トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 寒冷地向けヒ―トポンプ空調機
【発明者】 【氏名】小国 研作

【氏名】安田 弘

【氏名】中山 進

【氏名】高橋 岑夫

【氏名】小林 喜雄

【氏名】鈴木 幹雄

【氏名】原田 文雄

【要約】 【課題】室外空気温度が−15℃以下の低温でも高暖房能力と高成績係数を発揮でき、快適な室内環境を得ることができる室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機を得る。

【解決手段】熱源側熱交換器3、減圧装置4、利用側熱交換器101、圧縮機1とを有する冷凍サイクルを備え、圧縮機1に液冷媒がインジェクションされる寒冷地向けヒ−トポンプ空調機において、渦巻数が2.5以上3.5以下とされたスクロールを有しその回転数が制御される圧縮機1と、利用側熱交換器101の伝熱面積の2倍以上の伝熱面積とされた熱源側熱交換器3と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】熱源側熱交換器、減圧装置、利用側熱交換器、圧縮機とを有する冷凍サイクルを備え、前記圧縮機に液冷媒がインジェクションされる寒冷地向けヒ−トポンプ空調機において、渦巻数が2.5以上3.5以下とされたスクロールを有しその回転数が制御される前記圧縮機と、前記利用側熱交換器の伝熱面積の2倍以上の伝熱面積とされた前記熱源側熱交換器と、を備えたことを特徴とする寒冷地向けヒ−トポンプ空調機。
【請求項2】室外熱交換器、圧縮機、四方弁、室外冷媒制御弁を有した室外機と、室内熱交換器を有する室内機とを備え、前記圧縮機に液冷媒がインジェクションされる寒冷地向ヒートポンプ空調機において、スクロール形とされその回転数が制御される前記圧縮機とを備え、前記室外機は5馬力相当であり、前記室内機は3馬力相当であることを特徴とする寒冷地向けヒ−トポンプ空調機。
【請求項3】請求項2に記載のものにおいて、室外空気温度が−15℃以下であっても前記室外冷媒制御弁を膨張弁として、前記室内熱交換器を凝縮器として作用させ、前記四方弁を室内が暖房となるようにする制御装置とを備えたことを特徴とする寒冷地向ヒートポンプ空調機。
【請求項4】熱源側熱交換器、減圧装置、利用側熱交換器、圧縮機とを有する冷凍サイクルを備え、前記圧縮機はその回転数が回転数制御装置により制御され液冷媒がインジェクションされる寒冷地向けヒ−トポンプ空調機において、渦巻数が2.5以上3.5以下とされたスクロールを備えた前記圧縮機と前記圧縮機に前記液冷媒をインジェクションする液インジェクション膨張弁と、前記液インジェクション膨張弁を前記圧縮機の吐出側温度が目標吐出温度となるように制御する手段とを備えたことを特徴とする寒冷地向けヒ−トポンプ空調機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、暖房および冷房を行うヒ−トポンプ空調機に関り、特に冬期に室外空気温度が低下する寒冷地で利用するのに好適な高暖房効率のヒ−トポンプ空調機に関する。
【0002】
【従来の技術】暖房および冷房を行う空調機として、空気熱源式ヒ−トポンプ空調機が普及している。空気熱源式ヒ−トポンプ空調機の例として、圧縮機、室外空気熱交換器、室外送風機、減圧装置等から構成される室外ユニットと、室内空気熱交換器、室内送風機、減圧装置等から構成される室内ユニットを組合せて使用する室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機がある。そして、この室外熱源式ヒートポンプ空調機と灯油あるいはガスを併用して寒冷地向け使用として使う暖房機が種々提案されている。その一例が、特開平3−211367号公報あるいは日本冷凍協会誌第69巻第800号第14頁〜16頁に記載されている。この灯油あるいはガス併用空調機では、冬期で室外空気温度が高い場合には空気熱源式ヒ−トポンプ空調機を用い、室外空気温度が低い場合には灯油あるいはガスを用いている。また、特開平3−59349号公報には、冷凍サイクルの低温を利用した冷凍機に、スクロ−ル圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁とスクロ−ル圧縮機の機構部に液冷媒をインジェクションする冷媒回路を備えた例が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機が普及している原因は、スイッチを入れるだけで暖房あるいは冷房が可能という使い易さにある。しかし、室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機では、室外空気温度が低下すると暖房能力が低下し、成績係数(=暖房能力/電気入力)も低下するという弱点がある。したがって、従来の室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機では、室外の空気温度がある温度、一般的には−10℃程度以下では、強制的に停止する制御を実行するか、暖房能力の低下により室内空気温度が低下し、暖房機として用いることができなかった。さらに、室外空気温度が低いと成績係数が低く暖房費用がかさむという問題があった。
【0004】一方、室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機のこの不具合を解決しようとして室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機と灯油を併用する上記従来技術に記載のものにおいては、室外温度が低く灯油暖房に切り替わったときに灯油の補給が必要になる。これは、電気のみを使う室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機に比べて使い勝手が劣る。また、空調機の構成が複雑になり、イニシャルコストを増大させる。また、上記従来技術の最後に記載のものにおいては、冷凍機においてスクロ−ル圧縮機に液インジェクション回路を採用しているが、低温外気を利用して冷凍サイクルを構成する点については何等考慮されていなかった。
【0005】本発明の目的は、室外空気が低下しても高暖房能力を発揮でき、暖房費用も灯油暖房並みの室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機を提供することにある。つまり、室外空気温度が−15℃以下の低温でも高暖房能力と高成績係数を発揮でき、快適な室内環境を得ることができる室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機を提供することにある。本発明の他の目的は、寒冷地に向けた暖房能力に重点を置いた室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機を提供することにある。本発明の更に他の目的は、クリーンエネルギを利用した寒冷地用ヒ−トポンプ空調機を提供することにある。また、本発明は簡単な構成で寒冷地用室外空気熱源式ヒートポンプ空調機を安価に提供することを目的とする。さらに本発明は、室外空気が低下しても高暖房能力を発揮でき、暖房費用も灯油暖房並みの室外空気熱源式ヒ−トポンプ暖房専用機を提供することも目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、熱源側熱交換器、減圧装置、利用側熱交換器、圧縮機とを有する冷凍サイクルを備え、圧縮機に液冷媒がインジェクションされる寒冷地向けヒ−トポンプ空調機において、渦巻数が2.5以上3.5以下とされたスクロールを有しその回転数が制御される圧縮機と、利用側熱交換器の伝熱面積の2倍以上の伝熱面積とされた熱源側熱交換器と、を備えたものである。
【0007】また、本発明は、室外熱交換器、圧縮機、四方弁、室外冷媒制御弁を有した室外機と、室内熱交換器を有する室内機とを備え、圧縮機に液冷媒がインジェクションされる寒冷地向ヒートポンプ空調機において、スクロール形とされその回転数が制御される圧縮機とを備え、室外機は5馬力相当であり、室内機は3馬力相当としたものである。
【0008】さらに、上記のものにおいて、室外空気温度が−15℃以下であっても前記室外冷媒制御弁を膨張弁として、前記室内熱交換器を凝縮器として作用させ、前記四方弁を室内が暖房となるようにする制御装置とを備えることが望ましい。
【0009】さらに、本発明は熱源側熱交換器、減圧装置、利用側熱交換器、圧縮機とを有する冷凍サイクルを備え、前記圧縮機はその回転数が回転数制御装置により制御され液冷媒がインジェクションされる寒冷地向けヒ−トポンプ空調機において、渦巻数が2.5以上3.5以下とされたスクロールを備えた圧縮機と圧縮機に液冷媒をインジェクションする液インジェクション膨張弁と、液インジェクション膨張弁を圧縮機の吐出側温度が目標吐出温度となるように制御する手段とを備えたものである。
【0010】本発明の室外空気熱源ヒ−トポンプでは、暖房運転時に冷媒をスクロ−ル圧縮機、利用側熱交換器、減圧装置、室外空気熱交換器、スクロ−ル圧縮機の順に循環せしめ、利用側熱交換器で凝縮した液冷媒の一部を圧縮機構部にインジェクションする。また、スクロ−ル圧縮機の回転数を、室内の空気温度の状況に応じて制御する。そして、スクロール圧縮機の圧力比を高めることにより、低外気温でも圧縮機の起動が可能になり、寒冷地向けのヒートポンプ空調機が得られる。なお、圧縮機の高圧力比化はスクロールのラップを増すか、スクロール圧縮機の吐出口に絞りを設けることにより達成できる。
【0011】また、スクロール圧縮機の高圧力比化に伴う高温化は液インジェクション回路から供給される液冷媒を圧縮機内に供給することにより、圧縮機駆動モ−タの巻線温度、冷媒吐出温度を適性に保つことが出来る。
【0012】このように室外空気熱源ヒ−トポンプを構成することにより、室外空気温度が−15℃以下に低下しても、圧縮機を高圧力比運転することにより高効率運転ができる。また、圧縮機の高速運転によって高暖房能力を発揮できる。すなわち、灯油やガス等の電気以外のエネルギ源を用いること無く、初めて−15℃以下の外気温となる寒冷地向けヒートポンプ空調機が得られる。
【0013】また、圧縮機を過度に高温にしないので、高い信頼性を得ることができる。
【0014】さらに、寒冷地にシフトした構成、すなわち室外機熱交換器の伝熱面積を増したので暖房能力が向上したヒートポンプ空調機が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。まず図1は、冬期に室外空気温度が低下する地域の代表例として札幌についての室外空気温度の発生頻度を表す。図1から、室外空気温度は−18℃程度まで発生し得ることが分かる。ただこのデ−タは過去の平均値であることから最低室外空気温度は−18℃より更に低く、また北海道の旭川などではではさらに低温になることから、空調機を選定する上では−20℃程度を最低室外空気温度と考える必要がある。
【0016】このような背景のもとに、寒冷地向けに改良したヒートポンプ空調機の一実施例の構成図を図2に示す。図2において、1はスクロ−ル形圧縮機、2は四方弁、3は室外空気熱交換器、4は室外冷媒制御弁、5はアキュムレ−タ、6は液インジェクション冷媒制御弁、7はレシ−バ、8は室外送風機、9は温度センサ、10は圧力センサ、11および12は温度センサ、20はホットガスバイパス弁であり、これらによって室外ユニットが構成される。そして、室外ユニットには演算制御装置、圧縮機回転数制御装置、冷媒制御弁駆動装置、室外送風機回転数制御装置などの制御装置が搭載されている。
【0017】また、101は室内熱交換器、102は室内送風機、103は室内冷媒制御弁、104は室内空気温度センサであり、これらによって室内ユニットが構成される。そして、室内ユニットには演算制御装置、室内送風機回転数制御装置、冷媒制御弁駆動装置などが搭載されており、さらに、ヒ−トポンプの起動や暖房、冷房の選択、室内温度の設定等の機能を有するリモ−トコントロ−ラも備えられている。ここで、13および14は室外ユニットと室内ユニットを接続する配管である。
【0018】暖房運転時には、冷媒は圧縮機1、四方弁2、接続配管13、室内熱交換器101、室内冷媒制御弁103、接続配管14、レシ−バ7、室外冷媒制御弁4、室外空気熱交換器3、四方弁2、アキュムレ−タ5の順に循環し、室外冷媒制御弁4が膨張弁として作用し、室内空気熱交換器101が冷媒凝縮器となり、室内を暖房する。このとき、外気温度は−15℃以下であっても、室内には50℃以上の熱風が送風される。また、室内熱交換器101で凝縮した液冷媒の一部は液インジェクション膨張弁6を通り、圧縮機1にインジェクションされる。一方冷房運転時には、冷媒は圧縮機1、四方弁2、室外熱交換器3、冷媒制御弁4、レシ−バ7、接続配管14、室内冷媒制御弁103、室内熱交換器101、接続配管13、四方弁2、アキュムレ−タ5の順に循環し、室内冷媒制御弁103が膨張弁として作用し、室内熱交換器101が冷媒蒸発器となり、室内を冷房する。また、室外熱交換器3で凝縮した冷媒の一部は液インジェクション膨張弁6を通り、圧縮機1にインジェクションされる。
【0019】次に、図3は、図2で用いられるスクロ−ル圧縮機の一実施例の縦断面図である。図3において、50はチャンバ胴、50bはチヤンバ上キャップ、50cはチヤンバ下キャップ、51は固定スクロ−ルラップ、55は旋回スクロ−ルラップ、56はフレ−ム、57はシャフト、58はオルダムリング、59はモ−タ、61は旋回スクロ−ル軸受、62は主軸受、63は下軸受、64は冷媒吸入管、65は逆止弁、66は冷媒吐出ポ−ト、67は背圧室、68a,68bは背圧ポ−ト、69a,69bは液インジェクションポ−ト、70は吸入室、71は吐出室、72a,72bは吐出ガス冷媒通路、74は吐出管、75は給油管、76は給油通路、78、78a,78bは液インジェクション管である。
【0020】冷媒は吸入管64から吸いこまれて吸入室70に流入し、固定スクロ−ル51と旋回スクロ−ル55で形成される圧縮室で圧縮され、吐出ポ−ト66から吐出室に吐き出され、冷媒通路72a,72bを通り、モ−タ室73に流入し吐出管74から吐出される。また、液インジェクション管78からの冷媒は液インジェクションポ−ト69a,69bから圧縮室に導かれる。
【0021】次に、図4は固定スクロ−ルと旋回スクロ−ルを組み合わせたときの横断面図であり、51aは固定スクロ−ルラップ、55bは旋回スクロ−ルラップであり、その他の記号で同じ記号は図2で説明した部位と同一部品を示す。ラップ巻数は3.5巻である。吸入された冷媒は、固定スクロ−ルラップ51aとは旋回スクロ−ルラップ55bとで形成される圧縮室が旋回スクロ−ルの旋回運動によって縮小されるに従い圧縮され、吐出ポ−ト66から吐き出される。
【0022】次に、図5は圧縮機の断熱効率と圧力比の関係の一例を示した図である。図5で実線のAがスクロ−ルラップの巻数が3.5で、液インジェクションを行うスクロ−ル圧縮機の特性例、1点鎖線のBがスクロ−ルラップの巻数が2.5で、液インジェクションを行わないスクロ−ル圧縮機の特性例である。図5から、実線のスクロ−ルラップの巻数が3.5のスクロ−ル圧縮機は、1点鎖線のスクロ−ルラップの巻数が2.5のスクロ−ル圧縮機に対して、高圧力比領域で高効率であることが分かる。すなわち、本発明では外気温度が−15℃以下でも空調機がヒートポンプとして作用するために、圧縮機の圧力比を高くしている。しかしながら、圧縮機の圧力比を高めると、後述するように圧縮機内部の温度が高くなり過ぎ圧縮機に異常が起こる。そこで、これを回避するために、圧縮機内部にレシーバ7に貯溜された冷媒を送りこむことにより、圧縮機を冷却する。なお、図5では渦巻数が大きなスクロ−ル圧縮機について説明したが、巻き数が少なくても圧縮機構部の吐出ポ−ト66に弁を設けることによっても高圧力比の領域で高効率運転を実現できる。
【0023】次に、図6は、図2に示した空気熱源ヒ−トポンプ空調機の暖房運転を制御する制御系のブロック図である。圧縮機1は回転数制御装置すなわちインバ−タ制御装置により駆動され、温度センサ104により検出される室内空気温度と室内空気温度制御目標の差によって回転数制御される。また、液インジェクション膨張弁6は、温度センサ9により検出される圧縮機の吐出側温度と目標吐出温度の差によって制御される。さらに、室外冷媒制御弁は、室外空気熱交換器の温度センサ12と11の温度差を目標温度差、すなわち室外空気熱交換器の冷媒出口の冷媒過熱度になるように制御される。
【0024】次に図7は、図2に示した空気熱源ヒ−トポンプ空調機を暖房運転した場合をモリエル線図上に示したものである。図7において、Bは圧縮機出口、Cは室内空気熱交換器出口、Dは室外冷媒制御弁出口、Eは室外空気熱交換器出口、Fは圧縮機入口、Gは液インジェクション冷媒制御弁出口を表し、AはF点の冷媒とG点の冷媒の混合後を表す。また、1点鎖線F→H→Bは、液インジェクションしない場合である。液インジェクションを行うことにより、液インジェクションしない場合に対して、吐出温度を低減でき、また圧縮機モ−タの巻線温度を低減することができる。
【0025】次に、図8は本発明の空気熱源ヒ−トポンプ空調機の特性例であり、室外空気温度と暖房能力の関係を表す。パラメ−タは圧縮機回転数である。圧縮機回転数が一定では、室外空気温度が低いほど暖房能力は低下するが、圧縮機の回転数を上昇させることで暖房能力を向上できる。また、圧縮機の回転数を調整することで室外空気温度が0℃程度から−20℃程度まで暖房能力を一定にすることが可能である。したがって、室外空気温度に左右されない灯油あるいはガスを用いる暖房機と同等な暖房能力を発揮できる。
【0026】次に、図9は本発明の空気熱源ヒ−トポンプ空調機の特性例であり、圧縮機周波数と圧力比の関係を示したものである。室外空気温度は−20℃である。
【0027】圧縮機周波数が80Hzの場合には圧力比は約15にもなり圧縮機は高圧力比運転となるが、スクロ−ル圧縮機の渦巻数を3.5と多くし、かつ液インジェクションをしているので、図5に示した高暖房能力運転が可能となる。
【0028】次に、図10は本発明の空気熱源ヒ−トポンプ空調機を建屋内に設けられた実際の部屋に適用した場合の特性を計算した例である。図10で2点鎖線は暖房負荷を示している。室外空気温度が−20℃のときに、圧縮機回転数を80Hzとし電気ヒ−タ2.1kWを付加すれば、空気熱源ヒ−トポンプ空調機の能力は約9000kcal/hにも達する。ここで、暖房負荷は室外空気温度が15℃で0、−20℃で空気熱源ヒ−トポンプ空調機の能力である9000kcal/hである。実際の使用状態では、暖房能力が暖房負荷と一致するように圧縮機回転数を制御する。図10に示した空気熱源ヒ−トポンプ空調機の場合、室外空気温度が−10℃程度以上における暖房負荷に対しては、圧縮機の運転周波数を40Hzに設定して断続運転する。室外空気熱交換器および室内空気熱交換器の伝熱面積は変わらないから、圧縮機運転周波数が小さくなると圧力比が小さくなり、効率が向上し省電力運転が可能になる。
【0029】
【表1】

【0030】上記のように構成した本発明の一実施例について、年間運転費用を試算した例を表1に示す。参考のために、灯油暖房機と冷房専用空調機を組み合わせたシステムを比較して示す。本発明の空調機の年間費用は、比較対象システムに対して約10%高いが、一次エネルギ換算では約15%少なくなり、省エネルギ化が可能である。
【0031】次に、室外ユニットと室内ユニットが分離したユニットの一例を図11に示す。室外ユニットは、室外空気熱交換器3、送風機8などで構成される熱交換器送風機室と圧縮機他から構成される圧縮室から構成されている。もちろんこれら2室を一体化することも出来る。図11では、室内ユニットとして天井内に本体を埋め込むいわゆる天埋めタイプが示されているが、もちろん床に置くタイプ等の他の形態であっても本発明を適用できることは言うまでもない。
【0032】
【表2】

【0033】表2は、本発明の空調機が備える室外及び室内熱交換器の伝熱面積の例を示したものである。室外熱交換器の伝熱面積と室内熱交換器の伝熱面積の比率は、従来は2倍弱であったが、本発明の効果を十分に発揮させるには3倍程度にすることが推奨される。もちろん2倍程度でも本発明は効果を発揮することが出来ることは言うまでもない。
【0034】次に図12以下に本発明のヒ−トポンプ空調機の変形例を示す。図12は、暖房専用空調機の例である。図12において、1はスクロ−ル形圧縮機、3は室外空気熱交換器、4は室外冷媒制御弁、5はアキュムレ−タ、6は液インジェクション膨張弁、8は室外送風機、9は温度センサ、10は圧力センサ、11、12は温度センサであり、これらによって、室外ユニットが構成される。そして、室外ユニットには演算制御装置、圧縮機回転数制御装置、冷媒制御弁駆動装置、室外送風機回転数制御装置などの制御装置が搭載されている。
【0035】101は室内熱交換器、102は室内送風機、104は室内空気温度センサであり、これらによって室内ユニットが構成される。そして、室内ユニットには演算制御装置、室内送風機回転数制御装置、冷媒制御弁駆動装置などが搭載されており、さらに、ヒ−トポンプの起動や暖房、冷房の選択、室内温度の設定等の機能を有するリモ−トコントロ−ラも備えられている。ここで、13および14は室外ユニットと室内ユニットを接続する配管である。
【0036】この空調機の運転時には、冷媒は圧縮機1、接続配管13、室内熱交換器101、接続配管14、冷媒制御弁4、室外熱交換器8、四方弁2、アキュムレ−タ5の順に循環し、室内熱交換器が冷媒凝縮器となり、室内を暖房する。また、室内熱交換器101で凝縮した冷媒の一部は液インジェクション膨張弁6を通り、圧縮機1にインジェクションされる。
【0037】図13は、本発明のヒ−トポンプ空調機の他の変形例であり、1台の室外ユニットに複数の室内ユニットが接続される場合を示したものである。図13で、15は冷媒分流器、111、112、113は室内空気熱交換器、121、122、123は室内冷媒制御弁、131、132、133、141、142、143は冷媒温度センサ、151、152、153は室内空気温度センサである。暖房運転時には破線矢印の方向に冷媒が循環し、室内熱交換器111、112、113が冷媒凝縮器となり暖房運転が行われる。一方、冷房運転時には実線矢印の方向に冷媒が循環し、室内熱交換器111、112、113が冷媒蒸発器となり冷房運転が行われる。
【0038】図14は、本発明のヒ−トポンプ空調機のさらに他の変形例であり、室内側には第2の熱媒体を循環させるシステムが備えられている。図14で、201は冷媒と水の熱交換器、202はポンプ、203、204は水と室内空気と熱交換させる室内熱交換器、205、206は室内送風機である。暖房運転時には冷媒は破線矢印の方向に循環し、熱交換器201が冷媒凝縮器となり、水を加熱する。加熱された水はポンプ202によって室内熱交換器に送られ室内を暖房する。一方、冷房運転時には冷媒は実線矢印の方向に循環し、熱交換器201が冷媒蒸発器となり、水を冷却する。冷却された水はポンプ202によって室内熱交換器に送られ室内を冷房する。
【0039】以上説明した実施例では冷媒としてHCFC系冷媒であるR22が用いられているが、この冷媒はオゾンを破壊するすることから規制が進められており、将来は使用できない。本発明の空気熱源ヒ−トポンプ空調機ではオゾンを破壊しない冷媒を使用することも可能であり、HFC系冷媒、HFC系冷媒の混合冷媒を適用できる。また、ノンフロン冷媒も適用可能である。
【0040】次に本発明のさらに他の変形例を図15、図16により説明する。これらの図は室外ユニットと室内ユニットの組合せ例を示したもので、図15は室内ユニットが3馬力相当のユニットであり、室外ユニットが5馬力相当のユニットを組み合わせた室外空気熱源ヒ−トポンプ空調機である。室外ユニットが5馬力相当のユニットを用いることで、暖房運転で室外空気温度が−20℃程度まで低下しても高暖房能力を発揮することが出来る。
【0041】次に図16に室内ユニットが3馬力相当のユニットであり、室外ユニットが3馬力相当のユニットを組み合わせた室外空気熱源ヒ−トポンプ空調機を示す。本発明の室外空気熱源ヒ−トポンプを、最低室外空気温度が−10℃程度の気象の地域で使用する場合には、室外ユニットを大きくする必要はない。このように、使用される地域によって室外ユニットの容量を変更することで、暖房負荷に応じた適性容量の空調機を得ることが出来る。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、室外空気温度が−15℃以下、特に−20℃程度でも、室外空気温度が0℃の場合と同等の暖房能力が発揮され、快適な室内空気温度を得ることができる。もちろん夏期には冷房運転も可能である。さらに本発明の空気熱源ヒ−トポンプ空調機の暖房冷房に必要な費用は、暖房には灯油を用い、冷房には冷凍サイクルを用いる空調機と同等である。さらに一次エネルギ換算では省エネルギになる試算結果が得られた。また本発明によれば、灯油やガスを使用しないので環境を汚染することが少ないクリーンエネルギシステムである。さらに、複雑な構成を必要とせず、安価なヒートポンプ空調機が得られる。また、本発明によれば、寒冷地に向けた暖房能力に重点を置いた室外空気熱源式ヒ−トポンプ空調機が得られる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】000233608
【氏名又は名称】日立冷熱株式会社
【出願日】 平成7年(1995)2月3日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開平11−337190
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平11−111792