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【発明の名称】 ドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却設備および 二元冷却方法
【発明者】 【氏名】西原 正博

【氏名】新野 三千雄

【要約】 【課題】非常に低い温度への冷却を行うため高元冷凍サイクル1と低元冷凍サイクル3を有する二元冷却設備において、夜間電力を利用した蓄熱が行えるように工夫する。

【解決手段】低元冷凍サイクル3の蓄熱材を兼ねる低元冷媒として二酸化炭素を用い、低元蒸発器23をタンク構造とし、この低元蒸発器23の中に二酸化炭素を固体(ドライアイス)15Cと液15Aの混合状態で蓄え、蓄熱を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】高温側の高元冷媒が流れる高元冷凍サイクルと低温側の低元冷媒が流れる低元冷凍サイクルを組み合わせた二元冷却設備において、タンク構造の低元蒸発器と、低元冷媒として用いられ前記低元蒸発器内にドライアイスと液の混合状態で蓄えられる二酸化炭素とを有することを特徴とするドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却設備。
【請求項2】請求項1に記載のドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却設備を用い、熱負荷がないときまたは低熱負荷のときにも設備の運転を続けることでタンク構造の低元蒸発器内にドライアイスと液の混合状態で冷熱の蓄熱を行うことを特徴とするドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非常に低い温度に冷却するための二元冷却設備及び二元冷却方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、マイナス数十度という非常に低い温度へ冷却を行うためには、高温側と低温側の2つの冷凍サイクルを組み合わせた二元冷却設備が用いられる。すなわち、高温側(以下、高元という)の冷媒が流れる高元冷凍サイクルと、低温側(以下、低元という)の冷媒が流れる低元冷凍サイクルとを組み合わせ、カスケードコンデンサを構成する高元冷凍サイクル側の蒸発器により、同じくカスケードコンデンサを構成する低元冷凍サイクルの凝縮器を冷却することによって非常に低い温度の冷却を行うものである。以上のような冷却設備に用いられる高元冷媒や低元冷媒にはフロンR13(CF3CL)やフロンR22(CHF2CL)などが用いられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の二元冷却設備においては一般的に熱負荷の変動が激しく、冷却は主に日中に行われ、夜間は熱負荷がないかまたは非常に小さな低熱負荷となることが多かった。このような場合、通常の冷却設備では夜間の安価な電力を利用して冷熱の蓄熱を行い、これによって冷却設備は冷却能力の小さなもので済み、設備コストも低く済ませることができるが、二元冷却設備のように非常に低い温度への冷却を行う冷却設備では蓄熱が行える適格な蓄熱材がなかったために、夜間電力を利用した蓄熱が行えず、設備コストを高めてしまうという問題点があった。
【0004】本発明は以上の問題点を解決するためになされたもので、適切な蓄熱材を使用して夜間電力による蓄熱が行える二元冷却設備及び二元冷却方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するために、請求項1の発明は、高温側の高元冷媒が流れる高元冷凍サイクルと低温側の低元冷媒が流れる低元冷凍サイクルを組み合わせた二元冷却設備において、タンク構造の低元蒸発器と、低元冷媒として用いられ前記低元蒸発器内にドライアイスと液の混合状態で蓄えられる二酸化炭素とを有することを特徴とするドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却設備である。
【0006】請求項2の発明は、請求項1に記載のドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却設備を用い、熱負荷がないときまたは低熱負荷のときにも、設備の運転を続けることでタンク構造の低元蒸発器内にドライアイスと液の混合状態で冷熱の蓄熱を行うことを特徴とするドライアイスの蓄熱を利用する二元冷却方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】この発明の一実施形態に係る二元冷却設備を図1において説明する。この二元冷却設備を構成する二つの冷凍サイクル1、3のうち、一方の高元冷凍サイクル1は従来と同様の冷媒であるフロンR22(CHF2CL)を用いる。この高元冷凍サイクル1は、従来と同様に高元圧縮機5の下流側に管路4を介して高元凝縮器7が接続され、さらに下流側に管路6を介して余剰の高元冷媒8を受ける高元受液器9が設けられ、さらに下流側に管路10を介して高元側膨脹弁11が設けられ、さらに下流側に管路12を介して高元熱交換器13が設けられた後に、管路14を介して始めの高元圧縮機5へ接続される。
【0008】他方、低元冷凍サイクル3は低元冷媒15として二酸化炭素を用いる。この低元冷凍サイクル3において低元圧縮機17の下流側には管路18を介して低元凝縮器19が接続され、さらに下流側には管路20を介して低元膨脹弁21が接続され、さらに下流側に管路22を介してタンク構造の低元蒸発器23が接続される。この低元蒸発器23は、液体二酸化炭素15Aが二酸化炭素ガス15Bに蒸発して周囲から熱を奪う蒸発器の働きのみならず、二酸化炭素を蓄熱材として液体15Aと個体(ドライアイス15C)の状態で蓄える蓄熱タンクおよび低元受液器をも兼ねる。このように低元蒸発器23内には液状の二酸化炭素が満たされ、満液型冷却を行う。
【0009】また、下流側の管路24はタンク構造の低元蒸発器23の頂部に接続された後に始めの低元圧縮器17へ接続される。さらに、タンク構造の低元蒸発器23の上部には大気へ開放する安全弁25が設けられており、低元蒸発器23内部の圧力がある程度以上になると内部を大気に開放して安全を維持する構成となっている。また、前記高元冷凍サイクル1の高元蒸発器13と、低元冷凍サイクル3の低元凝縮器19は1つのカスケードコンデンサ25を構成する。
【0010】そして、低元蒸発器23内部には管路26が接続され、下流側のポンプ27を介して熱負荷側へ接続される。熱負荷側から戻ってきた管路28は低元蒸発器23に接続される。熱負荷側としては、例えば空調機の冷却用熱交換器や塩素ガス凝縮用冷凍装置の冷却用熱交換器等が挙げられる。
【0011】(作用)以下、この実施形態の作用を説明する。ガス状の高元冷媒が高元圧縮機5で圧縮され、高元凝縮器7で例えば外気と熱交換し液体となった後に高元受液器9に受けられる。その後に高元膨脹弁11にて圧力が下げられ、高元蒸発器13で低元凝縮器19から熱を奪い冷却する。熱を奪ってガス状になった高元冷媒は再び高元圧縮機5で圧縮される。
【0012】他方、低元冷凍サイクル3では、ガス状の低元冷媒である二酸化炭素ガス15Bが低元圧縮器17で圧縮され、高温になって低元凝縮器19へ送られ、前述したように高元蒸発器13から熱を奪われ、冷却されて凝縮する。凝縮した液体の二酸化炭素は低元膨脹弁21を通って降圧させられ、低元蒸発器23内の冷却を行い、内部に蓄えられていた液状の二酸化炭素15Aをドライアイス15Cへと固化せしめる。これにより、低元蒸発器23の内部に蓄えられる二酸化炭素は、液状のもの15Aに対しドライアイス15Cの割合が大きくなり、蓄熱が行われる。また、低元蒸発器23内部の液状の低温の二酸化炭素はポンプ27によって、熱負荷側へ送られる。
【0013】熱負荷側から戻ってきた液状の二酸化炭素は温度が上昇しており、低元蒸発器23の内部の温度を上昇させるので、内部における二酸化炭素の液状のもの15Aに対するドライアイス15Cの割合を小さくし、さらには液状の二酸化炭素15Aが蒸発して二酸化炭素ガス15Bとなる。この二酸化炭素ガス15Bは低元圧縮機17へ送られ、再び圧縮される。
【0014】なお、二酸化炭素は大気圧(1.033kg/平方cmG)などの低い圧力では温度上昇にともない固体から気体へ昇華するが、圧力が大きくなると温度上昇にともない固体から一度液体となった後に沸騰して気体となる。この二つの現象のいずれが起きるかの境目である三重点は、圧力が5.28kg/平方cmGで温度が−56.6℃である。
【0015】この実施形態の特に低元蒸発器23内部では、二酸化炭素を前記三重点よりも圧力が大きく及び/又は温度が低い範囲で使用する。例えば温度−56.6℃よりも低い範囲で二酸化炭素を蒸発させたり、あるいは圧力が5.28kg/平方cmGより大きな範囲で二酸化炭素の液の中に固体(ドライアイス)を形成して蓄熱を行う。
【0016】また、例えば−56.6℃のドライアイスの昇華熱は129.88kcal/kgであり、二酸化炭素の液から気体への気化熱は、83.12kcal/kgであり、蓄熱として46.76kcal/kgが可能である。よって、十分な蓄熱が行われる。
【0017】(効果)以上の実施形態によれば、以下の効果を奏し得る。すなわち、熱負荷が無いとき、又は低熱負荷のときにも冷却設備の運転を続けることで、タンク構造の低元蒸発器23内における二酸化炭素の液状のもの15Aに対する固体(ドライアイス15C)の割合を大にし、これにより非常に低い温度(例えば−56℃)での冷熱の蓄熱を行うことができる。
【0018】また、二酸化炭素は、低元冷媒と蓄熱材を兼ねるものであり、両者を別々に採用する場合に比べ、両者間の熱交換器を介さずに熱の移動ができ、蓄熱効率を高めることができる。さらに、低元蒸発器23内で十分に冷却された液状の二酸化炭素15Aをポンプ27により直接に熱負荷側へ送るため、熱負荷に対する冷却効率を高めることができる。
【0019】高負荷時には、低元蒸発器23内に蓄えられた二酸化炭素により蓄熱された冷熱を用いて対応できる。すなわち、二酸化炭素を蓄熱材とすることで、非常に低い低温液で蓄熱を行うことが可能となり、夜間電力を使用した蓄熱が行え、日中の高負荷に対応できる。
【0020】したがって、冷却設備としてのランニングコストを低減でき、日中に大容量の電力を受電する必要がなくなり、受電設備費を低減でき、さらには、日中における電力消費を小にし、夜間における電力消費を大にでき、電力の標準化に貢献することができる。
【0021】また、二酸化炭素は自然界に存在する物質であり、従来の冷媒として用いられるフロンなどに比べ環境に対する影響も少なくできる。
(他の実施形態)以上の実施形態では熱負荷側への冷熱の供給は液状の二酸化炭素を直接に送ることで行っているが、他の実施形態においては例えば図2に示すように、二酸化炭素を直接に送るものではなく、非常な低温(例えば−56℃)でも凍結せずに液の状態を保つことができるブラインを用いることが可能である。
【0022】この場合には、タンク構造の低元蒸発器23の内部にブラインを取り込んで熱交換を行う熱交換器31を設置し、この熱交換器31を通ったブラインを管路33を介して熱負荷側へ送る。熱負荷側から戻るブラインは管路35を介してポンプ37により前記熱交換器31へ送られる。なお、図2において図1と同様の部分は同一の符号を付す。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1または2の発明によれば、冷媒を兼ねる蓄熱材に二酸化炭素を用い、低元冷凍サイクルの低元蒸発器をタンク構造として、この低元蒸発器の中に前記二酸化炭素を固体(ドライアイス)と液の混合状態で蓄えることにより、非常に低い温度においても蓄熱が可能となり、しかも低元冷媒と蓄熱材を同じ二酸化炭素とすることで、蓄熱効率をよくすることができる。
【出願人】 【識別番号】390026974
【氏名又は名称】株式会社東洋製作所
【出願日】 平成9年(1997)6月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】前田 清美
【公開番号】 特開平11−14172
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−181690