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【発明の名称】 発破方法および爆薬体
【発明者】 【氏名】森山 健吉

【氏名】辻野 修一

【氏名】河野 興

【要約】 【課題】爆薬量を減少せずに、かつ複雑な作業を必要とせずに、発破による地盤振動を特定の方向について低減する。

【解決手段】特定部分に複数の透孔3a,3a…を形成してなる容器2に爆薬5を内包してなる爆薬体1Aを、透孔3a,3a…形成部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、装薬孔H内に設置し、さらに装薬孔H内面と爆薬体1A外面との間には砂・礫・粘度等の充填材40を充填する。爆薬体1A内の爆薬を爆発させると、容器2が透孔3a,3a…形成部分を中心に破砕し、当該破砕部分に爆発力が集中する結果、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側の地盤等に発生する振動が大きくなるとともに、相対的に、その反対側に発生する振動が小さくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】特定部分が他の部分に対して強度の低い容器に爆薬を内包してなる爆薬体を用い、この爆薬体を、その特定部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、装薬孔内に設置することを特徴とする発破方法。
【請求項2】前記容器の特定部分に、下記に示す(a)〜(e)のうちの少なくとも1つが形成されており、それによって前記容器の特定部分が他の部分に対して低強度とされている請求項1記載の発破方法。
(a)少なくとも1つの孔。
(b)少なくとも1本のスリット。
(c)少なくとも1本の切り目。
(d)少なくとも1か所の薄肉部。
(e)前記他の部分よりも低強度な材質の部分。
【請求項3】前記容器における前記他の部分が補強されており、それによって、前記容器の特定部分が他の部分に対して低強度とされている請求項1または2記載の発破方法。
【請求項4】前記容器における前記他の部分に爆発力吸収部位が設けられている請求項1〜3のいずれか1項記載の発破方法。
【請求項5】爆発力吸収部位を備える容器に爆薬を内包してなる爆薬体を用い、この爆薬体を、その爆発力吸収部位側が装薬孔内面の爆発力低減予定部側に位置するように、装薬孔内に設置することを特徴とする発破方法。
【請求項7】特定部分が他の部分に対して強度の低いケーシング管を、その特定部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、装薬孔内に設置するとともに、前記ケーシング管内に爆薬体を設置することを特徴とする発破方法。
【請求項8】特定部分が他の部分に対して強度の低い容器に爆薬を内包してなることを特徴とする爆薬体。
【請求項9】爆発力吸収部位を設けた容器に爆薬を内包してなることを特徴とする爆薬体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発破方法に関し、さらに詳しくは発破により生ずる地盤または地山の振動を特定方向について低減することのできる発破方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば地中発破による地盤振動は、地盤構造や地形に特異な変化がなければ、波紋と同様に発破位置を中心として同心円状に広がりつつ伝播する。トンネル工事におけるいわゆるおこし発破の場合も同様である。したがって、発破により生ずる地盤または地山(以下、地盤等ともいう)の振動は工事対象区域以外にも伝播し、これが従来から発破公害として問題となっていた。
【0003】この問題に対して、従来は、爆薬量を減少させるか、あるいは地盤等の振動を遮るための適切な遮蔽物または空溝などを地盤等内の適宜の位置に設けることにより、発破による地盤等の振動を低減させていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、爆薬量を減少させるといっても、それによって全体としての発破の効果が低下することになるため、その減少量には限りがあるのが問題である。また、この限界を超えて爆薬量を減少させる代わりに発破回数を増やすこともできるが、発破回数が増加し、その作業が煩雑となるので好ましくない。さらに、遮蔽物等を設ける場合、大規模な工事が必要となることが問題である。
【0005】そこで、本発明の主たる課題は、これらの問題点を解決した、発破により生ずる地盤または地山の振動を特定方向について低減することのできる発破方法および爆薬体を提案することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発明の発破方法は、特定部分が他の部分に対して強度の低い容器に爆薬を内包してなる爆薬体を用い、この爆薬体を、その特定部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、装薬孔内に設置することを特徴とするものである。
【0007】より具体的には、前記容器の特定部分に、下記に示す(a)〜(e)のうちの少なくとも1つが形成されており、それによって前記容器の特定部分が他の部分に対して低強度とされている態様が提案される。
(a)少なくとも1つの孔。
(b)少なくとも1本のスリット。
(c)少なくとも1本の切り目。
(d)少なくとも1か所の薄肉部。
(e)前記他の部分よりも低強度な材質の部分。
【0008】また、前記容器における前記他の部分が補強されており、それによって、前記容器の特定部分が他の部分に対して低強度とされている態様、および前記容器における前記他の部分に爆発力吸収部位が設けられている態様も提案される。
【0009】他の発破方法として、爆発力吸収部位を設けた容器に爆薬を内包してなる爆薬体を用い、この爆薬体を、その爆発力吸収部位側が装薬孔内面の爆発力低減予定部側に位置するように、装薬孔内に設置することを特徴とするものも提案される。
【0010】さらに他の発破方法として、特定部分が他の部分に対して強度の低いケーシング管を、その特定部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、装薬孔内に設置するとともに、前記ケーシング管内に爆薬体を設置することを特徴とするものも提案される。
【0011】一方、本発明の爆薬体は、特定部分が他の部分に対して強度の低い容器に爆薬を内包してなることを特徴とするものである。また、爆発力吸収部位を設けた容器に爆薬を内包してなることを特徴とする爆薬体も提案される。
【0012】<作用>本発明の爆薬体では、特定部分が他の部分に対して強度の低い容器に爆薬が内包されている。したがって、爆薬体を爆発させた場合、容器が低強度の特定部分を中心に破砕し、当該破砕部分に爆発力が集中する結果、相対的に、特定部分の反対側に向かう爆発力が低減する。かかる爆薬体を用いる本発明の発破方法では、爆薬体を、その特定部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、装薬孔内に設置する。したがって、爆薬体を爆発させた場合、爆薬体の容器破砕部分(特定部分)に対向する装薬孔内面の爆発力集中予定部に爆発力が集中的に作用する結果、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側の地盤等に発生する振動が大きくなるとともに、相対的に、その反対側に発生する振動が小さくなる。
【0013】このように、本発明においては、発破により生ずる地盤振動を爆発力集中予定部側の反対側(特定方向)について低減させることができるだけでなく、爆発力集中予定部側の地盤等における一定の発破効果をより少ない爆薬量で奏させることができるため、全体としての地盤振動を小さくすることもできる。
【0014】また、爆発力吸収部位を設けた容器に爆薬を内包してなる爆薬体を用い、この爆薬体を、その爆発力吸収部位側が装薬孔内面の爆発力低減予定部側に位置するように、装薬孔内に設置する方法では、爆薬体を爆発させると、その爆発力のうち装薬孔内面の爆発力低減予定部側に向かうものが、爆発力吸収部位により吸収される。その結果、爆発力低減予定部側の地盤等に生ずる振動が低減する。
【0015】さらに、ケーシング管を用いる発破方法では、ケーシング管内に設置された爆薬体を爆発させると、ケーシング管が低強度の特定部分を中心に破砕し、当該破砕部分に爆発力が集中する。よって、その爆発力は、当該破砕部分に対向する装薬孔内面の爆発力集中予定部に集中的に作用する結果、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側の地盤等に発生する振動が大きくなるとともに、相対的に、その反対側の地盤等に生ずる振動が小さくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】先ず、本発明の発破方法に用いる爆薬体について説明する。図1〜図4は、特定部分が他の部分に対して強度の低い容器に爆薬を内包してなる爆薬体の具体例を示している。尚、図1〜図4中のKは脚線を示し、Rは雷管を示している。図1に示す爆薬体1Aは、特定部分に複数の透孔3a,3a…を有する円筒状容器2に爆薬5を内包してなるものである(以下、第1具体例という)。本例の円筒状容器2は、上面の開口した容器本体3とその開口部に螺合して容器本体3内を密封する螺子付蓋4とからなり、容器本体3側壁の特定部分に複数の透孔3a,3a…が形成されたものである。したがって、本第1具体例の円筒状容器2では、容器本体3の透孔3a,3a…形成部分が、他の部分に対して強度の低い部分となる。
【0017】次に、図2に示す爆薬体1Bは、特定部分に薄肉部7aを有する円筒状容器6内に、爆薬5を内包してなるものである(以下、第2具体例という)。本例の円筒状容器6は、上面の開口した容器本体7とその開口部に螺合して容器本体3内を密封する螺子付蓋8とからなり、容器本体7の側壁の特定部分に切削等により薄肉部7aが形成されたものである。したがって、本第2具体例の円筒状容器6では、容器本体7の薄肉部7a形成部分が、他の部分に対して強度の低い部分となる。本第2具体例の薄肉部7aに、上記第1具体例の透孔3a,3a…を形成することもできる(図示せず)。
【0018】これらと同様に容器の特定部分に加工を施すことにより、特定部分の強度を低下させる例として、図示しないが、下記に示す(A)例〜(D)例が提案される。
(A)容器の特定部分に、不透孔を少なくとも1つ形成することにより、容器の特定部分の強度を低下させる。
(B)容器の特定部分に、少なくとも1本のスリット(例:容器縦方向または周方向に延在するスリット)を形成することにより、容器の特定部分の強度を低下させる。
(C)容器の特定部分に、少なくとも1本の切り目(例:特定部分の周縁に沿う切り目)を形成することにより、容器の特定部分の強度を低下させる。
(D)容器の特定部分に、他の部分よりも低強度な材質の部分を形成することにより、容器の特定部分の強度を低下させる。例えば、容器の特定部分を切り欠いて、その切欠部分に、容器よりも低強度な部材を配設する。
【0019】また、本発明においては、容器の特定部分以外の部分(他の部分)を補強することにより相対的に特定部分の強度を低下させることもできる。この例として図3に示す爆薬体10は、上面の開口した容器本体12とその開口部に螺合して容器本体3内を密封する螺子付蓋13とからなる円筒状容器11内に爆薬5を内包してなり、かつ容器本体12の特定部分以外の部分全体を覆うように補強材14を配設してなるものである(以下、第3具体例という)。この補強材14としては、鋼材等の強度の高いものを用いることができる。図示例の爆薬体10では、補強材14として断面コ字状の溝型鋼を用いており、この補強材14が接着剤15(モルタル等の固化剤でも良い)によって円筒状容器11の側方に固定されている。したがって、本例の円筒状容器11では、補強材14配設部分の強度が高くなる結果、補強材14を配設していない部分の強度が相対的に低くなる。
【0020】さらに、本発明では、上記第3具体例以外の例において、第3具体例のように特定部分以外の部分を補強材により補強することもできる。この場合、特定部分の強度がさらに低下する。この例として図4に示す爆薬体20は、内側容器22および外側容器23からなる2重構造の円筒状容器21と、内側容器22内に内包される爆薬5と、内側容器22の特定部分に形成された複数の内側スリット22a,22a…と、外側容器23における内側容器22のスリット22a,22a…形成部分と重なる部分に形成された複数の外側スリット23a,23a…と、内側容器22の内側スリット22a,22a…を形成していない部分の外面と外側容器23の外側スリット23a,23a…を形成していない部分の内面との隙間に配設される補強材25とからなるものである(以下、第4具体例という)。本例の円筒状容器21では、内側容器22および外側容器23の上面開口が、外側容器23の開口部に螺合する螺子付蓋24により密封されるようになっている。また、補強材25は、内側容器22外面と外側容器23内面との隙間に、モルタル等の固化剤を充填したり、鋼材等の高強度材料を挟み込んだりすることで設けることができる。
【0021】一方、図5に示す爆薬体30は、爆発力吸収部位34を設けた円筒状容器31に爆薬5を内包してなるものである(以下、第5具体例という)。図示例の円筒状容器31は、上面の開口した容器本体32とその開口部に螺合して容器本体32内を密封する螺子付蓋33とからなり、この容器本体32内面の一定範囲に爆発力吸収部位34を配設したものである。この爆発力吸収部位34は、容器内面の所定の部位に、ゴム、発砲スチロール等の爆発力吸収材を貼り付けることにより設けることができる。また、図示しないが、上述の全ての例の容器において、本第5具体例に示すように爆発力吸収材34を配設することもできる。
【0022】次に、これらの爆薬体を用いる発破方法について説明する。図6は、前述した第1具体例にの爆薬体を用いる発破方法を示している。すなわち、この発破方法は、特定部分に複数の透孔3a,3a…を形成してなる容器2に爆薬5を内包してなる爆薬体1Aを、透孔3a,3a…形成部分が装薬孔H内面の爆発力集中予定部側(振動を発生させたい側)に位置するように、装薬孔H内に設置するものである。図示例では、装薬孔H内面と爆薬体1A外面との間には砂・礫・粘度等の充填材40が充填されている。また、図示例のように装薬孔Hが縦孔の場合、爆薬体1Aに線材等の吊り下げ手段Tを連結し、この吊り下げ手段Tにより爆薬体1Aを装薬孔H内に吊るし下ろすことができる。
【0023】しかる後、爆薬体1A内の爆薬を爆発させると、容器2の透孔3a,3a…形成部分(特定部分)は他の部分よりも強度が低いため、容器2が透孔3a,3a…形成部分を中心に破砕し、当該破砕部分に爆発力が集中する。その結果、その爆発力が、容器破砕部分に対向する装薬孔H内面の爆発力集中予定部に集中的に作用し、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側の地盤等に発生する振動が大きくなるとともに、相対的に、爆発力低減予定部側(爆発力集中予定部側の反対側)の地盤等に発生する振動が小さくなる。したがって、爆発力低減予定部側(特定方向)の地盤等に発生する振動を低減させることができるだけでなく、少ない爆薬量で爆発力集中予定部側の地盤等の振動を大きくさせることができるため、全体としての地盤等の振動を小さくすることができる。第2具体例の爆薬体を用いる場合も、この発破方法例と略同様であり、薄肉部7a形成部分が爆発力集中予定部側に位置するように、爆薬体1Bを装薬孔内に設置する(図示せず)。
【0024】第3具体例の爆薬体10を用いる場合、図示しないが、補強材14を備える爆薬体10を、補強材14配設部分が装薬孔内面の爆発力低減予定側に位置するように(すなわち特定部分が爆発力集中予定側に位置するように)、装薬孔内に設置する。また、爆薬体10外面と装薬孔との間には砂・礫・粘度等の充填材を充填する。しかる後、爆薬体10内の爆薬5を爆発させると、容器11の補強材14を配設していない部分(特定部分)は補強材14配設部分よりも強度が低いため、容器11が補強材14を配設していない部分を中心に破砕し、当該破砕部分に爆発力が集中する。その結果、その爆発力が、容器破砕部分に対向する装薬孔H内面の爆発力集中予定部に集中的に作用し、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側の地盤等に発生する振動が大きくなるとともに、相対的に、爆発力低減予定部側の地盤等に発生する振動が小さくなる。したがって、爆発力低減予定部側の地盤に発生する振動を低減させることができるだけでなく、少ない爆薬量で爆発力集中予定部側の地盤等の振動を大きくさせることができるため、全体として地盤等の振動を小さくすることができる。
【0025】第4具体例の爆薬体を用いる場合には、図示しないが、内側スリット22a,22a…および外側スリット23a,23a…形成部分が爆発力集中予定側に位置し、補強材25配設部分が爆発力低減予定側に位置するように、爆薬体20を装薬孔内に設置する。また、爆薬体10外面と装薬孔との間には砂・礫・粘度等の充填材を充填する。しかる後、爆薬体20内の爆薬を爆発させると、内側容器22の内側スリット22a,22a…形成部分(特定部分)が補強材25配設部分よりも強度が低いため、内側容器22は内側スリット22a,22a…形成部分を中心に破砕し、当該内側容器22の破砕部分を介して外側容器23の外側スリット23a,23a…形成部分に爆発力が集中して当該部分を破砕し、この外側容器22の破砕部分に爆発力が集中する。その結果、その爆発力が、容器破砕部分に対向する装薬孔H内面の爆発力集中予定部に集中的に作用し、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側(スリット形成側)の地盤等に生ずる振動が大きくなるとともに、相対的に、その反対側の爆発力低減予定部側(補強材配設部分側)の地盤等に生ずる振動が小さくなる。
【0026】次に、図7は、前述した第5具体例の爆薬体を用いる発破方法例を示している。すなわち、この方法は、爆発力吸収部位34を設けた容器31に爆薬5を内包してなる爆薬体30を、爆発力吸収部位34側が爆発力低減予定側に位置するように装薬孔H内に設置し、爆薬体30外面と装薬孔H内面との間に砂・礫・粘度等の充填材40を充填するものである。図中のKは脚線を示しており、Tは爆薬体30の吊り下げ手段を示している。この方法では、爆薬体30内の爆薬5を爆発させると、その爆発力のうち爆発力低減予定側に向かうものは、当該方向に配設された爆発力吸収部位34により吸収され低減される。その結果、爆発力低減予定側の地盤等に発生する振動を低減させることができる。
【0027】他方、例えば軟弱地盤の締め固めを発破により行う等において装薬孔が自立しない場合には、ケーシング管を装薬孔内に建て込むとともに、このケーシング管内に爆薬体を設置することができる。この場合、ケーシング管の特定部分に他の部分に対して強度の低い部分を形成し、この特定部分が装薬孔内面の爆発力集中予定部側に位置するように、ケーシング管を装薬孔内に設置するのが好ましい。
【0028】この相対的に低強度の特定部分は、前述の第1〜第4具体例の容器と同様に、ケーシング管の特定部分に透孔や薄肉部等を設けたり、特定部分以外の部分に補強材を配設したりすることにより形成できる。また、第5具体例の容器と同様に、ケーシング管内面に爆発力吸収部位を配設しても良い。さらに、本例に適用可能な爆薬体としては、本発明に係る爆薬体(例えば前述第1〜第5具体例の爆薬体)の他、爆薬そのものや、爆薬をビニール・紙等で簡易包装したもの等を用いることができる。
【0029】図8は、特定部分に透孔50a,50a…を設けたケーシング管50を、当該透孔50a,50a…形成部分が爆発力集中予定部側に位置するように装薬孔H内に設置し、このケーシング管50内に、特定部分に複数の透孔3a,3a…を形成してなる容器2に爆薬5を内包してなる爆薬体1A(図1参照)を、その透孔3a,3a…形成部分がケーシング管50の透孔50a,50a…形成部分と同方向を向くように設置し、さらにケーシング管50内面と爆薬体1A外面との間に砂・礫・粘度等の充填材40を充填する発破方法例を示している。図中のKは脚線を示しており、Tは爆薬体1Aの吊り下げ手段を示している。本方法において爆薬体1A内の爆薬を爆発させると、爆薬体1Aの容器2は透孔3a,3a…形成部分を中心に破砕し、当該爆薬体1Aの容器2の破砕部分を介してケーシング管50の透孔50a,50a…形成部分に爆発力が集中し、さらに当該ケーシング管50の透孔50a,50a…形成部分が破砕し、当該ケーシング管50の破砕部分に爆発力が集中する。そして、その爆発力が、当該破砕部分に対向する装薬孔内面の爆発力集中予定部に集中的に作用する結果、その爆発力の集中程度に応じて、爆発力集中予定部側の地盤等に発生する振動が大きくなるとともに、相対的に、その反対側の地盤等に生ずる振動が小さくなる。
【0030】[その他]
(イ)爆薬体の容器およびケーシング管は、例えば金属、合成樹脂(塩化ビニル樹脂等)および紙等の適宜の材料で作製することができる。
【0031】(ロ)上記例において、容器の強度の低い特定部分、すなわち前述の第1具体例における透孔3a形成部分、第2具体例における薄肉部7a形成部分、第3具体例における補強材14を配設しない部分、第4具体例におけるスリット22aおよび23a形成部分、およびケーシング管を用いる発破方法例におけるケーシング管の透孔の形成部分は、適宜定めることができる。また、第5具体例における爆発力吸収部位34を配設する部分も適宜定めることができる。
【0032】例えば、上記第1〜第5具体例において、低強度の特定部分については、図1〜図4に示すように、その周方向一端から他端までの中心角θ1〜θ4が60度〜180度となるように形成するのが望ましく、爆発力吸収部位34については、図5に示すように、その周方向一端から他端までの中心角θ5が180度〜300度となるように配設するのが望ましい。
【0033】(ハ)上記例では、縦孔に装薬する方法について述べたが、横孔や斜め孔に装薬することもできる。
【0034】(ニ)本発明は、トンネル工事等におけるいわゆるおこし発破や、緩い地盤(砂地盤等の他、装薬孔内に地下水が流入するような地下水位の高いものを含む)の締め固め工事における発破等、種々の発破に適用することができる。
【0035】
【発明の効果】以上のとおり、本発明によれば、爆薬量を減少せずに、かつ複雑な作業を必要とせずに、発破による地盤振動を特定の方向について低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000172813
【氏名又は名称】佐藤工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
【公開番号】 特開平11−132699
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−298456