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【発明の名称】 氷蓄熱式冷凍装置
【発明者】 【氏名】松浦 伸二

【氏名】本田 雅裕

【氏名】下田 順一

【氏名】田中 修

【要約】 【課題】氷蓄熱式空気調和装置において、蓄熱槽(16)に結露水が混入し、水分量が増加することがある。結露水の影響を受けることなく、安定した蓄熱運転を行う。

【解決手段】蓄熱槽(16)の基準水位となる位置に、水抜弁(99)を備えた基準水位管(93)を設ける。基準水位管(93)の上方に、所定水位以上の水を排出するオーバーフロー管(92)を設ける。蓄熱槽(16)の水温を検出する水温センサ(82)を設ける。コントローラは、蓄熱運転開始時に水温が所定温度以上であるときには残氷がないと判断し、水抜弁(99)を開口して蓄熱槽(16)の水位を基準水位に合わせる。その後、蓄熱運転を所定時間t1実行し、所定量の氷蓄熱を生成する。結露による増加分の水は、オーバーフロー管(92)を通じて蓄熱槽(16)外に排水処理される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水または氷を貯留する蓄熱槽(16)を備え、蓄熱運転時には該蓄熱槽(16)内の水を氷化して冷熱を蓄える一方、蓄熱利用運転時には該蓄熱槽(16)内の氷を融解させて冷熱を回収する氷蓄熱式冷凍装置において、上記蓄熱槽(16)には、所定の基準水位よりも上方の所定水位以上の水を該蓄熱槽(16)外に排水処理するオーバーフロー管(92)が設けられていることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項2】 水または氷を貯留する蓄熱槽(16)を備え、蓄熱運転時には該蓄熱槽(16)内の水を氷化して冷熱を蓄える一方、蓄熱利用運転時には該蓄熱槽(16)内の氷を融解させて冷熱を回収する氷蓄熱式冷凍装置において、上記蓄熱槽(16)の所定の基準水位となる位置には、開閉弁(99)を備え、該開閉弁(99)を開口することにより該基準水位以上の水を該蓄熱槽(16)外に排水処理する基準水位管(93)が設けられていることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項3】 請求項2に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)には、基準水位よりも上方の所定水位以上の水を該蓄熱槽(16)外に排水処理するオーバーフロー管(92)が設けられていることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項4】 請求項3に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)には、該蓄熱槽(16)内の水の温度を検出する温度センサ(82)が設けられている一方、蓄熱運転開始時に上記温度センサ(82)が検出した温度が所定温度以上のときには、基準水位管(93)の開閉弁(99)を開口して蓄熱槽(16)の水位を基準水位に合わせ、その後に該開閉弁(99)を閉止し、蓄熱運転を所定時間実行する蓄熱制御手段(80)を備えていることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【請求項5】 請求項3に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、冷媒を圧縮する圧縮機(11,12) と、冷媒を凝縮または蒸発させる熱源側熱交換器(14)と、冷媒を減圧する減圧機構(23,18) と、冷媒を蒸発または凝縮させる利用側熱交換器(19)と、蓄熱槽(16)の水に浸漬されるように設けられて冷媒と水または氷とを熱交換させる伝熱コイル(17)とが設けられた冷媒回路(3) を備え、蓄熱運転時には、上記圧縮機(11,12) からの冷媒を上記熱源側熱交換器(14)で凝縮させ、上記減圧機構(23)で減圧し、上記伝熱コイル(17)で蒸発させ、蓄熱利用運転時には、該圧縮機(11,12) からの冷媒を該伝熱コイル(17)で凝縮させ、減圧機構(18)で減圧し、上記利用側熱交換器(19)で蒸発させる一方、基準水位管及びオーバーフロー管は、それぞれ上記蓄熱槽(16)の側面に接続された配管(93,92)から構成されていることを特徴とする氷蓄熱式冷凍装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、氷蓄熱式冷凍装置に係り、特に、蓄熱槽の水量調整に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電力需要のピークカット等を目的に、安価な深夜電力を用いて夜間に氷を生成及び貯留し、この氷を昼間の冷房に利用する氷蓄熱式冷凍装置が開発されている。
【0003】この種の氷蓄熱式冷凍装置として、例えば、特開平7−301438号公報に開示されたような空気調和装置が知られている。図8に示すように、この空気調和装置は、圧縮機(c) 、室外熱交換器(d) 、電子膨張弁(e1)、電子膨張弁(e2)、及び室内熱交換器(f) から成る主冷媒回路(a) に、いわゆるスタティック方式の氷蓄熱装置(g) が設けられた蓄熱回路(b) が付加されて構成されている。
【0004】製氷を行う蓄熱運転の際には、冷媒は、図中の実線矢印に示すように循環する。すなわち、圧縮機(c) から吐出された冷媒は、室外熱交換器(d) において凝縮し、電子膨張弁(e1)で減圧され、氷蓄熱装置(g) の伝熱コイル(h) で蒸発し、圧縮機(c) に戻る循環を行う。この際、氷蓄熱装置(g) の蓄熱槽(i) に貯留された水は、冷媒によって冷却されて氷化する。
【0005】一方、上記のようにして生成された氷を利用する蓄熱利用運転時には、冷媒は、図中の破線矢印に示すように循環する。すなわち、圧縮機(c) から吐出された冷媒は、室外熱交換器(d) において冷却されて凝縮し、所定の過冷却度を有する液冷媒となる。この液冷媒は氷蓄熱装置(g) の伝熱コイル(h) において、蓄熱槽(i) に蓄えられた氷によって更に冷却される。伝熱コイル(h) を流出した液冷媒は、電子膨張弁(e2)で減圧され、膨張して気液二相冷媒となる。この二相冷媒は室内熱交換器(f) において蒸発して室内空気を冷却し、圧縮機(c) に戻る。従って、蓄熱槽(i) に蓄えられた氷が保有する冷熱の分だけ、圧縮機(c) の電気入力が減少し、電力のピークカット等が達成される。
【0006】この種の空気調和装置では、蓄熱量の制御は、蓄熱槽(i) の水位に基づいて行われている。すなわち、水は氷化すると体積が膨張するため、蓄熱槽(i) に蓄えられる氷の量が増加すると、水位は上昇する。従って、水位が所定の目標水位になるまで蓄熱運転を行うことにより、蓄熱槽(i) に蓄えられる氷蓄熱の量が適正量に調整される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような制御は、蓄熱槽(i) 内の水及び氷の総量(水分量)が一定であるとの前提の下に行われているため、空気中の水分が凝縮して蓄熱槽(i)内の水分量が増加すると、以下に説明するように、正確な制御が困難となったり、蓄熱槽(i) の水が溢れ出すことがあった。
【0008】すなわち、氷蓄熱装置(g) の伝熱コイルの表面は空気の露点以下なので、空気中に露出している伝熱コイルの表面には、結露が発生する。また、蓄熱槽(i) 自体も低温なので、蓄熱槽(i) の内壁面にも結露が発生する。結露水は蓄熱槽(i)内に貯留された水に混合し、その結果、蓄熱槽(i) 内の水分量が増加する。そのため、氷蓄熱量の把握が困難になり、正確な制御を実行することができなくなっていた。
【0009】また、蓄熱槽(i) 内の水分量が増加すると、水位の基準位置が上昇するので、目標水位と基準水位との差が相対的に小さくなる。その結果、蓄熱運転において生成する氷の量が減少し、蓄熱量が不足気味になることがあった。
【0010】逆に、必要な蓄熱量を確保するために通常と同量の氷を生成すると、水位が上昇しすぎて蓄熱槽(i) 内の水が溢れる出すことがあった。
【0011】本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、結露水の影響を受けることなく、安定した蓄熱運転を行うことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、蓄熱槽(16)に水のオーバーフローを防止するオーバーフロー管(92)を設けることとした。また、水位を基準水位に調整する基準水位管(93)を設けることとした。
【0013】具体的には、請求項1に記載の発明は、水または氷を貯留する蓄熱槽(16)を備え、蓄熱運転時には該蓄熱槽(16)内の水を氷化して冷熱を蓄える一方、蓄熱利用運転時には該蓄熱槽(16)内の氷を融解させて冷熱を回収する氷蓄熱式冷凍装置において、上記蓄熱槽(16)には、所定の基準水位よりも上方の所定水位以上の水を該蓄熱槽(16)外に排水処理するオーバーフロー管(92)が設けられていることとしたものである。
【0014】上記発明特定事項により、蓄熱運転時には、蓄熱槽(16)の水が氷化し、体積膨張を起こす。そのため、蓄熱に伴い、蓄熱槽(16)の水位が上昇する。このとき、結露が発生して蓄熱槽(16)の水分量が増加すると、水位はより上昇し、最大予定水位以上の所定水位に達する。しかし、その後は、水位上昇に伴って槽内の水はオーバーフロー管(92)を通じて槽外に流出する。従って、蓄熱槽(16)の水位は所定水位を越えることがなく、槽外に水が溢れ出ることが防止される。
【0015】請求項2に記載の発明は、水または氷を貯留する蓄熱槽(16)を備え、蓄熱運転時には該蓄熱槽(16)内の水を氷化して冷熱を蓄える一方、蓄熱利用運転時には該蓄熱槽(16)内の氷を融解させて冷熱を回収する氷蓄熱式冷凍装置において、上記蓄熱槽(16)の所定の基準水位となる位置には、開閉弁(99)を備え、該開閉弁(99)を開口することにより該基準水位以上の水を該蓄熱槽(16)外に排水処理する基準水位管(93)が設けられていることとしたものである。
【0016】上記発明特定事項により、開閉弁(99)を開口することにより、基準水位以上の位置にある水は基準水位管(93)を通じて蓄熱槽(16)外に排出される。その結果、蓄熱槽(16)の水位は基準水位に調整され、蓄熱槽(16)の水分量が基準量に調整される。そのため、水位に基づいた蓄熱制御が正確に行われることになる。
【0017】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)には、基準水位よりも上方の所定水位以上の水を該蓄熱槽(16)外に排水処理するオーバーフロー管(92)が設けられていることとしたものである。
【0018】上記発明特定事項により、結露が発生した場合であっても、蓄熱槽(16)の水分量が調整され、また、オーバーフローが防止される。
【0019】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽(16)には、該蓄熱槽(16)内の水の温度を検出する温度センサ(82)が設けられている一方、蓄熱運転開始時に上記温度センサ(82)が検出した温度が所定温度以上のときには、基準水位管(93)の開閉弁(99)を開口して蓄熱槽(16)の水位を基準水位に合わせ、その後に該開閉弁(99)を閉止し、蓄熱運転を所定時間実行する蓄熱制御手段(80)を備えていることとしたものである。
【0020】上記発明特定事項により、蓄熱運転開始時に蓄熱槽(16)の水温が所定温度以上のときには、蓄熱槽(16)に氷が残存していないと判断し、基準水位管(93)の開閉弁(99)を開口する。その結果、基準水位よりも上方に位置する水は、基準水位管(93)を通じて槽外に排出される。その後、開閉弁(99)が閉止され、蓄熱運転が所定時間実行される。その結果、適正量の氷蓄熱が正確に生成されることになる。
【0021】請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の氷蓄熱式冷凍装置において、冷媒を圧縮する圧縮機(11,12) と、冷媒を凝縮または蒸発させる熱源側熱交換器(14)と、冷媒を減圧する減圧機構(23,18) と、冷媒を蒸発または凝縮させる利用側熱交換器(19)と、蓄熱槽(16)の水に浸漬されるように設けられて冷媒と水または氷とを熱交換させる伝熱コイル(17)とが設けられた冷媒回路(3) を備え、蓄熱運転時には、上記圧縮機(11,12) からの冷媒を上記熱源側熱交換器(14)で凝縮させ、上記減圧機構(23)で減圧し、上記伝熱コイル(17)で蒸発させ、蓄熱利用運転時には、該圧縮機(11,12) からの冷媒を該伝熱コイル(17)で凝縮させ、減圧機構(18)で減圧し、上記利用側熱交換器(19)で蒸発させる一方、基準水位管及びオーバーフロー管は、それぞれ上記蓄熱槽(16)の側面に接続された配管(93,92)から構成されていることとしたものである。
【0022】上記発明特定事項により、蓄熱運転時には、伝熱コイル(17)において冷媒が蒸発することによって、蓄熱槽(16)の水が冷却されて氷化する。その結果、蓄熱槽(16)に冷熱が蓄えられる。一方、蓄熱利用運転時には、伝熱コイル(17)において冷媒が凝縮することによって、蓄熱槽(16)の氷が融解する。その結果、蓄熱槽(16)の冷熱が回収される。そして、結露水が蓄熱槽(16)の水に混入した場合であっても、蓄熱槽(16)の水分量が調整され、また、オーバーフローが防止される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】−空気調和装置(1) の構成−図1に示すように、空気調和装置(1) は、室外ユニット(101) 、蓄熱槽(16)が設けられた氷蓄熱ユニット(102) 、及び室内ユニット(103),(103),…を備え、それらが冷媒配管を介して接続されることにより、冷媒回路(3) が形成されている。まず、冷媒回路(3) を中心とした空気調和装置(1) の全体構成を説明し、その後に本発明の特徴となる蓄熱槽(16)の構成を説明する。
【0025】(全体構成)図1に示すように、冷媒回路(3) は、主回路(30)、室内側回路(50)及び蓄熱利用回路(60)を備えている。
【0026】主回路(30)は、蓄熱槽(16)に氷を生成する際に冷媒が循環する回路であって、並列に設けられた第1圧縮機(11)及び第2圧縮機(12)、四路切換弁(13)、熱源側熱交換器たる室外熱交換器(14)、第1電子膨張弁(15)、受液器(21)、第1電磁弁(SV1) 、減圧機構たる第2電子膨張弁(23)、蓄熱槽(16)に貯留された水に浸漬された伝熱コイル(17)、双方向電磁弁(26)、上記四路切換弁(13)、及びアキュムレータ(22)が順に接続されて構成されている。
【0027】室内側回路(50)は、室内の冷房または暖房を目的として室外ユニット(101) に冷媒を供給するための回路であり、一端(51)が主回路(30)における第1電磁弁(SV1) と第2電子膨張弁(23)との間に接続され、他端(52)が双方向電磁弁(26)と四路切換弁(13)との間に接続されている。室内側回路(50)には、一端(51)から順に、室内電子膨張弁(18),(18),…及び室内熱交換器(19),(19),…が設けられている。
【0028】蓄熱利用回路(60)は、氷から冷熱を回収する際に冷媒が流通する回路であり、上流端(61)が主回路(30)における受液器(21)と第1電磁弁(SV1) との間に接続され、下流端(62)が伝熱コイル(17)と双方向電磁弁(26)との間に接続されている。蓄熱利用回路(60)には、上流端(61)から順に、第2電磁弁(SV2) 及び第1逆止弁(CV1) が設けられている。
【0029】主回路(30)の圧縮機(11),(12) 、四路切換弁(13)、室外熱交換器(14)、第1電子膨張弁(15)、受液器(21)、及びアキュムレータ(22)は、室外に設置された室外ユニット(101) に収納されている。さらに、室外ユニット(101) には、室外熱交換器(14)に空気を供給する室外ファン(24),(24) が設けられている。
【0030】主回路(30)の第1電磁弁(SV1) 、第2電子膨張弁(23)、伝熱コイル(17)、蓄熱槽(16)、及び蓄熱利用回路(60)は、氷蓄熱ユニット(102) に収納されている。また、氷蓄熱ユニット(102) には、後述する蓄熱制御を実行する蓄熱制御手段たるコントローラ(80)が設けられている。
【0031】室内側回路(50)の室内電子膨張弁(18)及び室内熱交換器(19)は、各室内ユニット(103) に収納されている。また、室内ユニット(103),(103),…には、室内熱交換器(19),(19),…に空気を供給する室内ファン(25),(25) が設けられている。
【0032】圧縮機(11),(12) と四路切換弁(13)との間には、圧縮機(11),(12) からの吐出ガスの圧力、つまり高圧を検出する高圧圧力センサ(27)が設けられている。一方、圧縮機(11),(12) とアキュムレータ(22)との間には、圧縮機(11),(12) の吸入ガスの圧力、つまり低圧を検出する低圧圧力センサ(28)が設けられている。
【0033】以上が空気調和装置(1) の主要な構成部分であるが、本空気調和装置(1) は、更に以下のような補助的構成部分を備えている。
【0034】室外ユニット(101) においては、第1圧縮機(11)の吐出側に、油分離器(201)が設けられている。この油分離器(201) と第1圧縮機(11)の吸入側との間には、キャピラリーチューブ(CP1) を備えた油戻し管(202) が設けられている。第1圧縮機(11)と第2圧縮機(12)との間には、キャピラリーチューブ(CP2) を備えた均圧管(203) が設けられている。主回路(30)における第1電子膨張弁(15)と受液器(21)との間からは、電磁弁(SV4),(SV4) 及びキャピラリーチューブ(CP3),(CP3)を備えた補助回路(204),(204) が、各圧縮機(11),(12) に接続されている。受液器(21)と圧縮機(11),(12) の吐出側配管との間には、逆止弁(CV2) を備えたガス配管(205) が設けられている。このガス配管(205) には、電磁弁(SV5) が設けられてアキュムレータ(22)の上流側配管に接続されている配管(206) が接続されている。
【0035】氷蓄熱ユニット(102) においては、キャピラリーチューブ(CP4) 及び逆止弁(CV3) を備えた補助回路(207) が、一端が第2電子膨張弁(23)と伝熱コイル(17)との間に接続され、他端が双方向電磁弁(26)と室内側回路(50)の接続端(52)との間に接続されている。また、上流端が室内側回路(50)の接続端(51)と第2電子膨張弁(23)との間に接続され、下流端が蓄熱利用回路(60)の上流端(61)と第2電磁弁(SV2) との間に接続された補助回路(208) が設けられている。この補助回路(208) には、上流端から下流端へ向かう方向の冷媒流れのみを許容する逆止弁(CV4)が設けられている。
【0036】また、冷媒回路(3) には、複数のフィルタ(F),(F),…が適宜設けられている。
【0037】第1圧縮機(11)及び第2圧縮機(12)の吐出側配管には、それぞれ高圧圧力開閉器(29),(29) が設けられている。
【0038】(蓄熱槽(16)の構成)図2に示すように、蓄熱槽(16)の側面には、上から順に給水口(95)、オーバーフロー水排出口(96)及び基準水位口(97)が形成されている。そして、蓄熱槽(16)の側面における給水口(95)、オーバーフロー水排出口(96)、基準水位口(97)に対応する位置に、それぞれ給水管(91)、オーバーフロー管(92)、基準水位管(93)が接続されている。蓄熱槽(16)の底面には排水口(98)が形成され、この排水口(98)に対応する位置に、開閉弁を備えた排水管(94)が接続されている。また、蓄熱槽(16)には、槽内の水の温度を検出する水温センサ(82)が取り付けられている。
【0039】給水管(91)は、図示しない給水源から蓄熱槽(16)に水を供給するための配管である。排水管(94)は、蓄熱槽(16)の水を槽外に排出するための配管である。
【0040】基準水位管(93)は、蓄熱槽(16)の水分量を基準量にするために、所定の基準水位を超えた分の水を槽外に排出処理する配管である。この基準水位管(93)には、開閉弁たる電磁弁からなる水抜弁(99)が設けられている。従って、水抜弁(99)が開状態に設定されると、基準水位口(97)よりも上方に位置する部分の水が基準水位管(93)を通じて流出し、蓄熱槽(16)の水位は基準水位に調整される。
【0041】オーバーフロー管(92)は、蓄熱槽(16)の水分量が所定量を越えないように、所定水位を越えた分の水を槽外に排出処理する配管である。つまり、蓄熱槽(16)の水位がオーバーフロー水排出口(96)の位置にまで上昇すると、水はオーバーフロー管(92)を通じて自然に排出される。なお、オーバーフロー水排出口(96)は、定格量の蓄熱を蓄えた際の水位位置、つまり、基準水位の水を貯留した蓄熱槽(16)に所定の定格蓄熱量を蓄えた後の水位位置に設けられている。
【0042】オーバーフロー水排出口(96)と基準水位口(97)との間には、第1フロートスイッチ(71)が取り付けられている。また、基準水位口(97)の下側には、第2フロートスイッチ(72)が取り付けられている。
【0043】第1フロートスイッチ(71)、第2フロートスイッチ(72)及び水抜弁(99)は、信号線を介してコントローラ(80)に接続されている。
【0044】−空気調和装置(1) の動作−次に、空気調和装置(1) の動作を説明する。本空気調和装置(1) は、四路切換弁(13)の状態を切り換えることにより、冷熱を蓄える蓄熱運転の他に、冷房運転または暖房運転を選択的に実行することができる。ここでは、まず本発明の特徴となる蓄熱運転を説明し、その後に、蓄熱を利用した冷房運転(蓄熱利用運転)について説明する。
【0045】(蓄熱運転)蓄熱運転は、例えば夜間の安価な電気を用いて、蓄熱槽(16)に蓄熱材としての氷を生成する運転である。まず、冷媒回路(3) における冷媒の循環動作を説明し、その後にコントローラ(80)による蓄熱制御について説明する。
【0046】本運転にあっては、四路切換弁(13)は、図3に示す実線側に設定される。第1電子膨張弁(15)は全開状態に設定される一方、第2電子膨張弁(23)は運転状態に応じて所定開度に制御される。第1電磁弁(SV1) 及び双方向電磁弁(26)は開状態に設定され、第2電磁弁(SV2) は閉状態に設定される。
【0047】冷媒は、図3に実線矢印で示すように循環する。なお、図3においては、冷媒の循環経路を太線で強調して示している。
【0048】すなわち、圧縮機(11),(12) から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁(13)を通過した後、室外熱交換器(14)に流入する。ガス冷媒は、室外熱交換器(14)において室外空気と熱交換を行って凝縮し、受液器(21)を経た後、室外ユニット(101) から氷蓄熱ユニット(102) に流入し、第2電子膨張弁(23)で減圧され、膨張して二相冷媒となる。この二相冷媒は、伝熱コイル(17)において蒸発する。この際、冷媒は蓄熱槽(16)の水を冷却し、この水を氷化する。つまり、伝熱コイル(17)の周りに氷を生成する。そして、伝熱コイル(17)を流出した低圧の冷媒は、再び室外ユニット(101) に戻り、四路切換弁(13)及びアキュムレータ(22)を通過した後、圧縮機(11),(12) に吸入される。
【0049】蓄熱制御は、図4に示すフローチャートに従って実行される。すなわち、ステップST1 において蓄熱運転が開始されると、ステップST2 において、蓄熱槽(16)の水の温度Tw0が所定温度T0よりも小さいか否かの判定を行う。この所定温度T0は、蓄熱運転開始時に蓄熱槽(16)に氷が残存しているか否かを判定する基準となる温度であり、本実施形態では10℃に設定されている。その結果、水温Tw0が所定温度T0以上である場合にはステップST3 に進み、水温Tw0が所定温度T0よりも小さい場合にはステップST6 に進む。
【0050】ステップST3 〜ステップST5 は、蓄熱槽(16)に氷が残存していないときに実行する運転、つまり無残氷運転の工程を示す。ステップST3 においては、運転判定フラグを0FFにセットすることにより、運転モードを無残氷運転に設定する。次に、ステップST4 に進み、水抜弁(99)を開口して蓄熱槽(16)の水位を基準水位に調整する。その後、水抜弁(99)を閉止し、予め設定した所定時間t1の間、冷媒回路(3) において冷媒を循環させ、製氷動作を行う。そして、ステップST5 において所定時間t1が経過したと判断すると、ステップST8 に進んで蓄熱運転を終了する。その結果、蓄熱槽(16)には、所定量の氷蓄熱が過不足なく正確に生成される。
【0051】一方、ステップST6 〜ステップST7 は、蓄熱槽(16)に氷が残存しているときに実行する運転、つまり有残氷運転の工程を示す。ステップST6 においては、運転判定フラグをONにセットし、運転モードを有残氷運転に設定する。そして、冷媒の循環動作を開始する。次に、ステップST7 に進み、第1フロートスイッチ(71)がONか否かを判定する。すなわち、水位が第1フロートスイッチ(71)が設けられた位置まで上昇したか否かを判定する。その結果、第1フロートスイッチ(71)がOFF状態のときは運転を継続する一方、ON状態になったときは、ステップST8 に進んで冷蓄熱運転を終了する。なお、有残氷運転の際には運転時間ではなく水位に基づいて蓄熱量を判断することとしたのは、蓄熱槽(16)における過度の冷凍を防止し、伝熱コイル(17)や蓄熱槽(16)の破損を確実に回避するためである。
【0052】(蓄熱利用運転)蓄熱利用運転は、例えば昼間時のような電力需要のピーク時に、蓄熱槽(16)の氷を冷熱源として利用して、室内の冷房を行う運転である。まず、冷媒循環動作を説明する。
【0053】四路切換弁(13)は、図5に示す実線側に設定される。第1電子膨張弁(15)及び第2電子膨張弁(23)は全開状態に設定され、室内電子膨張弁(18),(18),…は運転状態に応じて所定開度に制御される。第1電磁弁(SV1) 及び双方向電磁弁(26)は閉状態に設定され、第2電磁弁(SV2) は開状態に設定される。
【0054】冷媒は、図5に実線矢印で示すように循環する。なお、図5においても、冷媒の循環経路を太線で表している。
【0055】すなわち、圧縮機(11),(12) から吐出された高温高圧のガス冷媒は、四路切換弁(13)を経て室外熱交換器(14)に流入し、室外熱交換器(14)において室外空気と熱交換を行って凝縮する。室外熱交換器(14)を流出した冷媒は、受液器(21)を通過した後、氷蓄熱ユニット(102) の伝熱コイル(17)に流入する。この冷媒は、伝熱コイル(17)において、蓄熱槽(16)に蓄えられた氷によって冷却され、蓄えられていた冷熱を回収する。伝熱コイル(17)を流出した冷媒は、第2電子膨張弁(23)を通過し、各室内ユニット(103),(103),…に流入する。各室内ユニット(103) において、冷媒は室内電子膨張弁(18)によって減圧され、低温の気液二相冷媒となって室内熱交換器(19)に流入する。室内熱交換器(19)に流入した冷媒は、室内空気と熱交換を行い、蒸発して室内空気を冷却する。室内熱交換器(19)を流出した冷媒は、室外ユニット(101) の四路切換弁(13)及びアキュムレータ(22)を通過し、圧縮機(11),(12) に吸入される。
【0056】このような冷媒循環動作は冷房負荷に応じて所定時間行われるが、蓄熱槽(16)内の水の温度が所定の上限温度Tmax になると、蓄熱は消費されたとみなし、蓄熱を用いた運転から蓄熱を用いない冷房運転に運転が切り換えられる。
【0057】ところで、すべての氷が融解した状態にあっても、槽内の水温は0℃に近く、十分に低温である。そのため、氷だけでなく、蓄熱槽(16)内の水も冷熱源として利用可能である。従って、蓄熱槽(16)に蓄えられる冷熱は、水の潜熱変化による冷熱と顕熱変化による冷熱とに大別することができる。そこで、蓄熱がすべて消費されたか否かは、蓄熱槽(16)の水温が予め設定した上限水温Tmaxになったか否かにより判断することとしている。
【0058】本空気調和装置(1) では、蓄熱の運転モードに応じて上限水温Tmax を変更する。図6に示すように、ステップST11において蓄熱利用運転を開始した後、ステップST12において、蓄熱運転モードの判定を行う。
【0059】判定フラグがOFFにセットされている場合には、蓄熱運転モードは無残氷運転であると判定し、ステップST14に進んで上限水温Tmax を第1所定温度T1、つまり20℃に設定する。
【0060】一方、判定フラグがONにセットされている場合には、蓄熱運転モードは有残氷運転であると判定し、ステップST13に進んで上限水温Tmax を第2所定温度T2に設定する。有残氷運転は無残氷運転よりも蓄熱生成量が少なくなる場合があるので、有残氷運転後では無残氷運転後に比べてより多くの顕熱を利用することとしている。そのため、第2所定温度T2は第1所定温度T1よりも高い温度に設定されており、ここでは、25℃に定められている。
【0061】ステップST14またはステップST13において上限水温Tmax の設定を行った後は、ステップST15に進み、上述の冷媒循環動作を行い、室内の冷房を実行する。
【0062】−空気調和装置(1) の効果−以上のように、本空気調和装置(1) によれば、伝熱コイル(17)や蓄熱槽(16)において結露が発生して蓄熱槽(16)の水分量が増加しても、増加分の水はオーバーフロー管(92)を通じて槽外に排出される。
【0063】例えば、図7に示すように、結露が発生しないときには、所定時間t1の運転により所定量の氷が生成され、水位は基準水位Nからオーバーフロー水排出口(96)の位置まで増加する。つまり、水位は高さAだけ上昇する。しかし、実際には結露が発生し、蓄熱槽(16)の水分量は増加する。例えば、結露によって水分量は水位上昇ΔLだけ増加しているとすると、オーバーフロー水排出口(96)がないと仮定した場合、水位は高さBだけ上昇し、水が蓄熱槽(16)から溢れ出てしまう。ところが、本蓄熱槽(16)では、基準水位Nから高さAよりも高い位置の水はオーバーフロー水排出口(96)を通じて排出されるので、結局、増加した分の水は槽外に適宜排出されることになる。
【0064】また、無残氷運転の開始時には、水抜弁(99)を開口し、蓄熱槽(16)の水位が基準水位になるように水位調整を行っているので、蓄熱運転における蓄熱量と水位との関係を一定に保つことができる。そのため、蓄熱の生成量を正確に把握することができ、正確な蓄熱制御を実行することが可能となる。
【0065】このように、本空気調和装置(1) によれば、結露水の影響を受けることなく、安定した蓄熱運転を実行することができる。
【0066】なお、本発明でいうところの冷凍装置は広い意味での冷凍装置であり、上記のような空気調和装置に限らず、狭義の冷凍装置や冷蔵装置等も含むものである。
【0067】
【発明の効果】以上のように、請求項1に記載の発明によれば、蓄熱槽内に結露水が混入したとしても、増加分の水はオーバーフロー管を通じて蓄熱槽外へ自然に排出される。そのため、蓄熱槽から水が溢れ出すことを未然に防止することができる。
【0068】請求項2に記載の発明によれば、開閉弁を開口することにより、基準水位以上の位置にある水を基準水位管を通じて蓄熱槽外に排出することができるので、水位を基準水位に容易に調整することができる。そのため、蓄熱槽の水分量を容易かつ正確に調整することが可能となり、蓄熱運転時における蓄熱の生成量を正確に調節することができる。
【0069】請求項3に記載の発明によれば、蓄熱槽の水分量の調整を容易かつ正確に行うことができるとともに、水のオーバーフローを未然に防止することができる。
【0070】請求項4に記載の発明によれば、水温に基づいて蓄熱槽に氷が残存しないことを確認し、そのうえで基準水位を調整することとしたので、残氷に影響されることなく蓄熱槽の水分量をより正確に調整することができる。そして、水分量を調整した後に蓄熱運転を所定時間行うこととしたので、結露水の影響を受けることなく、適正量の氷蓄熱を正確に生成することが可能となる。
【0071】請求項5に記載の発明によれば、いわゆるスタティック方式の氷蓄熱式冷凍装置において、蓄熱槽の水分量の調整を容易かつ正確に行うことができるとともに、水のオーバーフローを確実に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月31日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘 (外2名)
【公開番号】 特開平11−132576
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−300666