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【発明の名称】 超臨界冷凍サイクル
【発明者】 【氏名】山口 素弘

【氏名】西田 伸

【氏名】藤井 俊郎

【氏名】横町 尚也

【要約】 【課題】可変容量型圧縮機を有するCO2 サイクルにおいて、可変容量型圧縮機の吐出冷媒量が変化したときであっても適切にCO2 サイクルを制御する【解決手段】 可変容量型圧縮機の吐出冷媒量が変化(縮小)したときは、電気式膨張弁3の開度を所定時間To固定する。一方、吐出冷媒量が変化しないときは、放熱器2出口側の冷媒温度及び圧力が最適制御線に沿って変化するように電気式膨張弁の弁開度を制御する。これにより、圧縮機1は、膨張弁3側の制御に影響されることなく、吸入圧Ps(蒸発器4側の圧力)に応じて吐出冷媒量Qdが制御されるので、CO2 サイクルを適切に制御することができる。

【解決手段】可変容量型圧縮機の吐出冷媒量が変化(縮小)したときは、電気式膨張弁3の開度を所定時間To固定する。一方、吐出冷媒量が変化しないときは、放熱器2出口側の冷媒温度及び圧力が最適制御線に沿って変化するように電気式膨張弁の弁開度を制御する。これにより、圧縮機1は、膨張弁3側の制御に影響されることなく、吸入圧Ps(蒸発器4側の圧力)に応じて吐出冷媒量Qdが制御されるので、CO2 サイクルを適切に制御することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 吸入圧(Ps)の低下に応じて吐出冷媒量(Qd)が低下するように構成された可変容量型圧縮機(1)と、前記可変容量型圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(2)と、前記放熱器(2)の出口側に配設され、弁開度が可変制御される弁手段(3)と、前記弁手段(3)から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記放熱器(2)の出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段(8)と、前記可変容量型圧縮機(1)の吐出冷媒量(Qd)が変化したか否かを判定する判定手段(S110、S410)と、前記弁手段(3)を電気的に制御する制御手段(9)とを有し、前記制御手段(9)は、前記判定手段(S110、S410)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、前記冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定された第1プログラムに基づいて前記弁開度を可変制御し、前記判定手段(S110、S410)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、前記第1プログラムと異なる第2プログラムに基づいて前記弁開度を制御することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項2】 吸入圧(Ps)の低下に応じて吐出冷媒量(Qd)が低下するように構成された可変容量型圧縮機(1)と、前記可変容量型圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(2)と、前記放熱器(2)の出口側に配設され、弁開度が可変制御される弁手段(3)と、前記弁手段(3)から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記放熱器(2)の出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段(8)と、前記可変容量型圧縮機(1)の吐出冷媒量(Qd)が変化したか否かを判定する判定手段(S110、S410)と、前記弁手段(3)を電気的に制御する制御手段(9)とを有し、前記制御手段(S110)は、前記判定手段(S110、S410)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、前記冷媒温度検出手段(8)の検出温度に基づいて前記弁開度を可変制御し、前記判定手段(S110、S410)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、前記弁開度を固定することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項3】 吸入圧(Ps)の低下に応じて吐出冷媒量(Qd)が低下するように構成された可変容量型圧縮機(1)と、前記可変容量型圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(2)と、前記放熱器(2)の出口側に配設され、弁開度が可変制御される弁手段(3)と、前記弁手段(3)から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記放熱器(2)の出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段(8)と、前記可変容量型圧縮機(1)の吐出冷媒量(Qd)が変化したか否かを判定する判定手段(S110)と、前記弁手段(3)を電気的に制御する制御手段(9)とを有し、前記制御手段(9)は、前記判定手段(S110)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、前記冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定されたプログラムに基づいて前記弁開度を可変制御し、前記判定手段(9)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、前記プログラムに基づいて前記弁開度を可変制御するときに比べて、前記弁開度の変化率が小さくなるように前記弁開度を可変制御することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項4】 吸入圧(Ps)の低下に応じて吐出冷媒量(Qd)が低下するように構成された可変容量型圧縮機(1)と、前記可変容量型圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(2)と、前記放熱器(2)の出口側に配設され、弁開度が可変制御される弁手段(3)と、前記弁手段(3)から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記放熱器(2)の出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段(8)と、前記可変容量型圧縮機(1)の吐出冷媒量(Qd)が変化したか否かを判定する判定手段(S110)と、前記弁手段(3)を電気的に制御する制御手段(9)とを有し、前記制御手段(9)は、前記判定手段(S110)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、前記放熱器(2)の出口側の圧力が、前記冷媒温度検出手段(8)の検出温度に基づいて決定される第1目標圧力となるように前記弁開度を可変制御し、前記判定手段(S110)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、前記放熱器(2)の出口側の圧力が前記第1目標圧力より低い第2目標圧力となるように前記弁開度を可変制御することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項5】 吸入圧(Ps))の低下に応じて吐出冷媒量(Qd))が低下するように構成された可変容量型圧縮機(1)と、前記可変容量型圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(2)と、前記放熱器(2)の出口側に配設され、弁開度が可変制御される弁手段(3)と、前記弁手段(3)から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記放熱器(2)の出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段(8)と、前記可変容量型圧縮機(1)の吐出冷媒量(Qd)が変化したか否かを判定する判定手段(S410))と、前記吸入圧(Ps)の変化率を検出する吸入圧変化検出手段(7、9)と、前記弁手段(3)を電気的に制御する制御手段(9)とを有し、前記制御手段(9)は、前記判定手段(S410)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、前記冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定されたプログラムに基づいて前記弁開度を可変制御し、前記判定手段(S410)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、前記吸入圧変化検出手段(7、9)の検出値が所定値以上の間は、前記プログラムに基づく前記弁開度の可変制御を中止することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【請求項6】 吸入圧(Ps)の低下に応じて吐出冷媒量(Qd)が低下するように構成された可変容量型圧縮機(1)と、前記可変容量型圧縮機(1)から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(2)と、前記放熱器(2)の出口側に配設され、弁開度が可変制御される弁手段(3)と、前記弁手段(3)から流出した冷媒を蒸発させる蒸発器(4)と、前記放熱器(2)の出口側の冷媒温度を検出する冷媒温度検出手段(8)と、前記可変容量型圧縮機(1)の吐出冷媒量(Qd)が変化したか否かを判定する判定手段(S110)と、前記弁手段(3)を電気的に制御する制御手段(9)とを有し、前記制御手段(9)は、前記判定手段(S110)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、前記冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定されたプログラムに基づいて前記弁開度を可変制御し、前記判定手段(S110)により前記吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、所定時間(To)、前記プログラムに基づく前記弁開度の可変制御を中止することを特徴とする超臨界冷凍サイクル。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高圧側(放熱器)側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超える冷凍サイクル(超臨界冷凍サイクル)に関するもので、二酸化炭素(CO2 ) を冷媒とする冷凍サイクル(以下、この冷凍サイクルをCO2 サイクルと呼ぶ。)に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】CO2 サイクルでは、例えば特表平3−503206号公報に記載の発明のごとく、放熱器出口側の圧力を制御することにより冷凍能力が制御される。そこで、出願人は、放熱器出口側に配設された弁手段の弁開度を放熱器出口側の冷媒温度に応じて調節するCO2 サイクル(超臨界冷凍サイクル)を既に出願している(特願平8−11248号)。
【0003】具体的には、放熱器出口側の冷媒温度が上昇したときには、その上昇に応じて弁開度を縮小して放熱器出口側の冷媒圧力を上昇させ、一方、放熱器出口側の冷媒温度が低下したときには、その低下に応じて弁開度を拡大して放熱器出口側の冷媒圧力を低下させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、発明者等はCO2 サイクルを車両用空調装置に適用するに当たって、いわゆる可変容量型圧縮機を用いたものを試験検討していたところ、以下に述べる問題が発生することを発見した。すなわち、CO2 サイクルに限らず、可変容量型圧縮機を用いた冷凍サイクルでは、エンジン回転数が比較的高く、冷凍サイクル内を循環する冷媒の質量流量が大きいとき、又は車室内の温度が安定して空調装置(蒸発器)において必要とされる冷凍能力(以下、この冷凍能力を必要冷凍能力と呼ぶ。)が比較的小さくても良いときには、圧縮機の吐出冷媒量を小さくすることにより、冷凍能力が過度に増大することを防止している。
【0005】このため、可変容量型圧縮機(以下、圧縮機と略す。)と、上記出願(特願平8−11248号)のごとく放熱器出口側の冷媒温度に応じて弁開度を制御する弁手段とを組み合わせた場合、例えば冷凍能力が過度に増大することを防止すべく圧縮機側が吐出冷媒量を小さくすると、これに伴って放熱器出口側の冷媒圧力は低下する。
【0006】一方、弁手段側は、放熱器出口側の冷媒圧力を、その時の放熱器出口側の冷媒温度に応じた圧力(冷凍能力)に維持すべく、弁開度を縮小させて放熱器出口側の冷媒圧力を上昇させようとする。つまり、圧縮機側は必要冷凍能力に応じてその吐出冷媒量を制御するのに対して、弁手段側は放熱器出口側の冷媒温度に応じて冷凍能力を維持しようと制御するため、両者を単純に組み合わせただけでは、CO2 サイクルを適切に制御することができないという問題が発生する。
【0007】本発明は、上記点に鑑み、可変容量型圧縮機を有する超臨界冷凍サイクルにおいて、可変容量型圧縮機の吐出冷媒量が変化したときであっても適切に超臨界冷凍サイクルを制御することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、以下の技術的手段を用いる。請求項1に記載の発明では、吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定された第1プログラムに基づいて弁開度を可変制御し、吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、第1プログラムと異なる第2プログラムに基づいて弁開度を制御することを特徴とする。
【0009】これにより、第2プログラムにより弁手段(3)を制御している際に、可変容量型圧縮機(1)が弁手段(3)側の影響を受けることを抑制することができるので、超臨界冷凍サイクルを適切に制御することができる。請求項2に記載の発明では、制御手段(9)は、吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、冷媒温度検出手段(8)の検出温度に基づいて弁開度を可変制御し、吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、弁開度を固定することを特徴とする。
【0010】これにより、請求項1に記載の発明と同様に可変容量型圧縮機(1)が弁手段(3)側の影響を受けることを抑制することができるので、超臨界冷凍サイクルを適切に制御することができる。請求項3に記載の発明では、吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定されたプログラムに基づいて弁開度を可変制御し、吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、プログラムに基づいて弁開度を可変制御するときに比べて、弁開度の変化率が小さくなるように弁開度を可変制御することを特徴とする。
【0011】これにより請求項1に記載の発明と同様に可変容量型圧縮機(1)が弁手段(3)側の影響を受けることを抑制することができるので、超臨界冷凍サイクルを適切に制御することができる。、請求項4に記載の発明では、吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、放熱器(2)の出口側の圧力が、冷媒温度検出手段(8)の検出温度に基づいて決定される第1目標圧力となるように弁開度を可変制御し、吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、放熱器(2)の出口側の圧力が第1目標圧力より低い第2目標圧力となるように弁開度を可変制御することを特徴とする。
【0012】これにより、請求項1に記載の発明と同様に可変容量型圧縮機(1)が弁手段(3)側の影響を受けることを抑制することができるので、超臨界冷凍サイクルを適切に制御することができる。請求項5に記載の発明では、吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定されたプログラムに基づいて弁開度を可変制御し、吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、吸入圧変化検出手段(7、9)の検出値が所定値以上の間は、プログラムに基づく弁開度の可変制御を中止することを特徴とする。
【0013】これにより、請求項1に記載の発明と同様に可変容量型圧縮機(1)が弁手段(3)側の影響を受けることを抑制することができるので、超臨界冷凍サイクルを適切に制御することができる。請求項6に記載の発明では、吐出冷媒量(Qd)が変化していないと判定されたときには、冷媒温度検出手段(8)の検出温度に応じて予め設定されたプログラムに基づいて弁開度を可変制御し、吐出冷媒量(Qd)が変化したと判定されたときには、所定時間(To)、プログラムに基づく前記弁開度の可変制御を中止することを特徴とする。
【0014】これにより、請求項1に記載の発明と同様に可変容量型圧縮機(1)が弁手段(3)側の影響を受けることを抑制することができるので、超臨界冷凍サイクルを適切に制御することができる。因みに、上記した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0015】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は本発明に係る超臨界冷凍サイクルを車両用のCO2 サイクルに適用したものであって、図1は本実施形態に係るCO2 サイクルの模式図である。図1中、1は冷媒(CO2 )を吸入圧縮する圧縮機1であり、この圧縮機1は、吸入圧Psの低下に応じて吐出冷媒量Qdが低下するように構成された周知の可変容量型圧縮機である。ここで、吐出冷媒量Qdとは、圧縮機1のシャフト(図示せず)が1回転当たりするときに圧縮機1から吐出される冷媒の理論吐出量を言う。
【0016】なお、本実施形態では、圧縮機1は、Vベルト(図示せず)を介して車両走行用エンジン(図示せず)から駆動力を得て稼動する。2は圧縮機1から吐出する冷媒を冷却するとともに、内部の圧力が冷媒の臨界圧力を超える放熱器(ガスクーラ)である。そして、この放熱器2の出口側には、冷媒を減圧するとともに、放熱器2の出口側の冷媒温度に基づいて、その弁開度を可変制御することにより放熱器2の出口側の冷媒圧力を制御する電気式膨張弁(弁手段)3が配設されている。なお、電気式膨張弁(以下、膨張弁と略す。)4は、後述する電子制御装置9により電気的に制御される。
【0017】4は、膨張弁3から流出する気液2相状態の冷媒のうち液相冷媒を蒸発させて空気を冷却する蒸発器であり、5はCO2 サイクル内の余剰冷媒を蓄えるとともに、蒸発器4から流出する冷媒を気相冷媒と液相冷媒とに分離して気相冷媒のみを圧縮機1の吸入側に流出させるアキュームレータ(気液分離手段)である。また、6は放熱器2出口側の冷媒圧力を検出する第1圧力センサ(第1圧力検出手段)であり、7は圧縮機1の吸入側の圧力(吸入圧Ps)を検出する第2圧力センサ(第2圧力検出手段)であり、8は放熱器2出口側の冷媒温度を検出する温度センサ(冷媒温度検出手段)である。
【0018】そして、各センサ6〜8の出力信号は、電子制御装置(ECU)9に入力されており、このECU9は、これらセンサ6〜8からの入力信号に応じて予め記憶されたプログラムに従って膨張弁3の弁開度を可変制御する。ところで、本実施形態においては、膨張弁3の制御作動は、圧縮機1の吐出冷媒量Qdが変化する前後では異なっており、以下、図2に示すECU9の制御フローチャートに基づいて本実施形態の特徴的作動について述べる。
【0019】CO2 サイクルの起動スイッチ(図示せず)が投入され、CO2 サイクルが起動されると、ECU9は、各センサ6〜8からの信号を読み込み(S100)、吸入圧Ps(第2圧力センサ7の検出値)の圧力変化率(本実施形態では、吸入圧Psの低下変化率)ΔPsが所定値ΔP1 未満であるか否かを判定する(S110)。
【0020】そして、圧力変化率ΔPsが所定値ΔP1 未満のときには、ECU9は、現状の吐出冷媒量Qdが維持された状態で圧縮機1が稼動している(吐出冷媒量Qdが変化していない)ものとみなして、放熱器2の出口側の冷媒温度と冷媒圧力とが最適制御線ηmax (図3参照)で示される関係となるように設定された第1プログラムに従って膨張弁3の弁開度を可変制御し(S120)、その後S100に戻る。以下、この制御を第1プログラム制御と呼ぶ。
【0021】一方、 圧力変化率ΔPsが所定値ΔP1 以上のときには、吸入圧Psが低下して圧縮機1の吐出冷媒量Qdが低下したものとみなして、第1プログラム制御を中止してECU9に内臓されたタイマ(図示せず)により時間計測を開始するとともに(S130、S140)、膨張弁3の弁開度を第1プログラム制御を中止した時の弁開度に固定する(S150)。そして、時間計測開始後、所定時間Toが経過した時にS100に戻る(S160)。
【0022】なお、以下、第1プログラム制御が中止している間に膨張弁3に対して実施される制御プログラムを第2プログラム制御と呼ぶ。因みに、吐出冷媒量Qdが縮小変化した後は、CO2 サイクル内を循環する冷媒の質量流量が低下するので、放熱器2出口側の冷媒温度は低下する。このため、所定時間Toの経過後は、低下した放熱器2出口側の冷媒温度に基づいて膨張弁3の弁開度(放熱器2出口側の冷媒圧力)が制御される(図4の一点鎖線参照)。
【0023】なお、最適制御線ηmax とは、放熱器2出口側の冷媒温度に対して、CO2 サイクル(超臨界冷凍サイクル)の成績係数が最大となる放熱器2出口側の冷媒圧力をモリエル線図上に描いたものである。また、所定時間Toとは、圧縮機1の吐出冷媒量Qdが低下した後、CO2 サイクルの挙動が安定するに必要な時間を言う。
【0024】次に、本実施形態の特徴を述べる。本実施形態によれば、圧縮機1の吐出冷媒量Qdが変化せず一定であるときには、放熱器2出口側の冷媒温度及び冷媒圧力は、最適制御線ηmax で示されるように制御(第1プログラム制御)されるので(図4の実線参照)、成績係数を高く維持しながらCO2 サイクルを運転することができる。
【0025】一方、エンジン回転数が比較的高いとき、又は必要冷凍能力が比較的小さくなり、吐出冷媒量Qdが縮小変化したときには、膨張弁3の弁開度がその時の弁開度に維持される(第2プログラム制御される)ので、膨張弁3によって冷媒が減圧されることにより、蒸発器4側の圧力が大きく減圧されることを防止できる(図4の破線参照)。
【0026】したがって、圧縮機1は、膨張弁3側の制御に影響されることなく、吸入圧Ps(蒸発器4側の圧力)に応じて吐出冷媒量Qdが制御されるので、CO2 サイクルを適切に制御することができる。
(第2実施形態)上述の実施形態では、第2プログラム制御時に膨張弁3の弁開度を、第2プログラム制御へ移行する時の弁開度に維持(固定)したが、本実施形態では、第2プログラム制御時に、第1プログラム制御時に比べて、弁開度の変化率が小さくなるように、弁開度を微少に可変制御させたものである。因みに、膨張弁3の制御作動は、第1実施形態と同様である。
【0027】なお、弁開度を微少に可変制御するとは、圧縮機1の吐出冷媒量Qdの制御に対して大きな影響がでない程度に弁開度を可変制御することを言う。これにより、圧縮機1は、膨張弁3側の制御に大きく影響されることなく、吸入圧Psに応じて吐出冷媒量Qdが制御されるので、CO2 サイクルを適切に制御することができる。
【0028】(第3実施形態)第2実施形態では、第2プログラム制御時に、第1プログラム制御時に比べて弁開度の変化率が小さくなるように弁開度を制御したが、本実施形態では、第2プログラム制御時に、最適制御線ηmax に基づいて決定される放熱器2出口側の冷媒圧力(以下、この圧力を第1目標圧力と呼ぶ。)より低い第2目標圧力となるように制御するものでる(図5参照)。因みに、膨張弁3の制御作動は、第1実施形態と同様である。
【0029】なお、第2目標圧力とは、第2実施形態と同様に、圧縮機1の吐出冷媒量Qdの制御に対して大きな影響がでない程度に弁開度が可変制御さるように設定された圧力を言う。
(第4実施形態)上述の実施形態では、吐出冷媒量Qdは縮小変化した時から所定時間Toだけ第2プログラム制御を実施したが、本実施形態では、後述するように、圧縮機1の吐出冷媒量Qdが変化した後、CO2 サイクルの挙動が安定するまで第2プログラム制御を行い、CO2 サイクルの挙動が安定した後に、第1プログラム制御に戻るものである。
【0030】以下、図6に示すECU9の制御フローチャートに基づいて本実施形態の特徴的作動について述べる。CO2 サイクルの起動スイッチが投入され、CO2 サイクルが起動されると、ECU9は、各センサ6〜8からの信号を読み込み(S400)、吸入圧Psの圧力変化率ΔPsが所定値ΔP1 未満であるか否かを判定する(S410)。
【0031】そして、圧力変化率ΔPsが第1所定値ΔP1 未満のときには、ECU9は、現状の吐出冷媒量Qdが維持された状態で圧縮機1が稼動している(吐出冷媒量Qdが変化していない)ものとみなして、第1プログラム制御を実行し(S420)、その後S400に戻る。一方、 圧力変化率ΔPsが第1所定値ΔP1 以上のときには、吸入圧Psが低下して圧縮機1の吐出冷媒量Qdが低下したものとみなして、第1プログラム制御を中止するとともに(S430)、圧力変化率ΔPsが第2所定値ΔP2 以上である間は、CO2 サイクルの挙動が安定していないものとみなして、第2プログラム制御を実施する(S440、S450)。なお、本実施形態における第2プログラム制御は、第1実施形態と同様に、第1プログラム制御を中止した時の弁開度に固定するものである。
【0032】そして、圧力変化率ΔPsが第2所定値ΔP2 未満となったときには、CO2サイクルの挙動が安定したものとみなしてS400に戻る。ところで、第4実施形態では、第2プログラム制御を第1実施形態と同様にしたが、第4実施形態はこれに限定されるものではなく、第2プログラム制御を第2、3実施形態と同様な制御としてもよい。
【0033】また、上述の実施形態では、CO2 サイクルを例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、エチレン、エタン、酸化窒素等を冷媒とする超臨界冷凍サイクルにも適用することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機製作所
【出願日】 平成10年(1998)4月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二
【公開番号】 特開平11−304268
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−109426