| 【発明の名称】 |
熱輸送装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】山崎 正和
【氏名】角口 勝彦
【氏名】平野 聡
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| 【要約】 |
【課題】環境負荷として排出されている常温に比較的近い温度(80℃以下)の低質排熱を、無動力で熱移送して、回収し利用又は除去する。
【解決手段】噴出口9を有する密閉容器型蒸発器2、管路5、凝縮器3及び熱媒の貯液槽4を通して熱媒を循環させ、蒸発器2は、外部からの熱の吸収により熱媒を蒸発させて高圧蒸気を発生させて、その内部の圧力を高めると共に、発生した高圧蒸気により噴出口9に付設された圧力動作弁10を開放して、熱媒6自身を管路5へ噴出せしめて、その噴出力により熱媒を管路5内で移送する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 密閉容器型蒸発器、熱媒移送管、凝縮器及び熱媒の貯液槽を有し、熱媒を循環させ、前記蒸発器と前記凝縮器との間で熱輸送を行う熱輸送装置であって、前記蒸発器は、圧力動作弁を付設した噴出口を有し、外部から熱を吸収することにより熱媒を蒸発させて高圧蒸気を発生させ、その内部の圧力を高めると共に、前記高圧蒸気により前記圧力動作弁を開放して、熱媒自身を前記熱媒移送管へと噴出せしめ、その噴出力により移送された熱媒の保有熱を前記凝縮器で外部へ放出することにより熱を輸送することを特徴とする、何らの外部動力の補助無しに熱輸送を行う熱輸送装置。 【請求項2】 前記圧力動作弁は、ばね式安全弁と同様の原理で、前記高圧蒸気の噴出開始及び終了の動作を行うことを特徴とする請求項1記載の熱輸送装置。 【請求項3】 前記蒸発器は、逆止弁を介して前記貯液槽に接続されており、前記噴出口から熱媒を噴出した後の前記蒸発器内の減圧に伴って、前記貯液槽から自然に熱媒が前記蒸発器内に補充されるようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の熱輸送装置。 【請求項4】 前記蒸発器内に封入される熱媒は、水、メチルアルコール、より低沸点のハイドロフルオロエーテル類又は通常の冷房用に用いるフロンの代替冷媒系の流体であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の熱輸送装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は環境負荷として排出されている環境温度に比較的近い温度(例えば、80℃以下)の低質排熱を、何らの外部動力の補助無しに効果的に熱輸送して、回収・利用するか又は除去するための熱輸送装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、夏季におけるエアコンの室外機の温排風、日射による舗装路面や鉄筋コンクリート製建造物の外表面の焼付き等は、局所的ではあるものの、近辺の気温を高温化させる。これらの発熱源が密集して存在する都市域ではこのような低質排熱は逃げ場を失っており、地域全体の平均気温を高温化させる、即ちヒートアイランド現象として大きな環境問題になっている。そこで、この排熱を回収して有効に活用を図るか、除去する等の対策が必要になる。 【0003】このような排熱は、環境温度に近く、分散的に存在しており、しかも非定常的に生じるため、既存技術による回収・利用の観点からは極めて取り扱いにくい特徴を有している。例えば発電に使用する、あるいはお湯を沸かす等のために有効活用することは、何らかの方法で予め保有熱量の密度を高めると同時にその温度を上げてやらない限り、従来技術では不可能である。 【0004】しかし、もし例えばヒートポンプ等により昇温した場合、そのためにポンプ動力等の付加が必要になる。この動力の発生には、詰まるところ燃料の燃焼等により発生させた電力を投入している。すなわち高々80℃以下の低質排熱の活用のために、良質で高価なエネルギー源の消費が必要となる。エネルギー収支の質的評価を考えると、このことは大幅な良質エネルギー資源の損失をもたらす。 【0005】また、この排熱を回収、輸送する手段として、上記の動力投入の問題も考慮した場合には、熱サイフォン(特開平4ー371795号公報参照。)のように無動力で動作する自然対流動作型熱交換器の利用が考えられる。 【0006】しかし、この場合、排熱の回収後の熱の輸送方向は鉛直上向きのみに制限される。そのため排熱の捨て場所たるヒートシンクは上方に位置せざるを得ず、そもそも主として大気の自然対流による地表面から上空への除熱が十分出来ない結果として顕在化している現実の問題の解決にはならない。 【0007】すでに、外部から動力を加えることなく熱を効率的に移送する熱伝達装置に係る発明について、特願平5ー343859号(特開平7ー174475号公報参照。特許登録第2099172号)が提案されている。この従来の発明の熱伝達装置は、圧力発生管の作動流体の加熱域における加熱によって発生する沸騰気泡の膨張と冷却による気泡の収縮・凝縮により同管内に圧力変化を生ぜしめて作動流体を間欠的に脈動させるものである。 【0008】しかしながら、このような熱伝達装置では、一回の加熱・冷却に伴う圧力変化が小さいために、複数の加熱域と冷却域とを交互に設けなくてはならず、その構成が複雑となる。又、加熱域ではかなりの高温、高熱流束での加熱が必要であり、上記低質排熱の利用という点では適切でない。さらに、加熱によって発生する沸騰気泡の膨張と冷却による気泡の収縮・凝縮の相対的なタイミング、あるいは加熱と冷却の相対的な温度がある限定された条件内でないと、スムースな熱輸送のための駆動力が発生しない。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの従来の問題点を解決することを目的とし、低質排熱自身から熱媒移送のための駆動力を発生すると共に、この駆動力を利用して熱媒流体を重力方向に関わりなく適切な外部ヒートシンク(例えば地中あるいは地下の下水)へと搬送し放熱する事によって、低質排熱を回収・利用又は除去する事を可能とする無動力による熱輸送を実現し、熱交換を行う熱輸送装置を提案するものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、密閉容器型蒸発器、熱媒移送管、凝縮器及び熱媒の貯液槽を有し、熱媒を循環させ、前記蒸発器と前記凝縮器との間で熱輸送を行う熱輸送装置であって、前記蒸発器は、圧力動作弁を付設した噴出口を有し、外部から熱を吸収することにより熱媒を蒸発させて高圧蒸気を発生させ、その内部の圧力を高めると共に、前記高圧蒸気により前記圧力動作弁を開放して、熱媒自身を前記熱媒移送管へと噴出せしめ、その噴出力により移送された熱媒の保有熱を前記凝縮器で外部へ放出することにより熱を輸送することを特徴とする、何らの外部動力の補助無しに熱輸送を行う熱輸送装置を提供する。 【0011】前記圧力動作弁は、ばね式安全弁と同様の原理で、前記高圧蒸気の噴出開始及び終了の動作を行うことを特徴とする。 【0012】前記蒸発器は、逆止弁を介して前記貯液槽に接続されており、前記噴出口から熱媒を噴出した後の前記蒸発器内の減圧に伴って、前記貯液槽から自然に熱媒が前記蒸発器内に補充される。 【0013】前記蒸発器内に封入される熱媒は、水、メチルアルコール、より低沸点のハイドロフルオロエーテル類又は通常の冷房用に用いるフロンの代替冷媒系の流体である。 【0014】 【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、実施例とともに図面を参照にして説明する。図1は、本発明の熱輸送装置の第1の実施例を示す図であり、エアコン室外機からの熱風を回収して下水に輸送する例である。この熱輸送装置1は、受熱部の高温側熱交換器である蒸発器2、低温側熱交換器である凝縮器3及び貯液槽4が管路5(熱媒移送管)により互いに閉ループに結合して構成される。この閉ループ内には、水、メチルアルコール等の熱媒6が充填されている。 【0015】蒸発器2は、夏期においてエアコン室外機7からの排熱媒体(熱風)8により大気が高温化するのを緩和するために、排熱媒体(熱風)8の熱を回収して地下の下水11に輸送する場合は、排熱媒体(熱風)8からの熱伝達によって蒸発器2内の熱媒が加熱されるように構成されている。 【0016】図2は、本発明の熱輸送の第2の実施例を示す図であり、実施例1に対応して共通する構成に同じ符号を付している。蒸発器2’は、夏期において車道や歩道7’等の路面が太陽からの放射熱8’により高温化するのを緩和するために、車道や歩道7’等の路面の熱を回収して地下の下水11に輸送する場合は、車道や歩道7’等の路面からの熱伝導によって蒸発器2’内の熱媒が加熱されるように構成されている。 【0017】実施例1の蒸発器2と実施例2の蒸発器2’の構成は、上記の点については互いに相違するが、上記の点以外の構成については共通であるから、以下、実施例1及び2を併せて説明する。 【0018】蒸発器2、2’には噴出口9が設けられ、この噴出口9には蒸発器2、2’内の圧力が予め設定された一定の圧力に達したときに開放し、蒸発器2、2’内部と圧力動作弁下流側との圧力差が閉鎖側の既定値以下になった時に閉じる圧力動作弁10が配設されている。 【0019】凝縮器3は、蒸発器2、2’において加熱された熱媒と、地下の下水11との熱交換を行うものである。 【0020】貯液槽4は、凝縮器3において熱交換が行われ冷却された熱媒を一時的に貯蔵する為の容器であり、蒸発器2、2’内の圧力が貯液槽4の圧力より低くなると開放する逆止弁12を介して蒸発器2、2’と結合されている。 【0021】次に、以上のように構成された本発明の熱輸送装置の作用を説明する。蒸発器2、2’が約40〜80℃の外部の低質排熱源により加熱されると、内部の熱媒6がそれより低い温度(熱媒の種類によるが例えばメチルアルコールで約20〜30℃)で蒸発し始める。この結果、蒸発器2、2’内部の圧力が増加し始め、例えばメチルアルコール熱媒の場合、外部熱源温度60℃、初期圧力0.1気圧の時、圧力は約500秒程度で8倍にも達する。 【0022】圧力が予め設定された所定値に達した時、圧力動作弁10が開き、熱媒の噴出が開始する。例えば、上記の条件で、弁の下流側の管内の圧力が加熱開始前の初期圧力と同等であったとし、かつ蒸発器2、2’を一種の蒸気用ブロワーと考えてその動力を換算すると、蒸気に与える動力としての差圧が0.07MPaであり、管摩擦係数0.1、内径10mm、長さ100mの直管路を蒸気が流れて行くとした場合、瞬間的には蒸気流速は12m/sにも達し、その時の動力としては66Wが得られる。 【0023】これは使用する可能性のある熱媒の中で最も蒸発し難く高圧化し難いメチルアルコールの場合の試算であり、より低沸点の他の熱媒では、例えばハイドロフルオロエーテル類では、更なる高圧すなわち大動力の獲得が見込まれる。流出した熱媒は凝縮器3において、低温側熱媒体と熱交換し外部に熱を放出しつつ、貯液槽4へと流入する。 【0024】一方、蒸発器2、2’内の圧力は熱媒流出に伴い減少するが、同時に減圧に伴って加熱による蒸発器2、2’内熱媒液の蒸発も活発化する。又蒸発器2、2’内の圧力が下がって貯液槽4内部の圧力以下になると、逆止弁12を通して貯液槽4内熱媒液が蒸発器2、2’内に流入して、熱媒の補充をする。圧力動作弁10は、蒸発器2、2’内部と圧力動作弁10の下流側の圧力差が既定値以下になった時に閉じる。この後、再び上記の過程を繰り返す。 【0025】 【発明の効果】以上要するに、本発明では従来用いられてきたポンプ動力等を投入した熱回収装置と異なり、蒸発器2、2’単独で外部からの熱回収と同時にその熱媒の搬送動力まで発生させることが出来るため、付加的な投入動力ゼロで極めて高効率に熱回収・輸送を行うことが出来る。 【0026】したがって本発明によれば、例えば夏季の熱的に過酷な住環境を改善すると共に、地中全体を蓄熱媒体として夏季に熱を地中に蓄えておき、冬季に回収すれば、季節間蓄熱が可能になる。また、この結果夏季の電気使用量が低めに押さえられることになり、その省エネルギー効果・資源節約効果は極めて高い。 【0027】なお、ここでは大気の温暖化対策を想定した例について説明したが、用途はこれに限定されるものではなく、動力自己発生型の熱媒搬送器として多くの熱回収問題に応用することが出来る。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001144 【氏名又は名称】工業技術院長
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月20日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−304380 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−109206 |
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