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【発明の名称】 飛翔体誘導システム
【発明者】 【氏名】後藤 祐一郎

【氏名】保坂 直樹

【要約】 【課題】この発明は、簡便にして容易に、飛翔体誘導の高精度化の促進を図り得るようにすることにある。

【解決手段】第1乃至第4の受光センサ15a〜15dで、指向方向に最大の照射強度を有し指向方向から離れるにつれて照射強度が小さくなる特性を有し、所定の軸に対して前記指向方向を傾けて円錐状に回転させながら照射されるレーザビーム13を受信して、この第1乃至第4の受光センサ15a〜15dの位相差及び振幅比を検出し、その位相差あるいは振幅比の一方に基づいてオフセット移動量を求めて、操舵信号を生成し、飛翔体を誘導するように構成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 指向方向に最大の照射強度を有し前記指向方向から離れるにつれて照射強度が小さくなる特性のレーザビームを、所定の軸に対して前記指向方向を傾けて円錐状に回転させながら照射するレーザビーム照射手段と、このレーザビーム照射手段による前記レーザビームの照射領域に、両者を結ぶ方向が前記所定の軸に直交する二軸に所定間隔を有して飛翔体に配置され、かつ、前記レーザビームを受光してその照射強度に応じた受光信号を出力する4個の受光センサと、この4個の受光センサのうち同一軸上の2個の受光センサそれぞれから出力される受光信号の位相差を検出して、位相差に基づいて前記所定の軸に略直交する二軸方向のオフセット移動量を求める第1のオフセット移動量検出手段と、前記4個の受光センサのうち同一軸上の2個の受光センサそれぞれから出力される受光信号の振幅比を検出して、その振幅比に基づいて前記所定の軸に略直交する二軸方向のオフセット移動量を求める第2のオフセット移動量検出手段と、前記第1及び第2のオフセット移動量検出手段で求められた前記オフセット移動量に基づいて前記飛翔体の操舵量及び操舵方向を計算し、その計算結果に基づいて前記飛翔体の操舵を制御する操舵手段とを具備した飛翔体誘導システム。
【請求項2】 さらに、前記第1及び第2のオフセット移動量検出手段で生成したオフセット移動量を選択して操舵手段に出力する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の飛翔体誘導システム。
【請求項3】 前記選択手段は、第1及び第2のオフセット移動量検出手段で検出した位相差及び振幅比にそれぞれ基づいて第1及び第2のオフセット移動量検出手段で生成したオフセット移動量を選択することを特徴とする請求項2記載の飛翔体誘導システム。
【請求項4】 選択手段は、飛翔体の二軸方向のオフセット移動量を一軸毎にそれぞれ第1及び第2のオフセット移動量検出手段で検出した位相差及び振幅比の双方に基づいて選択することを特徴とする請求項2記載の飛翔体誘導システム。
【請求項5】 選択手段は、飛翔体の二軸方向のオフセット移動量を第1及び第2のオフセット移動量検出手段で検出した二軸方向の位相差及び振幅比に基づいて選択することを特徴とする請求項2記載の飛翔体誘導システム。
【請求項6】 前記選択手段は、位相差が約180度未満で、第1のオフセット移動量検出手段で求めたオフセット移動量を選択し、位相差が約180度以上、第2のオフセット移動量検出手段で求めたオフセット移動量を選択することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか記載の飛翔体誘導システム。
【請求項7】 前記選択手段は、振幅比が約1未満で、第1のオフセット移動量検出手段で求めたオフセット移動量を選択し、振幅比が約1以上で、第2のオフセット移動量検出手段で求めたオフセット移動量を選択することを特徴とする請求項3乃至5のいずれか記載の飛翔体誘導システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、外部から飛翔体に向けて円錐走査レーザを照射して飛翔体を目標方向に誘導するビームライダ方式の飛翔体誘導システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飛翔体誘導システムにおいては、飛翔体に搭載され、飛翔体自身の姿勢角や位置などの情報を計算する航法計算機と、飛翔体に対して外部から基準座標系の進行方向情報(方位角と高低角の組み合わせ情報、または目標の位置情報など)を無線で送信する誘導装置を備えている。飛翔体は、誘導装置から送られる進行方向情報をもとに、航法計算機を利用して飛翔体自らの姿勢角や位置情報を計算し、その操舵方向や操舵量を決定して目標方向に誘導する。
【0003】ところで、このような飛翔体誘導システムは、飛翔体に搭載されている航法計算機で求める飛翔体自体の姿勢角及び位置情報を用いて誘導装置の使用する座標系を共有することでシステムが成立される。
【0004】しかしながら、上記飛翔体誘導システムでは、その誘導装置から飛翔体に進行方向命令を伝達した場合、飛翔体が誘導装置の座標系を共有していないと、飛翔体の高精度な誘導が困難となるという問題を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従来の飛翔体誘導システムは、飛翔体の操舵系の座標系と共有するように構成しないと、信頼性の高い高精度な誘導が困難となるという問題を有する。
【0006】この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、簡便にして容易に、飛翔体誘導の高精度化の促進を図り得るようにした飛翔体誘導システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明は、指向方向に最大の照射強度を有し前記指向方向から離れるにつれて照射強度が小さくなる特性のレーザビームを、所定の軸に対して前記指向方向を傾けて円錐状に回転させながら照射するレーザビーム照射手段と、このレーザビーム照射手段による前記レーザビームの照射領域に、両者を結ぶ方向が前記所定の軸に直交する二軸に所定間隔を有して飛翔体に配置され、かつ、前記レーザビームを受光してその照射強度に応じた受光信号を出力する4個の受光センサと、この4個の受光センサのうち同一軸上の2個の受光センサそれぞれから出力される受光信号の位相差を検出して、位相差に基づいて前記所定の軸に略直交する二軸方向のオフセット移動量を求める第1のオフセット移動量検出手段と、前記4個の受光センサのうち同一軸上の2個の受光センサそれぞれから出力される受光信号の振幅比を検出して、その振幅比に基づいて前記所定の軸に略直交する二軸方向のオフセット移動量を求める第2のオフセット移動量検出手段と、前記第1及び第2のオフセット移動量検出手段で求められた前記オフセット移動量に基づいて前記飛翔体の操舵量及び操舵方向を計算し、その計算結果に基づいて前記飛翔体の操舵を制御する操舵手段とを備えて飛翔体誘導システムを構成したものである。
【0008】上記構成によれば、第1あるいは第2のオフセット移動量検出手段でそれぞれ位相差あるいは振幅比に基づいて求めたオフセット移動量の双方を用いて飛翔体を操舵制御することにより、最小限の誤差成分を持つオフセット移動量で誘導制御することが可能となる。従って、可及的に誘導性能の向上が図れ、安全性の向上を図ることが可能となる。
【0009】また、この発明の飛翔体誘導システムは、前記第1及び第2のオフセット移動量検出手段で生成したオフセット移動量を選択して操舵手段に出力する選択手段を備えて構成した。上記構成によれば、誤差成分のほとんど存在しないオフセット移動量を選択することで、誘導性能の向上が容易に図れる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、この発明の一実施の形態に係る飛翔体誘導システムを示すもので、レーザビーム照射器11は、地上局に、レーザビーム13を所定の軸12を中心にして円錐状に回転させながら照射し(図4参照)、点線で示すような照射領域14を形成するように配備される。
【0011】このレーザビーム照射器11は、例えば距離Rの位置に配置される4個の第1乃至第4の受光センサ15a〜15dに向けてレーザビーム13を照射する。この第1乃至第2の受光センサ15a〜15dは、取付板30(図6( a) 参照)を介して直交する二軸(X軸、Y軸)上に所定の間隔を採って同軸上に一対づつ取付配置され、その中心が上記所定の軸12に対応するように取付板を介して飛翔体に配設される。この第1乃至第4の受光センサ15a〜15dは、レーザビーム13を受光して、受光した光エネルギーを電圧信号などの受光信号Sに変換し出力する。
【0012】上記第1乃至第4の受光センサ15a〜15dから出力された受光信号Sは、増幅器20a〜20dを介して、オフセット量検出部21に入力される。このオフセット量検出部21は、後述するように第1乃至第4の受光センサ15a〜15dの検出値に基づいてX軸及びY軸オフセット移動量を求めて操舵信号生成部22に出力する。
【0013】操舵信号生成部22は、入力したX軸及びY軸オフセット移動量に基づいてX軸及びY軸操舵信号を生成して駆動回路23に出力する。駆動回路23には、航法計算機24が接続され、該航法計算機24からの航法情報と操舵信号生成部22からのX軸及びY軸操舵信号に基づいて航法信号を生成して推進系を駆動制御して飛翔体を目標方向に飛翔案内する。
【0014】上記オフセット移動量検出部21は、例えば図2に示すように第1及び第3の受光センサ15a,15cの出力端が、第1の位相差検出部50a及び第1の振幅比検出部51aに接続され、第2及び第4の受光センサ15b,15dの出力端が、第2の位相差検出部50b及び第2の振幅比検出部51bに接続される。そして、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bは、判定部52に接続され、この判定部52の出力端は、第1及び第2の選択部53a,53bに制御信号入力端に接続される。
【0015】このうち第1の選択部53aには、その入力端に第1の位相差検出部50a及び第2の振幅比検出部の出力端51bが接続され、上記第1の位相差検出部50a及び第2の振幅比検出部51bで検出したX軸オフセット移動量の一方を選択して上記操舵信号生成部22に出力する。
【0016】他方、第2の選択部53bには、その入力端に第1の振幅比検出部51a及び第2の位相差検出部50bの出力端が接続され、上記第1の振幅比検出部51a及び第2の位相差検出部50bで検出したY軸オフセット移動量を選択して一方を上記操舵信号生成部22に出力する。
【0017】上記判定部52は、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bで検出した振幅比が1未満で、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bの検出値を操舵信号生成部22に出力するように上記第1及び第2の選択部53a,53bを切換え設定し、振幅比が1以上あった場合には、第1及び第2の位相差検出部50a、50bの検出値を操舵信号生成部22に出力するように上記第1及び第2の選択部53a,53bを切換え設定する。
【0018】ここで、上記位相差は、誤差角が小さい場合、振幅比に比して位相差の感度が高く、誤差角が大きい場合、位相差に比して振幅比の感度が高いことが確認されている。この特性を考慮して、第1及び第2の選択部53a,53bは、振幅比が1未満で、位相差に基づくオフセット移動量を選択し、振幅比が1以上の場合、振幅比に基づくオフセット移動量を選択する。
【0019】なお、レーザビームとしては、CW(連続波)形式の連続信号波形でもよいし、パルス変調形式であっても、受光センサ側にパルス波高値あるいは平均値を検出する回路を備えることで容易に実現できる。
【0020】次に、振幅比検出の原理を説明する。レーザビーム照射器11及び第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の配置とレーザビーム13の照射領域14とは、図3に示す関係を有する。すなわち、第1及び第3の受光センサ311、312(第2及び第4の受光センサ)は、レーザビーム照射器11から距離Rの位置に、両者を結ぶ直線が中心軸12と直交する二軸上に、また、所定の間隔を有して取付板30に配設される。
【0021】上記レーザビーム照射器11から照射されるレーザビーム13は、図4(a)に示すようにビームの指向方向18で最大の照射強度を有し、ビームの指向方向18から離れる(オフセット)に従って照射強度が単調に減衰する特性となっている。そして、このような特性のレーザビーム13は、図4(b)に示すように、ビームの指向方向18が所定の中心軸12に対して離心角φだけ傾いた状態で中心軸12のまわりを回転し、レーザビームの照射領域14を形成している。
【0022】このため、レーザビーム13のビームの指向方向18の軌跡は円錐状になり、ビームの指向方向18が作る軌跡の内側では、図4(c)(d)(e)に示すように、ビームの照射強度がビームの指向方向18で最大で、中心軸12に向かって単調に低下している。
【0023】第1及び第2の振幅比検出部51a,51bは、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)から出力される受光信号S1、S3(S1、S3)が入力されると、それぞれの振幅の最大値Vmaxと最小値Vminの振幅比Vr1、Vr3を算出する。
【0024】このように振幅比を用いた場合、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の変換効率が相違しても、正しいオフセット方向を求めることができる。例えば、第1の受光センサ15aの変換効率が第3の受光センサ15cg倍の場合、第1の受光センサ15aの受光信号の振幅値は全体的にg倍となり、最大値Vmaxと最小値Vminはそれぞれg倍となる。しかし、両者の比Vrは式(1)の関係から変換効率の違いによる影響はなくなる。
【0025】

また、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bは、振幅比Vr1と振幅比Vr3の大きさを比較して、Vr1=Vr3の場合、取付板30や第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)のオフセット方向、即ち、中心軸12に対する中点Pの位置は「オフセットなし」であると判断して、例えば「0」のオフセット方向信号Dを出力する。また、Vr1>Vr3の場合、「第1の受光センサ15aの配置方向にオフセットあり」と判断して、例えば「+1」のオフセット方向信号Dを出力する。また、Vr1<Vr3の場合、「第3の受光センサ15cの配置方向にオフセットあり」と判断して、例えば「−1」のオフセット方向信号Dを出力する。
【0026】尚、図4(a)の構成も、オフセット移動量を求める場合は、受光信号S1、S2の最大値と振幅最小値の比とオフセット移動量との関係を関数化あるいはテーブル化した変換テーブル(図示せず)が使用される。
【0027】また、図3の構成の場合、レーザビーム照射器11からの距離Rの変化やレーザビーム照射器11の出力レベルの変動などによる照射強度の変化に関係なく、中心軸12に対する第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)それぞれの離隔角度θ1、θ2などを求めることができる。
【0028】また、振幅比検出方法としては、上記構成の場合、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)から出力された受光信号S1、S2は、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bに供給され、それぞれの振幅比Vr1、Vr3が求められ、その振幅比Vr1、Vr3の大きさが比較される。
【0029】このとき、第1及び第2の振幅比検出部は、Vr1=Vr3の場合、取付板32や第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の位置、即ち中点Pの位置が中心軸12に対して「オフセットなし」と判断して、例えば「0」のオフセット方向信号Dを出力する。また、Vr1>Vr3の場合、「第1の受光センサ15aの配置方向にオフセットあり」と判断して例えば「+1」のオフセット方向信号Dを出力する。また、Vr1<Vr3の場合、「第3の受光センサ15cの配置方向にオフセットあり」と判断して、例えば「−1」のオフセット方向信号Dを出力する。
【0030】また、第1及び第2の振幅比検出部51a,51cは、Vr1、Vr3の大きい方を選択し、大きい方を振幅比信号Vrとして出力する。ここではVr1>Vr3で、Vr=Vr1とする。このとき、振幅比Vr1が振幅比信号Vrとして図示しない変換テーブルに入力される。変換テーブルは、例えば2個の変換テーブルで構成されており、ここでは、振幅比Vr1が入力されるため、第1の受光センサ15a出力に対応する変換テーブルがセット方向信号Dによって選択される。変換テーブルには、第1の受光センサ15aの離隔角度θと振幅比Vr1の関係が記憶されており、振幅比Vr1を利用して第1の受光センサ15aの中心軸12からの離隔角度θが求められる。
【0031】そして、第1及び第2の振幅比検出部51a,51cは、求められたオフセット方向信号Dと、変換テーブルで求められた離隔角度θに基づいて、第1の受光センサ15aのオフセット信号、いわゆるオフセット方向とオフセット移動量の各データを含んだ誤差信号Eを求める。
【0032】この場合、誤差信号Eは、オフセット方向Dと離隔角度θをもとに符号つきのオフセット値、例えば、E=D×θ …(2)
ただし、Vr1=Vr3の時、D=0Vr1>Vr3の時、D=+1Vr1<Vr3の時、D=−1で表される。
【0033】尚、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bで振幅比の小さい方を選択した場合には、オフセット移動量が小さく且つ第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)が中心軸12に対して反対方向にある時と、オフセット移動量が大きく且つ第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)がともに中心軸12に対して同じ方向にある時とで、(2)式の符号が逆転することになり、好ましくない。
【0034】なお、上記説明においては、第1及び第3の受光センサ15aa,15cを代表して説明したが、第2及び第4の受光センサ15b、15dの場合においても、同様の方法で算出される。
【0035】ここで、オフセット移動量を位相差に基づいて求める原理を説明する。すなわち、第1及び第2の位相差検出部50a,50bには、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の受光信号が入力される。この第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)に入射するレーザビーム13は、前述したようにビーム指向中心の方向が最大強度であり、かつ、ビーム指向中心からオフセットするに従って照射強度が単調減衰する強度分布を有し、ビーム指向中心12がレーザビーム走査回転中心軸Zから常に一定の離心角ψとなるようにして、回転中心軸Zのまわりに回転される( 図5( a) 参照) 。このとき、レーザビーム13のビーム指向中心12が円錐状になる照射空間を形成する。
【0036】第1乃至第4の受光センサ15a〜15dが空間中にあるとき、当該第1乃至第4の受光センサ15a〜15dがレーザビーム走査の回転中心軸Z上になければ、第1乃至第4の受光センサ15a〜15dから得られる受光信号Sは、図5(c)に示すように、レーザビーム13の走査回転周期と同じ周期Tを持つ周期信号Sになる。ここで、第1乃至第4の受光センサ15a〜15dとは、受光した光エネルギーを受光信号、例えば電圧信号に変換するものである。
【0037】以上の動作原理から、この実施形態では、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)を用いて、例えば図6(a)に示すように飛翔体の後部に距離2d隔てて配置する。ここでは,第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)からの受光信号をS1、S3とする。また、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の中間位置をCとする。
【0038】このように第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)が設けられた飛翔体がレーザビーム照射空間に存在すれば、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)はそれぞれの位置に従った周期信号を検出する。
【0039】この第1及び第3の受光センサ15あ、15c(第2及び第4の受光センサ15b、15d)からの信号S1、S3の位相差をΔφとする。S1、S3の位相差とは、図6(b)に示すように、レーザビーム回転周期1周期を2πとして規格化したことに対する、S1の極大値からS3の極大値までの時間差のことである。
【0040】図7(a)、図7(b)を用いてセンサ中間位置Cとレーザビーム走査回転軸Zの位置と位相差Δφの関係を説明する。図7(a)は、レーザビーム照射器11からレーザビーム照射空間の方を見たところを表したものであり、図7(b)は、それぞれに対応する第1及び第3の受光センサ15あ、15c(第2及び第4の受光センサ15b、15d)からの信号の例である。
【0041】第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の中間位置Cがビーム走査の回転中心軸Zにあるとき、S1とS3の位相差Δφはπである。
【0042】第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の間隔を保ったまま、中間位置Cが第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の垂直二等分線上を左に移動すると、位相差Δφは、π<Δφ<2πになる。同様に中間位置Cが第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の垂直二等分線上を右に移動すると、位相差Δφは、0<Δφ<πになる。
【0043】位相差Δφは、各々の第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の位置と回転中心軸Zとのなす角度と等しくなるため、第1及び第3の受光センサ15a,15c(第2及び第4の受光センサ15b,15d)の中間位置Cとレーザ回転中心軸Zとの位置関係は関数になる。Cの位置を(x,0)、センサとCとの距離をdとすると、位相差Δφとオフセット移動量xとの関係は次のように表せる。
【0044】
【数1】

【0045】したがって、位相差Δφより中間位置Cの位置(x,0)が確定できるため、中間位置Cのオフセット分が無くなる方向に飛翔体を動かすことにより、中心位置Cをレーザ走査回転中心軸Z上に誘導できる。
【0046】なお、第2及び第4の受光センサ15b,15dの受光信号は、上述した第1及び第3の受光センサ15a,15cの受光信号の信号処理と略同様にして第2の位相差検出部50bにより位相差が算出される。従って、ここでは、便宜上、その説明については、省略する。
【0047】このように、上記飛翔体誘導システムは、第1乃至第4の受光センサ15a〜15dで、指向方向に最大の照射強度を有し指向方向から離れるにつれて照射強度が小さくなる特性を有し、所定の軸に対して前記指向方向を傾けて円錐状に回転させながら照射されるレーザビーム13を受信して、この第1乃至第4の受光センサ15a〜15dの位相差及び振幅比を検出し、その位相差あるいは振幅比の一方に基づいてオフセット移動量を求めて、操舵信号を生成し、飛翔体を誘導するように構成した。
【0048】これによれば、位相差あるいは振幅比に基づいて算出したオフセット移動量を用いて飛翔体を操舵制御することにより、最小限の誤差成分を持つオフセット移動量の選択が可能となり、可及的に誘導性能の向上が図れて、安全性の向上を図ることが可能となるまた、位相差あるいは振幅比に基づいて算出したオフセット移動量を、最小限の誤差成分を持つ一方を選択的して、飛翔体を操舵制御するように構成することにより、その誘導性能の向上を容易に図ることが可能となり、さらに信頼性の向上が図れる。
【0049】特に、飛翔体側にあっては、誘導装置と座標系を共有するための航法計算機を搭載せずに、目標に誘導することができるため、小型化または軽量化を実現することができる。
【0050】また、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、図8〜図12に示すようにオフセット移動量検出部を構成してもよい。但し、ここでは、図8〜図12において、前記図2と同一部分については、同一符号を付して、その説明について省略する。
【0051】図8は、判定部60の入力端に第1及び第2の位相差検出部50a,50bの出力端を接続して、判定部60で第1及び第2の位相差検出部50a,50bで生成した位相差を比較して、その比較結果に第1及び第2の選択部53a,53bを切換え制御するように構成したものである。
【0052】この場合には、例えば位相差が約180度未満で、位相差に基づくオフセット移動量を選択し、位相差が約180度以上、振幅比に基づくオフセット移動量を選択する図9は、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bに対応して第1及び第2の判定部61a,61bを設けて、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bで求めた振幅比を、第1及び第2の判定部61a,61bで比較して、その比較結果に基づいて第1及び第2の選択部53a,53bを独立して切換え設定するように構成したものである。
【0053】この場合には、例えば振幅比が1未満で、位相差に基づくオフセット移動量を選択し、振幅比が1以上の場合、振幅比に基づくオフセット移動量を選択する。図10は、第1及び第2の位相差比検出部50a,50bに対応して第1及び第2の判定部62a,62bを設けて、第1及び第2の位相差比検出部50a,50で求めた位相差を、第1及び第2の判定部62a,62bで比較して、その比較結果に基づいて第1及び第2の選択部53a,53bを独立して切換え設定するように構成したものである。
【0054】この場合には、例えば位相差が約180度未満で、位相差に基づくオフセット移動量を選択し、位相差が約180度以上、振幅比に基づくオフセット移動量を選択する。
【0055】図11は、第1及び第2の位相差検出部50a,50b、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bに対応して判定部63を設けて、第1及び第2の位相差検出部50a,50bからの位相差、第1及び第2の振幅比検出部51a,51bからの振幅比を判定部63でそれぞれ比較して、その比較結果に基づいて第1及び第2の選択部53a,53bを切換え設定するように構成したものである。
【0056】この判定部63の切換え設定は、位相差、振幅比の一方あるいは双方に基づいて、独立に切換えてもよいし、あるいは同様に切換え設定するようにしてもよい。
【0057】図12は、第1及び第2の選択部53a,53bに対応して第1及び第2の判定部64a,64bを設けて、この第1の判定部64aで第2の位相差検出部50bと第1の振幅比検出部51aの出力を比較し、第2の判定部64bで第1の位相差検出部50aと第2の振幅比検出部51bの出力をそれそれ比較して、その比較結果に基づいて第1の選択部53aと第2の選択部53bを独立に切換え設定するように構成したものである。
【0058】この第1及び第2の判定部64a,64bの切換え設定は、位相差、振幅比の一方あるいは双方に基づいて、独立に切換えてもよいし、あるいは同様に切換え設定するようにしてもよい。よって、この発明は、上記実施の形態に限ることなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることは勿論である。
【0059】
【発明の効果】以上詳述したように、この発明によれば、簡便にして容易に、飛翔体誘導の高精度化の促進を図り得るようにした飛翔体誘導システムを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開平11−248399
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−45284