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【発明の名称】 空気調和機
【発明者】 【氏名】野間 博文

【氏名】小川 正則

【氏名】中村 康裕

【要約】 【課題】空気調和機の圧縮機に用いるブラシレスDCモータの起動制御において、起動不良の回数を低減し、正常起動するまでの時間を短縮する。

【解決手段】起動パルス幅設定手段8を備え、ブラシレスDCモータ1aの起動時に、回転不良検知回路6が回転不良を検知し、あるいは電流検知回路7がインバータ回路2に流れる過電流を検知した場合、起動パルス幅設定手段8が起動時のパルス幅を増減し、起動制御回路4を再起動させる。これにより、再起動時に回転不良あるいは過電流が発生しにくくし、正常起動までの再起動回数および時間を低減する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ブラシレスDCモータを用いた圧縮機と、前記ブラシレスDCモータの回転子の位置を検出する位置検出回路と、前記ブラシレスDCモータを駆動するインバータ回路と、前記インバータ回路をパルス幅変調方式にて駆動するパルス幅変調回路と、前記ブラシレスDCモータの起動時にパルス幅を設定する起動パルス幅設定手段と、前記起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で同期運転させた後位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路と、前記ブラシレスDCモータの回転不良を検知する回転不良検知回路とを備え、前記起動制御回路は、前記起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で起動させたとき、前記回転不良検知回路で前記ブラシレスDCモータの回転不良を検知した場合、前記ブラシレスDCモータの駆動を停止するとともに、前記起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を所定の値だけ大きくした後、前記ブラシレスDCモータを再起動させるように制御することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】 ブラシレスDCモータを用いた圧縮機と、前記ブラシレスDCモータの回転子の位置を検出する位置検出回路と、前記ブラシレスDCモータを駆動するインバータ回路と、前記インバータ回路をパルス幅変調方式にて駆動するパルス幅変調回路と、前記ブラシレスDCモータの起動時にパルス幅を設定する起動パルス幅設定手段と、前記起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で同期運転させた後位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路と、前記インバータ回路に流れる電流を検知する電流検知回路とを備え、前記起動制御回路は、前記起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で起動させたとき、前記電流検知回路で検知した電流が所定値以上の場合、前記ブラシレスDCモータの駆動を停止するとともに、前記起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を所定の値だけ小さくした後、前記ブラシレスDCモータを再起動させるように制御することを特徴とする空気調和機。
【請求項3】 一般ユーザーが設定できないテストモード以外の時には、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を一定値とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機に係り、特に、その圧縮機に用いるブラシレスDCモータの起動制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、空気調和機は、省エネのために、圧縮機にブラシレスDCモータを用いたものが主流となってきている。以下、図5,図6を参照しながら従来の空気調和機について説明する。
【0003】従来の空気調和機は、図5に示したように、ブラシレスDCモータ1aを用いた圧縮機1と、圧縮機1を駆動するインバータ回路2と、インバータ回路2をパルス幅変調方式で駆動するパルス幅変調回路3と、インバータ回路2を所定のパルス幅で同期運転させた後、位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路4と、ブラシレスDCモータ1aの回転子の位置を検出する位置検出回路5と、ブラシレスDCモータ1aの回転不良を検知する回転不良検知回路6と、インバータ回路2に流れる電流を検知する電流検知回路7とから構成されている。
【0004】このように構成された従来例における起動制御動作を図6のフローチャートを用いて説明する。起動制御をスタートし(ステップ−21;以下S−21のように記載する)、まず、起動制御回路4から所定のパルス幅Aをパルス幅変調回路3に指示し、インバータ回路2を介して、パルス幅AでブラシレスDCモータ1aを起動し、同期運転を行う(S−22)。次に、起動開始後の経過時間をカウントし、所定時間経過していない場合(S−23)はパルス幅をAのまま(S−24)とし、S−25において、電流検知回路7で検知したインバータ回路2に流れる電流値が所定値以下の場合にはS−23に戻る。
【0005】また、S−23にてカウントしている起動開始後の時間が所定時間経過した場合には、S−26に移行し、パルス幅変調制御を開始する。その後、S−27にて回転不良検知回路6でブラシレスDCモータ1aの回転不良を検知せず、かつS−28にて電流検知回路7で検知したインバータ回路2に流れる電流値が所定値以下の場合には、パルス幅変調制御を継続するようにS−26に戻る。
【0006】S−25またはS−28にて電流検知回路7で検知したインバータ回路2に流れる電流値が所定値以上の過電流である場合、あるいはS−27にて回転不良検知回路6でブラシレスDCモータ1aの回転不良を検知した場合には、S−29に移行し、ブラシレスDCモータ1aを停止してS−30に移行する。S−30にてS−25,S−27,S−28で過電流あるいは回転不良を検知した回数をカウントして、所定時間以内に連続5回ブラシレスDCモータ1aの停止が発生した場合には、S−31に移行して異常表示を行う。連続5回未満の場合は、S−22に戻ってブラシレスDCモータ1aの再起動を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の構成では、長期間空気調和機を使用していない等でブラシレスDCモータ1aを起動するときに大きなトルクが必要となる状態で、かつ電源電圧が低い場合には、同期運転時にパルス幅Aを所定の値に固定しているために、ブラシレスDCモータ1aに印加する電圧が低くなってトルクが足りずに回転不良を起こし、何度も再起動を繰り返して正常回転までに時間を要するという問題があった。
【0008】また、電源電圧が高い場合には、ブラシレスDCモータ1aに印加する電圧が高く、インバータ回路2に大きな電流が流れて過電流となって、何度も再起動を繰り返して正常回転までに時間を要するという問題もあった。
【0009】本発明は、上記従来の問題点を解決するもので、起動不良の回数を低減し、正常起動するまでの時間を短くする空気調和機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、起動パルス幅設定手段を備え、これにより、ブラシレスDCモータの回転不良等の状態に応じて、起動時のパルス幅を変更するようにしたものである。
【0011】そこで、請求項1に記載の発明は、ブラシレスDCモータの起動時にパルス幅を設定するパルス幅設定手段と、起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で同期運転させた後、位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路と、ブラシレスDCモータの回転不良を検知する回転不良検知回路とを備え、起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で起動させたとき、回転不良検知回路でブラシレスDCモータの回転不良を検知した場合、起動制御回路は、ブラシレスDCモータの駆動を停止するとともに、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を所定の値だけ大きくした後、ブラシレスDCモータを再起動させるように制御するものである。
【0012】この構成によれば、再起動に電源電圧が低く、トルク不足でブラシレスDCモータが回転不良になった場合でも、再起動時には起動パルス幅を所定の値大きくしているので、ブラシレスDCモータに印加する電圧を大きくでき、トルク不足を改善することができる。
【0013】また、請求項2に記載の発明は、ブラシレスDCモータの起動時にパルス幅を設定する起動パルス幅設定手段と、起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で同期運転させた後、位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路と、インバータ回路に流れる電流を検知する電流検知回路とを備え、起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で起動させたとき、電流検知回路で検知した電流が所定値以上の場合、起動制御回路は、ブラシレスDCモータの駆動を停止するとともに、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を所定の値だけ小さくした後、ブラシレスDCモータを再起動させるように制御するものである。
【0014】これによれば、起動時に電源電圧が高く、電流検知回路で検知した電流が所定値以上の場合でも、再起動時には起動パルス幅を所定の値小さくしているので、ブラシレスDCモータに印加する電圧を小さくでき、インバータ回路に流れる電流を小さくすることができる。
【0015】また、請求項3に記載の発明は、一般ユーザーが設定できないテストモード以外の時には、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を一定値としたものであり、これにより、圧縮機に潤滑オイルと冷媒が充填された直後の最もブラシレスDCモータを回転させるために大きなトルクが必要となる製造工程でのみ請求項1,2記載の制御を行わせることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1における空気調和機の構成を示したものであり、図5の従来例と同一構成要素には同一符号を付してある。すなわち、図1において、1はブラシレスDCモータ1aを用いた圧縮機、2は圧縮機1を駆動するインバータ回路、3はインバータ回路2をパルス幅変調方式で駆動するパルス幅変調回路、4はインバータ回路2を所定のパルス幅で同期運転させた後位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路、5はブラシレスDCモータ1aの回転子の位置を検出する位置検出回路、6はブラシレスDCモータ1aの回転不良を検知する回転不良検知回路、7はインバータ回路2に流れる電流を検知する電流検知回路、8は起動時のパルス幅を設定する起動パルス幅設定手段である。
【0018】次に、本実施の形態1における動作を、図2のフローチャートを用いて説明する。起動制御をスタートし(S−21)、まず、起動制御回路4では、起動パルス幅設定手段8で設定した所定のパルス幅Aをパルス幅変調回路3に指示し、インバータ回路2を介して、パルス幅AでブラシレスDCモータ1aを起動し、同期運転を行う(S−22)。次に、起動開始後の経過時間をカウントし、所定時間経過していない場合(S−23)はパルス幅をAのまま(S−24)とし、S−25において、電流検知回路7で検知したインバータ回路2に流れる電流値が所定値以下の場合にはS−23に戻る。
【0019】また、S−23にてカウントしている起動開始後の時間が所定時間経過した場合には、S−26に移行し、パルス幅変調制御を開始する。その後、S−27にて回転不良検知回路6でブラシレスDCモータ1aの回転不良を検知せず、かつS−28にて電流検知回路7で検知したインバータ回路2に流れる電流値が所定値以下の場合には、パルス幅変調制御を継続するようにS−26に戻る。
【0020】S−25またはS−28にて電流検知回路7で検知したインバータ回路2に流れる電流値が所定値以上の過電流である場合には、起動パルス幅設定手段8で起動時のパルス幅をαだけ小さくしたA−αに変更する(S−32)。また、S−27にて回転不良検知回路6でブラシレスDCモータ1aの回転不良を検知した場合には、起動パルス幅設定手段8で起動時のパルス幅をαだけ大きくしたA+αに変更する(S−33)。
【0021】S−32またはS−33で起動時のパルス幅をαだけ変更した後、S−29でブラシレスDCモータ1aを停止し、S−30に移行する。S−30にてS−25,S−27,S−28で過電流あるいは回転不良を検知した回数をカウントして、所定時間以内に連続5回ブラシレスDCモータ1aの停止が発生した場合には、S−31に移行して異常表示を行う。連続5回未満の場合は、S−22に戻ってブラシレスDCモータ1aの再起動を行う。
【0022】このように構成された本実施の形態1によれば、電源電圧が高くて起動時にインバータ回路2に過電流が流れた場合に、起動パルス幅設定手段8にて再起動時のパルス幅をαだけ小さくしているので、電源電圧が高くてもブラシレスDCモータ1aに印加する電圧を小さくすることができ、インバータ回路2に流れる電流を小さくして過電流に至りにくくすることができる。
【0023】また、電源電圧が低くて起動時に回転不良となった場合には、起動パルス幅設定手段8にて再起動時のパルス幅をαだけ大きくしているので、電源電圧が小さくてもブラシレスDCモータ1aに印加する電圧を大きくすることができ、トルク不足を改善して回転不良に至りにくくすることができる。
【0024】万一、再起動時に、再び回転不良あるいは過電流が発生した場合には、さらに起動時のパルス幅をαだけ増減することで、回転不良や過電流を発生しにくくする。
【0025】(実施の形態2)図3は、本発明の実施の形態2における空気調和機の構成を示したもので、図1と同一構成要素には同一符号を付してあり、また、9はテストモードを入力するテストモード入力手段である。
【0026】次に、本実施の形態2における動作を、図4のフローチャートを用いて説明するが、S−34およびS−35以外は図2に示す動作と同じであるため、説明を省略する。
【0027】テストモード入力手段9で、一般ユーザーが設定できないテストモードを入力すると、起動パルス幅設定手段8に伝達される。起動パルス幅設定手段8では、S−34,S−35に示したように、テストモードの場合のみ起動時のパルス幅を増減し、実施の形態1と同じ動作を行い、テストモード以外では、起動時のパルス幅をAに固定し、従来と同じ動作を行う。
【0028】本実施の形態2では、圧縮機1に潤滑オイルと冷媒が充填された直後の、最もブラシレスDCモータ1aを回転させるために大きなトルクが必要となる製造工程でのみ、テストモード入力を行うものである。
【0029】
【発明の効果】上記実施の形態から明らかなように、請求項1に記載の発明は、ブラシレスDCモータの起動時にパルス幅を設定するパルス幅設定手段と、起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で同期運転させた後、位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路と、ブラシレスDCモータの回転不良を検知する回転不良検知回路とを備え、回転不良検知回路でブラシレスDCモータの回転不良を検知した場合にブラシレスDCモータの駆動を停止するとともに、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を所定の値大きくした後、ブラシレスDCモータを再起動する構成としたものであり、これにより、起動時に電源電圧が低く、トルク不足でブラシレスDCモータが回転不良になった場合でも、再起動時には起動パルス幅を所定の値大きくしているので、ブラシレスDCモータに印加する電圧を大きくでき、トルク不足を改善して正常起動までの再起動回数を低減することができる。
【0030】また、請求項2に記載の発明は、ブラシレスDCモータの起動時に、パルス幅を設定する起動パルス幅設定手段と、起動パルス幅設定手段で設定したパルス幅で同期運転させた後、位置検出運転に切り換える制御を行う起動制御回路と、インバータ回路に流れる電流を検知する電流検知回路とを備え、電流検知回路で検知した電流が所定値以上の場合にブラシレスDCモータの駆動を停止するとともに、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を所定の値小さくした後、ブラシレスDCモータを再起動する構成としたものであり、これにより、起動時に電源電圧が高く、電流検知回路で検知した電流が所定値以上の場合でも、再起動時には起動パルス幅を所定の値小さくしているので、ブラシレスDCモータに印加する電圧を小さくでき、インバータ回路に流れる電流を小さくして、正常起動までの再起動回数を低減することができる。
【0031】さらに、請求項3に記載の発明は、一般ユーザーが設定できないテストモード以外の時には、起動パルス幅設定手段で設定するパルス幅を一定値としたものであり、これにより、圧縮機に潤滑オイルと冷媒が充填された直後の最もブラシレスDCモータを回転させるために大きなトルクが必要となる製造工程でのみ請求項1,2記載の作用効果を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成10年(1998)1月8日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松村 博
【公開番号】 特開平11−201535
【公開日】 平成11年(1999)7月30日
【出願番号】 特願平10−2296