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【発明の名称】 吸収式冷凍装置
【発明者】 【氏名】渡部 裕司

【要約】 【課題】凝縮性能の向上を図ることにより冷凍能力を向上させる。

【解決手段】吸収式冷凍装置において、凝縮器4あるいは6から導かれる凝縮液冷媒l3と蒸発器6あるいは4から導かれる低温冷媒蒸気g2とを熱交換させる過冷却用気液熱交換器13と、該過冷却用熱交換器13から導かれる凝縮液冷媒l3を貯溜するレシーバ14とを付設して、凝縮器4あるいは6において完全に凝縮液化されることなくガス成分を含んだ状態で過冷却用気液熱交換器13に供給された凝縮液冷媒l3を蒸発器6あるいは4から導かれる低温冷媒蒸気g2との熱交換により過冷却状態(即ち、完全に液化された状態)となし、その状態でレシーバ14に貯溜するようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱手段(1)により加熱され、高温冷媒蒸気(g1)を発生させる発生器(2)と、該発生器(2)により発生された高温冷媒蒸気(g1)を凝縮液化する凝縮器(4あるいは6)と、該凝縮器(4あるいは6)により凝縮液化された冷媒を減圧する減圧機構(5あるいは16)と、該減圧機構(5あるいは16)により減圧された冷媒を蒸発気化する蒸発器(6あるいは4)と、該蒸発器(6あるいは4)により蒸発気化された低温冷媒蒸気(g2)を前記発生器(2)から導かれる吸収希溶液(l1)に吸収させる際に発生する吸収熱を回収する吸収熱交換器(7)とを備えた吸収式冷凍装置であって、前記凝縮器(4あるいは6)から導かれる凝縮液冷媒(l3)と前記蒸発器(6あるいは4)から導かれる低温冷媒蒸気(g2)とを熱交換させる過冷却用気液熱交換器(13)と、該過冷却用熱交換器(13)から導かれる凝縮液冷媒(l3)を貯溜するレシーバ(14)とを付設したことを特徴とする吸収式冷凍装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、吸収式冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、冷媒として塩素原子を有しないR407c等の代替冷媒を用い、吸収液として冷凍機油等を用いた吸収式冷凍装置は、図3に示すように、加熱手段(例えば、ガスバーナ1)により加熱され、高温冷媒蒸気g1を発生させる発生器2と、該発生器2により発生された高温冷媒蒸気g1中に含まれる吸収液を分離する気液分離器3と、冷房運転時において該気液分離器3から導かれる高温冷媒蒸気g1を凝縮液化する凝縮器4と、該凝縮器4により凝縮液化された冷媒を減圧する減圧機構5と、該減圧機構5により減圧された冷媒を蒸発気化する蒸発器6と、該蒸発器6により蒸発気化された低温冷媒蒸気g2を前記発生器2から導かれる吸収希溶液l1に吸収させる際に発生する吸収熱を回収する吸収熱交換器7と、該吸収熱交換器7から導かれる溶液にさらに冷媒蒸気を吸収させる空冷吸収器8と、該空冷吸収器8から前記発生器2に導かれる途中の吸収濃溶液l2に前記発生器2から前記吸収熱交換器7に導かれる途中の吸収希溶液l1の保有する熱を回収する熱回収用溶液熱交換器9とを備えて構成されている。符号10は吸収濃溶液l2を圧送するためのポンプ、11はポンプ10を保護するために吸収濃溶液l2を過冷却する過冷却器、12は発生器2からの吸収希溶液l1を減圧するための減圧機構である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記構成の吸収式冷凍装置において、外気温度等の室外温度条件によっては凝縮器4に供給された冷媒蒸気g1を完全に凝縮液化させることが難しい場合があるところから、凝縮器4から導かれる凝縮液冷媒と蒸発器6から導かれる低温冷媒蒸気とを熱交換させて前記凝縮液冷媒に過冷却を付与する過冷却用気液熱交換器を付設して冷凍能力を向上させる試みがなされている。
【0004】また、発生器2等の構造から冷媒循環量を多く保有させる場合があり、この場合、起動時等において循環冷媒を一時的に貯溜するレシーバが必要となるが、該レシーバの設置位置によってはレシーバとしての機能を十分に発揮できない場合がある。例えば、凝縮器と過冷却用気液熱交換器との間にレシーバを設置すると、凝縮器において完全な凝縮液化が行われなかった場合、凝縮液冷媒中にガスが含まれることとなり、レシーバにガス相が発生し、レシーバに凝縮液冷媒が溜まらず、凝縮器に凝縮液冷媒が溜まってしまい、十分な凝縮性能が得られなくなるという不具合が発生する。
【0005】本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、凝縮性能の向上を図ることにより冷凍能力を向上させることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本願発明では、上記課題を解決するための手段として、加熱手段1により加熱され、高温冷媒蒸気g1を発生させる発生器2と、該発生器2により発生された高温冷媒蒸気g1を凝縮液化する凝縮器4あるいは6と、該凝縮器4あるいは6により凝縮液化された冷媒を減圧する減圧機構5あるいは16と、該減圧機構5あるいは16により減圧された冷媒を蒸発気化する蒸発器6あるいは4と、該蒸発器6あるいは4により蒸発気化された低温冷媒蒸気g2を前記発生器2から導かれる吸収希溶液l1に吸収させる際に発生する吸収熱を回収する吸収熱交換器7とを備えた吸収式冷凍装置において、前記凝縮器4あるいは6から導かれる凝縮液冷媒l3と前記蒸発器6あるいは4から導かれる低温冷媒蒸気g2とを熱交換させる過冷却用気液熱交換器13と、該過冷却用熱交換器13から導かれる凝縮液冷媒l3を貯溜するレシーバ14とを付設している。
【0007】上記のように構成したことにより、凝縮器4あるいは6において完全に凝縮液化されることなくガス成分を含んだ状態で過冷却用気液熱交換器13に供給された凝縮液冷媒l3は蒸発器6あるいは4から導かれる低温冷媒蒸気g2との熱交換により過冷却状態(即ち、完全に液化された状態)となり、その状態でレシーバ14に貯溜されることとなる。従って、蒸発器6あるいは4における冷凍能力が向上することとなるとともに、凝縮器4あるいは6において液溜まりが生ずることもなくなる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかの好適な実施の形態について詳述する。
【0009】第1の実施の形態(請求項1に対応)
図1には、本願発明の実施の形態にかかる吸収式冷凍装置の冷媒回路が示されている。
【0010】この吸収式冷凍装置は、冷媒として塩素原子を有しないR407c等の代替冷媒を用い、吸収液としてジエチレングリコールジメチルエーテル等の有機溶剤または冷凍機油等を用いるものであり、従来技術の項において説明したものと同様に、加熱手段(例えば、ガスバーナ1)により加熱され、高温冷媒蒸気g1を発生させる発生器2と、該発生器2により発生された高温冷媒蒸気g1中に含まれる吸収液を分離する気液分離器3と、冷房運転時において該気液分離器3から導かれる高温冷媒蒸気g1を凝縮液化する凝縮器(換言すれば、室外側熱交換器)4と、該凝縮器4により凝縮液化された冷媒を減圧する減圧機構5と、該減圧機構5により減圧された冷媒を蒸発気化する蒸発器(換言すれば、室内側熱交換器)6と、該蒸発器6により蒸発気化された低温冷媒蒸気g2を前記発生器2から導かれる吸収希溶液l1に吸収させる際に発生する吸収熱を回収する吸収熱交換器7と、該吸収熱交換器7から導かれる溶液にさらに冷媒蒸気を吸収させる空冷吸収器8と、該空冷吸収器8から前記発生器2に導かれる途中の吸収濃溶液l2に前記発生器2から前記吸収熱交換器7に導かれる途中の吸収希溶液l1の保有する熱を回収する熱回収用溶液熱交換器9とを備えて構成されている。符号10は吸収濃溶液l2を圧送するためのポンプ、11はポンプ10を保護するために吸収濃溶液l2を過冷却する過冷却器、12は発生器2からの吸収希溶液l1を減圧するための減圧機構である。
【0011】しかして、この吸収式冷凍装置には、前記凝縮器4から導かれる凝縮液冷媒l3と前記蒸発器6から導かれる低温冷媒蒸気g2とを熱交換させる過冷却用気液熱交換器13と、該過冷却用熱交換器13から導かれる凝縮液冷媒l3を貯溜するレシーバ14とが付設されている。
【0012】上記のように構成された吸収式冷凍装置は、次のように作用する。
【0013】ガスバーナ1により加熱された発生器2から高温冷媒蒸気g1と冷媒濃度の薄い吸収液(即ち、高温吸収希溶液l1)との混合物が発生せしめられ、気液分離器3において高温冷媒蒸気g1と高温の吸収希溶液(換言すれば、吸収液)l1とに分離される。かくして得られた高温冷媒蒸気g1は、凝縮器4に供給されて外部冷却物質(例えば、空気あるいは水)により冷却されて凝縮液化する。
【0014】そして、前記凝縮器4において凝縮液化された冷媒l3は、過冷却用気液熱交換器13に供給され、前記蒸発器6から導かれる低温冷媒蒸気g2との熱交換により過冷却状態(換言すれば、完全に液化された状態)とされ、レシーバ14に所定量貯溜される。該レシーバ14に貯溜された凝縮液冷媒l3は、減圧機構5で減圧された後蒸発器6において室内空気と熱交換して蒸発気化されて低温冷媒蒸気g2となり、前述したように過冷却用気液熱交換器13を経て吸収熱交換器7へ供給される。ここで、蒸発器6においては、室内空気が冷却されて冷房用に供される。従って、凝縮器4において完全に凝縮液化されることなくガス成分を含んだ状態で過冷却用気液熱交換器13に供給された凝縮液冷媒l3は蒸発器6から導かれる低温冷媒蒸気g2との熱交換により過冷却状態(即ち、完全に液化された状態)となり、その状態でレシーバ14に貯溜されることとなる。従って、蒸発器6における冷凍能力が向上することとなるとともに、凝縮器4において液溜まりが生ずることもなくなる。
【0015】ところで、吸収熱交換器7においては、蒸発器6から供給された低温冷媒蒸気g2が発生器2から熱回収用溶液熱交換器9を経て供給される吸収希溶液l1に吸収される。
【0016】なお、吸収熱交換器7のみでは低温冷媒蒸気g2の吸収希溶液l1への吸収が不十分なので、吸収熱交換器7から出た冷媒蒸気および吸収液を空冷吸収器8に送り、さらに冷媒蒸気の吸収を行って吸収濃溶液l2を得るようにしている。
【0017】空冷吸収器8から出た吸収濃溶液l2は過冷却器11により完全に液化された後、ポンプ10により吸収熱交換器7に送られ、前述したように吸収熱を回収し、さらに熱回収用溶液熱交換器9および熱回収用気液熱交換器13において高温の吸収希溶液l1および冷媒蒸気g1から熱回収した後発生器2へ還流される。
【0018】第2の実施の形態(請求項1に対応)
図2には、本願発明の第2の実施の形態にかかる吸収式冷凍装置の冷媒回路が示されている。
【0019】この場合、吸収式冷凍装置は、四路切換弁15の切換操作により気液分離器3から導かれる高温冷媒蒸気g1が室外側熱交換器4側あるいは室内側熱交換器6側へ切換供給される冷暖房可能タイプとされている。従って、暖房運転時には室外側熱交換器4は冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する一方、室内側熱交換器6は冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。
【0020】また、前記室外側熱交換器4と室内側熱交換器6との間には、減圧機構5と直列に第2の減圧機構16が介設されており、冷房運転時においては凝縮器として作用している室外側熱交換器4から導かれる凝縮液冷媒l3(実線矢印で示す)が第2の減圧機構16を側路して逆止弁17、過冷却用気液熱交換器13およびレシーバ14を介して減圧機構3に供給される一方、暖房運転時においては凝縮器として作用している室内側熱交換器6から導かれる凝縮液冷媒l3(点線矢印で示す)が減圧機構5を側路して逆止弁18、過冷却用気液熱交換器13およびレシーバ14を介して第2の減圧機構16に供給されることとなっている。このようにすれば、冷房運転時および暖房運転時において、凝縮器として作用している室外側熱交換器4および室内側熱交換器6から導かれる凝縮液冷媒l3が過冷却用気液熱交換器13およびレシーバ14へ供給されることとなるのである。その他の構成および作用効果は第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0021】なお、フロン系、アンモニア系の吸収式冷凍装置においては、吸収濃溶液はフロンあるいはアンモニアを多く含み、吸収希溶液はフロンあるいはアンモニアを少なく含む溶液を表現するが、LiBr/水系の吸収式冷凍装置の場合、吸収濃溶液はLiBrを多く含み、吸収希溶液はLiBrを少なく含む溶液を表現する。
【0022】
【発明の効果】本願発明によれば、加熱手段1により加熱され、高温冷媒蒸気g1を発生させる発生器2と、該発生器2により発生された高温冷媒蒸気g1を凝縮液化する凝縮器4あるいは6と、該凝縮器4あるいは6により凝縮液化された冷媒を減圧する減圧機構5あるいは16と、該減圧機構5あるいは16により減圧された冷媒を蒸発気化する蒸発器6あるいは4と、該蒸発器6あるいは4により蒸発気化された低温冷媒蒸気g2を前記発生器2から導かれる吸収希溶液l1に吸収させる際に発生する吸収熱を回収する吸収熱交換器7とを備えた吸収式冷凍装置において、前記凝縮器4あるいは6から導かれる凝縮液冷媒l3と前記蒸発器6あるいは4から導かれる低温冷媒蒸気g2とを熱交換させる過冷却用気液熱交換器13と、該過冷却用熱交換器13から導かれる凝縮液冷媒l3を貯溜するレシーバ14とを付設して、凝縮器4あるいは6において完全に凝縮液化されることなくガス成分を含んだ状態で過冷却用気液熱交換器13に供給された凝縮液冷媒l3を蒸発器6あるいは4から導かれる低温冷媒蒸気g2との熱交換により過冷却状態(即ち、完全に液化された状態)となし、その状態でレシーバ14に貯溜するようにしたので、蒸発器6あるいは4における冷凍能力が向上することとなるとともに、凝縮器4あるいは6において液溜まりが生ずることもなくなり、凝縮性能を低下させるおそれもなくなるという優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
【公開番号】 特開平11−14180
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−168385