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【発明の名称】 厚さ測寸機
【発明者】 【氏名】上田 昭夫

【要約】 【課題】加工時に生じる試験片自体の曲がり、ねじれ、そりおよび装置の加工・組立時の積重ね誤差によって生じる試験片の厚さ測定誤差を除去する。

【解決手段】厚さ測定子6、7で試験片をはさみ込んで保持した後、試験片支持アーム12および13を開放して試験片5の拘束を解き、厚さ測定子6、7のみで測定個所の1点で保持された試験片5の厚さを読み取る。測定後は試験片支持アーム12および13で再度把持し試験片5を拘束して厚さ測定子6、7に対する関係位置を保持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】試験片の厚さを試験片上の1個所または複数個所で測寸する装置において、厚さ測定子で試験片を把持した状態で試験片支持アームを開放して試験片の拘束を解き、厚さ測定子の1点保持の状態での厚さ測定子の直進移動量から試験片の厚さを測定値として読み取ることを特徴とする厚さ測寸機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉄鋼材料や合成樹脂材料など工業製品に用いられるこれら原材料の品質評価の一環として行われる材料試験において、試験に供される試験片の厚さを測定する厚さ測寸機に関する。
【0002】
【従来の技術】試験片の厚さを測定する場合、通常は試験片の中央の1個所または中央と両標点の計3個所の位置が測定されるが、従来の厚さ測寸機においては、これを自動的に行う場合、試験片を厚さ測定子以外の支持機構で拘束した状態で厚さ測定子を試験片に接触させて試験片の厚さを測定する方法が採用されている。また、測定点が複数の場合は測定ヘッドを複数設置して複数個所の同時測定を行うか、あるいは測定ヘッドを1個とし、試験片または測定ヘッドを移動させて順次測定する方法が用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の方法で試験片の厚さを測定する場合、厚さ測定子を含む3点以上の拘束個所が生じる。理想的な平面をもつ試験片であればよいが、事前にひずみ取りが行われた試験片であっても取りきれない曲がり、ねじれ、そりなどのひずみが残る試験片を両端で拘束すれば試験片の残留ひずみによって厚さ測定個所での試験片と厚さ測定子との直角度は保証されずその誤差はばらつく。また、装置の組立時に生じる積重ね誤差によって生じる試験片と厚さ測定子との直角度のばらつき誤差も厚さ測定の誤差となる。また、測定ヘッドを複数設置して複数個所の同時測定を行う場合にも同様の誤差が生じる問題点があった。
【0004】本発明は、試験片自体の変形や装置の加工・組立精度に関係なく精度良く試験片の厚さが測定できる厚さ測寸機の提供を目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の厚さ測寸機においては、試験片の厚さ測定が複数個所の場合、1個の厚さ測定ヘッドを試験片支持アームで把持された試験片に対して測定個所まで平行移動させ、厚さ測定ヘッドの厚さ測定子で試験片を保持し得る測定圧ではさみ込んだ後、試験片支持アームを開放して試験片の拘束を解き、厚さ測定子のみで測定個所の1点を保持された試験片の厚さを読み取る。
【0006】厚さの測定が終われば厚さ測定子で保持された試験片を試験片支持アームで把持し試験片を拘束する。異なる位置の厚さ測定に対する測定ヘッドの移動時においても厚さ測定子の開放前に試験片支持アームにより試験片を把持し拘束する。以上の構成によれば、厚さ測定時には常に試験片は厚さ測定子のみで支えられており、試験片の加工時に生じる曲がり、ねじれ、そりなどで生じる測定誤差や加工・組立精度からくる積重ね誤差などによる測定子の平行精度の影響で生じる測定誤差を含むことなく精度の良い厚さ測定ができる。
【0007】また、測定個所の位置を替えて測定を継続するために行う測定子の移動時においては、試験片は試験片支持アームにより常に拘束されているため試験片の位置ずれは発生せず、正確な測定位置での厚さ測定が保証される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の厚さ測寸機の一実施例を図1〜図9に基づいて説明する。図1に本発明の実施例装置の構成を示す。試験片5は図示していないが別途用意された搬送アームによって機台1上の両側に設けた試験片支持ユニット2、3の試験片支持アーム12および13の各アームの間に挿入されアームの閉じる動作で把持され図2に示すごとく試験片5は水平の状態に保持される。
【0009】厚さ測定位置に対応して機台1上を水平移動する測定ヘッド4に設けた直進アクチュエータ8、9の駆動で前後進する厚さ測定子6、7の閉じる動作で試験片5をはさみ保持した後、試験片支持アーム12および13を開き図3に示すごとく試験片5を開放する。
【0010】図3に示す状態での試験片5は厚さ測定子6、7の閉じる動作の駆動圧で厚さ測定子6、7で保持されるとともに厚さ検出器10、11でその厚さが測定される。厚さ測定子6、7の先端は図9に示されるように小球状測定子14と平面状測定子15の組み合わせが好ましいが、試験片5の性質に合わせて小球状測定子14と小球状測定子14あるいは平面状測定子15と平面状測定子15の組み合わせで使用される。
【0011】試験片5の厚さ測定個所が中央から離れた個所の場合は厚さ測定子6、7のみの1点で保持するため試験片5の偏荷重が厚さ測定子6、7に加わるが、試験片の偏荷重は直進アクチュエータ8、9の駆動圧での加減で調節される。厚さの測定個所が複数の場合は、図4に示すごとく試験片支持アーム12および13で試験片を把持してその位置を保持し、その間に厚さ測定ヘッド4を機台1に対して厚さ測定位置まで水平移動させる。
【0012】試験片5が加工時の残留ひずみのない無変形の状態ならば図5に示すごとく平行する厚さ測定子6、7で試験片の真の厚さが測定される。しかし、試験片5に曲がり、ねじれ、そりなどの変形がある場合は、試験片支持アーム12および13で両端が拘束されるので、試験片の変形が中央部に集まる状態となる。したがって、試験片5の厚さ測定は図7で示すように変形した試験片の厚さ測定面は試験片厚さ測定軸に対して変形角θが生まれ、結果として図6に示すごとく変形による誤差△T1および△T2を含めた測定となる。
【0013】本発明にしたがって厚さ測定子6、7で厚さ測定個所の1点のみで試験片5を保持すれば、図8に示すごとく試験片の両端は試験片支持アーム12、13の開口によりその端部は自由となり、機台1と水平関係にあり、かつ試験片厚さ測定軸と直角で交わる図9で示す厚さ測定子6、7の小球状測定子14、あるいは平面状測定子15などの試験片5との接触面は試験片の変形角θに影響されることなく正確な真の厚さを測定することができる。
【0014】本発明によれば、機台1上の試験片支持アーム12、13の試験片把持部と機台1上を水平移動する厚さ測定ヘッド4の数々の部品の集合体から生じる組立上の積重ね誤差から生じる厚さ測定子6、7との平行度の不具合にも影響されることなく常に正確な厚さ測定が可能となる。
【0015】以上、開閉式の試験片支持アーム12、13を例に説明したが、変形実施例として試験片5の端部での支持には昇降式の受け台方式もあり、この方式でも同様の効果を得ることができる。また、試験片支持アーム12、13に幅寄せの機能を付加し、さらに試験片5の関係位置の精度を高めることもできる。
【0016】
【発明の効果】本発明は、以上説明したような構成であるからつぎのような効果を有する。
【0017】加工時に生じる試験片自体の曲がり、ねじれ、そりに起因する測定誤差や装置の加工・組立時の積重ね誤差によって生じる試験片と測定子面との平行度の狂いなどによる測定誤差がでないので精度の高い試験片の厚さ測定を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
【出願日】 平成9年(1997)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】西岡 義明
【公開番号】 特開平11−23206
【公開日】 平成11年(1999)1月29日
【出願番号】 特願平9−174107