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【発明の名称】 吹出口装置
【発明者】 【氏名】保田 覚

【氏名】宮崎 清二

【要約】 【課題】気流の混合・拡散を速めて空気調和能力を高め、居住域近傍に配設可能として空気調和設備の大規模化を防げると共に、吹出す気流の偏りを無くすことで気流の到達を均等化でき、且つコンパクトで設置の制約が少ない吹出口装置を提供する。

【解決手段】吹出口装置1は、設置面(10)から突出する屈曲した略筒状体として形成され、吹出開口部を設置面(10)から離して吹出開口部後方からの空気の流れ込みを可能にして気流による誘引空気量を多くとれることにより、空気調和対象空間内空気との混合を速くして空気調和が短時間に行えると共に、気流を複数の所定方向に向けて均等に吹出せることから、居住域近傍からでも気流を確実に居住域へ均一に到達させられ、吹出口やダクトを天井や壁面上部に配設する必要をなくして、空気調和設備を小規模・低コスト化できる
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気調和用の気体が供給される入口開口部から屈曲して所定の吹出方向へ向う屈曲筒部と、当該屈曲筒部に連通して吹出方向に平行となる先端筒部とからなる略筒状体で形成され、当該略筒状体を空気調和対象空間内に突出させて配設してなることを特徴とする吹出口装置。
【請求項2】 前記請求項1に記載の吹出口装置において、前記略筒状体が複数互いに吹出方向を変えて空気調和対象空間内に突出して配設されてなることを特徴とする吹出口装置。
【請求項3】 前記請求項1又は2に記載の吹出口装置において、前記屈曲筒部の内面における曲率半径が小さな屈曲内周部分に多数の凹凸を有する粗面が形成されることを特徴とする吹出口装置。
【請求項4】 前記請求項1ないし3のいずれかに記載の吹出口装置において、前記曲率半径の小さな屈曲内周部分に形成される粗面が、前記屈曲筒部の屈曲する角度が大きくなるに伴って凹凸の粗さを大きく形成されることを特徴とする吹出口装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、供給される調和空気を広い空気調和対象空間内の所定の箇所に確実に到達させられる吹出口装置に関する。
【0002】
【従来の技術】吹出口装置は、従来から、空気調和の対象となる室内空間に面して配設され、ダクトを通じて供給される調和空気の室内空間への吹出しに用いられている。その中でもノズル型の吹出口装置は、調和空気の到達距離を大きくとれ、室内空間が大きい場合に多用されてきた。このノズル型の吹出口装置の例を図4に示す。この図4において従来の吹出口装置100は、壁50に配設され、ダクト51と接続されて調和空気を供給される略円筒体で形成される構成である。
【0003】また、上記した他に、調和空気を天井あるいは壁に垂直あるいは平行な向き以外の所定の方向へ吹出させる場合に、吹出口自体を所定の方向に向けて調和空気を吹出すパンカールーバー型といわれる吹出口装置が従来から使用されていた。この従来の他の吹出口装置の例を図5に示す。この図5において従来の他の吹出口装置200は、天井あるいは壁内に配設されて調和空気を供給される略球状体で形成され、室内吹出側に延伸する筒状のノズル部201aが形成されてなる開口枠体201と、この開口枠体201の外側に配設される支持体202とを備え、この支持体202に開口枠体201が向き調整自在に保持され、ノズル部201a先端の吹出口から吹出す気流の向きを所定方向に向けられる構成である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来の吹出口装置は以上のように構成されていたことから、前者においては、気流の勢いが強く、到達距離が大きいものの、吹出口が壁面とほぼ同一面上に配設されているために気流による誘引が壁前方の空気のみに限られて誘引空気量が少なく、室内空気との混合に時間がかかり、空気調和を短時間で行えないという課題を有した。
【0005】また、後者の場合、吹出口の大きさに比べて開口枠体201の大きさが必要以上に大きいことから、吹出口装置の取付スペースに制約がある場合には設置できないという課題を有した。加えて、気流の流路を無理に曲げているために、吹出される気流に曲げ外周側と曲げ内周側で偏りを生じ、気流分布が不均一となって気流を均等に吹出せず、場所によって空気調和能力に著しい差が出てしまうという課題を有した。
【0006】さらに、これらの吹出口装置を配設する空気調和の対象空間が大きな空間領域である場合、広い居住域に均等に空気調和を行うためには、調和空気と室内空気との混合期間が十分にとれるように壁面上方や天井に吹出口を配設し、且つ吹出口から大風量の気流を吹出す必要があり、このために各吹出口に通じるダクト等の付帯設備が空間の大きい分大規模なものとなり、その配設が困難になるという問題がある。特に、冷房の場合で、冷気の下降作用を最大限利用して確実に居住域に冷気を到達させるために天井に吹出口及びダクトを配設しようとすると、ダクト設備が著しく長経路となってしまい、設置作業の困難性と合わせ、コスト高を招くという課題を有した。
【0007】本発明は前記課題を解消するためになされたもので、気流の混合・拡散を速めて空気調和能力を高め、居住域近傍に配設可能として空気調和設備の大規模化を防げると共に、吹出す気流の偏りを無くすことで気流の到達を均等化でき、且つコンパクトで設置の制約が少ない吹出口装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係る吹出口装置は、空気調和用の気体が供給される入口開口部から屈曲して所定の吹出方向へ向う屈曲筒部と、当該屈曲筒部に連通して吹出方向に平行となる先端筒部とからなる略筒状体で形成され、当該略筒状体を空気調和対象空間内に突出させて配設してなるものである。このように本発明によれば、吹出口装置が設置面から突出する屈曲した略筒状体として形成され、吹出開口部を設置面から離して吹出開口部後方からの空気の流れ込みを可能にして気流による誘引空気量を多くとれることにより、空気調和対象空間内空気との混合を速くして空気調和が短時間に行える。
【0009】本発明に係る吹出口装置は必要に応じて、前記吹出口装置をなす略筒状体が複数互いに吹出方向を変えて空気調和対象空間内に突出して配設されてなるものである。このように本発明によれば、吹出口装置をなす略筒状体を複数配設し、気流を複数の所定方向に向けて均等に吹出せることから、居住域近傍からでも気流を確実に居住域へ均一に到達させられ、吹出口やダクトを天井や壁面上部に配設する必要をなくして、空気調和設備を小規模・低コスト化できることとなる。
【0010】本発明に係る吹出口装置は必要に応じて、前記屈曲筒部の内面における曲率半径が小さな屈曲内周部分に多数の凹凸を有する粗面が形成されるものである。このように本発明によれば、気流を所定方向に向ける屈曲筒部内面の屈曲内周側部分を流体力学的な粗面とし、屈曲筒部の内周側において気流の剥離、二次流れの生成を抑えて気流の滞りを防ぎ、気流を内周側と外周側で均一にバランスさせられることとなり、吹出方向への到達距離を十分確保できる。
【0011】また、本発明に係る吹出口装置は必要に応じて、前記曲率半径の小さな屈曲内周部分に形成される粗面が、前記屈曲筒部の屈曲する角度が大きくなるに伴って凹凸の粗さを大きく形成されるものである。このように本発明によれば、屈曲筒部の屈曲角度に応じて屈曲内周側部分の粗さを変え、気流の壁面からの剥がれ易さに対応した適切な粗さを設定することにより、吹出開口部における風量バランスをより均一にすることができ、吹出される気流に到達範囲の偏りが生じにくく空気調和の効率をさらに高められる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態に係る吹出口装置について、図1〜図3に基づいて説明する。この図1は本実施の形態に係る吹出口装置の配設状態説明図、図2は本実施の形態に係る吹出口装置の側面図及び底面図、図3は本実施の形態に係る吹出口装置の縦断面図を示す。
【0013】前記各図において本実施の形態に係る吹出口装置1は、屈曲筒部3及び先端筒部4からなる筒体であり、炭素繊維やガラス繊維等の高強度繊維の不織布に特殊プラスチックを塗布・含浸させたFRP(Fiber Reinforced Plastics)製の中空筒体として形成され、室内空間の床面から垂直方向に突設された矩形断面筒体の縦ダクト10における周側面に回動自在に複数配設され、縦ダクト10から調和空気を取込み、縦ダクト10の周側面に対し約40°傾いた方向に気流を案内して室内空間に吹出す構成である。この吹出口装置1をなすFRP筒体を構成する特殊プラスチックとしては、不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、その他、エステル基が主鎖でなく側鎖に存在する樹脂(アメリカンサイアナミド社製)や、ヘキセン−1と無水マレイン酸の共重合物をグリシジルメタクリレートとスチレン共存下で硬化させた耐蝕性樹脂等が含まれる。
【0014】吹出口装置1をなす筒体の一端には縦ダクト10接続用の入口開口部2が形成され、この入口開口部2を始端として調和空気の流れを徐々に縦ダクト10の周側面に対し約40°傾いた向きに案内する屈曲筒部3が配設され、さらにこの屈曲筒部3終端から前記入口開口部2の直径Dとほぼ等しい長さLだけ調和空気を吹出す方向に真っ直ぐ延伸され、室内吹出側となる先端に吹出開口部5を有する先端筒部4が配設されてなる。屈曲筒部3の内面は、曲率半径の小さな屈曲内周側において、特殊プラスチックを高強度繊維の気流に接する部分の裏面側から塗布し、あるいは、気流に接する部分を残して特殊プラスチックを含浸させて筒体を形成することにより、高強度繊維が表面に露出して流体力学的に粗い粗面3aとなっており、他方、曲率半径の大きな屈曲外周側ではプラスチックに覆われた滑面となっている。これら吹出口装置1をなす複数の筒体は、縦ダクト10上で吹出方向を互いに異ならせるようにその向きを調整されて配設されている。
【0015】次に、前記構成に基づく吹出口装置における空気吹出動作について説明する。縦ダクト10から送られた調和空気は入口開口部2に入り、屈曲筒部3に沿って次第に約40°傾いた斜め方向に案内され、先端筒部4を通って吹出開口部5から室内に吹出す。
【0016】一般に、気流流路に屈曲部分が存在する場合、屈曲部内周側において気流は途中で壁面から剥がれて噴流となり、その周りに二次流れを生じるので、流動損失が大きくなり、流量が内周にいくに従って減少する性質を有する。しかし、この屈曲筒部3内面の屈曲内周側は粗面3aとなっており、この粗面3aが境界層に対しじょう乱を与え不安定にして乱流への遷移を促進させ、境界層のエネルギ損失を防ぐことで気流が剥離しにくいため、流動損失が少なくなって気流の滞りがなく、外周側と内周側で流量のアンバランスが生じにくくなっている。さらに真っ直ぐな先端筒部4を通って気流が安定することにより、吹出開口部5からの吹出気流は均一となって十分な到達距離を確保でき、吹出方向側の室内空間居住域で一様且つ確実に空気調和が行えることとなる。
【0017】また、吹出した気流は室内空気を誘引するが、吹出開口部5の前方のみならず、吹出開口部5の脇や後方の空気も誘引することができ、室内空気との混合が急速に進行して空気調和効果を短時間で発揮できることとなる。これに加えて、複数の吹出開口部5から別の方向に向けて均一に調和空気が吹出されることにより、居住域にまんべんなく空気調和効果を与えられる。
【0018】このように、本実施の形態に係る吹出口装置では、壁面より突出させた筒体として形成され、屈曲筒部3内面の屈曲内周側を粗面とし、さらに、先端筒部4の長さを適宜確保することにより、複数の向きの異なる各吹出開口部5における風量バランスを均一にして気流を吹出せると共に、誘引空気量を多くして室内空気との混合が速く行えることとなり、吹出方向への到達距離を十分確保しつつ居住域に均等に拡散させられ、吹出される気流に到達範囲の偏りが生じにくく空気調和効率の大幅な向上が図れる。また、縦ダクト10から突出して配設される単純に屈曲したコンパクトな筒体群であり、居住域近傍に配設することで空気調和設備全体の小規模・低コスト化が図れる。加えて、筒体が断熱性の高いFRP製のため、冷房の場合でも筒体外面に結露を生じにくい。
【0019】なお、前記実施の形態に係る吹出口装置においては、吹出方向を縦ダクト10周側面に対し約40°傾いた斜め方向とする構成としているが、これに限らず、屈曲筒部3の屈曲角設定を変えて縦ダクト10の周側面に対し20°、あるいは60°傾いた方向に吹出す構成とすることもでき、空気調和の対象空間に応じた空気調和能力を得ることができる。また、前記屈曲角20°に設定された屈曲筒部3の場合には、粗面3aの粗度を屈曲角40°の屈曲筒部3の場合よりも大きく(粗く)形成し、さらに、前記屈曲角60°に設定された屈曲筒部3の場合には、粗面3aの粗度を屈曲角40°の屈曲筒部3の場合よりも小さく(滑らかに)形成することもできる。このように屈曲筒部3の屈曲角に応じて粗面3aの粗度を変化させることにより、吹出開口部5からより均一に吹出すことができる。
【0020】また、前記実施の形態に係る吹出口装置において、前記屈曲筒部3に形成される粗面3aは、高強度繊維が表面に露出した不規則な粗い面として構成したが、格子状やメッシュ状の凹凸面として構成することもできる。さらに、吹出口装置1はFRP筒体の他、屈曲部分を有するプラスチック製の中空筒体とし、この筒体内面の屈曲部分内周側に不織布を配設する構成としてもよい。
【0021】
【発明の効果】以上のように本発明においては、吹出口装置が設置面から突出する屈曲した略筒状体として形成され、吹出開口部を設置面から離して吹出開口部後方からの空気の流れ込みを可能にして気流による誘引空気量を多くとれることにより、空気調和対象空間内空気との混合を速くして空気調和が短時間に行えるという効果を奏する。また、本発明においては、吹出口装置をなす略筒状体を複数配設し、気流を複数の所定方向に向けて均等に吹出せることから、居住域近傍からでも気流を確実に居住域へ均一に到達させられ、吹出口やダクトを天井や壁面上部に配設する必要をなくして、空気調和設備を小規模・低コスト化できるという効果を有する。また、本発明においては、先端筒部の長さを少なくとも入口開口部の径とほぼ同じもしくは短くすることにより、吹出開口部における風量バランスを均一にしながら、天井あるいは壁等の設置面から突出する長さを極力短くした状態とすることができるという効果を有する。また、本発明においては、屈曲筒部の屈曲角度に応じて屈曲内周側部分の粗さを変え、気流の壁面からの剥がれ易さに対応した適切な粗さを設定することにより、吹出開口部における風量バランスをより均一にすることができ、吹出される気流に到達範囲の偏りが生じにくく空気調和の効率をさらに高められるという効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
【識別番号】000164553
【氏名又は名称】空研工業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)10月1日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
【公開番号】 特開平11−108429
【公開日】 平成11年(1999)4月23日
【出願番号】 特願平9−286136