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【発明の名称】 冶金炉における水冷パネルの取り付け構造
【発明者】 【氏名】山中 光弘

【氏名】渡部 雅之

【氏名】関口 毅

【氏名】田口 憲彦

【氏名】岩崎 克博

【氏名】磯崎 進市

【氏名】川上 正弘

【要約】 【課題】冶金炉炉壁に複数の水冷パネルを並べて設け、この水冷パネルを交換する際に、健全な他の水冷パネルを損傷することなく、目的とする水冷パネルのみの交換を可能とする。

【解決手段】冶金炉炉壁に水冷パネル4を設ける際に、水冷パネルと水冷パネルとの間に、炉体鉄皮2に取り付けられた金属製の仕切り材8を設けると共に、水冷パネルと仕切り材と炉体鉄皮とで囲まれる範囲に不定形耐火物層9を設け、隣接する水冷パネルと独立して取り付ける。その際、仕切り材を炉体鉄皮側から炉内に向かって狭くなる楔型とすることで、水冷パネルの交換が一層容易になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冶金炉炉壁に複数の水冷パネルを並べて設ける際に、水冷パネルと水冷パネルとの間に、金属製の仕切り材を炉体鉄皮に取り付けて設けると共に、水冷パネルと仕切り材と炉体鉄皮とで囲まれる範囲に、不定形耐火物層を設けたことを特徴とする冶金炉における水冷パネルの取り付け構造。
【請求項2】 前記仕切り材の断面が、炉体鉄皮側から炉内に向かって狭くなる楔型であることを特徴とする請求項1に記載の冶金炉における水冷パネルの取り付け構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内面を耐火物で構築された転炉、電気炉、溶融還元炉等の各種冶金炉の炉壁の一部に、水冷パネルを並べて取り付ける際の取り付け構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】転炉、電気炉、溶融還元炉等の各種冶金炉の炉壁内面は、一般的には耐火物で構築される。しかし、この耐火物の炉壁は、溶鋼等の溶融金属に浸漬している部分では比較的損傷が少ないものの、溶融スラグと接触する部分や高温ガスにさらされる部分では損傷が激しく、短期間で取り替える必要が生じ、そのため、炉体の耐用性向上対策として、溶融金属に浸漬されない部分を金属製の水冷パネルとして構築することが提案されている。
【0003】例えば、特開平4−316983号公報には、水冷パネルとこれに隣接する内張り煉瓦との境界に、金属板やセラミック板を仕切り材として挿入し介在させると共に、水冷パネルと炉体鉄皮との間に不定形耐火物層を設けた冶金炉の炉壁構造が開示されている。同号公報によれば、仕切り材は水冷パネルと炉体鉄皮との間に流し込まれる不定形耐火物の型枠になると共に、水冷パネルによる内張り煉瓦の過冷却を防止するので、炉体の耐用性が向上するとしている。
【0004】又、特開平4−316984号公報には、四周に予め薄鋼板を溶接した水冷パネルを内張り煉瓦と接して設置すると共に、水冷パネルと薄鋼板と炉体鉄皮とで囲まれる範囲に不定系耐火物が充填された冶金炉の炉壁構造が開示されている。同号公報によれば、水冷パネルは薄鋼板で周囲を囲まれているので、仮に水冷パネルから漏水しても漏水が金属浴に侵入することがないとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】炉壁の一部に1個の水冷パネルを設置する場合には、特開平4−316983号公報及び特開平4−316984号公報に開示された技術は有効であるが、例えば炉周全体に水冷パネルを設置する場合、多数の水冷パネルを並べて配置する必要がある。しかし、前記2つの公報は、水冷パネルを並べて配置することについては何ら記載していない。
【0006】そこで発明者等は、図7に示すように、水冷パネル4をボルト10及びナット11にて炉体鉄皮2に取り付けると共に、水冷パネル4と炉体鉄皮2との間に不定系耐火物層9を設けて水冷パネル4を並べて配置した。尚、図7において4a、4bは別の水冷パネル、9a、9bは各々水冷パネル4a、4bの背面の不定系耐火物層である。
【0007】各水冷パネル4、4a、4bの使用中の損傷程度は、溶融金属の飛散等により異なり、例えば図7で水冷パネル4のみ交換する場合、ナット11を外した後、炉内側からユンボ等に取り付けられた除去用工具17により、水冷パネル4を一部破損しながら取り除く。この場合、周囲の水冷パネル4a、4b等を無傷のままとして水冷パネル4のみを取り外すことは極めて困難であり、結局、周囲の水冷パネル4a、4b等も犠牲にせざるを得ない。又、周囲の不定形耐火物層9a、9bの損傷も激しくて補修する必要が生じ、従って、補修費の増大や補修時間の延長といった問題があった。
【0008】本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、並べて配置した水冷パネルの交換の際に、他の水冷パネル及び他の不定系耐火物層を損傷することなく、目的とする水冷パネルのみの交換が可能な水冷パネルの取り付け構造を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明による冶金炉における水冷パネルの取り付け構造は、冶金炉炉壁に複数の水冷パネルを並べて設ける際に、水冷パネルと水冷パネルとの間に、金属製の仕切り材を炉体鉄皮に取り付けて設けると共に、水冷パネルと仕切り材と炉体鉄皮とで囲まれる範囲に、不定形耐火物層を設けたことを特徴とするものである。
【0010】又、第2の発明による冶金炉における水冷パネルの取り付け構造は、第1の発明において、仕切り材の断面が、炉体鉄皮側から炉内に向かって狭くなる楔型であることを特徴とするものである。
【0011】各水冷パネルは炉体鉄皮に取り付けた金属製の仕切り材により隔離され、又、水冷パネルと炉体鉄皮との間に充填される不定形耐火物層も仕切り材で分離されるので、他の水冷パネル、及び他の水冷パネルと炉体鉄皮との間に設けた不定形耐火物層を共に損傷することなく、目的とする水冷パネルのみの交換が可能となる。又、仕切り材は金属製であるので、交換作業により破損することがない。
【0012】そして、仕切り材を、その断面が炉体鉄皮側から炉内に向かって狭くなる楔型とすることで、不定形耐火物層の取り出しが容易になり、水冷パネルの交換作業が迅速に行われる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。図1は、本発明に基づき水冷パネルを設置した鉄鉱石の溶融還元炉の操業状態を示す断面概要図、図2は、図1の水冷パネル部を炉内側から見た概要図、図3は、図1の水冷パネル部の縦断面概要図である。
【0014】これらの図において、炉体鉄皮2の内面を内張り煉瓦3と銅製の水冷パネル4とで構築された溶融還元炉1は、内部に溶銑6と溶融スラグ7とを有し、上吹きランス5から酸素が吹き込まれて鉄鉱石を還元している。
【0015】水冷パネル4は、溶銑6と直接接触しないように、溶融スラグ7の存在する位置の炉周全体に渡って並べて設けられ、そして、水冷パネル4の配置は縦方向に4段として、各段毎に水冷パネル4の幅(W)の半分づつずれた、所謂千鳥配置となっている。
【0016】水冷パネル4は、溶接等により炉体鉄皮2の内面に取り付けられた金属製の仕切り材8で周囲を囲まれた位置に、炉体鉄皮2を貫通するボルト10、10とナット11、11とで固定されている。そして、水冷パネル4と仕切り材8と炉体鉄皮2とに囲まれる範囲には、不定形耐火物が充填された不定形耐火物層9が形成されている。水冷パネル4は、炉体鉄皮2を貫通する給水配管12と排水配管13とを介して内部に冷却水が通り、冷却される。不定形耐火物層9は、注入孔栓15を外した注入孔14から、不定形耐火物が流し込まれて形成される。このようにして取り付けられることで、水冷パネル4は上下の水冷パネル4a、4bと隔離され、又、不定形耐火物層9も上下の不定形耐火物層9a、9bと分離される。
【0017】仕切り材8は鋼やステンレス鋼製とし、その断面形状を炉体鉄皮2側から炉内に向かって狭くなる楔型としている。図3では2枚の平鋼板を組み合わせて楔型としているが、1枚の平鋼板を折り曲げたものや、楔型の鋼片としても良い。仕切り材8の炉体鉄皮2からの突出長さ(L)は、水冷パネル4の炉体鉄皮2側の面の位置を超える長さとして、不定形耐火物層9が上下左右で他の不定形耐火物層9と連結することを防止する。しかし、突出長さ(L)は水冷パネル4の炉内側の面を超える長さは必要なく、水冷パネル4の炉内側の面以内に抑えれば良い。尚、仕切り材8を溶接により炉体鉄皮2と取り付ける必要はなく、他の取り付け方法、例えばボルト等であっても良い。
【0018】内張り煉瓦3と水冷パネル4との境界にも仕切り材8を設けるが、この仕切り材8は、水冷パネル4側の面のみに傾斜を付け、内張り煉瓦3と接する面は平面として内張り煉瓦3を支持する。
【0019】次に水冷パネル4の交換方法を図4〜図6に従って説明する。図4は、水冷パネル4を取り外す直前の状態を示す図であり、図4に示すように、先ず給水配管12及び排水配管13を炉体鉄皮2の外側で切断すると共に、ナット11、11、及び注入孔栓15、15を外し、次いで、エアーハンマー等に取り付けた工具16を注入孔14から挿入して不定形耐火物層9を砕いて削り取る。その後、水冷パネル4を炉内側へ外す。
【0020】図5は、水冷パネル4を取り外した後の状態を示す図であり、図5に示すように、不定形耐火物層9を仕切り材8や炉体鉄皮2から除去して、不定形耐火物層9の残留量をできるだけ少なくする。残留量が多いと次回の不定形耐火物層9が脆弱となり都合が悪い。
【0021】図6は、新たに水冷パネル4を設置する状態を示す図であり、図6に示すように、炉内側からボルト10、10、及び給水配管12、排水配管13を炉体鉄皮2に貫通させて水冷パネル4を取り付ける。次いで、ナット11、11で水冷パネル4を固定させ、注入孔14より不定形耐火物を流し込み、不定形耐火物層9を形成する。その後、注入孔栓15、15を取り付けると共に、給水配管12及び排水配管13を連結して交換作業を終了する。
【0022】このようにして水冷パネル4の交換作業を行うことで、他の水冷パネル4a、4bや他の不定形耐火物層9a、9bに損傷を与えることなく、目的とする水冷パネル4のみの交換が可能となる尚、上記説明では、溶融還元炉1に水冷パネル4を設置した場合であるが、電気炉や転炉でも上記に説明した方法で本発明を適用することができ、又、水冷パネル4の配置は千鳥配置としているが、千鳥配置に限らず他の配置、例えば碁盤目であっても、本発明は支障なく実施できる。更に、水冷パネル4の形状や水冷パネル4と炉体鉄皮2との取り付け方法等は上記の説明に限るものではなく、機能が同一であれば本発明の適用に妨げとならないことはいうまでもない。
【0023】
【発明の効果】本発明では、水冷パネルと水冷パネルとの間に、炉体鉄皮に取り付けられた金属製の仕切り材を設けるので、水冷パネルの交換の際に、他の水冷パネルや他の不定形耐火物層を損傷することなく、目的とする水冷パネルのみの交換が可能となり、その結果、短時間で且つ安価に補修が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】高野 茂
【公開番号】 特開平11−118361
【公開日】 平成11年(1999)4月30日
【出願番号】 特願平9−287189