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【発明の名称】 空気調和機の制御装置
【発明者】 【氏名】松井 大

【氏名】新谷 保之

【氏名】松林 成彰

【要約】 【課題】本発明の空気調和機の制御装置は、不在時間帯における空調機の消費エネルギが確実に削減でき、かつ不在時間帯終了時における室内温度が退室前の室内温度設定値になる空気調和機の自動制御装置を実現する。

【解決手段】不在時間帯データ記憶部310で得られる不在時間帯データと、室内状態量検出手段100、外気温度検出手段120および温度設定値検出手段160から得られるデータとに基づいて、不在時間帯における空気調和機に対する室内温度設定値の時間的変更パターンを複数個仮定すると共に、それらのパターン毎に、不在時間帯における空気調和機の積算消費エネルギおよび、不在時間帯が終了する時点における不在終了時室内温度を算定し、不在終了時室内温度が所定の範囲に収まり、かつ、積算消費エネルギが最小になるような時間的変更パターンのひとつを選定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空調をおこなう部屋に人員が在室していない時間帯とその前後の所定の時間帯を合わせた不在時間帯における運転制御を行う空気調和機の制御装置において、前記部屋の熱特性に関するデータを検出する検出手段と、前記データおよび蓄積された過去のデータをもとに、前記不在時間帯における前記空気調和機に対する室内温度設定値の時間的変更パターンを複数個仮定すると共に、それらのパターン毎に、前記不在時間帯における前記空気調和機の積算消費エネルギおよび、前記不在時間帯が終了する時点における不在終了時室内温度を算定し、前記不在終了時室内温度が所定の範囲に収まり、かつ、前記積算消費エネルギが最小になるような前記時間的変更パターンのひとつを選定するパターン設定手段とを備えることを特徴とする空気調和機の制御装置。
【請求項2】 前記パターン設定手段は、前記積算消費エネルギおよび前記不在終了時室内温度を算定する際に、前記空気調和機の動作特性をあらかじめ学習させたニュートラルネットワークを用いることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項3】 前記検出手段は、前記部屋内に人員が在室している在室時間帯における前記空気調和機の在室時室内温度設定値と在室時給気温度設定値を検出する温度設定値検出部と、前記部屋内の所定の場所において少なくとも室内温度を含む室内状態量を検出する室内状態量検出部と、外気温度を検出する外気温度検出部とを備え、前記パターン設定手段は、前記不在時間帯を記憶する不在時間帯データ記憶部と、前記時間的変更パターン毎に前記室内状態量および前記空気調和機の運転状態量の時間的な変化を予測する空調状態量変化予測部と、前記空調状態量変化予測部で予測される前記運転状態量から前記積算消費エネルギを予測する空調機消費エネルギ予測部と、前記時間的変更パターンのひとつを選定して前記空気調和機に指示する室内温度設定値変更指示部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項4】 前記検出手段は、前記部屋内に人員が在室している在室時間帯における前記空気調和機の在室時室内温度設定値と在室時給気温度設定値を検出する温度設定値検出部と、前記部屋の室内温度を検出する室内温度検出部と、前記空気調和機から前記部屋内に送風される空気の給気送風量と給気温度とを検出する空調機給気状態量検出部と、外気温度を検出する外気温度検出部とを備え、前記パターン設定手段は、前記不在時間帯を記憶する不在時間帯データ記憶部と、前記検出手段で得られたデータを記憶蓄積する空調状態量データ記憶部と、前記空調状態量データ記憶部に蓄積された過去のデータから前記部屋内の発生負荷の時間的な変化を算出する室内発生負荷算出部と、前記室内発生負荷算出部で算出された前記発生負荷の時間的な変化をもとに前記室内状態量および前記空気調和機の運転状態量の時間的な変化を予測する空調状態量変化予測部と、前記空調状態量変化予測部で予測される前記運転状態量から前記積算消費エネルギを予測する空調機消費エネルギ予測部と、前記時間的変更パターンのひとつを選定して前記空気調和機に指示する室内温度設定値変更指示部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項5】 前記検出手段は、前記部屋内に人員が在室している在室時間帯における前記空気調和機の在室時室内温度設定値と在室時給気温度設定値を検出する温度設定値検出部と、前記部屋の室内温度を検出する室内温度検出部と、前記空気調和機の前記部屋における空調負荷を検出する空調負荷検出部と、外気温度を検出する外気温度検出部とを備え、前記パターン設定手段は、前記不在時間帯を記憶する不在時間帯データ記憶部と、前記検出手段から得られたデータを記憶蓄積する空調負荷データ記憶部と、前記空調負荷データ記憶部に蓄積された過去のデータから前記部屋内の発生負荷の時間的な変化を算出する室内発生負荷算出部と、前記室内発生負荷算出部で算出された前記発生負荷の時間的な変化をもとに前記室内状態量および前記空気調和機の運転状態量の時間的な変化を予測する空調状態量変化予測部と、前記空調状態量変化予測部で予測される前記運転状態量から前記積算消費エネルギを予測する空調機消費エネルギ予測部と、前記時間的変更パターンのひとつを選定して前記空気調和機に指示する室内温度設定値変更指示部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項6】 前記検出手段は、前記部屋内に人員が在室している在室時間帯における前記空気調和機の在室時室内温度設定値と在室時給気温度設定値を検出する温度設定値検出部と、前記部屋内の所定の場所において少なくとも室内温度を含む室内状態量を検出する室内状態量検出部と、外気温度を検出する外気温度検出部と、少なくとも前記部屋内に在室する人員の人数を含む在室状態を検知する在室状態検知部とを備え、前記パターン設定手段は、前記在室状態検知部で得られた在室状態データを時系列として記憶蓄積する在室状態データ記憶部と、前記在室状態データ記憶部に蓄積された過去のデータをもとに人員の在不在の時間的パターンを学習する在室状態データ学習部と、前記時間的変更パターン毎に前記室内状態量および前記空気調和機の運転状態量の時間的な変化を予測する空調状態量変化予測部と、前記空調状態量変化予測部で予測される前記運転状態量から前記積算消費エネルギを予測する空調機消費エネルギ予測部と、前記時間的変更パターンのひとつを選定して前記空気調和機に指示する室内温度設定値変更指示部とを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項7】 前記検出手段は、少なくとも前記部屋内に人員がいるかどうかを検知する在不在検知部を備え、前記パターン設定手段は、前記不在時間帯データ記憶部に記憶されたデータをもとに設定された前記不在時間帯内において、前記在不在検知部が前記部屋内に人員がいることを検知した場合に、前記室内温度設定値変更指示部により指示された室内温度設定値を前記在室時室内温度設定値に再設定するように指示する室内温度設定値再設定指示部を備えることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の制御装置。
【請求項8】 前記空気調和機の運転が本制御装置の指示によらず停止した場合に、これを検知し、運転を再開する時刻を設定する手段を備え、運転停止時刻から運転再開時刻までの時間帯を前記不在時間帯とみなすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の空気調和機の制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機の運転消費エネルギを削減するのに有効な空気調和機の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オフィスビルにおける従来の空調機では、部屋の使用者は、昼休みや会議等で退室する際、自ら空調機への給電を停止・調節したり、空調機の室内温度設定値を変更したりしていた。また、入室時には空調機の給電を開始、あるいは室内温度設定値を退室前の設定値に戻す操作をおこなっていた。また、朝の空調機の起動時に代表されるように、空調機を起動する時間は、人が入ってくる時間までに室内温度が室内温度設定値になるように適当に決められていた。
【0003】従来の技術で、部屋の人間がいない場合に空調機の室内温度設定値を変更する制御装置を開示したものに、例えば特開平8―28929号公報がある。また、空調機を起動し、人が入ってくる時間までに室内温度が室内温度設定値になるよう空調機の制御装置を開示したものに、例えば特開昭56―7927号公報がある。
【0004】図8に、特開平8―28929号公報に記載された技術の構成図を示す。1010は温度センサ、1020は温度設定器、1030は人体を検知した場合にはパルスを出力する人体検知センサ、1040は設定温度変更回路である。また、1100は温度センサ1010と温度設定器1020の出力を比較する制御装置、1200は出力回路、1400は室温調節器である。
【0005】以下にその動作について説明する。制御装置1100は、温度センサ1010の出力と温度設定器1020の出力を比較し、その結果を出力回路1200に渡す。出力回路1200は制御装置1100の出力に従って、室温調節器1400への給電を制御する。人体検知センサ1030が人を検出している状態では、設定温度変更回路1040は温度設定器に何の影響も及ぼさない。人体情報センサ1030が人体を検知しなくなり所定の時間が経過すると、設定温度変更回路1040の影響により、設定温度が変化する。
【0006】次に、特開昭56―7927号公報の技術について説明する。単位時間あたりの温度変化をゲインであらわし、前日の予測ゲインと実測のゲインとの演算和により当日の起動ゲインを予測し、当日の実測温度と室内温度設定値との差を予測起動ゲインで除して空調機起動時刻よりの遅れ時間を求める。以上のようにして決められた時間に空調機を起動するものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した空調機の制御装置では、使用者が長時間部屋を空けた後入室すると、しばらくは夏は暑く冬は寒いといった快適性が損なわれているという問題点があった。さらに、室内温度が変更された室内温度設定値からもとの設定値にもどるまでの空調機で消費される電力が考慮されておらず、空調機消費エネルギが削減されていない場合があるという問題点があった。また、停止状態から起動し希望の時間に室内温度を室内温度設定値にする従来の制御装置では、空調機で消費されるエネルギに対する考慮がなされていないという問題点があった。
【0008】本発明は、上述した従来の空気調和機の制御装置の課題を考慮し、あらかじめ予測された不在時間帯に対して、不在時間帯前後における空調機の消費エネルギが確実に削減でき、かつ不在時間帯終了時における室内温度が退室前の室内温度設定値になる空気調和機の自動制御装置を実現することを目的とするものである。また、空調機が停止している状態から室内温度が在室時室内温度設定値に到達するまでの空調機の起動消費エネルギを確実に削減できる空気調和機の自動制御装置を実現することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決するために、本発明は、空調をおこなう部屋に人員が在室していない時間帯とその前後の所定の時間帯を合わせた不在時間帯における運転制御を行う空気調和機の制御装置において、前記部屋の熱特性に関するデータを検出する検出手段と、前記データおよび蓄積された過去のデータをもとに、前記不在時間帯における前記空気調和機に対する室内温度設定値の時間的変更パターンを複数個仮定すると共に、それらのパターン毎に、前記不在時間帯における前記空気調和機の積算消費エネルギおよび、前記不在時間帯が終了する時点における不在終了時室内温度を算定し、前記不在終了時室内温度が所定の範囲に収まり、かつ、前記積算消費エネルギが最小になるような前記時間的変更パターンのひとつを選定するパターン設定手段とを備えることを特徴とする空気調和機の制御装置である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0011】(第1の実施の形態)図1は本発明の第1の実施の形態における制御装置の構成を示す構成図である。本実施の形態における制御装置は、本発明の検出手段に対応する複数のデータ検出部と、本発明のパターン設定手段に対応する制御部300とから構成されている。100は、所定の場所から所定の状態量を検出する室内状態量検出部である。室内状態量検出部100は、例えば部屋400の室内温度と空調機200からの給気風量とを同時に検出する。室内温度の検出にはサーミスタ等が、給気風量の検出には風量計等が使用される。また、120は外気温度検出部でサーミスタ等が使用される。160は部屋400に人がいる場合の空調機の在室時室内温度設定値および在室時給気温度設定値を検出する温度設定値検出部である。
【0012】制御部300において、310は部屋400に人がいない時間帯を記憶する不在時間帯データ記憶メモリであり、ここに格納するデータは空調機の管理者が入力する。350は、室内温度設定値を在室時室内温度設定値から変更した場合に、室内温度と空調機の給気風量とが時間的にどのように変化するのかを予測する空調状態量変化予測部である。355は空調状態量変化予測部350で求めた空調機の送風量予測データを用いて、室内温度設定値を変更した場合の空調機の消費電力予測をおこなう空調機消費エネルギ予測部である。370は、空調状態量変化予測部350と空調機消費エネルギ予測部355との予測結果をもとに、不在時間帯の室内温度設定値の変更量と変更時刻を決定して、空調機200に変更指示を行う室内温度設定値変更指示部である。
【0013】次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0014】まず、不在時間帯データ記憶メモリに記憶する不在時間帯データを採取し、該メモリに記憶さす。不在時間帯データは日によって違うことが予想されるので、空調機を動かす前にデータを採取するとよい。
【0015】次に、空調状態量変化予測部350と空調機消費エネルギ予測部355では、温度設定値検出部160で得られる在室時室内温度設定値Trmset と在室時給気温度設定値Tspset を用いて、不在時間帯における室内温度設定値の時間的変更パターンを複数個仮定するとともに、各パターン毎の室内温度設定値の変更過程に対応する室内温度の変化と空調機消費エネルギとを予測する。予測には、例えば多層ニューラルネットワークの代表的な学習アルゴリズムであるバックプロパゲーションを用いる方法がある。ニューロンは、図2に示すように、入力層を在室時室内温度設定値Trmset と在室時給気温度設定値Tspset と室内温度と給気風量と外気温度、出力層を所定時間後の室内温度と給気風量と空調機の消費エネルギとする教師データによって、あらかじめ学習がなされている。この学習したニューラルネットワークを用いて、室内温度と空調機の消費エネルギの時間的な変化を予測する。在時間帯終了時間tend に予測される不在終了時室内温度Trm(tend)が数1に示す温度範囲内におさまるような、不在時間帯の室内温度設定値の変更量と変更時刻のパターンを可能な数だけ選択する。
【0016】
【数1】

【0017】数1において、ΔTlowは室内温度下限許容値、ΔTupは室内温度上限許容値である。また、上で選択したすべてのパターンにおける空調消費エネルギの予測値を、計算をおこなったすべての時間で積算し、その積算量が最も小さいパターンを実際の運転に用いるパターンとして決定し、室内温度設定値変更指示部370はこれを空調機200に指示する。
【0018】(第2の実施の形態)以下に、本発明の第2の実施の形態を図面を参照して説明する。図3は本発明の第2の実施の形態における制御装置の構成を示す構成図である。本実施の形態は、第1の実施の形態において、室内状態量検出部100がなく、室内温度検出部110と空調機から室内に給気される給気風量と給気温度とを検出する空調機給気状態量検出部130とを有し、制御部300には、室内温度検知部110と外気温度検知部120と空調機給気状態量検出部130とで得られるデータを記憶する空調状態量データ記憶メモリ320と、空調状態量データ記憶メモリ320より室内温度、給気温度、給気風量、外気温度の各時系列データを読み出し室内発生負荷を算出する室内発生負荷算出部330とを有したものである。その外の構成は第1の実施の形態と同じなのでその説明は省略する。なお、室内温度検出部110と外気温度検出部120ではサーミスタ等が使用される。また、空調機給気状態量検出部130では、給気風量の検出には送風機210のインバータファン回転数からファン固有の関数を用いることにより検出され、給気温度の検出にはサーミスタ等が使用される。空調機200の給気風量は送風機210のインバータファン回転数を制御することによって変えることができる。
【0019】次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0020】不在時間帯データ記憶メモリ310より不在時間帯データを取った後、室内発生負荷算出部330で、前日または任意の指定日の不在時間帯における室内温度Trm(t)、給気温度Tsp(t)、給気風量Vsp(t)、外気温度Tod(t)をもとに数2を用いて該不在時間帯における室内発生負荷Qin(t)を計算する。なお、tは時間である。
【0021】
【数2】

【0022】数2においてCairは空気の比熱、Rは既知の熱抵抗、Crmは既知の部屋の熱容量、α(t)は室内温度変化率で時間tまわりの複数のTrm(t)から最小2乗法で求めることができる。室内発生負荷Qin(t)は時系列データであるが、そのままでは測定誤差を含んでいるため、Qin(t)の全データを平均したQinaを以下で用いるとよい。空調状態量変化予測部350では、上記不在時間データと室内発生負荷Qinaとを用いて、不在時間帯における室内温度設定値の時間的変更パターンを複数個仮定するとともに、各パターン毎の室内温度設定値の変更過程に対応する室内温度の変化とインバータファン回転数の時間的な変化を、不在時間帯とその前後の時間帯において予測する。
【0023】例として、空調状態量変化予測部350を、送風機210のインバータファン回転数が数3に示す制御式に基づき制御される空調機に適用する。
【0024】
【数3】

【0025】数3においてΔVvvfはインバータファン回転数Vvvfの偏差、G、ω、ζはそれぞれインバータファンの特性に応じた定数、Tstは空調機の室内温度設定値である。空調状態量変化予測部350では、数3を変形した数4をインバータファン回転数の時間的な変化を予測する式として用いる。
【0026】
【数4】

【0027】なお、数4において、Δtは予測をおこなう時間的な間隔で、実際のインバータファン回転数の制御周期と同じ値を用いるとよい。室内温度設定値の変更過程Tst'(t)は自由に変更することができる。また、Vvvf'(t)はインバータファンの予測値、Trm'(t)は室内温度の予測値である。
【0028】また、インバータファン回転数の変化に伴う室内温度の時間的変化も予測には、微分方程式である数5を変形した数6を用いる。
【0029】
【数5】

【0030】
【数6】

【0031】数5、数6において、QinaはQin(t)の全データを平均した熱量、Qsupは空調機の給気によって部屋内に供給される熱量、Qoutは外気からの熱の流入量で、それぞれ数7、数8のようにあらわされる。
【0032】
【数7】

【0033】
【数8】

【0034】なお、数7において給気温度の予測値Tsp'(t)は、予測することも可能であるが設定値検出部160で得られる在室時給気温度設定値Tspsetをそのまま用いると計算が容易になる。また、Vfanはインバータファン回転数より給気風量を算出する送風機固有の関数である。数8における外気温度の予測値Tod'(t)には、予測をおこなう日の季節に応じた適当な値を入れるか、任意の指定日の時系列実測値データを予測データとしてそのまま用いるかすればよい。
【0035】室内温度とインバータファン回転数の時間的な変化の予測計算は、室内温度設定値の変更過程Tst'(t)を変化させ、それぞれの場合について別個に行う。計算には繰り返し計算を用い、まずTrm'(t)、Tsp'(t)、Tod'(t)、Vvvf(t)を数6、数7、数8に入れてTrm'(t+Δt)を算出し、次にTrm'(t+Δt)、Trm'(t)、Trm'(t―Δt)、Tst'(t)を用いて数4よりVvvf(t+Δt)を算出する。なお、予測計算をおこなうためには、Vvvf(t)の初期値が1つ、 Trm(t)の初期値が2つ必要となる。Vvvf(t)の初期値については、予測計算をおこなう最初の時間における前日もしくは任意の指定日のインバータファン回転数の実測値を用いるか、室内温度が在室時温度設定値になり定常状態になっている場合のインバータファン回転数の予測収束値を用いるかすればよい。また、Trm(t)の初期値2つは、予測計算をおこなう最初の時間における前日もしくは任意の指定日の室内温度の実測値2つを用いるか、在室時室内温度設定値Trmsetを用いるかすればよい。
【0036】以上の計算を終えた後、不在時間帯終了時間tendに予測される室内温度が数1に示す温度範囲内におさまるような、室内温度設定値の時間的変更パターンを可能な数だけ算出する。
【0037】次に、空調機消費エネルギ予測部355において、空調状態量変化予測部350で算出したそれぞれの室内温度設定値の変更過程にしたがって空調機を運転した場合の、インバータファン回転数および室内温度の時間的変化予測データをもとに、不在時間帯とその前後の時間帯におけるインバータファン消費電力と熱源消費電力とを予測する。インバータファン消費電力の計算には、インバータファン回転数から瞬時の消費電力を算出するインバータファン固有の関数ef を用い、予測計算をおこなったすべての時間でファン消費電力Ef を積算する。この消費電力Ef は数9を用いて計算をおこなう。
【0038】
【数9】

【0039】なお、数9において、t1、t2は不在時間帯を挟んで、上記消費電力を計算する時間帯のはじめと終わりの時刻である。
【0040】また、熱源の消費電力En は、数10を用いて行う。
【0041】
【数10】

【0042】なお、数10において、Keは室内に供給される熱量から熱源で消費される電力を換算するための定数である。En とEf の和で求まる空気調和機の消費電力積算量の予測値がもっとも小さくなる室内温度設定値の時間的変更パターンを選択し、室内温度設定値変更指示部370はこれを空調機200に指示する。
【0043】(第3の実施の形態)以下に、本発明の第3の実施の形態を図面を参照して説明する。図4は本発明の第3の実施の形態における制御装置の構成を示す構成図である。本実施の形態は、第2の実施の形態において、空調機給気状態量検出部130と空調状態量データ記憶メモリがなく、代わりに空調負荷検出部140と、室内温度検出部110と外気温度検出部120と空調負荷検出部140とで得られたデータを記憶する空調負荷データ記憶メモリ325を有したものである。したがって、第2の実施の形態とは、室内発生負荷を算出する過程が異なっている。その他の構成と動作は第2の実施の形態と同様なのでその説明については省略する。空調負荷検出部140には、例えば、空調機200に出入りする水の入口水温と出口水温と水流量とを同時に測定し、入口水温と出口水温との差に水流量と空調機に出入りする水の比熱を乗じて空調機200で使われた熱量を求める熱量計がある。
【0044】次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0045】空調負荷検出部140で検出された空調負荷Q(t)は、室内温度検出部110で得られるTrm(t)と外気温度検出部120で得られる外気温度Tod(t)とを用いて数11により室内発生負荷Qin(t)が算出される。
【0046】
【数11】

【0047】Qin(t)は時系列データであるが、不在時間帯におけるQin(t)を平均したQinaを室内発生負荷として用いてもよい。
【0048】(第4の実施の形態)以下に、本発明の第4の実施の形態を図面を参照して説明する。図5は本発明の第4の実施の形態における制御装置の構成を示す構成図である。本実施の形態は、第1の実施の形態において、不在時間帯データ記憶メモリ310がなく、在室状態検出部150と在室状態データ記憶メモリ315と在室状態データ学習部340とを有したものである。なお、在室状態検出部150には、薄膜焦電素子を用いた赤外線センサ等が用いられる。その他の構成と動作は第1の実施の形態と同じなのでその説明については省略する。
【0049】次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0050】在室状態検出部150で得られた在室人数、活動量等の在室状態データは在室状態データ記憶メモリ315に時系列データとして記憶される。在室状態データ学習部340は在室状態データ記憶メモリ315より在室人数データを読み出し、そのデータをもとに部屋400における在不在の時間的パターンを学習し、不在時間帯を出力する。学習方法の例を以下に示す。
【0051】一つは、単にファイルに記憶する方法で、在室状態データ記憶メモリ315の在室人数データより、在室者がいない時間だけを選択し不在時間帯を求め、その不在時間帯データをファイルに記憶する。
【0052】また、多層ニューラルネットワークの代表的な学習アルゴリズムであるバックプロパゲーションを用いて、在室状態データを学習する方法も利用できる。ニューロの学習は、入力層が時間、出力層が在室人数データとなるように、一日の在室状態データを教師データとして行う。学習したニューラルネットワークを用いて、時間を入力することによって得られる予測在室人数に基づき、不在時間帯を計算し出力する。
【0053】以上の学習は、自己組織化アルゴリズムを用いておこなっても同様の効果が得られる。
【0054】(第5の実施の形態)以下に、本発明の第5の実施の形態を図面を参照して説明する。図6は本発明の第5の実施の形態における制御装置の構成を示す構成図である。本実施の形態は、第1の実施の形態において、在不在検知部170と、在不在検知部170で得られるデータをもとに部屋に人がいるかいないかを判定する在不在判定部360と、室内温度設定値を在室時室内温度設定値に設定する室内温度設定値再設定指示部380を有したものである。なお、在不在検知部170には、薄膜焦電素子を用いた赤外線センサ等が用いられる。その他の構成と動作は第1の実施の形態と同じなのでその説明については省略する次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0055】室内温度設定値が在室時室内温度設定値から変更されている不在時間帯において、在不在検知部170で得られるデータを用いて人の在室状態を監視する。
【0056】在不在判定部360が一定時間連続して在室者がいると判断した場合は、室内温度設定値再設定指示部380を用いて室内温度設定値を在室時室内温度設定値に戻す。
【0057】一方、在不在判定部360が在室者がいないと判断した場合は、室内状態量検出部100と外気温度検出部120とで得られる各データを用いて、空調機状態量予測部350により不在時間帯終了時の室内温度を予測する。不在時間帯終了時の室内温度が数1の範囲内におさまらない場合には、不在時間帯終了時の室内温度が数1の範囲に収まるように先に決められた室内温度設定値の変更量および変更時間を調整し、その調整量に応じた室内温度設定値の変更を室内温度設定値変更指示部370を用いておこなう。
【0058】また、不在時間帯に在室者が検知され室内温度設定値が在室時室内温度設定値に戻っている場合に、再び在室者がいなくなれば、空調状態量予測手段350と空調機消費エネルギ予測手法355とを用いて、新たな室内温度設定値の変更過程を算出し、室内温度設定値変更指示部370によって室内温度設定値の変更をおこなう。
【0059】なお、本実施の形態において在不在検知部170の替わりに、第4の実施の形態において説明した在室状態検出部150を用いても良い。
【0060】(第6の実施の形態)以下に、本発明の第6の実施の形態を図面を参照して説明する。図7は本発明の第6の実施の形態における制御装置の構成を示す構成図である。制御部300において、317は朝の出勤時間に代表される在室開始時間を記憶する在室開始時間データ記憶メモリで、390は空調機のON/OFFを検出・制御する空調機運転状態監視部である。その他の構成は第2の実施の形態と同じなのでその説明については省略する。
【0061】次に、このような本実施の形態の動作を説明する。
【0062】空調機運転状態監視部390で空調機への給電のOFFが検出された時、制御部300は在室開始時間データ記憶メモリ317より在室開始時間tinを読み出す。在室開始時間より前の適当な時間tsを空調機を起動する時間に設定する。空調機起動時間tsは、前日または任意の指定日の起動時間を用いるとよい。次に、室内発生負荷算出部330において、空調機起動時間tsと在室開始時間tinの間の時間帯における、前日または任意の指定日の室内温度Trm(t)と外気温度Tod(t)を空調状態量データ記憶メモリ320より読み出し、数12を用いて該時間帯における室内発生負荷Qin(t)を算出する。
【0063】
【数12】

【0064】室内発生負荷Qin(t)は時系列データであるが、そのままでは測定誤差を含んでいるため、Qin(t)の全データを平均したQinaを以下で用いてもよい。
【0065】空調状態量変化予測部350では、室内発生負荷算出部330で計算された室内発生負荷Qinaと、温度設定値検出部160で得られる在室時室内温度設定値Trmsetと在室時給気温度設定値Tspsetとを入力データとし、空調状態量データ記憶メモリ320に格納された空調機起動時間tsにおける前日または任意の指定日の室内温度を室内温度予測初期値として用いる。 空調機を時間tsに起動してから、室内温度設定値を室内温度予測初期値から段階的に在室時室内温度設定値Trmsetまで変更する過程における室内温度設定値の時間的変更パターンを複数個仮定するとともに、各パターン毎の室内温度とインバータファン回転数の時間的な変化を数3および数5を用いて予測する。在室開始時間tinにおける室内温度が数13に示す範囲に入るような、室内温度設定値の時間的変更パターンを可能な数だけ算出する。
【0066】
【数13】

【0067】空調機消費エネルギ予測部355では、空調状態量変化予測部350で求めたそれぞれの室内温度設定値の変更過程を用いて空調機を起動した場合の、空調機200のインバータファンと熱源の消費電力を予測する。ファン消費電力Ef'の計算は、空調状態量変化予測部350でそれぞれ計算されたインバータファン回転数の時間的な変化予測データを用い、インバータ回転数からファン消費電力を演算するファン固有の関数ef により、数14から導出される。また、熱源部220の消費電力En'は、空調状態量変化予測部350で使用された給気温度予測値と外気温度予測値と、室内温度予測値とインバータファン回転数の予測データに基づき、数15から導出される。
【0068】
【数14】

【0069】
【数15】

【0070】なお、数15において、Keは室内に供給される熱量から熱源で消費される電力を換算するための定数である。空調状態量変化予測部350で算出されたすべての室内温度設定値の変更過程について上記の計算を行った後、インバータファン消費電力Ef'と熱源消費電力En'との和で求まる空調機の予測消費エネルギがもっとも小さくなる室内温度設定値の時間的変更パターンを選択する。
【0071】以上の手順を用いると、任意の時間ts に空調機を起動した場合の空調機の予測消費エネルギが最も小さい室内温度設定値の変更過程が、それぞれのts について決定する。以上の計算で使われたすべてのts のなかで最も予測起動エネルギが低い空調機起動時間が求める最適空調機起動時間となる。また、同時にその時間に空調機を起動した場合の、最適な室内温度設定値の変更過程も得ることができる。
【0072】上記の計算結果に基づき、最適空調機起動時間になると空調機状態監視部390を用いて空調機をONし、その後は室内温度設定値の変更過程に従って室内温度設定値変更指示部370を用いて室内温度設定値の変更を空調機200に指示する。
【0073】なお、本実施の形態では、空調状態量変化予測部350において、室内発生負荷算出部330で得られる室内発生負荷を用いて室内温度と空調機の消費エネルギの時間的な変化を予測するが、室内発生負荷算出部はなくてもよく、第1の実施の形態で述べた多層ニューラルネットワークの代表的な学習アルゴリズムであるバックプロパゲーションを用いて予測をおこなってもよい。
【0074】また、在室開始時間データ記憶メモリ317の替わりに、第1の実施の形態において説明した不在時間帯データ記憶メモリ310を用いても良い。
【0075】
【発明の効果】以上説明したところから明らかなように、本発明は、あらかじめ予測された不在時間帯に対して、不在時間帯前後における空調機の消費エネルギが確実に削減でき、かつ不在時間帯終了時における室内温度が退室前の室内温度設定値になる空気調和機の自動制御装置を実現することができる。また、空調機が停止している状態から室内温度が在室時室内温度設定値に到達するまでの空調機の起動消費エネルギを確実に削減できる空気調和機の自動制御装置を実現することができる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成9年(1997)6月25日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
【公開番号】 特開平11−14119
【公開日】 平成11年(1999)1月22日
【出願番号】 特願平9−169137