないし図3に示す如く、樹脂材料等により形成された略筒状のケーシング本体1Aと、例えばアルミニウムまたは合成樹脂板等の非磁性材料により形成され、該ケーシング本体1Aの一端側を閉塞した蓋体1Bとからなり、ケーシング本体1Aには、径方向に突出したコネクタ1A1 が一体的に設けられている。
【0019】そして、ケーシング1は、ケーシング本体1Aの他端側が例えばアルミニウム等の非磁性材料からなるエンジンのスロットルボディ2内に嵌合され、一端側がスロットルボディ2から突出した状態で、取付ねじ(図示せず)等によりスロットルボディ2に取付けられている。また、スロットルボディ2には、スロットルバルブ(図示せず)の開閉動作に連動して回動する回動手段としてのシャフト3が設けられている。
【0020】4はケーシング1内に収容されたマグネットで、該マグネット4は、図2および図3に示す如く、シャフト3の端部に一体的に取付けられ、両端側がシャフト3から径方向に突出した磁極(N極、S極)となっている。
【0021】5,6,7は磁性材料により横断面が略円弧状に形成された磁極片部で、該磁極片部5,6,7は、図2および図3に示す如く、ケーシング本体1Aの内周側に固着され、マグネット4と隙間を介して径方向で対向すると共に、所定の長さをもって周方向に延びている。そして、磁極片部5,6は、図3に示す如く、マグネット4がシャフト3と共に回動することにより、その回動角θに応じてマグネット4との対向面積(角度θ1 ,θ2 )がそれぞれ変化する。
【0022】また、マグネット4は、N極から磁極片部5、後述のホール素子8、磁極片部7を介してS極に延びる第1の閉磁路と、N極から磁極片部6、他のホール素子8、磁極片部7を介してS極に延びる第2の閉磁路とを形成している。
【0023】8,8は前記第1,第2の閉磁路中の磁束密度を検出する磁気検出手段としてのホール素子(一方のみ図示)で、該各ホール素子8は、図2に示す如く、ケーシング1内に設けられた基板9上に搭載されている。そして、各ホール素子8は、マグネット4と磁極片部5,6との対向面積に応じて変化する第1,第2の閉磁路中の磁束密度をそれぞれ検出し、これらの磁束密度の差を検出信号としてエンジン制御用のコントロールユニット(図示せず)等に出力する。
【0024】10はケーシング1内を外部の磁界変化から遮蔽する磁気シールド手段としての導電性塗料で、該導電性塗料10は、図1および図2に示す如く、非磁性材料からなり、スロットルボディ2から突出したケーシング本体1Aの一端側外周(コネクタ1A1 を含む)から蓋体1Bの上側面に亘って塗布され、所定の厚さ寸法をもってケーシング1を覆っている。
【0025】そして、導電性塗料10は、ケーシング1の外部で磁界が変動すると、この変動磁界の一部を導電性塗料10の表面で反射させると共に、例えば変動磁界により導電性塗料10内を流れるうず電流等を誘起させて変動磁界を減衰させる。この場合、導電性塗料10による変動磁界の反射量、減衰量は、変動磁界の周波数と、導電性塗料10を構成する材料の性質(例えば導電率、透磁率等)と、導電性塗料10の厚さ寸法等とに応じて変化することが一般的に知られている。
【0026】これにより、導電性塗料10は、外部の磁界変化がケーシング1内に伝播するのを阻止している。また、導電性塗料10は非磁性材料であるため、マグネット4等により形成される磁路に影響を与えたり、この磁路中の磁束密度を変動させたりすることはない。
【0027】本実施例によるスロットルセンサは上述の如き構成を有するもので、次にその作動について説明する。
【0028】まず、スロットルバルブが開閉されると、その開閉動作に連動してシャフト3と共にマグネット4が回動する。そして、例えばマグネット4が図3中に示す回動角θだけ時計廻りに回動した場合には、角度θ1 に対応したマグネット4と磁極片部5との対向面積が小さくなり、角度θ2 に対応したマグネット4と磁極片部6との対向面積が大きくなるから、これに伴って第1の磁路中の磁束密度は減少し、第2の磁路中の磁束密度は増大する。そこで、各ホール素子8では各閉磁路中の磁束密度を検出し、これらの差に応じた検出信号をスロットルバルブの開度(シャフト3の回動角)としてコントロールユニット等に出力する。
【0029】ここで、本実施例では、スロットルボディ2から突出したケーシング1の部位を覆うようにケーシング本体1Aおよび蓋体1Bに非磁性の導電性塗料10を塗布する構成としている。これにより、ケーシング1の外部で磁界が変動した場合でも、この変動磁界がケーシング1内に伝播するのを導電性塗料10によって確実に阻止でき、マグネット4等により形成される各閉磁路中の磁束密度を外部磁界の変動に対して安定した状態に保持することができる。
【0030】従って、本実施例によれば、外部の磁気ノイズ等によりケーシング1内の磁界が悪影響を受けるのを確実に防止でき、スロットルバルブの開度を高い精度で検出できると共に、信頼性を大幅に向上させることができる。
【0031】また、非磁性の導電性塗料10を用いることにより、マグネット4等による磁界が導電性塗料10によって影響されるのを未然に防ぐことができ、各ホール素子8による検出精度を安定化できると共に、導電性塗料10を塗布するだけでケーシング1全体に磁気シールド性能を容易に与えることができる。
【0032】さらに、導電性塗料10の導電率、透磁率、厚さ寸法等に応じて変動磁界に対するシールド性能の周波数特性を定めることができるから、導電性塗料10の構成材料を適切に選択することにより、例えばエンジンの点火装置、発電装置等から発生し易い固有周波数の磁気ノイズ等を効率よくシールドすることができる。
【0033】次に、図4は本発明による第2の実施例を示し、本実施例では、前記第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施例の特徴は、ケーシング21のケーシング本体21Aに磁気シールド手段としての導電性部材22を埋設したことにある。
【0034】ここで、ケーシング21は、前記第1の実施例とほぼ同様に、樹脂材料からなる略筒状のケーシング本体21Aと、アルミニウム板等の非磁性材料からなる蓋体21Bとから構成されているものの、ケーシング本体21Aには、例えば銅、アルミニウム等の非磁性金属板または金網から筒状に形成された導電性部材22がインサート成形等の手段によって埋設されている。
【0035】かくして、このように構成される本実施例でも、前記第1の実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施例では、導電性部材22をケーシング21に対して強固に取付けることができ、例えばエンジンの振動等により導電性部材22がケーシング21から脱落するのを確実に防止できると共に、磁気シールドとしての耐久性を向上させることができる。
【0036】次に、図5は本発明による第3の実施例を示し、本実施例では、前記第1の実施例と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。しかし、本実施例の特徴は、ケーシング31のケーシング本体31Aと蓋体31Bとを非磁性の導電性樹脂材料によって構成したことにある。
【0037】かくして、このように構成される本実施例でも、前記第1および第2の実施例とほぼ同様の作用効果を得ることができるが、特に本実施例では、ケーシング31が複雑な形状をもつ場合でも、ケーシング31全体に磁気シールド性能を容易に与えることができ、ケーシング31の軽量化を図ることができる。
【0038】なお、前記第1および第2の実施例では、ケーシング1,21の蓋体1B,21Bをアルミニウム等の非磁性金属材料によって構成したが、本発明はこれに限らず、蓋体1B,21Bをケーシング本体1A,21Aと同様に樹脂材料によって構成してもよい。
【0039】また、前記第1の実施例では、ケーシング1の外側に導電性塗料10を塗布する構成としたが、本発明はこれに限らず、導電性塗料10に代えて第2の実施例と同様の導電性部材22をケーシング1の外側に設ける構成としてもよい。
【0040】さらに、前記第3の実施例では、ケーシング31を非磁性の導電性樹脂材料によって構成としたが、本発明はこれに限らず、例えば銅、アルミニウム等の非磁性金属材料によって構成してもよい。
【0041】さらにまた、前記各実施例では、回動角検出装置によりスロットルバルブの開度を検出する場合を例に挙げて述べたが、本発明はこれに限らず、可動部の回動角をシャフト等を介して検出する場合であれば適用でき、例えば自動車等のアクセルペダルに対する踏込み操作量を回動角として検出するアクセルセンサ等に適用してもよい。
【0042】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1に記載の発明によれば、磁気シールド手段を設ける構成としたから、ケーシングの外部で磁界が変動した場合でも、この変動磁界がケーシング内に伝播するのを磁気シールド手段によって確実に阻止でき、マグネット等により形成されるケーシング内の磁界を外部磁界の変動に対して安定した状態に保持することができる。従って、シャフト等の回動角を高い精度で検出でき、信頼性を大幅に向上させることができる。また、磁気シールド手段の構成材料を適切に選択することにより、回動角検出装置の周囲で生じ易い固有周波数の磁気ノイズ等を効率よくシールドすることができる。
【0043】また、請求項2に記載の発明によれば、磁気シールド手段を非磁性の導電性塗料により構成したから、導電性塗料を塗布するだけでケーシング全体に磁気シールド性能を容易に与えることができる。そして、マグネット等による磁界が導電性塗料によって影響されるのを未然に防ぐことができ、この磁界を磁気検出手段により安定して検出することができる。
【0044】さらに、請求項3に記載の発明によれば、磁気シールド手段をケーシングに埋設した非磁性の導電性部材により構成したから、導電性部材をケーシングに対して強固に取付けることができ、導電性部材が振動等によりケーシングから脱落するのを確実に防止できると共に、磁気シールドとしての耐久性を向上させることができる。
【0045】また、請求項4に記載の発明によれば、ケーシングを非磁性の導電性材料により構成したから、ケーシングが複雑な形状をもつ場合でも、ケーシング全体に磁気シールド性能を容易に与えることができると共に、長期間に亘って安定した磁気シールド性能を保持することができる。
【出願人】 【識別番号】000167406
【氏名又は名称】株式会社ユニシアジェックス
【出願日】 平成9年(1997)7月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 和彦
【公開番号】 特開平11−23213
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−190700