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【発明の名称】 空調設備及び空調方法
【発明者】 【氏名】森山 泰行

【要約】 【課題】設備費が安価な単一ダクト方式の空調であっても、ペリメータゾーンの環境も改善できる空調設備及び空調方法を提供する。

【解決手段】単一ダクト方式の空調設備で、ペリメータゾーンPにある吹出し口8を、電磁開閉弁9,15及びバイパス管14によって、給気ダクト3及び前記還気ダクト13の一方に排他的に連通可能とする。また、ペリメータゾーンPの下部空間に対し吹出し部を上方に向けたファンユニット16を設置する。そして、暖房時に、上記吹出し口8を還気ダクト13に接続し、且つファンユニット16を作動させることで、ペリメータゾーンでの熱負荷を改善する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 単一ダクト方式により、空調機から給気ダクトを通じて送られる調和空気を、各室の上部に設けられた吹出し口から室内に向けて吹出すと共に、還気ダクトを通じて室内の還気を行う空調設備において、ペリメータゾーンにある前記吹出し口を、前記給気ダクト及び前記還気ダクトの一方に排他的に連通させるダクト切換手段を設けると共に、ペリメータゾーンの下部空間に対し、吹出し部又は吸込み部を上方に向けたファンユニットを設置したことを特徴とする空調設備。
【請求項2】 天井裏の空気を前記ファンユニットに圧送、又はファンユニットが吸い込んだ空気を天井裏に排気する吹出し循環設備を備えることを特徴とする請求項1に記載した空調設備。
【請求項3】 前記請求項1又は請求項2に記載の空調設備を使用し、暖房又は換気の際には、ペリメータゾーンにある前記吹出し口を還気ダクトに連通させ、且つ、前記ファンユニットから上方に向けて空気を吹き出すことを特徴とする空調方法。
【請求項4】 前記請求項2に記載の空調設備を使用し、冷房の際には、ペリメータゾーンにある前記吹出し口を給気ダクトに連通させ、且つ、ファンユニットで吸引した空気を天井裏に排気することを特徴とする空調方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、単一ダクト方式の空調に係り、特にペリメータゾーンの環境改善に有効な空調設備及び空調方法に関する。
【0002】
【従来の技術】単一ダクト方式の空調は、ビル内の全空調を、単一のダクト系統で処理する空調方式であって、例えば,中央機械室に空調機を設置し、その空調機から給気ダクトを通じて送られた調和空気を各室の天井面から吹出すと共に、腰壁部等に設けた吸込み口を通じて還気をする。
【0003】なお、単一ダクト方式の空調設備は、設備費が安価であり、且つ中央で管理するため保守も容易であるので、現在,最も多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】単一ダクト方式の空調は、室内の熱負荷分布が均一である場合には問題はないが、一般にペリメータゾーンはインテリアゾーンに比べて熱負荷の変動が生じやすいために、室内に部分的な冷し過ぎや暖め過ぎが生じ易く、また、前記従来の単一ダクト方式の空調では、インテリアゾーンの空調環境を良好にしようとすると、前記ペリメータゾーンの環境が良くならないという問題がある。
【0005】本発明は、前記のような問題点に着目してなされたもので、設備費が安価な単一ダクト方式の空調であっても、ペリメータゾーンの環境も改善できる空調設備及び空調方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するために、本発明のうち請求項1に記載した発明は、単一ダクト方式により、空調機から給気ダクトを通じて送られる調和空気を、各室の上部に設けられた吹出し口から室内に向けて吹出すと共に、還気ダクトを通じて室内の還気を行う空調設備において、ペリメータゾーンにある前記吹出し口を、前記給気ダクト及び前記還気ダクトの一方に排他的に連通させるダクト切換手段を設けると共に、ペリメータゾーンの下部空間に対し、吹出し部又は吸込み部を上方に向けたファンユニットを設置したことを特徴とする空調設備を提供するものである。
【0007】本発明によれば、簡易な構成によって、ペリメータゾーンの吹出し口から、調和空気の給気と室内空気の排気とが排他的にできるようになると共に、ファンユニットによって、ペリメータゾーンでは、下側から上方に向かう空気の流れを作ったり、ペリメータゾーンの室内空気を下側に吸引することができるようになる。
【0008】すなわち、ペリメータゾーンの熱負荷に応じて、ペリメータゾーンでの空気の流れを適宜,変更することが可能となる。次に、請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した構成に対して、天井裏の空気を前記ファンユニットに圧送、又はファンユニットが吸い込んだ空気を天井裏に排気する吹出し循環設備を備えることを特徴とするものである。
【0009】本発明によれば、同一装置で、天井裏の空気をペリメータゾーンの下部から上方に向けて吹出したり、ペリメータゾーンの空気を積極的に排気することができる。
【0010】なお、暖房時には、給気ダクトからの廃熱等によって天井裏の空気の温度は、室内空気よりも高くなっている。次に、請求項3に記載した発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の空調設備を使用し、暖房又は換気の際には、ペリメータゾーンにある前記吹出し口を還気ダクトに連通させ、且つ、前記ファンユニットから上方に向けて空気を吹き出すことを特徴とする空調方法を提供するものである。
【0011】本発明によれば、暖房又は換気の際には、ペリメータゾーンでは、温かい空気が下側から上方に向けて流れ、その温かい空気によって外部から侵入した冷気が吸収され、続けて冷気によって冷えた空気が、そのままペリメータゾーンの吹出し口から排気されて、外部からの冷気が効率よく除去できる。このことは、暖房負荷の軽減に繋がる。
【0012】また、ペリメータゾーンで、空気を下側から上方に流すことで室内空気の対流が促される。このとき、請求項2に記載の設備を使用した場合には、廃熱で室内よりも温かい天井裏の空気を上記ファンユニットから吹き出すので上記外部からの冷気がより効率的に除去することができるようになる。
【0013】次に、請求項4に記載の発明は、前記請求項2に記載の空調設備を使用し、冷房の際には、ペリメータゾーンにある前記吹出し口を給気ダクトに連通させ、且つ、ファンユニットで吸引した空気を天井裏に送ることを特徴とする空調方法を提供するものである。
【0014】本発明によれば、冷房時に、外部からの熱によって暖められたペリメータゾーンの室内空気が積極的に吸引・除去されるので、冷房負荷が軽減される。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、本願発明の空調設備を示す構成図であって、中央機械室に空調機1が設置され、その空調機1から送風ファン2を通じて給気ダクトの主管3に調和空気が供給可能となっている。給気ダクトの主管3は上方に延び、各階の高さ位置で、それぞれ当該給気ダクトの主管3から枝管4,5が分岐している。そして、各枝管4,5は、各室6の天井面に設けられた吹出し口7,8に接続されている。
【0016】但し、本実施形態にあっては、各階における前記枝管4,5は、ペリメータゾーンP用の枝管5と、インテリアゾーンN用の枝管4とが別系統となっていて、ペリメータゾーンP用の枝管5における主管3側位置には、第1電動開閉弁9が介装されている。この第1電動開閉弁9は、コントローラ10からの指令によって開閉動作を行う。
【0017】また、各室6の腰壁部等に吸込み口11が設けられ、その吸込み口11は、それぞれ還気ダクトの枝管12を通じて還気ダクトの主管13に接続している。さらに、前記ペリメータゾーンP用の枝管5から、前記第1電動開閉弁9が設けられる位置よりも吹出し口8側位置で、バイパス管14が分岐している。そのバイパス管14の他端部は、同一エリアに配置された前記還気ダクトの枝管12に合流している。
【0018】そのバイパス管14の途中には、第2電動開閉弁15が介装されている。この第2電動開閉弁15は、コントローラ10からの指令によって開閉動作を行う。また、各室内におけるペリメータゾーンPの下部空間、特に窓17の近くの床にファンユニット16が設置されている。このファンユニット16は吹出し口8を上方に向けて配置されていて、室内下部の空気を吸引して上方に吹出すことができる。このファンユニット16は、コントローラ10からの指令に基づき作動が制御される。
【0019】コントローラ10は、同一エリアにある第1電動開閉弁9と第2電動開閉弁15とが同時に開となることのないようにインタロック制御を有し、当該同一エリアにある第1電動開閉弁9による開閉動作と第2電動開閉弁15による開閉動作とを、排他的に作動制御すると共に、前記第1電動開閉弁9が閉(第2電動開閉弁15が開)となることに同期をとって、同一エリア内にあるファンユニット16を作動させる。
【0020】すなわち、前記コントローラ10は、空調機1が暖房又は換気動作となっていることを検知したら、前記第1電動開閉弁9に閉指令を供給し、第2電動開閉弁15に開指令を供給すると共に、ファンユニット16に作動指令を供給する。また、空調機1が冷房動作となっていることを検知したら、前記第1電動開閉弁9に開指令を供給し、第2電動開閉弁15に閉指令を供給し、ファンユニット16に停止指令を供給する。
【0021】そして、前記構成の空調設備にあっては、冷房時には、第1電動開閉弁9が開状態となり且つ第2電動開閉弁15が閉状態となっているので、従来の場合と同様に、全ての吹出し口7,8から調和空気が室内に吹き出されて室内の冷房が実施される。
【0022】この冷房時には、ペリメータゾーンPにある吹出し口8からの冷風が窓17側に吹き付けられて、ペリメータゾーンPの冷房がなされる。次に、暖房時及び換気時の動作・作用について説明する。
【0023】暖房時及び換気時には、第1電動開閉弁9が閉状態となり第2電動開閉弁15が開状態となっているので、ペリメータゾーンPにある吹出し口8は、還気ダクト12,13に連通した状態となると共に、ファンユニット16が作動して、下側から上方に向けて流れる温かい気流が形成される。
【0024】このため、インテリアゾーンNにある吹出し口7からは、従来と同様に、給気ダクトの主管3を通じて供給された温かい調和空気が、室内に給気されて室内を暖めるが、ペリメータゾーンPでは、下側から上側に向かう空気の流れができて、室内空気の対流を促すと共に、前記下側から上側に向かう温かい気流が、外部から侵入した冷気に触れて冷え、その冷えた空気は、そのまま上方に位置するペリメータゾーンPにある吹出し口8から吸引されて還気ダクトを通じて排気されて、ペリメータゾーンPでの熱負荷変動が抑えられると同時に、外部からの冷気による暖房負荷が軽減する。
【0025】このように、単一ダクト方式であっても、効率よくペリメータゾーンPの熱負荷が改善されて、室内の温度分布が均一化すると共に、省エネにも繋がる。ここで、前記実施形態では、コントローラ10は、空調機1が暖房・換気動作か冷房動作かどうかを検知し、ビル内の全室6で同期をとって同じ制御をしているが、これに限定されるわけではない。
【0026】例えば、各室6毎に、インテリアゾーンNとペリメータゾーンPとにそれぞれ温度センサを設置し、その温度センサによる温度計測に基づき、インテリアゾーンNの温度よりもペリメータゾーンPの温度が、所定温度以上低いと判定したら、前記暖房又は換気動作時の制御を行うようにしてもよいし、外気とペリメータゾーンPの温度差に基づき、外気がペリメータゾーンPよりも所定温度以上低いと判定したら、前記暖房又は換気動作時の制御を行うようにしてもよい。
【0027】次に、第2の実施形態を図面を参照しつつ説明する。なお、前記実施形態と同様な装置等をついては同一の符号を付して説明する。この実施形態の基本構成は、前記第1の実施形態と同様であるが、前記ファンユニット16の上部開口部が、ファンユニット16の作動状態に応じて吹出し部若しくは吸込み部となる。
【0028】また、本実施形態では、図3及び図4に示すように、吹出し循環設備20〜22を備える。その吹出し循環設備について説明すると、天井裏23にファン20が設置されていて、そのファン20は正転・逆転可能となっている。そのファン20の一方の吸引・吐出口は、第1誘導ダクト21を介してインテリアゾーンNの上方に位置する天井裏23で開口している。また、前記ファン20の他方の吸引・吐出口には、第2誘導ダクト22の一端部が接続され、その第2誘導ダクト22の他端部は、前記ファンユニット16に接続されている。
【0029】この構成によって、ファン20が正転で作動すると、天井裏23の空気がファンユニット16に圧送され、当該ファンユニット16を通じて上方に吹き出される。また、ファン20を逆転作動させると、ファンユニット16で吸引された室内の空気が天井裏23に排気される。
【0030】そして、前記ファン20は、コントローラ10によって制御される。コントローラ10は、空調機1が暖房動作と検知した場合に、ファン20に正転動作指令を供給し、空調機1が冷房動作と検知した場合に、ファン20に逆転動作指令を供給するようになっている。
【0031】前記構成の空調設備の動作等について説明する。空調機1が冷房動作の場合には、空調機1からの冷たい調和空気が、従来と同様に、給気ダクト3,4,5を通じて、天井に配置された全吹出し口7,8に送られ、全吹出し口7,8から室内に吹き出されて冷房が行われる。
【0032】このとき、ファン20は逆転動作をして、ペリメータゾーンPの室内空気を下方に吸引しそのまま天井裏23に排気する。すなわち、外部からの熱によって暖められた,ペリメータゾーンPの室内空気は、インテリアゾーンN側に移動することなく、強制的にファンユニット16を通じて室外に排気されるので、ペリメータゾーンPでの冷房時の環境が向上する。また、このようにペリメータゾーンPでの熱が効率よく除去されることで、冷房負荷が軽減し、省エネに繋がる。
【0033】また、空調機1が暖房動作時には、前記第1実施形態と同様に、ペリメータゾーンPでは、ファンユニット16から上方に吹き出した空気に外部からの冷気を吸収させ、続けて天井部の吹出し口8から吸引して、積極的に外部からの冷気を除去できて、ペリメータゾーンPでの暖房時の環境が向上すると共に、ペリメータゾーンPでの熱負荷処理の効率が向上して省エネに繋がる。
【0034】しかも、本実施形態では、室内空気よりも温かい天井裏23の空気を使用することで、より効率よく外部からの冷気を除去できて、さらに冷房負荷が軽減される。ここで、天井裏23の空気は、温かい調和空気が流通する給気ダクトの枝管4等からの廃熱によって暖められている。また、インテリアゾーンNの上方に位置する天井裏23の空気を使用することで、安定して温かい空気を吸引可能となる。
【0035】ここで、前記実施形態では、対象とする室6の天井裏23にファン20等を設置した例を説明しているが、対象とする室6の直下の室6の天井裏23(対象とする室6の床下側)にファン20等を設置してもよい。
【0036】また、図3及び図4では、見やすくするために、建物の外側を第2誘導ダクト22が通っているが、実際には壁部の中など建物内を通っている。また、全てのファンユニット16と吹出し循環設備とを接続する必要はなく、例えば外部熱負荷を受けやすい窓際のファンユニット16だけに吹出し循環設備を接続してもよい。
【0037】また、その吹出し循環設備に接続するファンユニット16は、ファン20によって空気の圧送・吸引が可能であるので、送風モータを持たない、単なる,上部が開口した箱体から構成してもよい。
【0038】また、上記実施形態では、各電動開閉弁9,15やファンユニット16の動作をコントローラ10によって自動制御しているが、これに限定されない。例えば、各室6に操作パネルを設けて、手動で上記動作を行うようにして使用者が空調制御状態を選択可能としてもよい。例えば、冷房状態であっても室内温度と外気温とが小さい場合に、使用者の選択によって、第1電動開閉弁9を閉、第2電動開閉弁15を開としてペリメータゾーンPの吹出し口8を還気状態に設定し、且つファンユニット16によって上方に向けた気流を形成させて、室内空気の対流を促すようにしてもよい。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の空調設備においては、単一ダクト方式を採用しても、ペリメータゾーンでの外部からの熱を効率よく除去できてペリメータゾーンの環境改善がなされる。
【0040】またこのことは、ペリメータゾーンでの熱負荷変動が小さくなって、室内の温度分布が均一化すると共に、ペリメータゾーンでの熱負荷が軽減させて、省エネ効果も有する。
【0041】このとき、請求項2に記載の設備を採用すると、より効率的に、ペリメータゾーンでの外部からの熱負荷の除去処理ができて、さらに省エネに繋がるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
【出願日】 平成10年(1998)5月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也 (外3名)
【公開番号】 特開平11−337114
【公開日】 平成11年(1999)12月10日
【出願番号】 特願平10−147271