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【発明の名称】 蓄熱式冷却装置
【発明者】 【氏名】岡 峰夫

【氏名】藤本 裕地

【要約】 【課題】冷凍機の余剰能力で蓄熱剤に冷熱を蓄熱する蓄熱式の冷却装置において、冷熱放熱のための配管構成を簡単にし、かつ冷熱効率を向上する。

【解決手段】蓄熱剤を収容した蓄熱槽8の熱交換器14を蓄熱剤を凍結させる際の冷媒の蒸発器と蓄熱剤の冷熱を放熱する際の冷媒の凝縮器の両方に兼用し、蓄熱時には冷凍機の凝縮器5からの液冷媒を熱交換器14で蒸発させる一方、冷熱放熱時には凝縮器5からの冷媒を更に熱交換器14に導いて低温で凝縮させ、生じた液冷媒を膨張弁2を通してショーケース1の蒸発器3で蒸発させる。ブラインを循環させるための別途の熱交換器や配管が不要となるため設備費が低減するとともに、蓄熱剤との熱交換により冷媒の凝縮温度が通常の凝縮器に比べて大幅に低下するので冷却効率が著しく向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍機を有する冷却装置において、冷熱蓄熱用の蓄熱剤を収容し、かつこの蓄熱剤と熱交換する熱交換器を備えた蓄熱槽と、一端が前記熱交換器の冷媒入口に接続された第2の膨張弁と、この第2の膨張弁の他端と前記凝縮器の冷媒出口との間及び前記熱交換器の冷媒出口と前記圧縮機の冷媒ガス吸入口との間を前記膨張弁及び蒸発器から切り換えてそれぞれ接続する冷媒通路とからなる蓄熱回路と、前記凝縮器の冷媒出口と前記熱交換器の冷媒入口との間を前記第2の膨張弁をバイパスして接続し、また前記熱交換器の冷媒出口と前記膨張弁との間を前記凝縮器から切り換えて接続する冷媒通路からなる放熱回路とを設け、前記冷凍機の余剰能力を用いて前記蓄熱回路の前記圧縮機を運転し、前記凝縮器からの液冷媒を前記第2の膨張弁を通して前記熱交換器で蒸発させて前記蓄熱剤に冷熱を蓄熱した後、前記圧縮機からの冷媒ガスを前記凝縮器に送り、次いで前記熱交換器に送って凝縮させ、生じた液冷媒を前記蒸発器で蒸発させるようにしたことを特徴とする蓄熱式冷却装置。
【請求項2】放熱回路において第2の膨張弁をバイパスする冷媒通路に圧力調整弁を挿入したことを特徴とする請求項1記載の蓄熱式冷却装置。
【請求項3】圧縮機に液インジェクション回路を設けるとともに、凝縮器の冷媒出口及び熱交換器の冷媒出口をそれぞれ第1の電磁弁及び第2の電磁弁を介して前記液インジェクション回路に接続したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の蓄熱式冷却装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に冷凍・冷蔵ショーケースに用いられる冷却装置に関し、特に蓄熱式の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】上記冷却装置は一般に冷凍機により構成されているが、例えば冷凍・冷蔵ショーケース(以下、単にショーケースという)において、店舗が閉店し、かつ気温が低下する夜間は昼間に比べて冷凍機負荷が減少する。そこで、夜間には冷凍機余剰能力を用いて蓄熱器に冷熱を蓄熱し、昼間にそれを放熱することにより、冷凍機の負荷の平準化を図る蓄熱式の冷熱装置が知られている。図15はショーケース用の蓄熱式冷却装置の従来構成を示すシステム構成図である。図15において、複数台(図示の場合は3台)のショーケース1に対して1台の冷凍機が設置され、各ショーケース(図示はオープンショーケース)1に設置された膨張弁2及び蒸発器3には圧縮機4及び凝縮器5が三方弁6及び7を介して共通に配管接続されている。
【0003】また、図15において、冷熱用蓄熱剤を収容した蓄熱槽8が設置され、蓄熱槽8には蓄熱剤冷却用蒸発器9及びブライン冷却用熱交換器10が設けられている。そして、蒸発器9の一端は膨張弁11及び三方弁7を介して凝縮器5の液冷媒出口に配管接続され、他端は三方弁6を介して圧縮機4の冷媒ガス吸入口に配管接続されている。一方、熱交換器10の一端は蒸発器3と併設されたブライン放熱用熱交換器12の一端に配管接続され、他端はブラインポンプ13を介して熱交換器12の他端に配管接続されている。
【0004】このような冷却装置において、通常は凝縮器5からの液冷媒は膨張弁2を通して蒸発器3で蒸発させ、ショーケース1内の循環気流を冷却するが、夜間の冷凍能力余剰時には三方弁6,7の切換により凝縮器5からの液冷媒を膨張弁11を通して蓄熱槽8の蒸発器9で蒸発させ、蓄熱剤を凍結させる。そして、昼間には圧縮機の運転を一時停止し、ブラインポンプ13を運転することにより、蓄熱槽8と熱交換器12との間でブラインを循環させ、蓄熱剤に蓄積した冷熱を放熱してショーケース1を冷却する。また、圧縮機4の形式により必要に応じて液インジェクション回路19が設けられ、凝縮器5からの液冷媒の一部で圧縮機4の冷却が行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した蓄熱式冷却装置によれば、安価な夜間電力を利用することでランニングコストの低減が図れるとともに、冷凍機の負荷の平準化により冷凍機容量を小さくすることが可能になる。しかしその一方で、従来装置においてはブライン用の熱交換器や配管を独立して設けなければならないため設備費が増加するとともに、ブラインを介して行う熱交換は冷却効率が低いという問題があった。そこで、この発明の課題は、蓄熱式冷却装置の構成を簡単にして設備費のコストダウンを図るとともに、冷却効率を向上させることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、ブライン用熱交換器及びそれらをつなぐブライン配管をなくし、冷熱蓄熱時に蒸発器として用いられる蓄熱槽内の熱交換器を冷熱放熱時に凝縮器として用い、低温で凝縮させた液冷媒を冷凍機の蒸発器に送って蒸発させる構成とすることにより、上記課題を解決するものである。すなわち、請求項1記載のこの発明は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器からなる冷凍機を有する冷却装置において、冷熱蓄熱用の蓄熱剤を収容し、かつこの蓄熱剤と熱交換する熱交換器を備えた蓄熱槽と、一端が前記熱交換器の冷媒入口に接続された第2の膨張弁と、この第2の膨張弁の他端と前記凝縮器の冷媒出口との間及び前記熱交換器の冷媒出口と前記圧縮機の冷媒ガス吸入口との間を前記膨張弁及び蒸発器から切り換えてそれぞれ接続する冷媒通路とからなる蓄熱回路と、前記凝縮器の冷媒出口と前記熱交換器の冷媒入口との間を前記第2の膨張弁をバイパスして接続し、また前記熱交換器の冷媒出口と前記膨張弁との間を前記凝縮器から切り換えて接続する冷媒通路からなる放熱回路とを設け、前記冷凍機の余剰能力を用いて前記蓄熱回路の前記圧縮機を運転し、前記凝縮器からの液冷媒を前記第2の膨張弁を通して前記熱交換器で蒸発させて前記蓄熱剤に冷熱を蓄熱した後、前記圧縮機からの冷媒ガスを前記凝縮器に送り、次いで前記熱交換器に送って凝縮させ、生じた液冷媒を前記蒸発器で蒸発させるようにするものである。
【0007】このような装置において、冷熱蓄熱時には冷凍機の凝縮器から液冷媒を蓄熱槽の熱交換器に送って蒸発させ、蓄熱剤を凍結させて冷熱を蓄熱する点は従来構成と同じである。ただし、冷熱放熱時には、冷凍機の運転により凝縮器で凝縮又は冷却した冷媒を第2の膨張弁のバイパス通路を通して蓄熱槽の熱交換器に送り、この熱交換器を凝縮器として冷媒を低温で凝縮させ、生じた液冷媒を蒸発器に送って蒸発させる。このような手段によれば、ブラインを循環させるための別途の熱交換器や配管が不要となるため設備費が低減する。また、冷媒と蓄熱槽内の蓄熱剤との熱交換により冷媒の凝縮温度は通常の凝縮器に比べて大幅に低下し、これにより蒸発器で蒸発した冷媒を圧縮する圧縮機の仕事量が減って冷却効率が著しく向上する。
【0008】一方、冷凍機の圧縮機は一般に通常の冷凍回路で生じる高圧の凝縮圧力に対応しており、請求項1記載の発明における低い凝縮温度に応じた低圧の凝縮圧力で用いた場合には動作が不安定になることがある。そこで、そのような場合に、請求項2記載のこの発明は、放熱回路において第2の膨張弁をバイパスする冷媒通路に圧力調整弁を挿入し、圧縮機の冷媒吐出圧力を低温の熱交換器内部の凝縮圧力よりも高めるようにする。これにより、低い凝縮圧力に対応できない圧縮機に請求項1に係る発明を適用した場合にも安定的な動作を得ることができる。
【0009】また、請求項1又は請求項2記載の発明において、圧縮機に液インジェクション回路を設ける場合には、凝縮器の冷媒出口及び熱交換器の冷媒出口をそれぞれ第1の電磁弁及び第2の電磁弁を介して前記液インジェクション回路に接続するものとする。これにより、第1及び第2の電磁弁を交互に開閉することで、通常の冷却運転と放熱運転のいずれについても液インジェクション回路を支障なく機能させることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図14に基づいて、ショーケースの冷却装置におけるこの発明の実施の形態を説明する。なお、従来例と対応する部分には同一の符号を用いるものとする。
実施の形態1図1〜図4は実施の形態1を示すものである。図1はシステム構成図で、3台のオープンショーケース1に対して1台の冷凍機が設置され、各ショーケース1の膨張弁2及び蒸発器3には三方弁6及び7を介して圧縮機4及び凝縮器5が共通に配管接続されている。
【0011】また、図1において、図示しない冷熱蓄熱用の蓄熱剤を収容し、かつこの蓄熱剤と熱交換する熱交換器14を備えた蓄熱槽8と、一端が三方弁16を介して熱交換器14の一端の冷媒入口に接続された第2の膨張弁15とが設けられ、膨張弁15の他端は三方弁6及び17を介して凝縮器5の冷媒出口に配管接続され、熱交換器14の他端の冷媒出口は三方弁7を介して圧縮機4の冷媒ガス吸入口に配管接続されている。後述するように、蓄熱槽8と、膨張弁15と、これらを三方弁6,7,16,17により膨張弁2及び蒸発器3から圧縮機4及び凝縮器5に切り換え接続する冷媒通路は蓄熱回路を形成する。
【0012】更に、図1において、第2の膨張弁15は三方弁16及び17を介してバイパスされるようになっている。後述するように、凝縮器5の冷媒出口と熱交換器14の冷媒入口との間を第2の膨張弁15を三方弁6,16,17によりバイパスして接続し、また熱交換器14の冷媒出口と膨張弁2との間を三方弁6及び7により凝縮器5から切り換えて接続する冷媒通路は放熱回路を形成する。
【0013】図2は図1の装置の冷熱蓄熱時の冷媒回路を太線で示したものである。矢印は冷媒の循環する向きを示している。図2において、夜間などの冷凍機負荷減少時に、各三方弁6,7,16,17の弁体を図示の方向に切り換えて圧縮機4を運転し、凝縮器5で凝縮した液冷媒を膨張弁15を通して熱交換器14に供給し、熱交換器14を蒸発器として液冷媒を蒸発させ、蓄熱槽8内の蓄熱剤を凍結・蓄熱させる。
【0014】図3は図1の装置の通常冷却時の冷媒回路を太線で示したものである。図3において、三方弁6,7を図示方向に切り換えた冷媒回路は一般のショーケースと同じであり、凝縮器5からの液冷媒を膨張弁2を通して蒸発器3で蒸発させ、ショーケース1の本体内を循環する気流を冷却する。
【0015】図4は図1の装置の冷熱放熱時の冷媒回路を太線で示したものである。三方弁6,7,16,17を図示方向に切り換えて、圧縮機4を運転する。圧縮機4からの高温高圧の冷媒ガスは凝縮器5で凝縮又は冷却された後、熱交換器14に入って低温で凝縮される。この低温液冷媒は膨張弁2を通して蒸発器3に流入し、ここで蒸発してショーケース1内の気流を冷却する。生じた冷媒ガスは圧縮機4で吸引圧縮されて再び凝縮器5を経て熱交換器14で凝縮される。この放熱運転は蓄熱槽8内の蓄熱剤が全部融解するまで継続される。
【0016】以上示した冷却装置は、蓄熱槽8の熱交換器14を蒸発器として蓄熱剤を凍結させた後、冷熱放熱時には凝縮器5を介して熱交換器14を圧縮機4に接続し、熱交換器14を凝縮器として冷媒を循環・蒸発させるようにしたもので、ブライン用の熱交換器や配管が不要となり、設備費の低減が図れるとともに、冷熱放熱時は冷媒の凝縮温度及び圧力が低下するので、通常運転時よりも大きな冷凍能力が得られる。
【0017】実施の形態2図5〜図8は、1台のショーケース1内に蓄熱槽8とともに圧縮機4及び凝縮器5を設置した実施の形態2を示すものである。この実施の形態2によれば、冷却装置がすべてショーケース内に組み込まれることで、ショーケースの移動性や設置場所の自由度の向上が図れる。図6は図5の装置の蓄熱時の冷媒回路を太線で示したもので、各三方弁6,7,16,17を図示の方向に切り換え、凝縮器5で凝縮した液冷媒を膨張弁15を通して熱交換器14に供給し、熱交換器14を蒸発器として液冷媒を蒸発させ、蓄熱槽8内の蓄熱剤を凍結・蓄熱させる。
【0018】図7は図5の装置の通常冷却時の冷媒回路を太線で示したものである。図7において、三方弁6,7を図示方向に切り換え、凝縮器5からの液冷媒を膨張弁2を通して蒸発器3で蒸発させ、ショーケース1の本体内を循環する気流を冷却する。図8は図1の装置の冷熱放熱時の冷媒回路を太線で示したものである。三方弁6,7,16,17を図示方向に切り換え、圧縮機4からの冷媒ガスを凝縮器5を経て熱交換器14で凝縮させ、生じた液冷媒を膨張弁2を通して蒸発器3で蒸発させてショーケース1内の気流を冷却する。
【0019】実施の形態3図9及び図10は、請求項2に係る実施の形態3を示すものである。図9において、膨張弁15をバイパスする冷媒通路に圧力調整弁18が挿入されている点が実施の形態1と相違している。図9の装置における通常の冷却運転及び膨張弁15のバイパス通路が三方弁16,17で遮断される蓄熱運転は、実施の形態1と同じである。
【0020】図10は図9の装置の放熱運転時の冷媒回路を太線で示したもので、凝縮器5からの冷媒は圧力制御弁18を通して熱交換器14に導かれる。その際、凝縮器5の出口側の圧力は圧力制御弁で高められるため、凝縮器5の内部は熱交換器14よりも高圧に保たれ、圧縮機4が低圧の凝縮圧力に対応できない場合にもその冷媒ガス吐出側の圧力が適正なレベルまで引き上げることができる。
【0021】実施の形態4図11〜図13は請求項3に係る実施の形態3を示すものである。図11において、圧縮機4に対する液インジェクション回路19が設けられ、凝縮器5の冷媒出口及び熱交換器14の冷媒出口はそれぞれ第1の電磁弁20及び第2の電磁弁21を介して液インジェクション回路19に接続されている。図12は通常冷却時の冷媒回路を太線で示したもので、電磁弁20は開かれ電磁弁21は閉じられて、凝縮器5からの液冷媒の一部は液インジェクション回路19に流入し圧縮機4を冷却する。また、図13は冷熱放熱時の冷媒回路を太線で示したもので、電磁弁20は閉じられ電磁弁21は開かれて、熱交換器14からの液冷媒の一部は液インジェクション回路19に流入し圧縮機4を冷却する。
【0022】図14は凝縮器5の出口側に受液器22を設置した場合を示すものであるが、この場合は凝縮器5と受液器22を一体のものとみなすことにより、各請求項に係る発明と同一範疇のものと考えることができる。なお、上記各実施の形態はオープンショーケースについて示したが、この発明は、平型などの他の形式の冷凍・冷蔵ショーケースはもちろん、空気調和機などその他の用途にも適用できるものである。
【0023】
【発明の効果】以上の通り、この発明によれば、冷熱放熱時の熱移動を蓄熱槽内の熱交換器とショーケース内の蒸発器をつなぐ冷媒通路のみで行うことができるので、ブラインを介して熱交換を行う従来の蓄熱式冷却装置に比べて設備費が大幅に低下するとともに、蓄熱槽で低温凝縮させた冷媒を蒸発器で蒸発させることにより冷却効率を大幅に向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)12月11日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】駒田 喜英
【公開番号】 特開平11−173689
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−362114