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【発明の名称】 空中被曳航体
【発明者】 【氏名】右原 正明

【要約】 【課題】長時間にわたって機能を発揮させるとともに、使用上の自由度を高める。

【解決手段】航空機10によって曳航され、送信装置11からの消費指令信号によって消費される被消費物9を搭載する胴体12およびこの胴体12内を移動可能なバランス調整用のウエイト8を備えた被曳航体1であって、胴体12内に送信装置11からの消費指令信号を含む信号を受信する受信装置3を配設するとともに、ウエイト8に移動力を付与する駆動装置5を配設し、かつこの駆動装置5をウエイト8の算出移動量に応じて駆動制御するコントローラ4を配設し、このコントローラ4は、被消費物9の消費による残量からウエイト8の移動量を算出するコントローラからなる構成としてある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 飛行体によって曳航され、送信装置からの消費指令信号によって消費される被消費物を搭載する胴体およびこの胴体内を移動可能なバランス調整用のウエイトを備えた被曳航体であって、前記胴体内に前記送信装置からの消費指令信号を含む信号を受信する受信装置を配設するとともに、前記ウエイトに移動力を付与する駆動装置を配設し、かつこの駆動装置を前記ウエイトの算出移動量に応じて駆動制御するコントローラを配設し、このコントローラは、前記被消費物の消費による残量から前記ウエイトの移動量を算出するコントローラからなることを特徴とする空中被曳航体。
【請求項2】 前記ウエイトが、前記駆動装置によって回転するスクリューシャフト上を移動するウエイトからなることを特徴とする請求項1記載の空中被曳航体。
【請求項3】 前記ウエイトを案内するウエイトガイドを有することを特徴とする請求項1または2記載の空中被曳航体。
【請求項4】 前記送信装置が地上に設置されていることを特徴とする請求項1,2または3記載の空中被曳航体。
【請求項5】 前記飛行体が航空機であることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一記載の空中被曳航体。
【請求項6】 前記被消費物が火薬フレアであることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一記載の空中被曳航体。
【請求項7】 前記被消費物が被散布物であることを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一記載の空中被曳航体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば火薬フレアを点火・燃焼することにより軍事訓練用標的等として使用される空中被曳航体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、この種の空中被曳航体は、例えば曳航体としての航空機によって曳航され、火薬フレアを点火・燃焼することにより使用される。このような空中被曳航体においては、曳航中に火薬フレアの燃焼による質量の減少によって重心位置が変動すると、飛行が不安定になり、航空機や曳航索に過大な荷重が加わる。
【0003】このため、空中被曳航体としては、従来より図3(a)および(b)に示すように、フレア燃焼前後で飛行安定となる規格に適合する質量をもつ火薬フレア50を搭載するものが採用されている。なお、同図において、符号51は胴体、52は重心位置、53は曳航索を示す。
【0004】このような空中被曳航体においては、胴体51の重心位置52が火薬フレア50の燃焼前に同図(a)に示すように飛行安定となる許容範囲の一方端に位置し、燃焼後には同図(b)に示すように同じく飛行安定となる許容範囲の他方端に位置する。
【0005】また、従来における空中被曳航体には、図4に示すように、重心位置付近の胴体下方であって燃焼前後でも殆ど重心が変化しないような位置に火薬フレア60を保持するものが採用されている。このような空中被曳航体においては、曳航時に火薬フレア60が空気抵抗を受ける。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者にあっては、フレア燃焼前後で飛行安定となる規格に適合する質量をもつ火薬フレアを搭載するものであるため、火薬フレアの搭載量が十分に確保されず、長時間にわたって機能を発揮させることができないという問題があった。
【0007】一方、後者にあっては、胴体下方に火薬フレアを保持する構造であるため、曳航時に空気抵抗の影響が少ないサイズをもつ火薬フレアを必要とし、使用上の自由度が低下するという問題があった。
【0008】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、長時間にわたって機能を発揮させることができるとともに、使用上の自由度を高めることができる空中被曳航体の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の請求項1記載の空中被曳航体は、飛行体によって曳航され、送信装置からの消費指令信号によって消費される被消費物を搭載する胴体およびこの胴体内を移動可能なバランス調整用のウエイトを備えた被曳航体であって、胴体内に送信装置からの消費指令信号を含む信号を受信する受信装置を配設するとともに、ウエイトに移動力を付与する駆動装置を配設し、かつこの駆動装置をウエイトの算出移動量に応じて駆動制御するコントローラを配設し、このコントローラは、被消費物の消費による残量からウエイトの移動量を算出するコントローラからなる構成としてある。したがって、送信装置からの消費指令信号を受信装置が受けると、被消費物が消費されるとともに、コントローラによる駆動装置の駆動制御によってウエイトが最適な位置に移動し、常時安定した飛行が行われる。
【0010】請求項2記載の発明は、請求項1記載の空中被曳航体において、ウエイトが、駆動装置によって回転するスクリューシャフト上を移動するウエイトからなる構成としてある。したがって、駆動装置によってスクリューシャフトが回転すると、この回転動作に伴いウエイトが移動する。
【0011】請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の空中被曳航体において、ウエイトを案内するウエイトガイドを有する構成としてある。したがって、ウエイト移動時にウエイトがウエイトガイドによって案内される。
【0012】請求項4記載の発明は、請求項1,2または3記載の空中被曳航体において、送信装置が地上に設置されている構成としてある。したがって、地上における送信装置から消費指令信号を含む信号が胴体内の受信装置に送信される。
【0013】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のうちいずれか一記載の空中被曳航体において、飛行体が航空機である構成としてある。したがって、被曳航体用の胴体が航空機によって曳航される。
【0014】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一記載の空中被曳航体において、被消費物が火薬フレアである構成としてある。したがって、送信装置からの消費指令信号(火薬点火指令信号)を受信装置が受けると、火薬フレアが燃焼するとともに、コントローラによる駆動装置の駆動制御によってウエイトが最適な位置に移動し、常時安定した飛行が行われる。
【0015】請求項7記載の発明は、請求項1〜5のうちいずれか一記載の空中被曳航体において、被消費物が散布品である構成としてある。したがって、送信装置からの消費指令信号(散布指令信号)を受信装置が受けると、散布品が胴体から散布されるとともに、コントローラによる駆動装置の駆動制御によってウエイトが最適な位置に移動し、常時安定した飛行が行われる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。図1は本発明の第一実施形態に係る空中被曳航体を示す断面図、図2は同じく本発明の第一実施形態に係る空中被曳航体の使用例を示す斜視図である。同図において、符号1で示す被曳航体は、アンテナ2と受信装置3とコントローラ4と駆動装置5とスクリューシャフト6とウエイトガイド7とウエイト8と被消費物9とを備え、飛行体としての航空機10の飛行による曳航索11の牽引によって曳航される。
【0017】アンテナ2は、地上における送信装置11からの消費指令信号(点火指令信号)を含む信号を受信するアンテナからなり、被曳航体用の胴体12外に取り付けられている。受信装置3は、胴体12内の前方部に配設され、かつアンテナ2に接続されている。これにより、送信装置11からの信号がアンテナ2を介して受信装置3に送信される。
【0018】コントローラ4は、被消費物9の消費(点火・燃焼)による残量からウエイト8の移動量を算出するコントローラからなり、受信装置3に接続され、かつ胴体12内に配設されている。これにより、受信装置3からの消費指令信号をコントローラ4が受けると、この消費指令信号が点火装置(図示せず)および駆動装置5に送信され、被消費物9が点火・燃焼されるとともに、駆動装置5がウエイト8の算出移動量に応じて駆動制御される。
【0019】なお、ウエイト8の算出移動量は、被消費物9の点火・燃焼による残量が時間経過に伴い一定の関係をもって変化するため、この関係に基づいて重心位置が変化しないように求められる。
【0020】駆動装置5は、ウエイト8に移動力を付与するモータからなり、胴体12内に配設され、かつコントローラ4に接続されている。これにより、コントローラ4が受信装置3から駆動信号を受けると、駆動装置5が駆動する。
【0021】スクリューシャフト6は、ウエイト8の移動方向に延在するスクリューシャフトからなり、胴体12内に配設され、かつ駆動装置5に連結されている。これにより、駆動装置5が駆動すると、この駆動動作に伴いクリューシャフト6が回転する。
【0022】ウエイトガイド7は、駆動装置5の駆動によるスクリューシャフト6の回転によってウエイト8を案内するウエイトガイドからなり、胴体12内に配設されている。これにより、ウエイト移動時にウエイト8がスクリューシャフト6に沿って案内される。
【0023】ウエイト8は、スクリューシャフト6上に移動自在に配設されている。これにより、胴体12(被曳航体1)のバランス調整が行われる。被消費物9は、コントローラ4からの信号による点火装置(図示せず)への点火電流によって点火・燃焼する火薬フレアからなり、胴体12の後方部に取り付けられている。
【0024】このように構成された空中被曳航体におけるウエイトの移動は、次に示すようにして行われる。先ず、送信装置11からの点火指令信号をアンテナ2に送信すると、この信号がアンテナ2を介して受信装置3に送信される。
【0025】次に、受信装置3からの送信信号をコントローラ4が受信すると、コントローラ4から駆動装置5に駆動信号が送信されるとともに、点火装置(図示せず)に点火指令信号が送信される。このとき、点火電流によって被消費物9としての火薬フレアが点火・燃焼するとともに、駆動装置5の駆動によってスクリューシャフト6が回転する。
【0026】そして、コントローラ4が被消費物9の燃焼に伴う質量減少によってウエイト8の移動量を算出し、この算出移動量に基づいて駆動装置5を駆動制御し、ウエイト8を胴体12(被曳航体1)の重心位置変動が発生しないような位置(最適位置)に移動させる。このとき、ウエイト8がウエイトガイド7によって案内される。このようにして、空中被曳航体におけるウエイトの移動が行われる。
【0027】したがって、本実施形態においては、送信装置11からの消費指令信号を受信装置3が受けると、被消費物9が消費されるとともに、コントローラ4による駆動装置5の駆動制御によってウエイト8が最適な位置、すなわち胴体12(被曳航体1)の重心位置変動が発生しないような位置に移動し、常時安定した飛行が行われるから、被消費物9の搭載量を十分に確保することができる。
【0028】また、本実施形態においては、胴体12後方部に被消費物9を搭載することができるから、従来のように被消費物9による空気抵抗の影響を考慮する必要がない。
【0029】なお、本実施形態においては、火薬フレアを点火・燃焼する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば農薬,種苗,消化剤,水等の被散布物を散布する場合にも実施形態と同様に適用可能である。
【0030】この場合、空中被曳航体におけるウエイトの移動は、本実施形態と同様にして行われる。すなわち、送信装置11からの散布指令信号をアンテナ2に送信すると、この信号がアンテナ2を介して受信装置3に送信される。
【0031】次に、受信装置3からの送信信号をコントローラ4が受信すると、コントローラ4から駆動装置5に駆動信号が送信されるとともに、散布装置(図示せず)に散布指令信号が送信される。このとき、被消費物9としての被散布物が散布されるとともに、駆動装置5の駆動によってスクリューシャフト6が回転する。
【0032】そして、コントローラ4が被消費物9の散布に伴う質量減少によってウエイト8の移動量を算出し、この算出移動量に基づいて駆動装置5を駆動制御し、ウエイト8を胴体12(被曳航体1)の重心位置変動が発生しないような位置(最適位置)に移動させる。このとき、ウエイト8がウエイトガイド7によって案内される。このようにして、空中被曳航体におけるウエイトの移動が行われる。
【0033】また、本実施形態においては、送信装置11を地上に設置する場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、航空機10内に設置しても何等差し支えない。
【0034】さらに、本実施形態においては、飛行体が航空機である場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、ヘリコプター等他の飛行体でもよいことは勿論である。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、飛行体によって曳航され、送信装置からの消費指令信号によって消費される被消費物を搭載する胴体およびこの胴体内を移動可能なバランス調整用のウエイトを備えた被曳航体であって、胴体内に送信装置からの消費指令信号を含む信号を受信する受信装置を配設するとともに、ウエイトに移動力を付与する駆動装置を配設し、かつこの駆動装置をウエイトの算出移動量に応じて駆動制御するコントローラを配設し、このコントローラは、被消費物の消費による残量からウエイトの移動量を算出するコントローラからなるので、送信装置からの消費指令信号を受信装置が受けると、被消費物が消費されるとともに、コントローラによる駆動装置の駆動制御によってウエイトが最適な位置に移動し、常時安定した飛行が行われる。
【0036】したがって、被消費物の搭載量を十分に確保することができるから、長時間にわたって機能を発揮させることができる。
【0037】また、ウエイトの移動によって常時安定した飛行が行われることは、胴体の後方部に被消費物を搭載することができるから、従来のように被消費物による空気抵抗の影響を考慮することを必要とせず、使用上の自由度を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 喜平
【公開番号】 特開平11−118397
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−285914