トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F25 冷凍または冷却;加熱と冷凍との組み合わせシステム;ヒ−トポンプシステム;氷の製造または貯蔵;気体の液化または固体化




【発明の名称】 ヘリウム液化冷凍システム
【発明者】 【氏名】吉田 純

【要約】 【課題】小型ヘリウム冷凍機システムにおける液化部の外部侵入熱による熱効率の阻害、従来構造の液体ヘリウムデュワの予冷、加温時間の遅れ、定常運転における電気ヒータによる液面制御を不要にしたヘリウム液化冷凍システムを提供する。

【解決手段】JT弁および第7熱交換機(HX-87)を液体ヘリウムデュワの上部に内包させた機器構成とすることにより、サイクルの液化冷凍能力の向上、液体ヘリウムデュワの予冷・加温促進、電気ヒータ制御の廃止を廃止可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】液体ヘリウムデュワ等の被冷却体断熱容器と、主コールドボックスと、上記被冷却体断熱容器と主コールドボックスとの間を接続し、極低温流体を循環させるトランスファーチューブとからなるヘリウム液化冷凍システムにおいて、最終液化過程のJT弁とその上部熱交換器を液体ヘリウムデユワ上部に内包させ、最低温部分の熱侵入量を減少させたことを特徴とするヘリウム液化冷凍システム。
【請求項2】上記液体ヘリウムデュワの初期冷凍、加温を促進させるため、10〜15Kレベルのガスを直接液体ヘリウムデュワ内面に供給可能な分岐を備えたことを特徴とする請求項1記載のヘリウム液化冷凍システム。
【請求項3】液体ヘリウムデュワ内上部に内包された熱交換器の中圧入口部分から、直接デュワ内部に膨張させる回路を有し、液体ヘリウムデュワの単独予冷・加温時間促進を図ったことを特徴とする請求項1記載のヘリウム液化冷凍システム。
【請求項4】液体ヘリウムデュワ内上部に内包された熱交換器の中圧入口部分から、直接デュワ内部に膨張させる回路を有し、液体ヘリウムデュワヒータの代用としての負荷変動に対処可能としたことを特徴とする請求項1記載のヘリウム液化冷凍システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、極低温(ヘリウム)冷凍システムに係わり、特に液体ヘリウムデュワと組み合わされたヘリウム液化冷凍システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のヘリウム液化冷凍機では、コールドボックスと液化貯槽(液体ヘリウムデュワ)は別置きにされており、コールドボックス最低温部分に相当するジュールトムソン(JT)弁から気液混相の極低温ヘリウムがトランスファーチューブを介して液体ヘリウムデュワ側へ送られ、気液分離された後、再びトランスファーチューブを介してコールドボックス低温部に戻される。(図3)従来の構造では、プラント起動時の常温からの初期冷凍において、液体ヘリウムデュワに供給される予冷ガスは、JT弁を介した末端部のみからの供給となることから、定常低温時に対して温度が高い場合は循環しずらく、予冷に多大な時間を要すひとつの要因になっている。
【0003】また、従来では、液体ヘリウムデュワの液面を急速に下降させる場合には、デュワ内に設置された、電気ヒータにより、強制的に液体ヘリウムを蒸発させている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方式では、通常のプロセスにおけるヘリウムを極低温液化させる最低温部分は、おおむね4〜5Kであり、プロセス上最も温度が低い領域に相当する。従来の機器構成では、極低温中圧ヘリウムをJT弁で液体ヘリウムデュワの内部圧力まで膨張させ、飽和の気液混相状態の極低温ヘリウムを真空断熱多重構造のトランスファーチューブを介して液体ヘリウムデュワ側に送られる。
【0005】この過程(部分)において、最低温部分への外部侵入熱はプロセスに要求される液化能力や冷凍能力に大きく影響してくるため、この部分の外部侵入熱低減が、ヘリウム冷凍システムの課題となっていた。特に小型のヘリウム液化冷凍システムほど、この部分の侵入熱の影響割合が大きくなる。
【0006】図2にJT熱交換器(HX-7)以下の模式図を示す。
【0007】FL:必要液化量(g/s), QR:必要冷凍能力(W), QL87:外部侵入熱(W),m91:中圧ヘリウム流量(g/s), h**:各点のエンタルヒ゜(J/g)【0008】
【数1】

【0009】中圧ヘリウム流量m91は、ヘリウム圧縮機で圧縮される動力にほぼ直接的に影響することから、システムの熱効率向上には、中圧ヘリウム流量を減少させることが目標とされる。中圧ヘリウム流量は(1)式の関係で表わされるが、現実には小型のヘリウム冷凍システムほど、外部侵入熱分:QL87の影響割合が大きくなる。
【0010】また、常温状態からの起動ではまず系内の初期冷凍を行なうが、従来構造では、定常状態と同じ末端部分からしか、液体ヘリウムデュワ内部に、定常状態から比べてはるかに少ないガスしか流動できないため、液体ヘリウムデュワ部分の冷却に最も時間を要している。これは、液体ヘリウムデュワの全加温時も同様で、単独加温には時間を要している更に、従来の液体ヘリウムデュワでは、液面制御用および液体ヘリウムの回収時用に電気ヒータが使用され、わずかではあるが、電力を消費する上に専用の制御回路も必要であった。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、図1に示す如く、JT弁および第7熱交換機(HX-87)を液体ヘリウムデュワの上部に内包させた機器構成とする。更に、HX-87の中圧上端部分より、初期冷凍用のラインを分岐し、HX-87入口ガスが直接液体ヘリウムワを冷却可能とするとともに、定常運転時の2次的な液面制御を行なう。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例形態を図1により説明する。コールドボックスは液体窒素で約80Kまで冷却する上部熱交換器部(HX-81,82)と寒冷発生のためのタービン回路や更にガスを冷却する熱交換器(HX-83,84,85,86)とから構成され、HX86から更に低温液化部分に対しては、往復のトランスファーチューブで連結されている。液体ヘリウムデュワ内上部に最終液化部であるJT熱交換器(HX-87)やJT弁が組み込まれたシステム構造となる。
【0013】ヘリウム圧縮機1で圧縮されたヘリウムガスは中圧ヘリウムガスとしてコールドボックス4へ導かれる。コールドボックス内部で中圧ヘリウムガスは、上部熱交換器HX81,82で極低温部分からの戻りガスおよび液体窒素の寒冷と熱交換し、約80Kまで冷却され、さらにHX-83で40K以下に冷却された後、一部の中圧ガスは寒冷発生源である第1、第2膨張タービン2,3側へ抽気され、膨張し、戻りガスライン9へ合流する。残りの中圧ヘリウムガスは更に熱交換器HX84〜86により、10〜15Kレベルまで温度降下後、トランスファチューブにて液体ヘリウムデュワ側容器5へ送られる。定常運転においては、液体ヘリウムデュワ上部に内蔵された熱交換器HX-87を介して、JT弁7で膨張液化し、非液化分は低圧戻りライン9にてコールドボックス内で常温まで温度回復される。
【0014】装置起動時の初期冷凍や、停止時の全加温動作において、液体ヘリウムデュワ上部の中圧ラインから分岐11させた中圧ヘリウムを直接液体ヘリウムデュワに膨張12させることにより、予冷時にはJT弁7末端部より温度の低いガスを、加温時にはJT弁7末端部より温度の高いガスを供給可能な構造となっている。
【0015】さらに、定常運転中の液化冷凍負荷変動に対しては、JT弁7末端部とは異なるエンタルピのガスを分岐ライン11から一部抽気・膨張させることにより、系内の熱バランスを微妙に制御可能な構造となっている。
【0016】
【発明の効果】JT弁や最低温部分熱交換器HX87を液体ヘリウムデュワ内部へ設置したことにより、コールドボックス内部サポートされた従来方式に対して、液化ガス雰囲気中に設置されているため定常的な外部侵入熱を低減出来る。
【0017】JT弁や最低温部分熱交換器HX-87への外部侵入熱の低減による、必要ヘリウム流量の低減すなわち、システム熱効率の向上につながる。また、液体ヘリウムデュワの初期冷凍や、加温時間の短縮にも効果がある。更に定常運転時における液体ヘリウムデユワ内部の熱バランスを電気ヒータを使わずに直接的にかつ微妙に制御できる効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成9年(1997)10月29日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開平11−132584
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−296707