| 【発明の名称】 |
蓄冷冷却システム |
| 【発明者】 |
【氏名】狩野 陽
【氏名】細谷 勝宣
【氏名】福井 良
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| 【要約】 |
【課題】蓄冷手段から効率良く低温度を取り出すことができ、重負荷時間帯における電力消費量を低減して電力需要ピーク抑制に大きく貢献し得る蓄冷冷却システムを提供することにある。
【解決手段】冷凍サイクルに蓄冷用バイパス管路3を設け、このバイパス管路3上であって、被冷却空間5内に蓄冷手段1を設ける。蓄冷用バイパス管路3は、凝縮器12と蒸発器用膨張手段13とを結ぶ第一の冷媒配管15から分岐し、蓄冷手段1の内部を通り、蒸発器14と圧縮機11とを結ぶ第二の冷媒配管16に合流するように形成する。蓄冷手段1は、蓄冷用バイパス管路3を通る冷媒で冷却されて蓄冷し、且つ、外気と熱交換するように構成する。蓄冷手段1と熱交換された空気が、被冷却空間5内に強制的に循環されるように送風手段2を配置する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧縮機、凝縮器、蒸発器用膨張手段、被冷却空間内に設置される蒸発器が順次冷媒配管によって接続された冷凍サイクルと、蓄冷用バイパス管路と、被冷却空間内に設置される蓄冷手段と、蓄冷手段用膨張手段とを少なくとも有し、蓄冷用バイパス管路は、凝縮器と蒸発器用膨張手段とを結ぶ第一の冷媒配管から分岐し、蓄冷手段の内部を通って、蒸発器と圧縮機とを結ぶ第二の冷媒配管に合流するものであり、蓄冷手段は、蓄冷用バイパス管路を通る冷媒で冷却されて蓄冷し、且つ、外気と熱交換し得るものであり、蓄冷手段用膨張手段は、上記バイパス管路上であって、蓄冷手段の上流側に設けられていることを特徴とする蓄冷冷却システム。 【請求項2】 上記蓄冷手段から該蓄冷手段の外側に向けて、または、該蓄冷手段の外側から該蓄冷手段に向けて送風する送風手段をさらに有している請求項1記載の蓄冷冷却システム。 【請求項3】 上記送風手段が被冷却空間内に設置されている請求項2記載の蓄冷冷却システム。 【請求項4】 上記送風手段が、被冷却空間の外側に設置され、管路を経由して送風するものである請求項2記載の蓄冷冷却システム。 【請求項5】 上記蓄冷手段が、中空のケースの内部に、冷却されると凝固して潜熱を蓄える蓄冷材を充填してなるものである請求項1記載の蓄冷冷却システム。 【請求項6】 上記ケースの外周を形成する壁部の一部が、他の部分よりも厚みが薄く形成されている請求項5記載の蓄冷冷却システム。 【請求項7】 上記ケースの外周を形成する壁部の一部に、開口部が設けられている請求項5記載の蓄冷冷却システム。 【請求項8】 上記蓄冷手段が、中空のケースの内部に、冷却されると凝固して潜熱を蓄える蓄冷材を充填してなるものであって、前記ケースの外周を形成する壁部の一部が、他の部分よりも厚みが薄く形成されており、上記送風手段が、厚みが薄く形成された壁部の一部に対向する位置に設置されている請求項2記載の蓄冷冷却システム。 【請求項9】 上記蓄冷手段が、中空のケースの内部に、冷却されると凝固して潜熱を蓄える蓄冷材を充填してなるものであって、前記ケースの外周を形成する壁部の一部に開口部が設けられており、上記送風手段が、前記開口部に対向する位置に設置されている請求項2記載の蓄冷冷却システム。 【請求項10】 凝縮器から送られてくる冷媒の一部又は全部が、上記蓄冷用バイパス管路に流れるように、冷媒流路を切り替える切替手段が設けられている請求項1記載の蓄冷冷却システム。 【請求項11】 放冷用バイパス管路を有しており、放冷用バイパス管路は、第一の冷媒配管から分岐し、上記蓄冷手段の内部を通って、該分岐より下流側で再度第一の冷媒配管に合流するものである請求項1記載の蓄冷冷却システム。 【請求項12】 凝縮器から送られてくる冷媒の一部又は全部が、上記蓄冷用バイパス管路または上記放冷用バイパス管路に流れるように、冷媒流路を切り替える切替手段が設けられている請求項11記載の蓄冷冷却システム。 【請求項13】 被冷却空間内の温度を検知するセンサー、蓄冷手段内の温度を検知するセンサー、外気温度を検知するセンサーのうちの少なくとも一つのセンサーと、時刻に応じて信号を出力するタイマー手段と、これらからの信号により少なくとも上記切替手段を制御する制御手段とを有している請求項10または12記載の蓄冷冷却システム。 【請求項14】 被冷却空間内の温度を検知するセンサー、蓄冷手段内の温度を検知するセンサー、外気温度を検知するセンサーのうちの少なくとも一つのセンサーと、時刻に応じて信号を出力するタイマー手段と、これらからの信号により少なくとも上記送風手段を制御する制御手段とを有している請求項2記載の蓄冷冷却システム。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、蓄冷冷却システムに関する。 【0002】 【従来の技術】近年、電力需要ピークを抑制するため、昼間と夜間の電力料金に格差を設けた電力料金制度が実施され、夜間の安価な電力を有効利用して昼間の被冷却空間(例えば、冷凍庫内や冷蔵庫内)を冷却する蓄冷冷却システムが種々提案されている。蓄冷冷却システムは、一般に、圧縮機や凝縮器等からなる冷凍サイクルと、被冷却空間(例えば、冷凍庫内や冷蔵庫内)の一部又は外部に設けられる蓄冷手段等で構成されている。このような蓄冷冷却システムとしては、例えば特開平6−50686号公報や特開平7−248172号公報に記載された蓄冷冷却システムが挙げられる。 【0003】上記の蓄冷冷却システムでは、冷凍サイクルのみを使用して行われる通常運転に加えて蓄冷運転および放冷運転が行われる。蓄冷運転とは、例えば、蓄冷手段内部の蓄冷材を蓄冷用熱交換器などで冷却・凝固して、蓄冷材に主に潜熱を蓄えさせる運転をいう。通常、電力需要が少なく、電力料金の割安な夜間の予め決められた時間帯においては、圧縮機を通常の場合以上の能力(通常夜間は昼間に比べて低負荷運転なので余裕がある。)で稼働させて蓄冷運転が行われる。 【0004】一方、放冷運転とは、例えば、蓄冷運転で蓄えられた融解潜熱を利用して、蓄冷手段と被冷却空間内の空気との間で冷媒を介して熱交換を行い、被冷却空間内を冷却する運転をいう。通常、電力需要が多く、電力料金が割高な昼間の予め決められた時間帯においては、放冷運転が行われる。 【0005】上記の蓄冷冷却システムの運転形態には種々のものがあり、通常、深夜料金時間帯においては、通常運転と蓄冷運転とを並列して行っている。一方、昼間料金時間帯においては、低負荷時間帯(例えば、8時〜13時、16時〜22時)には通常運転のみを、重負荷時間帯(例えば13時〜16時)には通常運転と放冷運転とを並列して運転することもできる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の蓄冷冷却システムでは、放冷運転のみの冷却能力は通常運転のみの冷却能力に対して相対的に低く、重負荷時間帯における電力消費量を大きく低減するには至らなかった。即ち、従来の蓄冷冷却システムでは、電力需要ピーク抑制への貢献度は小さいものであった。 【0007】本発明の課題は、上記問題を解決し、蓄冷手段から効率良く低温度を取り出すことができ、放冷運転時における(重負荷時間帯における)電力消費量を低減して電力需要ピーク抑制に大きく貢献し得る蓄冷冷却システムを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の蓄冷冷却システムは、次の特徴を有するものである。 (1) 圧縮機、凝縮器、蒸発器用膨張手段、被冷却空間内に設置される蒸発器が順次冷媒配管によって接続された冷凍サイクルと、蓄冷用バイパス管路と、被冷却空間内に設置される蓄冷手段と、蓄冷手段用膨張手段とを少なくとも有し、蓄冷用バイパス管路は、凝縮器と蒸発器用膨張手段とを結ぶ第一の冷媒配管から分岐し、蓄冷手段の内部を通って、蒸発器と圧縮機とを結ぶ第二の冷媒配管に合流するものであり、蓄冷手段は、蓄冷用バイパス管路を通る冷媒で冷却されて蓄冷し、且つ、外気と熱交換し得るものであり、蓄冷手段用膨張手段は、上記バイパス管路上であって、蓄冷手段の上流側に設けられていることを特徴とする蓄冷冷却システム。 【0009】(2) 上記蓄冷手段から該蓄冷手段の外側に向けて、または、該蓄冷手段の外側から該蓄冷手段に向けて送風する送風手段をさらに有している上記(1)記載の蓄冷冷却システム。 【0010】(3) 上記送風手段が被冷却空間内に設置されている上記(2)記載の蓄冷冷却システム。 【0011】(4) 上記送風手段が、被冷却空間の外側に設置され、管路を経由して送風するものである上記(2)記載の蓄冷冷却システム。 【0012】(5) 上記蓄冷手段が、中空のケースの内部に、冷却されると凝固して潜熱を蓄える蓄冷材を充填してなるものである上記(1)記載の蓄冷冷却システム。 【0013】(6) 上記ケースの外周を形成する壁部の一部が、他の部分よりも厚みが薄く形成されている上記(5)記載の蓄冷冷却システム。 【0014】(7) 上記ケースの外周を形成する壁部の一部に、開口部が設けられている上記(5)記載の蓄冷冷却システム。 【0015】(8) 上記蓄冷手段が、中空のケースの内部に、冷却されると凝固して潜熱を蓄える蓄冷材を充填してなるものであって、前記ケースの外周を形成する壁部の一部が、他の部分よりも厚みが薄く形成されており、上記送風手段が、厚みが薄く形成された壁部の一部に対向する位置に設置されている上記(2)記載の蓄冷冷却システム。 【0016】(9) 上記蓄冷手段が、中空のケースの内部に、冷却されると凝固して潜熱を蓄える蓄冷材を充填してなるものであって、前記ケースの外周を形成する壁部の一部に開口部が設けられており、上記送風手段が、前記開口部に対向する位置に設置されている上記(2)記載の蓄冷冷却システム。 【0017】(10) 凝縮器から送られてくる冷媒の一部又は全部が、上記蓄冷用バイパス管路に流れるように、冷媒流路を切り替える切替手段が設けられている上記(1)記載の蓄冷冷却システム。 【0018】(11) 放冷用バイパス管路を有しており、放冷用バイパス管路は、第一の冷媒配管から分岐し、上記蓄冷手段の内部を通って、該分岐より下流側で再度第一の冷媒配管に合流するものである上記(1)記載の蓄冷冷却システム。 【0019】(12) 凝縮器から送られてくる冷媒の一部又は全部が、上記蓄冷用バイパス管路または上記放冷用バイパス管路に流れるように、冷媒流路を切り替える切替手段が設けられている上記(11)記載の蓄冷冷却システム。 【0020】(13) 被冷却空間内の温度を検知するセンサー、蓄冷手段内の温度を検知するセンサー、外気温度を検知するセンサーのうちの少なくとも一つのセンサーと、時刻に応じて信号を出力するタイマー手段と、これらからの信号により少なくとも上記切替手段を制御する制御手段とを有している上記(10)または(12)記載の蓄冷冷却システム。 【0021】(14) 被冷却空間内の温度を検知するセンサー、蓄冷手段内の温度を検知するセンサー、外気温度を検知するセンサーのうちの少なくとも一つのセンサーと、時刻に応じて信号を出力するタイマー手段と、これらからの信号により少なくとも上記送風手段を制御する制御手段とを有している上記(2)記載の蓄冷冷却システム。 【0022】 【作用】上記のように、本発明の蓄冷冷却システムにおける放冷運転では、従来のように冷媒を介することなく、蓄冷手段と被冷却空間内の空気との間で直接熱交換が行われて被冷却空間内が冷却される。従って、本発明の蓄冷冷却システムを用いれば、従来の蓄冷冷却システムに比べ、蓄冷手段から効率良く低温度を取り出すことができ、放冷運転のみの冷却能力を高めることができる。 【0023】また、本発明の蓄冷冷却システムに送風手段を設ければ、蓄冷手段で冷却された空気を被冷却空間内で強制的に循環させることができるため、更に、放冷運転のみの冷却能力を高めることができる。即ち、本発明によれば、所定の時間、冷凍機を一部または全部停止して相対的に格段に小さい消費電力である送風手段を用いるため、放冷運転時における電力消費量を大きく低減することができる。 【0024】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図を用いて詳細に説明する。図1は本発明の蓄冷冷却システムの一例を示す図であり、被冷却空間5については点線で示している。図1の例に示すように、本発明の蓄冷冷却システム10は、冷凍サイクルと、蓄冷用バイパス管路3と、被冷却空間5内に設置される蓄冷手段1と、蓄冷手段用膨張手段4とを少なくとも有している。冷凍サイクルは圧縮機11、凝縮器12、蒸発器用膨張手段13、被冷却空間5内に設置される蒸発器14を順次冷媒配管によって接続して構成されている。 【0025】蓄冷用バイパス管路3は、凝縮器12と蒸発器用膨張手段13とを結ぶ第一の冷媒配管15から分岐し、蓄冷手段1の内部を通り、蒸発器14と圧縮機11とを結ぶ第二の冷媒配管16に合流している。蓄冷手段1は、蓄冷用バイパス管路3を通る冷媒で冷却されて蓄冷し、且つ、外気と熱交換するものである。蓄冷手段用膨張手段4は、蓄冷用バイパス管路3上であって、蓄冷手段1の上流側に設けられている。 【0026】図1の例では、蓄冷手段1は中空のケース6の内部に種々の形態・構成をした蓄冷材を充填してなり、中空のケース6内には蓄冷用バイパス管路3が通っている。蓄冷手段1は、このバイパス管路3を通る冷媒により蓄冷材が冷却されることで蓄冷する。蓄冷手段1は、蓄冷運転が終了すると中空のケース6を介して放冷し、外気との間で熱交換を行う。さらに、同図の蓄冷冷却システム10には、被冷却空間5内において送風手段2が設けられている。送風手段2は、蓄冷手段1からその外側に向けて送風するものである。矢印8は送風方向を示している。なお、送風手段は矢印8と逆の方向、即ち蓄冷手段1の外側から蓄冷手段1に向けて送風することもできる。 【0027】従って、送風手段2を稼働させることにより、蓄冷手段1と熱交換して冷却された空気は被冷却空間5内に強制的に循環され、被冷却空間5は冷却される。即ち、図1に示す蓄冷冷却システム10では、放冷運転は、蓄冷手段1と熱交換して冷却された空気を送風手段2によって送風することで行われている。 【0028】蓄冷冷却システム10には、更に、凝縮器12から送られてくる冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路3に流れるように、冷媒流路を切り替える切替手段9が設けられている。切替手段9は、第一の冷媒配管15上であって蓄冷用バイパス管路3の分岐点の下流側に設けられた弁9aと、蓄冷用バイパス管路3上であって該分岐点の下流側に設けられた弁9bとで構成されている。蓄冷冷却システム10は、これらの弁(9a、9b)を適宜開閉することにより、通常運転のみ、蓄冷運転のみ、これらの並列運転を行うことができる。 【0029】上記切替手段で用いられる弁としては、一般的な仕切り弁やボール弁などを利用することができる。なお、本発明で用いられる切替手段は、図1の態様に限定されるものではない。切替手段の他の態様としては、上記分岐点に三方弁などの切替弁を設けた態様が挙げられる。 【0030】本発明の蓄冷冷却システムで用いられる蓄冷手段は、蓄冷用バイパス管路を通る冷媒で冷却されて蓄冷でき、且つ、外気と熱交換し得るものであれば良い。具体的には、上記図1に示す中空のケースの内部に蓄冷材を充填して構成したものが挙げられる。この態様においては、中空のケースの材料、形状、大きさ、壁となる部分の厚みや態様等は、特に限定されるものではなく、蓄冷手段に要求される放冷能力や蓄冷能力に応じて適宜設定すれば良い。 【0031】また、後述する図2、3に示す例のように、中空のケースに熱伝導率が高い部分と低い部分を設ければ、該高い部分で主に熱交換が行われるため、送風手段を用いた場合に冷却された空気を効率良く被冷却空間内に循環することができる。更に、中空のケースの一部又は全部を金属材料等の熱伝導率の高い材料で形成し、該部分をプラスチック材料等の比較的熱伝導率の低い材料で形成した部材で覆い、この部材を運転状況に応じて取り外し又は可動させるようにした態様も挙げられる。 【0032】本発明で使用される蓄冷材は、例えば図1や後述する図2、3の例では潜熱を蓄える材料であるが、本発明ではこれに限定されない。例えば、顕熱を蓄える材料であっても良い。本発明で用いられる蓄冷材としては、凝固・融解熱を利用する無機塩水溶液・無機溶融塩・有機物・包接水和物や、化学反応熱を利用する材料等がある。このうち、本発明の目的からすると低温域での熱の授受ができ、しかも安全な無機塩水溶液が好ましい。 【0033】本発明においては、放冷運転による冷却能力を高める点から、図1に示すように送風手段を設けるのが好ましい。送風手段は、蓄冷手段の外側から蓄冷手段に向けて、又は蓄冷手段から蓄冷手段の外側に向けて、送風し得るものであれば良い。具体的には、多翼送風機や管流送風機などの遠心送風機、プロペラ形やチューブ形の軸流送風機、斜流送風機、クロスフロー送風機等が挙げられる。送風手段に要求される能力は特に限定されるものではなく、被冷却空間の大きさ等に応じて適宜決定すれば良い。 【0034】図2は、本発明の蓄冷冷却システムで用いられる蓄冷手段及び送風手段の他の例を示す図である。蓄冷手段については断面で示している。図2の例に示すように、蓄冷手段1は中空のケース6の内部に蓄冷材7を充填して構成されている。蓄冷材7は、冷却されると凝固して潜熱を蓄える材料で形成されている。中空のケース6の外周を形成する壁部の一部6aは、他の部分よりも厚みが薄く形成されている。即ち、壁部の一部6aの熱伝導率は、他の部分よりも高くなっている。従って、放冷運転時には、主に壁部の一部6aと外気との間で熱交換が行われる。 【0035】図2の例では、送風手段2は、厚みが薄く形成された壁部の一部6aに対向する位置に設置されており、放冷運転時に矢印8の方向に送風するように構成されている。よって、送風手段を稼働して送風を行えば、冷却された空気を効率良く被冷却空間5内に循環させることができる。なお、蓄冷手段1の内部には、蓄冷用バイパス管路3の一部を形成するパイプ3aが蛇行するように配管されている。このパイプ3aの内部を冷媒が流れることにより、蓄冷材7は冷却されて凝固し、主に潜熱を蓄える。 【0036】図2の例に示す中空のケースにおいては、壁部を構成する材料としては、グラスウール、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォームが挙げられる。このうち、熱伝導率が低いことから、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォームが好ましい。 【0037】壁部の一部6aの厚みは、所望の熱交換が行える程度であれば特に限定されるものではなく、被冷却空間の大きさ、放冷運転で必要とされる冷却能力、壁部の材料、蓄冷材の材料等の各種条件に応じて適宜決定すれば良い。 【0038】図3は、本発明の蓄冷冷却システムで用いられる蓄冷手段及び送風手段の他の例を示す図である。蓄冷手段については断面で示している。図3の例に示すように、蓄冷手段1は図2の例と同様に中空のケース6の内部に蓄冷材7を充填して構成されている。中空のケース6の外周を形成する壁部の一部(6b、6c)には、複数の開口部30が形成され、流動しない蓄冷材7、または包袋材やカプセルによってされた蓄冷材7が露出している。即ち、壁部の一部(6b、6c)は、他の部分よりも熱交換が容易な構造になっている。なお、同図ではケース6の形状は直方体であり、そのうちの対向する二面を格子状の部材で構成することで開口部30を形成している。放冷運転時には、開口部30が設けられた壁部の一部(6b、6c)において、主に外気との熱交換が行われる。 【0039】図3の例では、送風手段は、図2の例で示したものと同様のものが使用されており、壁部の一部6cの開口部30に対向する位置に設置されている。なお、送風手段2の設置位置は、図2の例のように蓄冷手段1に対して被冷却空間5の中央側ではなく、蓄冷手段1に対して被冷却空間の壁面側に設置されている。この場合、送風手段を被冷却空間の壁の内部に埋め込んで設置することができるため、被冷却空間の有効スペースを向上させ得ることもできる。また、送風手段2の設置位置は図2と同様の壁部の一部6bの開口部30に対向する位置であっても良い。 【0040】従って、送風手段を稼働して送風を行えば、上記図2の例と同様に、冷却された空気を効率良く被冷却空間5内に循環させることができる。なお、蓄冷手段1の内部には、図2の例と同様に蓄冷用バイパス管路3の一部を形成するパイプ3aが蛇行するように配管されている。 【0041】なお、図3の例では、中空のケース6の壁部の一部に開口部を設けるため、壁部の一部を格子状の部材で形成しているが、これ以外の例えば網状の部材や板材に複数の貫通孔を設けてなる部材で形成しても良い。中空のケースの壁部の材料としては、前述の図2に示したものと同様のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、上記の格子状の部材等については、熱導電率を高めるため、銅、ステンレス等の金属材料で形成しても良い。 【0042】図4は、本発明で用いられる送風手段の他の例を示す図である。図4の例に示すように、送風手段2は被冷却空間5の外側に設置されている。送風手段2は管路(17a、17b)を経由して送風している。図4の例では送風手段2は管路17aを経由して被冷却空間5内から空気を吸引し、この吸引した空気を別の管路17bを経由して蓄冷手段1に送風して、被冷却空間5を冷却している。なお、これとは逆に、蓄冷手段1と熱交換して冷却された空気を管路17bから吸引し、管路17aを経由して被冷却空間5内に送風しても良い。このように送風手段を被冷却空間5の外側におけば、送風手段の運転時における発熱により被冷却空間が温められるのを抑制できる。更に、図2、3の例に比べて被冷却空間内の有効スペースを向上させることができる。 【0043】図5は、本発明の蓄冷冷却システムの他の例を示す図であり、被冷却空間5については点線で示している。図5に示す蓄冷冷却システムは、図1に示した蓄冷冷却システムに放冷用バイパス管路20が更に設けられたものであり、それ以外の構成は図1と同様である。図5の例に示すように、放冷用バイパス管路20は、第一の冷媒配管15から分岐し、蓄冷手段1の内部を通って、該分岐より下流側で再度第一の冷媒配管15に合流している。この放冷用バイパス管路20に冷媒を流せば、冷媒は蓄冷手段1の内部を通る際に熱交換して冷却され、蒸発器14を通って被冷却空間5を冷却する。 【0044】図5の例では、放冷用バイパス管路20上における、第一の冷媒配管15と放冷用バイパス管路20との分岐点の下流側には、弁9cが設けられている。弁9cは、弁9a、bと共に、凝縮器12から送られてくる冷媒の一部又は全部が、蓄冷用バイパス管路3又は放冷用バイパス管路20に流れるように、冷媒流路を切り替える切替手段としての役目を果たしている。なお、図5の例においても弁としては、一般的な仕切り弁やボール弁などを利用することができる。また、切替手段は、図5の態様に限定されるものではなく、分岐点に切替弁を設けた態様も挙げられる。 【0045】このように本発明の蓄冷冷却システムに、更に放冷用バイパス管路を設ければ、送風手段を用いた直接的な熱交換による冷却に加え、放冷系統を用いた冷媒による冷却をも行える。よって、蓄冷冷却システムの冷却能力の向上を図ることができ、特に、急速冷却能力を向上させることもでき、被冷却物の温度上昇を極力避けたい場合に効果がある。 【0046】冷凍サイクルを構成する圧縮機は、冷媒を圧縮し高温高圧の状態にするものである。圧縮機としては、往復動圧縮機、スクリュウ圧縮機、遠心圧縮機、ロータリー圧縮機等の既存の冷凍機で使用されているものを利用することができる。冷凍サイクルを構成する凝縮器は、圧縮機で高温高圧にされた冷媒を放熱して液化し、過冷却するものである。凝縮器としても、既存の水冷式、空冷式、蒸発式、カスケード式の凝縮器を利用することができる。 【0047】蒸発器用膨張手段は、凝縮器で液化された冷媒を膨張させ、低圧低温の気液混合状態とするものである。蒸発器用膨張手段としては既存の冷却器で使用される膨張弁を利用することができる。蒸発器は蒸発器用膨張手段で気液混合状態とされた冷媒を気化し、周囲から熱を奪うものである。蒸発器についても、既存の冷却器で使用されている水冷式又は空冷式のものを利用することができる。 【0048】蓄冷用バイパス管路には、該管路上の蓄冷手段の下流側において蓄冷手段用膨張手段が設けられている。この膨張手段は蒸発器用膨張手段と同様に、凝縮器で液化された冷媒を膨張させ、低圧低温の気液混合状態とするものである。この膨張手段についても既存の冷却器で使用される膨張弁を利用することができる。なお、図1〜5の例では蓄冷用バイパス管路には専用の膨張手段を設けているが、配管の態様を変更することにより蒸発器用膨張手段と兼用しても良い。 【0049】本発明の蓄冷冷却システムは、時間帯や負荷に応じて運転形態を変えて運転されるものである。従って、本発明の蓄冷冷却システムには、被冷却空間内の温度を検知するセンサー、蓄冷手段内の温度を検知するセンサー、外気温度を検知するセンサーのうち少なくとも一つの温度センサーと、タイマー手段と、これらからの信号により少なくとも切替手段(送風手段を有する場合では、送風手段及び切替手段)を制御する制御手段とを設けるのが好ましい。 【0050】なお、温度センサーとしては、熱電対、測音抵抗体、サーミスタ等が挙げられる。タイマー手段としては、時計、タイムスイッチ、シーケンサ内タイマー等が挙げられる。制御手段としては、リレーシーケンスにある制御、マイコン制御等が挙げられる。 【0051】例えば、図1に示した蓄冷冷却システムに、■被冷却空間内の温度を検知するセンサー(以下、「第一温度センサー」という。)と、■蓄冷手段内の温度を検知するセンサー(以下、「第二温度センサー」という。)と、■タイマー手段と、■これらからの信号により切替手段、送風手段及び冷凍サイクルを制御する制御手段とを設けた場合では、次のように運転が行われる。 【0052】夜間において、蓄冷冷却システムが冷凍サイクルによる通常運転の状態にある場合、制御手段は、タイマー手段からの信号により時刻が深夜時間帯(例えば22時〜翌朝8時)に入ったことを検知すると、第一温度センサーからの信号により、被冷却空間内の温度を測定する。なお、この温度測定は1秒〜10分の任意の間隔で行う。制御手段は、その温度が設定温度幅内にある場合は、蓄冷冷却システムに通常運転を継続させ、設定温度幅以下になった場合は、通常運転を停止させ、切替手段を切替えて蓄冷運転を行わせる。 【0053】蓄冷運転中においては、制御手段は第一温度センサーによる温度測定を継続して行い、その温度が設定温度幅以上になった場合は、直ちに切替手段を切替え、蓄冷冷却システムに通常運転を行わせる。同時に制御手段は、蓄冷運転中においては、第二温度センサーから信号により蓄冷手段内部の温度を測定し、蓄冷完了の有無を確認する。完了の場合は蓄冷運転を停止し、未完了の場合は蓄冷運転を継続させる。この第二温度センサーによる温度測定も1秒〜10分の任意の間隔で行う。制御手段は、上記の任意に設定された深夜時間帯の間、上記に示したように蓄冷冷却システムに通常運転と蓄冷運転とを交互に行わせる。 【0054】昼間においては、基本的には、制御手段は、第一温度センサーからの信号により被冷却空間内の温度を継続して測定し、被冷却空間内の温度に応じ、蓄冷冷却システムに冷凍サイクルによる通常運転と、全停止とを交互に行わせる。但し、制御手段は、タイマー手段からの信号により時刻が任意に設定した負荷の多い時間帯(例えば13時〜16時)に入ったことを検知すると、通常運転を停止させ、第一温度センサーからの信号により被冷却空間内の温度を測定する。制御手段は、その温度が設定温度幅以上になった時点で、送風手段を稼働させ、蓄冷手段に送風して直接放冷運転を行わせる。放冷運転中では、制御手段は被冷却空間内の温度測定を継続して行い、その温度が設定温度幅以下になると、送風手段を停止する。制御手段は、上記の負荷の多い時間帯の間、この放冷運転と停止とを蓄冷冷却システムに交互に行わせる。 【0055】本発明の蓄冷冷却システムが冷却の対象とする被冷却空間としては、冷凍庫内部の空間、冷蔵庫内部の空間等が挙げられる。 【0056】 【実施例】実施例1図1に示す蓄冷冷却システムを実際に製作した。なお、蓄冷手段1については図2に示す態様とした。蓄冷手段1は、外形が(縦)800mm×(横)2700mm×(奥行)600mm、壁部1aの厚みが1mm、これ以外の壁部の厚みが20mmの中空のケース6に、蓄冷材として塩化ナトリウム水溶液を充填して構成した。送風手段としては、送風機出力が0.4kw、風量132m3 /minのプロペラ軸流送風機を使用した。被冷却空間は庫内体積が77.8m3 の冷凍庫とした。冷凍サイクルとしては、圧縮機の能力が7.5kw、蒸発器の能力が8450kcal/hのものを使用した。 【0057】上記で得られた蓄冷冷却システムについて、蓄冷運転を行い蓄冷手段を蓄冷した。なお、蓄冷運転は深夜の22時〜8時の間に行った。次に、昼間の13時〜16時の間において(外気温度32℃)、送風手段のみを稼働させて放冷運転を行なって冷凍庫内の温度を−18度〜−22度の間に保持した。結果、昼間の13時〜16時の間における電力消費量は、0.36kwhであった。 【0058】実施例2蓄冷手段1として図3に示す態様のものを使用し、蓄冷冷却システムを製作した。中空のケースの壁部の一部を格子状の部材で形成し(それ以外の壁部の厚みは20mm)、NaCl水溶液を主体とした蓄冷材を使用した以外は実施例1と同様に蓄冷冷却システムを製作した。この蓄冷冷却システムを実施例1と同様に運転させたところ、昼間の13時〜16時の間における電力消費量は、0.36kwhであった。 【0059】比較例1実施例1に示した蓄冷冷却システムにおいて通常運転のみを行って、昼間の13時〜16時の間における(外気温度32℃)冷凍庫内の温度を−18度〜−22度の間に保持したところ、電力消費量は、13.8kwhであった。 【0060】比較例2上記実施例1と同様の冷凍サイクルに、図5と同様に放冷用バイパス管路及び蓄冷用バイパス管路を設け、更に、これらバイパス管路上に蓄冷手段を設けて蓄冷冷却システムを構成した。なお、蓄冷手段は、中空のケースの厚みが全ての壁部で20mmである以外は図1と同様に構成した。 【0061】上記の蓄冷冷却システムについて、実施例と同様に蓄冷運転を行い、蓄冷手段を蓄冷した。次に、昼間の13時〜16時の間において(外気温度32℃)、放冷用バイパス管路に冷媒を流して放冷運転を行い、更に同時に冷凍サイクルを稼働させて通常運転を行い、冷凍庫内の温度を実施例と同様に−18度〜−22度の間に保持した。結果、昼間の13時〜16時の間における電力消費量は、11.1kwhであった。 【0062】よって、上記実施例1、2および比較例1、2に示すように、被冷却空間と蓄冷手段との熱交換を冷媒を介することなく直接行えば、即ち、本発明の蓄冷冷却システムを用いれば、放冷運転時における冷却能力を高め、電力消費量を低減できる。 【0063】 【発明の効果】このように本発明の蓄冷冷却システムでは、放冷運転時において、蓄冷手段から効率良く低温度を取り出すことが出来るため、電力消費量を低減でき、電力需要ピークを抑制するのに大きく貢献できる。また、冷凍機の小型化、電力消費量の低減による電気料金の低下などによる需要家のコスト削減にも貢献できる。さらに、1日トータルの電力消費量低減にも貢献でき、省エネルギーにも貢献することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003263 【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年(1998)4月23日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】高島 一
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| 【公開番号】 |
特開平11−304260 |
| 【公開日】 |
平成11年(1999)11月5日 |
| 【出願番号】 |
特願平10−113716 |
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