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【発明の名称】 温度調節装置
【発明者】 【氏名】野村 慎一

【氏名】小谷野 真次

【氏名】木下 裕一

【要約】 【課題】熱電素子の結露を防止して信頼性と寿命の向上、および熱交換の効率を図るようにした温度調節装置の提供。

【解決手段】この発明は、複数の熱電素子(ペルチェ素子)11と、熱を伝導する第1媒体を熱電素子11の一方の面と接触させて熱の授受を行う第1熱交換器7と、熱を伝導する第2媒体を熱電素子11の他方の面と接触させて熱の授受を行う第2熱交換器8と、第1媒体を第1熱交換器7、第1媒体を貯蔵するタンク12、温度制御すべき装置との間で循環させるポンプ4などから構成される。複数の熱電素子11、第1熱交換器7、第2熱交換器8、およびタンク4は、真空可能な気密性容器6内に収納されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相対する両面を有し、ペルチェ効果の利用により前記両面に放熱と吸熱を起こさせる熱電素子と、熱を伝導する第1媒体が、前記熱電素子の一方の面との間で熱の授受を行う第1熱交換器と、熱を伝導する第2媒体が、前記熱電素子の他方の面との間で熱の授受を行う第2熱交換器と、前記第1媒体を、前記第1熱交換器と温度制御すべき装置との間で循環させるポンプと、このポンプで循環させる前記第1媒体の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出温度が目標値になるように、前記熱電素子の供給電流を制御する制御手段とを備え、前記熱電素子、前記第1熱交換器、および前記第2熱交換器を気密性容器内に収納したことを特徴とする温度調節装置。
【請求項2】 前記第1媒体を貯蔵するタンクを前記第1熱交換器の入口側に接続し、かつ、前記タンクを前記気密性容器内に収納したことを特徴とする請求項1記載の温度調節装置。
【請求項3】 前記熱電素子は、スケルトン型ペルチェ素子であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の温度調節装置。
【請求項4】 前記気密性容器は、真空ポンプにより減圧自在に構成したことを特徴とする請求項1、請求項2、または請求項3記載の温度調節装置。
【請求項5】 前記気密性容器に、乾燥空気、または乾燥した不活性ガスを充填したことを特徴とする請求項1、請求項2、請求頁3、または請求項4記載の温度調節装置。
【請求項6】 前記第1媒体および前記第2媒体は気体、または電気絶縁性が高くかつ熱伝導性がすぐれた液体を使用することを特徴とする請求項1から請求頁5のうちのいずれか1の請求項に記載の温度調節装置。
【請求項7】 前記第2媒体の温度を一定に調節する温度調節手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちのいずれか1の請求項に記載の温度調節装置。
【請求項8】 前記温度調節手段は、前記第2媒体を加熱、冷却する熱電素子と、前記第2媒体を貯蔵するタンクと、前記第2媒体を循環させるポンプと、前記第2媒体の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出温度が目標値に一致するように前記熱電素子の供給電流を制御する制御手段と、から構成することを特徴とする請求項7記載の温度調節装置。
【請求項9】 前記ポンプの発熱を、前記第2熱交換器に流す第2媒体を使用して放熱することを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1の請求項に記載の温度調節装置。
【請求項10】 前記第1熱交換器および第2熱交換器は、前記熱電素子と接する部分に櫛型のフィンを設け、かつ各フィンに襞を設けたことを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1の請求項に記載の温度調節装置。
【請求項11】 前記第1熱交換器は、前記タンクの機能を併せて有する熱交換タンクとして構成し、この熱交換タンクを前記気密性容器内に収納したことを特徴とする請求項2記載の温度調節装置。
【請求項12】 前記熱交換器タンクは、長さ方向に所定の間隔で複数の壁を設けて複数の槽に分割し、前記各壁には前記長さ方向に直交する周方向に所定角度をおいて連通孔を開け、この各連通孔を通じて前記各槽を連通自在に形成したことを特徴とする請求項11記載の温度調節装置。
【請求項13】 前記熱電素子は複数個からなり、この各熱電素子を周方向および長さ方向に所定間隔をおいて配置させて中空状の4面体を構成し、この4面体の内側に前記第1熱交換器を形成させ、前記4面体の外側に前記第1の熱交換器と同心状の第2熱交換器を配置させたことを特徴とする請求項1から請求項10のうちのいずれか1の請求項に記載の温度調節装置。
【請求項14】 前記熱電素子を、所定間隔をおいて対向する2つの各平面内に、縦横方向に向けて所定の間隔をおいて配列させて2つの熱電素子配列面を形成させ、前記第1熱交換器をその両熱電素子配列面の間に形成させ、前記第2熱交換器を前記両熱電素子配列面の外側に形成させたことを特徴する請求項1から請求項10までのいずれか1つに記載の温度調節装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ペルチェ効果を利用した熱電素子を用いて流体の加熱・冷却を行い、かつ、その流体の温度調節ができる温度調節装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の温度調節装置としては、例えばアメリカ特許5613364号に示すものが知られている。この従来の温度調節装置は、熱電素子(ペルチェ素子)と、この熱電素子の一方の面と接して流体の熱交換を行う第1の熱交換器と、その熱電素子の他方の面と接して流体の熱交換を行う第2の熱交換器と、冷媒タンクなどにより構成され、これらが所定のケース内に収納されたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来装置では、以下のような不都合が生じていた。
(1)冷媒タンクは単にケース内に収納されるだけで断熱状態にないので、冷媒タンクの外周面から放熱、吸熱があり、熱交換の効率が悪い。
(2)熱電素子が単にケース内に収納されるだけで断熱状態にないので、熱電素子の冷却部の外周面からの放熱、吸熱があり、熱交換の効率が悪い。
(3)熱電素子が同様に断熱状態にないので、熱電素子の表面に結露が生じ、寿命が低下する。
(4)熱電素子の放熱側の面を、第2の熱交換器に水道水を流して冷却しているが、この冷却が必ずしも適切でなく冷却能力が十分でない。
(5)熱電素子の配置が適切でないために、第1の熱交換器を流れる媒体(流体)の温度が不均一となり、精密な温度調節が困難である。
(6)熱電素子が、いわゆるサンドイッチ構造のペルチェ素子(標準型ペルチェモジュール)を利用しているため、熱交換の効率が悪い。
【0004】そこで、本発明の目的は、熱電素子の結露を防止して信頼性と寿命の向上、および熱交換の効率を図るようにした温度調節装置を提供することにある。本発明の他の目的は、熱交換の効率の向上、および媒体の温度を均一化して性能の向上を図るようにした温度調節装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、相対する両面を有し、ペルチェ効果の利用により両面に放熱と吸熱を起こさせる熱電素子と、熱を伝導する第1媒体が、熱電素子の一方の面との間で熱の授受を行う第1熱交換器と、熱を伝導する第2媒体が、熱電素子の他方の面との間で熱の授受を行う第2熱交換器と、第1媒体を、第1熱交換器と温度制御すべき装置との間で循環させるポンプと、このポンプで循環させる第1媒体の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出温度が目標値になるように、熱電素子の供給電流を制御する制御手段とを備え、熱電素子、第1熱交換器、および第2熱交換器を気密性容器内に収納したものである。
【0006】また、本発明では、第1媒体を貯蔵するタンクを第1熱交換器の入口側に設け、かつ、タンクを気密性容器内に収納するようにしても良い。上記の熱電素子としては、スケルトン型ペルチェ素子とするのが、熱抵抗を減少させ、熱を伝導する媒体の加熱、冷却が向上する上で好ましい。
【0007】上記の気密性容器は、真空ポンプにより減圧して真空状態にできるようにするのが、断熱効果と防湿効果を高める上で好ましい。また、上記の気密性容器には、乾燥空気、または乾燥した不活性ガスを充填するようにしても良い。さらに、上記の第1媒体および第2媒体として気体または液体を使用し、液体を使用する場合には、電気絶縁性が高くかつ熱伝導性がすぐれたものを使用するのが好ましい。
【0008】また、本発明では、第2媒体の温度を一定に調節する温度調節手段を設けるのが、媒体の熱交換効率を向上させる上で好ましい。その温度調節手段は、第2媒体を加熱、冷却する熱電素子と、第2媒体を貯蔵するタンクと、第2媒体を循環させるポンプと、第2媒体の温度を検出する温度センサと、この温度センサの検出温度が目標値に一致するように熱電素子の供給電流を制御する制御手段とから構成するようにした。
【0009】上記のポンプの発熱は、第2熱交換器に流す第2媒体(例えば水道水)を使用して放熱させるようにするのが、ポンプをファンなどで冷却する不都合を解消する上で好ましい。また、上記の第1熱交換器および第2熱交換器は、熱電素子と接する部分に櫛型のフィンを設け、かつ各フィンに襞を設けるのが、フィンの表面積の増加と流体の流れに乱流をもたらし、熱交換の効率を向上させる点で好ましい。
【0010】さらに、本発明では、熱電素子は複数個からなり、この各熱電素子を周方向および長さ方向に所定間隔をおいて配置させて中空状の4面体を構成し、この4面体の内側に第1熱交換器を形成させ、4面体の外側に第1の熱交換器と同心状の第2熱交換器を配置させるようにした。このような構成により、第1媒体の温度を均一化することができる。
【0011】また、本発明では、熱電素子を、所定間隔をおいて対向する2つの各平面内に、縦横方向に向けて所定の間隔をおいて配列させて2つの熱電素子配列面を形成させ、第1熱交換器をその両熱電素子配列面の間に形成させ、第2熱交換器を両熱電素子配列面の外側に形成させるようにした。このような構成により、第1媒体の温度を均一化でき、かつ熱交換部を小型化できる。
【0012】また、本発明では、上記の第1熱交換器を、タンクの機能を併せて有する熱交換タンクとして構成し、この熱交換タンクを気密性容器内に収納するようにしても良い。
【0013】この場合には、その熱交換器タンクは、長さ方向に所定の間隔で複数の壁を設けて複数の槽に分割し、各壁には所定角度をおいて連通孔を開け、この各連通孔を通じて各槽を連通自在に形成するのが、液体が渦流となって流れて熱電効果を向上できる点で好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の温度調節装置の第1の実施の形態の全体の構成を示す縦断面図である。図2は、図1中の熱交換部のみを取り出した正面図である。図3は、図2のA−A線の断面図である。図4は、第1の実施の形態の配管の構成を模式的に描いた図である。
【0015】この温度調節装置の第1の実施の形態は、図1に示すように、キャスター1を備えた基台2上に外装ケース3が取付けられ、この外装ケース3内に後述する各構成要素が設けられている。基台2上には、第1媒体を循環するポンプ4が搭載されている。また、基台2上には固定部材5が固定され、この固定部材5上に機密性容器6が設けられている。気密性容器6内には、第1熱交換器7および第2熱交換器8からなり断熱材9で固定部材5上に支持された熱交換部10と、第1熱交換器7と第2熱交換器8との間に密着された複数の熱電素子11と、熱交換部10の上部に搭載され第1媒体を貯蔵するタンク12が設けられている。第1熱交換器7は、後述するように、熱を伝導する第1媒体が、熱電素子11の一方の面との間で熱の授受を行うものである。第2熱交換器8は、後述するように、熱を伝導する第2媒体が、熱電素子11の他方の面との間で熱の授受を行うものである。
【0016】ここで、熱電素子11は、例えば複数のP型半導体とN型半導体を組み合わせてペルチェ効果により放熱(発熱)と吸熱を生じさせる標準型のペルチェモジュール(ペルチェ素子)と呼ばれるものである。そして、この熱電素子11は、全体が平板状であって相対する2つの面を有し、この2つの面に電流の流れる方向に応じて放熱と吸熱が生ずるようになっている。
【0017】気密性容器6の上部には、真空ポンプ(図示せず)により機密性容器6内の空気を排気するための排気孔13が設けられ、この排気孔13は真空封止栓14により封止できるようになっている。このように、気密性容器6内の減圧によって、気密性容器6内は断熱、防湿構造となる。気密性容器6内の真空度を維持するために、例えば機密性容器6内の底部に気体を吸着させるゲッタ材15が配置されている。なお、気密性容器6内は必ずしも真空にする必要はなく、乾燥空気、不活性ガスなどを充填するようにしてもよい。
【0018】次に、機密性容器6内に設けられている熱交換部10と、熱電素子11の詳細な構成について説明する。熱交換部10は、図2および図3に示すように、第1熱交換器7と4つの第2熱交換器8とからなり、これらが同心状に配置されている。また、第1熱交換器7の4つの外周面の同一の高さ位置には、4つの熱電素子11の一方の面がそれぞれ密着され、かつ、各熱電素子11の他方の面は対応する第2熱交換器8の内側の面に密着されている。さらに、第1熱交換器7の4つの外周面の高さ方向には、図1に示すように、所定の間隔をおいて熱電素子11の一方の面が密着され、かつ、その各熱電素子11の他方の面は対応する第2熱交換器8の内側の面に密着されている。
【0019】第1熱交換器7は、図2および図3に示すように、全体が中空状の熱伝導性の高い部材(例えば銅)からなる4角柱ブロック23からなり、この4角柱ブロック23の内部の長さ方向に向けて第1媒体通路21が形成されている。4角柱ブロック23の4つの外周面には、上述のように各熱電素子11の一方の面が密着されている。第1媒体通路21は、図3に示すように、熱電素子11を密着させた4角柱ブロック23の各外面の裏側の位置に、長さ方向に延びる複数(この例では4つ)の凹部が形成され、この各凹部内に長さ方向に延びるとともに第1媒体通路21の中心に向かうように、3枚の平行板からなり全体が櫛型のフィン22が設けられている。
【0020】第2熱交換器8は、図2および図3に示すように、長さ方向に複数(この例では7枚)のフィン24を設けた熱伝導性の高いフィン付き部材25と、このフィン付き部材25と接続されて第2媒体通路26を形成する熱伝導性の高い部材からなる平板27とから構成される。フィン付き部材25は、図3に示すように、熱電素子11の他方の面と密着すると同時に、4角柱ブロック23とは断熱性の高い断熱部材(例えばテルリン)25Aで断熱されるように構成される。そして、断熱部材25Aは、熱電素子11の外周面を被覆または密着するように構成される。
【0021】熱電素子11に供給する電流は、後述のように、外装ケース1に取付けられた継手39から気密性容器6内のタンク12に至までの途中に設けられた温度センサ28(例えば白金測音体)の検出温度が目標値になるように、制御される。
【0022】図1に示すように、気密性容器6内の各熱電素子11へ電力を供給するために、気密性容器6の上部にケーブル(図示せず)を通すための通孔36が設けられ、かつ、外装ケース1の側面にコネクタ37が取付けられている。また、外装ケース1には、第1媒体を外部装置(図示せず)との間で循環させるため、第1媒体を外部装置に供給する継手41と外部装置から戻り入れる継手39とが取付けられている。継手41が気密性容器6内の第1熱交換器7と接続するために、気密性容器6の上部に継手40が取付けられている。同様に、継手39が気密性容器6内のタンク12と接続するために、気密性容器6の上部に継手38が取付けられている。これら継手同士は、断熱性部材で覆われたパイプで接続されている。また、外装ケース1内のポンプ4がタンク12および第1熱交換器7と接続するために、気密性容器6に継手(図示せず)が取付けられ、その継手とポンプ4とはパイプで接続されている。さらに同様に、気密性容器6内の第2熱交換器8に第2媒体を供給、排出するために、気密性容器6および外装ケース1の各々に継手(図示せず)が取付けられ、それらはパイプによって接続されている。なお、第1媒体の流れる各部の配管と、第2媒体の流れる各部の配管の説明は後述する。
【0023】次に、この第1の実施の形態の各部の配管の構成について、図4を参照して説明する。この第1の実施の形態では、図4に示すように、ポンプ4を駆動することにより、第1媒体をタンク12、ポンプ4、第1熱交換器7、および冷却・加熱対象である外部装置(図示せず)の順に循環できるように配管されている。従って、タンク12、ポンプ4、および第1熱交換器7は、パイプなどからなる第1媒体通路29を介して直列に接続されている。タンク12内または第1媒体通路29の途中には、第1媒体の流れの有無を監視する流量センサ31が配置されており、タンク12の入口に至る途中には温度センサ28が配置されている。
【0024】また、第2熱交換器8の出入口側には、水道水などの第2媒体が外部から供給されたのち排出されるようにパイプなどからなる第2媒体通路30が接続されている。この第2媒体は、第1媒体からの熱移動を効率的に行うために、装置の稼働時に常時流しておくものである。第2媒体通路30の途中には、第2媒体の流れの有無を監視するための流量センサ32が配置されている。
【0025】ここで、上述の第1媒体および第2媒体は、ヘリウムやHFC(ハイドロフルオロカーボン)系のガスなどの気体、または電気絶縁性が高くかつ熱伝導性がすぐれたフッ素系不活性液体やシリコンオイルなどの液体を使用しても良い。例えば、外部装置がプラズマエッチング装置の場合には、高電力、高周波のプラズマが発生しているため、第1媒体はフッ素系不活性液体が好ましい。
【0026】次に、このような構成からなる第1の実施の形態の制御系の構成について、図5を参照して説明する。この第1の実施の形態では、図5に示すように、コントローラ34により各部が制御されるように構成される。すなわち、コントローラ34は、その入力側に温度センサ28、流量センサ31、流量センサ32の検出信号が入力されるように構成される。コントローラ34の出力側には、その制御対象であるポンプ4、および図2などに示す熱電素子11が接続されている。
【0027】次に、このような構成からなる第1の実施の形態の動作について説明する。いま、コントローラ34の動作指令により、ポンプ4が駆動されると、図4に示すように、第1媒体がタンク12、ポンプ4、第1熱交換器7、および外部装置(図示せず)の順に循環する。これに伴い、コントローラ34は、温度センサ28の検出信号を入力し、この検出温度が設定値になるように、図2の各熱電素子11への供給電流と極性を制御し、第1媒体の加熱、冷却を行う。すなわち、検出温度が設定値より高い場合には、第1熱交換器7に接する面が冷却される極性で電流を増減させ、逆に、検出温度が設定値より低い場合には、前述の電流方向の極性を反転させて電流を制御する。この制御方法としては、一般的なPID制御で行う。また、このような第1媒体の加熱、冷却中には、第1媒体からの熱移動を効率的に行うために、第2熱交換器8には、常時、第2媒体を外部から供給して排出させる。
【0028】ところで、流量センサ31、32、また温度センサ28などからの検出温度により、コントローラ34が何らかの異常が発生したと判断すると、コントローラ34は、警告信号を発生してその旨をオペレータに知らせると同時に、ポンプ4や熱電素子11などの各部の動作を停止させる。さらに、気密性容器6内は減圧されて真空状態にあるので、タンク12の外側や熱交換部10の熱電素子11以外からの熱伝導がなく、タンク12や熱電素子11に結露が発生しない。また、気密性容器内6は断熱構造にあるため、熱交換率が向上する。
【0029】なお、第1の実施の形態では、第1媒体を貯蔵するタンク12を第1熱交換器7の入口側に接続するようにしたが、このタンク12は省略しても良い。
【0030】次に、本発明の第2の実施の形態について、図6(A)(B)を参照して説明する。この第2の実施の形態は、第1の実施の形態における熱電素子11を、図6に示すようなスケルトン型熱電素子51に代え、これに伴って第1の実施の形態における第1熱交換器7および第2熱交換器8を、図6(A)に示すような第1熱交換器52および第2熱交換器53に変更したものである。すなわち、この第2の実施の形態では、図6(A)に示すように、スケルトン型熱電素子51を取付ける中空状の内側の断熱部材からなる角柱筒54と、その角柱筒54を囲む中空状の外側の角柱筒55とが同心状に配置されている。
【0031】角柱筒54の4つの面の同一の高さ位置には、スケルトン型熱電素子51を配置するための方形の孔56がそれぞれ設けられ、かつ、その4つの各面の高さ方向にも所定間隔をおいてその孔56が設けられている。スケルトン型熱電素子51は、セパレータ57の端部が複数のネジ58により孔56の周縁に固定され、それ自身が孔56の位置にくるように構成される。図6の拡大部に示すように、孔56の周囲には溝59が設けられ、その溝59内にOリング60が嵌まるようになっており、これにより、セパレータ57を角柱筒54に取付ける際に気密性を確保できる。
【0032】ここで、スケルトン型熱電素子51は、図6(B)に示すように、セパレータ57の縦横方向に多数設けた孔に、P型半導体素子51AとN型半導体素子51Bとを交互に差し込んだものである。そして、隣り合う半導体素子51A、51Bは、セパレータ57を挟んで交互に電極を兼ねたU字状フィン61、62で接続され、流す電流の方向により、セパレータ57で分離される一方のU字状フィン側が放熱し、他方のU字状フィン側が吸熱するようになっている。なお、また、図6(B)に示すように、端部に配置されるP型半導体素子51AとN型半導体素子51Bは、平板状の電極62Aで接続されている。
【0033】このようなスケルトン型熱電素子51の採用により、以下のような利点がある。すなわち、従来の標準型熱電素子では、その両面がアルミナセラミックスなどの部材からなっており、この部材の熱抵抗が熱伝導性を劣化させていたのに対し、スケルトン型熱電素子51では半導体素子部に、直接、U字状フィン61、62を形成しているため、熱抵抗が小さくなって熱伝導性の向上につながる。このような構成により、角柱筒54の内側には第1媒体が通る第1媒体通路63が形成され、角柱筒54と角柱筒55とで囲まれた部分には第2媒体が通る第2媒体通路64が形成される。
【0034】このように第2の実施の形態では、スケルトン型熱電素子51を使用したので、発熱部と吸熱部とが第1媒体と第2媒体に直接接することができ、熱抵抗が減少して加熱・冷却の効率が向上する。また、スケルトン型熱電素子51の場合には、電流通路がむきだしになっているため、第1媒体および第2媒体としては電気絶縁性が高くかつ熱伝導性の高い液体を使用するのが好ましいが、電流通路を熱伝導性かつ電気絶縁性の樹脂でコーティングするなどにより、他の液体や気体を利用することもできる。
【0035】次に、本発明の第3の実施の形態について、図7および図8を参照して説明する。この第3の実施の形態は、第1の実施の形態の第1熱交換器7に代えて、第1媒体を熱交換するとともに貯蔵する機能を有する熱交換タンク71を備えるようにし、これにより第1の実施の形態のタンク12を省略したものである。
【0036】すなわち、この第3の実施の形態は、図7および図8に示すように、熱電素子11を取付ける中空状の角柱筒72と、その角柱筒72を囲む中空状の円筒73とが同心状に配置され、角柱筒72と円筒73とで囲まれた空間により熱交換タンク71を形成し、その角柱筒72内に4つからなる第2熱交換器74を設けたものである。
【0037】角柱筒72の4つの内面の同一の高さ位置には、熱電素子11がその一方の面を密着して配置され、かつ、その4つの各内面の高さ方向には、所定間隔をおいて熱電素子11がその一方の面を密着して配置されている。熱交換タンク71は、図7に示すように、角柱筒72の外周面の高さ方向に所定の間隔で取付けられた複数のフィン75により複数の槽71Aに分割されている。そして、各フィン75には、長さ方向に直交する周方向に所定角度(この例では90度)をおいて連通孔76が開けられ、この各連通孔76を通じて各槽71Aは連通自在に構成されている。
【0038】各フィン75は、図7および図8に示すように、半径方向に向けて取付けられ、各フィン75の外周面と円筒73の内周面との間には、所定幅の隙間が設けられている。角柱筒72内の高さ方向には4つの第2熱交換器74が設けられ、第2熱交換器74には熱電素子11の他方の面が密着するように構成される。各第2熱交換器74の高さ方向には、第2媒体が通る第2媒体通路77が設けられている。
【0039】このように構成される第3の実施の形態では、第1媒体を熱交換するとともに貯蔵する機能を有する熱交換タンク71を備えるようにしたので、図1で示すようタンク12を省略できる。また、熱交換タンク71は、フィン75により複数の槽71Aに分割され、各フィン75には所定角度をおいて連通孔76が開けられ、この連通孔76を通じて各槽71Aを連通するようにしたので、第1媒体(流体)が渦流となって流れ熱伝導効果の向上が図れる。
【0040】次に、本発明の第4の実施の形態について、図9および図10を参照して説明する。この第4の実施の形態は、第1の実施の形態の熱電素子11の配列を図9および図10に示すように変更すると同時に、これに伴って第1の実施の形態の第1熱交換器7および第2熱交換器8を、図示のような第1熱交換器83および第2熱交換器84に代えたものである。
【0041】この第4の実施の形態は、図9および図10に示すように、同一面内の縦横方向に所定の間隔をおいて複数の熱電素子11を配列して2つの熱電素子配列面81、82を形成させ、この2つの熱電素子配列面81、82を所定の間隔をおいて配置させている。そして、その熱電素子配列面81と熱電素子配列面82との間に、第1媒体の熱交換を行うために第1媒体通路85となる第1熱交換器83を形成させる。また、熱電素子配列面81と熱電素子配列面82の外側には、第2媒体の熱交換を行うために第2媒体通路86となる2つの第2熱交換器84を形成させる。
【0042】さらに詳述すると、図9に示すように、各熱電素子11の第1媒体通路85側の面には、熱伝導性部材からなるフィン87が密着されている。各フィン87の外周部は、第1熱交換器81を形成する部材が密着され、この部材と各フィン87により第1媒体通路85が形成されている。また、各熱電素子11の第2媒体通路86側の面には、熱伝導性部材からなるフィン88が密着されている。各フィン88の外周部は、第1熱交換器81を形成する部材が密着され、この部材と各フィン88により第2媒体通路86が形成されている。なお、第1媒体通路85内において対向するフィン87同士は、互いにずれるように構成され、これにより第1媒体通路85の幅が狭くできる。
【0043】そして、各熱電素子11に供給する電流は、第1の実施の形態と同様に、温度センサ28の検出温度が目標値になるように制御される。
【0044】次に、本発明の第5の実施の形態について、図11よび図12参照して説明する。この第5の実施の形態は、第1の実施の形態から第4の実施の形態におけるポンプ4の発熱を防止するために、図11に示すような冷却ジャケット45を設けたものである。
【0045】この冷却ジャケット45は、図11に示すように、ポンプ4のモータ部4Aの周囲に冷却タンク46を配置させ、この冷却タンク46内に、第2媒体通路30に供給される第2媒体の一部が導入、排出できるように構成されている。すなわち、冷却タンク46の導入口47には、第2媒体通路30の上流側の途中から分岐接続されたバイパス通路49Aが接続され、その排出口48には排出通路49Bが接続されている。
【0046】なお、この第5の実施の形態の他の部分の構成は、第1の実施の形態〜第4の実施の形態と同様であるので、その説明は省略する。
【0047】次に、本発明の第6の実施の形態について、図13を参照して説明する。上述の第5の実施の形態では、第2熱交換器8に流す第2媒体の温度を調節できないという不都合がある。そこで、第6の実施の形態では、その不都合を解消するために、図13に示すように、第2熱交換器8に供給する第2媒体の加熱、冷却を行う1個あるいは複数個からなる熱電素子91と、第2媒体を熱電素子91の一方の面と接触させて熱交換を行う第3熱交換器92と、その第2媒体の一部を熱電素子91の他方の面と接触させて熱交換を行う第4熱交換器93とを増設したものである。
【0048】さらに、この第6の実施形態では、第2熱交換器8に流す第2媒体の温度を検出する温度センサ94を、図13に示すように、第3熱交換器92と第2熱交換器8との間の第2媒体通路30の途中に設けている。そして、図示しないコントローラが温度センサ94の温度を検出し、この検出温度が目標値になるように、コントローラ(図示せず)が熱電素子91の供給電流を制御するように構成されている。
【0049】次に、本発明の第7の実施の形態について、図14を参照して説明する。上述の第6の実施の形態では、第2熱交換器8に流れる第2媒体が排出されてしまうので、第2媒体の温度調節が必ずしも適切でない。
【0050】そこで、第7の実施の形態では、その不都合を解消するために、図14に示すように、第2ポンプ95と第2タンク96を増設し、第2ポンプ95により第2媒体を第3熱交換器92、第2熱交換器8、第2タンク96、第2ポンプ95を経由して循環できるように構成したものである。また、熱電素子91、第3熱交換器92、第4熱交換器93、第2ポンプ95、および第2タンク96は、図1に示す外装ケース3内に組み込まれている。
【0051】さらに、この第7の実施の形態では、図示しないコントローラが温度センサ94の温度を検出し、この検出温度が目標値になるように、コントローラが熱電素子91の供給電流を制御するように構成されている。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、熱電素子、第1熱交換器、および第2熱交換器を気密性容器内に収納し、真空状態を実現できるようにしたので、熱電素子の結露が防止でき、熱電素子の信頼性と寿命の向上が図れ、かつ断熱効果により熱交換効率が向上する。
【0053】また、本発明では、熱電素子としてスケルトン型熱電素子を使用した場合には、熱抵抗を減少させ、熱を伝導する媒体の加熱、冷却の向上が図れる。
【0054】さらに、本発明では、第2媒体の温度を一定に調節する温度調節手段を設けるようにしたので、媒体の熱交換効率の向上が図れる。
【0055】また、本発明では、熱電素子は複数個からなり、この各熱電素子を周方向および長さ方向に所定間隔をおいて配置させて中空状の4面体を構成し、この4面体の内側に第1熱交換器を形成させ、4面体の外側に第1の熱交換器と同心状の第2熱交換器を配置させるようにした。このため、第1媒体の温度を均一化することができる。
【0056】さらに、本発明では、熱電素子を、所定間隔をおいて対向する2つの各平面内に、縦横方向に向けて所定の間隔をおいて配列させて2つの熱電素子配列面を形成させ、第1熱交換器をその両熱電素子配列面の間に形成させ、第2熱交換器を両熱電素子配列面の外側に形成させるようにした。このため、第1媒体の温度を均一化でき、かつ熱交換部を小型化できる。
【出願人】 【識別番号】000107996
【氏名又は名称】セイコー精機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】川井 隆 (外1名)
【公開番号】 特開平11−173701
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−354149