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【発明の名称】 熱交換器とその製造方法およびその熱交換器を用いた冷凍機器
【発明者】 【氏名】朴木 秀行

【氏名】松岡 康博

【氏名】宇野 正人

【要約】 【課題】伝熱管とフィンとの間の熱伝達効率を向上させ、かつ、製造が容易な熱交換器を提供する。

【解決手段】複数の伝熱管2を、前記伝熱管2の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィン3に圧入して形成される熱交換器1において、前記フィン3に前記伝熱管2を圧入した際に前記フィン3に形成されるバーリング部3bをかしめ治具8によりかしめ、前記フィン3を前記伝熱管2に接触させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の伝熱管を、前記伝熱管の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィンに圧入して形成される熱交換器において、前記フィンに前記伝熱管を圧入した際に前記フィンに形成されるバーリング部をかしめ、前記フィンを前記伝熱管に接触させたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】前記フィンは、前記伝熱管を圧入する穴の周囲に前記穴と同心円状のリブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】前記伝熱管の前記フィン取付け部の断面形状が、かしめにより楕円形に成形されていることを特徴とする請求項1もしくは請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】複数の伝熱管を、前記伝熱管の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィンに圧入してなる熱交換器の製造方法において、前記フィンに前記伝熱管を圧入し、前記伝熱管の圧入によって形成された前記フィンのバーリング部をかしめることを特徴とする熱交換器の製造方法。
【請求項5】複数の伝熱管を、前記伝熱管の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィンに圧入した後、前記フィンに形成されたバーリング部をかしめることにより、前記伝熱管の前記フィン取付け部の断面形状が楕円状に成形された熱交換器を、前記伝熱管の長径が熱交換器を通る空気の流れ方向に対し平行もしくは直交するように配置したことを特徴とする冷凍機器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝熱管の直線部分に複数のフィンを設けた熱交換器およびその製造方法とそれを用いた、たとえば、冷蔵庫、空気調和機などの冷凍機器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】熱交換器およびその製造方法として、たとえば、特開平5−87480号公報、特公平6−63710号公報、特開平7−19778号公報などに開示された技術が提案されている。
【0003】これらの技術は、圧入すべき伝熱管の外径より小さな開口部を持つバーリング加工を施したフィンを所定の間隔で配置してパイプを圧入して熱交換器を製造するものである。
【0004】これらの技術においては、伝熱管を圧入したとき、バーリング加工部を押し広げることになるため、伝熱管にフィンが支持され、伝熱管の拡径を行なうことなく効率よく熱交換器を製造することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の各従来技術では、フィンに予めバーリング加工を施すため、その製造工程が煩雑になる。また、バーリング加工により加工硬化した穴に伝熱管を圧入するため、大きな挿入力が必要になる。
【0006】また、伝熱管の圧入によりバーリング加工部の根本が緩やかな曲面となり、伝熱管とフィンとの間に数10μmの隙間が発生し、伝熱管とフィンとの間の熱伝達効率を低下させている。
【0007】また、予めフィンにバーリング加工部が形成されているため、フィン単体を製造すると、製造されたフィンを積み重ねて保管することができず、専用の治具や箱にフィンを収納、保管することが必要になり、フィンの管理が煩雑になる。また、その保管のために、広いスペースが必要になる。
【0008】上記の事情に鑑み、本発明の目的は、伝熱管とフィンとの間の熱伝達効率を向上させ、かつ、製造が容易な熱交換器を提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記熱交換器の製造方法を提供することにある。さらに、本発明の他の目的は、前記熱交換器を用いた空気調和機、冷蔵庫などの冷凍機器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、本出願の請求項1に記載の発明においては、複数の伝熱管を、前記伝熱管の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィンに圧入した熱交換器において、前記フィンに前記伝熱管を圧入した際に前記フィンに形成されるバーリング部をかしめ、前記フィンを前記伝熱管に接触させた。
【0010】また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記フィンは、前記伝熱管を圧入する穴の周囲に前記穴と同心円状のリブを形成した。
【0011】また、請求項3に記載の発明は、請求項1もしくは請求項2に記載の発明において、前記伝熱管の前記フィン取付け部の断面形状を、かしめにより楕円形に成形した。
【0012】また、請求項4に記載の発明は、複数の伝熱管を、前記伝熱管の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィンに圧入してなる熱交換器の製造方法において、前記フィンに前記伝熱管を圧入し、前記伝熱管の圧入によって形成された前記フィンのバーリング部をかしめるようにした。
【0013】さらに、請求項5に記載の発明は、冷凍機器において、複数の伝熱管を、前記伝熱管の外径より小さな穴が形成され所定の間隔で配列されたフィンに圧入した後、前記フィンに形成されたバーリング部をかしめることにより、前記伝熱管の前記フィン取付け部の断面形状が楕円状に成形された熱交換器を、前記伝熱管の長径が熱交換器を通る空気の流れ方向に対し平行もしくは直交するように配置した。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0015】図1ないし図4は、本発明による熱交換器の一形態を示すもので、図1は、本発明による熱交換器の斜視図、図2は、図1における熱交換器の側面断面図、図3は、図1における熱交換器の伝熱管とフィンの結合状態を示す拡大断面図、図4は、熱交換器の熱交換特性を示す特性図である。
【0016】同図において、熱交換器1は、ヘアピン状に形成された伝熱管2と、フィン3およびベントパイプ4で構成されている。前記フィン3には、伝熱管2を圧入する穴と同心円状にリブ3aが形成されている。そして、伝熱管2の圧入によって形成されたバーリング部3bは、その周囲からかしめられ、伝熱管2に接触している。なお、100は熱交換器1に対する空気の流れ方向を示す。
【0017】このような構成とすることにより、伝熱管2とフィン3のバーリング部3bの隙間は、板厚が0.2mmのアルミニウム材のフィン3を使用した場合、1μm以下となり、伝熱管2とフィン3の接触面積が増加する。
【0018】フィンに伝熱管を圧入した従来の熱交換器と、圧入後かしめを行った本願発明の熱交換器1に当てる空気の流速を変化させ、熱交換器の相当熱伝達率αと通風抵抗ΔPを測定した結果を図4に示す。
【0019】同図からも明らかなように、本願発明の熱交換器1は、相当熱伝達効率が約20%向上し、通風抵抗が約15%低下した。これは、伝熱管との接触が不十分であるとともに、空気の通路に突出するように広がったバーリング部を、かしめにより伝熱管に接触するように成形したためである。
【0020】なお、バーリング部3bのかしめにおいて、伝熱管2を変形させないようにかしめてもよいし、伝熱管2をその内部に形成された微細な溝が潰ない程度に(直径の数%程度)変形させて、断面を楕円形に成形してもよい。
【0021】また、リブ3aは、バーリング部3bのかしめ時にフィン3が座屈するのを防止するためのものであるから、使用するフィンは、図3に示すように、リブ3aを形成したものだけでなく、リブ3aの無い平板状のものであってもよい。また、図2に示すように、スリット3cを形成したものであってもよい。
【0022】図5ないし図11は、本発明による熱交換器の製造方法を示すもので、図5は、伝熱管の圧入工程を示す側面断面図、図6は、伝熱管の圧入工程を示す正面図、図7は、圧入された伝熱管とフィンとの接触状態を示す拡大図、図8は、かしめ工程を示す側面断面図、図9は、かしめ工程を示す正面図、図10は、伝熱管を楕円に成形する場合のかしめ工程を示す正面図、図11は、かしめ後の伝熱管とフィンとの接触状態を示す拡大図である。
【0023】図5、図6に示すように、伝熱管圧入用の穴3dと、この穴3dと同心円状にリブ3aが形成され、所定の間隔で配列されたフィン3に、伝熱管2をその軸心が穴3dの軸心と一致するように位置決めして圧入する。
【0024】伝熱管2が圧入されると、フィン3の穴3dの周囲が押し出され、バーリング部3bが形成される。この時、バーリング部3bは、たとえば、図7に示すように、その根本部が緩やかな曲面となり、その先端がわずかに伝熱管2と接している形状となる。
【0025】伝熱管2の圧入終了後、図8、図9に示すように、隣接するフィン3の間に挿入されたかしめ治具8によりバーリング部3bをかしめる。この時、図9に示すように、加圧部が円形のバーリング治具8を用いると、伝熱管2は断面が円形の状態でバーリング部3bのかしめを行うことができる。また、図10に示すように、加圧部が楕円形のかしめ治具8を用いると、伝熱管2の断面を楕円形に成形することができる。
【0026】バーリングブ3bのかしめを行うと、図11に示すように、フィン3のバーリング部3bは、その根本から伝熱管2と接触する。
【0027】なお、バーリング部3bのかしめを行うと、バーリング部3bの根本においてフィン3が引っ張られるが、リブ3aが形成されたフィン3では、リブ3aが変形してフィン3の座屈を防止する。したがって、かしめにより座屈が発生しない強度をもつフィンの場合にはリブを形成しなくてもよい。
【0028】図12は、本発明による熱交換器を用いた空気調和機を示すもので、図12は、空気調和機の構成図である。
【0029】同図において、10は空気調和機の室内機。11は貫流ファンで、室内機10に回転可能に配置され、図示しない駆動源により回転駆動される。12は熱交換器で、伝熱管が楕円形に成形され、還流ファン11の周囲に配置されている。
【0030】なお、前記熱交換器12は、空気の流れ100に対して伝熱管の長径が平行になるように配置されている。
【0031】したがって、熱交換器12を通過する空気の通風抵抗が小さくなり、還流ファン11を運転するための動力を小さくすることができるため、還流ファン11を駆動するモータなどの機器を小型化し、省電力化を図るとともに、室内機10の小型化を図ることができる。
【0032】図13ないし図15は、本発明による熱交換器を用いた冷蔵庫を示すもので、図13は、冷蔵庫の構成図、図14は、冷蔵庫に使用する熱交換器の斜視図、図15は、図14における熱交換器の伝熱管とフィンの結合状態を示す拡大図である。
【0033】図13において、19は冷蔵庫。20は冷蔵庫10の筐体で、冷蔵室21と冷凍室22、冷凍室21に向けて冷気を送り出す吹出口23、冷凍室22から冷蔵室21へ冷気を循環させる冷気連絡穴24、冷凍室22内の冷気を吸い込む戻り穴25、冷蔵室21内の冷気を吸い込む戻り穴26、各戻り穴25、26から吸い込まれた冷気を導く通路27が形成されている。
【0034】28は扉で、冷蔵室21の開口部に揺動可能に支持されている。29は扉で、冷凍室22の開口部に揺動可能に支持されている。30は圧縮機で、前記筐体20の下部に配置されている。31はファンで、前記吹出口23と対向するように前記筐体20の上部に配置されている32は熱交換器で、前記通路27内に配置されている。この熱交換器32は、図14に示すように、伝熱管2にフィン3が冷蔵庫内の空気の流れ100の上流側から下流側に向けて間隔が狭くなるように配置され、かつ、図15に示すように、伝熱管2が、その長径が空気の流れ100に対して直交するように成形されている。
【0035】このような熱交換器32は、予め所定の間隔で配置された複数群のフィン3に伝熱管2を圧入し、フィン3に形成されたバーリング部3bをかしめた後、伝熱管2を蛇行曲げすることにより形成することができる。
【0036】このような熱交換器32では、伝熱管2が楕円化されているため、伝熱管2の下流側に乱流が発生しやすくなるため、断面が円形の場合に比べて熱伝達効率が約20%向上する。一方、乱流の発生により熱交換器32における通風抵抗が約10%増加するが、前記戻り穴25、26および通路27とで構成される冷蔵庫19全体の通風抵抗では数%の増加になる。
【0037】したがって、冷却効率を向上させ、冷蔵庫19の省電力化を図ることができる。また、ファン31を小型化して冷蔵庫19内の収納スペースを拡張することができる。
【0038】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明の熱交換器によれば、伝熱管とフィンとの接触面積を増加させ、熱伝達効率を向上させ高性能の熱交換器を提供することができる。
【0039】また、本発明の熱交換器の製造方法によれば、簡単なかしめ治具を用いるだけで熱交換効率の高い熱交換器を製造することができる。
【0040】さらに、本発明による熱交換器を用いた冷凍機器においては、熱交換器の熱交換効率が向上するので省電力化が可能になる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成10年(1998)2月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】秋本 正実
【公開番号】 特開平11−248384
【公開日】 平成11年(1999)9月14日
【出願番号】 特願平10−45882