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【発明の名称】 熱処理炉
【発明者】 【氏名】小山 博

【要約】 【課題】臭気除去のための排気ガスの燃焼時間を長くし、かつ、設備の大型化を防止できる臭気除去手段を備えた熱処理炉を提供する。

【解決手段】ワークを収容する熱処理ゾーン3と、ワークを加熱するワーク加熱ヒータ5と、熱処理ゾーン3内で生じる排気ガスを排出するガス排出口7と、ガス排出口7に連通するとともに、排気ガスの臭気を除去する臭気除去手段9とからなる熱処理炉1であって、臭気除去手段9は、排気ガスの流入部9a1と排出部9a2とを備えたケース本体9aと、排気ガスを加熱するガス加熱ヒータ9bとからなり、ケース本体9a内は、複数の小部屋9cに分割され、各小部屋9cは、排気ガスがケース本体9aの流入部9a1から排出部9a2までに各小部屋9cを通過するように設けられた通路でつながっていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ワークを収容する熱処理ゾーンと、ワークを加熱する加熱手段と、前記熱処理ゾーン内で生じる排気ガスを排出するガス排出手段と、前記ガス排出手段に連通するとともに、前記排気ガスの臭気を除去する臭気除去手段とからなる熱処理炉であって、前記臭気除去手段は、前記排気ガスの流入部と排出部とを備えたケース本体と、前記排気ガスを加熱するガス加熱ヒータとからなり、前記ケース本体内は、複数の小部屋に分割され、各小部屋は、前記排気ガスがケース本体の流入部から排出部までに各小部屋を通過するように設けられた通路でつながっていることを特徴とする熱処理炉。
【請求項2】 前記小部屋は、その長手方向が前記ケース本体の長手方向と略平行となるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の熱処理炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱処理炉、特に、排気ガスを脱臭する手段を備えた熱処理炉に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、セラミックからなるワーク(以下、ワークとする)の熱処理にあたっては、熱処理炉が用いられている。ワークの熱処理には、ワーク内のバインダ成分を加熱分散させる脱脂工程と、ワークを焼結させる本焼成工程の2種類がある。いずれの場合でも、これらの処理を行った後、熱処理炉から排気ガスが排出されることになる。この排気ガスは、臭気が強いため、処理にあたっては、環境汚染に対する考慮を払いながら行う必要があった。
【0003】この排気ガスの処理方法の一つとして、排気ガスを液化して集める方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、排気ガスを液化することによって、排気ガスの臭気が強まるほか、さらに、燃焼によって臭気を除去せねばならず、処理に手間がかかるという問題があった。
【0004】また、他の処理方法としては、排気ガスを直接燃焼させて臭気を除去するという方法がある。この方法では、ランニングコストが安いという利点があるものの、大がかりな設備が必要であるという問題があった。
【0005】そこで、特開平6−229526号公報において、この排気ガスを燃焼させるという方法で、設備を小型化し、かつ、構造も簡易にしたガス加熱装置が考案されている。このガス加熱装置を図5に示す。図5に示すように、このガス加熱装置20は、内径が約50mmで、全長が約600mmのスパイラル状のSiCヒータ22と、このSiCヒータ22の内面に外径が略密着し、SiCヒータ22内に途中まで挿入されている全長が約400mmのセラミックチューブ23と、SiCヒータ22とセラミックチューブ23とを囲むように設けられ、排気口21aを有する炉室21とからなる。
【0006】熱処理炉(図示しない)から排出された排気ガスは、図5中の二点鎖線で示す流動経路24に沿って流動しながら、燃焼する。すなわち、セラミックチューブ23内に送り込まれ、その先端から排出される。このとき、セラミックチューブ23の外側を覆っているSiCヒータ22が1000℃程度に発熱しているため、排気ガスがSiCヒータ22のスパイラル状となっている隙間22aから炉室21内に放出される間に燃焼され、臭気が除去される。そして、臭気が除去された排気ガスは、炉室21に設けられた排出口21aから大気中へ排出されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の図5に示すようなガス加熱装置1を備えた熱処理炉では、以下のような問題点があった。すなわち、熱処理ゾーン(図示しない)から排出された排気ガスは、SiCヒータ22の内側に設けられているセラミックチューブ23内を通過している間と、セラミックチューブ23の先端からSiCヒータ22のスパイラル状となっている隙間22aから放出される間とで加熱され、燃焼する。しかしながら、熱処理ゾーンから排出される排気ガスの量が多い場合には、排気ガスの燃焼時間が短いため、排気ガスの臭気が十分に除去されないという問題点がある。
【0008】また、排気ガスの燃焼時間を長くするためには、SiCヒータ22およびセラミックチューブ23の長さを長くしなければならないため、設備が大型化してしまうという問題点がある。
【0009】本発明の目的は、排気ガスの燃焼時間を長くし、かつ、設備の大型化を防止できる臭気除去手段を備えた熱処理炉を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記のような目的に鑑みてなされたものである。第1の発明の熱処理炉は、ワークを収容する熱処理ゾーンと、ワークを加熱する加熱手段と、前記熱処理ゾーン内で生じる排気ガスを排出するガス排出手段と、前記ガス排出手段に連通するとともに、前記排気ガスの臭気を除去する臭気除去手段とからなる熱処理炉であって、前記臭気除去手段は、前記排気ガスの流入部と排出部とを備えたケース本体と、前記排気ガスを加熱するガス加熱ヒータとからなり、前記ケース本体内は、複数の小部屋に分割され、各小部屋は、前記排気ガスがケース本体の流入部から排出部までに各小部屋を通過するように設けられた通路でつながっていることを特徴とする。
【0011】このような構成にすることによって、熱処理ゾーンから排出された排気ガスを長時間燃焼させることによって、臭気を完全に除去することができる。また、排気ガスを臭気除去手段のケース本体内を巡回させるように通路を設けることによって、小さなスペースで長時間燃焼させることができる。
【0012】また、第2の発明の熱処理炉においては、前記小部屋は、その長手方向が前記ケース本体の長手方向と略平行となるように設けられていることが好ましい。
【0013】このような構成にすることによって、排気ガスの流通を妨げる要因となる排気ガスの通路の曲折箇所が少なくなり、よりスムーズに排気ガスを流通させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の熱処理炉は、ワークを収容する熱処理ゾーンと、ワークを加熱する加熱手段と、熱処理ゾーン内で生じる排気ガスを排出するガス排出手段と、ガス排出手段に連通するとともに、排気ガスの臭気を除去する臭気除去手段とからなる。そして、臭気除去手段は、排気ガスの流入部と排出部とを備えたケース本体と、排気ガスを加熱するガス加熱ヒータとからなり、ケース本体内は、複数の小部屋に分割され、各小部屋は、排気ガスがケース本体の流入部から排出部までに各小部屋を通過するように通路を設けたという構成になっている。
【0015】本発明の熱処理炉の形状は、バッチ式炉でもよいし、連続式炉でもよく、この形状によって、本発明の効果が損なわれるというものではない。
【0016】また、上記加熱手段は、SiCや金属等からなる電気ヒータや、燃料ガスを燃焼させてワークの加熱を行うガスバーナ等が挙げられるが、所望の熱処理ができるものであれば、特にこれらに限定するものではない。
【0017】また、上記ガス排出手段は、上記熱処理ゾーン内に生じた排気ガスを熱処理ゾーン外へ排出するためのもので、排出効率をよくするという理由から、熱処理ゾーンの天井部に設けることが好ましい。また、ガス排出手段は、単なる排気口でもよいし、積極的に熱処理ゾーンの排気ガスを熱処理ゾーン外へ排出する吸引ファン等の機構を備えていてもよい。
【0018】また、上記臭気除去手段の設置位置は、上記ガス排出手段と連通していれば、特に限定するものではないが、熱処理炉の設置面積を小さくするという理由と、ガス排出手段の位置に近づけるという理由とで、熱処理ゾーンの上方に設置されることが好ましい。また、臭気除去手段は、排気ガスを燃焼させて臭気を除去することから、集めた排気ガスを冷却しない方がよいため、臭気除去手段とガス排出手段との距離はできるだけ小さい方がよく、臭気除去手段は、熱処理ゾーンの近くに設けられることが好ましい。
【0019】また、上記ガス加熱ヒータは、排気ガスを加熱し、燃焼分解させることによって排気ガスの臭気を除去するためのもので、それ自体から排気ガスが生じない電気ヒータを用いることが好ましい。なお、接続端子を片側に集中させることができ、臭気除去手段の小型化が図れるという点で、スパイラルヒータやコの字型ヒータを用いることがより好ましい。また、ガス加熱ヒータによる加熱は、一般的に700〜800℃程度となっているが、排気ガスを完全燃焼させるために、1000℃程度にまで加熱することができるガス加熱ヒータを用いることが好ましい。
【0020】また、上記ケース本体に設けられる流入部は、上記ガス排出手段に連通している。流入部には、熱処理ゾーンからの排気ガスを積極的に吸引する機構を備えてもよいし、単なる流入口としてもよい。
【0021】また、上記ケース本体に設けられる排出部は、臭気除去手段内で臭気を除去された排気ガスをケース本体外に排出するためのもので、排気ガスの排出がスムーズに行えれば、その構造などは特に限定しない。具体的には、ケース本体外まで排出管を設けるとともに、トランスベクタや吸引ファン等により、ケース本体内の排気ガスを吸引して排出する機構を備えた構成などが挙げられる。
【0022】さらに、上記ケース本体およびケース本体内に小部屋を設けるための仕切部材は、ステンレス、インコネル等の耐熱金属、もしくは、アルミナ等のセラミックからなることが好ましい。なお、ケース本体の外側もしくは内側には、断熱材が設けられている。また、ケース本体内における排気ガスの流路は、上記仕切部材に導通口を設けることによって形成される。
【0023】次に、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明する。
【0024】
【実施例】本発明の一実施例である熱処理炉を説明する。図1は本発明の熱処理炉の概略断面斜視図、図2は本発明の熱処理炉における臭気除去手段の一部断面斜視図、図3、図4は本発明の熱処理炉における臭気除去手段の他の実施例を示す概略断面図を示す。
【0025】図1に示すように、本発明の熱処理炉1は、ワーク(図示しない)を加熱するための熱処理ゾーン3と、ワークを加熱するワーク加熱ヒータ(加熱手段)5と、排気ガスを熱処理ゾーン3内から排出するガス排出口(ガス排出手段)7と、熱処理ゾーン3内から排出された排気ガスの臭気を除去する臭気除去手段9とからなる。
【0026】熱処理ゾーン3は、その内部にワークを収納し、加熱を行うための空間であり、炉壁3aおよび炉床3bによって形成されている。また、炉壁3aおよび炉床3b内には、熱処理ゾーン3内の加熱された雰囲気が外部に漏れにくくするために、断熱材が設けられている。
【0027】ワーク加熱ヒータ5は、熱処理ゾーン3内に設けられ、熱処理ゾーン3内に収納されたワークの加熱を行う。本実施例では、ワーク加熱ヒータ5として、棒状ヒータを複数並列して熱処理ゾーン3内に配設しているが、特に、棒状ヒータでなくともよい。また、所望の熱処理温度が得られるのであれば、炉壁3aの中に埋設してもよい。
【0028】ガス排出口7は、熱処理ゾーン3の天井部の略中央に設けられており、熱処理によって発生した排気ガスを熱処理ゾーン3から排出する流路となっている。また、ガス排出口7は、臭気除去手段9に連通するように設けられている。
【0029】臭気除去手段9は、排気ガスの流入部9a1と排出部9a2とを備えたケース本体9aと、排気ガスの加熱を行うガス加熱ヒータ9bと、排気ガスの流動経路となる複数の小部屋9cとからなる。
【0030】臭気除去手段9のうちケース本体9aは、その底面に熱処理ゾーン3から排出されてくる排気ガスを取り入れる流入部9a1とケース本体9a内で燃焼させた排気ガスを大気中へ排出する排出部9a2とを有する直方体状のケースである。なお、本実施例中のケース本体9aの大きさは、220mm(縦方向)×220mm(横方向)×600mm(長手方向)である。また、ケース本体9aは、セラミックファイバー等の断熱材を有し、熱処理ゾーン3の天井部に近接して設けられている。
【0031】また、流入部9a1は、ケース本体9aの下面に設けられた直径10mmの排気ガスの流入口であり、ガス排出口7と連通している。
【0032】また、排出部9a2は、ケース本体9aの上部であり、かつ、排気ガスの流路の終点近傍である箇所に設けられている。本実施例では、燃焼させた排気ガスを積極的に大気中へ排出するために、排出部9a2にトランスベクタを用いている。なお、排出部9a2にトランスベクタを用いることにより、その巻き込みエアに燃焼させた排気ガスを巻き込んで、効率よく排出することができるとともに、排気ガスがトランスベクタが吸引したエアに希釈されることにより、その温度を低下させて排出することができる。
【0033】また、図2に示すように、臭気除去手段9のうちガス加熱ヒータ9bは、棒状のSiCヒータを各小部屋9cの長手方向にそって、各小部屋9cに1本、合計4本配設されている。本実施例では、ガス加熱ヒータ9bを4本配設しているが、特に各小部屋9cにつき1本の割合で配設する必要はなく、1つの小部屋を複数本のガス加熱ヒータで加熱するという構成にしてもよいし、複数の小部屋を1本のガス加熱ヒータで加熱するという構成にしてもよい。
【0034】臭気除去手段9のうち小部屋9cは、ケース本体9aを断熱材であるセラミックファイバーからなる仕切板9dで複数に仕切ったものである。それぞれの小部屋は1箇所の導通口9d1によってつながっており、流入部9a1からきた排気ガスが二点鎖線で示す流動経路11に沿って、各小部屋9cをそれぞれ通過して排出部9a2へと到達するようになっている。導通口としては、仕切板に導通穴を開けたものや、各小部屋を連絡する導通パイプ等がある。なお、仕切板9dとしては、各小部屋9c間の排気ガスの漏出をできるだけ防止するため、なるべく緻密な材質のものを用いることが好ましい。
【0035】また、小部屋9cの数としては、特に4つに限定するものではなく、スペース的な余裕があれば、図3に示すように、6つにしてもよいし、図4に示すように9つにしてもよい。
【0036】なお、本実施例においては、バッチ式の熱処理炉を用いているが、特にバッチ式に限らず、連続式熱処理炉においても、本発明の効果が表れることは言うまでもない。
【0037】次に、本発明の熱処理炉1を用いた排気ガスの臭気除去工程を説明する。1.熱処理ゾーン3内でワークを加熱する。
【0038】2.熱処理ゾーン3内で生じた排気ガスを排気口7によって、流入部9a1を介して臭気除去手段9内に流入させる。
【0039】3.排気ガスが全ての小部屋9cを循環するような流動経路11となるようにガスを流動させ、その間にガス加熱ヒータ9bによって、排気ガスを燃焼させる。
【0040】4.排出部9a2から燃焼させた排気ガスを大気中に排出する。
【0041】
【発明の効果】本発明の熱処理炉は、ワークを収容する熱処理ゾーンと、ワークを加熱する加熱手段と、熱処理ゾーン内で生じる排気ガスを排出するガス排出手段と、ガス排出手段に連通するとともに、排気ガスの臭気を除去する臭気除去手段とからなり、この臭気除去手段は、排気ガスの流入部と排出部とを備えたケース本体と、排気ガスを加熱するガス加熱ヒータとからなり、ケース本体内は、複数の小部屋に分割され、各小部屋は、排気ガスがケース本体の流入部から排出部までに各小部屋を通過するように設けられた通路でつながっているという構成をとっているので、排気ガスの燃焼時間を長くし、かつ、設備の大型化を防止できる臭気除去手段を備えた熱処理炉とすることができる。
【出願人】 【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
【出願日】 平成9年(1997)11月27日
【代理人】
【公開番号】 特開平11−159965
【公開日】 平成11年(1999)6月15日
【出願番号】 特願平9−326440