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【発明の名称】 環境制御装置
【発明者】 【氏名】菅長 利文

【要約】 【課題】外部から侵入する各種化学種の影響を抑制し、ケミカルフィルタの寿命を延ばすことができる環境制御装置を得る。

【解決手段】クリーンルームから環境制御装置101内部に送り込まれた空気は、メインクーラ3及びメインヒータ4から成る空調部によって温度調整された後、メインファン5によって、露光装置1が設置されているチャンバ2内部へ送り込まれる。チャンバ2の空気取込口には不純物除去用のケミカルフィルタFL3及びHEPAフィルタFL4が配置されており、チャンバ2内部は不純物の少ない適切な環境下に保たれている。そして、チャンバ2内部の空気は排気口8からクリーンルームの外部環境へ排気される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 チャンバと、前記チャンバ内の空気を温度調整する空調部と、前記空調部と前記チャンバとの間に配置された不純物除去手段とを備える環境制御装置であって、前記チャンバは、前記空気を前記環境制御装置の外部環境へ排出する排気口を有することを特徴とする環境制御装置。
【請求項2】 チャンバと、前記チャンバ内の空気を温度調整する空調部と、前記空調部と前記チャンバとの間に配置された不純物除去手段と、ドレンを排出する第1の配管と、前記第1の配管を、第2及び第3の配管のいずれか一方に選択して繋げる切換手段とを備え、前記第2の配管には不純物除去フィルタが設けられていることを特徴とする環境制御装置。
【請求項3】 前記不純物除去手段の第1部分と前記空調部との間に配置されることにより、前記空調部から前記第1部分に到達する空気を遮断する遮断手段と、前記空調部から前記不純物除去手段の第2部分を介して前記チャンバ内部に送り込まれた空気中に存在する不純物の濃度を検出する検出手段とを備え、前記遮断手段は、前記濃度が予め設定したしきい値を超えた場合に、前記第2部分と前記空調部との間に移動する、請求項1又は2に記載の環境制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、露光装置の環境を制御する環境制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図10は、従来の環境制御装置100の構成を概略的に示す上面図である。環境制御装置100内部に送り込まれた空気はメインクーラ3及びメインヒータ4から成る空調部によって温度調整された後、メインファン5によって、露光装置1が設置されているチャンバ2内部へ送り込まれる。チャンバ2の空気取込口にはケミカルフィルタFL3及びHEPA(High Efficiency Particulate Air)フィルタFL4が配置されており、これらのフィルタによって空気中の不純物が除去される。そして、チャンバ2内部の空気はリターンダクト14を介して再び空調部に送り込まれ、環境制御装置100内部を循環する。なお、環境制御装置100内部で発生したドレンは、ドレン管6から装置外部へ排出される。
【0003】図11は、ケミカルフィルタFL3のフィルタリング機構を説明するための模式図である。ケミカルフィルタFL3のフィルタリングは、空気中の不純物がフィルタ表面に物理吸着及び化学吸着することによって行われる。
【0004】また、図12は、ドレン排出系の構成を示す断面図である。ドレン管6から環境制御装置100の外部に排出されたドレンは、内部に水が貯蔵されたドレントラップ20を介してドレンサブ配管11に排出される。ここで、ドレンサブ配管11は、通常グレーティング床21の床下に設置されている。図13は、グレーティング床21の床下構造を示す平面図である。ドレンサブ配管11はドレンメイン配管23に繋がっており、ドレンメイン配管23に集められたドレンは、排水タンク24に貯蔵された後、排水処理施設へ送られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図12,13に示したように、ドレン管6はドレンサブ配管11及びドレンメイン配管23を介して排水タンク24や排水処理施設に繋がっているため、ドレントラップ20内に貯蔵された水が蒸発して無くなる等によりドレントラップ20が正常に機能しなくなった場合は、アンモニアガスあるいはアンモニアイオン、又は塩素ガスあるいは塩素イオン等(以下「各種化学種」とも表記する。)がドレンメイン配管23や排水タンク24等から環境制御装置100内部へ逆流してくる可能性がある。
【0006】このとき環境制御装置100内部へ逆流してきた各種化学種はケミカルフィルタFL3によって吸着除去することができるが、化学種がケミカルフィルタFL3表面に化学吸着されると、フィルタ表面に物理吸着していた化学種がフィルタ外部へ逃散してくる。そして、この逃散した化学種はチャンバ2及びリターンダクト14を介して環境制御装置100内部を循環する。その結果、循環する化学種が改めてケミカルフィルタFL3に化学吸着され、化学吸着の飽和を促進することとなるため、ケミカルフィルタFL3の寿命が短くなるという問題があった。
【0007】そして、長期間の継続使用によって性能が劣化したケミカルフィルタFL3を放置した場合は、環境制御装置100内部に錆を発生させたり、重大なプロセストラブルを引き起こす原因ともなる。
【0008】この発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、外部から環境制御装置内部に侵入する各種化学種の影響を抑制し、ケミカルフィルタの寿命を延ばすことができる環境制御装置を得ることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明のうち請求項1に係る環境制御装置は、チャンバと、チャンバ内の空気を温度調整する空調部と、空調部とチャンバとの間に配置された不純物除去手段とを備える環境制御装置であって、チャンバは、空気を環境制御装置の外部環境へ排出する排気口を有することを特徴とするものである。
【0010】また、この発明のうち請求項2に係る環境制御装置は、チャンバと、チャンバ内の空気を温度調整する空調部と、空調部とチャンバとの間に配置された不純物除去手段と、ドレンを排出する第1の配管と、第1の配管を、第2及び第3の配管のいずれか一方に選択して繋げる切換手段とを備え、第2の配管には不純物除去フィルタが設けられていることを特徴とするものである。
【0011】また、この発明のうち請求項3に係る環境制御装置は、請求項1又は2に記載の環境制御装置であって、不純物除去手段の第1部分と空調部との間に配置されることにより、空調部から第1部分に到達する空気を遮断する遮断手段と、空調部から不純物除去手段の第2部分を介してチャンバ内部に送り込まれた空気中に存在する不純物の濃度を検出する検出手段とを備え、遮断手段は、濃度が予め設定したしきい値を超えた場合に、第2部分と空調部との間に移動することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.図1は、本発明の実施の形態1に係る環境制御装置101の構成を概略的に示す上面図である。環境制御装置101はクリーンルーム内に設置されており、クリーンルームの空気は、ケミカルフィルタFL1、ファン7、及びケミカルフィルタFL2をこの順に介して環境制御装置101内部に送られる。ここでファン7の前に配置されたケミカルフィルタFL1はオプションのフィルタであり、必要に応じて適宜配置すれば足りる。環境制御装置101内部に送り込まれた空気はメインクーラ3及びメインヒータ4から成る空調部によって適切に温度調整された後、メインファン5によって、露光装置1が設置されているチャンバ2内部へ送り込まれる。ここで露光装置1としては、例えば縮小投影露光装置等が用いられる。チャンバ2の空気取込口には不純物除去用のケミカルフィルタFL3及びHEPAフィルタFL4が配置されており、チャンバ2内部は不純物の少ない適切な環境下に保たれている。ここで、ケミカルフィルタFL1〜FL3は、化学吸着及び物理吸着によって各種化学種を除去するためのフィルタであり、HEPAフィルタFL4は、粒径が0.3μmレベルのパーティクルを除去するためのフィルタである。そして、チャンバ2内部の空気は排気口8からクリーンルームの外部環境へ排気される。なお、環境制御装置101内部で発生したドレンは、ドレン管6から装置外部へ排出される。
【0013】図2は、不純物としてアンモニアガスが存在する場合のケミカルフィルタFL3の性能を示すグラフである。ケミカルフィルタFL3のフィルタ出口におけるアンモニアガスの許容濃度を1(μg/m3)とすると、フィルタ使用開始後約2500日まではフィルタ出口のアンモニア濃度は許容濃度以下であるが、2500日を過ぎるとフィルタ出口のアンモニア濃度は許容濃度を超え、ケミカルフィルタFL3は寿命に至る。これは、フィルタ使用開始後2500日に近づくとフィルタ表面の化学吸着が飽和し、フィルタ表面に物理吸着していたアンモニア分子がフィルタ外部へ逃散してくるためである。
【0014】図3は、環境制御装置101内部の空気を循環させる場合とさせない場合とで、ケミカルフィルタFL3の寿命を比較したグラフである。グラフの横軸はフィルタ入口のアンモニア濃度であり、縦軸は寿命に達するまでの日数である。フィルタ入口のアンモニア濃度が一定の場合において、環境制御装置101内部の空気を循環させない場合は、循環させる場合に比較して寿命に達するまでの日数が長いことが分かる。例えばフィルタ入口のアンモニア濃度が200(μg/m3)である場合、装置内部の空気を循環させた場合は約100日で寿命に達するが、循環させない場合は約300日まで寿命に達することはない。従って、差引200日だけケミカルフィルタFL3の寿命が延びたこととなる。これは、ケミカルフィルタFL3が寿命に達する前の段階において、フィルタを透過するアンモニアガスがケミカルフィルタFL3自身に及ぼす影響を無くすことができるからである。即ち、図2に示すようにケミカルフィルタFL3が寿命に達していなくても濃度0.5(μg/m3)程度のアンモニアガスがケミカルフィルタFL3を透過しており、環境制御装置内部の空気を循環させる場合はこのアンモニアガスが再度ケミカルフィルタFL3によって吸着されるが、本実施の形態1に係る環境制御装置101のごとくチャンバ2内の空気を排気口8から外部環境に排出する場合は、このアンモニアガスが再度ケミカルフィルタFL3によって吸着されることはないからである。
【0015】このように本実施の形態1に係る環境制御装置101によれば、チャンバ2内部の空気を排気口8から外部環境へ排出する構成としたため、ケミカルフィルタFL3を透過する低濃度の化学種が環境制御装置101内部を循環することはなく、従来の環境制御装置100に比べてケミカルフィルタFL3の寿命を延ばすことができる。
【0016】実施の形態2.図4は、ドレン排出系の構成を示す断面図である。環境制御装置内部で発生したドレンはドレン管6を介してドレンサブ配管11に排出されるが、このときドレン管6とドレンサブ配管11とを2本の配管10a,10bによって繋ぎ、配管10aにケミカルフィルタFL5を配置する。そして、配管10a,10b、及びドレン管6をそれぞれ三方バルブ9に繋ぎ、ドレン管6を配管10a,10bのいずれに繋げるかを三方バルブ9の切換によって制御する。なお、環境制御装置としては実施の形態1に示した環境制御装置101を用いてもよく、従来の環境制御装置100を用いてもよい。
【0017】環境制御装置内部でドレンを発生しやすい作業を行う場合は、ドレン管6とドレンサブ配管11とを配管10bによって繋げる(図5)。これにより、発生したドレンは配管10bを流れてドレンサブ配管11に排出される。一方、通常時には、ドレン管6とドレンサブ配管11とを配管10aによって繋げておく(図4)。配管10aにはケミカルフィルタFL5が配置されているため、ドレンサブ配管11から逆流してくる各種化学種はケミカルフィルタFL5によって吸着除去される。
【0018】また、図6は、ドレン排出系の他の構成を示す断面図である。図6に示すように、三方バルブ9、配管10a,10b、ケミカルフィルタFL5を、ドレントラップ12とドレンサブ配管11との間に設ける。このような構成にすることにより、各種化学種の逆流をさらに抑制することができる。
【0019】さらに、ドレン管6と環境制御装置本体との結合部にノズルを設け、露光に影響を与えない不活性ガス、例えば窒素ガスや乾燥空気等をドレン管6の内部に常時流してもよい。
【0020】このように本実施の形態2に係る環境制御装置によれば、通常時においてドレン管6とドレンサブ配管11とはケミカルフィルタFL5を介して繋がっている。従って、ドレンサブ配管11から逆流してくる各種化学種をこのケミカルフィルタFL5によって吸着除去することができるため、環境制御装置内部に侵入する化学種を低減することができる。
【0021】また、ドレン管6の内部に不活性ガスを常時流した場合は、ドレンサブ配管11に対してドレン管6を陽圧に保つことができるため、ドレン管6を逆流する各種化学種をさらに低減することができる。
【0022】そして、環境制御装置として実施の形態1に示した環境制御装置101を用いた場合は、装置内部に侵入してくる化学種自体を低減することができるため、ケミカルフィルタFL3の寿命をさらに延ばすことができる。
【0023】実施の形態3.図7は、本発明の実施の形態3に係る環境制御装置102の構成を概略的に示す上面図である。HEPAフィルタFL4の前に1対のケミカルフィルタFL6,FL7が配置されており、メインファン5からの空気は、空気取込口13a,13bを介してケミカルフィルタFL6,FL7のそれぞれの入口に達することとなる。また、切換シャッタ15は、空気取込口13a,13bのいずれか一方を開放し、他方を遮断するものである。そして、チャンバ2内部の空気はリターンダクト14を介して空調部へ送り込まれ、環境制御装置102内部を循環する。もちろん、実施の形態1に示した環境制御蔵置101のごとくチャンバ2に排気口8を設け、チャンバ2内部の空気をクリーンルームの外部環境へ排気する構成としてもよい。
【0024】図7において、切換シャッタ15は空気取込口13aを開放し、空気取込口13bを遮断している。従って、メインファン5からの空気はケミカルフィルタFL7には送り込まれず、空気取込口13aを介してケミカルフィルタFL6に達することとなる。そしてケミカルフィルタFL6によって各種化学種が吸着除去され、HEPAフィルタFL4によってパーティクルが除去された後、チャンバ2内部に送り込まれる。
【0025】図8は、切換シャッタ15の切換動作を説明するための図である。図8に示すように、チャンバ2内部には捕集部16を有するセンサ17が設けられている。ケミカルフィルタFL6を介してチャンバ2内部に送り込まれてきた空気の一部はサンプルとして捕集部16で捕集され、捕集された空気中に存在する化学種の濃度がセンサ17によって検出される。その検出結果は制御部18に伝達され、制御部18は、化学種の濃度が予め設定した規定濃度を超えた場合に、シャッタ駆動機構19に対してシャッタ駆動命令を伝達する。シャッタ駆動機構19はこれを受けて空気取込口13aを遮断するように、換言すれば空気取込口13bを開放するように切換シャッタ15を移動する。切換シャッタ15を移動した後は、メインファン5から送り込まれる空気は空気取込口13b、ケミカルフィルタFL7、及びHEPAフィルタFL4を介してチャンバ2内部に送り込まれることとなる。ここで、切換シャッタ15を移動するしきい値となる規定濃度は、例えば空気中の不純物がアンモニアガス又は塩素ガスである場合は1(μg/m)に設定する。また、センサ17としては、従来から用いられているイオンクロマトグラフやガスクロマトグラフを用いることができる。
【0026】なお、図7,8においては簡略化のため、1対のケミカルフィルタFL6,FL7のみ記載したが、チャンバ2内部における気流の乱れを考慮すると、複数対のケミカルフィルタFL6,FL7を交互に配置することが望ましい。図9は、このように構成されたケミカルフィルタFL6,FL7を例示する平面図である。
【0027】このように本実施の形態3に係る環境制御装置102によれば、ケミカルフィルタFL6が寿命に至り、チャンバ2内部の空気中に存在する化学種の濃度がしきい値を超えた場合には、新しいケミカルフィルタFL7に自動的に切り換える構成とした。従って、寿命に至ったケミカルフィルタFL6がそのまま放置されることはなく、高濃度の化学種がプロセストラブルを引き起こすこと等を防止することができる。
【0028】
【発明の効果】この発明のうち請求項1に係るものによれば、不純物が不純物除去手段を透過したとしても、その不純物は排気口から外部環境へ排出され、環境制御装置内部を循環することはないため、不純物除去手段の寿命を延ばすことができる。
【0029】また、この発明のうち請求項2に係るものによれば、環境制御装置からドレンを排出する場合は第1の配管と第3の配管とを繋げ、通常時には第1の配管と第2の配管とを繋げておくことにより、第2の配管を逆流してくる不純物を不純物除去フィルタによって除去することができ、環境制御装置内部に侵入する不純物を低減することができる。
【0030】また、この発明のうち請求項3に係るものによれば、不純物除去手段の第2部部が寿命に至った場合は自動的に第1部分に切り換えて不純物を除去することができる。従って、寿命に至った第2部分を介して高濃度の不純物がチャンバ内部に送り込まれ、この不純物がプロセストラブルを引き起こすことを防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 茂明 (外2名)
【公開番号】 特開平11−132550
【公開日】 平成11年(1999)5月21日
【出願番号】 特願平9−295342