| 【発明の名称】 |
ヒートパイプ式冷却器 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 武志
【氏名】塚田 勲
【氏名】小西 和弘
【氏名】村瀬 孝志
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| 【要約】 |
【課題】低温環境での起動特性に優れたヒートパイプを提供すること。
【解決手段】ループ型ヒートパイプ100〜102とループ型ヒートパイプ110〜113は吸熱ブロック30から立ち上がる長さが2段階に異なっている。その短い方のループ型ヒートパイプ110〜113は吸熱ブロック30に埋設された部分(埋設部分40)の容積の20%以上の水が作動流体として収容されている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空洞部に作動流体として水が収容された複数の略4辺形状のループ型ヒートパイプの一辺部分が冷却対象である電気部品から熱を吸収する吸熱ブロックに埋め込まれており、複数の前記ヒートパイプは、それが前記吸熱ブロックからその上方に立ち上がる部分の長さが少なくとも2段階以上で異なっており、前記長さが最も短い段階のヒートパイプには、前記吸熱ブロックに埋め込まれた部分の空洞部の内容積の20%以上(液相状態での換算)の水が作動流体として収容されている、ヒートパイプ式冷却器。 【請求項2】 空洞部に作動流体として水が収容された複数の略U字状のヒートパイプの底辺部分が冷却対象である電気部品から熱を吸収する吸熱ブロックに埋め込まれており、複数の前記ヒートパイプは、それが前記吸熱ブロックからその上方に立ち上がる部分の長さが少なくとも2段階以上で異なっており、前記長さが最も短い段階のヒートパイプには、前記吸熱ブロックに埋め込まれた部分の空洞部の内容積の20%以上(液相状態での換算)の水が作動流体として収容されている、ヒートパイプ式冷却器。 【請求項3】 空洞部に作動流体として水が収容された複数の略L字状のヒートパイプの一辺部分が冷却対象である電気部品から熱を吸収する吸熱ブロックに埋め込まれており、複数の前記ヒートパイプは、それが前記吸熱ブロックからその上方に立ち上がる部分の長さが少なくとも2段階以上で異なっており、前記長さが最も短い段階のヒートパイプには、前記吸熱ブロックに埋め込まれた部分の空洞部の内容積の20%以上(液相状態での換算)の水が作動流体として収容されている、ヒートパイプ式冷却器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は半導体素子等を冷却するための冷却器に関し、特に寒冷地等の低温環境において好適な冷却器に関する。 【0002】 【従来の技術】例えば電車等の車両に搭載される電流変換器等の半導体部品は、その使用によってある程度の発熱が避けがたく、従ってその過度の加熱を防止する手段を講ずる必要がある。そのような部品の冷却方法として、その部品に放熱用のフィンを取り付けたり、或いはその部品が収容される筐体内の雰囲気を冷却したりする方法が知られている。冷却が必要な部品に放熱用のフィンを取り付けて冷却する場合、その部品に伝熱性のブロックや板材を取り付け、そのブロックや板材を経由してフィンを取り付ける構造が採用されることが多い。 【0003】近年はヒートパイプの伝熱性能が注目され、冷却を要する部品に取り付けた伝熱性のブロックや板材とフィンとをヒートパイプを介して接続した構造の冷却器が登場している。ヒートパイプは、その内部に空洞部を有するコンテナと作動流体とを備えており、空洞部に封入された作動流体の相変態と移動により熱の輸送が行われるものである。もちろん、ヒートパイプを構成する容器(コンテナ)を熱伝導することで運ばれる熱も多少あるが、その量は相対的に少ない。 【0004】ヒートパイプの作動について簡単に記すと次のようになる。即ち、ヒートパイプの吸熱側において、ヒートパイプを構成する容器中のその肉厚方向に熱伝導して伝わってきた熱により、内部の作動流体が加熱され蒸発する。そしてその蒸気がヒートパイプの放熱側に移動する。放熱側では、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。そして液相に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動により熱の移動がなされる。ヒートパイプの内部は作動流体の相変態が生じやすくなるよう真空密封しておく。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】図4はヒートパイプを用いた従来の冷却器の例を説明する図である。発熱部品60は、電車等に搭載されるサイリスタやインバータを想定している。発熱部品60は吸熱ブロック33に直接または伝熱物を介して接続される。その吸熱ブロック33にはそれから立ち上がる部分の長さが実質等しい4本のヒートパイプ150の吸熱側が埋設されている。 【0006】さて発熱部品60はその運転に際し発熱するが、その熱の多くは吸熱ブロック33に伝わり、更にその熱によりヒートパイプ150の内部の作動流体が加熱され蒸発する。そしてその蒸気がヒートパイプ150の放熱側であるフィン22が取り付けられた部分に至り、そこで作動流体の蒸気の熱はフィン22を経て外部に放出される。その際、作動流体の蒸気は凝縮して液相に戻る。吸熱ブロック33が取り付けられたヒートパイプ150の吸熱側に対し、フィン22が取り付けられたヒートパイプ150の放熱側を上方に配置しておけば、放熱側で液相状態に戻った作動流体は重力作用によりヒートパイプ150の下方、即ちその吸熱側に戻る。 【0007】ところでヒートパイプ150に用いられる作動流体としては水がその代表例である。しかし発熱部品60が搭載される電車等は、冬季に寒冷地において使用される場合もある。そうなると当然、ヒートパイプ150もそのような低温状況に置かれることになるから、場合によってはその内部に収容されている作動流体(水)が凍結してしまうことがありえる。 【0008】発熱部品150が搭載される車両の運転中であれば、それに伴う発熱部品60の発熱程度によっては、ヒートパイプ150内部の水の凍結が防げる。しかし長く運転を停止した後の起動時、特に朝の起動時などにおいては、作動流体が凍結しており実質的にヒートパイプ150が作動しない状態にある場合が多い。 【0009】そこで、ヒートパイプ150に収容される作動流体として、水に替えて凝固点が低いパーフロオロカーボン(パーフロオロカーボン)等の溶剤を適用することが考えられる。そうすれば、氷点下の環境にある寒冷地においても、その作動流体は凍結せず、従ってヒートパイプ150の作動は確保されるからである。 【0010】しかしパーフロオロカーボン等は沸点も低く、その潜熱が小さいため、その相変態と移動による熱移動性能が低く、従って、所定の冷却性能を実現するには、その冷却器のサイズを相対的に大きくする必要がある等の問題がある。また寒冷地において使用される電車等の車両であっても、運転中や、気温が上昇している日中の使用中においては作動流体の凍結の問題が起きない場合もある。このような状況において、冷却性能が低いということは効率的とは言えない。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した問題点を踏まえ、低温環境下においても、ある程度の冷却性能が実現する冷却器を開発すべく鋭意研究を行った。本発明のヒートパイプ式冷却器は、空洞部に作動流体として水が収容された複数の略4辺形状でループ型のヒートパイプの一辺部分が冷却対象である電気部品から熱を吸収する吸熱ブロックに埋め込まれており、複数の前記ヒートパイプは、それが前記吸熱ブロックからその上方に立ち上がる部分の長さが少なくとも2段階以上で異なっており、その長さが最も短い段階のヒートパイプには、前記吸熱ブロックに埋め込まれた部分の空洞部の内容積の20%以上(液相状態での換算)の水が収容されている、という構造のものである。 【0012】またループ型のヒートパイプに替えて、略U字状のものを適用した構造のものもある。作動流体は水である。その複数の略U字状のヒートパイプの底辺部分が冷却対象である電気部品から熱を吸収する吸熱ブロックに埋め込まれており、複数の前記ヒートパイプは、それが前記吸熱ブロックからその上方に立ち上がる部分の長さが少なくとも2段階以上で異なっており、その長さが最も短い段階のヒートパイプには、前記吸熱ブロックに埋め込まれた部分の空洞部の内容積の20%以上(液相状態での換算)の水が収容されているヒートパイプ式冷却器も提案する。 【0013】更に略L字状のヒートパイプを適用する形態もある。即ち、空洞部に作動流体として水が収容された複数の略L字状のヒートパイプの一辺部分が冷却対象である電気部品から熱を吸収する吸熱ブロックに埋め込まれており、複数の前記ヒートパイプは、それが前記吸熱ブロックからその上方に立ち上がる部分の長さが少なくとも2段階以上で異なっており、その長さが最も短い段階のヒートパイプには、前記吸熱ブロックに埋め込まれた部分の空洞部の内容積の20%以上(液相状態での換算)の水が収容されている、ヒートパイプ式冷却器も提案する。 【0014】 【発明の実施の形態】図1を参照しながら本発明のヒートパイプ式冷却器を説明する。図示しないが冷却対象である発熱部品は吸熱ブロック30の図の下面側に接続される。吸熱ブロック30には7個のループ型ヒートパイプ100〜102、110〜113の一辺部分が埋め込まれている。ループ型ヒートパイプ100〜102、110〜113の吸熱ブロック30から立ち上がる部分には放熱用のフィン20が取り付けられる。このようなヒートパイプ式冷却器が寒冷地で使用されている場合を想定して以下説明する。 【0015】さてこのヒートパイプ式冷却器では、7個あるループ型ヒートパイプは、その吸熱ブロック30から立ち上がる部分の長さが2段階で異なっている。即ちループ型ヒートパイプ110〜113は短く、ループ型ヒートパイプ100〜102は長くなっている。 【0016】そして、短い方のループ型ヒートパイプ110〜113は、作動流体である水が、吸熱ブロック30に埋め込まれた部分(埋設部分40)の内部の空洞部の容積の20%以上の量(液相状態での体積換算)で収容されている。より望ましくは吸熱ブロック30に埋め込まれた部分の内部の空洞部の容積の30%以上で水を収容すると良い。 【0017】このようにすることで、寒冷地のような低温環境において、その起動時の吸熱ブロック30の一時的な過熱が抑制されるようになる。図5は発熱部品の運転開始からの経過時間と吸熱ブロック30の温度の関係を大まかに示したグラフである。図5(a)は、ループ型ヒートパイプ100〜102内に収容される水の量を、吸熱ブロック30に埋設された部分の空洞部の15%に、ループ型ヒートパイプ110〜113内に収容される水の量を、吸熱ブロック30に埋設された部分の空洞部の20%にしたものである。 【0018】図5(b)は、ループ型ヒートパイプ100〜102、およびループ型ヒートパイプ110〜113の内に収容される水の量を、吸熱ブロック30に埋設された部分の空洞部の15%にした場合の大まかな結果を示している。図5(c)は、図1のループ型ヒートパイプ110〜113に替えて、ループ型ヒートパイプ100〜102と実質同じものを適用した場合の大まかな結果を示している。 【0019】図5(a)〜(c)の結果を見れば判るように、本発明のヒートパイプ式冷却器の結果である図5(a)では、吸熱ブロック30の急激な温度上昇が抑制され、優れた起動特性が実現している。これに対し短い方のループ型ヒートパイプ110〜113の内部の水の量が少ない場合の図5(b)や、ループ型ヒートパイプ110〜113をループ型ヒートパイプ100〜102と同じ長さのものにした場合である図5(c)では、起動開始から早期に吸熱ブロック30の過熱が生じている。 【0020】上述の例では、複数のループ型ヒートパイプは、その吸熱ブロックから立ち上がる部分の長さが2段階で異なっている場合を示したが、更に他段階に異なっていいても良い。図2は吸熱ブロック31から立ち上がる部分の長さが3段階で異なっている場合の例を示す。即ちループ型ヒートパイプ130、132が最も短く、次に短いのがループ型ヒートパイプ131、133、最も長いのがループ型ヒートパイプ120、121、122、となったものである。図中の符号21はフィンである。この例でも、少なくとも3段階の内の最も短い段階のループ型ヒートパイプ130、132については、吸熱ブロック31の埋設部分41の内部の空洞部の容積の20%以上の量(液相状態での体積換算)の作動流体として水を収容する。望ましくは30%以上で収容すると良い。 【0021】またループ型ヒートパイプに替えて、略U字形状のヒートパイプを適用しても良い。この場合、U字形状の底辺に相当する部分を吸熱ブロックに埋設する。また、略L字形状のヒートパイプを適用しても良い。図3に示すように、略L字形状のヒートパイプ140の一辺に相当する部分を吸熱ブロック32に埋設する。作動流体である水は、吸熱ブロック32に埋設された空洞部の容積(埋設部容積50、図中、点々で示している)の20%以上、より望ましくは30%以上の量を収容する。尚、図3ではフィンの図示は省略した。 【0022】 【発明の効果】以上詳述したように、本発明のヒートパイプ式冷却器は、低温環境下でも起動特性に優れたものである。従って冬季の寒冷地に好適なものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005290 【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)1月12日 |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開平11−201667 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)7月30日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−3572 |
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