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【発明の名称】 熱交換器
【発明者】 【氏名】榊原 康文

【要約】 【課題】内管と外管を備えた熱交換器において、高い冷却効率を確保し、部品点数が少なく、軽量化が可能で、容易に製造することができる熱交換器を提供する。

【解決手段】この熱交換器は、ガスを通す内管1の外側に、液体を通す外管2を配設し、ガスと液体間で熱交換を行う熱交換器である。内管1内に金属コルゲート板6がフィンとして挿入されている。金属コルゲート板6は、筒状に曲げた状態で内管1内に挿入され、内管1との接触箇所でロウ付けして固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスを通す内管の外側に、液体を通す外管を配設し、ガスと液体間で熱交換を行う熱交換器において、該内管内に金属コルゲート板がフィンとして挿入されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】 前記金属コルゲート板が筒状に曲げた状態で前記内管内に挿入されていることを特徴とする請求項1記載の熱交換器。
【請求項3】 前記金属コルゲート板が内管との接触箇所でロウ付けされていることを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器。
【請求項4】 前記金属コルゲート板の山が一定の長さ毎にずらして形成されていること特徴とする請求項1、2又は3記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内管の外側に外管が配設され、内管内にガスを通し外管内に液体を流通させて、ガスと液体間での熱交換を行う熱交換器に関し、例えば、内燃機関の排気ガスを冷却水により冷却する排気冷却器として好適な熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、内燃機関の排気ガスを適量だけ給入混合気中に再循環させる排気再循環システムにおいて、高温の排気ガスを冷却してインテークマニホールド側に戻すために、EGRクーラと呼ばれる熱交換器形の排気冷却器が使用される場合がある。
【0003】この排気冷却器は、図5、図6に示すように、排気ガスを通す内管21の外側に外管22を配設し、外管22内に冷却水を流通させて、排気ガスを冷却する構造であるが、内管21の外側に単に外管22を配設しただけの二重管構造では、冷却効率が充分ではない。この為、冷却性能を重視する場合には、図7、図8に示すように、より内径を細くした複数の内管23を束ねて配設し、複数の内管23の周囲を外管24で包囲した構造の排気冷却器が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この種の多管式の熱交換型冷却器は、管の本数が増し、管のシール部が多くなるために、製造時の工数が増大し、製造コストが高くなり、さらに、熱交換器の外形寸法が増大し、重量も重くなる等の問題があった。
【0005】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、内管と外管を備えた熱交換器において、高い冷却効率を確保し、部品点数が少なく、小型軽量化が可能で、容易に製造することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の熱交換器は、ガスを通す内管の外側に、液体を通す外管を配設し、ガスと液体間で熱交換を行う熱交換器において、内管内に金属コルゲート板がフィンとして挿入されていることを特徴とする。
【0007】ここで、金属コルゲート板は、筒状に曲げた状態で内管内に挿入され、内管との接触箇所でロウ付けして固定するとよい。
【0008】
【作用・効果】このような構成の熱交換器は、例えば、高温のガスを内管内に流入させ、外管内に冷却液を通してガスを冷却する際に使用される。ガスは内管内を通る際、表面積の大きい金属コルゲート板に接触し、効率よく熱を奪われて冷却される。また、筒状に曲げた状態で内管内に挿入された金属コルゲート板は流通方向に略同一断面形状を持つため、及び金属コルゲート板が内管内でロウ付けされる場合、ロウ付け部が長手方向(流通方向)に直線状になるため、流通時のガスの圧力損失は非常に小さい。
【0009】製造時、金属コルゲート板は、波の方向に容易に弾性領域内で曲げることができるため、筒状に曲げた状態で内管内に挿入すれば、金属コルゲート板の拡径方向のばね弾性力により、自から内面に圧接する。このため、治具や仮付けをせずに、簡単に金属コルゲート板を内管内の定位置に保持させることができる。
【0010】従って、金属コルゲート板を内管内に固定する工程では、内管との接触箇所に予めロウペーストを塗布しておき、加熱処理によりロウ付けを行えば、少ない工数で簡単に内管内に金属コルゲート板を定位置に取り付けることができる。
【0011】また、このような熱交換器は、図7、8に示す従来の多管式のものに比べ、より高い冷却性能を有するだけでなく、部品点数が少なく、大幅に軽量化することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1、図2は本発明の熱交換器を適用した排気冷却器(EGRクーラ)の正面図と断面図を示している。この排気冷却器は、基本的には排気ガスを通す内管1の外周に、外管2を取り付けて構成される。
【0013】内管1は、例えば、内径19.7mm、厚さ0.8mmのステンレス製のパイプから形成される。また、外管2は、例えば、内径28.6mm、厚さ0.8mmのステンレス製のパイプから形成され、内管1の外側に被せるように間隙をもって同心的に配設され、外管2の両端部は内管1の外周部に溶接され閉鎖される。また、外管2には冷却水チューブを接続するためのニップル3、4が突設され、内管1の一端にフランジ5が取り付けられる。
【0014】さらに、内管1内には金属コルゲート板6が筒状に曲げて挿入・固定される。金属コルゲート板6は、図3に示すように、薄い金属板(例えば厚さ0.08mmのステンレス板)を波板状に成形して形成され、その波形形状としては、例えば半径1mmの山を7mmの幅で両側に作るように形成される。内管1内に挿入する金属コルゲート板6の大きさや山数は、管内に挿入可能な範囲で任意に決めることができるが、内管1の内径が上記のように19.7mmの場合、半径1mmの山を7mmの幅で形成した厚さ0.08mmの金属コルゲート板では、12個の山を形成した部分を曲げて使用する。
【0015】排気冷却器の製造時、金属コルゲート板6の山部に、予めロウペーストを塗布し、筒状に丸く弾性変形させた金属コルゲート板6を内管1内に挿入する。弾性変形して挿入された金属コルゲート板6は、拡径方向にばね弾性力を生じているため、自らのばね力で内管1内に山を押し当てる。このため、治具や仮付けをせずに、簡単に金属コルゲート板を内管1内の定位置に容易に保持することができる。
【0016】この状態で、金属コルゲート板6を挿入した内管1を熱処理炉に入れ、所定の温度に加熱すれば、ロウペーストが溶融し、金属コルゲート板6の周囲の各山が内管1の内面に良好にロウ付けされる。このロウ付け部分は管の長手方向に沿って位置するため、溶融したロウが管内の長手方向に沿って良好に流れ、ロウ付け部分が流体の圧力損失となることを最小にすることができる。なお、ロウペーストの代わりに予め金属コルゲート板6に所定の膜厚の銅メッキを施しておいてもよい。
【0017】このように製造された排気冷却器は、内燃機関のエキゾーストマニホールドとインテークマニホールド間における排気ガス再循環路の一部に接続されて使用される。外管2のニップル3、4に図示しない冷却水チューブが接続され、外管2内に冷却水が供給され、内管1内に排気ガスが流通される。
【0018】排気ガスは内管1内を通る際、表面積の大きい金属コルゲート板6に接触し、効率よく熱を奪われて冷却される。また、筒状に曲げて内管1内に挿入された金属コルゲート板6は、流通方向に略同一断面形状を持ち、且つロウ付け部が長手方向(流通方向)に直線状に形成されるため、流通時の排気ガスの圧力損失は非常に小さく、良好に排気ガスを流通させることができる。
【0019】図4は、上記構成の金属コルゲート板を挿入した排気冷却器と、図5、6に示す従来の二重管式の排気冷却器と、図7、8に示す従来の多管式の排気冷却器とを用いて、それらの冷却性能を試験して得た冷却性能指数のグラフを示している。本発明の排気冷却器として、上記実施例の12山の金属コルゲート板を使用したものの他に、8山の金属コルゲート板を使用したものの性能試験を行い、各温度差における冷却性能指数を測定した。
【0020】このグラフから、本発明の金属コルゲート板を内管内に挿入した排気冷却器は、従来の二重管式や多管式の排気冷却器に比べ、明らかに高い冷却性能が得られ、12山の金属コルゲート板を使用したものは、8山の金属コルゲート板を使用したものより冷却性能が高いことがわかる。
【0021】なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、排気冷却器の他、ガスと液体間で熱を交換する各種の二重管式の熱交換器に適用することができる。また、上記実施例では、金属コルゲート板6の厚さを0.08mmとしたが、0.05mm〜0.15mmの範囲でも良好に使用することができる。しかし、厚さ0.05mm未満の金属板では、弾性力が不足し、厚さ0.15mmを超える金属板では、内管への挿入が難しく、また、ガスの圧力損失も高くなる。
【0022】また、上記実施例では、金属コルゲート板6の山径(半径)を1mmとしたが、内管の内径の3%〜10.3%の範囲(内管1では0.59mm〜2.03mmの範囲)で良好に使用することができる。しかし、山径が内管の内径の3%より小さくなると、ロウ付け不良が発生し易くなり、山径が内管の内径の10.3%より大きくなると、冷却性能上必要な面積を確保することができない。
【0023】更に、上記実施例で使用した金属コルゲート板6の山は、直線状に形成されていたが、金属コルゲート板の山は一定の長さ毎にずらした形状に形成することもでき、このように山の位置を一定の長さ毎にずらした金属コルゲート板を使用することにより、ガスの圧力損失は多少上昇するが、冷却性能をさらに向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000113942
【氏名又は名称】マルヤス工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)7月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫 (外1名)
【公開番号】 特開平11−23181
【公開日】 平成11年(1999)1月26日
【出願番号】 特願平9−182571