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【発明の名称】 燃焼機器の異常診断装置
【発明者】 【氏名】岡本 喜久雄

【氏名】大林 尚樹

【氏名】山口 健生

【氏名】鈴木 究

【要約】 【課題】異常と診断された交換部品がない場合に、その部品を使用しないで運転を可能にする燃焼機器の異常診断装置を提供する。

【解決手段】異常診断装置100は燃焼機器1に接続する。異常診断部52で燃焼機器1側の異常が診断された後、その異常の交換用の部品がない場合には、プログラム選択指令部57によりその部品の暫定運転プログラムの選択指令を出力する。暫定プログラム格納手段60には部品を使用しないで燃焼運転を行わせる暫定運転プログラムが各部品毎に格納されており、プログラム選択読み出し部58は異常と判断された部品に対応する暫定運転プログラムを読み出す。読み出されたプログラムはプログラム書き込み手段59によって燃焼機器1側のROM47に書き込む。これにより、燃焼機器1側は異常の交換用部品が手に入るまでの間応急的に暫定運転プログラムを用いて燃焼運転を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃焼機器に信号接続されて燃焼機器の動作状態の情報を取り込み、その取り込み情報に基づき燃焼機器の異常を診断する燃焼機器の異常診断装置において、燃焼機器の燃焼制御運転に必要な燃焼機器の構成要素に異常が生じたときにその異常の構成要素を使用しないで応急的に燃焼運転を行わせる暫定運転プログラムが予め指定される構成要素毎に対応させて与えられている暫定プログラム格納手段と、異常診断により予め指定された構成要素が異常と診断された以降のプログラム選択指令を受けてその異常と診断された構成要素に対応する暫定運転プログラムを前記暫定プログラム格納手段から選択して読み出すプログラム選択読み出し部と、このプログラム選択読み出し部により読み出された暫定運転プログラムを燃焼運転のプログラム格納メモリに燃焼制御運転のプログラムとして書き込むプログラム書き込み手段とを有することを特徴とする燃焼機器の異常診断装置。
【請求項2】 予め指定される燃焼機器の構成要素には1個以上のセンサが含まれており、各指定されるセンサに対応させてダミーのセンサ出力データを格納するダミーデータ格納メモリが設けられ、センサに対応する暫定運転プログラムのセンサ出力の読み込み動作を行うプログラム部分はセンサの実測値を避けて前記ダミーのセンサ出力データを読み込む構成と成し、プログラム書き込み手段のセンサに対応する暫定運転プログラムの書き込み動作の際に前記ダミーデータ格納メモリに格納されている当該センサのダミーデータを燃焼装置側の指定の位置に書き込むダミーデータ書き込み部を有している請求項1記載の燃焼機器の異常診断装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃焼機器の異常(故障)を診断する燃焼機器の異常診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3には燃焼機器のシステム構成の一例が示されている。図3に示す燃焼機器は複合給湯器(風呂給湯複合器)に関するものであり、器具1内には仕切り部2を介して、給湯燃焼室3と、風呂燃焼室4とに区画されており、給湯燃焼室3には給湯バーナ5が設けられ、風呂燃焼室4には風呂バーナ6が設けられている。
【0003】前記給湯バーナ5と風呂バーナ6は仕切り部2を介して並設されており、各バーナ5、6のガス導入口側には、ガスノズルを対向させてガスノズルホルダ12、13がそれぞれ配置され、ガスノズルホルダ12、13に通じるガス供給通路36には、元電磁弁37と比例弁38が設けられており、比例弁38の下流側のガス供給通路36を分岐させてそれぞれ給湯側ガス開閉弁39、風呂側ガス開閉弁40を介してガスノズルホルダ12、13に燃料であるガスが導かれる。給湯バーナ5と風呂バーナ6の下方側は共通の空気チャンバ(空気室)7となっており、この空気チャンバ7の底面側には給排気用の燃焼ファン8が連設されている。この燃焼ファン8にはファン回転数を検出するファン回転数検出センサ17が設けられている。
【0004】前記給湯燃焼室3には、給湯バーナ5の上方側に給湯熱交換器15が設置されており、この給湯熱交換器15は、水道等の水供給源から給水通路19を介して導入される水を、給湯バーナ5の燃焼火炎によって加熱して設定温度の湯を作り出し、この湯を、給湯熱交換器15の出側に接続される給湯通路20を介して台所や浴室等の所望の給湯場所に導き出湯を行う。なお、図中、30は入水温度センサ、31は出湯温度センサを示しており、これらのセンサによって給湯熱交換器15への入水温度と給湯熱交換器15からの出湯温度とがそれぞれ検出される。また、41は水供給源から給湯熱交換器15に供給される水の流量を検出する流量センサを示している。
【0005】前記風呂燃焼室4には前記風呂バーナ6の上方側に追い焚き熱交換器16が設置されており、この追い焚き熱交換器16の入口側には管路22の一端側が接続され、管路22の他端側は循環ポンプ23の吐出側に接続されている。この管路22には追い焚き熱交換器16の入側の通水温度を検出するサーミスタ等の風呂温度センサ(入側温度センサ)24が設けられている。
【0006】循環ポンプ23の吸込側には戻り管26が接続されており、戻り管26の戻り口側(入口側)は浴槽21の側壁に循環金具27を介して接続されている。この戻り管26には通水を検知してオン信号を出力するフローセンサや流水スイッチ等で構成される流水検出センサ28が設けられている。追い焚き熱交換器16の出口側には往管29の入口側が接続されており、往管29の出口側は循環金具27を介して浴槽21の側壁に接続されている。前記戻り管26と管路22と追い焚き熱交換器16と往管29は循環金具27を介して浴槽21の湯水の循環を行う追い焚き循環路25を構成し、追い焚き熱交換器16は、浴槽からの循環湯水を導入して風呂バーナ6の燃焼火炎によって加熱し、この加熱した湯を浴槽21に戻すことで、風呂の追い焚きを行う。風呂燃焼室4および前記給湯燃焼室3は、共に、共通の排気口42に連通しており、給湯バーナ5の排気ガスと風呂バーナ6の排気ガスとが共通の排気口42から排出されるようになっている。
【0007】前記給湯通路20には湯張り用管32が分岐されて管路22と接続されており、この湯張り用管32には、注湯制御弁としての注湯弁35と、浴槽水位を検出する水位検出センサとしての圧力センサ34とが設けられている。
【0008】なお、図中、44は追い焚き熱交換器16の出側湯温を検出する追い焚き熱交換器出側温度センサである出側温度センサを示し、45は燃焼ファン8のファン風量を検出するファン風量検出センサを示している。
【0009】この種の複合給湯器には、給湯バーナ燃焼および風呂バーナ燃焼等の制御を行う制御装置56が設けられており、制御装置56にはリモコン55が接続されている。この制御装置56には、前記流量センサ41等の様々なセンサからの信号や、リモコン55の情報が加えられるようになっており、例えば、給湯通路20が導かれている台所等の給湯場所に設けられた給湯栓(図示せず)が開かれ、水道等の水供給源から給水通路19に水が導入されると、制御装置56は流量センサ41から入水信号を受けたときに燃焼ファン8を回転し、ガス供給通路36の元電磁弁37と比例弁38と給湯側ガス開閉弁39を開き、その状態で給湯バーナ5の点着火を行い、炎を検知した以降に、出湯温度センサ31で検出される出湯温度がリモコン55で設定される設定温度となるように給湯モードでの給湯運転を制御する。
【0010】この給湯運転の制御に際し、前記制御装置56には、予め、給湯燃焼の最小燃焼時の燃焼能力(最小燃焼能力)と最大燃焼時の燃焼能力(最大燃焼能力)とが与えられており、制御装置56は、前記最小燃焼能力から最大燃焼能力までの範囲内で給湯バーナ燃焼が行われるように、ガス供給通路36から給湯バーナ5への供給ガス量、つまり、比例弁38の開弁量(比例弁電流量)と、燃焼ファン8から給湯バーナ5への供給空気量を制御し、これらの制御により、安定した設定温度の湯が給湯熱交換器15から給湯通路20を経て所望の給湯場所に供給されるようにしている。
【0011】前記制御装置56は、電磁弁等の注湯弁35を開けることにより、給湯熱交換器15側で作り出した湯を追い焚き循環路25を介して浴槽21内に落とし込んで湯張りを行う湯張りモードの運転動作機能を備えている。この自動湯張り動作はリモコン55等の指令により行われ、圧力センサ34により湯張りの水位がリモコン55等で設定される設定水位に達したときに注湯弁35が閉じられて湯張りの停止が行われ、次に循環ポンプ23を起動して追い焚きモードでの運転が行われるものである。
【0012】この追い焚き運転に際して、制御装置56は、まず、追い焚き循環路25の循環ポンプ23を回転させて、浴槽21内の湯水を追い焚き循環路25を介して循環させる。そして、流水検出センサ28が湯水の流れを検知したときに、制御装置56は燃焼ファン8を回転し、風呂側ガス開閉弁40を開き、点着火により風呂バーナ6を燃焼させて追い焚き熱交換器16を通る循環湯水を加熱して浴槽21内の湯水の追い焚きを行う。
【0013】この種の複合給湯器においては、追い焚き運転の終了時から所定の時間(例えば4時間)にかけて保温モードに移り、この保温モードでは、例えば30分等の時間間隔で循環ポンプ23を起動して浴槽湯水を追い焚き循環路25を通して循環し、このとき風呂温度センサ24で検出される浴槽湯水の温度が風呂設定温度に対し、所定の温度を越えて低下したときには、風呂バーナ6を燃焼して浴槽湯水の温度を設定温度に高める等の動作を行って浴槽湯水の保温を行う。この保温動作において、水位保持機能を備えた風呂装置のものにあっては、保温モードの期間中、常に、圧力センサ34の水位検出信号によって浴槽水位を監視し、浴槽水位が設定水位から許容範囲を越えて低下したときには、注湯弁35を開けて設定水位までの不足分の水量を給湯熱交換器15側から足し湯し、浴槽水位を設定水位に保持する保水モードでの動作を行う。
【0014】制御装置56は図2に示すように、燃焼制御部46を備えており、この燃焼制御部46の制御動作により前記燃焼機器の燃焼制御が行われるものである。すなわち、制御装置56には燃焼運転を制御するためのシーケンスプログラムを格納するROM47と、燃焼機器1の各センサの時々刻々変化するセンサ検出情報を格納するRAM48等のメモリを備えており、燃焼制御部56はROM47に格納されている燃焼運転の制御シーケンスプログラムに従い、RAM48内に格納される各種情報をシーケンスプログラムの情報取り込み指令に基づき取り込んで燃焼運転の制御を行っている。
【0015】ところで、最近の燃焼機器は自己診断機能を内蔵しており、燃焼運転中に異常が検出されたときには、その異常の検出結果をエラー信号として出力し、そのエラー信号の内容がエラーコード等によりリモコン55の表示部に表示されるようになっている。
【0016】このエラーコードがリモコン55に表示されたときには、器具1の使用者はサービスステーション等に連絡し、器具の点検修理を要請し、サービスステーションの作業員はそのリモコン55に表示されているエラーコードから器具異常の原因を突きとめ、故障の場合は修理を行うこととなるが、エラーコードは、例えば、燃焼ファン8が異常であることを大まかに示すに過ぎず、燃焼ファン8の異常のエラーコードの発生が燃焼ファン8の駆動電圧の異常によるものなのか、燃焼ファン8のファン回転数を検出するファン回転数検出センサ17の異常なのか、あるいはファン風量検出センサ45の異常なのか、さらには吸気フィルタや排気系の詰まりによるものなのかの究極の原因を突きとめるのが難しく、点検修理の作業に時間がかかりすぎるという問題が生じていた。
【0017】最近においては、このような燃焼機器1の異常の原因を効率的に判定するための異常診断装置50が提案されている。
【0018】この異常診断装置50は、燃焼機器1に接続して使用するもので、診断指令部51と、異常診断部52と、表示部53とを有して構成されるものである。
【0019】診断指令部51は例えばリモコン55で表示されているエラーコードを例えばキーボード、カード、フロッピーディスクやCD等の入力手段によって入力するものである。異常診断部52は前記診断指令部51で入力されたエラーコードに関連する燃焼機器1側の動作状態の情報を燃焼機器1側のRAM48に記憶されているセンサ等の情報を取り込み、予め与えられる異常診断のプログラムに従いエラーコードの発生原因を判断し、その判断結果を表示部53に表示する。
【0020】例えば、エラーコードが燃焼ファン8の異常に関するものである場合には、その燃焼ファン8の異常に関連するデータ、例えば、ファン回転数検出センサ17のファン回転数検出データ、ファン風量検出センサ45のファン風量検出データ等のRAM48に格納されているデータと、電流検出プローブ等で検出される燃焼ファン8の駆動電力等の情報を取り込み、これらの取り込み情報を比較して異常診断を行う。具体的には、燃焼ファン8の駆動電力に対応するファン風量が検出されている場合に、ファン回転数がそのファン風量に対応する誤差範囲内から大きくはずれている場合にはファン回転数検出センサ17が異常であるという如く、エラーコードに関連するデータを参照してエラーコードの発生原因を自動的に突きとめ、その診断結果を表示部53に表示するのである。
【0021】点検修理の作業者は、この表示部53の表示を見ることによって、エラーコードの発生原因がわかり、そのエラーコードの発生原因の部品を交換する等して、燃焼機器1の点検修理を的確に行うことが可能となるものである。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、異常診断装置50を用いて燃焼機器1の異常原因を突きとめて、異常原因の部品を交換する場合、その交換する部品を持ち合わせていないときや、その部品をメーカ等から取り寄せなければならないときには、その部品が到着するまで燃焼機器1の使用ができなくなるという不便が生じる。
【0023】本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、異常原因の交換用部品を持ち合わせていない場合にあっても、その交換用部品がくるまで、応急的に燃焼機器を運転して燃焼機器の使用を可能状態にすることが可能な燃焼機器の異常診断装置を提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。すなわち、第1の発明は、燃焼機器に信号接続されて燃焼機器の動作状態の情報を取り込み、その取り込み情報に基づき燃焼機器の異常を診断する燃焼機器の異常診断装置において、燃焼機器の燃焼制御運転に必要な燃焼機器の構成要素に異常が生じたときにその異常の構成要素を使用しないで応急的に燃焼運転を行わせる暫定運転プログラムが予め指定される構成要素毎に対応させて与えられている暫定プログラム格納手段と、異常診断により予め指定された構成要素が異常と診断された以降のプログラム選択指令を受けてその異常と診断された構成要素に対応する暫定運転プログラムを前記暫定プログラム格納手段から選択して読み出すプログラム選択読み出し部と、このプログラム選択読み出し部により読み出された暫定運転プログラムを燃焼運転のプログラム格納メモリに燃焼制御運転のプログラムとして書き込むプログラム書き込み手段とを有する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0025】また、第2の発明は、前記第1の発明の構成を備えたものにおいて、予め指定される燃焼機器の構成要素には1個以上のセンサが含まれており、各指定されるセンサに対応させてダミーのセンサ出力データを格納するダミーデータ格納メモリが設けられ、センサに対応する暫定運転プログラムのセンサ出力の読み込み動作を行うプログラム部分はセンサの実測値を避けて前記ダミーのセンサ出力データを読み込む構成と成し、プログラム書き込み手段のセンサに対応する暫定運転プログラムの書き込み動作の際に前記ダミーデータ格納メモリに格納されている当該センサのダミーデータを燃焼装置側の指定の位置に書き込むダミーデータ書き込み部を有している構成をもって課題を解決する手段としている。
【0026】上記構成の本発明においては、燃焼機器に異常が生じたときには、異常診断装置を燃焼機器に接続し、従来例と同様に燃焼機器の異常診断を行う。
【0027】そして、燃焼機器を構成する部品に異常があるものと診断されて、その異常原因の部品を交換する場合に、交換用の部品を持ち合わせていない場合や、その交換用部品をメーカ等に取り寄せなければならない場合には、その異常原因の燃焼機器の構成要素に対応するプログラム選択指令を入力する。
【0028】このプログラム選択指令を受けて、プログラム選択読み出し部は、異常と判断された構成要素に対応して暫定プログラム格納手段に与えられている暫定プログラムを読み出す。そしてその読み出された暫定プログラムは、燃焼機器のプログラム格納メモリに燃焼制御運転のプログラムとして書き込むことで、燃焼機器はその書き込まれた暫定プログラムに従って燃焼運転を制御する。
【0029】暫定プログラムは異常と判断された構成要素を使用しないで応急的に燃焼運転を行わせるプログラムであるから、その暫定運転プログラムを用いて燃焼機器の運転が行われることで、燃焼運転の危険が解消され、正規の運転プログラムを用いて燃焼機器を運転させるよりは多少運転制御の性能(精度)が低下するが、異常と判断された構成要素の交換用の部品がくるまでの間、応急的に燃焼機器を運転可能状態として、異常と判断された構成要素の交換用部品がないために燃焼機器が運転出来ないという不便が解消されることとなる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態例を図面に基づき説明する。図1は本発明に係る燃焼機器の異常診断装置の第1実施形態例の要部構成を燃焼機器1との接続状態で示すものである。なお、本実施形態例において、図2に示す従来例と同一の部分には同一符号を付し、その重複説明は省略する。また、本実施形態例においては、異常診断装置を用いた異常診断対象の燃焼機器1のシステムとして、前記図3に示した複合給湯器を例にして説明する。
【0031】本実施形態例における異常診断装置100は診断指令部51と、異常診断部52と、表示部53と、プログラム選択指令部57と、プログラム選択読み出し部58と、プログラム書き込み手段59と、暫定プログラム格納手段60とを有して構成されている。なお、異常診断装置100は燃焼機器1とインターフェイスを介して信号接続されるが、これらインターフェイスを用いた信号の通信構成は周知であるので、図示を省略してある。
【0032】診断指令部51と異常診断部52と表示部53は前記図2に示す従来例の構成と同様であるので、その重複説明は省略する。
【0033】本実施形態例において特徴的なことは、異常診断部52により燃焼機器1の異常が診断されたのちに、その異常と診断された燃焼機器1の構成要素の部品交換を行うような場合に、その交換用部品を持ち合わせていない場合に、その異常の部品(構成要素)を使用せずに、交換用部品がくるまでの間応急的に安全な燃焼機器の運転を可能にするための構成を異常診断装置100に装備したことである。
【0034】この特徴的な構成は、プログラム選択指令部57と、プログラム選択読み出し部58と、プログラム書き込み手段59と、暫定プログラム格納手段60とを有して構成されている。
【0035】前記暫定プログラム格納手段60には、異常診断の対象となる燃焼機器の構成要素に対応させて予め与えられる暫定運転プログラムのデータが格納される。この暫定運転プログラムは、燃焼機器の構成要素が異常と診断されたときに、その異常の構成要素を使用せずに燃焼機器1の燃焼運転を応急的に行うためのプログラムであり、これらのプログラムは、異常判断の対象となる各構成要素毎に対応させて与えられている。
【0036】プログラム選択指令部57は、異常診断部52により燃焼機器1を構成する構成要素(構成部品)の異常が診断されたときに、その異常と診断された構成要素に対応するプログラム選択指令をプログラム選択読み出し部58に加えるものである。このプログラム選択指令は、前記異常診断部52の異常診断結果に基づき自動的に出力してもよく、また、作業者が表示部53に表示される異常判断の結果をみて、その異常の構成要素に対応するプログラム選択指令をその作業者のボタン操作等によって指令してもよいものである。
【0037】プログラム選択読み出し部58は、前記プログラム選択指令部57から加えられるプログラムの選択指令を受けて、異常と診断された構成要素に対応する暫定運転プログラムを暫定プログラム格納手段60から読み出す。
【0038】プログラム書き込み手段59は前記プログラム選択読み出し部58が読み出した暫定運転プログラムを燃焼機器1の燃焼運転のシーケンスプログラムを格納するROM47に書き込む。すなわち、プログラム書き込み手段59はROMライターとしての機能を有している。このプログラム書き込み手段59の書き込み動作により、ROM47に暫定運転プログラムが燃焼運転1の燃焼制御運転のプログラムとして書き込まれることとなる。
【0039】したがって、本実施形態例においては、異常診断部52により燃焼機器1の構成要素に異常が生じているものと診断されたときには、その異常と診断された構成要素(部品)を使用せずに暫定運転プログラムに従って燃焼運転が制御されることとなり、交換用の構成要素(部品)がくるまでの間、応急的に安全に燃焼機器1を運転可能状態に維持することができ、交換用の部品がないために燃焼機器1が運転できなくなるという不便を解消することが可能となる。
【0040】次に、この暫定運転プログラムによる応急的な燃焼運転の制御例を簡単に説明する。通常の湯張りの動作では、前述した如く、給湯熱交換器15側から湯張り用管32、追い焚き循環路25を介して湯が浴槽21に落とし込まれ、浴槽21の水位が圧力センサ(水位センサ)34で検出され、圧力センサ34が設定水位を検出したときに注湯弁35が閉じられて湯張りの動作が終了するが、水位センサ34が故障したときには、水位の検出ができないので、湯張りの運転が出来なくなり、この圧力センサ34の部品交換が必要となる。
【0041】点検修理の作業者は、異常診断装置100を用いて圧力センサ34の異常がわかったときに、その圧力センサ34の交換作業を行うが、圧力センサ34を持ち合わせていないとき、あるいは在庫がないときにはその圧力センサ34を取り寄せなければならない。
【0042】このような場合、本実施形態例では、圧力センサ34が手に入って交換作業が行われるまでの間、燃焼機器1を応急的に、且つ、安全に運転可能状態とするための暫定運転プログラムを燃焼機器1のROM47に書き込む。
【0043】つまり、プログラム選択指令部57から圧力センサ34に対応する暫定プログラムの選択指令を入力し、暫定プログラム格納手段60から圧力センサ34に対応する暫定運転プログラムを読み出してその読み出した暫定運転プログラムを燃焼運転制御用のプログラムとしてROM47に書き込む。
【0044】この圧力センサ34に対応する暫定運転プログラムは、例えば次のように湯張り運転を制御する。まず、湯張り運転の開始後、注湯弁35を開けて、給湯熱交換機15側から所定量の湯を浴槽21に落とし込む。落とし込みの流量は流量センサ41の検出流量を積算することにより求められる。次に、循環ポンプ23を起動して、流水検出センサ28により、追い焚き循環路25の循環流の有無を検出する。流水検出センサ28から流水検出のオン信号が加えられないときにはさらに所定量の湯を給湯熱交換器15側から浴槽21内に落とし込み、追い焚き循環路25の流水の有無を検出する。流水が検出されたときには、浴槽21内の湯は循環金具27の上側に達しているものと判断し、所定時間だけ追い焚き運転を行う。
【0045】そして、追い焚き運転の開始前から所定時間の追い焚き運転後の浴槽21内の風呂温度の上昇変化量を風呂温度センサ24で検出する。そして、所定時間の追い焚き運転に投入した追い焚き熱量W、追い焚き側の追い焚きの熱効率η、追い焚きによる浴槽湯温の上昇変化量ΔTのデータから浴槽21内の湯の水量Qを次の(1)式によって求める。
【0046】
Q=η・W/ΔT・・・・・・・・・(1)
【0047】次に、設定水位の水量QH(この値は既値)から演算により求められた現時点での水量Qの差引演算(QH−Q)を行い、設定水位までの残水量QW(QW=QH−Q)を給湯熱交換器15側から浴槽21に落とし込んで設定水位までの湯を浴槽21に張り、湯張りの暫定運転を終了する。なお、この湯張りの終了ののち、追い焚き運転が行われ、浴槽21内の湯水は風呂設定温度に沸き上げられる。
【0048】前記の如く、圧力センサ34が故障してその交換用の圧力センサに手持ちがない場合には圧力センサ34を用いての湯張りの運転制御動作から残水量を演算しての湯張りの運転動作に切り換えて、圧力センサ34を使用せずに設定水位の湯張りを代替運転させることができ、使用者は、圧力センサ34がくるまでの間応急的な暫定運転プログラムによって風呂の使用が可能となり、圧力センサ34が手に入るまで風呂の使用が出来なくなるという従来の不便を解消することができる。なお、圧力センサ34の交換を行ったときには、プログラム書き込み手段59によって元の正規の運転プログラムがROM47に書き込まれ、部品交換後はこの正規の運転プログラムを用いて、つまり、圧力センサ34を用いての湯張りの運転制御が行われる。
【0049】次に本発明の第2実施形態例を説明する。この第2実施形態例は燃焼機器1の動作状態を検出するセンサが異常と診断されたときに、その異常と診断されたセンサの出力値をダミーの値に代替して応急的な燃焼運転を行うように構成したものであり、それ以外の構成は前記第1実施形態例と同様である。この第2実施形態例は、図1の破線で示すように、前記第1実施形態例の構成に付加してダミーデータ格納メモリ61と、ダミーデータ書き込み部62とが設けられ、燃焼機器1側にはEEPROM63のメモリが設けられる。
【0050】前記ダミーデータ格納メモリ61には、予め定められる各種のセンサにそれぞれ対応させてセンサ出力のダミーデータが格納される。このダミーデータは燃焼運転を安全に行うことができ、且つ、燃焼運転の性能が大幅に低下しないデータの値で与えられるもので、このデータの値は予め実験や理論演算等に基づき定められるものである。
【0051】ダミーデータ書き込み部62は、異常診断部52でセンサの異常が診断されたときに、その異常と判断されたセンサのダミーデータをダミーデータ格納メモリ61から読み出してその読み出したダミーデータを燃焼機器1側のEEPROM63に書き込むものである。
【0052】この第2実施形態例においては、センサに対応する暫定運転プログラムは、そのセンサの出力の読み込み動作を行うプログラム部分はセンサの実測値を避けてダミーのセンサ出力データを読み込むように構成される。例えば、正規の運転プログラムでは、センサの検出出力のデータはRAM48の番地を指定してセンサ出力データを読み込むプログラム構成とするのに対し、暫定運転プログラムでは、センサの出力データはEEPROM63に格納されたダミーデータの番地を指定してダミーデータを読み込むプログラム構成として作成される。
【0053】この第2実施形態例では、前記ダミーデータ書き込み部62は、EEPROM63にダミーデータを書き込む場合、前記プログラム書き込み手段59の暫定運転プログラムの書き込み動作に連動して同時に、あるいは、前後させて、EEPROM63にダミーデータを書き込むようにしている。
【0054】この第2実施形態例では、プログラム選択指令部57から異常と判断されたセンサに対応する暫定運転プログラムの選択指令が出力されることにより、プログラム選択読み出し部58は前記第1実施形態例と同様にそのセンサに対応する暫定運転プログラムを暫定プログラム格納手段60から読み出し、その読み出された暫定運転プログラムはプログラム書き込み手段59により燃焼機器1側の運転プログラムを書き込むROM47に書き込む。そして、このプログラム書き込み手段59のプログラム書き込み動作に連動させて、ダミーデータ書き込み部62はその異常と診断されたセンサに対応するダミーデータをダミーデータ格納メモリ61から読み出して燃焼機器1側のEEPROM63の指定の番地に書き込む。
【0055】この第2実施形態例の具体例を簡単に説明すると次の如くである。例えば、給湯設定温度が40℃に設定されている状態で、給湯燃焼の運転が行われているときに、入水温度を給湯設定温度に高める要求熱量でもって給湯バーナ5を燃焼させているにも拘わらず、出湯温度センサ31から例えば90℃の温度検出データが出力されたときには、燃焼機器はこの高温の湯が出湯されることによる火傷の危険を防止するために、燃焼機器の運転を停止し、給湯温度の異常をエラーコードとしてリモコン55に表示する。このエラーコードの表示により、燃焼機器の使用者から点検修理の要請を受けて、サービスステーション等の作業者は、異常診断装置100を形態して現場に赴き、異常診断装置100を燃焼機器に接続して、燃焼機器1の異常診断を行う。この異常診断により、異常診断部52により出湯温度センサ31の異常が診断され、出湯温度センサ31が異常であることが表示部53に表示される。
【0056】この場合には、プログラム選択指令部57に出湯温度センサ31に対応する暫定運転プログラムの選択指令が行われ、このプログラム選択指令を受けて、プログラム選択読み出し部58は出湯温度センサ31に対応する暫定運転プログラムを暫定プログラム格納手段60から読み出し、その読み出した暫定運転プログラムはプログラム書き込み手段59により、燃焼機器1のROM47に書き込まれる。
【0057】その一方で、ダミーデータ書き込み部62は、前記プログラム選択指令部57からの出湯温度センサ31のプログラム選択指令を受けて出湯温度センサ31のダミーデータをダミーデータ格納メモリ61から読み出し、その読み出したダミーデータをEEPROM63の指定の番地に書き込む。
【0058】このダミーデータの書き込みと暫定運転プログラムの書き込みにより燃焼機器1は暫定運転プログラムを用いての燃焼運転が可能状態となる。
【0059】すなわち、給湯運転が開始されると、燃焼制御部46はROM47に書き込まれた暫定運転プログラムを用いて燃焼運転を行い、出湯温度センサ31の検出温度をRAM48内の実測値でなくEEPROM63に書き込まれているダミーデータを取り込んで燃焼運転を行う。EEPROM63に書き込まれる出湯温度のダミーデータは例えば40℃という如く、火傷等の危険がなく、しかも、湯の使用に際して違和感を生じない温度の値に設定されるものであり、燃焼機器1は暫定運転プログラムを用いて出湯温度センサ31の交換用のセンサが手に入るまでの間、応急的に給湯運転を行うことができ、出湯温度センサ31の異常により燃焼運転が停止されて、燃焼機器1の使用が出来なくなってしまうという従来の不便を効果的に解消することが可能となる。
【0060】なお、本発明は上記各実施形態例に限定されることはなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、上記実施形態例では、暫定運転プログラムを燃焼制御用の運転プログラムが格納されるROM47に書き込むようにしたが、これを、例えば、EEPROM63に書き込むようにしてもよい。この場合は、燃焼機器1の燃焼制御部46は、EEPROM63に暫定運転プログラムが書き込まれているか否かを判断し、書き込まれていない場合にはROM47に書かれている正規の運転プログラムを用いて燃焼運転を制御し、EEPROM63に暫定運転プログラムが書き込まれているときにはそのEEPROM63に書き込まれている暫定運転プログラムを用いて燃焼運転を行うように構成することになる。
【0061】また、EEPROM63に暫定運転プログラムを書き込むように構成する場合、例えば、切り換えスイッチを燃焼機器1側に設けておき、EEPROM63に書き込まれている暫定運転プログラムとROM47に書かれている正規の運転プログラムを選択スイッチにより切り換え選択するように構成してもよいものである。
【0062】また、上記実施形態例では、燃焼機器として、給湯複合器を例にして説明したが、燃焼機器は、給湯単能器(給湯機能のみの給湯器)、風呂釜等の様々なタイプの燃焼機器に適用することが可能であり、また、給湯複合器の場合には、給湯熱交換器15と追い焚き熱交換器16を一体化し、その一体化した給湯と追い焚きの熱交換器を共通のバーナによって燃焼加熱する一缶二水路式の複合給湯器であってもよく、本発明の異常診断装置の診断の対象となる燃焼機器は特に限定されることはない。
【0063】
【発明の効果】本発明の異常診断装置は、燃焼機器の燃焼制御運転に必要な燃焼機器の構成要素に異常が生じたときには、その異常の構成要素を使用しないで応急的に燃焼運転を行わせる暫定運転プログラムを予め指定される構成要素毎に対応させて暫定プログラム格納手段に与えておき、異常診断装置を用いて燃焼機器の異常診断を行ったときに、予め指定された燃焼機器の構成要素が異常と診断された場合には、その異常と診断された構成要素に対応する暫定運転プログラムを前記暫定プログラム格納手段から読み出して燃焼機器のプログラム格納メモリに書き込み、その暫定運転プログラムを用いて燃焼機器を応急的に運転できるように構成したものであるから、燃焼機器の構成要素である部品やセンサが異常と診断されてその部品やセンサの交換を行う場合に、その交換用の構成要素(部品やセンサ)が点検作業者の手元にない場合には、その異常と診断された構成要素に対応する暫定運転プログラムを用いて交換用の構成要素が手に入るまでの間応急的に運転することができるので、燃焼機器の使用者は、その構成要素の異常によって、燃焼機器が使用できなくなってしまうという従来の不便を効果的に解消することが可能となる。
【0064】また、燃焼機器の構成要素がセンサである場合には、そのセンサに対応する暫定運転プログラムのセンサ出力の読み込み動作を行うプログラム部分はセンサの実測値を避けてダミーのセンサ出力データを読み込む構成とし、その暫定運転プログラムの前記燃焼機器側のプログラム格納メモリへの書き込みに際し、そのセンサのダミーデータを燃焼機器側の指定の位置に書き込むように構成した発明(請求項2の発明)にあっては、センサの異常が診断されて、ダミーのデータとそのセンサの暫定運転プログラムが燃焼機器側に書き込まれた後は、その異常と判断されたセンサの検出値は、実測値ではなくダミーの値が読み込まれて暫定運転プログラムに従い燃焼機器の運転が行われるので、センサの異常によって燃焼機器が使用出来なくなってしまうという従来の不便を解消することが可能となり、前記ダミーのデータとして危険を防止し、運転性能に支障の生じない値を設定することで、燃焼機器を違和感の生じない性能でもって運転使用することが可能となるものである。
【出願人】 【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
【出願日】 平成9年(1997)9月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
【公開番号】 特開平11−108441
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−282966