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【発明の名称】 蓄冷装置
【発明者】 【氏名】国府田 康雄

【氏名】内田 優幸

【氏名】戸村 重男

【氏名】中島 雅祐

【氏名】落合 淳一

【氏名】高木 信以智

【氏名】石山 弘之

【氏名】棚川 司

【氏名】荒井 伸悟

【要約】 【課題】従来不都合であった蓄冷液の温度分布を積極的に利用して優れた蓄冷効果と冷熱回収を行うことができる新規な蓄冷装置の提供。

【解決手段】アルコールを主成分とする蓄冷液Lが収容された密閉タンク1内の底部に、低温液体を気化するコンデンサ2を浸漬状態に収容すると共に、そのコンデンサ2上方にガスを液化するエバポレータ3を設け、かつ、上記エバポレータ3の近傍に、液面付近の高温の蓄冷液Lをエバポレータ3表面に吹き付けて凍結物を除去するスプレー手段4を備える。これによって一つの密閉タンク1内で冷熱回収と、その再利用を効果的に行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルコールを主成分とする蓄冷液が収容された密閉タンク内の底部に、ガスを冷却するコンデンサを浸漬状態に収容すると共に、そのコンデンサ上方に低温液体を加熱するエバポレータを設け、かつ、上記エバポレータの近傍に、液面付近の高温の蓄冷液をエバポレータ表面に吹き付けて凍結物を除去するスプレー手段を備えたことを特徴とする蓄冷装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、LNG(液化天然ガス)等の低温液体を気化する際に発生する冷熱を溜めて効果的に利用するための蓄冷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、LNG(液化天然ガス,約−160℃)等の低温液体を気化する際に発生する冷熱を有効利用するために種々の蓄冷装置が提案されている。
【0003】例えば、図3に示すような蓄冷装置は、蓄冷液Lが収容された蓄冷タンクa内に伝熱管bを収容したものであり、この伝熱管b内にLNG(液化天然ガス)等の低温液体を流して蓄冷液Lを冷却することで蓄冷を行っている。そして、この蓄冷装置に溜められた冷熱を利用する場合には、例えば、余剰の天然ガス(NG)等をこの伝熱管b側に流して予冷することで再液化のコストを低減することができる。また、図4に示すような蓄冷装置は、この蓄冷タンクaに熱交換器dを付設し、この熱交換器dを介して得られた蓄冷タンクa内の冷熱を冷房空調などに再利用するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような従来の蓄冷装置は、その殆どが蓄冷液Lとして水を用いているため、LNG(液化天然ガス)等の低温液体を流すと、伝熱管bの周囲に簡単に氷結層cが形成されてしまい、これが断熱層の働きをして効果的な蓄冷を行うことができない。
【0005】そのため、より高い蓄冷効果を得るために、この蓄冷液Lとして凝固点の低い液体、例えば、アルコール(凝固点−130℃以下)等を主成分とする液体を用いることが検討されている。
【0006】しかしながら、アルコール等を蓄冷液Lとして用いた場合、冷熱回収時に伝熱管bから剥離した凍結層cがそのままタンクa内底部に沈殿して蓄冷液Lの上層部と低層部で大きな温度分布が形成されてしまい、効果的な蓄冷及び冷熱回収が困難であった。すなわち、アルコール等の場合、冷却されることによって液体は勿論、凍結層cも比重が増大することから、伝熱管bから剥離した後に、これが沈降してそのままタンクa内底部に溜まってしまう。この結果、液面付近の上層部には温度の高いアルコール液が集まり、低層部には温度の低い凍結層が集まって液面付近と底面付近とで大きな温度差が形成されてしまうといった不都合がある。
【0007】そこで、本発明はこのような課題を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は、従来不都合であった蓄冷液の温度分布を積極的に利用して優れた蓄冷効果と冷熱回収を行うことができる新規な蓄冷装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、アルコールを主成分とする蓄冷液が収容された密閉タンク内の底部に、ガスを冷却するコンデンサを浸漬状態に収容すると共に、そのコンデンサ上方に低温液体を加熱するエバポレータを設け、かつ、上記エバポレータの近傍に、液面付近の高温の蓄冷液をエバポレータ表面に吹き付けて凍結物を除去するスプレー手段を備えたものであり、従来不都合であった蓄冷液の温度分布を積極的に利用して一つの密閉タンクで冷熱回収とその再利用が達成できるようにしたものである。
【0009】すなわち、先ず、スプレー手段によって液面付近の高温の蓄冷液をエバポレータに吹き付けることで、エバポレータ内を流れる低温液体の冷熱を蓄冷液側に効果的に回収することができる。この時、冷却された蓄冷液及びその凍結物は比重が重くなって密閉タンク内の底部に溜まり、その位置に設けられているコンデンサの周囲に集められる。
【0010】そして、その後このコンデンサ側にガスを流すと、その周囲に集まった低温の蓄冷液によってこれが効果的に冷却されるため、密閉タンク内の底部に溜まった冷熱を回収して再利用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明を実施する好適一形態を添付図面を参照ながら説明する。
【0012】図1は、本発明に係る蓄冷装置の実施の一形態を示す構成図である。図示するように、この蓄冷装置は、蓄冷液Lが溜められた蓄冷タンク1と、このタンク内底部に設けられたコンデンサ2と、このコンデンサ2上に設けられたエバポレータ3と、このエバポレータ3に蓄冷液を吹き付けるスプレー手段4とから主に構成されている。
【0013】この蓄冷液Lは、凝固点が−130℃以下のアルコールを主成分とする液体であり、その液面がコンデンサ2とエバポレータ3の間に位置する量だけ蓄冷タンク1内に密閉貯留されている。
【0014】この蓄冷タンク1は、地下或いは地上に形成された縦型円筒状の密閉タンク5の周囲に、充分な厚さを有する断熱層6を形成したものであり、密閉タンク5内外を断熱して外部入熱及び放冷を効果的に防止できるようになっている。
【0015】コンデンサ2は、上流側が天然ガスライン7に接続されると共に下流側がLNGライン8に接続されており、天然ガスライン7から流れてきた天然ガス(NG)を冷却してLNGライン8側へ流すようになっている。
【0016】一方、エバポレータ3は、その上流側がLNGライン8から分岐するように接続されると共に下流側が天然ガスライン7に合流するように接続されており、コンデンサ2とは反対に、LNGライン8から流れてきたLNG天然ガスを気化して天然ガスライン7側へ流すようになっている。
【0017】また、このエバポレータ3及びコンデンサ2はそれぞれ天地方向に位置するヘッダ11,11間に伝熱管12を複数架け渡してなるものであり、天然ガスあるいはLNGをこの伝熱管12内を上下方向に流すことで、熱交換を行うようになっている。尚、このコンデンサ2及びエバポレータ3の上下流側の合流部にはそれぞれ天然ガス及びLNGを流れを規制する弁9a,9b、10a,10bが設けられている。
【0018】スプレー手段4は、吸込みパイプ13に設けられた複数のスプレーノズル14をエバポレータ3上に設置したものであり、ポンプ15によって液面付近の高温の蓄冷液Lをエバポレータ3の表面に強制的に吹き付けるようになっている。尚、図中16は、蓄冷タンク1圧力上昇を防止するための安全弁である。
【0019】以上において、本発明装置の作用を説明する。
【0020】先ず、LNGを気化して天然ガスを得る場合には、弁10a,10bを閉じると共に、スプレー手段4を駆動して液面付近の比較的高温の蓄冷液Lをエバポレータ3にスプレーしながら、弁9a,9bを開いてこのエバポレータ3側にLNGを流す。図示するように、このエバポレータ3は液面上に位置して室温に近い状態になっているため、エバポレータ3に流れたLNGは、ここで放冷(吸熱)して蒸発し、ガス化した後、天然ガスライン7に排出されることになる。尚、このエバポレータ3による気化に際して、天然ガスライン7側に減圧ポンプや減圧弁(図示せず)等を備えたり、LNGライン8に加圧ポンプなどを備えてエバポレータ3内圧を制御するようにすれば、その気化をより促進することができる。
【0021】この時、エバポレータ3にスプレーされた蓄冷液Lは、LNGから放出された冷熱によって冷却されて比重が大きくなり、そのまま蓄冷液Lに落下した後、蓄冷タンク1に溜まる。また、エバポレータ3にスプレーされた蓄冷液Lの一部は、そのまま凍結(凝固)してエバポレータ3表面に付着しようとするが、この凍結物は、シャーベット状の軟らかい状態であるため、氷のようにその表面に固着することなく、付着しても順次スプレーされてくる蓄冷液Lによって簡単に洗い落とされ、そのまま蓄冷液Lを沈降して蓄冷タンク1の底部に溜められることになる。従って、蓄冷タンク1の蓄冷液Lは、常に低層部の温度が低く、上層部(液面付近)の温度が高い状態となった温度分布が発生する。
【0022】そして、このような作用を繰り返すことにより、LNGから放出された冷熱が蓄冷液Lを媒介として蓄冷タンク1内に効果的に蓄えられることになる。
【0023】次に、例えば、需要が減って余剰となった天然ガスを再液化する場合には、弁9a,9b、10a,10bを操作してエバポレータ3側を閉じると共に、コンデンサ2側を開いて天然ガスライン7からコンデンサ2内に天然ガスを流す。このコンデンサ2の周囲には冷却された蓄冷液L及び凍結した蓄冷材が溜まっているため、コンデンサ2内に流れ込んだ天然ガスはこれによって効果的に冷却(放熱)されるため、その後の再液化が容易に行われることになる。尚、このコンデンサ2による天然ガスの冷却に際して、その上流側に圧縮ポンプ(図示せず)を設け、コンデンサ2内圧を高くしておけば、このコンデンサ2内で再液化を行うことも可能となる。そして、この天然ガスの冷却に際して暖められた蓄冷液Lは比重が軽くなって液面付近に上昇して溜まり、次回のLNGのガス化の際に利用されることになる。
【0024】このように本発明は、蓄冷液Lが溜められた密閉タンク1内に、コンデンサ2とエバポレータ3とを上下に収容すると共に、このエバポレータ3に高温の蓄冷液をスプレーするスプレー手段4を設けたことから、一つの密閉タンク1で冷熱の回収及び再利用を効果的に行うことができる。
【0025】次に、図2は本発明の他の実施の一形態を示したものであり、本実施の形態に示すような構成をしても上記と略同様な作用効果を得ることができる。
【0026】すなわち、本実施の形態は、コンデンサ2のみならずエバポレータ3も完全に水没するように蓄冷液Lの量を増やすと共に、上述したスプレー手段4に代えて液面付近の比較的高温の蓄冷液Lを強制的にエバポレータ3側に吹き付けて凍結物の付着を防止するジェット噴射手段17を設けたものである。
【0027】従って、本実施の形態では、密閉タンク1の容量を変えることなく蓄冷液Lの量が増大するため、冷熱の回収量、再利用量のいずれも増大することが可能となり、さらに熱効率に優れた蓄冷装置を得ることができる。
【0028】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、一つの密閉タンク内で低温液体の冷熱回収と回収された冷熱の再利用を効果的に行うことができるため、設置費は勿論、LNG等の低温液体のガス化及び再液化に要する運転コストの低減を達成できる等といった優れた効果を発揮することができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開平11−173779
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−335606