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【発明の名称】 吸収冷温水装置とその運転方法
【発明者】 【氏名】井上 修行

【要約】 【課題】冷房負荷及び暖房負荷がなくても、熱源を放出するラジエータの役目を兼用し、燃料電池の冷却をすべてできる吸収冷温水装置を提供する。

【解決手段】発生器G、凝縮器C、吸収器A、蒸発器E、溶液熱交換器Hを主要構成機器とし、前記吸収器、凝縮器には冷却水配管を接続した吸収冷温水装置において、発生器又は凝縮器の冷媒蒸気を、吸収器又は蒸発器に導く冷媒蒸気配管8を設け、該配管には冷媒蒸気弁V1 を設け、前記冷却水配管には冷却水の流量を調節する機構21を設けたものであり、さらに前記蒸発器を通る外部流体通路に冷温水温度検出器TC 、発生器を通る外部流体通路に熱源温度検出器TH を設け、冷房時には、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁を調節し、暖房時には、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁及び冷却水流量を調節して運転する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、溶液熱交換器を主要構成機器とし、これらを溶液配管、冷媒配管で結んでサイクルを構成し、前記吸収器、凝縮器には冷却水配管を接続した吸収冷温水装置において、発生器又は凝縮器の冷媒蒸気を、吸収器又は蒸発器に導く冷媒蒸気配管を設け、該蒸気配管には冷媒蒸気弁を設けると共に、前記冷却水配管には冷却水の流量を調節する機構を設けたことを特徴とする吸収冷温水装置。
【請求項2】 請求項1記載の吸収冷温水装置において、前記蒸発器を通る外部流体通路に冷温水温度検出器を設け、発生器を通る外部流体通路に熱源温度検出器を設けるとともに、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁又は冷媒蒸気弁及び冷却水流量の調節を行う機構としたことを特徴とする吸収冷温水装置。
【請求項3】 請求項2記載の吸収冷温水装置の運転方法において、冷房時には、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁を調節して運転し、暖房時には、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁及び冷却水流量を調節して運転することを特徴とする吸収冷温水装置の運転方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸収冷温水装置に係り、特に、燃料電池を核にしたコ・ジェネ システムの排出熱などを熱源として運転する吸収冷温水装置とその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】通常、吸収冷凍機では、冷房運転時は、吸収器、凝縮器に冷却水を通水し、発生器に熱源となる温水(エンジンの排出熱、燃料電池の放出熱など)を通し、蒸発器から、冷房用の冷水を取り出す。冷房サイクルは通常の吸収冷凍サイクルで運転される。一方、暖房の場合は、熱源となる温水と、暖房用温水とを直接、熱交換させてもよいのであるが、空調用流体(冷水、温水)の経路が、冷房と暖房とで異なり、切替弁が必要になる。すなわち、冷水は蒸発器から、温水は熱源温水と暖房温水との熱交換器から得ることになる。
【0003】また、エンジンの排出熱や燃料電池の放出熱などを熱源として運転する吸収冷凍装置では、吸収冷凍装置の役目として冷水を製造する以外に、熱源である排出熱を冷却する役目がある。通常、エンジンの排出熱や燃料電池の放出熱などを熱源として運転する吸収冷凍装置では、発生器に入る熱源の量(温水流量あるいは蒸気量)を調節して、冷水温度を制御し、熱源温度が高すぎる場合には、ラジエータ(あるいは冷却器)を用いて、熱源の熱を放出するのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、同一の機器から温度制御された冷水、温水が取り出せ、しかも冷房負荷及び暖房負荷がなくても、熱源を放出するラジエータ(あるいは冷却器)の役目を兼用し、燃料電池の冷却をすべて行うことのできる吸収冷温水装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、発生器、凝縮器、吸収器、蒸発器、溶液熱交換器を主要構成機器とし、これらを溶液配管、冷媒配管で結んでサイクルを構成し、前記吸収器、凝縮器には、冷却水配管を接続した吸収冷温水装置において、発生器又は凝縮器の冷媒蒸気を、吸収器又は蒸発器に導く冷媒蒸気配管を設け、該蒸気配管には冷媒蒸気弁を設けると共に、前記冷却水配管には冷却水の流量を調節する機構を設けることとしたものである。また、本発明では、前記吸収冷温水装置において、蒸発器を通る外部流体通路に冷温水温度検出器を設け、発生器を通る外部流体通路に熱源温度検出器を設けるとともに、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁又は冷媒蒸気弁及び冷却水流量の調節を行う機構としたものである。
【0006】前記吸収冷温水装置の運転方法において、冷房時には、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁を調節して運転し、暖房時には、前記冷温水温度検出器及び熱源温度検出器からの検出値を基に冷媒蒸気弁及び冷却水流量を調節して運転することとしたものである。このように、本発明では、暖房時の熱源温度制御のために、冷却水流量を調節する機構を設け、暖房時の熱源過剰時に冷却水を流量を多くして熱源を冷却するようにし、加熱された冷却水は冷却塔で放熱するようにし、熱源が不足するときは冷却水を流さないようにする。このように過剰熱源を吸収冷温水機経由で冷却塔に放熱することができ、燃料電池の冷却をこの冷温水機のみで行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明では、発生器に入ってくる熱源熱量は、直接的には調節せず、発生器に入ってきた熱源で、溶液を常に加熱濃縮する。冷水の温度制御は、冷水温度が高い場合すなわち、冷凍機の冷凍能力が、冷房負荷より小さい場合は、冷媒蒸気弁を閉止する。それでも高い場合、熱源熱量が不足しており、制御の範囲外である。冷水温度が低い場合すなわち、冷凍機の冷凍能力が、冷房負荷より大きい場合は、高圧側(発生器及び凝縮器)の冷媒蒸気を、冷媒蒸気弁を通して、低圧側(吸収器及び蒸発器)に放出する。吸収器では、高圧側からの冷媒蒸気と、蒸発器からの冷媒蒸気とを吸収することになり、蒸発器での冷媒蒸発量が制限され、冷凍機の能力を減少させることができる。熱源温度は、高すぎると燃料電池の冷却に支障をきたすが、低下に対しては、特に考慮しなくてよい。吸収冷凍機の熱源として使って、燃料電池に支障をきたすほど低下することはない。
【0008】熱源温度が高い場合(熱源が過剰の場合)は、冷媒蒸気弁を開方向にして、発生器又は凝縮器の冷媒蒸気を、吸収器又は蒸発器に放出し、発生器の冷媒蒸気圧を低下させ、それに伴い発生器溶液の温度を低下させて、発生器で熱源の熱量を消費させて、熱源温度あるいは熱源蒸気圧を低下させる。また、この装置を暖房運転に用いる場合は、冷却水の導入をとめて、冷媒蒸気を蒸発器で凝縮させて、蒸発器の外部液通路に温水を通すと暖房運転ができる。暖房運転中に熱源温度が高い場合は、冷却水の流量を調節することにより、熱源水温度を冷却できる。そして、本発明においては、蒸発器を通る外部流体通路に温度検出器を設けて該流体温度を検出し、また発生器を通る外部流体通路には熱源温度検出器を設けて、該流体の温度又は蒸気圧を検出して、該検出値に基づいて、冷媒蒸気弁及び冷却水流量を調節する機構としているため、自動的に冷温水温度及び熱源温度が制御でき一定に保つことができる。
【0009】次に、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1に本発明の吸収冷温水装置のフロー構成図を示す。図1において、Gは発生器、Aは吸収器、Eは蒸発器、Cは凝縮器、Hは溶液熱交換器、V1 は冷媒蒸気弁、11、12はポンプ、TH は熱源温度検出器、TC は冷水温度検出器、17は冷却塔、管1〜4は溶液通路、管5〜6は冷媒通路、管8は冷媒蒸気配管、管13、14は熱源通路、管18は冷水通路、19〜20は冷却水通路、21は冷却水三方弁、22は冷却水ポンプを示す。
【0010】次に、この装置を用いた冷房サイクルを説明する。冷媒を吸収した希溶液は吸収器Aから管1を通り、ポンプ11により熱交換器Hの被加熱側に送られ、熱交換により加温された希溶液は管2を通り発生器Gに導入される。発生器Gでは、管13で燃料電池からの温水等の熱源により加熱されて、吸収した冷媒蒸気を蒸発して濃縮される。濃縮された濃溶液は管3から熱交換器Hの加熱側を通って、管4から吸収器Aに導入され再び冷媒を吸収して希溶液となって管1から循環される。一方、発生器Gで発生し冷媒蒸気は凝縮器Cに至り、凝縮器C中の冷却水によって冷却されて凝縮し、管5から蒸発器Eに導入される。蒸発器Eでは、冷媒は冷水から熱を奪い、冷凍効果を発揮して蒸発する。蒸発した冷媒蒸気は吸収器Aで溶液に吸収される。吸収の際の吸収熱は吸収器Aを流れる管19からの冷却水により冷却される。
【0011】このような冷房サイクルにおいては、図2、図4のように制御する。まず、冷水温度が冷水目標温度TCoより低い場合は、凝縮器から蒸発器に導く冷媒蒸気配管8の冷媒蒸気弁V1 の開度を調節することにより行う。次いで、冷水温度検出器TC 及び熱源温度検出器TH により、冷水温度及び熱源温度を検出し、その検出値に基づいて、冷媒蒸気弁V1 を調節する。また、冷水温度が目標温度より高い場合は、冷媒蒸気弁は全閉とする。そして、熱源温度が熱源目標温度TSoより低い場合は、冷水温度に関係なく、吸収器及び凝縮器に通す冷却水の流量を減少させ、逆に目標温度より高い場合は冷水温度に関係なく冷却水流量を増加させる。そして、冷水温度の制御は冷媒蒸気弁で行う。
【0012】次に、暖房サイクルについて説明する。暖房サイクルでは、発生器Gで溶液が熱源により加熱され、発生した冷媒蒸気を凝縮器Cから冷媒蒸気弁V1 を経由して蒸発器Eに導き、蒸発器Eで凝縮させることにより温水を得る。凝縮した冷媒液は、蒸発器Eから溶液系(吸収器A又は吸収器出口配管1)に戻す。蒸発器Eから溶液系に戻す方法としては、蒸発器Eをオーバフローさせて吸収器Aに流すか、或いは、蒸発器Eから吸収器出口配管1に直接接続した配管の冷暖切替弁(希釈弁)を開にして行う。
【0013】このような暖房サイクルにおいては、図3、図5のように制御する。まず、温水温度が目標温度(THo)より高い場合は、冷媒蒸気弁は閉方向に温水温度で制御し(図5(a) の線a)、温水温度が目標温度(THo)より低い場合は、熱源温度によって制御方法が異る。すなわち、熱源温度が目標温度(TSo)より低い場合は冷媒蒸気弁を熱源温度で制御し(図5(b) の線b)、熱源温度が目標より高い場合は冷媒蒸気弁を開方向に温水温度によって制御する。前記線aと線bでは小さい方の開度で調節する。一方、冷却水流量は、熱源温度が目標温度より低い場合は0とし、目標温度より高い場合は、熱源温度によって冷却水流量を調節する。冷却水流量の調節方法には次のような方法がある。
(1)冷却水配管19に三方弁21を設け、冷却水の吸収器、凝縮器の一部又は全量のバイパスによる。
(2)冷却水配管19の冷却水ポンプ22の回転数制御による。
(3)冷却水ポンプ22の台数制御による。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、熱源水温度の制御を、冷温水機を通過する冷却水流量の調節で行うことができ、熱源不足時は冷却水流量を0又は冷却水ポンプを停止し、熱源水温度が高いときは、冷却水流量を増加させて熱源の放出を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
【出願日】 平成10年(1998)5月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉嶺 桂 (外1名)
【公開番号】 特開平11−337213
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−162834