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【発明の名称】 流路切替機構
【発明者】 【氏名】三浦 克弘

【氏名】相楽 典泰

【氏名】坪田 祐二

【氏名】鈴木 孝佳

【氏名】鹿倉 喜公

【氏名】荒川 芳三

【氏名】金橋 徹

【要約】 【課題】平板状のフィンに空気を当てて流体の流れ方向を変えると、圧力損失や騒音が発生し、且つ確実に流れ方向を変更できなかった。

【解決手段】同一幅のスリット開口3を挟んで対向した一対の内壁1a、1bを設ける。一対の内壁1a、1bの間に、スリット開口3の長手方向に軸線が向く回転軸5を設ける。外周に凸曲面7aを有し、回転軸5に回転自在に支持されることで、回転軸5を中心に一方側に回転したときに一方の内壁1aに外周の一部を密接させて凸曲面7aと他方の内壁1bとの間にスリット開口3に沿う間隙を形成するとともに、回転軸5を中心に他方側に回転したときに他方の内壁1bに外周の一部を密接させて凸曲面7aと一方の内壁1bとの間にスリット開口3に沿う間隙を形成する筒状又は棒状のダンパー7を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 同一幅のスリット開口を挟んで対向した一対の内壁と、軸線を前記スリット開口の長手方向に向けて該一対の内壁の間に配設した回転軸と、外周に凸曲面を有し該回転軸に回転自在に支持されることで該回転軸を中心に一方側に回転したときに一方の前記内壁に外周の一部を密接させて前記凸曲面と他方の前記内壁との間に前記スリット開口に沿う間隙を形成するとともに、該回転軸を中心に他方側に回転したときに他方の前記内壁に外周の一部を密接させて前記凸曲面と一方の前記内壁との間に前記スリット開口に沿う間隙を形成する筒状又は棒状のダンパーとを具備したことを特徴とする流路切替機構。
【請求項2】 前記凸曲面とで前記間隙を挟む前記一対の内壁のそれぞれの部位に、凹曲面を形成したことを特徴とする請求項1記載の流路切替機構。
【請求項3】 前記スリット開口に沿う長穴の形成された邪魔板を前記スリット開口に間隔を有して対向配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載の流路切替機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体の流れ方向を可変させる切替機構に関し、特に、ライン状の吹出開口を有する空調吹出口、水槽などへの液体の吹出口、或いは各種装置に付設される送風手段の流路切替機構に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】流路切替機構として例えば、空調用吹出口では、天井面などに細長に開口するスリット状のものが知られている。このようなスリット状吹出口は、天井内でエア供給ダクトに接続され、供給された空気を開口から下向きに吹き出す。開口から吹き出された直後の空気は、開口の隙間と略同一の厚みとなる。従って、少なくとも開口近傍の領域では、鉛直面に略平行な空気流(所謂、エアカーテン)が形成される。
【0003】このような切替機構では、空気流の吹出方向を、鉛直面に対して傾斜する方向、又は直交する方向へ、変更要求される場合がある。従来、このような機能の必要なものには、開口に沿って長い複数の平行なフィンを配設していた。フィンは、変えたい空気流の方向と平行となるように可動可能となっている。このようなフィンを備えることで吹き出される空気が開口を通過することにより、フィンと平行に整流される。従って、フィンの向きを調節することにより、空気流の方向を所望の方向に変更することができた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の切替機構では、平板状のフィンに空気を当てて、空気の流れを変えていたため、圧力損失が大きく、吹き出し流量の低下する問題があった。そのため、吹き出し方向を変える場合には、同時に流量調整も行う必要があった。このことは、空気流の吹出方向を、鉛直面に対して直交する方向へ変更する場合に特に顕著となった。
【0005】また、幅の小さい帯板状のフィンに空気を当てて、空気の流れを変えるため、整流効果が小さく、空気流を所望の方向へ確実に変えることができなかった。
【0006】更に、平板状のフィン面に角度を有して空気を当てるため、空気流とフィンとの衝突によって、騒音の発生する不利があった。
【0007】本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、圧力損失や騒音を低減し、且つ流れ方向の変更機能を高めることのできる切替機構の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る請求項1の流路切替機構は、同一幅のスリット開口を挟んで対向した一対の内壁と、軸線を前記スリット開口の長手方向に向けて該一対の内壁の間に配設した回転軸と、外周に凸曲面を有し該回転軸に回転自在に支持されることで該回転軸を中心に一方側に回転したときに一方の前記内壁に外周の一部を密接させて前記凸曲面と他方の前記内壁との間に前記スリット開口に沿う間隙を形成するとともに、該回転軸を中心に他方側に回転したときに他方の前記内壁に外周の一部を密接させて前記凸曲面と一方の前記内壁との間に前記スリット開口に沿う間隙を形成する筒状又は棒状のダンパーとを具備したことを特徴とする。
【0009】この切替機構では、ダンパーが例えば一方側に回転されていると、一方の内壁に外周の一部が密接し、凸曲面と他方の内壁との間に間隙が形成され、空気は、間隙を通過する。間隙を通過する空気は、凸曲面に沿って曲げられた後、凸曲面から離れて流れる。従って、このように凸曲面に沿って曲げられた空気流は、壁面などに衝突することなく、鉛直面に対して直交する方向へ向けられることになる。
【0010】請求項2の切替機構は、前記凸曲面とで前記間隙を挟む前記一対の内壁のそれぞれの部位に、凹曲面を形成したことを特徴とする。
【0011】この切替機構では、凸曲面とで間隙を挟む内壁が凹曲面となることで、渦の発生が少なくなり、流路内の圧力損失が低減される。
【0012】請求項3の切替機構は、前記スリット開口に沿う長穴の形成された邪魔板を前記スリット開口に間隔を有して対向配置したことを特徴とする。
【0013】この切替機構では、スリット開口出口で流路がT字状に分岐され、スリット開口から吹き出された空気流が、左右方向のいずれか一方、又は直下方向に確実に変更される。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る流路切替機構の具体例としての吹出口について図面を参照して詳細に説明する。図1は上記吹出口の断面図、図2は図1のA−A矢視図、図3は流路を切り替える為のダンパー(DAMPER)の位置と空気流との関係を示す説明図である。
【0015】図1に示すように、一対の対向する内壁1a、1bは、その端部に、同一幅のスリット開口3を形成している。この内壁1a、1bは、例えば空調吹出口のチャンバーの一部として構成される。また、この例による内壁1a、1bは平行に対向配置されているが、内壁1a、1bはハ字状又は逆ハ字状に配置されるものであってもよい。
【0016】内壁1a、1bの間には、軸線をスリット開口3の長手方向とした回転軸5を設けてある。回転軸5は、不図示の駆動源(電動モータなど)によって正逆回転可能となっている。
【0017】この回転軸5には、流路切り替え用のダンパー例えば円筒状のダンパー7を、偏心させて固定してある。従って、ダンパー7は、外周が円弧状の凸曲面7aを有することとなる。この例では円筒状のダンパー7を例に説明するが、ダンパー7は丸棒状であってもよく、更には、外周の一部に凸曲面を有するその他の断面形状の長尺部材であってもよい。また、凸曲面は、円弧形状に限定されるものではない。
【0018】図3(a)に示すように、ダンパー7は、回転軸5を中心に一方側に回転したときに一方の内壁1aに外周の一部を密接させる。このとき、凸曲面7aと他方の内壁1bとの間には、スリット開口3に沿って間隙11bが形成される。
【0019】図3(b)に示すように、ダンパー7は、回転軸5を中心に他方側に回転したときに他方の内壁1bに外周の一部を密接させる。このとき、凸曲面7aと一方の内壁1aとの間には、スリット開口3に沿う間隙11aが形成される。
【0020】ダンパー7は、直径が、内壁1a、1bの幅より小さく形成されている。従って、図3(c)に示すように、ダンパー7の中心を、回転軸5を通る鉛直線CL上に配置したときは、ダンパー7と内壁1a、1bとの間には、間隙13a、13bが形成される。
【0021】内壁1a、1bには、間隙11を挟んで凸曲面7aと対向する部位に、凹曲面15を形成してある。従って、間隙11a、間隙11b、間隙13a、13bは、凸曲面と凹曲面とに挟まれた流路となる。
【0022】スリット開口3の外側には、スリット開口3に沿う長穴17の形成された邪魔板19を、スリット開口3に間隔を有して配設してある。邪魔板19は、スリット開口3が開口する面に対して、平行に配置してある。従って、スリット開口3が開口する面と邪魔板19との間には、スリット開口3を中央にして左右に分かれる流路21a、21bが形成される。
【0023】なお、図中、23はチャンバ取り付けビス、25はダンパ取り付けビス、27は天井ボードである。
【0024】このように構成した吹出口31の作用を説明する。内壁1a、1bの間には、不図示の送風手段により、空気が供給される。内壁1a、1b間に供給された空気は、スリット開口3から吹き出される。
【0025】このとき、図3(a)に示すように、ダンパー7が一方側に回転されていると、一方の内壁1aに外周の一部が密接し、凸曲面7aと他方の内壁1bとの間に間隙11bが形成される。従って、空気は、間隙11bを通過することとなる。間隙11bを通過する空気は、凸曲面7aに沿って左側に曲げられた後、凸曲面7aから離れて流れる。
【0026】この作用は、コアンダ効果による。即ち、凸曲面7aの乱流境界層が周囲の空気を引き込むために、噴流を凸曲面7aに吸いよせるような負圧を発生させるために生じる。なお、以下に定義する特性レイノルズ数Re がある値((1.4〜3.5)×104 )以上になると、Re によらず付着は一定となる。
【0027】
特性レイノルズ数Re =Uj √(Rh/2)/ν但し、Uj は噴流の噴出速度、Rは円筒半径、hは噴流の高さ、νは流体の動粘性形成である。
【0028】従って、このように凸曲面7aに沿って曲げられた空気流は、壁面などに衝突することなく、左方の流路21aを通って、鉛直面に対して直交する左方向へ向けられることになる。
【0029】同様に、図3(b)に示すように、ダンパー7が他方側に回転されていると、他方の内壁1bに外周の一部が密接し、凸曲面7aと一方の内壁1aとの間に間隙11aが形成される。従って、空気は、間隙11aを通過することとなる。間隙11aを通過する空気は、凸曲面7aに沿って右側に曲げられた後、凸曲面7aから離れて流れる。
【0030】従って、凸曲面7aに沿って曲げられた空気流は、壁面などに衝突することなく、右方の流路21bを通って、鉛直面に対して直交する右方向へ向けられることになる。
【0031】一方、図3(c)に示すように、ダンパー7が中央に配置されていると、凸曲面7aに沿って曲げられた空気流は、間隙11a、11bを通過した後合流し、スリット開口3から直下に流れる。直下に流れた空気は、左右の流路21a、21bに流れることなく、長穴17から真下に吹き出されることとなる。
【0032】このように、上述の吹出口31は、内壁1a、1bの間に、円筒状のダンパー7を設けた。また、このダンパー7を偏心させて回転軸5で回転させるようにした。従って、ダンパー7の凸曲面7aに沿って左右に曲がる間隙13a、13bを、ダンパー7の回転で切り換えることができる。そして、空気流をダンパー7の凸曲面7aに吸着させて曲げるので、従来のような衝突による圧力損失を大幅に低減させることができる。
【0033】この結果、流量の変動を少なくすることができる。また、流れ方向の変更機能を高めることができる。更に、空気とフィンなどの衝突によって発生する騒音を抑制することができる。
【0034】また、この実施形態による吹出口31は、ダンパー7を偏心させて回転軸5に取り付けた。このため、ダンパー7を回転させて、片寄せたときに、回転中心を偏心させない構成の場合に比べて、内壁1a、1b間の幅に対する間隙11a、11bの開口比率を大きく確保することができる。
【0035】なお、上述の実施形態では、ダンパー7を円筒とした場合を例に説明したが、発明に係る吹出口は、ダンパー7が、図4に示すように、円形以外の断面形状を有する筒体又は棒体であってもよい。また、図4に示す断面形状の棒体をダンパー7とした場合には、回転軸5を、基準円33の中心に設けることができ、ダンパー7を偏心して取り付けなくともよい。また、この例の場合、ダンパー7の上面が流れ方向に傾斜するので、円筒体のダンパー7に比べて、内壁1a、1b間における圧力損失を少なくすることができる。
【0036】更に、上述の実施形態では、回転軸5を内壁1a、1bの中間位置に配設したが、発明に係る吹出口は、図5に示すように、いずれか一方の内壁1a、1b側(図示の例では1a側)にずらして回転軸5を配設するものであってもよい。このような構成とすれば、左右の間隙11a、11bの断面積に差異を設けて、左右の流量を異なるものにすることができる。
【0037】上述の実施形態では、吹出口31をスリット状の空調吹出口に用いた場合を例に説明したが、発明に係る吹出口は、この他、水槽などへの液体の吹出口、或いは各種装置に付設される送風手段の吹出口としても用いることができる。
【0038】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係る請求項1の切替機構によれば、内壁の間に、凸曲面を有するダンパーを回転自在に設けたので、ダンパーの凸曲面に沿って左右に曲がる間隙を、ダンパーの回転で切り換えることができる。そして、空気流をダンパーの凸曲面に吸着させて曲げるので、従来のような衝突による圧力損失を大幅に低減させることができる。この結果、流量の変動を少なくすることができる。また、流れ方向の変更機能を高めることができる。更に、空気とフィンなどの衝突によって発生する騒音を抑制することができる。
【0039】請求項2の切替機構によれば、凸曲面とで間隙を挟む一対の内壁のそれぞれの部位に、凹曲面を形成したので、流路内の圧力損失を低減させることができる。
【0040】請求項3の切替機構によれば、スリット開口に沿う長穴の形成された邪魔板を、スリット開口に間隔を有して対向配置したので、スリット開口から吹き出された後の空気流を、所望の方向へ確実に向けることができる。
【出願人】 【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力株式会社
【識別番号】390027270
【氏名又は名称】丸光産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)4月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】船橋 國則
【公開番号】 特開平11−304233
【公開日】 平成11年(1999)11月5日
【出願番号】 特願平10−108995