| 【発明の名称】 |
熱交換器 |
| 【発明者】 |
【氏名】加賀 邦彦
【氏名】中山 雅弘
【氏名】吉田 孝行
【氏名】山田 賢一
【氏名】竹下 倫正
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| 【要約】 |
【課題】熱伝達性能が高く圧損損失の小さい熱交換器を提供する。
【解決手段】互いに平行に積層され、その間を気体が流動する複数の板状フィン1と、この板状フィン1面上に設けられ、気体の流れに対向して開口部を有する複数の切り起こし3と、前記各板状フィン1に直角に挿入され、気体の通過する方向に対して直角方向に複数個設置された、内部を流体が通過する伝熱管2とを備えた熱交換器において、前記切り起こし3の、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、前記設置個数Nの増加に伴う圧力損失ΔPの増加度合いΔP* が、前記設置個数Nの増加に伴う伝熱量Qの上昇度合いQ* を上回ることがない範囲に設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに平行に積層され、その間を気体が流動する複数の板状フィンと、この板状フィン面上に設けられ、気体の流れに対向して開口部を有する複数の切り起こしと、前記各板状フィンに直角に挿入され、気体の通過する方向に対して直角方向に複数個設置された、内部を流体が通過する伝熱管とを備えた熱交換器において、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、前記設置個数Nの増加に伴う圧力損失ΔPの増加度合いΔP* が、前記設置個数Nの増加に伴う伝熱量Qの上昇度合いQ* を上回ることがない範囲に設定したことを特徴とする熱交換器。 【請求項2】 切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aを、前記切り起こし上に発達する温度境界層の厚みdt の最大値が、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfの1/2以下となるように設定したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。 【請求項3】 作動気体が常温常圧空気の場合に、切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aを、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfおよび前記板状フィン間を通過する自由通過体積基準の風速Uに対しa≦510×U×Hf2の関係が成り立つように設定したことを特徴とする請求項2記載の熱交換器。 【請求項4】 作動気体が常温常圧空気の場合に、切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aについて、金型プレス加工の限界値ac=0.001[m]と、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfおよび前記板状フィン間を通過する自由通過体積基準の風速Uにより以下のように求められる長さLL=510×U×Hf2との比較により、ac≦Lの場合は、a≦LL<acの場合は、a=acの関係が成り立つように前記幅aを設定したことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。 【請求項5】 作動気体が常温常圧空気の場合に、切り起こしの、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、次式を満たすNとしたことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。 ΔP* ≦Q*ΔP* =N×(424×U×Hf2/Lp) Uは自由通過体積基準の風速、Hfは板状フィンの積層方向のフィン間幅、Lpは伝熱管1列に対する、気体の流れに沿ったフィンの長さ。 Q* ={1−exp(−NTU)}/{1−exp(−NTU0 )}−1NTUは伝熱ユニット数であり、NTU=0.00166×(Lp×heff)/(U×Hf) heffは有効熱伝達率であり、heff=0.056/Hf×{1+N×(1274×U×Hf2 /Lp)} NTU0 は切り起こし数N=0のときのNTUである。 【請求項6】 1つ以上の切り起こしの一部分または全体が、伝熱管の気体流れの上流側に設置されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。 【請求項7】 1つ以上の切り起こしの脚部の一部分または全部が、前記切り起こしにもっとも近接する伝熱管の外側面の上流側で、前記伝熱管の外側面に外接し、かつ気体の流れに平行な2本の線で囲まれた領域内の板状フィン面上に位置することを特徴とする請求項6記載の熱交換器。 【請求項8】 1つ以上の切り起こしの一部分または全体が、伝熱管の気体流れの上流側に設置されており、かつ前記切り起こしの気流流れに平行な中心線と前記伝熱管の気体流れに平行な中心線とが略一致することを特徴とする請求項6記載の熱交換器。 【請求項9】 切り起こしの脚部と板状フィン面との交線が近傍の局所的な気体流れの方向と平行であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。 【請求項10】 気体の流れ方向と垂直な方向に隣接する2本の伝熱管の各々の管中心を通り気体流れに平行な直線により囲まれた板状フィン上の領域内に、切り起こしが気流方向に垂直な方向に沿って1個のみ設けられていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、気体の冷却、加熱に用いられる熱交換器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の熱交換器について図9を用いて説明する。図9(a)は特開平2−33595号公報に記載の空調機に用いられる熱交換器を示す平面図、図9(b)は図9(a)のB−B線での断面図である。空調用の熱交換器はプレートフィンチューブ型と一般に呼ばれるもので、一定間隔で配置されその間を気体(空気)が流れる(図中に風向きを20で示した)板状フィン1と、この各板状フィンへ直角に挿入され、内部に冷媒が流れる伝熱管2からなり、伝熱管の段方向(気体の通過する方向に対し直角方向)に隣接するもの同士の間の板状フィン面には、切り起こし3群が設けられている。切り起こし群は各切り起こし3の側端部が風向に対向するように位置しており、前記側端部において空気流の速度境界層および温度境界層を更新する効果が期待でき、伝熱促進が行われ熱交換能力が増大するとされている。また、切り起こし3の両端に形成され、板状フィン面が切り起こされた脚部3cが気体の流れ方向20に対して角度をなして設置されている。このようにすることにより、伝熱管2に沿った空気流れを形成し、切り起こしのない場合の、伝熱管2下流で発生する流れ剥離による熱伝達低下を防ぐ効果があると考えられている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上に述べた従来の方式では、切り起こしを施した部分での空気流の圧力損失が増大するため、空気は切り起こしが存在しない伝熱管近傍の圧力損失が比較的小さい領域を選択的に流れるため、切り起こし3群間を流れる空気の流速が減少し、期待した伝熱促進効果が十分に得られなかった。これは切り起こしの幅や設置個数に対し、フィン間を流れる空気流れに対する切り起こし上での境界層の形成を最適に制御するための検討が十分なされていないためであり、熱交換器の熱交換性能が十分に引き出されないという問題があった。さらに、空気流れに対して角度をもって設けられた切り起こし脚部では、空気が脚部に沿って流れないため脚部下流で剥離が発生するため、脚部下流の伝熱が阻害されるとともに形状損失による圧力損失をさらに増大させるという問題点があった。 【0004】本発明は、上に述べたような問題点を解決するためになされたものであり、切り起こしでの流速の低下を防いで境界層の更新効果を最大限に引き出すとともに、脚部で発生する剥離による形状損失を抑え、低圧損で伝熱性能の良好な熱交換器を提供することを目的としている。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成に係る熱交換器は、互いに平行に積層され、その間を気体が流動する複数の板状フィンと、この板状フィン面上に設けられ、気体の流れに対向して開口部を有する複数の切り起こしと、前記各板状フィンに直角に挿入され、気体の通過する方向に対して直角方向に複数個設置された、内部を流体が通過する伝熱管とを備えた熱交換器において、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、前記設置個数Nの増加に伴う圧力損失ΔPの増加度合いΔP* が、前記設置個数Nの増加に伴う伝熱量Qの上昇度合いQ* を上回ることがない範囲に設定したものである。 【0006】また、本発明の第2の構成に係る熱交換器は、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aを、前記切り起こし上に発達する温度境界層の厚みdt の最大値が、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfの1/2以下となるように設定したものである。 【0007】また、本発明の第3の構成に係る熱交換器は、作動気体が常温常圧空気の場合に、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aを、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfおよび前記板状フィン間を通過する自由通過体積基準の風速Uに対しa≦510×U×Hf2の関係が成り立つように設定したものである。 【0008】また、本発明の第4の構成に係る熱交換器は、作動気体が常温常圧空気の場合に、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aについて、金型プレス加工の限界値ac=0.001[m]と、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfおよび前記板状フィン間を通過する自由通過体積基準の風速Uにより以下のように求められる長さLL=510×U×Hf2との比較により、ac≦Lの場合は、a≦LL<acの場合は、a=acの関係が成り立つように前記幅aを設定したものである。 【0009】また、本発明の第5の構成に係る熱交換器は、作動気体が常温常圧空気の場合に、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、次式を満たすNとしたものである。 ΔP* ≦Q*ΔP* =N×(424×U×Hf2/Lp) Uは自由通過体積基準の風速、Hfは板状フィンの積層方向のフィン間幅、Lpは伝熱管1列に対する、気体の流れに沿ったフィンの長さ。 Q* ={1−exp(−NTU)}/{1−exp(−NTU0 )}−1NTUは伝熱ユニット数であり、NTU=0.00166×(Lp×heff)/(U×Hf) heffは有効熱伝達率であり、heff=0.056/Hf×{1+N×(1274×U×Hf2 /Lp)} NTU0 は切り起こし数N=0のときのNTUである。 【0010】また、本発明の第6の構成に係る熱交換器は、1つ以上の切り起こしの一部分または全体が、伝熱管の気体流れの上流側に設置されているものである。 【0011】また、本発明の第7の構成に係る熱交換器は、1つ以上の切り起こしの脚部の一部分または全部が、前記切り起こしにもっとも近接する伝熱管の外側面の上流側で、前記伝熱管の外側面に外接し、かつ気体の流れに平行な2本の線で囲まれた領域内の板状フィン面上に位置するものである。 【0012】また、本発明の第8の構成に係る熱交換器は、1つ以上の切り起こしの一部分または全体が、伝熱管の気体流れの上流側に設置されており、かつ前記切り起こしの気流流れに平行な中心線と伝熱管の気体流れに平行な中心線とが略一致するものである。 【0013】また、本発明の第9の構成に係る熱交換器は、切り起こしの脚部と板状フィン面との交線が近傍の局所的な気体流れの方向と平行であるものである。 【0014】また、本発明の第10の構成に係る熱交換器は、気体の流れ方向と垂直な方向に隣接する2本の伝熱管の各々の管中心を通り気体流れに平行な直線により囲まれた板状フィン上の領域内に、切り起こしが気流方向に垂直な方向に沿って1個のみ設けられているものである。 【0015】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1(a)および(b)は各々、本発明の実施の形態1による熱交換器のフィンを示す拡大構成図および平面図である。 板状フィン1と前記板状フィン1に対して垂直に挿入された伝熱管2より構成されており、段方向に隣接する伝熱管の間の板状フィン面に設けられた切り起こし3を有している。この実施の形態においてフィン1の積層方向のピッチfpはfp=0.0013mであり、フィン厚みtf=0.0001m、また空気の流れに沿った伝熱管1列のフィンの長さLpはLp=0.00127m、熱交換器の前面風速UfはUf=1.0m/s、熱交換器の段方向に隣接する伝熱管の中心の距離DpはDp=0.0204m、伝熱管の外径D[m]はD=0.00755mである。フィン間の自由通過体積基準の風速UはU=1.31m/sである。ただし、自由通過体積基準の風速Uとは以下の式で定義される。 U=Uf×Lp×Dp×fp/{(Lp×Dp−π/4×D2 )×(fp−tf)} 切り起こし3の幅aは、以下の値に設定されている。 a=1mmまた、流れ方向に沿った伝熱管1列あたりの切り起こし3の個数NはN=3に設定されている。また、3つの切り起こしは、略等間隔に設置されている。 【0016】つぎに本実施の形態の動作について述べる。熱交換器のフィン1間を流れる空気は、フィンとの間で熱交換することにより加熱あるいは冷却される。フィンの表面では、図2に示すように温度境界層11が発達し、伝熱はこの境界層11を介して行われる。一般に境界層11が薄いほど空気とフィンとの単位温度差あたりの伝熱量は大きく、図2(b)に示すように、切り起こし3の風上側先端では温度境界層11が更新され、切り起こし3の空気流れ方向上流端での温度境界層厚みが非常に薄くなる、言い換えれば温度勾配が非常に大きくなるため図2(a)に示すようにフィン先端での単位面積あたりの伝熱量すなわち熱流束[W/m2 ]が増加する。フィンは積み方向にピッチfpで積層されており、切り起こし3の空気流れ方向上流端から発達する境界層11は下流の位置で積み方向に隣り合う切り起こしから発達した境界層11と干渉する。干渉が発生した位置より下流では、境界層の厚みは一定であり、流れ方向の単位長さあたりの伝熱量は一定値となる。一方、温度境界層の厚みをdt とすると、切り起こしの空気流れ方向上流端から流れ方向の距離xにおける温度境界層の厚みdt は、以下の式で表される。 dt =5.0×(ν×x/U)0.5/Pr0.3ここで、νは動粘性係数であり常温常圧の空気の場合ν=0.0000161[m2 /s]である。またUは自由通過体積基準の風速である。またPrはプラントル数で常温常圧の空気の場合、Pr=0.72である。いまフィン間隔HfをHf=fp−tfと定義し、切り起こしの、フィンの積層方向の位置がHf/2の時、切り起こし表面と空気との間の伝熱が促進されるのは、切り起こしの下流、すなわちx=aでの上記温度境界層の厚みdt がフィン間幅Hfの1/2よりも小さいことが必要である。したがって、スリット幅aは、a≦U/ν・Pr0.6×(Hf/10)2=510×U×fp2の条件を満たすように設定する。空調用熱交換器の標準的な使用範囲では、自由通過体積基準の風速はU=0.5〜2m/s程度であるので、a≦255×Hf2〜1020×Hf2である。ただし、計算に際して、a、Hfの単位はともに[m]であることに注意を要する。たとえば、fp=0.0013m、tf=0.0001mとすればHf=0.0012mであり、a≦0.00037〜0.00147mの範囲となる。なお、切り起こしの、フィンの積層方向の位置がHf/2以外の場合においても、上記の考え方でスリット幅aを設定すれば、概ね同様の効果を奏することは言うまでもない。一方で、切り起こしは、金型を用いたプレス加工により形成するため、切り起こしの可能な限界寸法が存在し、通常、上記の切り起こし幅aについて0.001m前後である。したがって、上に示した不等式を満たす範囲が、上記の限界寸法を下回る場合は製造が事実上不可能になる。したがってその場合は切り起こし幅a=0.001mとする。さて、このとき、切り起こし面の単位面積当たり、単位温度差あたりの伝熱量を表す熱伝達率hs[W/m2 K]は以下のように与えられる。すなわち、hs=k/a×0.664×Re0.5×Pr0.3ただしkは熱伝導率、Prはプラントル数であり、それぞれ常温常圧の場合に、k=0.0261[W/mK]、Pr=0.72[−]である。また、Reaはレイノルズ数で、以下のように定義される。 Rea=U×a/νしたがってhs=3.914×{U/a }0.5a≦ 510×U×Hf2を代入すれば、hs≧0.173/Hf一方、切り起こしがない場合の平面フィンの熱伝達率hbはおよそ以下のように計算できる。 hb=k/(Hf×2)×4.3したがって、hb=0.056/Hfいま空気の流れ方向に沿った長さLpのフィン平面上の切り起こしの数をNとすると、有効熱伝達率heff は上述の2つの熱伝達率の面積加重平均となる。すなわち、heff=hb+(N×a/Lp)×(hs−hb) したがって切り起こしによる熱伝達率の増加割合h* は、h* =(N×a/Lp)×(hs/hb−1) ≧ N×(1274×U×Hf2 /Lp) となる。以上から切り起こし個数Nに比例する形で熱伝達率は増加する。ただし、熱伝達率と伝熱量そのものは比例関係にはなく、空気が下流に流される過程で空気温度がフィン面の温度に接近して伝熱量が一定値に漸近する。具体的には、伝熱量Qは以下の式で与えられる。 Q=ρ×Cp×U×Hf×{1−exp(−NTU)} ここでρは密度であり、常温常圧の空気の場合、およそ1.2[kg/m3 ]、Cpは比熱であり、常温常圧の空気の場合、1004[J/kgK]である。したがって、Q=1205×U×fp×{1−exp(−NTU)} である。なお、NTUは伝熱ユニット数(Number of Transfer Unit)である。また、NTU=(NL×Lp×heff)/(ρ×Cp×U×Hf) =0.00166×(Lp×heff)/(U×Hf) である。ここで、NLは流れ方向に設置する伝熱管の列数である。heffは上で計算した熱伝達率であり、heff=0.056/Hf×{1+N×(1274×U×Hf2 /Lp)} 切り起こしの設置によるQの上昇度合いQ* は以下のようにかける。 Q* ={1−exp(−NTU)}/{1−exp(−NTU0 )}−1ただし、 NTU0 は切り起こし数N=0のときのNTUである。 【0017】一方、切り起こし個数Nの最適値を与えるため圧力損失とNの関係について述べる。流れ方向に沿った切り起こしの個数Nが多いと上に述べた境界層の更新の効果で、伝熱量は増加するものの、熱交換器の圧力損失が増加し送風機の動力増加につながるため個数Nを限定する必要がある。いま、切り起こしのないフィン間の単位長さあたりの圧力損失ΔPbは以下のように与えられる。 ΔPb=32/Refp×(1/Hf)×1/2×(γ/g)×U2ここでRefp は以下のように定義される。 Refp=U×(2×Hf)/νまた、γは常温常圧空気の比重量[N/m3 ]、gは重力加速度[m/s2 ]である。一方、切り起こし部分の単位長さあたりの圧力損失ΔPsは一般にΔPs= 2×1.328/Rea0.5×(1/Hf)×1/2×(γ/g)×U2したがって、圧力損失の和ΔPはΔP={(Lp−N×a)×32/Refp×(1/Hf) +N×a×2.656/Rea0.5×(1/Hf)}×1/2×(γ/g)×U2 =Lp×ΔPb+N×a ×(ΔPs−ΔPb) 圧力損失の増加割合ΔP* は、ΔP* =(N×a/Lp)×(ΔPs/ΔPb−1) =(N×a/Lp)×{(2.656/Rea0.5)/(32/Refp)−1} ={N×(a/Lp)} ×{0.083×(2×Hf/(a/U×ν)0.5)−1} a=510×U×fp2 などの条件を代入して上記の式を整理すると、ΔP* =N×(424×U×Hf2/Lp) となる。すなわち、切り起こしの個数Nに比例して圧力損失が増加することを意味する。したがって、先に述べた伝熱量の上昇度合いQ* とのかねあいでNの最適な範囲が存在する。 【0018】図1(b)に示される本実施の形態によるフィンは、空調機の熱交換器の使用条件として標準的な、fp=1.3mm、tf=0.1mm、Lp=12.7mm、Dp=20.4mm、D=7.55mm、Uf=1m/s、流れ方向に2列配置されたケースとなっている。このとき、U=1.31m/s、したがってaは約1mmであり、物理的に配設可能な最大個数NはN=6である。このとき、U×Hf2/Lp=0.000149したがって、h* =0.189N、ΔP* =0.0630Nとなる。この場合のNによる圧力損失ΔPの変化と、伝熱量Qの変化を図3に示す。切り起こしのない場合(すなわちN=0)の圧力損失ΔPもしくは伝熱量hで規格化して示した。この図によれば圧力損失は線形的に増加するが、伝熱量は一定値に漸近するため、N=3の付近で、二つの曲線が交差し、それ以上のNでは、伝熱量の増加に対して圧力損失の増大が支配的となる。したがって、この場合には、切り起こし数NはN≦3とすることが望ましい。また、切り起こしは、気流上流の切り起こしの影響を避けるため、1列の長さの中で切り起こしの前後の間隔を開けるよう概等間隔に並べることが望ましい。 【0019】なお、本実施の形態においては、標準的な寸法に対して計算を行いN≦3としているが、切り起こし幅aを製造限界値であるa=0.001mに固定し、他の寸法パラメータおよび前面風速を、Uf=0.5〜2m/s、D=0.005m〜0.008m、fp=0.8〜1.5mm、Lp=0.01m〜0.015m、Dp=0.01m〜0.025mの範囲で変化させたところ、切り起こし数Nは4以下が望ましいことを確認した。 【0020】切り起こし数Nの数値は以上に示した式に従い、寸法、風速の条件に合わせ、圧力損失の増加割合と伝熱量の増加割合から適切に決められることはいうまでもない。また、本実施の形態においては作動気体が常温常圧空気の場合について述べたが動作温度圧力が大きく異なる場合、あるいは空気以外の気体の場合にも物性値の変更により適切な寸法を決定し得ることはいうまでもない。 【0021】さらに、フィンの形状が本実施の形態の図1に示したような矩形でなくたとえば図4に示すように円弧型の形状を有する場合においても、上に述べたのと同様の効果を有することはいうまでもない。 【0022】実施の形態2.図5に、本発明の実施の形態2による熱交換器のフィンの平面図を示す。板状フィン1平面と、前記板状フィンに対して垂直に挿入された伝熱管2より構成されており、段方向に隣接する伝熱管の間の板状フィン面に設けられた切り起こし3と伝熱管の空気流れ方向の上流に位置する板状フィン面に設けられた切り起こし31を有している。本実施の形態は以上のように構成されているので、以下のような効果を有する。すなわち、伝熱管2の上流に設けられた切り起こし31は、伝熱管の上流における空気流れの摩擦損失を大幅に上昇させ、伝熱管の上流から伝熱管の側面を通過して流れる空気流の流量を低下させる。それにより、相対的に、段方向に隣接する2本の伝熱管の間のフィン面上を流れる空気流量が増加し、この部分に設けられた切り起こし3群の境界層更新効果により促進される伝熱量が増大する。 【0023】実施の形態3.図6は、本発明の実施の形態3による熱交換器のフィンの平面図である。この図によれば、伝熱管2の気流上流に設けられた切り起こし31に加えて伝熱管の下流にも同様の切り起こし32が設けられ、フィンの縦中心線に対して線対称の構成としている。このように構成することにより、切り起こしが対称でない場合に比較してフィン部の形状が安定し、湾曲などの変形による不具合が起こりにくいことに加え、熱交換器の気流の流入・流出の口を逆にしても用いることが出来るため生産管理が容易となるという効果を奏する。 【0024】実施の形態4.図7(a)に本発明の実施の形態4による熱交換器のフィンの平面図を示す。本実施の形態においては、段方向に隣接する伝熱管の間のフィン平面上に設けられた切り起こし3は上流側と下流側で2つに分割されており、また分割された切り起こし3の脚部が、伝熱管に近い方の脚部3cについては、伝熱管の外側面に略沿うように前記脚部の側面が気流方向に対して斜めに切り起こされており、一方、段方向に隣接する2つの伝熱管の中心線に近い側に設けられた脚部3bについてはその側面が気流方向と一致するよう切り起こされている。このように構成することにより、強度的にも強く、かつ伝熱管近傍の流れは、斜めに切り起こされた脚部3cによって伝熱管外側面に沿って流れ、伝熱管の下流で剥離を生じて騒音を発生したり伝熱量低下になることを抑制する効果を有する。また、図7(b)に示すように、前記中心線近傍の流れは、気流方向と一致するよう切り起こされた脚部3bによって、脚部3bの下流で剥離域4が発生しないため圧力損失が増加することがないという効果を有する(図7(b)の左図は脚部3bが気流方向に沿って切り起こされていない場合を示す)。 【0025】実施の形態5.図8(a)、(b)に本発明の実施の形態5による熱交換器のフィンを示す。板状フィン1と、前記板状フィンに対して垂直に挿入された伝熱管2より構成されており、段方向に隣接する伝熱管の間の板状フィン面に設けられた切り起こし3を有する。隣接する伝熱管の間に設けられている切り起こし3は、風の流れに垂直な方向(図8(a)の縦方向)には1つだけ設けられ、風の流れに沿った方向に複数設けられている。前記切り起こしのうち最上流に位置する切り起こし33については、近接する伝熱管の上流側におかれフィンの気流上流端に沿って隣り合う切り起こし33の脚部3cのもっとも狭い間隔W1 (図8(a)では気流上流側の間隔)が、それら切り起こしの間に位置する伝熱管の外直径Dよりも小さくなる位置に設置されている。即ち、切り起こし33の脚部3cが、伝熱管の外側面に外接し、かつ気体の流れに平行な2本の線2a、2bで囲まれた領域内の板状フィン面上に位置する。切り起こし脚部3cの状態は図8(b)に示す。 【0026】本実施の形態は以上のように構成されているので、以下のような効果を有する。すなわち、風の上流側から見ると、最上流に設けられた切り起こし33はその脚部3cが伝熱管を遮る状態となるため気流は偏向されて伝熱管に直接衝突することなく、切り起こしに誘導される。その結果、伝熱管の上流から流入して伝熱管の側面を通過して流れる空気流の流量を低下させる。これにより、相対的に、段方向に隣接する2本の伝熱管どうしの間のフィン面上を流れる空気流量が増大し、この部分に設けられた切り起こし群の境界層更新効果により促進される伝熱量が増大する。また、風の流れに垂直な方向には切り起こしは分割されておらず、切り起こしが一つのみ設けられているので、切り起こし脚部の個数が最少であり、図8(c)に示すように、切り起こし脚部の下流で発生する流れの剥離域4の影響が最小限に抑えられるという効果が得られる。 【0027】 【発明の効果】本発明の第1の構成によれば、互いに平行に積層され、その間を気体が流動する複数の板状フィンと、この板状フィン面上に設けられ、気体の流れに対向して開口部を有する複数の切り起こしと、前記各板状フィンに直角に挿入され、気体の通過する方向に対して直角方向に複数個設置された、内部を流体が通過する伝熱管とを備えた熱交換器において、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、前記設置個数Nの増加に伴う圧力損失ΔPの増加度合いΔP* が、前記設置個数Nの増加に伴う伝熱量Qの上昇度合いQ* を上回ることがない範囲に設定したので、圧力損失が比較的小さく、効果的に伝熱量の向上が図られるという効果を有する。 【0028】本発明の第2の構成によれば、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aを、前記切り起こし上に発達する温度境界層の厚みdt の最大値が、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfの1/2以下となるように設定したので、切り起こし上の温度境界層の厚みが切り起こしの先端から後端にわたって十分に薄く、隣接する切り起こしから発達した境界層との間で干渉を生じないため有効に伝熱促進が図られるという効果を有する。 【0029】本発明の第3の構成によれば、作動気体が常温常圧空気の場合に、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aを、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfおよび前記板状フィン間を通過する自由通過体積基準の風速Uに対しa≦510×U×Hf2の関係が成り立つように設定したので、切り起こし上の温度境界層の厚みが切り起こしの先端から後端にわたって十分に薄く、隣接する切り起こしから発達した境界層との間で干渉を生じないため伝熱促進が図られるという効果を有する。 【0030】本発明の第4の構成によれば、作動気体が常温常圧空気の場合に、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿った幅aについて、金型プレス加工の限界値ac=0.001[m]と、板状フィンの積層方向のフィン間幅Hfおよび前記板状フィン間を通過する自由通過体積基準の風速Uにより以下のように求められる長さLL=510×U×Hf2との比較により、ac≦Lの場合は、a≦LL<acの場合は、a=acの関係が成り立つように前記幅aを設定したので、フィン製造上大きな困難がなく、かつ最大限の伝熱促進が図られるという効果を有する。 【0031】本発明の第5の構成によれば、作動気体が常温常圧空気の場合に、前記切り起こしの、気体の流れ方向に沿う設置個数Nを、ΔP* ≦Q*ΔP* =N×(424×U×Hf2/Lp) (Uは自由通過体積基準の風速、Hfは板状フィンの積層方向のフィン間幅、Lpは伝熱管1列に対する、気体の流れに沿ったフィンの長さ) Q* ={1−exp(−NTU)}/{1−exp(−NTU0 )}−1(NTUは伝熱ユニット数であり、NTU=0.00166×(Lp×heff)/(U×Hf) heffは有効熱伝達率であり、heff=0.056/Hf×{1+N×(1274×U×Hf2 /Lp)} NTU0 は切り起こし数N=0のときのNTUである)を満たすNとしたので、圧力損失が比較的小さく、効果的に伝熱量の向上が図られるという効果を有する。 【0032】本発明の第6の構成によれば、1つ以上の切り起こしの一部分または全部が、伝熱管の気体流れの上流側に設置されているので、伝熱管の周囲に集中する流れに対して抵抗となり、段方向に隣接する2本の伝熱管どうしの間のフィン面上を流れる空気流量が増大し、この部分に設けられた切り起こし群の境界層更新効果により促進される伝熱量が増加するという効果を有する。 【0033】本発明の第7の構成によれば、1つ以上の切り起こしの脚部の一部分または全部が、前記切り起こしにもっとも近接する伝熱管の外側面の上流側で、前記伝熱管の外側面に外接し、かつ気体の流れに平行な2本の線で囲まれた領域内の板状フィン面上に位置するので、相対的に、段方向に隣接する2本の伝熱管どうしの間のフィン面上を流れる空気流量が増大し、この部分に設けられた切り起こし群の境界層更新効果により促進される伝熱量が増大するという効果を有する。 【0034】本発明の第8の構成によれば、1つ以上の切り起こしの一部分または全体が、伝熱管の気体流れの上流側に設置されており、かつ前記切り起こしの気流流れに平行な中心線と前記伝熱管の気体流れに平行な中心線とが略一致するので、相対的に、段方向に隣接する2本の伝熱管どうしの間のフィン面上を流れる空気流量が増大し、この部分に設けられた切り起こし群の境界層更新効果により促進される伝熱量が増大するという効果を有する。 【0035】本発明の第9の構成によれば、切り起こしの脚部と板状フィン面との交線が近傍の局所的な気体流れの方向と平行であるので、脚部の下流で剥離域が発生しないため圧力損失が増加することがないという効果を有する。 【0036】本発明の第10の構成によれば、気体の流れ方向と垂直な方向に隣接する2本の伝熱管の各々の管中心を通り気体流れに平行な直線により囲まれた板状フィン上の領域内に、切り起こしが気流方向に垂直な方向に沿って1個のみ設けられているので、切り起こし脚部の下流で発生する流れの剥離域の影響が最小限に抑えられるという効果を有する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成9年(1997)12月5日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】宮田 金雄 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平11−173785 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月2日 |
| 【出願番号】 |
特願平9−335661 |
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