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【発明の名称】 給湯器
【発明者】 【氏名】渡辺 久恭

【氏名】斉藤 寿久

【氏名】佐藤 徹哉

【要約】 【課題】給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯する。

【解決手段】給湯設定温度の湯を給湯するためのバイパス流量Qbpと湯側の流量Qyuの目標流量比を求める。また、流量センサFS1,FS2のセンサ出力を利用してバイパス流量Qbpと湯側の流量Qyuの流量比を検出し、該検出した流量比を上記求めた目標流量比に比較する。また、流量センサFS2により給湯の総流量Qを検出し、該検出総流量を設定総流量に比較する。上記流量比と総流量の各比較結果と、流量比と総流量の各比較結果の組み合わせに応じて予め与えられている弁開度制御ルールとに基づいて、検出流量比が目標流量比に一致する方向に、かつ、検出総流量が設定総流量に一致する方向に第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給水通路から供給された水を加熱して湯を作り出し該湯を給湯通路に送出する給湯熱交換器と、上記給水通路と給湯通路間を上記給湯熱交換器を迂回して連通接続するバイパス通路と、該バイパス通路から流れ出た水が合流する湯側の流量を弁開度でもって制御する第1の流量制御手段と、上記バイパス通路を流れる水の流量を弁開度でもって制御する第2の流量制御手段と、上記バイパス通路の通水流量と湯側の流量との総流量を検出する総流量検出手段とを有し、バイパス通路から流れ出る水と湯側の湯とのミキシング後の湯温が予め定められた給湯設定温度になるためのバイパス通路の通水流量と湯側の流量との目標流量比を検出する目標流量比検出部と、バイパス通路の通水流量と湯側の流量との流量比を検出する流量比検出部とを備えた給湯器であって、上記流量比検出部により検出された流量比を上記目標流量比検出部により検出された目標流量比に比較する流量比比較部と;上記総流量検出手段により検出された総流量を予め定められた設定総流量に比較する総流量比較部と;上記流量比と総流量の各比較結果の組み合わせに応じて予め与えられている弁開度制御ルールと、上記流量比比較部と総流量比較部の各比較結果とに基づいて上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御して上記検出流量比が目標流量比に一致する方向に制御し併せて検出総流量が設定総流量に一致する方向に制御して給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯するための流量比・総流量制御部と;が設けられていることを特徴とした給湯器。
【請求項2】 弁開度制御ルールは、上記検出総流量が設定総流量にほぼ等しく検出流量比が目標流量比よりも大きい場合に上記第1の流量制御手段の弁開度を予め定めた第1上限変化量を越えない範囲で開方向に小さく制御し、第2の流量制御手段の弁開度を予め定めた第2上限変化量を越えない範囲で閉方向に小さく制御する第1のルールと、検出総流量が設定総流量にほぼ等しく検出流量比が目標流量比よりも小さい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する第2のルールと、検出総流量が設定総流量よりも多くて検出流量比が目標流量比にほぼ等しい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向にそれぞれ制御する第3のルールと、検出総流量が設定総流量よりも少なくて検出流量比が目標流量比にほぼ等しい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく開方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する第4のルールと、検出総流量が設定総流量よりも少なくて検出流量比が目標流量比よりも大きい場合に第1の流量制御手段の弁開度を予め定めた第1下限変化量以上に開方向に大きく制御し、第2の流量制御手段の弁開度を閉方向に小さく制御する第5のルールと、検出総流量が設定総流量よりも少なくて検出流量比が目標流量比よりも小さい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を予め定めた第2下限変化量以上に開方向に大きく制御する第6のルールと、検出総流量が設定総流量よりも多くて検出流量比が目標流量比よりも大きい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく開方向に、第2の流量制御手段の弁開度を大きく閉方向にそれぞれ制御する第7のルールと、検出総流量が設定総流量よりも多くて検出流量比が目標流量比よりも小さい場合に第1の流量制御手段の弁開度を大きく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する第8のルールと、検出総流量が設定の総流量にほぼ等しく検出流量比が目標流量比にほぼ等しい場合には第1と第2の各流量制御手段の弁開度を変化させない第9のルールとから成ることを特徴とする請求項1記載の給湯器。
【請求項3】 目標流量比に対する検出流量比の偏差と、設定総流量に対する検出総流量の偏差とを求める偏差検出部が設けられ、上記流量比と総流量の各偏差の組み合わせを前件部とし、その偏差の組み合わせに応じた第1と第2の各流量制御手段の弁開度制御形態を後件部とした弁開度制御ルールと、上記偏差検出部により求められた流量比の偏差と総流量の偏差とに基づいたファジィ論理演算により、流量比・総流量制御部は、第1と第2の各流量制御手段の弁開度の操作量を求め、この求めた操作量に応じて第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御する構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の給湯器。
【請求項4】 弁開度制御ルールの前件部は、目標流量比に対する検出流量比の偏差の大小に応じた複数のメンバーシップ関数と、設定総流量に対する検出総流量の偏差の大小に応じた複数のメンバーシップ関数とから成り、弁開度制御ルールの後件部は、第1の流量制御手段の弁開度操作量の大小に応じた複数のメンバーシップ関数と、第2の流量制御手段の弁開度操作量の大小に応じた複数のメンバーシップ関数とから成り、偏差検出部により求められた流量比と総流量の各偏差に基づき、上記前件部のメンバーシップ関数からファジィ変数グレードを検出するグレード検出部と、検出されたファジィ変数グレードに基づいて前記弁開度制御ルールに合致した第1の流量制御手段に対応した上記後件部のメンバーシップ関数の有効面積の和集合と第2の流量制御手段に対応した後件部のメンバーシップ関数の有効面積の和集合とをそれぞれ検出する和集合検出部と、これら検出された第1と第2の各流量制御手段に対応した有効面積の和集合の重心をそれぞれ算出し、該求めた重心に基づき第1と第2の各流量制御手段の弁開度の操作量をそれぞれ検出する弁開度操作量検出部とが設けられていることを特徴とした請求項3記載の給湯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湯を作り出して給湯する給湯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図12には給湯器のシステム構成の一例がモデル図により示されている。この給湯器は、同図の実線に示すように、バーナ1と給湯熱交換器2を有し、給湯熱交換器2の入側には水供給源から給湯熱交換器2に水を導くための給水通路3が連通接続され、また、給湯熱交換器2の出側には給湯通路4の一端側が接続され、この給湯通路4の他端側は台所やシャワー等の給湯場所に導かれている。上記給水通路3には該通路3の水温を検出する入水サーミスタ5と、通水流量を検出する水量センサ6とが設けられ、給湯通路4には該通路4から給湯される湯水温を検出する出湯サーミスタ7が設けられている。
【0003】上記バーナ1には燃料ガスを導くためのガス供給通路8が連通接続されており、このガス供給通路8には該通路の開閉を行う電磁弁10,11と、弁開度でもってバーナ1への供給ガス量を制御する比例弁12とが介設されている。
【0004】この給湯器には給湯運転を制御する制御装置13が設けられ、この制御装置13には給湯設定温度を設定するための給湯温度設定手段等が設けられたリモコン14が信号接続されている。上記制御装置13は次のように給湯運転を制御する。例えば、台所やシャワー等に導かれた給湯通路4の先端側に設けられた給湯栓(図示せず)が開栓され、給水通路3の通水が水量センサ6により検出されると、電磁弁10,11を開弁してガス供給通路8からバーナ1に燃料ガスを供給してバーナ燃焼を開始させ、給湯される湯温がリモコン14に設定されている給湯設定温度となるようにバーナ1の燃焼熱量を比例弁12の弁開度を制御することによって(つまり、バーナ1への供給燃料ガス量を制御することによって)制御し、上記バーナ燃焼火炎の熱によって給湯熱交換器2の通水が加熱されて給湯熱交換器2により湯が作られ、該湯は給湯通路4を通って所望の給湯場所に供給される。そして、給湯栓が閉栓されて給水通路3の通水停止を水量センサ6が検出すると、電磁弁11を閉弁してバーナ1の燃焼を停止し、給湯運転を終了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、給湯運転を停止した直後には、給湯熱交換器2の保有熱量が給湯熱交換器2に滞留している湯水に加えられて給湯熱交換器2内の滞留湯水が加熱され給湯設定温度の湯を給湯するための湯温よりも高温になる後沸き現象が発生し、このように、給湯熱交換器2内の滞留湯水に後沸きが生じている状態から給湯が開始されると、上記高温に加熱された湯が給湯して湯の利用者に高温による不快感を与えたり、火傷を負わせる等の危険があるという問題が生じる。
【0006】上記給湯熱交換器2内の滞留湯水に後沸きが発生している状態から給湯が開始されるという再出湯時の高温給湯の問題を回避するために、次に示すような再出湯時高温給湯防止手段が考えられる。例えば、図12の点線に示すように、給水通路3と給湯通路4間を給湯熱交換器2を迂回して連通接続するバイパス通路15を設け、バイパス通路15には該通路15の開閉を行う電磁弁により形成されたバイパス弁16を介設し、また、給湯熱交換器2の出側には湯温を検出する熱交出側サーミスタ17を設けておき、熱交出側サーミスタ17により検出される湯温が予め定めた温度以上で給湯熱交換器2内の滞留湯水に後沸きが発生していると判断できる状態から給湯が開始されたときには、上記バイパス弁16を開弁して、給湯熱交換器2から流れ出た高温湯にバイパス通路15から水をミキシングして湯温を下げ、上記再出湯時の高温給湯の問題発生を防止することが考えられる。
【0007】しかしながら、バイパス通路15から流れ出る水の単位時間当たりの流量は、給湯熱交換器2から流れ出る湯温の高低に拘らずほぼ一定であることから、給湯設定温度の湯を給湯するための給湯熱交換器の出側湯温に対する給湯熱交換器2から流れ出る湯温の上昇分(以下、オーバーシュートの大きさと記す)が小さいときには、給湯熱交換器2から流れ出た湯にミキシングする水量が過剰となり、給湯設定温度よりもかなり低めのアンダーシュートの湯が給湯されてしまったり、反対に、上記オーバーシュートの大きさが大きいときには、給湯熱交換器2から流れ出た湯にミキシングする水量が不足して、給湯設定温度よりも高めの湯が給湯されてしまい、給湯開始時に給湯設定温度の湯を安定供給することができないという問題が発生する。
【0008】この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、再出湯時にも、給湯設定温度の湯を予め定めた設定総流量でもって安定給湯することが可能な給湯器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明は次のような構成をもって前記課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、給水通路から供給された水を加熱して湯を作り出し該湯を給湯通路に送出する給湯熱交換器と、上記給水通路と給湯通路間を上記給湯熱交換器を迂回して連通接続するバイパス通路と、該バイパス通路から流れ出た水が合流する湯側の流量を弁開度でもって制御する第1の流量制御手段と、上記バイパス通路を流れる水の流量を弁開度でもって制御する第2の流量制御手段と、上記バイパス通路の通水流量と湯側の流量との総流量を検出する総流量検出手段とを有し、バイパス通路から流れ出る水と湯側の湯とのミキシング後の湯温が予め定められた給湯設定温度になるためのバイパス通路の通水流量と湯側の流量との目標流量比を検出する目標流量比検出部と、バイパス通路の通水流量と湯側の流量との流量比を検出する流量比検出部とを備えた給湯器であって、上記流量比検出部により検出された流量比を上記目標流量比検出部により検出された目標流量比に比較する流量比比較部と;上記総流量検出手段により検出された総流量を予め定められた設定総流量に比較する総流量比較部と;上記流量比と総流量の各比較結果の組み合わせに応じて予め与えられている弁開度制御ルールと、上記流量比比較部と総流量比較部の各比較結果とに基づいて上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御して上記検出流量比が目標流量比に一致する方向に制御し併せて検出総流量が設定総流量に一致する方向に制御して給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯するための流量比・総流量制御部と;が設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0010】第2の発明は、上記第1の発明の構成を備え、弁開度制御ルールは、上記検出総流量が設定総流量にほぼ等しく検出流量比が目標流量比よりも大きい場合に上記第1の流量制御手段の弁開度を予め定めた第1上限変化量を越えない範囲で開方向に小さく制御し、第2の流量制御手段の弁開度を予め定めた第2上限変化量を越えない範囲で閉方向に小さく制御する第1のルールと、検出総流量が設定総流量にほぼ等しく検出流量比が目標流量比よりも小さい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する第2のルールと、検出総流量が設定総流量よりも多くて検出流量比が目標流量比にほぼ等しい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向にそれぞれ制御する第3のルールと、検出総流量が設定総流量よりも少なくて検出流量比が目標流量比にほぼ等しい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく開方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する第4のルールと、検出総流量が設定総流量よりも少なくて検出流量比が目標流量比よりも大きい場合に第1の流量制御手段の弁開度を予め定めた第1下限変化量以上に開方向に大きく制御し、第2の流量制御手段の弁開度を閉方向に小さく制御する第5のルールと、検出総流量が設定総流量よりも少なくて検出流量比が目標流量比よりも小さい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を予め定めた第2下限変化量以上に開方向に大きく制御する第6のルールと、検出総流量が設定総流量よりも多くて検出流量比が目標流量比よりも大きい場合に第1の流量制御手段の弁開度を小さく開方向に、第2の流量制御手段の弁開度を大きく閉方向にそれぞれ制御する第7のルールと、検出総流量が設定総流量よりも多くて検出流量比が目標流量比よりも小さい場合に第1の流量制御手段の弁開度を大きく閉方向に、第2の流量制御手段の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する第8のルールと、検出総流量が設定の総流量にほぼ等しく検出流量比が目標流量比にほぼ等しい場合には第1と第2の各流量制御手段の弁開度を変化させない第9のルールとから成る構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0011】第3の発明は、上記第1又は第2の発明の構成に加えて、目標流量比に対する検出流量比の偏差と、設定総流量に対する検出総流量の偏差とを求める偏差検出部が設けられ、上記流量比と総流量の各偏差の組み合わせを前件部とし、その偏差の組み合わせに応じた第1と第2の各流量制御手段の弁開度制御形態を後件部とした弁開度制御ルールと、上記偏差検出部により求められた流量比の偏差と総流量の偏差とに基づいたファジィ論理演算により、流量比・総流量制御部は、第1と第2の各流量制御手段の弁開度の操作量を求め、この求めた操作量に応じて第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御する構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0012】第4の発明は、上記第3の発明の構成を備え、弁開度制御ルールの前件部は、目標流量比に対する検出流量比の偏差の大小に応じた複数のメンバーシップ関数と、設定総流量に対する検出総流量の偏差の大小に応じた複数のメンバーシップ関数とから成り、弁開度制御ルールの後件部は、第1の流量制御手段の弁開度操作量の大小に応じた複数のメンバーシップ関数と、第2の流量制御手段の弁開度操作量の大小に応じた複数のメンバーシップ関数とから成り、偏差検出部により求められた流量比と総流量の各偏差に基づき、上記前件部のメンバーシップ関数からファジィ変数グレードを検出するグレード検出部と、検出されたファジィ変数グレードに基づいて前記弁開度制御ルールに合致した第1の流量制御手段に対応した上記後件部のメンバーシップ関数の有効面積の和集合と第2の流量制御手段に対応した後件部のメンバーシップ関数の有効面積の和集合とをそれぞれ検出する和集合検出部と、これら検出された第1と第2の各流量制御手段に対応した有効面積の和集合の重心をそれぞれ算出し、該求めた重心に基づき第1と第2の各流量制御手段の弁開度の操作量をそれぞれ検出する弁開度操作量検出部とが設けられている構成をもって前記課題を解決する手段としている。
【0013】上記構成の発明において、湯側の流量を制御する第1の流量制御手段と、バイパス通路の通水流量を制御する第2の流量制御手段とを設けたので、バイパス通路から流れ出た水と湯側の湯とがミキシングした後の湯温が給湯設定温度となるようにバイパス通路の通水流量と湯側の流量との流量比を、上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度制御により、精度良く制御することができ、再出湯時であっても給湯設定温度の湯を安定供給することが可能となる。
【0014】その上、この発明では、上記流量比制御に併せて総流量制御を上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度制御により行う構成を備えていることから、つまり、流量比比較部により比較された流量比の比較結果と、総流量比較部により比較された総流量の比較結果と、流量比と総流量の各比較結果の組み合わせに応じて予め与えられた弁開度制御ルールとに基づいて、検出流量比が目標流量比に一致する方向に、かつ、検出総流量が設定総流量に一致する方向に第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御する構成を備えていることから、給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づき説明する。
【0016】この実施形態例の給湯器は図3に示すようなシステム構成を有している。図3に示すように、給湯熱交換器2が設けられ、該給湯熱交換器2の入側には水供給源から水を給湯熱交換器2に供給するための給水通路3が接続され、給湯熱交換器2の出側には給湯熱交換器2により作られた湯を所望の給湯場所に導くための給湯通路4が接続されている。上記給水通路3と給湯通路4間を給湯熱交換器2を迂回して連通接続する常時バイパス通路18が設けられ、また、この常時バイパス通路18との接続部Xよりも上流側の給水通路3と、常時バイパス通路18との接続部Yよりも下流側の給湯通路4とを連通接続するバイパス通路15が設けられている。
【0017】上記常時バイパス通路18との接続部Yとバイパス通路15との接続部Zとの間の給湯通路4には上記バイパス通路15から流れ出た水に合流する湯側の流量Qyuを弁開度でもって制御する第1の流量制御手段GM1が介設され、また、上記バイパス通路15には該通路15を流れる水のバイパス流量Qbpを弁開度でもって制御する第2の流量制御手段GM2が介設されている。上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2はギアモータ等の駆動源が備えられており、その駆動源によって上記弁開度を連続的に又は段階的に可変制御可能な構成となっている。
【0018】上記給水通路3には通水温度を検出する入水サーミスタ5が設けられ、また、バイパス通路15との接続部Zよりも下流側の給湯通路4には湯側の湯温とバイパス通路15から流れ出た水とがミキシングした後の湯温を検出する出湯サーミスタ7が設けられ、さらに、給湯熱交換器2の出側の湯温を検出する熱交出側サーミスタ17が設けられている。
【0019】さらに、上記バイパス通路15との接続部Wと常時バイパス通路18との接続部Xとの間の給水通路3には該通路3部分の通水流量を上記湯側の流量Qyuとして検出する第1の流量センサFS1が設けられ、また、バイパス通路15との接続部Zよりも下流側の給湯通路4には給湯される給湯流量(出湯流量)Qを検出する総流量検出手段としての第2の流量センサFS2が設けられている。
【0020】さらにまた、給湯熱交換器2を燃焼加熱するバーナ(図示せず)が設けられており、該バーナには燃料ガスをバーナに供給するガス供給通路(図示せず)が接続されている。
【0021】この給湯器には給湯運転を制御する制御装置13が設けられ、この制御装置13にはリモコン14が信号接続されている。
【0022】この実施形態例では、給湯設定温度の湯を予め定められた設定総流量(例えば、16リットル/min )でもって給湯できるように上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御する特有な制御構成を備えたことを特徴としており、図1にはこの実施形態例において特徴的な制御構成がブロック図により示されている。この実施形態例に示す制御装置13は、湯側温度検出部20と、湯側流量検出部21と、バイパス流量検出部22と、目標流量比検出部23と、流量比比較部24と、流量比検出部25と、総流量検出部26と、偏差検出部27と、流量比・総流量制御部28と、総流量比較部30と、データ格納部35とを有して構成されている。
【0023】上記湯側温度検出部20は第1の流量制御手段GM1を通る湯側の湯温を検出する制御構成を有する。上記湯側の湯温を検出する図3の点線に示すようなサーミスタ40を設け、該サーミスタ40により検出される湯温を湯側の湯温として検出してもよいが、この実施形態例では、部品点数の増加を抑制するために、上記サーミスタ40を設けずに演算により湯側の湯温を検出する構成を有する。
【0024】湯側温度検出部20は、入水サーミスタ5により検出された入水温度Tinと、熱交出側サーミスタ17により検出される湯温Tout とを取り込み、これら検出温度Tout ,Tinを利用して次式(1)の演算により湯側の湯温Tyuを求める。
【0025】
Tyu=Tout ×m+Tin×n・・・・・(1)
【0026】上記式(1)に示すmは、給水通路3を通って来る給水が常時バイパス通路18との接続部Xの位置で給湯熱交換器2側に流れる水量の分配率であり、nは上記接続部Xの位置で常時バイパス通路18側に流れる水量の分配率であり、上記分配率は予め定まることから、定数として予め与えられる。例えば、給湯熱交換器2側の分配率が70%で、常時バイパス通路18側の分配率が30%であるときには、mの値として0.7が、nの値として0.3がそれぞれ予め与えられる。
【0027】湯側温度検出部20は、上記の如く、入水サーミスタ5により検出された入水温度Tinと、熱交出側サーミスタ17により検出された給湯熱交換器出側湯温Tout とに基づき、上記式(1)の演算により湯側の湯温Tyuを求め、この求めた湯温Tyuの情報を目標流量比検出部23に出力する。
【0028】目標流量比検出部23には上記湯側温度検出部20から出力された湯側の湯温Tyuと、リモコン14に設定されている給湯設定温度Tspと、入水サーミスタ5により検出された入水温度Tinとの各温度情報が時々刻々と加えられ、それら温度情報に基づいて下式(2)の演算により、給湯設定温度Tspの湯を給湯するための湯側の流量とバイパス通路15の流量との目標流量比Rsp(Rsp=Qbp/Qyu)を求める。
【0029】
Qbp/Qyu=(Tyu−Tsp)/(Tsp−Tin)・・・・(2)
【0030】なお、給湯熱交換器2内の後沸きにより、リモコン14に設定されている給湯設定温度Tspよりも高温の湯側の湯温Tyuをもつ湯側の流量Qyuの熱量が給湯設定温度Tspに低下するための放出熱量はバイパス通路15を通る流量Qbpの水が入水温度Tinから給湯設定温度Tspに上昇するのに要する吸熱熱量に等しく、この熱平衡バランスの関係から上式(2)が導かれる。
【0031】目標流量比検出部23は、上記の如く求められた目標流量比Rspの情報を後述する流量比比較部24と偏差検出部27に出力する。
【0032】湯側流量検出部21は第1の流量制御手段GM1を通る湯側の流量Qyuを検出するものであり、この実施形態例では、第1の流量センサFS1のセンサ出力を湯側の流量Qyuとして検出し、検出した湯側の流量Qyuの情報を流量比検出部25に出力する。
【0033】バイパス流量検出部22はバイパス通路15を流れるバイパス流量Qbpを検出するものである。この実施形態例では、図3に示すように、バイパス流量Qbpを検出する流量センサをバイパス通路15に設けていないので、バイパス流量検出部22は、第1と第2の各流量センサFS1,FS2のセンサ出力を取り込んで、第2の流量センサFS2により検出された総流量Qから第1の流量センサFS1により検出された湯側の流量Qyuを差し引くことによって、つまり、次式(3)の演算によりバイパス流量Qbpを求める。
【0034】Qbp=Q−Qyu・・・・・(3)
【0035】バイパス流量検出部22は上記求めたバイパス流量Qbpの情報を流量比検出部25に加える。流量比検出部25は上記湯側流量検出部21から加えられた湯側の流量Qyuと、バイパス流量検出部22から加えられたバイパス流量Qbpとに基づいて、湯側の流量Qyuとバイパス流量Qbpの流量比Rdeを次式(4)の演算により検出し、その検出流量比Rdeの情報を流量比比較部24と偏差検出部27に出力する。
【0036】Rde=Qbp/Qyu・・・・・(4)
【0037】流量比比較部24は、上記目標流量比検出部23から受け取った目標流量比Rspを、流量比検出部25から受け取った検出流量比Rdeに比較し、検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも大きいか否か、又は、検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも小さいか否か、又は、検出流量比Rdeが目標流量比Rspを含む予め定めた許容幅内に入っており検出流量比Rdeは目標流量比Rspにほぼ等しいか否かを判断し、その比較結果を流量比・総流量制御部28に出力する。
【0038】偏差検出部27は、上記目標流量比検出部23から加えられた目標流量比Rspから、流量比検出部25から加えられた検出流量比Rdeを差し引いて、目標流量比Rspに対する検出流量比Rdeの偏差ΔRを求め、その偏差ΔRの情報を流量比・総流量制御部28に加える。
【0039】総流量検出部26は給湯される給湯流量(出湯流量)Qを検出するものであり、この実施形態例では、第2の流量センサFS2のセンサ出力を総流量Qとして検出し、その検出した総流量Qの情報を偏差検出部27と総流量比較部30に加える。
【0040】データ格納部35には予め定められた設定総流量Qsp(例えば、16リットル/min )が与えられており、総流量比較部30は上記総流量検出部26から加えられた検出総流量Qを上記設定総流量Qspに比較し、検出総流量Qが設定総流量Qspよりも多いか否か、又は、検出総流量Qが設定総流量Qspよりも少ないか否か、又は、検出総流量Qが設定総流量Qspを含む予め定めた許容幅内に入っており検出総流量Qが設定総流量Qspにほぼ等しいか否かを判断し、その比較結果を流量比・総流量制御部28に加える。
【0041】偏差検出部27は、上記データ格納部35に格納されている設定総流量Qspから、上記総流量検出部26により検出された総流量Qを差し引いて、設定総流量Qspに対する検出総流量Qの偏差ΔQを求め、この偏差ΔQの情報を流量比・総流量制御部28に加える。
【0042】流量比・総流量制御部28は上記流量比比較部24による流量比の比較結果と、総流量比較部30による総流量の比較結果と、偏差検出部27により検出された流量比の偏差ΔRと総流量の偏差ΔQとに基づいて、第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御し検出流量比Rdeが目標流量比Rspに一致する方向に流量比を制御し併せて検出総流量Qが設定総流量Qspに一致する方向に総流量を制御する制御構成を有している。この実施形態例では、流量比・総流量制御部28は、ファジィ論理演算を用いて上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御する。
【0043】流量比・総流量制御部28は、図2に示すように、グレード検出部31と、和集合検出部32と、ミキシング制御部33と、弁開度操作量検出部34とを有して構成されている。
【0044】データ格納部35には、目標流量比Rspと検出流量比Rdeの比較結果と、設定総流量Qspと検出総流量Qの比較結果に基づいて第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御するための次に示すような弁開度制御ルールが予め定め与えられている。この実施形態例では、弁開度制御ルールは第1〜第9のルールから成っている。
【0045】1) 検出総流量Qが設定総流量Qspにほぼ等しく検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも大きい場合に上記第1の流量制御手段GM1の弁開度を予め定めた第1上限変化量(例えば、図4の(c)に示す弁開度変化量ΔWj1)を越えない範囲で開方向に小さく制御し、第2の流量制御手段GM2の弁開度を予め定めた第2上限変化量(例えば、図4の(d)に示す弁開度変化量ΔWj2)を越えない範囲で閉方向に小さく制御する。
【0046】2) 検出総流量Qが設定総流量Qspにほぼ等しく検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも小さい場合には第1の流量制御手段GM1の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段GM2の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する。
【0047】3) 検出総流量Qが設定総流量Qspよりも多くて検出流量比Rdeが目標流量比Rspにほぼ等しい場合に第1の流量制御手段GM1の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段GM2の弁開度を小さく閉方向にそれぞれ制御する。
【0048】4) 検出総流量Qが設定総流量Qspよりも少なくて検出流量比Rdeが目標流量比Rspにほぼ等しい場合に第1の流量制御手段GM1の弁開度を小さく開方向に、第2の流量制御手段GM2の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する。
【0049】5) 検出総流量Qが設定総流量Qspよりも少なくて検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも大きい場合に第1の流量制御手段GM1の弁開度を予め定めた第1下限変化量(例えば、図4の(c)に示す弁開度変化量ΔWk1)以上に開方向に大きく制御し、第2の流量制御手段GM2の弁開度を閉方向に小さく制御する。
【0050】6) 検出総流量Qが設定総流量Qspよりも少なくて検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも小さい場合に第1の流量制御手段GM1の弁開度を小さく閉方向に、第2の流量制御手段GM2の弁開度を予め定めた第2下限変化量(例えば、図4の(d)に示す弁開度変化量ΔWk2)以上に開方向に大きく制御する。
【0051】7) 検出総流量Qが設定総流量Qspよりも多くて検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも大きい場合に第1の流量制御手段GM1の弁開度を小さく開方向に、第2の流量制御手段GM2の弁開度を大きく閉方向にそれぞれ制御する。
【0052】8) 検出総流量Qが設定総流量Qspよりも多くて検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも小さい場合に第1の流量制御手段GM1の弁開度を大きく閉方向に、第2の流量制御手段GM2の弁開度を小さく開方向にそれぞれ制御する。
【0053】9) 検出総流量Qが設定の総流量Qspにほぼ等しく検出流量比Rdeが目標流量比Rspにほぼ等しい場合には第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を変化させない。
【0054】以上の第1〜第9のルールを記号化して記すと、以下のように表すことができる。ただし、以下に示すΔQは設定総流量Qspに対する検出総流量Qの偏差を表し、ΔRは目標流量比Rspに対する検出流量比Rdeの偏差を表し、V1は第1の流量制御手段GM1の弁開度を変動させるためにギアモータ等の駆動源を操作する操作量(つまり、ここでは駆動源への供給電圧)を表し、V2は第2の流量制御手段GM2の弁開度を変動させるための操作量を表し、NBは閉方向に大きく弁開度を変化させることを、NSは閉方向に小さく弁開度を変化させることを、ZOは弁開度を変化させないことを、PSは開方向に小さく弁開度を変化させることを、PBは開方向に大きく変化させることをそれぞれ表している。
【0055】1) IF ΔQ=ZO&ΔR=NB THEN V1=PS,V2=NS【0056】2) IF ΔQ=ZO&ΔR=PB THEN V1=NS,V2=PS【0057】3) IF ΔQ=NB&ΔR=ZO THEN V1=NS,V2=NS【0058】4) IF ΔQ=PB&ΔR=ZO THEN V1=PS,V2=PS【0059】5) IF ΔQ=PB&ΔR=NB THEN V1=PB,V2=NS【0060】6) IF ΔQ=PB&ΔR=PB THEN V1=NS,V2=PB【0061】7) IF ΔQ=NB&ΔR=NB THEN V1=PS,V2=NB【0062】8) IF ΔQ=NB&ΔR=PB THEN V1=NB,V2=PS【0063】9) IF ΔQ=ZO&ΔR=ZO THEN V1=ZO,V2=ZO【0064】上記弁開度制御ルールにおける第1〜第9のルールは、具体的には、流量比の偏差ΔRと総流量の偏差ΔQに基づいて第1の流量制御手段GM1の弁開度を変化させるため操作量(制御量)V1を求めるための下記の表1に示すようなファジィテーブルと、流量比の偏差ΔRと総流量の偏差ΔQに基づいて第2の流量制御手段GM2の弁開度を変化させるため操作量(制御量)V2を求めるための下記の表2に示すようなファジィテーブルとにまとめられてデータ格納部35に記憶されている。
【0065】
【表1】

【0066】
【表2】

【0067】また、データ格納部35にはファジィ論理演算に使用する図4の(a),(b),(c),(d)に示されるようなメンバーシップ関数が格納されている。図4の(a)には設定総流量Qspに対する検出総流量Qの偏差ΔQの大小に応じたネガティブビックNBとゼロZOとポジティブビックPBの各前件部のメンバーシップ関数が示され、同図の(b)には目標流量比Rspに対する検出流量比Rdeの偏差ΔRの大小に応じたネガティブビックNBとゼロZOとポジティブビックPBの各前件部のメンバーシップ関数が示され、同図の(c)には第1の流量制御手段GM1の弁開度の操作量V1の大小に応じたネガティブビックNBとネガティブスモールNSとゼロZOとポジティブスモールPSとポジティブビックPBの各後件部のメンバーシップ関数が示され、同図の(d)には第2の流量制御手段GM2の弁開度の操作量V2の大小に応じたネガティブビックNBとネガティブスモールNSとゼロZOとポジティブスモールPSとポジティブビックPBの各後件部のメンバーシップ関数が示されている。
【0068】グレード検出部31には、前記流量比比較部24による流量比の比較結果と、総流量比較部30による総流量の比較結果と、偏差検出部27により検出された流量比の偏差ΔRと、総流量の偏差ΔQとの情報が加えられ、これら情報と、前記データ格納部35に記憶されている弁開度制御ルールと前記前件部のメンバーシップ関数とに基づいて、グレード検出部31は前記弁開度制御ルールの前件部に合致するファジィ変数グレードを上記前件部のメンバーシップ関数から検出し、そのグレードの情報は和集合検出部32に出力され、該和集合検出部32は、上記グレードに基づいて、前記弁開度制御ルールに合致した第1の流量制御手段GM1に対応した後件部のメンバーシップ関数の有効面積の和集合を求め、また、第2の流量制御手段GM2に対応した後件部のメンバーシップ関数の有効面積の和集合を求める。
【0069】具体的には、例えば、検出総流量Qが設定総流量Qspよりも少なく、その偏差ΔQが図5の(a)に示すΔQnaであるときには、図5の(a)に示す総流量の偏差ΔQに対応した前件部のメンバーシップ関数に基づいて、上記総流量の偏差ΔQnaに対応するZOのグレードは0.75であり、NBのグレードは0.25である。また、検出流量比Rdeが目標流量比Rspよりも大きく、その偏差ΔRが図5の(b)に示すΔRpaであるときには、図5の(b)に示す総流量の偏差ΔQに対応した前件部のメンバーシップ関数に基づいて、流量比の偏差ΔRpaに対応するZOのグレードは0.25であり、PBのグレードは0.75である。
【0070】上記総流量の偏差ΔQnaに対応するグレードと流量比の偏差ΔRpaに対応するグレードとに基づいて、弁開度制御ルールにおける第1〜第9の各ルールの前件部に対応するファジィ変数グレードを上記各ルール毎に次のように検出する。
【0071】前記弁開度制御ルールにおける第1のルールの前件部は、「IF ΔQ=ZO&ΔR=NB」であり、総流量の偏差ΔQnaに対応したZOのグレードは0.75であるが、流量比の偏差ΔRpaに該当するNBのグレードはなく、この第1のルールは無視される。
【0072】前記第2のルールの前件部は、「IF ΔQ=ZO&ΔR=PB」であり、総流量の偏差ΔQnaに対応したZOのグレードは0.75であり、流量比の偏差ΔRpaに対応したPBのグレードは0.75であることから、上記総流量の偏差ΔQnaに対応したZOのグレード0.75と、流量比の偏差ΔRpaに対応したPBのグレード0.75とのうち、ミニマム演算により小さい方を、第2のルールに対応したファジィ変数グレードとして検出するが、この場合、上記総流量の偏差ΔQnaのグレードと流量比の偏差ΔRpaのグレードは等しいことから、グレード0.75が第2のルールに対応したファジィ変数グレードとしてグレード検出部31により検出される。
【0073】前記第2のルールの後件部は、「V1=NS,V2=PS」であることから、図5の(c)に示す第1の流量制御手段GM1の弁開度の操作量V1に対応したNSのメンバーシップ関数を上記検出されたグレード0.75の位置で頭切りし、図5の(c)に示す領域AB0Cの面積が有効面積として求められ、また、図5の(d)に示す第2の流量制御手段GM2の弁開度の操作量V2に対応したPSのメンバーシップ関数を上記検出されたグレード0.75の位置で頭切りし、図5の(d)に示す領域abc0の面積が有効面積として求められる。
【0074】また、第3のルールの前件部は、「IF ΔQ=NB&ΔR=ZO」であり、総流量の偏差ΔQnaに対応したNBのグレードは図6の(a)に示すグレード0.25であり、流量比の偏差ΔRpaに対応したZOのグレードは図6の(b)に示すグレード0.25であることから、前述したように、ミニマム演算によりグレード0.25が第3のルールのグレードとして検出される。
【0075】第3のルールの後件部は「V1=NS,V2=NS」であることから、上記検出されたグレード0.25に基づいて、第1の流量制御手段GM1の弁開度の操作量V1に対応したNSのメンバーシップ関数の頭切りが行われて図6の(c)に示すような領域DE0Cの面積が有効面積として検出され、また、第2の流量制御手段GM2の弁開度の操作量V2に対応したNSのメンバーシップ関数の頭切りが行われて図6の(d)に示すような領域de0fの面積が有効面積として検出される。
【0076】さらに、上記第4と第5と第6と第7の各ルールは、上記第1のルールと同様に、総流量の偏差ΔQna又は流量比の偏差ΔRpaに該当するグレードがなく、無視される。
【0077】第8のルールの前件部は、「IF ΔQ=NB&ΔR=PB」であり、総流量の偏差ΔQnaに対応したNBのグレードは図7の(a)に示すグレード0.25であり、流量比の偏差ΔRpaに対応したPBのグレードは図7の(b)に示すグレード0.75であることから、前述したように、ミニマム演算によりグレード0.25が第8のルールのグレードとして検出され、該グレード0.25に基づき、第8のルールの後件部に該当した第1の流量制御手段GM1の弁開度の操作量V1に対応するNBのメンバーシップ関数の頭切りが行われて図7の(c)に示すような領域FGHIの面積が有効面積として検出され、また、第2の流量制御手段GM2の弁開度の操作量V2に対応するPSのメンバーシップ関数の頭切りが行われて図7の(d)に示すような領域ghc0の面積が有効面積として検出される。
【0078】第9のルールについても、前記同様にして、前件部のルールに従ってグレード0.25が検出され、該検出されたグレードに基づいて、図8の(c)に示すような領域JKLHの面積が第1の流量制御手段GM1の弁開度操作量V1に対応したZOのメンバーシップ関数の有効面積として検出され、図8の(d)に示すような領域ijklの面積が第2の流量制御手段GM2の弁開度操作量V2に対応したZOのメンバーシップ関数の有効面積として検出される。
【0079】そして、上記の如く第1〜第9の各ルール毎に検出された第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の操作量V1,V2にそれぞれ対応するメンバーシップ関数の有効面積の和集合を和集合検出部32により求める。つまり、第1の流量制御手段GM1の弁開度操作量V1については、図9の(c)に示すような領域ABEKLIFDの面積を第1の流量制御手段GM1の弁開度操作量V1に対応する有効面積の和集合として求め、図9の(d)に示す領域abcfdgの面積を第2の流量制御手段GM2の弁開度操作量V2に対応する有効面積の和集合として求める。
【0080】和集合検出部32は上記の如く第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の操作量V1,V2に対応したメンバーシップ関数の有効面積の和集合を検出したの後に、該有効面積の和集合の情報を弁開度操作量検出部34に出力する。
【0081】弁開度操作量検出部34には和集合検出部32から加えられた有効面積の和集合に基づいて該有効面積の和集合の重心を求めるための解放データが予め与えられており、弁開度操作量検出部34は、上記受け取った有効面積の和集合の情報と上記解放データとに基づき、第1の流量制御手段GM1の弁開度操作量V1に対応した上記有効面積の和集合の図9の(c)に示す重心Sv1を、また、第2の流量制御手段GM2の弁開度操作量V2に対応した上記有効面積の和集合の図9の(d)に示す重心Sv2をそれぞれ求める。なお、上記有効面積の和集合の重心を求めるための解放手法には様々な手法があり、ここでは、それら手法のうちの何れの手法を用いてもよく、ここでは、その手法および上記解放データの説明は省略する。
【0082】弁開度操作量検出部34は、上記求めた重心に基づいて第1の流量制御手段GM1の弁開度操作量ΔV1と、第2の流量制御手段GM2の弁開度操作量ΔV2とを検出し、上記求めた弁開度操作量ΔV1,ΔV2の情報をミキシング制御部33に出力する。ミキシング制御部33は弁開度操作量検出部34により求められた操作量ΔV1,ΔV2の電圧を第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の駆動源に供給し、第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を変動させる。
【0083】この実施形態例によれば、バイパス通路15を設け、該バイパス通路15の通水流量を弁開度でもって制御する第1の流量制御手段GM1と、バイパス通路15から流れ出た水が合流する湯側の流量Qyuを弁開度でもって制御する第2の流量制御手段GM2とを設けたので、上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を可変制御することによって、湯側の流量Qyuとバイパス流量Qbpの流量比を可変制御することができ、かつ、湯側の流量Qyuとバイパス流量Qbpの総流量Qを制御することが可能となる。
【0084】この実施形態例では、給湯設定温度の湯を給湯するための湯側の流量Qyuとバイパス流量Qbpの目標流量比Rspを求める一方で、バイパス流量Qbpと湯側の流量Qyuの流量比Rdeを検出し、該検出流量比Rdeを目標流量比Rspに比較した比較結果と、検出した総流量Qを設定総流量Qspに比較した比較結果と、総流量と流量比の各比較結果の組み合わせに応じて定められた弁開度制御ルールとに基づいて、第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御するので、上記流量比と総流量を共に考慮して上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度の制御を行うことができ、通常の給湯運転中にはもちろんのこと、給湯熱交換器2内に後沸きが発生している状態から給湯が開始される再出湯時にも、給湯設定温度の湯を設定総流量でもって精度良く安定供給することが可能である。
【0085】例えば、給湯設定温度の湯を給湯することができるように流量比のみを考慮して第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御した場合には、例えば、再出湯時に、流量比制御を行わない場合の図11の(b)の点線に示す給湯湯温変動に比べて、図11の(b)の実線に示すように、出湯開始後、直ちに、給湯設定温度の湯を給湯することができるようになるが、給水通路3に流れ込む水圧が予め想定された通常の水圧よりも高い地域では、図11の(a)に示す出湯開始後の出湯流量の時間的変化に示すように、出湯開始直後、設定流量(設定総流量)よりも多めの流量で給湯され、反対に、水供給源の水圧が通常の水圧よりも低い地域では、出湯開始直後、設定流量よりも少なめの流量で給湯される虞がある。
【0086】これに対して、この実施形態例では、前記の如く、流量比と総流量を共に考慮して第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度制御が行われるので、図10の(a),(b)に示すように、再出湯時に、給湯開始後、瞬時に、給湯設定温度の湯を給湯することが可能となるだけでなく、出湯流量が高低に変動することなく設定流量でもって給湯することができるという優れた効果を得ることができる。
【0087】特に、この実施形態例では、上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度操作量V1,V2をファジィ論理演算により求めているので、検出流量比を目標流量比に一致させ、かつ、総流量を設定総流量に一致させることが容易となり、より一層精度良く、給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯することができるようになる。
【0088】なお、この発明は上記実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態と採り得る。例えば、上記実施形態例では、上記第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度制御は給湯が行われている間、継続的に行われたが、再出湯時のみ行うようにしてもよい。
【0089】また、上記実施形態例では、図3に示すようなシステム構成をもつ給湯器を例にして説明したが、図3以外の給湯器にも本発明は適用することができる。例えば、図3では、総流量(出湯流量)Qを検出する第2の流量センサFS2はバイパス通路15との接続部Zよりも下流側の給湯通路4に設けられていたが、バイパス通路15との接続部Wよりも上流側の給水通路3に設けてもよい。
【0090】さらに、バイパス通路15には流量センサが設けられていなかったが、バイパス流量Qbpを検出するバイパス流量センサをバイパス通路15に設けてもよい。このようにバイパス流量センサを設ける場合には、第1の流量センサFS1と第2の流量センサFS2のうちのどちらか一方を省略してもよい。バイパス流量センサを設け、第1の流量センサFS1を省略する場合には、バイパス流量検出部22は上記バイパス流量センサのセンサ出力をバイパス流量Qbpとして検出し、湯側流量検出部21は第2の流量センサFS2により検出される総流量Qから上記バイパス流量センサにより検出されるバイパス流量Qbpを差し引いて湯側の流量Qyuを求める。
【0091】また、バイパス流量Qbpを検出するバイパス流量センサを設け、第2の流量センサFS2を省略する場合には、前記バイパス流量検出部22は上記バイパス流量センサのセンサ出力をバイパス流量Qbpとして検出し、総流量検出部26は、第1の流量センサFS1により検出された湯側の流量Qyuと、上記バイパス流量センサにより検出されたバイパス流量Qbpとを合わせた流量を総流量Qとして検出する。
【0092】さらに、第1の流量センサFS1や上記バイパス流量センサを設けずに総流量Qを検出する第2の流量センサFS2のみを設けるようにしてもよく、この場合には、湯側温度検出部20により検出される湯側の温度Tyuと、入水サーミスタ5により検出される入水温度Tinと、出湯サーミスタ7により検出される給湯温度Tmix と、第2の流量センサFS2により検出される総流量Qとに基づいて、次に示す式(5)の演算により、バイパス流量検出部22はバイパス流量Qbpを求め、湯側流量検出部21は上記求められたバイパス流量Qbpを第2の流量センサFS2により検出された総流量Qから差し引いて湯側の流量Qyuを求める。
【0093】
Qbp=(Tyu−Tin)×Q/(Tmix −Tin)・・・・(5)
【0094】さらに、上記図3に示す給湯器の例では総流量Qを検出する第2の流量センサFS2が設けられていたが、湯側の湯温Tyuと、入水温度Tinと、湯側の湯とバイパス通路15の水とがミキシングした後の湯温Tmixと、バイパス通路15の流量Qbpとを検出することができる場合には、上記第2の流量センサFS2を省略してもよい。この場合には、例えば、次式(6)によって総流量Qを演算により求めることができる。
【0095】
Q=(Tmix−Tin)×Qbp/(Tyu−Tin)・・・・・(6)
【0096】さらに、上記図3に示す給湯器では常時バイパス通路18が1本設けられていたが、この常時バイパス通路18は省略してもよいし、また、2本以上常時バイパス通路18を設けてもよい。
【0097】さらに、図3に示す給湯器のシステム構成に風呂機能を備えた給湯器、例えば、図3に示すバイパス通路15との接続部Zよりも下流側の給湯通路4と浴槽を連通接続する湯張り通路が設けられ、給湯熱交換器2により作られた湯を上記湯張り通路を介して落とし込む風呂の湯張り機能を備えた給湯器や、浴槽水を循環させ浴槽水の追い焚きを行うための追い焚き循環通路と、給湯熱交換器2により作られた湯を上記追い焚き循環通路を介して浴槽に落とし込む湯張り通路とを備えた風呂の追い焚き機能と湯張り機能を備えた給湯器等にも、この発明は適用することが可能である。
【0098】さらに、上記実施形態例では、弁開度制御ルールに示した開方向と閉方向の第1上限変化量は等しかったが、開方向の第1上限変化量と閉方向の第1上限変化量とを異なる値に設定してもよい。第2上限変化量と第1下限変化量と第2下限変化量についても同様に、開方向と閉方向とで異なる値を取るようにしてもよい。
【0099】さらに、上記実施形態例では、流量比・総流量制御部28はファジィ論理演算を用いて、第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御したが、ファジィ論理演算を用いずに第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御してもよい。例えば、前記したような第1〜第9の弁開度制御ルールを予め定め与えておき、かつ、流量比の偏差ΔRと総流量の偏差ΔQの組み合せによって第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度操作量(変化量)を求めるための弁開度操作量検出データを予め定め与えておき、流量比・総流量制御部28は、流量比比較部24と総流量比較部30の各比較結果と弁開度制御ルールとに基づいて第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度の可変方向を求め、上記流量比と総流量の各偏差と上記弁開度操作量検出データとに基づいて、第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度の変化量を求めて、第1と第2の各流量制御手段GM1,GM2の弁開度を制御するようにしてもよい。
【0100】さらに、この発明における弁開度制御ルールは、検出流量比が目標流量比に一致する方向に、かつ、検出総流量が設定総流量に一致する方向に第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御するために流量比と総流量の各比較結果の組み合わせに応じて定められたものであればよく、上記実施形態例に示した弁開度制御ルールに限定されるものではない。さらに、上記実施形態例では、ファジィ論理演算に用いられるメンバーシップ関数は三角形状であったが、釣り鐘状のメンバーシップ関数を与えてもよい。
【0101】さらに、上記実施形態例では、流量比・総流量制御部28のグレード検出部31は、流量比の偏差ΔRのグレードと総流量の偏差ΔQのグレードのうちの小さい方を選択するミニマム演算によりファジィ変数グレードを選択検出していたが、例えば、上記流量比の偏差ΔRのグレードと総流量の偏差ΔQのグレードのうちの大きい方を選択するマキシマム演算によりファジィ変数グレードを選択検出してもよいし、上記流量比の偏差ΔRのグレードと総流量の偏差ΔQのグレードとの平均を求めて該平均値をファジィ変数グレードを選択検出してもよく、このように、上記ミニマム演算以外の手法により、流量比の偏差ΔRのグレードと総流量の偏差ΔQのグレードに基づいてファジィ変数グレードを検出してもよい。
【0102】さらに、上記実施形態例では、流量比・総流量制御部28の和集合検出部32は、例えば、弁開度制御ルールに合致する第1の流量制御手段GM1の弁開度操作量V1に対応するメンバーシップ関数の有効面積の和集合として、図9の(c)に示すような領域ABEKLIFDの面積を求めていたが、例えば、図5の(c)に示す領域AB0Cと図6の(c)に示す領域DE0Cと図7の(c)に示す領域FGHIと図8の(c)に示す領域JKLHの面積を合計した面積をメンバーシップ関数の有効面積の和集合として求めてもよい。第2の流量制御手段GM2の弁開度操作量V2に対応するメンバーシップ関数の有効面積の和集合についても同様である。
【0103】
【発明の効果】この発明によれば、給水通路と給湯通路間を給湯熱交換器を迂回して連通接続するバイパス通路を設け、該バイパス通路から流れ出る湯側の流量を弁開度でもって制御する第1の流量制御手段と、バイパス通路の通水流量を弁開度でもって制御する第2の流量制御手段とを設けたので、上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御することによって、湯側の流量とバイパス通路のバイパス流量との流量比、および、湯側の流量と上記バイパス流量の総流量とを共に制御することが可能となる。
【0104】この発明では、さらに、給湯設定温度の湯を給湯するための湯側の流量とバイパス流量の目標流量比を求め、上記流量比を検出し該検出した流量比を上記目標流量比に比較し、また、検出した総流量を設定総流量に比較し、これら流量比と総流量の比較結果と、流量比と総流量の各比較結果の組み合わせに応じて予め与えられている弁開度制御ルールとに基づいて、第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御して検出流量比が目標流量比に一致する方向に制御し併せて検出総流量が設定総流量に一致する方向に制御する流量比・総流量制御部を備えた構成としたので、再出湯時においても、精度良く給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯することができるという画期的な効果を得ることができる。
【0105】特に、ファジィ論理演算によって上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度操作量を検出して該検出操作量に応じて上記第1と第2の各流量制御手段の弁開度を制御する構成にあっては、より一層、精度良く給湯設定温度の湯を設定総流量でもって給湯することができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
【出願日】 平成9年(1997)12月9日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
【公開番号】 特開平11−173668
【公開日】 平成11年(1999)7月2日
【出願番号】 特願平9−356293